コンピュータビジョンを利用して動画の特定部分のみにエフェクトをかけられるスマホ向け編集アプリ「Vochi」

ベラルーシを拠点とするスタートアップのVochiが、150万ドル(約1億6000万円)のシード資金の調達に成功した。同社は、スマートフォン向けにコンピュータービジョンベースのビデオ編集・エフェクトアプリを開発している。

今回のラウンドは、Genesis Investmentsがリードした。ウクライナ拠点のこのベンチャーキャピタルは、ダイエットアプリなどを開発するBetterMeや、アフリカでオンラインクラシファイド広告サービスを運営するJijiなどに出資している。なお今回の調達は、2019年4月のBulba Venturesからのプレシード時の資金調達に続くものだ。ちなみにVochiの創業者でCEOのIlya Lesun(イリヤ・レスン)氏は、創業以前にBulba Venturesでプロダクトアナリストして働いていた。

TikTokのようなショートムービープラットフォームが急成長している中でレスン氏は、クリエイターが差別化を図るのに役立つ簡単に動画編集ができるモバイルアプリ開発に乗り出した。

Vochiはコンピュータービジョン・テクノロジーをベースにした独自のアルゴリズムでビデオ内の単一の対象を切り出し、その部分だけに各種のエフェクトを適用できる。これによりスタイルやシナオリの組み合わせをリアルタイムで試せるので、ユニークな動画を作るチャンスの幅がかなり拡がる。高度なデスクトップソフトを使って精細度の高い動画処理をするには多くの時間とコンピューティングパワーを必要とする。モバイルデバイスでこの効果が簡単に得られ、公開前にプレビューもできるのはクリエイターにとって非常に有用だ。

レスン氏はTechCrunchの取材に対して「モバイルコンテンツの制作、視聴が拡大するにつれ、作成ツールの需要も高まっている。多様な機能を備えたビデオ編集ツールははプロ、アマ、ホビイストを問わずコンテンツのクリエーターに価値をもたらすことができる。Vochiはユーザーのポケットに収まるコンテンツ編集スタジオだ」と語る。

「Vochiのプロダクトとライバルの最も大きな差は、ビデオ内のオブジェクトに適用するエフェクトやフィルタなどにコンピュータ・ビジョンを使っていることだ。Vochはアルゴリズムによって動画内の特定のオブジェクトに分類できるので、その部分だけを編集できる。1080pのビデオのオブジェクトにリアルタイムでエフェクトを与えることができる」と同氏。

ターゲットに想定しているのはコンテンツクリエイター、つまり動画をスマートフォンに保存して終わりにするのではなく、ソーシャルメディアに頻繁に動画を投稿するユーザーだ。

「ビデオブロガーやインフルエンサーは視聴者の目を引きつけるような意外性のある動画を必要としている。面白い動画を作って友達と共有したいクリエイティブなユーザーもいるだろう。しかしもちろんスマートフォンのユーザーなら誰でも簡単にこのアプリを使うことができる」と同社は説明する。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

モバイルアプリグロースハッキングのApp SamuraiがシリーズAに到達し約2.7億円調達

サンフランシスコに本拠を置くモバイルアプリのグロースハッキングのApp SamuraiがシリーズAの段階に達した。同社は212 Venturesがリードし500 Startups、Spark、Degerhan Usluelが参加したラウンドで240万ドル(約2億6500万円)を調達した。これまでの調達資金の総額は460万ドル(約5億円)となる。資金は新プロダクトの開発と世界各地へのビジネスの展開に当てられる。

2016年に創立されたApp Samurai Groupはモバイルアプリの開発企業の成長とマーケティングを助けるさまざなツールを用意している。App Samuraiはユーザーの獲得を助けるプラットフォームだが、この他モバイル広告の詐欺をリアルタイムで検知するInterceptd、アプリごとのユーザーエンゲージメントを計測するStorylyも提供している。

今回の資金調達について共同ファウンダー、CEOのEmre Fadillioglu(エムレ・ファディリオグル)氏は声明を発表し 「 240万ドル(約2億6500万円)の資金調達は 2020年に向けた当社の戦略に基づくものだ。我々は最高の人材を集め、ビジネスを国際的に拡大していきたい。優先順位としてはまず最高の人材を集めることだ。これにより透明性の高い効率的なモバイルマーケティングのエコシステムを確立していくことを目指す」と述べた。

同社の直接的なライバルはTraffic Guard、Scalarr、Forensiq, Machine、21 Metrics、FraudScore、FraudLogixなどの各社だ。間接的なライバルとしてはAdjust、AppsFlyer、Tune、Kochavaなどが考えられる。
画像:Getty Images

[原文へ]

滑川海彦@Facebook

アイオワ州の集計アプリ問題は起こるべくして起こった

アイオワ州民主党党員集会の投票結果をアナウンスするために作られたスマートフォンアプリは結局正常に機能せず、ほぼ丸1日におよぶ膨大な遅れをもたらした。

伝統的にアイオワ州党員集会は、州内各群の集会を利用して、どの大統領候補者を支援するかを決めるために用いられてきた。結果の監査には紙の投票用紙が使われる。民主党候補を指名するための1990票のうち、アイオワ州にはわずか41票分の代理人しかいないが、それでも全米で誰が立候補を勝ち取るかのバロメーターと見られている。

そのためのプロセスを近代化し、スピードアップをはかるべく、アイオワ州民主党はアプリを発注した。

しかし、Shadowという会社が作ったそのアプリは、壮大な惨事を招いた。電話で結果を報告することになった選挙区もあった。

アイオワ州民主党広報担当者、Mandy McClure【マンディー・マクレア)氏はアプリの障害を「報告機能の問題」でありセキュリティーやハッキングではないと説明した。後にマクレア氏は、「コーディングの問題」だったと語った。集計結果は米国時間2月3日の夜遅くには発表される予定だったが、2月4日の午後まで延期されるとアイオワ州民主党は説明しているり

果たしてこれを予測できた人はいたのか?実はかなりの人数がいた。「そもそもアプリなど必要なかった」とノースカロライナ大学のZeynep Tufekci准教授がツイートで語った。

アプリについてはほとんど情報がなく、1月にNPR誌が概略紹介した後でさえ秘密に覆われていた。これは米国大統領候補指名プロセスで使われる初めてのアプリであり、電子投票やアプリを利用することはハッカーに露出する恐れがあることが懸念されていたにもかかわらず決行された。

わかっているのは、ハッカーにシステムを悪用されることへの恐怖から、セキュリティーの詳細が秘密に覆われていたことだ。これは「隠蔽によるセキュリティー」は誤りであると主張するセキュリティー専門家らから批判を浴びていた。国土安全保障長官のChad Wolf(チャド・ウルフ)氏は火曜日のテレビ出演で、アイオワ州民主党はアプリのセキュリティー欠陥をテストする同省の申し出を拒否したと語った。そして、秘密であるゆえにアプリが十分なテストを受けたことを示す証拠はない。テストしたとして、どんなレベルのテストや検査だったのかも不明だ。

関連記事:米大統領選アイオワ民主党集会は集計アプリのバグで混乱続く

不吉な前兆はあったという人たちもいる。「正直なところ、アイオワ州党員集会でこの新アプリに起きたことについて、陰謀論や不正行為を疑う必要はない」とテスト会社であるMobile LabsのCEOであるDan McFall(ダン・マクフォール)氏がメールで私に話した。「これは、当社の企業ユーザーの間でで何年も前から起きている話だ。注目を集める重要な締め切りに向けて、新しいアプリケーション開発が強引に推し進められる。モバイルアプリはみんなが思う以上に難しく、初期リリースは遅れるのが普通であり、納期を守るために実践的テストのプロセスを省けばカオスが約束されている」。

テスト会社のApplauseを率いるDoron Reuveni【ドロン・レウベニ)氏も同意する。開発者自身には見えないことのある「盲点」を見つけるために十分なテストとリアル世界でのテストが必要だと語った。サイバーセキュリティー会社のCyberVistaのCEOで元国防総省アナリストのSimone Petrella(シモーネ・ペトレア)氏は、単純な問題に高度なソリューションは必要ないと語った。

「Googleスプレッドシートか何かの共有ドキュメントで十分」とペトレラ氏は語った。「セキュリティーを守りつつエンドユーザーが操作しやすいソリューションを開発、提供することは驚くほど困難で高くつく」とPetrella氏は言う。「この種の課題を解決するソリューションやアプリを作るのなら、設計当初からセキュリティーを考慮し、開発プロセス全体を通じて厳重なプロダクトテストと検証を行い、すべてが保存され、データは正しく安全に操作されていることを保証する必要がある」

今回の大失敗が、7月の民主党全国集会までにそれぞれの大統領候補を選ぶ党員集会を予定している他の選挙区や州に警鐘を鳴らすことは間違いない。

ネバダ州は2月に行われる党員集会で同じアプリを使うと言われていたが、計画は破棄された。

「我々はアイオワ州党員集会で使用されたアプリやデベロッパーを使わない」と広報担当者は言った。「すでに代替手段や冗長性のある報告システムを開発しており、現在最善の手段を評価しているところだ」。

Shadowは、ツイートでアイオワ州党員集会の問題について「遺憾の意」を表明し、「この教訓を将来に活
生かす」と語った。

そんな重要な事案になぜアプリを使うのか、というのが今多くの人々が自問している疑問だ。アイオワ州が選挙でテクノロジーを使ってはいけない典型例になったことは、少なくとも明るい話題だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米大統領選アイオワ民主党集会は集計アプリのバグで混乱続く

大統領の座を巡って共和党候補(ほぼ間違いなくドナルド・トランプ現大統領)と戦う民主党の大統領候補が決定するのは今年末になるはずだが、アイオワ州の民主党党員集会は長い予備選の幕開けとなるため、極めて重要な意味を持つ。このチャンスを生かしてブームを作れるかどうかが予備選の勝利に直結する。全国の有権者、メディアの関心も集中していた。

それだけにアイオワ党員集会をめぐる2月3日の混乱は非常に憂慮される事態だ。いまだに集計結果が発表できず、いったい誰がどれほど勝ったのか不明だ。

この混乱の中心はShadowという営利企業によって開発されたといわれるモバイルアプリだ。New York Timesの記事によれば、アイオワ州民主党が利用したアプリは「この2カ月で大急ぎで作られた」プロダクトで、「これほど重要な政治イベントで集計に用いられるアプリなら当然要求される綿密なテストを経ていない」という。アイオワ民主党は Shadowに6万3000ドル(約690万円)を2回分割で支払い、「安くて簡単に使えるツール」の開発を依頼したと報じられている。

TechCrunchでは2月3日の夜、集計用モバイルアプリがクラッシュして結果発表が遅れていることを報じた。アイオワ民主党の広報担当、Mandy McClure(マンディ・マクルーア)氏は声明で「結果に関する3種類の数値の間に矛盾がある(ため精査している)。基礎となる報告、またそのデータにはまったく問題がないので結果発表が若干遅れるだけだ」と述べた。

同氏は「ハッキングや悪意ある侵入などの形跡はない」と付け加えた。2016年の選挙にロシアのハッカーの介入があったという報道が繰り返されたことを考えると重要な点だ。

アプリを開発したShadowの背景にはいくぶん不明な点がある。民主党進歩派のNPO組織であるACRONYMは自サイトでShadowを「ローンチした」としていた。しかし昨夜の混乱の後、広報担当のKyle Tharp(カイル・タープ)氏は「単に投資しただけ」と距離を置き、「アイオワ民主党にいかなるテクノロジー上の援助もしていない」と述べた。ACRONYMの声明によれば「我々は、皆と同様、アイオワ民主党からさらに情報が明かされるのを待っていると声明した。

ACRONYMのサイトのAboutページには当初、「2019年1月、我々はShadowをローンチした。これは選挙運動の組織者がキャンペーンを効率的に実施するためのテクノロジーを開発する企業だ」と書かれていた。これが事件後には「 2019年1月にわれわれはShadowに投資した」と修正されていた。

アイオワ民主党の委員長、Troy Price(トロイ・プライス)氏は問題発生に続く声明で、「プログラミング上の問題」によるものだとした。

我々の調査によれば、(問題の)アプリが収集してデータは自体は正常でありまったく問題ないと判明した。 アプリはデータを正しく記録したものの、データの一部分しか集計出力されないという問題が起きていた。調査の結果、これはアプリの結果出力部分のプログラミング上の問題だと結論した。問題は同定され、すでに修正されている。アプリの結果出力の問題は各地区の責任者が報告した数値の健全性になんら影響を当たるものではない。

(…)地区責任者からの結果報告は現在もアイオワ民主党に送られ集計されつつある。われわれは即日、可能な限り早く結果を公開する予定だったが、データの整合性と正確さを最重点とする立場から、集計発表は延期された。

またプライス氏は「システムはセキュリティ専門家がチェックした」と述べ、ハッキングや侵入の試みがなかったことが確認されていることを繰り返した。

【略】

LA Timesの報道によれば、Shadowは当初Groundbaseと呼ばれ、 2016年の大統領選でヒラリー・クリントン候補のデジタルキャンペーンのスタッフだったGerard Niemira(ジェラルド・ニーミラ)氏とKrista Davis(クリスタ・デイビス)氏によって創立されたという。正確な状況や原因が不明であるため、民主党員の間には、当然ながら、このデジタル集計システムに対する不信が高まっている。

画像:Tim Hynds/Sioux City Journal / Getty Images

【Japan編集部追記】 「3種類の数字」は「参加党員の最初の選択、2回目の選択、最終の選択」。MSNBCの報道によれば、これは前回の大統領選のアイオワ集会で勝利したヒラリー・クリントン候補と次点となったバーニー・サンダース候補の差が0.3%しかないことで紛糾したため。各地区の責任者はモバイルネットを通じてこのアプリで3組の数値をアイオワ民主党本部に送ることになっていたが、トラブルが多発して電話連絡を利用するなどしている。

ShadowのCEOであるニーミラ氏のLinkedin登録ページによれば、彼はACRONYMのCOOでGroundBaseの共同創業者兼CEO、「ヒラリー・フォー・アメリカ」のプロダクト・ディレクターを歴任している。それ以前の職歴は、途上国向けマイクロファイナンスのKiva.orgに7年8カ月在職している。ボストン大学卒業となっている。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

米国トップ100モバイルアプリの2019年サブスク売上高は21%増の約5030億円

モバイルゲームでのアプリ内購入をのぞき、ゲーム以外のアプリのサブスクリプション売上高が2019年のモバイル消費を押し上げた。App Annieの最新レポートによると、2019年の世界のモバイル消費額は1200億ドル(約13兆円)に達した。そしてアプリマーケティング調査のSensor Towerの新たなデータでは、米国における2019年のサブスク売上高はトップ100アプリで46億ドル(約5030億円)で、2018年の38億ドル(約4160億円)から21%増加した。

Sensor Towerはまた、トップ100アプリのサブスク売上高が、2019年の米国におけるApple App StoreとGoogle Play合わせた全消費額240億ドル(約2兆6300億円)の19%を占めた、とも指摘した。

以前のApp Annieのレポートでは、2019年に最も売り上げたアプリはTinderだった。

加えて、Sensor Towerは2019年のトップ100アプリの消費額の10%はTinderによるものだったとした。これは月14.99ドル(約1600円)のTinder Gold や、月9.99ドル(約1100円)のTinder Plusというサブスクによるものだ。

米国のApp Storeにおけるサブスク支出を分析すると、2019年に消費者がトップ100アプリのサブスクで使った額は36億ドル(約3900億円)で、2018年の31億ドル(約3400億円)から16%増えた。米国App StoreではYouTubeがトップで、Tinderが続いた。広告フリーのもの、そして消費を大きく支えたYouTube Premiumを含め、YouTubeのアプリ内支出は10億ドル(約1100億円)のマイルストーンを超えた。一方で、Google PlayではTinderはPandoraとGoogle One(Googleプラットフォームのクラウドストレージ)に次ぐ第3位だった。

2019年にGoogle Oneが上位に食い込んだのは、ひとつの変化だ。過去において上位はデートアプリやエンターテインメント系アプリに独占されていた、とSensor Towerは指摘した。

米国のGoogle Playをみると、2019年に消費者はトップ100アプリのサブスクに11億ドル(約1200億円)超を使った。2018年の7億7500万ドル(約850億円)から42%増えた。

ただ、消費者支出額はApp Storeの方が大きく、App Storeが36億ドル(約3900億円)だったのに対し、 Google Playは11億ドル(約1200億円)だった。

上位のアプリが消費額の大半を占めるが、サブスクモデルは下位のアプリにも恩恵をもたらしている。たとえば、トップ10アプリは2019年に10%成長したが、11〜100位のアプリは同期間に35%成長した。

こうした傾向は2020年以降も続くと予想されている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

App Annieが2019年のモバイルアプリをレポート、総売上13兆円超、ダウンロード2040億回

2019年のモバイルアプリの利用状況についてのレポートが発表された。ダウンロード総回数は新記録となる2040億回で対前年比6%のアップ、2016年と比較すると45%アップ。売上はアプリ本体価格、サブスクリプションなどのアプリ内課金を含めて1200億ドル(約13兆2000億円)だった。ユーザーは平均して毎日3.7時間を費やしていた。

この数字は「モバイルの現状」(State of Mobile)と題するApp Annieのレポートによるものだ。以下、いくつかのトレンドと将来予測をハイライトしてみよう。

同社によれば、2019年のモバイルアプリの利用拡大は主としてインド、ブラジル、インドネシアなどの人口の大きい新興市場の急成長によるものだという。これらの市場のダウンロード数は2016年と比較してインドが190%、ブラジルが40%、インドネシアが70%アップとなっている。中国の成長は80%だった。一方、米国におけるダウンロード数の伸びは5%と鈍化している。

しかし成熟市場のユーザーがアプリのダウンロードを止めたわけではないのはもちろんだ。対前年比の伸び率が低下したに過ぎない。 成熟市場には依然巨大なダウンロード数があり、2019年には米国だけで123億回、日本で25億回、韓国で20億回のダウンロードが記録されている。App Annieのダウンロード回数には再インストール、同一アプリのアップデートは含まれていない。

2019年のアプリストアのユーザーの支出総額は1200億ドルで2016年の 2.1倍。やはり支出の過半数はゲームに対するものだった(72%)。トレンドとしてはサブスクリプションの普及が注目された。ゲーム以外のアプリでの昨年のサブスクリプションは支出総額の28%を占めたが、これは2016年の18%と比較して大きなアップだった。

実際、サブスクリプションは多数の非ゲームアプリの主要な収入源となっている。たとえば米国における iOSアプリのトップ250タイトルの売上の97%はサブスクリプションによるものだった。また94%のタイトルがサブスクリプションを利用していた。AndroidアプリのPlayストアでは売上の91%がサブスクリプションで、トップ250タイトルの79%がサブスクリプションを利用していた。

なかでもデートアプリのTinderやビデオ番組のストリーミングのNetflix、Tencent Videoなどでは2019の消費者支出の伸びはサブスクリプションによることが数字ではっきり示された。

ゲーム、サブスクリプションともに消費者の支出では、米国、日本、韓国、英国などの成熟市場が大きな割合を占めている。ただし市場規模からいえば、中国が世界の支出の40%と圧倒的だ。

2019年のトレンドとしては、各種のIoT(モノのインターネット)やスマートデバイス向けモバイルアプリが目立つようになった。IoTコントロールアプリのトップ20のダウンロードは1億600万ダウンロードだった。また1996年以降に生まれたいわゆるZ世代の1アプリ、1カ月の使用時間は3.8時間にもなっている(ゲーム以外のトップ25アプリの平均)。モバイル広告の売上は2019年実績が1900億ドルだったが、2020年には2400億ドルに達するものと予測されている。

ゲームアプリの売上は非常に大きいのでレポートでも詳しく扱われている。モバイルゲームに対するユーザーの支出はMac/Windowsゲームの2.4倍、ゲーム専用機ゲームの2.9倍だった。2019年のモバイルゲームの売上は他のプラットフォームのゲームの総額より25%も大きかった。App Annieは今年は1000億ドルの大台に乗るものと予測している。

パズルやアーケードを筆頭とするカジュアルゲームはダウンロード回数では2019年のトップだった。シューティングや ロールプレイングなどの本格的ゲームはダウンロード回数の18%を占めるだけだったが、ゲーム時間では55%を占めてジャンルのトップだった。Androidのアクション系ではシューティングゲームのPUBG Mobileが利用時間のNo. 1で、パズルのAnipop がカジュアルゲームのトップとなった。

本格的なゲームの売上はゲーム売上の76%を占め、カジュアルゲーム(18%)、 オンラインカジノ(6%)を大きく引き離した。

2019年では2017年に比べて500万ドル以上の売上を得たゲームの数が17%増えている。売上1億ドル以上のタイトル数は同期間に59%も増えている。一方、従来型のゲームとはタイプが違うタイトル向けにiOSゲームではApple Arcadeが開設されている。ただしこのストアの売上は外部からはまったくモニターできない。このストアはApp Annieの将来に問題を引き起こすかもしれない。

App Annieはこのほか、フィンテック、ソーシャルなどのバーティカルも調査している。フィンテックアプリのユーザーベースの伸びは伝統的なバンキングアプリの伸びを上回っている。ショッピングアプリのダウンロードは対前年比で20%増加して54億回となっている。ストリーミングでは2019年のコンテンツ視聴セッション数は2017年に比べて50%増加した。またモバイルの総利用時間のトータルのうちの50%はソーシャルネットワークなどのコミュニケーションアプリが占めた。

2019年に世界で210%の急成長を達成したショートビデオサービスのTikTokは特に注意深く検討されている。ただし全利用時間の8割は中国内のユーザーによるものだった。

2019年にモバイルアプリに強い影響を受けたビジネスは、ライドシェア、フードデリバリー、デート、コンテンツストリーミング、ヘルスケアとフィットネスだった。

同社が注目した点には、オンライン通販を専門とするショッピングアプリが物理店舗の企業のショッピングアプリに比べて1ユーザー1カ月あたりで3.2倍も利用されていることだ。App Annieのレポートにはこのほかさらに詳しい分析が載っている。

App Annieではまたアクティブユーザー数、ダウンロード数、売上をキーにした2019年トップアプリのリストを作っている。 ゲーム以外のアプリのエンゲージメントでは依然、Facebookグループのアプリが上位を独占している。世界のアクティブユーザー数ではトップがWhatsApp、以下Facebook本体、Facebook Messengerが続き、4位がWeChat、5位が再びFbグループのInstagramという結果だった。

ただし消費者の支出となると2019年ではTinderがトップ、Netflix、Tencent Video、QIYI、YouTubeなどエンタテインメント系アプリが続いている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook

App Annieが2019年のモバイルアプリやゲームのiOS/Android総合トップ10を発表

App Annie(アップ・アニー)が発表した今年の年間レポートによれば、世界のモバイルユーザーは2019年末までにApp StoreとGoogle Play から合計1200億回のダウンロードを行うことになるという。

これは2018年から5%のアップで、再インストールやアップデートのダウンロードは含まない新規ダウンロードだけの回数。ダウンロード回数の新記録という、注目すべき数字だ。2019年の両ストアの売上合計は900億ドル(約9兆8650億円)に近づいており、対前年比で15%のアップだ。このレポートには今年のダウンロード回数、売上などのトップ10もリストアップされている。

世界で最もダウンロード回数が多かったアプリ(ゲームを除く)の顔ぶれは今年も比較的安定していた。シンガポールに本拠を置くショートビデオのLikeeが唯一の新顔だった。ここではTikTokが4位となり、FacebookグループのInstagramだけでなくSnapchat、Netflix、Spotifyも上回った。ただし今年もダウンロード回数トータルではFacebookグループが圧倒しており、Messengerが1位、Facebook本体が2位、WhatsAppが3位だった。

ゲームのダウンロード回数はアプリよりはるかに入れ替わりが多く、トップ10のうち7タイトルが今年の新顔だった。カジュアルカーレースのFun Race 3D、人気シューティングゲームのモバイル版であるCall of Duty: Mobileがこの乱戦に割り込んだのが目立つ。

アプリ売上ではゲームが圧倒的な割合を占めるが、今年のトレンドはサブスクリプションの伸びだった。ゲーム以外のジャンルでの売上の成長は写真とビデオ、エンタテインメント分野が中心となり、App Annieではこのトレンドは2020年に継続するものと予測している。今年大人気となったDisney+のサブスクリプションの売上も来年はリスト入りしてくるかもしれない。この分野ではHBO Max、NBCUのPeacock、ジェフリー・カッツッェンバーグのQuibiといったメジャーなサービスの開始も予定されている。

App Annieが報じたとおり、すでに多くのアプリがサブスクリプション・モデルを採用している。2019年9月を終期とする年度で、ゲーム以外の売上トップ100のアプリの95%はアプリ内課金によるサブスクリプションだった。アプリ、ゲームのパブリッシャーがサブスクリプションを採用するトレンドは今後も継続し、消費者の支出を押し上げるだろうと同社は予測している。

昨年はNetflixが首位だったが、今年はデートアプリのTinderがNetflixを押しのけて1位となった。昨年は「ゲーム・オブ・スローンズ」のおかげで好調だったHBO NOWが今年はトップ10入りを果たせなかった。かわりにLINEマンガが滑りこんだ。Tencent VideoとiQIYIは昨年と同順位だったが、YouTubeは7位から5位に上昇し、逆にPandoraは5位から6位に順位を落とした。

App Annieでは今年は「ブレークアウト」という新しいジャンルを作り、今年人気が出たアプリ、ゲームをリストアップした。これはダウンロード数、売上の各分野で対前年比伸び率が最大だったタイトルだ。ダウンロード回数では7位だったYY IncのLikeeが今年のブレークアウト・アプリのトップとなっている。2位も同じYY IncのNoizz、4位も同社のアプリでインドで人気が出たソーシャルゲームのプラットフォームのHagoだった。ブレークアウトの3位はByteDanceのHeloとなっている。Good Job Gamesのタイトルが1位から3位まで独占しているのが目を引く。

売上のブレークアウトにはYouTube、iQIYI、DAZN、Tencent Videoなどが入っている。顔ぶれは他のトップ10に近い。ゲーム分野ではハイパーカジュアル系タイトルがトップ10のうち7つを占めた。話題のリリース、任天堂のマリオカートツアーとActivisionのCall of Duty: Mobileもランクインしたが、やはり消費者の支出はハイパーカジュアルのようだ。

【Japan編集部追記】App Annieには日本におけるiOSアプリ、ゲームについてのリストも公表している。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

アドビがSensei AI利用の写真編集アプリ「Photoshop Camera」を発表

InstagramやSnapchatの普及で人々の写真との関わり方が大きく変化した。しばらく前まで写真を編集するには高価なソフト、ハードが必要でユーザーは写真家、デザイナーなどのプロやセミプロが主だった。ところが今では誰でもスマートフォンで写真を加工している。とはいえ、スマートフォンアプリに付属しているフィルターの機能は初歩的で、PhotoshopやLightroomを代替するものではない。あくまでスマートフォンでセルフィーを撮ってその場でちょっと明るさを補正して投稿するというような用途向けの「そこそこ」のプロダクトだった。

Adobe(アドビ)はこのことを認識しており、米国時間10月4日に米国ロサンゼルスで開幕したAdobe Maxで手を打ってきた。

それがPhotoshop Cameraだ。 これはAdobeのAI、Senseiを利用した写真編集のためのモバイルアプリでiOSとAndroidで利用できる。Photoshop Cameraを起動し、写真を撮影するかカメラロールから選択する。アプリはAIで内容を判断し多数の編集オプションを提供する。明るさや色などの基本的修正から複雑な背景から空を入れ替えるなどの高度な編集まで可能だ。

Photoshop Cameraは食べ物、人物、遠くの山並みなど被写体を認識し、最も適切と考えた「レンズ」(他のアプリでいうフィルター)を提示する。こうしたレンズも他の編集もすべて非破壊的だ。つまり元の画像を変更しないのでどんな状態からでもオリジナルにロールバックすることができる。

こうしたAI活用が可能になったのはAdobeが長年蓄積した何億枚にもおよぶ膨大な写真データによるものだという。おそらくいちばん重要なのはAdobeが写真をAの状態からBの状態に変えるためにどのような編集処理を行えばいいか判断できるという点だろう。

私は先週、アドビを取材し、アプリが実際に動作することを見ることができた。短いデモではこのアプリの能力をフルに紹介するのは難しかったと思うが、私は強い印象を受けた。アプリはごく普通の風景写真を処理してネイチャー雑誌のカバーフォトのように仕上げた。また料理の写真を見るなり1秒もかけずに「どの部分が料理か」を認識し、その部分だけを処理してシズル感を高めた。

アドビの担当者によれば、こうしたフィルター処理が可能になったのはBilly Eilish(ビリー・アイリッシュ)氏のようなフォトグラーやデザイナーと緊密に協力してきたからだという。このときアドビのCTOであるAbhay Parasnis(アブヘイ・パラスニス)氏は「地域、時期限定のカスタムレンズというのも面白いかもしれない」 と語った。つまりあるコンサート会場に行ったユーザーだけに提供されるレンズといったものだ。

このPhotoshop Cameraをすぐに使いたいユーザーはアドビに登録してプレビューモードへの招待を受ける必要がある。一般公開は2020年に入ってからとなるらしい。登録はこちらから

【Japan編集部追記】 日本からも上記リンクで申し込みは可能だがアプリのダウンロードができるようになるまでにはしばらく待つことになる。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

モバイルアプリ自動テストサービスのHeadSpinがサービスを開始

モバイルアプリケーションのテストサービスを行なうHeadSpinが、本日(米国時間11月27日)登場した。モバイルアプリケーション開発における品質保証に対する、ワンストップソリューションを提供する。

同社の共同創業者で最高経営責任者のManish Lachwaniは、他の誰よりもモバイルアプリの世界をよく知っている人物だ。Lachwaniは、かつてAppurify(Googleが買収)の共同創業者兼CTOを務め、ゲーム開発会社ZyngaのCTOを務め、Amazon Kindleのプリンシパルアーキテクトも務め、最初のKindle OSを開発した経験を持つ。

Appurifyでは、Lachwaniは、実際のデバイスを使う自動テストを、ホスト側のソフトウェアを利用して行っていた。その後会社がGoogleに買収されることで、Googleの社内テスト体制が整い、開発者たちはより速くより問題の少ない形で作業を進めることができるようになったと同社はコメントしている。

「これまで、自動化された実世界テストを、リリース前に開発者たちに可能にしたものはありませんでした。全ての注意はリリース後のモニタリングとテストに注がれていたのです。さらに、これまでのテストおよびパフォーマンス管理ソリューションは、開発者たちに、世界中の複雑なユーザーエクスペリエンスを提供することはありませんでした」とLachwaniは語る。「その結果、開発者たちはパフォーマンスやユーザーエクスペリエンスの課題を先取りできていなかったのです」。

HeadSpinは既に、Tinder、DocuSign、Akamai、Telstra、そしてDellといった企業で使用されている。同社のソフトウェアは、アプリケーションのリリース前後に、アプリケーション開発に対するモニタリングを提供すると同社は述べている。

同社は実際のネットワーク内でデバイス上のコードをモニターしている。 SDKを使用しないため、アプリケーションのコードベースを拡張することはない。

「他のソリューションとは異なり、HeadSpinのデータ駆動プラットフォームは、学習を通じて『隠された洞察』を積極的に明らかにすることができます。これによって、リリース前にアプリの問題を修正することができ、テストや測定に信頼性と再現性を持たせることができます」と、TinderのCTO、Maria Zhangは述べている。

[原文へ]
(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: AUDIOUNDWERBUNG/GETTY IMAGES

釣果記録アプリのANGLERSが500 Startups Japanなどから数千万円規模の資金調達

sample1

釣りの成果を記録できるアプリを展開する日本のアングラーズは今日、500 Startups Japan、IGNIS LTD、個人投資家から資金調達したことを発表した。調達額は「数千万円台の中間」だという。今回の調達は、500 Startups Japanが今年4月に発表したJ-KISSの新株予約権方式により実施される。また、同社は2015年12月に元クックパッドCOOの山岸延好氏からエンジェル資金を調達しており、今回が同社にとって2回目の外部調達となる。同社は今回利用した資金を利用して、モバイルアプリに続くWebプラットフォームなどの開発を進めていく予定だ。

写真を撮って仲間と釣果を共有

同社が展開するアプリ「ANGLERS」は、釣りの成果の記録と共有ができるアプリだ。釣りの世界では、釣った魚の種類やサイズなどの成果を「釣果(ちょうか)」と呼ぶ。ANGLERSでは、釣った魚の写真を取ってサイズを入力すれば、位置情報、気象情報、その場所の水位などが自動で記録される仕組みになっている。ユーザーは釣果を記録して自分で楽しむだけではなく、それを釣り友達との間で共有して楽しむことができる。しかし、釣果が共有されるのは限られた範囲のみだ。

img_3590

「釣りの世界では基本的に、リアルな釣り仲間以外には釣果を人に教えたくないというのが一般的。よく釣れる場所などを公表してしまうと、その場所に人が集まるようになり、結局その場所で釣れなくなってしまう」と語るのは、自身も大の釣り好きであるCOOの藤井紀生氏だ。そのため、同アプリでは釣果の公開範囲が招待コードで友達登録済みの仲間内のみに限られていることが特徴の1つとなっている。しかし、ANGLERSが提供するのはこのような半クローズドな世界だけではない。

ANGLERSでは、アプリで参加できる釣り大会を定期的に開催している。期間内にアプリを通して釣果を記録し、その記録を全国のANGLERSユーザーと競い合うことができるのだ。優秀な成績を収めれば協賛企業から提供された賞品を手に入れることも可能だ。今年は合計で22大会を開催しており、直近の大会での参加ユーザー数は約1000人だったという。

このような取り組みの他にも、アプリには釣りの分析機能も備わっている。「現状で提供できるのは釣った魚の種類や平均サイズくらい」だが、将来的には、水位などの環境データと釣れる魚の種類などの相関関係を提供していく。「釣り業界は感覚的なところが大きい。偉い人が話した言葉が根拠もなく神格化されてしまう。ANGLERSでは、データを根拠にした分析を提供していきたい」と藤井氏は語る。分析に必要なデータは1魚種あたり10万件程度だ。データの量だけで考えれば、魚種によっては現状でも分析機能を提供できる状態ではあるが、機能を実装するまでのタイムラインはまだ未定だという。

釣果登録数28万件、ユーザーは11万人突破

現在、同アプリを通して記録された釣果の数は28万件、ユーザー数は11万人となっている。2013年7月のリリース以降、この数字は順調に成長中だ。藤井氏が競合として名前を挙げたのは、同じく釣果記録アプリのFishBrainだ。同アプリは去年の7月にリクルートが出資したことでも話題になった。「他社では150万人ユーザーがいて、釣果件数は70万件くらい。つまり、ユーザー1人あたりの釣果登録件数は約0.5件ということになる。それを考えると、ユーザー数に対する釣果登録率(ANGLERSの場合は2倍以上)で考えれば他社にも引けを取らないのではないかと考えている」と彼は話す。

1480466044

同社によれば、日本の釣り人口は700万人から800万人程度。そして、その約半数を占めるのがルアーフィッシングで、ANGLERSがフォーカスするのもこの分野だ。実際、これまでに登録されている釣果の60%がルアーフィッシングの一種である「ブラックバス釣り」の釣果だと言うことだ。ルアーフィッシングは釣りの中でも比較的若い層に人気があり、ANGLERSユーザーの年齢層も35歳から45歳とのこと。釣りと言うと年齢層が高いイメージがあったので、その層をモバイルアプリでどれだけ取り込めるのかと思っていたが、この程度の年齢層であれば問題なさそうだ。

釣果のC2C取引、Webプラットフォーム、フォロー機能などを追加していく

今後のマネタイズの方向性について聞くと、「広告モデルはもちろん、釣果の個人間取引サービスなどを考えている。釣りは何時間もかけて行くものなので、きちんと整理された釣果データには需要があるはずだ」と藤井氏は話す。釣りブログなどを見れば、どこで、どの魚が釣れたという情報を断片的に手に入れることはできるだろう。しかし、アプリによって自動的に整理され、かつデータに裏付けされた釣果には価値が生まれる可能性もある。藤井氏は想定される釣果の単価について、「この辺りが釣れるというような、低いレベルの情報であれば50円から100円だが、ピンポイントかつデータの裏付けのある釣果であれば、一件あたり1000円程度も考えられるのではないか」と話す。

xtcbhwj8

株式会社アングラーズCEOの若槻嘉亮氏

株式会社アングラーズの創業は2012年10月だが、当時の企業名は「株式会社FIXA」だった。全員が34歳という創業メンバー3人の「モバイルアプリで起業したい」という想いで設立されたFIXAだが、創業後は2週間に1つのペースでプロトタイプを製作するなど、当初はなかなか方針が定まらなかった。「ジェネリック医薬品などに関するアプリも作ってみたりもしたが、それらのプロトタイプは、僕らが「あったらいいな」と思うレベルのものばかりだった。最後までやり切るためには、創業メンバーが熱をもつ「釣り」という分野で勝負することが重要だと考え、社名もアングラーズに変更し、釣果アプリのANGLERS一本で行くことにした」と藤井氏、そしてCEOの若槻嘉亮氏は話す。その後も、開発費用を捻出するために受託開発を行うなど紆余曲折を経験してきたアングラーズ。その後やっとの思いで熱中できるプロダクトを見つけた同社は、今回調達した資金を利用してANGLERSを単なるモバイルアプリから、もう1つ先の段階へと進化させる。

具体的には、モバイルアプリでインプットした情報の一部を、外部に公開するためのWebプラットフォームだ。冒頭で釣り人は釣果を公開したがらないと述べたが、藤井氏は「ここまでなら公開してもいいと思うようなラインがある。それをWebで公開できるような仕組みを作ることで、アプリを持ってない人でも釣果を見れるような場所を提供したい」と話している。それに加え、Webプラットフォーム上で釣具の比較ができる機能なども実装していくという。

このWebプラットフォームに先がけ、アングラーズは今月初旬にも新バージョンのモバイルアプリをリリースする。その新バージョンでは、それぞれのユーザーがプロフィールページを持つことができ、そこで好きな釣りの種類などをアピールすることが可能になる。また、Twitterのようなフォロー機能も実装される予定だ。

釣り好きの、釣り好きによる、釣り好きのためのアプリANGLERSは、iOSAndroidで利用可能だ。