電動スクーターの歩道走行といった危険運転を自動で禁じるテクノロジーをSuperpedestrianがまもなく実装

電動スクーターシェアリングのSuperpedestrian(スーパーペデストリアン)が、「Pedestrian Defense」(「歩行者を守る」の意)という安全システムを大規模に導入する準備を進めている。このシステムは、歩道走行や一方通行を逆方向に走っているといった危険な走行を電動スクーターがリアルタイムで検知し、修正できるようにするものだ。SuperpedestrianはPedestrian Defenseを装備した新しいスクーターを開発し、2022年中に米国とヨーロッパの25都市に展開することを目指している。同社によれば、春の早い時期までに米国と英国の歩行者の多い都市に最初に導入するとしている。

Superpedestrianは2021年7月に、精密なGPS位置情報を使ってマイクロモビリティ事業者が車両の位置を特定しリアルタイムで動きを修正するスタートアップのNavmatic(ナヴマティック)を買収した。その買収以降、Superpedestrianがこの新しいテクノロジーを市場に展開するのは、この計画が初となる。買収によりSuperpedestrianはNavmaticのソフトウェアを自社の安全システムであるVehicle Intelligence(「車両インテリジェンス」の意)に統合することができた。Vehicle Intelligenceは、危険運転の多くを制御して安全を守る機能を提供するためにAI、センサー、マイクロプロセッサを組み合わせたシステムで、危険運転の中には都市で最も嫌われる乗り方が含まれている。それは歩道の走行だ。

Superpedestrianの公共担当シニアディレクターのPaul White(ポール・ホワイト)氏はTechCrunchに対し「ニューヨークやシカゴと違ってもともと歩行者が多くない都市であっても、今は誰もが歩行者の優位性を理解しています。そのため、都市では歩道の走行をまったく認めないゼロ・トレランスのアプローチが望まれています。スクーターが歩道にあることが比較的確実にわかるというだけでは不十分です。我々はスクーターが常に適切な場所に存在するように介入し、制御したいのです」と述べた。

ホワイト氏によれば、Superpedestrianが新しい安全システムを導入する都市の多くはすでにパートナーになっているところだが、同社が獲得した、または獲得する予定の新たなパートナーもある。都市が提案を受ける際に、路上の歩行者を守るテクノロジーを実装するように企業に対して求める動きが始まっている。ホワイト氏は、例えばSuperpedestrianが現在獲得を目指しているサンディエゴとシカゴは制限が厳しくて事業者が少なく、両都市とも歩道走行禁止機能を重要な安全基準にしていると説明する。

SuperpedestrianはシリーズCで株式と債券によって1億2500万ドル(約143億2500万円)を調達しており、この資金で現在の車両の更新と新たな市場への拡大を実現する。このラウンドではJefferies、Antara Capital、Sony Innovation Fund by IGV(ソニーイノベーションファンド)、FM Capitalの他、これまでに支援してきたSpark Capital、General Catalyst、Citi(Citi Impact Fundを通じて)も投資した。Superpedestrianは債券の条件も、どの投資家が株式または債券に投資したかも明らかにしていない。

Superpedestrianは2020年12月に6000万ドル(約68億7600万円)を調達した。シリーズCはそれ以来の調達で、同社にとってこれまでで最大のラウンドだ。今回の資金は、Vehicle Intelligenceソフトウェアスタックの幅広い応用に関する研究開発にも使われる。ホワイト氏によれば、このソフトウェアスタックには小型の配達車両を運営するような輸送関連企業から関心が寄せられているという。

ホワイト氏は次のように述べた。「この機能は実際に都市と連携するスクーター事業を運営する上で極めて関心が高いというだけでなく、歩行者が多く密集している環境で運用されるあらゆる小型車両に関係するものです。歩行者の多い環境で人間のスケールに合わせたきめ細かい制御をすれば、歩行者のエクスペリエンスが損なわれることはありません。私は、このことが今回のラウンドで多くの参加と関心を集めたもう1つの理由であると考えています。このテクノロジーは我々のコアであるスクーター事業に寄与しますが、それだけではなく、同様の課題に取り組んでいる、あるいは自転車用レーンをふさいだり貴重な歩行者用スペースに侵入したりしないようにしたいというあらゆる小型車両にも関連するものだからです」。

関連記事:AIで電動キックスクーターを安全性をリアルタイムでモニターするSuperpedestrianが米国内で事業拡大

画像クレジット:Superpedestrian

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

Cruise、サンフランシスコの公道で自動運転タクシーの一般乗車開始へ

GMの子会社で自動運転技術を手がけるCruise(クルーズ)は、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)から13億5000万ドル(約1546億円)の新たな投資を受け、商用化に向けてさらなる一歩を踏み出す。同社は米国時間2月1日、無人運転のロボタクシーサービスを、サンフランシスコの公道で一般向けに公開すると発表した。

ソフトバンクは以前、Cruiseが商業的に展開する準備を整えた時点で、当初の9億ドル(約103億円)に加えて13億5000万ドルを追加投資すると約束していた。

Cruiseは公式ウェブサイトを通じて一般からの乗車申し込みを受け付けている。今のところ、乗車料金は無料だ。同社は2月1日のブログ記事で、予約申し込みに参加した一般の人々は、サービスを利用する前に秘密保持契約に署名する必要はないと述べている。同社の広報担当者によると、1月27日に乗車を終えた友人や家族の少人数グループがいたが、彼らは今朝まで秘密保持契約の下にあったという。

Cruiseの広報担当者によると、無人運転サービスは当初、午後11時から午前5時までとなっているという。夜間の運転は、最もインパクトを与えられる場所から始めて、そこから計画的に拡大していくという戦略の一環であるとのことだ。Cruiseは「Chevy Bolt (シボレー・ボルト)」の自動運転車をサンフランシスコ市内で走らせてテストする。ただし、この無人運転サービスは、ヘイト・アシュベリー、リッチモンド地区、チャイナタウン、パシフィック・ハイツ地区内の特定の地域や道路に限定される。

Cruiseは、人間のドライバーが運転しない車両の運行および課金に必要な許可をほぼすべて取得している。カリフォルニア州自動車局からは、運転手付き車両と運転手なしの車両をテストおよび運用するために必要な3つの許可を取得しており、そのうちの1つは一般人の乗車を許可するものだ。同社はカリフォルニア州公益事業委員会に、乗車料金を請求するための許可証も申請しているが、こちらの許可はまだ取得できていない。

画像クレジット:Screenshot

この数週間、Cruiseの従業員が、安全のための人間の運転手が乗車していない無人運転車に乗っている様子を撮影した動画を投稿している。GMの会長兼CEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、最近になって乗車した。

同社では、社員が一般の人を指名できるようにしており、すでに何人かの人が乗車しているという。Cruiseはこのプログラムを「Cruise Rider Community(クルーズ・ライダー・コミュニティ)」プログラムと名付けている。社員から指名された人や、乗車予約を申し込んだ人は、最初の一般乗客となるパイプラインに組み込まれるという。

Cruiseは、Dan Ammann(ダン・アマン)CEOの突然の退任を受けて、このサービスの一般公開に踏み切った。同社の共同設立者であるKyle Vogt(カイル・ヴォクト)氏が、現在はCTOと同時に暫定CEOを務めている。

画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Waymo、一部の自動運転車技術データをさらに22日間秘匿可能に

米国時間1月31日、Waymoは自動運転車の運用に関する一部の詳細データを一般に公表しないでもよい件に関して、小さな勝訴を勝ち取った。

Alphabet傘下の同社は先に、カリフォルニア州自動車局に対して、その自動運転車の展開許可証からの情報の一部を非公開とし、また、自動車局と同社との間のメールも、名称など非公開のサードパーティーから公開リクエストがあった部分を非公開にできるよう、訴訟を起こしていた。1月31日に判事はWaymoに対して、同社は一時的制限命令を発行して、非公開とされた情報をさらにあと22日間、非公表にしてもよいことになった。

これを恒久的な差し止めとしてWaymo側を安心させるか否かに関しては、2月22日に別のヒアリングが行われる。そのヒアリングでは、一部の情報が公開記録から永久かつ継続的に取り除かれていても良いか否かを検討する。

Waymoなどの自動運転車の開発者は、カリフォルニアでテストし展開するかぎり、州自動車局から一連の許可証を獲得しなければならない。カリフォルニア州の許可証を申請するために企業は、その安全対策と技術と、自動車局が通常求めるその他の情報を提出する必要がある。

Waymoの許可証に向けて記録公開リクエストがあると、自動車局は同社を招いて、企業秘密の部分を尋ねる。Waymoが、自動車局が尋ねた質問までも含めて企業秘密部分を指定すると、自動車局はそれら重要部分がブロックされたパッケージをサードパーティに送る。情報要求者がその黒塗りに抗議すると、自動車局はWaymoに、Waymoが消去部分のない公表を禁じる差し止め命令を要求しない限り、情報をリリースしなければならないと告げる。Waymoによると、自動車局は同社にアドバイスして、一時的な禁止令(一時的制限命令)を申請するよう勧めた。

今回のヒアリングで自動車局は、一時的な禁止令の申請に反対しなかったという。この件における自動車局のやや受け身の役割は、同局がどちらか一方の側にはつかない、というサインであり、最終決定を法廷に委ねている。

Waymoが守りたい(一般公開したくない)詳細は、自動運転車が何らかの状況を見つけても走行を続ける場合のやり方であり、人間ドライバーに任せるべきと判断するのはどんなときか、いつAV車隊のサポートを提供するのか、制御不能や衝突のインシデントにどう対応するのか、といった情報だ。同社は、サクラメントの州最高裁にこれらの件の訴訟を提出している。

同社の主張では、情報の公開はWaymoやAV技術への投資者にとって有害であるだけでなく「業界全体に水をさす」という。

訴状によると「AVのカリフォルニア州における展開に利害を有する市場参加者は、企業秘密の開示履歴が明らかとなれば、この技術を開発する貴重な時間とリソースへの投資に向かう積極性を失うだろう」という。

また他社も、どれだけの情報を自動車局と共有すべきかに関して引っ込み思案になってしまい、民間部門と行政との間の透明な対話よりも、業界は規制の精神の理解ではなく、規制を表面的に遵守するだけの態度を選ぶだろう。これによって、もしも自動車局がAVの規制を作って実施するために必要な全面的な展望を持っていなければ、技術の安全性が脅かされるだろう。これが、訴状でのWaymoの主張だ。

さらに他方では、Aptivが買収したnuTonomyの前法務部長で、ニューヨークにあるイェシーバー大学のカードーゾ・ロースクールの法学教授Matthew Wansley(マシュー・ワンズリー)氏は以前TechCrunchに、Waymoが隠したい情報のすべてが企業秘密といえるか、それは疑問だが、その隠された部分を実際に見ないかぎりは真相は分からないという。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラ、一時停止の標識を通過させる「完全自動運転」機能をリコール

Tesla(テスラ)は「Full Self-Driving(FSD、完全自動運転)」ベータ版に含まれていた、クルマが一時停止の標識を通過することが可能になる機能をリコールするため、無線でのアップデートを行っているとABCニュースが報じた。この機能は、FSDベータ10.3において、いわゆる「アサーティブ(積極的)」プロファイルの追加により初めて登場した。ABCによるとこの機能は、四差路交差点の一時停止標識を最大5.6MPH(約9.0 km/h)の速度で違法に通過することを許可するという。

Teslaは、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の関係者との2回の会合を経て、リコールに合意したと報じられている。これは16-22年型のModel S(モデルS)およびModel X(モデルX)のEV、17-22年型のModel 3(モデル3)、20-22年型のModel Y(モデルY)を含む約5万4千台のTesla車に影響する。NHTSAはリコールレポートで「一時停止の標識で止まらないと、事故のリスクが高まる可能性がある」と記している。だがTeslaは、この機能が原因で発生した怪我や事故は関知していないと述べている。

テスラは以前、左折時の後退、ファントム前方衝突警報、オートステアリングのバグなど「いくつかの問題」を理由に、FSD10.3ソフトウェアを撤回して前バージョンに戻した。また、中国ではAutopilot(オートパイロット)の問題で30万台のリコールを余儀なくされ、その他の地域でもカメラやトランクの不具合サスペンションの分離などでリコールを実施している。

以前にも指摘したように「Full Self-Driving」という名称は一般的にはレベル4の自動運転を意味するが、Teslaのシステムはレベル2の高度運転支援(Advanced Driver Assistance)を提供しているに過ぎないため、誤解を招く恐れがある。停止線で止まらず徐行する「ローリングストップ」を無効にするOTAアップデートは、2月上旬までに送信される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:NurPhoto / Contributor

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】フツーのクルマを作ってください

最近のクルマは賢くあるべきところがフツーで、フツーであるべきところが賢い。勘弁して欲しい。ほとんどフツーのクルマを作って売ってみて欲しい。自動車メーカーが人々に与えているものはあまりにひどいので、消費者は余分に払ってでも少ししかついていないものを買うだろう。

最近のクルマは車輪付きの格安スマートフォンのようだ。ソフトが山ほどプレインストールされていて使いにくて動きが鈍い。自動車メーカーは常にユーザーインターフェースで苦労しているが、つい最近まで我々にとって最大の問題は「ツマミが多すぎる」ことだった。あの日々がなんと懐かしいことだろう!

タッチスクリーンと液晶のまん延によって、あらゆるクルマがカラオケルームのようになってしまった。アニメーションがブレーキで再生されたエネルギーを示し、スピードメーターは制限速度に近づくにつれて色を変え、ファンの速度や方向は3階層メニューの奥にある。機能を果たさないだけでない、このインターフェースは醜悪だ!UIの種類もレイアウトもアニメーションも「委員会がデザインして使う必要のない人に承認された」と叫んでいる。

もちろんプライバシーとセキュリティも心配だ。私が初めてクルマにGPSが付いているのを見たのは、20年ほど前、母親の古いRX300だった。「そうか、そうやって捕まえるのか」と私は思った。そして今、支払いが遅れたTesla(テスラ)は自分自身を拘束する。ようこそ、未来へ。あなたのクルマは潜入捜査官です。

輪をかけた屈辱は、これらの機能が大衆向けではなく、高級オプションとして売られていることだ。スクリーンはあまりに安いので、大量に買ってきて、どこにでも何にでもつけて、客には「次世代のモビリティーをお楽しみにください!」ということができる。しかし、実際にはこれはコスト削減対策であり、部品数を減らし、ダッシュボード開発チームはずっと楽をできる。その証拠に、ハイエンドモデルはノブとダイヤルに戻って「プレミアムなフィール」などと称している。

だから私が欲しいのは「フツーのクルマ」だ。私の考えるイメージを描いてみよう。

敢えてバカになれ

何よりもまず、スクリーンは一切いらない。これにはいくつか理由がある、実用的にも審美的にも。

実際のところ、この手のスクリーンがやることのほぼすべてを、すでにスマートフォンがやっている。ひどく時代遅れで、のろまで、メーカーブランド付きのSpotify(スポティファイ)やApple Music(アップルミュージック)のアプリなど必要ない。自分のスマホが完璧にこなしている。同様に、カーナビもスマホが完璧にやってくれる。いうまでもなく、すでにボイスコマンドも使える。

GPSやデータ(あるいは隠しマイクや隠しカメラ)がないことによって、あなたのクルマのプライバシーは当然高まる。それでもやつらはあなたのスマホにつながることはできるが、少なくとも、動きを追跡するためには昔のように車体の下にGPSパッケージをつける必要がある。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

メディア利用に関して言えば、AUX(補助)入力があればすべて事足りる。充電ケーブルも兼ねているし、他の新しいデバイスといつでも交換できる。ちょっとスマートなケーブル配線がなされていれば、スマホをコックピット周りの便利な場所にマウントできる。ただし、運転中に見たりタッチしろという意味ではない。Bluetoothが欲しいなら、ドングルを買えばよい。どうしても必要なものはボリュームつまみと、たぶん、ハンドルに付いた基本的な3ボタン再生コントロールくらいだろう。

大きなセンターLCDについているエアコン制御については2~3個ノブがあればいい。あの「ゾーン」なるものが実際機能すると思っている人は、いないよね?ゾーンが必要になるほど大きなクルマはない。青~赤のダイヤル、風力調整、エアコンと送風の切り替えがあれば十分だ。

計器クラスターには、普通の針式メーターがあればよい。スピード、燃料、オイル、水温、あとはチェックエンジン、タイヤ圧低下などいつものランプ群。

美的観点からいって、私はこれらのメーター類のデジタル・バージョンがいつも気に入らなかった。ドライバーは路上に集中すべきなのに、パネル内で常に変わり続ける鮮やかな情報表示には気を散らされる。メーターの針の目盛りの69と70の差は3mmほどで、67と68、68と69の差も同じだ。この連続的で予測可能な変化は直感的でありどんな運転目的にも十分な精度がある。デジタル表示の数字は大きくて瞬きがちで、71から69に変わる瞬間ドライバーの注目を引き続ける。2つの数値はまったく違って見えるので、視野の隅で確認するのは難しい。

シンプル、かつ安全に

メディア機能とカーナビをなくすことで、多くのコンピューティング能力を載せる必要はなくなるが、全部なくして欲しいわけではない。ここ数年、すべての新車に搭載することが義務付けられている安全機能がいくつか導入された、スマートなものもそうでないものも。トラクションコントロール(タイヤの滑りを制御する)やブラインドスポットモニター(後側方警戒支援)、車線逸脱警報、さらには自動緊急ブレーキ装置にもある程度のCPU能力が必要であり、使用されるべきだ。命を救うのだから。バックカメラは多くの人たちが手放したくないものの1つだろうが、基本的な近接センサーがどれほど役に立つかを知ったら驚くだろう。

エンジン自体も昔よりはるかにコンピュータ化されている。ただし室内のコンピュータ化とは異なり、これにはプラス効果がたくさんある。燃費改善、排ガス減少、信頼性向上、保守のための診断の簡易化などだ。安全で敏感なペダルとハンドルに必要なエレクトロニクスの正確なレベルが何かは議論のあるところだろうが、そこは専門家に委ねる。

実は、ウィンドウとドアロックのマニュアル式も提案する誘惑にもかられたのだが、それはわざとらしたの一線を越えそうだ(すでに大きく踏み出しているかもしれないが)。我々はビンテージカーを作ろうとしているのではない。過剰なテクノロジーを廃した現代のクルマを作りたいだけだ。ちなみにパワーシート位置調整は、今でも贅沢品だ。レバーを使おう。

私が提案したものはガゾリン車に限らないで念の為。電気自動車もまったく同じく悪い方向に走っている。これはノスタルジアではなく、有害なのに広く受け入れられているデザイン哲学を捨てようと言っている(わかった、多少のノスタルジアはある、でもほんの少しだけだ)。

もちろん、私の提案はシンプルさを謳っているにも関わらず、おそらく一種の高級車の類に行き着くだろう、つまりコストの最小化を目指しているわけではない。事実上現存するすべてのクルマは「最新」テクノロジーで設計されており、それは既存の金型や組み立て作業、品質管理などからの大がかりな離別を意味している。加えて、私はこのコンセプトが多くの人々を引きつけると思っているが、そんなに売れるものではない。ニッチなクルマであることに間違いはなく、価格はそれを反映したものになるだろう。

それでも、私が欲しいのは、すでに所有している他のデバイスのように通知を送ってきたり、ベルを鳴らしたり、エラーを報告してきたり、私に許可を求めたり、アップデートが必要になったりするような高圧的なところのないクルマだ。偽りの「昔はよかった」議論はおくとして、今の一連の機能にはとにかく大した意味がなく、もちろんそのでしゃばり方や質の悪さは正当化しようがない。ドライバーが運転するための、そしてみんながポケットに入れて持ち歩いているスーパーコンピューターを置き換えようするのではなく、必要なものを提供することに焦点を当てたクルマを作ることが、いったいどんなものなのか考えてみよう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

サンフランシスコ湾上での「空飛ぶタクシー」飛行テストをJoby Aviationが計画

Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)が、注目を集める「空飛ぶタクシー」の連続飛行をサンフランシスコ湾上で行う許可を求めていることが、FCC(米国連邦通信委員会)に提出された書類からわかった。

このスタートアップ企業が開発した「S4」と呼ばれる第2世代の試作機にとって、これが初めて衆人環視の中、都市環境で行う飛行テストとなる。

サンフランシスコで計画されているテストは、サンフランシスコ湾の2つの主要な観光スポットを中心に行われる。1つはゴールデンゲートブリッジとアルカトラズ島の中間地点、もう1つはベイブリッジの南側、アラメダに近い地点だ。

Jobyのマーケティングコミュニケーションブランド部門で責任者を務めるOliver Walker-Jones(オリバー・ウォーカー・ジョーンズ)氏は「私たちは現在、限られた回数のフライトを行う可能性を検討している初期段階にあります」と述べている。「確定した計画はまだなく、飛行許可を確実に得るためには、地方自治体や連邦政府のさまざまな機関と協力する必要があります。とはいえ、これは非常にエキサイティングなことです」。

Jobyは2021年、電動垂直離着陸機(eVTOL)による数々の記録を打ち立てた。最長飛行距離155マイル(約250キロメートル)、最高時速205マイル(約330キロメートル)、さらに最高度記録も更新したと、同社はTechCrunchに述べている。

「私たちは最近、海抜高度7000フィート(約2.1キロメートル)を超えるフライトを何度か行いました」と、ウォーカー・ジョーンズ氏は語る。これらの飛行はすべて、カリフォルニア州サンタクルーズ周辺の人里離れた沿岸部や私有地の上で行われた。今度の湾上飛行は、これらの記録に続くマイルストーンとなる。

最近の記録的なフライトと同様に、完全電動マルチプロペラ式で5名乗車可能なS4は、人を乗せずに今度のテストを行う予定だ。FCC、FAA(米国連邦航空局)、および市当局の許可が必要となるこのテストは、近くの地上コントロールステーションから遠隔操作で行われる。

Jobyが提出した申請書によると、飛行時間は通常1時間で、主に水上を飛行し、最大高度は海抜5000フィート(約1.5キロメートル)となる予定だという。この翼幅約40フィート(約12.2メートル)、重量4400ポンド(約2000キログラム)の航空機が、どこで離陸、着陸、充電を行うかは明らかにされていないが、それは地上で行うことになるだろうと、ウォーカー・ジョーンズ氏はTechCrunchに語った。

Volocopter(ボロコプター)はシンガポールの水上で、eHang(イーハン)は南アジアの都市の上空で、それぞれeVTOLのデモンストレーション飛行を行っているが、Jobyの飛行が承認されれば、米国の都市では初の本格的なエアタクシーの飛行となる。

今回のテスト飛行は、実物大の航空機を遠隔操作するために使う無線機器の評価が目的とされている。「飛行試験は、Jobyが開発中の新しい航空機技術が、FAAの飛行認証を取得するための継続的な取り組みに不可欠で必要な要素である」と、FCCの申請書には書かれている。

2021年夏にSPAC(特別買収目的会社)による11億ドル(約1270億円)の株式を公開を行ったものの、それから株価が50%も下落した同社にとって、このドラマチックな公開テストはメディアに大きく取り上げられることが期待できる。

「無線機のテストが、この地域で行う実証飛行の目的です」と、ウォーカー・ジョーンズ氏はいう。「もちろん、将来的にはポジティブなメリットもあります。都市部で技術を実証すれば、最終的に運用することになる場所に、これがどのように適合するかを、人々に見て理解してもらえますから」。

今回のテストは、最先端のeVTOL機を「戦略的能力ポートフォリオ」に加えたいと考えている米空軍との複数年にわたる4500万ドル(約52億円)の契約の一環でもある。

現在、Jobyが所有する2機のS4量産前試作機が、FAAと米空軍から実験的運用の認定を受けている。

2021年4月にFAAに提出された書類によると、2019年10月から飛行している最初の量産前試作機は、562回のテスト飛行を終え、約27時間の飛行時間(平均飛行時間が3分未満という意味になる)を記録しており、時速80マイル(約時速129キロメートル)を超える速度や1000フィート(約305メートル)以上の高さでは飛行していない。

ウォーカー・ジョーンズ氏によると、Jobyは航空機の可能性を徐々に追求する「限界範囲拡大活動」の一環として、これらの過去の記録を塗り替えているという。同社は先日、S4が公称最高速度の時速200マイル(約時速322キロメートル)をわずかに超え、時速205マイル(約330キロメートル)のテスト飛行を行ったと発表している。ウォーカー・ジョーンズ氏によると、試作機はこの1月だけで20分以上のミッションを17回行ったという。高度7000フィートの記録が確認されれば、一般的にエアタクシーが都市内や都市間における短距離飛行の運用で期待される高度を、はるかに上回ることになる。

Jobyが2021年4月にFAAに提出した書類によると、同社は今後2年間で最大4機のS4試作機を製作し、最大600回のテスト飛行を行うことが予定されている。その後、商業運航のために必要なFAAの型式認証要件を満たす最終設計に移行する。

Jobyは2022年中に航空会社としての認定を受け、2024年には旅客輸送サービスを開始する予定だ。この時点では、資格を持ったパイロットが搭乗することになる。同社は2021年、都市不動産会社であるReef Technology(リーフ・テクノロジー)と契約を結び、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、サンフランシスコ・ベイエリアの都市部にある駐車場の屋上に離着陸場を開発することになった。

関連記事:Joby Aviationが空飛ぶタクシー乗降場所として立体駐車場に注目

2021年9月には、NASAがJoby S4の離陸・飛行・着陸時の音響テストを行っている

SECに提出した書類によると、同社の航空機は従来のヘリコプターの100倍以上の静粛性を備え「都市の背景の騒音に溶け込みながら、密集した都市部を中心に運用できる」ことが期待されるという。NASAとJobyにTechCrunchが尋ねたところ、音響テストの結果はまだ公開されていないとのこと。

2021年1月、Jobyは配車サービス大手のUber(ウーバー)による7500万ドル(約86億4000万円)の投資の一環として、Uberの航空輸送事業であるUber Elevate(ウーバー・エレベート)を買収した。Jobyは11月のSEC提出書類で、Elevateの資産をわずか2000万ドル(約23億円)と評価しており、その価値のほとんどは自動化、マルチモーダル、シミュレーションのソフトウェアによるものと表していた。

サンフランシスコで行う飛行テストについて、JobyのFCC申請はまだ保留されている。

画像クレジット:Joby Aviation

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(文:Mark Harris、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ボルボが車両のデジタル化が進む今後も「高い安全性」というイメージを維持する方法

現代の自動車において、安全性とはもはや単なるエンジニアリングの課題ではない。センサーやソフトウェアに依存し、ドライバーにとって明確で直感的なユーザーエクスペリエンスが鍵となる、テクノロジーとデザインへの挑戦なのである。

安全性の代名詞ともいえるVolvo(ボルボ)は、どのようにして核となるメッセージを失うことなく、彼らが革新的かつ先進的な考えを持ち、明敏な企業であることを顧客に伝えられるのだろうか。この新世界の目まぐるしい変化についていけなければ、最も高い安全性を象徴する自動車メーカーとしての評判を落とすことになりかねない。

Volvoがどのようにして、機敏かつ革新的でありながらも安全な会社であるというスイートスポットに到達しようとしているのか、そのヒントは伝統的なIPOの道を歩んでいる同社の株式公開へのアプローチや将来の自動車計画に見出すことができる。対照的に、スピンオフした兄弟企業のPolestar(ポールスター)は、ブランクチェックカンパニーとの合併により上場し、テクノロジーとデザインにおけるリーダーとしての地位を確立しようとしている。

Polestarのアプローチは、意図せずしてVolvoが安全性においてより慎重なリーダーであることを際立たせることになる。またVolvoは、Polestarのモデルで実証された最新の革新技術を利用しながら、差別化していくこともできるのである。

VolvoのUX部門の責任者であるThomas Stovicek(トーマス・ストヴィチェク)氏は次のように話している。「今私たちが目にしているのは、少し前にモバイル業界で起こったような業界の変革で、新しい機能や可能性、新しいセンサーなどが常に誕生している非常に興味深い分野だと思います。同時に、ユーザーにとっては複雑にもなりかねません。そのためユーザーエクスペリエンスの話をするときには、お客様にとっての使いやすさや、自動車という環境に置いたときの問題点を理解することについて話すことが多くなっています」。

しかしいくら安全性の先駆者とされるブランドでも、問題を完璧に避けることはできない。現代の自動車の安全性は、車体だけでなくシステムを運用するために必要な膨大なデータにまで及んでいる。Volvoは米国時間2021年12月10日、セキュリティ侵害により研究開発データの一部が盗まれたことを発表した。同社は「現在判明している限りの情報では、顧客の自動車の安全性やセキュリティ、あるいは個人データに影響を与えることはありません」と安全性への懸念に対してすばやく声明を出している。

関連記事:ボルボ、セキュリティ侵害で研究開発データの一部が盗まれる

オラフ vs エルサ

Polestarは企業アイデンティティを定義するにあたり、Volvoとは異なる方向性を示している。Volvoが「安全性と自律性を重視」しているのに対し、Polestarは「技術と性能を重視」している。またVolvoは「安全と責任」を掲げているが、Polestarは「持続可能で進歩的」を謳っている。

Polestarはクールでミニマルだが、 Volvoは暖かくて安心感のあるブランケットのようだ。「アナと雪の女王」で例えるならば、Volvoはオラフのような心地良い魅力を放ち、Polestarは氷の女王エルサである。

Volvoは姉妹ブランドであるPolestarの進化とは逆に、慎重に戦略を進めている。

例えば、VolvoはGoogle(グーグル)と共同でAndroid AutomotiveのOS開発に携わったにもかかわらず、Polestarブランドが先にこれを導入し「Polestar、Volvoには不可能な方法による電気自動車制作を目指す」などという見出しがつけれらている。

新参者であるPolestarは、 Volvoの年間販売台数が50万台であるのに対し1万台程度とまだ比較的小規模であり、その名を知らしめようと機会を模索している最中だ。

Polestarの広報担当者はメールで次のように伝えている。「Polestarはより大きなグループにおける技術リーダーであり、今後もそうあり続けるでしょう。すでに市場に投入されているGoogleのインフォテイメントシステムがその良い例です。Polestar 2が最初にデビューさせ、VolvoはXC40 Recharge、そして今回のXC60でそれに続きました。今後数年の新技術の展開に伴い、Polestarが先駆けてVolvoがそれに続くという形がますます増えていくと思います」。

画像クレジット:Kirsten Korosec

負荷を軽減

Polestarの先進的なメッセージとは対照的に、顧客向けの技術に関してVolvoは車内での体験を「Less is More」の考え方にシフトしている。そしてそのシステムも、Android Automotive OSの登場によって支えられている。

Volvoはこのシステムによってドライバーの認知的負荷を軽減させたいと考えており、人によってどのように情報が変化するかを理解するために、研究チームに行動心理学者を採用しているという。

「高いレベルでの原則として、当社は複雑さを単純化してからユーザーに提供しようとしているのだと思います」とストヴィチェク氏は話す。「まだまだできることはたくさんあります。私たちは衝突事故ゼロを目指していますし、今後プラットフォームに搭載される新機能を使えば、おもしろいことがたくさんできると思います」。

つまり、ドライバーに緊急事態を警告するために使用する場合を除き、鳴動音やブザー音、気が散るような通知は極力減らされるということだ。Volvoの広報担当者は「機能を隠すというのが目的なのではなく、ユーザーエクスペリエンスをシンプルにし、ドライバーの気を散らさないようにするというのが目的です」と伝えている。

「当社は、テクノロジーではなく、使う人を中心に設計、開発しており、可能な限り直感的なユーザーエクスペリエンスを実現できるよう追求しています」。

ここ数年、自動車にスクリーンが搭載されるようになって以来、自動車メーカーはインフォテインメントシステムにありとあらゆるものを投入するようになった。VolvoはXC90を発表した際、いち早く旧式のSensus OSを採用してスクリーンを標準装備している。現在も同社は、ドライバーに提示する情報をさらに厳選するために取り組んでいる他、NVIDIAに依頼して、グラフィック処理を必要とする入力ライダーセンサー、レーダー、カメラの匿名化された安全データを収集し、理解を深めようと試みている。

 完全電気自動車であるVolvo XC40に新しいインフォテイメントシステムを導入

最近Volvo XC60に乗ってみて私が気づいたのは、インフォテイメント画面が先代よりもシンプルで明るくなったということである。また、ワイヤレス充電システムはなかなか作動せず、設定画面を開かなければならなかった。目の前の画面での選択肢の少なさは、ここ10年で出た新型車に対するアンチテーゼとも言える。

Volvoは何十年もの間、道路上で最も安全な車という評判を守り続けてきた。同社がその安全性を主張できるのは、同社の画期的な研究開発によって得られた評価のおかげである。

1959年にはシートベルトが導入され、1972年には後ろ向きのチャイルドシート、1978年にはブースターシートが導入された。1994年には側面衝突防止装置が導入され、また2008年には衝突回避機能、そして歩行者保護機能が導入された。その年、Volvoは「当社の車の中では1人も重傷者を出さない」という目標を掲げている。2021年には米国道路交通安全局の新車評価プログラムにおいてVolvoの11車種が最高の安全性評価を受けた。

ハンズフリー

自動車メーカーたちは今、スマートフォンという運転上最も安全でないものを使って車載システムをコントロールしたがる顧客の欲求に直面している。しかしVolvoはスマートフォンを消費者の手から遠ざける方法を優先しているという。

同社のUX&イベント部門アシスタントトップのAnnika Adolfsson(アニカ・アドルフソン)氏は「ユーザーは車内では提供されていない機能を実現するために携帯電話を使用していますが、それが安全ではない環境を作り出しており、私たちはそれを避けたいと考えていました」。

サードパーティのアプリに対応するため、ソリューションはAndroid Automotiveのアーキテクチャに組み込まれ、運転中でも安全に使用できるプラットフォームとなった。

Volvoは、Android、Google Maps、Google Assistant、Google Play Storiesの各チームと協力し、その結果、シンプルでクリーンなエクスペリエンスが誕生した。「長い間使用し続けられるプラットフォームを開発できたという点が、特にすばらしい点だと思います」とアドルフソン氏は話している。

また、ドライバーが車に乗るとすぐに起動するため、先を見越した安全性が実現する。

「初めてクルマに乗った人がどのような体験をするのか、どうすればその人の助けになるのかを考えてきました。以前の車では、自分でセッティングから探さなければなりませんでした」とアドルフソン氏はいう。

安全第一

スモールオーバーラップ衝突試験。画像クレジット:Volvo

残念なことに、安全性と技術の進歩は、特に人間の判断が介在する場合には、必ずしも一致しない例が多く見受けられる。

「Tesla and self-driving accident(テスラと自動運転の事故)」で検索してみるといい。Teslaは際どい判断を下すことで有名だが、その莫大な価値には影響していないから不思議である(Tesla Model 3の衝突安全性については高い評価を得ていることを付け加えておきたい)。

TeslaもVolvoもその他の自動車メーカーと同様、最先端を行くためにより多くのADAS機能を将来の製品に組み込もうと精を出しているが、新技術の統合は消費者の信頼や一般的な安心感とは必ずしも一致しない。

AAA Foundation for Traffic Safetyの最近の調査によると、完全自律走行車に安心して乗ることができたドライバーは10人に1人しかいないという。

関連記事:【コラム】自動運転車の普及にはまず運転支援システムが消費者に信頼されることが必要

Volvoは自社のウェブサイトで「最近の消費者調査によると、 Volvoは安全な自律走行車を展開できる最も信頼されている自動車メーカーである」と述べている。完全な自律走行車の実現までには、まだ数年かかると同社は伝えている。

自動運転システムをいち早く完成させ、これまで以上に安全性を高めることができると顧客に確信させると同時に、一流の電気自動車メーカーになれると顧客に信じてもらうというのがVolvoの計画である。そのために慎重になっている同社だが、それは正当な考えだろう。

しかしここで、道路をより安全にするための技術がなぜ「技術第一」と呼ばれなければならないのかという疑問も当然起きてくる。これは、安全を守るということの意味を考える上で興味深い問題だ。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

テスラが車内カラオケ用のマイクを発売(今のところ中国でのみ)

Tesla(テスラ)は新しいアクセサリーとして、車内カラオケ用のマイクを発売した。「TeslaMic(テスラマイク)」は当面、中国でのみ販売される。中国の旧正月にあわせてロールアウトされたソフトウェアアップデートでは、インフォテインメントシステムに「Leishi KTV」というカラオケプラットフォームが追加された。

Teslaによると、このマイクはインフォテインメントシステムと自動的にペアリングされるという。TeslaMicは2個入りセットになっているので、デート中にどこかに駐車してデュエットソングを歌いたいと思ったときに役立つかもしれない。セットの価格は約188ドル(約2万1600円)だが、1時間もたたずに売り切れたとのことで、車内シンガーになりたい多くの人たちは、Teslaストアページの読み込みに失敗している。

Weibo(ウェイボー、微博)の投稿(YouTubeにもミラー配信されている)では、TeslaMicとカラオケシステムが実際に動作している様子が紹介されている。Elektrekが指摘するように、Leishi KTVのインターフェースとカタログを採用することで、Teslaは2019年に導入した「Caraoke」機能を発展させているが、その機能では選曲がより限定的だった。

Teslaが中国以外の国でTeslaMicを販売するかどうかはまだわからないが、米国に登場した場合はもしかしたらDogecoin(ドージコイン)で買えるようになるかもしれない。それが実現するまでは、クルマのオーディオシステムに接続できる公式の「Carpool Karaoke(カープールカラオケ)」マイクがある(ただし、自分でバッキングトラックと歌詞を表示するディスプレイを用意する必要がある)。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kris Holt、翻訳:Aya Nakazato)

ルノー・日産・三菱アライアンス、2030年までに35車種の新型EVを製造する計画

Renault Nissan Mitsubishi Alliance(ルノー・日産・三菱アライアンス)は、2030年までに35台のEVを保有することを目標に、258億ドル(約2兆9783億円)を費やす計画を発表した。その一環で「smart differentiation(スマートな差別化)」戦略として、80%の共通利用が可能な、ブランド間で共有される5つの新プラットフォームを開発する。日産自動車は、これらのプラットフォームの1つをベースにした最初のクルマの1つを公開した。そのクルマは、同社の人気車種Micra(マイクラ)の後継として欧州で販売される予定の電気自動車のコンパクトカーだ。

アライアンスは、純粋なEVと「インテリジェント&コネクテッド・モビリティ」に重点を置いている。そして、プラットフォーム、生産工場、パワートレイン、車両セグメントをプールできる「スマートな差別化」システムにより、車両間の共通性を高めることを目的としている。「例えば、C・Dセグメント用の共通プラットフォームには、アライアンスの3ブランドの5車種(日産自動車Qashqai [キャシュカイ]とX-TRAIL[[エクストレイル]、三菱自動車Outlander[アウトランダー]、Renault Austral [オーストラル]と今後発売予定の7人乗りSUV)が搭載されます」と、Renault Group(ルノーグループ)はプレスリリースで述べている。

そのために、Renaultの格安モデルDacia Spring(ダチアスプリング)のベースとなる手頃な価格のCMF-AEV、超小型EV用の軽自動車KEI-EVプラットフォーム、Renault Kangoo(カングー)や日産自動車Town Star(タウンスター)などの商用車用LCVなど、5種類の個別のプラットフォームを発表した。もう1つはCMF-EVで、現在アライアンスが日産Ariya(アリヤ)やRenault Megane E-Tech(メガーヌE-Tech)などのクロスオーバーに使用している。

最後に、CMF-BEVプラットフォームは、コンパクトEVに使用されるが、現行のRenault Zoe(ゾエ)と比較して、コストを33%、消費量を10%削減することができる。これは、Renault、日産自動車、Alpine(アルピーヌ)の各ブランドで年間25万台のベースとなり、Renault R5や日産自動車がMicraの後継として発売するEVもこれに含まれる。

日産自動車は別のプレスリリースでその車両を予告し、陰影のある写真と短い動画でその姿を披露した。名前も価格も発売日も不明だが、フランス北部のRenault ElectriCity(ルノー・エレクトリシティ)センターで製造される予定だ。「この新型車は、日産自動車が設計し、Renaultが新しい共通プラットフォームを使って設計・製造することで、日産自動車らしさを維持しながらアライアンス資産を最大限に活用します」と、日産自動車のCEOであるAshwani Gupta(アシュワニ・グプタ)氏は述べている。「これは、アライアンスのスマートな差別化を示すすばらしい例です」。

Renault Groupは、共通のバッテリー戦略を採用し、2030年までに220GWhの生産能力を目指すとした。また、電池のコストを2026年に50%、2028年に65%削減する計画だ。2028年までに全固体電池(ASSB)の開発を目指し、そのプロジェクトは「電池技術のパイオニアとしての深い専門知識と独自の経験に基づいて」日産自動車が担当する。

また、アライアンスは2026年までに、Tesla(テスラ)のようなOTA(オーバー・ジ・エア)アップデートを可能にするクラウドシステムに2500万台の車両を接続することを目指すという。「アライアンスはまた、Google(グーグル)のエコシステムを自動車に導入する最初のグローバルな大衆向けOEMとなる」と、Renault Groupは述べている。

このニュースは、Renaultが2025年までに3分の2のクルマを電動化し、2030年までに約90%のEVをラインナップすると発表したことに続くものだ。Renaultと日産自動車は2021年、より緊密なパートナーシップを否定し、Renaultは両社が「効率的であるために合併は必要ない」と述べている。今回の新プラットフォームと協力関係の発表では「スマートな差別化」を実現する共通プラットフォームがそのカギを握ることになりそうだ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nissan

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

テスラ、予想を上回る2021年第4四半期決算を発表

米国の電気自動車会社、Tesla(テスラ)が、第4四半期および暦年2021年の決算を米国時間1月26日午後に報告した。2021年最後の3カ月間に、Teslaは177億2000万ドル(約2兆310億円)を売上、内160億ドル(約1兆8340億円)が自動車事業によるものだった。総売上に基づくTeslaの第4半期の純利益は23億2000万ドル(約2658億円)、1株当たり利益は2.05ドル(約234.89円)だった。調整後の1株当たり利益は2.54ドル(約291.03円)。

アナリストの2021年第4半期の予想は、売上163億5000万ドル(約1兆8730億円)、調整後1株当り利益2.26ドル(約258.95円)だった。簡単にいえば、Teslaは売上と利益で予測を上回る実績を上げた。

同社の株価は、決算発表後の時間外取引で高下し、当初数ポイント下げたあと本稿執筆時には上昇している。

四半期の内訳

第4半期のTesla自動車部門の実績は良好だったようだ。同社の160億ドル近い総自動車売上は、前四半期の120億6000万ドル(約1兆3820億円)、1年前同期の93億1000万ドル(約1兆670億円)をいずれも上回った。

Teslaの決算を注目してきた人は、四半期売上のうちregulatory credits(排出規制規則に基づき売買されるクレジット)が占める割合が気になるだろう。同社を批判する人たちは、この数値が少々膨らんでいることを再三指摘してきた。2021年第4半期、Teslaは過去5四半期中2番目に少ないクレジット額を報告した。

同社にとってさらに良かったのは、自動車事業の粗利益が、同部門の売上が伸びても落ちなかったことだ。逆に、前年同期の24.1%から、少なくとも直近5四半期で最高の30.6%へと跳ね上がった。

他に注目すべき数値は、フリーキャッシュフローが27億8000万ドル(約3190億円)と過去最高を記録したことで、四半期末の現金および現金同等物は170億ドル(約1兆9480億円)に達した。四半期全体でTeslaの自動車関連売上は、同社総売上の90%を超えた

2021年を振り返る

Teslaの1年は総じて好調だった。売上は約71%増の538億2000万ドル(約6兆1680億円)で、調整後EBITDA116億2000万ドル(約1兆3320億円)、純利益55億2000万ドル(約6330億円)につながった。Teslaの利益性と現金持ち高の増え方を踏まえると、いずれこの会社は配当を出すのではないかと私は考える。すばらしいのは、同社の現金需要に対して現金収入が多いことで、これは設備投資を勘定に入れてもいえることだ

なぜTesla株は決算報告後に動いていないのか?どうやら決算は概ね予測と一致していたようで、つまり実績はすでに株価に反映済みだということらしい。Yahoo Financeによると、現在の株価937ドル(約10万7374円)に基づくと、同社の時価総額は9410億ドル(約107兆8610億円)になる。

画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

起亜自動車EV6の価格は約483万円から、数週間以内に発売

Kia(起亜自動車)のEV6は、Hyundai(現代自動車)のIONIQ 5とプラットフォーム、バッテリー、モーターなどを共有し、1215ドル(約14万円)のデスティネーションチャージを含めて4万2115ドル(約483万円)からと発表された。この金額で、167馬力のモーターと、米国環境保護庁(EPA)の基準で航続距離232マイル(373km)の58kWhのバッテリーパックを搭載した後輪駆動(RWD)のベースモデル「Light(ライト)」が購入できる。このモデルは、7500ドル(約86万円)の連邦税額控除が適用されるため、3万4615ドル(約397万円)まで価格を下げることができる。

これは、IONIQ 5よりも1190ドル(約13万円)高い価格だ。この2台はプラットフォームを共有し、同様の性能を提供しているが、IONIQ 5はよりエッジの効いた角ばったデザインであるのに対し、EV6はよりクラシックで丸みを帯びたデザインになっている。

画像クレジット:Kia

KiaのEV6上級モデルは、価格がかなり跳ね上がる。77.4kWHのバッテリーパックと225馬力のモーターを搭載したRWDのEV6「Wind(ウィンド)」は4万8215ドル(約553万円)からで、EPAによる航続距離は310マイル(約498km)だ。一方、GT-Line RWDは、より豪華なオプションを装備しているが、ドライブトレインは同じで、5万2415ドル(約601万円)からとなっている。WindとGT-Lineの両モデルは、それぞれ5万2115ドル(約598万円)と5万7115ドル(約655万円)から全輪駆動(AWD)にアップデートすることができる。EPAによる航続距離は両モデルとも274マイル(約440km)に低下するが、7500ドル(約86万円)の連邦税額控除が適用される。

ちなみに、インセンティブ前の価格で、Ford(フォード)のMustang Mach-Eは4万4995ドル(約516万円)から、Tesla(テスラ)Model 3は4万6490ドル(約533万円)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)ID.4は3万9995ドル(約459万円)だ。

IONIQ 5のロードテストでは、Hyundaiは最先端の技術を提供し、運転する喜びを感じられるレトロフューチャー的な勝者を作り出したと評価した。EV6も同じ基準に達することを期待したい。最初のモデルは、今後数週間のうちにディーラーに到着する予定だ。

編集者注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Kia

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

Baiduの電気自動車ブランドJiduが約460億円調達、4月の北京モーターショーで初のコンセプトカー「ロボカー」発表

かつては長い開発サイクルを要する産業だった自動車産業は、中国のハイテク企業によって大きく変貌しつつある。現在、中国から生まれる新しい電気自動車ブランドには、とてもついていけない。Baidu(バイドゥ、百度)と中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利)がわずか1年前に設立した電気自動車メーカーJiduは現地時間1月26日、シリーズAラウンドで4億ドル(約460億円)近くを調達したと発表した

関連記事:中国の検索大手BaiduがEV製造ベンチャー設立へ

Baiduと、Volvo(ボルボ)を傘下に持つGeelyの出資によるこの新たな資金注入は、Jiduが2021年3月にクローズした3億ドル(約340億円)の創業資本を後押しするものだ。今回の資金により、Jiduは研究開発と量産を加速させ、4月の北京モーターショーで初のコンセプトカー「ロボカー」(同社は自動車ではなく、自動車用ロボットと分類)を発表できるようになる。ロボカーの量産モデルは2023年に発売される予定だ。

JiduのCEOである Xia Yiping(シャ・イーピン)氏は以前、APAC(アジア太平洋)地域におけるFiat Chryslerのコネクテッドカー部門を率い、2018年にMeituanが買収した中国の自転車シェアリングのパイオニアであるMobikeを共同創業した。

Jiduの前進速度は注目に値するが、その技術の実行可能性を疑問視する懐疑論者を容易に引きつける可能性がある。このスピーディーなサイクルは、量産車で個々のハードウェア部品をテストするのではなく、模擬プロトタイプを使ってスマートコックピットと自律走行システムを開発するという戦略のおかげだと、Jiduは説明している

同社は、わずか9カ月という短期間で、都市部や高速道路でのレベル4(ほとんどの状況で人間の手を介さない自律走行)機能の安全性と信頼性を「テストし、証明した」と述べた。

このEVスタートアップは、競合するNio(ニオ)が得意とするブランディングとファンコミュニティにもかなり注力している。12月には、オンラインやオフラインのイベントでクルマについてオタクになる「Jidu Union」への参加者を募集し始めた

今後、Jiduは自律走行、スマートコックピット、スマート製造などの関連技術に特化した人材を採用・育成していく予定だ。

画像クレジット:Teaser of Jidu’s concept robocar

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動ピックアップトラックの戦いが過熱する中、GMがミシガンの4工場に約7970億円投資

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、野心的なEV生産目標の達成を目指してバッテリーセルと電動トラックの製造に特化したミシガン州の4工場に70億ドル(約7970億円)超を投資すると発表した。ここにはパートナーのLG Energy Solutions(LGエナジー・ソリューションズ)との3つ目の工場も含まれる。

GMは、この投資計画で4000人の新規雇用を創出し、それとは別に1000人の雇用を維持するとしており、計画にはミシガン州ランシングにあるUltium Cellsバッテリーセル工場とミシガン州オリオンタウンシップのGMの組立工場の改造というすでに発表済みの2拠点への投資も含まれている。

3つ目の新しいUltiumバッテリーセル製造工場も、増え続けるEV特化施設のリストに加わる。26億ドル(約2960億円)が投じられるこのセル工場は、ミシガン州ランシングのGMから借りた土地に建設される予定だ。GMによると、280万平方フィート(約26万平方メートル)の施設の敷地造成が今夏開始され、工場は2024年後半にオープンする予定だ。この工場からミシガン州のOrion AssemblyおよびGMの他のEV組立工場にバッテリーセルが供給される。

LG EnergyとGMの合弁会社であるUltium Cellsは、この施設がフル稼働した場合、50ギガワットアワーのバッテリーセル容量になると予想している。2社はすでに、オハイオ州とテネシー州に建設中の2つのバッテリーセル製造拠点を計画している。

一方、オリオン工場はChevrolet SilveradoのEVと電動GMC Sierraの生産に使用される予定で、これはGMにとってフルサイズの電動ピックアップを生産する2つめの組立工場となる。GMのFactory Zero(旧称デトロイト・ハムトラック)は、GMC Hummer EVピックアップおよびSUV、Chevrolet Silverado電動ピックアップトラック、そして電動の自律走行ロボットタクシーCruise Originなど、GMが今後発売する一連のEVピックアップの生産も行う予定だ。

GMは、2025年末までに北米で100万台以上の電気自動車生産能力を持つことになると述べた。特に注力しているのはEVピックアップトラックで、これはGM、Ford(フォード)、そしてRivian(リビアン)のような新規参入企業が競合する分野だ。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

パナソニックがテスラ向け大容量バッテリーを2023年に生産開始との報道

Panasonic(パナソニック)は、早ければ2023年にも、Tesla(テスラ)向けのより大容量なバッテリーの量産を開始する可能性があると、Nikkei Asia(日経アジア)が報じた。この新しい「4680」バッテリーセルは、電気自動車の航続距離を15%以上も向上させるという。テスラの「Model S(モデルS)」では、1回の充電で走行可能な航続距離が現行の650kmから750kmにまで伸びる可能性があるということだ。

バッテリーセルの大きさは従来の約2倍に大きくなるものの、エネルギー容量は5倍になっているとNikkeiは伝えている。そのため、1台の自動車に必要とされる電池の本数は少なくて済むため、製造コストはすでに10~20%安くなっているという。バッテリーはEVのコストの30%を占めていると言われる。バッテリーのコストが下がれば、EVがより手頃な価格になり、電気自動車への移行が早まる可能性がある。さらに航続距離が伸びれば、充電の頻度も少なくて済むようになる。

テスラの長年のパートナーであるパナソニックは、4680を生産するための新しい設備に約800億円を投資すると報じられている。日本の和歌山県にある既存の工場を拡張し、まずはそこで新しいバッテリーの生産を始めるとのこと。Nikkeiによると、パナソニックは2023年に量産を開始する前に、安全で効率的な生産工程を開発するために、2022年から小規模にバッテリーの製造を開始するという。その後、他の国で電池を量産する可能性もあるようだ。

Reuters(ロイター)によると、パナソニックは2022年にテスト生産ラインを設置することを認めたが、大規模なバッテリーの量産を開始する時期については言及せず「我々は大量生産のためのさまざまな選択肢を検討している最中です」と述べたという。

パナソニックは、テスラからの依頼を受けてこのバッテリーの開発に着手した。パナソニックのバッテリー部門責任者は2021年11月、同社ではテスラを優先するものの、他の自動車メーカー向けにこの電池を生産する可能性も除外していないと語っている。テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは以前、同社ではバッテリーの自社生産を計画しているが、他のサプライヤーからの調達も継続すると述べていた。

テスラは、2020年9月に開催された「Battery Day(バッテリー・デイ)」というイベントで、この4680を発表した。マスク氏は当時、このバッテリーセルの導入とその他の開発が進むことにより、テスラは2万5000ドル(約285万円)のEVを販売できるようになると語っていた

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のKris HoltEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Panasonic

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2021年に急成長した中国のロボタクシー(専門用語と美辞麗句が溢れるリリースから実際のところを解析)

自動運転車を手がける中国のスタートアップは、自社の自律走行車両への乗客を獲得するため、軍拡競争を繰り広げている。数週間ごとに、また1つの大手企業が新しいパイロットプログラムや小規模サービスを開始するための認可を得たというニュースが届く。

これらのプレスリリースは、規制に関する専門用語や、企業の発展を誇示するための美辞麗句が多く、わかりにくい。そこで、中国の主要なロボタクシー事業者であるAutoX(オートX、裹動智駕)、Baidu(バイドゥ、百度)、Deeproute.ai(ディープルートAI、元戎啓行)、DiDi(ディディ、滴滴出行)、Momenta(モメンタ)、Pony.ai(ポニーAI、小馬智行)、WeRide(ウィーライド、文遠知行)の2021年の進捗状況をこの投稿にまとめ、それぞれの発表から実際にどのようなことがわかるのかを解析した。

中国では多くの大手企業が以前から有人車両(保安運転手が乗車する自動運転車)や無人車両の試験運行を行っているため、この投稿では、定期的に行なわれている一般向けサービスに焦点を当てる。これらの企業は、ロボタクシーに関わるコスト、安全性、規制を調整しながら、自動運転トラック、貨物運搬車、市バスなど、より早く規模を拡大できる分野にも乗り出している。とはいえ、やはり長期的にはロボタクシー分野に重点を置いていくことに変わりはない。

中国の自動運転区域について留意すべき点

本題に入る前に、中国の自動運転車事業に特有の状況をいくつか取り上げる。

  • 中国国内の道路事情は場所により大きく異なる可能性がある。例えば、深圳郊外の工業団地で自動運転車の試験走行を行う場合、都市部にある繁華街の蛇行する道路で行うよりも道路状況はずっと楽である。
  • 自動運転車に関する規制は、それぞれの省で異なる可能性に加え、同じ都市であっても地区によって異なる場合がある。ある都市において完全無人の自動運転走行試験を行う承認を得た企業が、必ずしも他の企業より技術的に進んでいるとは限らない。単に、連携する地元の規制当局が自動運転に対して進歩的な姿勢を有しているからだという場合もある。
  • スマート交通を成長戦略として掲げている地方行政もある。当然、自動運転車を手がけるスタートアップの支援にも熱心だ。国や都市レベルの規制が制定されるよりずっと前に、当局がその管轄区域内で無人運転の試験を行うことを非公式に承認する場合もある。
  • 行政支援は、税制優遇措置、有利な土地利用の機会や安価なオフィススペースの提供などの形で現れることもある。これが、中国の主要な自動運転車のスタートアップが、深圳、広州、上海、蘇州などの十分な資金力のある都市に集中している理由の1つだ。
  • 中国の地方行政は、自動運転のような新技術の開発に拍車をかけるため、たびたび実証区を設置する。こうした取り組みにより、企業は成熟産業を規制する通常の制約を受けることなく、試験を行うことができる。
  • 今日現在、中国のどの都市も無人ロボタクシーの許可を出していない。この許可が下りればサンフランシスコで Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)が行っているように、自動運転車が保安運転手なしで一般市民を輸送することが可能になる。

AutoX

深圳に本社を置き、カリフォルニアに研究開発センターを持つAutoXは、プリンストン大学の元教授、肖健雄氏により、2016年に設立された。出資者には、Alibaba(アリババ、阿里巴巴集团)、MediaTek(メディアテック、聯發科技)、中国国営自動車メーカーSAIC(サイク、上海汽車集団)などが名を連ねる。

深圳のAutoXのロボタクシー(画像クレジット:AutoX、2021年)

事業状況

2020年8月、AutoXは上海の嘉定区で、有人運転ロボタクシーの一般向けサービスを開始した。利用者はAlibabaのナビゲーションマップ「Amap(エーマップ、高徳地図)」を通じて配車予約ができる。AutoXによると、中国の大手配車サービスプラットフォームでロボタクシーのサービスが利用可能になったのはこれが「初めて」だという。

上海郊外の嘉定区には、上海汽車集団、Volkswagon(フォルクスワーゲン)、NIO(ニーオ、上海蔚来汽車)、トヨタ自動車、Baidu、DiDi、Delphi(デルファイ)といった大手自動車メーカーやOEMがオフィスを構えている。2020年の発表によると、AutoXは100台の「自動運転車」を市内の公道で走らせる契約を上海政府と結んだ。

2021年1月、AutoXは「スマートシティ」として生まれ変わりつつある深圳の工業地帯、坪山区で無人ロボタクシーのサービスを開始した。11月には、同社はこのプログラムが168平方キロメートルの坪山区全域をカバーしたと発表した。これはマンハッタンの約3倍の広さに相当する。

ちょうど1カ月前、AutoXは深圳の公道に25台の無人自動運転車を配備し「試験走行」を実施した。中国の自動車ニュースブログは、AutoXが地元の交通規制当局の許可を得ずにこれを進めたと報じている。一方、同社はTechCrunchに対し「政府の支援」を得たと語った。当時、我々は関連部門と連絡を取ることはできなかった。

AutoXによると、同社は合わせて「数百台」のロボタクシーを路上で走行させているという。

関連記事:自動運転ユニコーンAutoXが中国初のロボタクシーのテストを深センでスタート

米国での試験走行

2021年11月現在、AutoXはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

AutoXは、ホンダFiat Chrysler(フィアット・クライスラー)と共同で、中国でのロボタクシーの開発を進めている。

Baidu Apollo Go

「Apollo Go(アポロ・ゴー)」は、2000年に設立された北京のインターネット企業である検索エンジン大手Baiduの自動運転車プロジェクトである。Baiduは  2015年末、多くの競合するスタートアップが誕生したのとほぼ同時期に、自動運転車部門を始動させた。

Baidu「Apollo Go」のロボタクシーサービス(画像クレジット:Baidu、2021年)

事業状況

2021年11月、Apollo Goは北京の中国における「初の商用自動運転車実証区」で、有料でのロボタクシーサービスの提供が認められた。

Apollo Goにとって公道での「初の商用展開」となった67台の車両では、乗車した保安運転手が監視を行った。このサービスはApollo Goのアプリから配車が可能で、毎日午前7時から午後10時まで運行が実施された。

Apollo Goは、中国の「初の商用ロボタクシー実証区」に参加できたが、対価を目的とした乗車提供はBaiduのこのサービスが初めてではなかった(ネタバレ:以下のWeRide.aiの項を参照)。とはいえ、このイベントにはかなりの象徴的な重要性があった。60平方キロメートルに及ぶこの実証区は、亦荘郊外における国家レベルの経済プロジェクトである北京経済技術開発区の区域内に位置している。このイベントで、ロボタクシー事業者が乗客のデータを活用し、サービス価格を設定する方法について規定する規制の枠組みが導入されたのだ。首都におけるこのような動きは、中国全土のモデルとなる可能性がある。

亦荘が推進しているのは、ロボタクシーだけでない。「コネクテッドカー実証区」はその他のタイプの自動運転車にも対応している。2021年、JD.com(JDドットコム、京東商城)やMeituan(メイトゥアン、美団)を含む多くの大手テック企業が、実証区での無人配送用ミニバンの試験走行を開始した。

Apollo Goの無料版は、広州、長沙、滄州の一部地域で一般公開されており、現在は上海で早期テスターを募集している

米国での試験走行

2021年11月現在、Apollo Goはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

Apollo Goのロボタクシー車両は、国営メーカーFAW(第一汽車集団)のHongqi(ホンチー、紅旗)電気自動車(EV)スタートアップのWM Motor(WMモーター、威馬汽車)、国営メーカーGAC(広州汽車集団)のEVブランド「Aion(アイオン)」、国営メーカーBAIC(北京汽車集団)のEV新ブランド「ARCFOX(アークフォックス)」から提供されている。

Deeproute.ai

深圳に拠点を置くディープルートは、設立からわずか2年の企業としてはかなりの進展を遂げている。2019年、創業者の周光氏は、自動運転車ベンチャーのRoadstar.ai(ロードスター・エーアイ、星行科技)を会社の内紛により辞したのち、ディープルートを設立した。この若い起業家は、すぐに新しい試みへの支持を集めた。2021年9月、ディープルートはAlibabaや中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利汽車)などの出資者から、シリーズBラウンドで3億ドル(約340億円)もの資金を調達した

Deeprouteのロボタクシーサービス(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

事業状況

7月、ディープルートは本社に近い深圳の繁華街、福田区の公道に、20台の有人ロボタクシーを配備した。同本社は香港、深圳両行政が設立した  技術協力区の区域内にある。

同社が4月に深圳の交通規制当局から許可を得て開始したロボタクシーサービスは、現在のところ無料で一般利用できる。TechCrunchに語ったところによると、将来的には有料化する予定だという。

2021年3月、中国国営メーカーの東風汽車集団と共同開発したディープルートのロボタクシーが、武漢で一般向けに無料乗車の提供を開始した。中国中部の都市武漢も、中国の自動運転車分野のパイオニアを目指す候補地の1つだ。

米国での試験走行

2021年11月現在、ディープルートはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

ディープルートと東風汽車は、2022年までに200台以上のロボタクシーを配備することを予定している。

DiDi

配車サービス大手のDiDiは、2019年に自動運転車の子会社を設立し、新会社のために5億ドル(約570億円)を迅速に調達している(当時業界で唯一最大の資金調達ラウンドだった)。これにもかかわらず、ロボタクシー開発の動きは予想より静かだった。

DiDiが他の問題に気を取られていたとしても、無理はない。2021年、米国で上場した直後、同社は中国の規制当局から徹底的なデータ調査を受けている。この中国配車サービス大手は12月、ニューヨーク証券取引所から上場廃止となることを発表した

DiDiのロボタクシーサービス(画像クレジット:DiDi、2020年)

事業状況

DiDiのロボタクシーは、2020年6月に上海の一部地域で乗車サービスを開始した。同社は、2020年末までにロボタクシーサービスを北京と深圳に拡大し、2021年には中国国外にもこの事業を展開すると述べていたが、その進捗状況はいまだ更新されていない。同社はまた、2030年までに配車サービスプラットフォームを通じて100万台以上の「自動運転車」を運用するという野心的な目標も掲げている

米国での試験走行

2021年11月現在、DiDiはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

2021年4月、DiDiはジーリー傘下のVolvo(ボルボ)から同社の海外向けロボタクシー車両の提供を受けると発表した

Momenta

レベル4の完全自動走行技術にのみ注力するロボタクシー事業者が多いなか、創業5年のMomentaは、自動車メーカー向けに先進運転支援システム(ADAS)の売り込みも行っている。このアプローチにより短期的な収入が得られる他、手頃なコストでアルゴリズムの学習用データを蓄積することができる。一方、同社が実際の無人運転技術に十分なリソースを投入しているかどうかについては、業界関係者から疑問の声が上がっている。

Momentaと上海汽車集団が共同開発したロボタクシー(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

それでも、蘇州に拠点を置くMomentaは、中国で最も資金提供を受けている自動運転車のスタートアップの1つとなっている。General Motors(ゼネラルモーターズ)、Daimler(ダイムラー)、Bosch(ボッシュ)、トヨタ自動車、中国国営自動車メーカー上海汽車集団から、二―オの創業者ウィリアム・リー氏が監督するファンド、Nio Capital(二―オキャピタル)まで、名だたる出資者から合わせて12億ドル(約1370億円)を調達しているのだ。

同業他社の多くが、研究開発部隊の設置や試験走行を米国で行っている一方、Momentaは国際展開の拠点としてドイツを選んだ。2021年、同社は出資者であるダイムラーの本拠地、シュトゥットガルトにオフィスを開設した。

事業状況

2021年12月、Momentaと上海汽車集団は、上海の一部地域で無料のロボタクシーサービスを開始した。利用者は毎日午前8時から午後10時まで、上海汽車集団のアプリを通じて有人運転のロボタクシーを呼び出すことができる。このプログラムでは「20台の車両を用いて将来的な商用利用のための試験と検証を行っている」とMomentaは述べている。同プログラムは、今後数カ月のうちに蘇州と深圳で展開される予定だ。

Momentaは、上海に隣接する豊かな都市、蘇州の政府から多大な支援を得ている。国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)蘇州支部と合弁事業を実施し、同市でのロボタクシー展開を「スケールアップ」させる。SASACは、100社あまりの大規模国有企業を監督する、中国の強力な政府機関である。

OEMパートナー

Momentaはロボタクシーの車両に関して上海汽車集団と協業している。両社は2022年までに中国全土に200台の車両を配備することを目標に掲げた

Pony.ai

Pony.aiは、中国で最も評判の高い自動運転車の専門家たちを輩出してきた、Baiduの自動運転車部門のベテラン2人により、2016年に設立された。広州とカリフォルニアにオフィスを構える同社は、トヨタ自動車の支援を受け、これまでに10億ドル(約1140億円)以上を調達している。

PonyのLexusのロボタクシー(画像クレジット:Pony.ai、2021年)

事業状況

Baiduと同様に、Pony.aiも2021年11月、北京のスマートカー実証区で有料のロボタクシーサービス事業を実施するための承認を得た。「PonyPilot+」と呼ばれるこのサービスは、これまで同エリア内で無料の乗車サービスを行っていた。

「PonyPilot+」は、2021年7月、上海の自動車産業の中心地である嘉定区で始動した。6月には、広州で既存のロボタクシーに加え、完全無人の自動運転車を配備している

米国での試験走行

11月、カリフォルニア州車両管理局は、フリーモントで起きた衝突事故の報告を受け、無人自動運転の試験許可を一時停止にするとPony.aiに通知した。Pony.aiが規制当局から許可を得てから6カ月後の決定だった。カリフォルニア州での同社の有人自動運転の試験許可には影響がなかった。

OEMパートナー

トヨタ自動車の「Lexus(レクサス)」、Hyundai(ヒュンダイ)の他、中国のBYD(ビーワイディー、比亚迪汽车)や「アイオン」など、複数のメーカーの車両をPony.aiのロボタクシーとして利用している。

WeRide.ai

WeRide.aiとPony.aiは多くのルーツを共有している。どちらも広州とカリフォルニアに拠点があり、創業者はBaiduの自動運転車チーム出身者だ。WeRide.aiは2017年に設立され、2021年だけで6億ドル(約686億円)以上を調達した。国営メーカーの広州汽車集団やルノー・日産・三菱アライアンスなどが出資者に名を連ねる。

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー(画像クレジット:WeRide、2021年)

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー/写真:WeRide2021年)

事業状況

2019年11月、WeRide.aiの有人運転ロボタクシーは、広州の144平方キロメートルのエリアで一般乗車を開始した。このサービスは、中国南部で最大のタクシー会社である国営の白雲タクシー会社(白雲出租汽車公司)と連携して実施している。

北京でのBaiduやポニーの有料サービスに先駆けて、WeRide.aiはサービス開始当初から、広州のタクシー料金に相当する金額を乗車料として受け取ってきた。

これは、競合同士が自社プログラムに中国で「初」という称号を得るため躍起になるという、よくある状況の例だ。このような主張そのものは有効だが、よく見極める必要がある。ある業界関係者によると「北京の方が政策を先導する上での影響力はある」が、企業にとっては有料ロボタクシーサービスを実施する場所が北京であろうと広州であろうと、その差は「それほど大きくない」という。

「北京でも広州でも、その都市が友好的な政策をとっていれば、それは良いニュースです。つまりは、ロボタクシー企業は実運用のための試験ができればいいのです」と、同関係者は語った。

WeRide.aiは、武漢でも有人運転のロボタクシーサービスを実施している。

米国での試験走行

2021年11月現在、WeRide.aiはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

WeRide.aiとその戦略的投資家である広州汽車集団が12月に発表したところによると、今後数年で「数万台」のロボタクシーを配備する予定であるという。

画像クレジット:Traffic jam during sunset / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

インドの電動スクーター企業Ola Electricが新たな資金調達で約5690億円の評価額に

インドの配車サービス大手のスピンオフであるOla Electric(オラエレクトリック)は初の電動スクーターの展開に苦労し、また同社の労働文化に疑問が呈されている中で、現地時間1月24日に新たな資金調達ラウンドで2億ドル(約230億円)を調達したと発表した。

Tekne Private Ventures、Alpine Opportunity Fund、Edelweissなどがこの新ラウンドに出資し、評価額は2021年9月の30億ドル(約3420億円)から50億ドル(約5690億円)になったと、ベンガルールに本社を置くOla Electricは明らかにした。

同社の共同創業者でCEOのBhavish Aggarwal(バビッシュ・アガワル)氏は声明で「投資家の方々の支援に感謝するとともに、EV革命をインドから世界へと広げるために彼らと協力することを楽しみにしています」と述べた。自動車を含め、より多くのカテゴリーに拡大することを検討していると、アガワル氏は語った。

Tiger GlobalとAlpha Wave Globalを既存投資家に持つOla Electricは2021年に、Ola S1という同社初の電動スクーターを発表した。価格は約1350ドル(約15万円)で、バッテリーを搭載したこのスクーターのフル充電時の航続距離は121キロメートル(75マイル)だ。

同社はスクーターの出荷を何度か遅らせているため、この数字はほとんどの人にとって仮説あるいは未検証の主張だ。せいぜい予約した顧客のごく一部しか受け取っていないのが現状だ。

一方、同じベンガルールに本社を置くスタートアップのBounce(バウンス)は、独自の電動スクーターを発表し、多くのアナリストがOlaの製品よりも優れていると話している。

インドで販売される車両のうち、全体の4分の3以上を二輪車が占めている。大手メーカーだけでなくスタートアップによる推進は、好意的に受け止められている近年の政府の奨励策と相まって、インドのEV推進を正しい方向に向かわせ始めている。UBSのアナリストは1月17日の週に発表したレポートで、2020年代末までにインドの全二輪車の37%が電動になると推定される、と書いている。

しかし、この予想が実現するためには、多くの要因が正しく作用する必要がある。

その1つは、インド最大のスタートアップの1社であるOlaの労働文化かもしれない。インドのメディアMorning ContextがOlaの有害な労働文化と不信感のある最高経営責任者について報じた結果、OlaとOla Electricではここ数カ月で複数の主要幹部が社を去った。アガワル氏は、最近73億ドル(約8310億円)の評価額で増資したOlaの共同創業者兼最高経営責任者でもある。

画像クレジット:MANJUNATH KIRAN / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

Bentley Motorsがテクノロジーとコーチビルドを融合させたContinental GT Speed 2022年モデルを発表、贅沢な時間の歪みを味わう

Bentley Motors(ベントレー・モーターズ)は、旧世界と現代を股にかけているようだ。100年以上にわたり、自動車のラグジュアリーとパフォーマンスの最先端を走るこの自動車メーカーは、長年、時代の変化に対応しつつも、クラシックなフィーリングのコーチビルディングには、常にその精神を宿している。

自動車製造におけるこのようなロマンティックな考え方は、現代のテクノロジーの進歩や高級志向の消費者の需要とはほとんど相いれないものかもしれない。

ベントレーが何かを心得ているとすれば、それはクラシカルな魅力にこだわり続けながら、時代にも歩調を合わせていることだろう。その最たる例が、Bentley Continental GT Speed(ベントレー・コンチネンタルGTスピード)2022年モデルだ。このパワフルな2ドアグランドツアラーは、現在、道を走るクルマの中でもひときは異彩を放っている。

基本概要

画像クレジット:Alex Kalogianni

ベントレー・コンチネンタルGTは、4ドアのBentley Continental Flying Spur(ベントレー・コンチネンタル・フライングスパー)セダンの2ドアバージョンにあたる。多くの要素を共有しているものの、GTは大きな車体を小ぶりにしただけではなく、デザインや性能など他の要素で差別化を図っている。

GTの中核となるのは、6.0リッターのツインターボW12エンジンだ。この巨大なパワーユニットは、内燃機関が縮小(あるいは消滅)に向かう時代にあっては、異端の存在といえる。GTスピードを特徴づけるこのシステムからは、標準のContinental GT W12(コンチネンタルGT W12)を24HP(18kW)上回る650HP(485kW)のパワーと、最大664lb・ft(900Nm)のトルクが生み出され、デュアルクラッチ式の8速オートマチックギアボックスを介して出力される。

そして、強化されたシャシーシステムにより、そのパワーは4つのホイールを介して余すところなく伝達される。

「当社のシャシーエンジニアは、ドライバーがドライブダイナミクスコントロールを使ってドライブモードを制御し、真の意味での乗り心地とハンドリングの両立を実現するために、信じられないほど多くのテクノロジーを駆使していた」とベントレー・モーターズのプロダクトコミュニケーション部長であるMike Sayer(マイク・セイヤー)氏は、TechCrunchに対して述べる。そして「シャシー剛性の変化を可能にするために、3チャンバー・エアサスペンションを採用し、3つの異なるサスペンション剛性を実現している。スポーツモードでは、各エアサスペンションの1つのチャンバーを利用して、高いバネ剛性を確保し、コンフォートモードでは、ソレノイドバルブが3つのチャンバーを低圧で作動させ、ソフトなサスペンションを実現する。そしてさらに、48V電動アンチロールコントロールであるBentley Dynamic Ride(ベントレー・ダイナミック・ライド)が加わる」と同氏は説明する。

今回のGTスピードでは、電子制御リアディファレンシャルと後輪操舵をはじめとするいくつかの新しいテクノロジーがGTモデルとして初めて採用された。

電子制御デフは、スポーティな運転をする際、ターンイン時のバランスとコントロールを確保するために、リアアングルにトルクを配分するものだ。後輪操舵は、最初にフルサイズのラグジュアリー4ドアであるフライングスパーに採用され、回転半径を小さくするとともに、高速走行時の安定性を高めている。2ドアのGTスピードでは、セダンよりもはるかに積極的に適用され、シャープな旋回性に寄与している。

そうこういいながら、このGTは、総重量が5000ポンド(2273キログラム)を超えるにもかかわらず、最高時速208マイル(時速335キロメートル)で走行し、わずか3.5秒で時速60マイル(時速約97キロメートル)に到達するロケットスタートを実現している。これは、クルーズ船のような豪華な装備を持たないクルマでも達成するのが難しいことだ。

テクノロジーを散りばめるベントレー

画像クレジット:Alex Kalogianni

コンチネンタルGTスピードの内側には、ベントレーのクルマの特徴である丹念に作り込まれたインテリアが備わっている。

このクルマの組み立ては、自動化された作業もあるが、かなりの部分が手作業で行われており、ほぼすべての要素に熟練した職人の注意が払われている。インテリアには、プレミアムレザーや、バールウォールナットから自然に倒れた希少なレッドウッドまで、さまざまな種類の木製素材が使用されている。

シートやハンドルにはすべて手縫いのステッチが施され、メタルスイッチ類はダイヤモンドパターンのローレット加工が重厚さを醸し出している。

セイヤー氏は「主要なロータリーノブに使用されているローレット加工は、18カ月かけて開発され、ローレットのカット面の角度を正確に表現するためにアルゴリズムを作成した」と語り、細部にまでこだわっていることを強調する。緻密に作りこまれた壮麗なインテリアは、高度な最新テクノロジーの基で生み出され、しかもそれが見事に融合しているのだ。

画像クレジット:Alex Kalogianni

ダッシュボードの中央には12.3インチのタッチスクリーンがあり、最新の高級車を購入する人の期待に違わぬ機能を備えている。タッチスクリーンは、ナビゲーションやエンターテインメントを提供するとともに、いくつかの車両機能のインターフェイスでもある。ドライバーは、スロットルとステアリングの設定を好みに応じてカスタマイズしたり、クリアランスを取るためにサスペンションを上げたり、必要なときには詳細なドライバーズマニュアルにアクセスしたりすることができる。

また、タッチスクリーンに表示される情報の多くを反映するようにカスタマイズできる完全デジタル式のメータークラスターと組み合わせて使用することもできる。さらに、安全な夜間走行のために前方をハイライト表示する熱感知タイプのナイトビジョンのオプションも用意されている。これには歩行者認識機能も組み込まれており、夜間に人を検知した場合には、赤いボックスで強調表示される。

高解像度のスクリーンに配置されている特徴的なグラフィックは、職人技を感じさせる。

セイヤー氏は「メーター類のグラフィックは、物理的な部品と同じように細部にまでこだわってデザインした。それ以上に、複数のタッチスクリーンに頼らず、物理的な手触りのあるボタンやロータリーノブを残すことも、当社の理念に沿ったものだ」という。

それでも先進すぎるデザインが趣味に合わない場合は、スクリーンはパネル内に収納され、代わりに、時計、コンパス、温度計の3つのアナログメーターに置き換えることもできる。ちょっとした車内ガジェットシアターのようかもしれない。しかし、別の見方をすれば、ある意味で車内の将来性を確保しているともいえるだろう。美しさという点では、ディスプレイよりも車内の他の部分の方がはるかに古びるだろうし、それを目立たないように収納する方法は、このラグジュアリーグランドツアラーの持つ包容力ならではのものだ。

ユーザーエクスペリエンス

画像クレジット:Alex Kalogianni

GTスピードのハンドルを握ると、最初はきらびやかなクロームやポリッシュされた化粧板に目を奪われるが、エンジンをかけた瞬間からドライバーが中心に据えられていることがすぐにわかる。

ヘッドアップディスプレイや交通標識認識などのアシスト機能が状況の認識を助け、長距離走行時にはレーンキープアシストやアダプティブクルーズコントロールが負担を軽減してくれる。便利な機能だが、GTスピードが最も魅力を発揮するのはフル稼働したときだ。

W12エンジンは、その力強く堂々としたエキゾーストノートを後ろから鳴り響かせる。アクセルを踏み込むと、まるでGTスピードの系譜に連なる単発の戦闘機で加速しているような感覚と音に包まれる。しかし、古風さを思わせるのはここまでだ。それ以外の部分では古さとは程遠い。パワーの伝達はスムーズかつ力強く、加速の頭打ちを感じるためには制限のない高速道路を走る必要がある。

その点では、GTスピードはフライングスパーと同様に、蒸気機関車のような重厚な接地感がある。そのため、急なカーブを曲がるときには大きな戸惑いが生じる。しかし、信頼と勇気を持って走れば、GTスピードは驚くほどダイナミックな動きを見せる。

風の強い田舎道では、このクルマの良さが最大限に発揮される。クルマの大きさと重さはやはり明白だが、アクティブテクノロジーのおかげで、ベントレーは自信を持ってコーナーを回ることができる。しかし、状況の厳しさが増すと楽しさは萎んでいく。物理法則に逆らうようなエンジニアリングを駆使しても、クルマの重さをごまかすことはできない。そのような時には、もっと小さくて小回りの効くものに乗り換えようと心に決めることになる。

スポーツモードでもコンフォートモードでも、GTのデュアルクラッチ・トランスミッションのギアチェンジの速さはほとんどシームレスであり、アクティブなドライバーには欲しいだけのパワーを、クルージング中のドライバーにはより穏やかな感覚を与えてくれる。高速道路でも、街乗りでも、GTスピードは一切の妥協を感じさせず、27万4000ドル(約3150万円)を超える価格に見合う価値を披露してくれる。少なくとも、そう願いたいものだ。

ライバルたち

スポーティなラグジュアリークーペが不足しているからという訳ではなく、同じミッションをいかにユニークに遂行するかという点で、競合他社から見ると、GTスピードは独特の存在だ。このセグメントの大手であるBMW(ビー・エム・ダブリュー)やMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、ベントレーが醸し出す豪華さや高級感には遠く及ばず、同じようにダイナミックさでもやはり劣ってしまう。ハンドリングとパワーの面では、AMG S63 Coupe(メルセデスAMG S63クーペ)が17万3100ドル(約1990万円)からと比較的安い価格で近づいてきているが、同じ重量クラスとしては、コンチネンタルGTスピードの方が明らかに優れている。

本当の意味でのライバルといえば、そう遠くない従兄弟にあたるRolls-Royce Wraith(ロールス・ロイス・レイス)が最も近い存在だろう。レイスは、同じような高級車の血統と独自性に加えて、624HP(465kW)の6.6リッターV12という巨大なパワーユニットを誇る。この2ドアのグランドツアラーは、30万ドル(約3450万円)という同じく目が眩むような価格設定であり、加速や走行の滑らかさの面でGTスピードと同様の神業を成し遂げている。

何事にもいえることだが、ベントレーがこの新旧の融合をどのように続けていくのか、将来は不透明だ。過去の例からわかるように、ベントレーは先を見越した計画を立てている。

「まず、製品群をハイブリッド化する。すでにBentayga(ベンテイガ)とフライングスパーのハイブリッド車を発売しており、コンチネンタル・ファミリーもそれに続く予定だ。その後、2025年に最初のBEV(フルバッテリー電気自動車)を発売し、2030年までにベントレーを電気自動車のみのブランドにすることを目指す」とセイヤー氏は述べる。

今のところ、ベントレー・コンチネンタルGTスピードがある。このほとんど時代錯誤なパワーに溢れた高級車は、12気筒エンジンのビートを響かせて走りながら、このセグメントの標準を確立している。それは、変化の風にも柔軟に対応しながら、自分たちが最も得意とすることを粘り強く貫き通す、ベントレーの集大成だ。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Alex Kalogiannis、翻訳:Dragonfly)

メルセデス・ベンツの未来の量産乗用車にはLuminarのLiDARが搭載される

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は米国時間1月20日、Luminar(ルミナー)のLiDAR技術を将来の車両に採用する計画を発表した。この計画は、データ共有とMercedes-BenzによるLuminarへの出資を含む広範な契約の一部だ。

この取引の一環として、Mercedes-Benzは特定のデータやサービスと引き換えに、最大150万株のLuminarの株式を取得すると規制当局に報告している。このニュースを受けてLuminarの株価は急上昇し、現在17.7%以上の上昇を記録している。

Daimler North America Corporation(ダイムラー・ノース・アメリカ)との契約には、同社の次世代量産乗用車へのLuminarの技術の開発と統合、およびその他の定義された活動が含まれると、当該申告書には記されている。Daimlerは、開発車両および生産車両からの特定のデータをLuminarのLiDARと共有し、データは継続的な製品の改善と更新に使用される。

これと引き換えに、LuminarはDaimlerに対して、同社のクラスA普通株式150万株を発行することに合意した。

Luminarの創業者兼CEOであるAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は、今回の提携を業界における「歴史的瞬間」とし、「消費者向け車両に搭載される安全機能と自律走行機能の大幅な向上が、SFからメインストリームになることを証明するもの」と述べている。

両社は、LuminarのLiDARがいつMercedesの車両に搭載されるかについての情報提供は控えた。

LuminarはVolvo Cars(ボルボ・カーズ)とも提携しており、同社のLiDARのハードウェアとソフトウェアを統合した独自のパーセプションシステムは、Volvoが近々発表する電動フラッグシップSUVに標準搭載される予定だ。

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今回の発表は、Daimlerの量産車に搭載する計画でLuminarのIris(アイリス)LiDAR技術を開発し、同社が特定の定義された作業に対して非経常的なエンジニアリングサービス料を受け取る契約とは別のものだ。

2020年10月、Daimlerのトラック部門は、人間の運転手がハンドルを握らなくても高速道路をナビゲートできる自律走行トラックを製造するための広範なパートナーシップの一環として、Luminarに投資したと発表した。その際の投資額は非公表だった。

画像クレジット:Luminar

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

現在の自動車に搭載されている先進運転支援技術で、IIHSの新安全性評価を満たすものは「1つもない」

現在の新車に搭載されている先進運転支援システムで、米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety、IIHS)が策定中の新たな安全基準を満たすものは1つもないと、同協会は述べている。

自動車保険会社が出資する非営利団体であるIIHSが策定中の新しい評価プログラムは「部分的な自動化」機能を備えた車両において、ドライバーが道路に集中していられるように支援するための安全装置を評価することになると、同協会は米国時間1月20日に発表した。

IIHSは、このようなシステムに「good(優)」「acceptable(良)」「marginal(可)」「poor(不可)」の4段階の評価を与える。IIHSによると、最初の評価は2022年に発表予定とのことだが、具体的な時期は明らかにされていない。サプライチェーンの問題により、テスト用に使う車両の入手が困難になっているためだ。

「部分的な運転自動化システムは、長時間のドライブを負担が少ないものにするかもしれませんが、運転をより安全にするという証拠はありません」と、IIHSのDavid Harkey(デイヴィッド・ハーキー)会長は、声明の中で述べている。「実際には、システムが十分な安全装置を備えていないと、逆に危険な状態になることもあるのです」。

IIHSの発表によると「good」の評価を得るためには、ドライバーの目線が道路に向けられており、手が常にハンドルを握っているか、またはすぐに握れる状態にあることを保証するドライバー監視システムが、車両に搭載されている必要があるという。さらにドライバーがこれらの義務を無視し続けた場合、徐々にエスカレートする警告や、緊急措置が取れる機能が備わっていなければならない。

なお、IIHSの新しい評価プログラムでは、カメラやレーダーセンサーによる障害物の識別能力など、事故につながる可能性のある他の機能面については評価を行わない。

自動車メーカーが提供する運転支援システムには「部分的な自動化」機能が多く含まれている。最も一般的なものは、ドライバーが選択した速度と車間距離を維持するために自動的に走行速度を調整するアダプティブ・クルーズ・コントロールと、ドライバーが走行車線の中央に車両を維持し続けるのを補助するためにステアリングを継続的に調整する車線中央維持機能を組み合わせたものだ。自動的に車線変更を行う機能も一般的になってきていると、IIHSは指摘する。

運転自動化システムの評価に乗り出すIIHSの動きは、自動車メーカーを牽制する規制や消費者保護団体の動向に沿ったものだ。Consumer Reports(コンシューマー・レポート、CR)は、十分なドライバー監視システムを備えた部分自動運転システムにポイントの付与を始めるという。IIHSの安全機能評価が提供されるようになれば、CRはそれも考慮に入れる予定だ。

コンシューマー・リポートは、2月17日に発表する2022年の自動車ランキング「Top Picks」で、ドライバー監視システムの評価を盛り込むとしている。テストする車に安全運転を促すシステムが運転支援パッケージの一部として搭載されている場合、CRはその総合得点に2点を加算する。

CRによると、現状でこの追加ポイントを獲得できる先進運転支援システムは、Ford(フォード)の「BlueCruise(ブルークルーズ)」とGMの「Super Cruise(スーパークルーズ)」のみだという。

十分なドライバー監視システムが搭載されていない新型車は、2024年より総合スコアから2ポイントを減点するとCRは述べている。2026年になると減点は4ポイントに増える。

IIHSは、部分的な自動運転システムのほとんどが何らかの安全装置を備えているものの、同組織が策定中の基準をすべて満たしているものは1つもないと指摘。これではドライバーが意図的または無意識に、システムの安全な動作の範囲を大幅に超えてしまう可能性がある。

「これらのシステムの多くは、その機能が実際にできること以上のことが可能であるような印象を人々に与えています」と、IIHSの研究員で新しい評価プログラム策定の指揮を執っているAlexandra Mueller(アレクサンドラ・ミューラー)氏は語っている。「しかし、ドライバーが部分的な自動運転システムの限界を理解していたとしても、気持ちは揺れ動いてしまうことがあります。人間は、すべてを自分で運転しているときよりも、問題が発生するのを見守っているときの方が、警戒心を保つのが難しいのです」。

いわゆる自動運転車はまだ一般に発売されていないが、自動車メーカーが混乱を招いたりシステムの能力を誇張したりするような方法で、そのシステムをブランド化することは止められない。

Tesla(テスラ)は、同社の車両に標準装備されている先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」や、1万2000ドル(約136万円)で追加購入できるアップグレード版のソフトウェアパッケージ「FSD(フル・セルフ・ドライビング)」のベータ版のブランディングについて、多方面から批判を受けている。しかし、他の自動車メーカーでも、自社のシステムの能力を誇大宣伝するようなマーケティングキャンペーンは、以前から行われている。

画像クレジット:Veoneer

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】メルセデスAMGのオール電動EQSと2022年型SL Roadsterを徹底検証

まず濃霧が発生し、そして雪が降った。しかしそんな悪天候も、Mercedes(メルセデス)のフラッグシップEVや最新型SLのAMGモデルにとってはお構いなしだ。

AMGチームが手がけたMercedes EQSと最新のSL Roadsterは、性能、高級感、快適性、テクノロジーとどこをとっても完璧である。

関連記事:あらゆるテクノロジーが詰め込まれたメルセデス・ベンツEQS 2022年モデル、350ものセンサーで実現された数々の新機能

メルセデスAMGによる2022年型SL Roadsterには、1950年代後半に登場した初代300 SL Roadsterを包んでいた魂のようなものが、今もなおその根底に流れている。当時、ハリウッド黄金時代のエリートたちが選んだこのクルマだが、現代ならジョージ・クルーニーやヘレン・ミレン、ラン・ザ・ジュエルのキラー・マイクらがこの最新版オープンカーのハンドルを握ってイベントに繰り出す姿を容易に想像できる。

Mercedes-AMG SL 63 4Matic+(画像クレジット:Mercedes-Benz)

AMG SL Roadsterが前世紀にルーツを持つジェームズ・ボンド的存在なら、AMG EQSはアイアンマンといえるだろう。現代のあらゆるテクノロジーを駆使しているという点はRoadstarと同様だが、それをよりスタイリッシュに実現している。

AMG SL RoadsterとAMG EQSはともに新型車であり、その核となるテクノロジーには共通する部分が多いものの、そこには歴然とした違いがある。

SLの威圧的なごう音は、EQSでは構成された音に置き換えられている。EQSは瞬時にEVのトルクを活かせるため、SLのすばらしい排気量とターボもEVの発進力には敵わない。

メルセデスはAMGラインナップのために最後までハンドメイドのエンジンを作り続けることだろう。AMG EQSにハンドメイドの電気モーターはなく、技術者のサインがバッテリーパックに記されることもない。一方、EQSが大気中にまき散らす汚染量は、V8 Roadsterがその生涯で大気中にまき散らす量と比べたら雲泥の差である。

2022年メルセデスAMG EQS

Mercedes-AMG EQS 53 4MATIC+、充電スタンドにて(画像クレジット:Mercedes)

高級感を第一に考えて作られたクルマは、性能面の追求を受けると台無しになってしまうのではないかという懸念がある。セダンの主目的がドライバーや同乗者を甘やかすことだとしたら、乗り心地が悪く、アクセルを少し踏むだけで首がむち打ちにでもなるようなクルマでは目的を達成したことにはならない。

しっかりした走りを求めるEQSファンもご安心を。そんな問題はないようだ。米国に上陸した初の電動AMG EQSは、電動高級セダンの優れた点をAMGチームによるチューニングで巧みに融合しているのである。

最高出力751ps、最大トルク752lb-ft(EQS580より133ps、69lb-ftのジャンプ幅)のパワーを持つこの高級電気セダン。AMG以外のライバル車よりも明らかに速く感じられ、推定3.4秒で時速60マイル(時速96キロ)を達成することが可能だ。

アップグレードされたのは2つの電気モーターだけではない。AMG版に搭載された冷却システム、配線、容量107.8kWhのバッテリー管理システムにも改良が加えられ、SportモードとSport Plusモードでより長くピークパフォーマンスを維持できるようになっている。パームスプリングスからロサンゼルスまでのドライブでは何度も加速テストを行ったが、パワーが落ちていると感じることは一度もなかった。

AMGサウンドエクスペリエンスと呼ばれる加速度連動型の新たな車内サウンドも搭載されている。私はこのEVノイズが大好きだ。人工的ではあるものの、急に加速したときの音体験を見事に再現してくれている。

パワーアップにともない、アクティブダンパーを備えたAMGライドコントロールエアサスペンションも搭載されている。4MATIC+と全輪駆動システム、最大9度のリアステアリングの組み合わせにより、ヘアピンカーブでのスピードアタックはクルマのサイズと重量のわりにコントロールしやすく、すばらしい体験をもたらしてくれる。ボディロールは多少あるが、通常のEQSでの経験よりもはるかに少ない。

ハードウェアおよびソフトウェアに対するこのような性能調整と新Sport Plusモードに加えて、さらにもう1つ新しいモードがあるのだが、私は運良くそれを試すことができた。ドライブ中に山の高いところに登り、道路が黒からグレー、そして雪に覆われた白へと変化したとき、AMG Slipperyモードを試す機会を得たのである。氷上や雪上で見事に機能し、トラクションが多少低下することもあったが、それはMichelin Pilot Sport EVの夏用タイヤを履いていたためだろう。

雪道に遭遇したMercedes-AMG EQS(画像クレジット:Roberto Baldwin)

メルセデスがこのドライブプログラムのためにホイールを選んだ際は、晴天とまではいかなくても、少なくともドライな天候と路面を期待していたのだろうが、母なる自然は予想がつきにくい。AMG EQSが冬用、あるいはオールシーズン用のラバーを装着していれば、氷の上を走ることに神経質になっている人たちも、より安心することができたはずだ。

インテリアに関しては、あちこちにAMGの装飾が施されている以外はこれまでのEQSと変わらない。最新のMBUXインフォテインメントシステムの他、12.3インチのインストルメントクラスター、17.7インチのタッチスクリーンディスプレイ、12.3インチの助手席ディスプレイを含む56インチの巨大ハイパースクリーンを搭載。これはAMGのトリムレベルにはすべて標準装備されている。またこのディスプレイには、必要に応じてマップウィジェットを表示できるZero Layerインターフェースも搭載されている。

Mercedes-AMG EQS 53 4MATIC+のインテリアには広大なインフォテインメントシステムを搭載(画像クレジット:Mercedes)

MBUXの至宝である音声アシスタントは、今も進化を続けている。Zero Layerインターフェースとともに「ヘイ メルセデス」の呼びかけシステムは、他の自動車メーカーも達成すべきスタンダードとなっている。音声による強力なナビゲーション機能とよりフォーカスされたスクリーンは、最強のコンビなのである。

運転中、自分がしたいことの機能を探すのではなく、クルマにお願いするという場面が何度もあった。先代のメルセデスでは次の曲にスキップするために何度もタップする必要があったメディアコントロールなども、ナビゲーション上のZero Layerインターフェイスにすぐに表示されていた。

SL Roadsterと同様、音声アシスタントとZero Layerの組み合わせによりインフォテインメント体験はとても向上しているのだが、ただし一点、なぜハンドルに遮られるほど画面を広くしたのか私にはいまだに不可解である。確かに全ウィジェットは移動されているが、どれだけ大きなディスプレイが作れるかという自慢意識以外、良い理由が見つからない。

2022年メルセデスAMG SL

テストドライブ時に霧の中を走るMercedes-AMG SL(画像クレジット:Roberto Baldwin)

高級感と性能のバランスにおいて、最高出力577ps、最大トルク590lb-ftまで向上したAMG SL 63はスピードとハンドリングに注力しすぎている感覚もあるが、それでも前述のような霧の中での低速でもとても豊かな体験を提供してくれた。

メルセデスは、最高出力469ps、最大トルク516lb-ftのAMG SL 55 Roadsterと、よりパワフルな上記の63モデルの2種類を販売する予定だ。どちらも4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載した全輪駆動システム4Matic+を備えている。

この排気量とターボの組み合わせにより、停止状態からでも遅い車を追い越すときでも、パワフルな瞬発力を発揮してくれる。AMG SL 63のほうがパワフルなのは間違いないが、あれだけの馬力とトルクが使えるケースはほとんどないため、AMG SL 55に軍配が上がるだろう。

Mercedes-AMG SLのインテリアショット(画像クレジット:Roberto Baldwin)

また、現代のSL Roadsterとしては最もパワーのないモデルでもある。メルセデスには今後、Roadsterの非パフォーマンス版を発売する予定はない。同社はその代わりに他のメルセデスと同様、このクルマをできる限りスムーズでラグジュアリー感のあるものにしようと努めたのだ。私のテストドライブ結果としては、85%の出来だといえるだろう。

AMG SL Roadsterは、郊外や市街地などの日常的な道路ではとてもスムーズな乗り心地を提供してくれるものの、このクルマがSクラスではないことをそこここで思い出させてくれる。路面の凹凸や穴、わだちを確かに感じるのである。その一方で、雨に濡れた路面でもしっかりと車輪はアスファルトに固定され、スピードを出しすぎた場合には多少のオーバーステアリングを発生させるものの、ほとんどの体験を通してすばらしいハンドリングが期待できる。ステアリングはタイトで応答性が高くひっかかりを感じさせない。後輪操舵の採用により、バックロードでも街中でも、小さめのクルマを運転しているような印象だ。

Mercedes-AMG SL 63 4Matic+の11.9インチタッチスクリーンディスプレイは、前後に傾けることが可能だ(画像クレジット:Mercedes)

SLのインテリアにも、インフォテイメントシステムMBUXの最新版とZero Layerオプションが搭載されている。日差しが眩しい場合に備え、11.9インチのタッチスクリーン・ディスプレイは12度から32度まで前後に傾けることができる。12.3インチのインストルメント・クラスターが一体型のバイザーを備えているのも太陽の反射を配慮してのことだが、残念ながら曇り空と霧の中のドライブではどちらも必要なかった。

メルセデスはSL Roadsterで、最新のテクノロジーを満載した正しいオープンスポーツカーを作りあげた。性能と技術の両側面が矛盾することはなく、うまく共生している。本質的にこのクルマは、クルマ界のジェームズ・ボンドなのだ。タキシードに身を包み、ミッションを完遂するための最新の小道具を隠し持つ、ワイルドな側面も持ち合わせた過去の偉大なヒーローを彷彿とさせるのである。

2日間にわたってAMG EQSとSLを立て続けに運転し、AMG車の変遷の始まりを見ることができたのはとても有意義な体験だ。メルセデスのパフォーマンス部門は、メルセデス本体と同様に、2030年までに完全な電気自動車に移行する構えだ。

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ここから将来のことを考えると本当にワクワクしてしまう。初代SL 300 Roadsterに乗ったことがあるが、発売当時はまるで宇宙から来たものかのように感じられたのだろう。近い将来また別のAMG SLが登場するかもしれないし、もしメルセデスが今のペースでEV技術を磨いていけば、さらに画期的な電気自動車になっているだろう。

その頃には、雪の中、屋根を開けて走ってもきっと問題ないはずだ。

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Dragonfly)