東京大学とソフトバンクなどが「Beyond AI 研究推進機構」設立、10年間で最大200億円を拠出

Beyond AI 研究推進機構

東京大学、ソフトバンク、ソフトバンクグループ、ヤフーは8月6日、世界最高レベルのAI(人工知能)研究機関として「Beyond AI 研究推進機構」(旧:(仮称)「Beyond AI 研究所」)を設立し、2020年7月30日に共同研究を開始したと発表した。

ソフトバンク、ソフトバンクグループおよびヤフーから10年間で最大200億円を拠出。日本が世界をリードするための研究・事業活動を大胆に推進することで、AIを超える学術分野の開拓を目指す。

Beyond AI 研究推進機構は、共同研究開始にあたり、AI自体の進化や他分野との融合など、最先端AIを追究する中長期の研究テーマ10件および研究リーダーとして、東京大学が誇る各学術領域のトップクラスの研究リーダー10人が参加する。

Beyond AI 研究推進機構

また研究成果を基に、10年間で10件の事業化、3件の新学術分野の創造を目指すなど具体的な数値目標を設定するとともに、ソフトバンクが組成する50人規模の事業化推進チームとの連携により、初期段階から、データ分析やAI開発、戦略策定などの観点で中長期研究をサポートし、事業化を見据えた研究を効率的に推進する。

また、AIで共通利用される基盤技術に着目し、下記4領域で既存のAIを超える研究を推進する。

  • デバイス領域(AI自体の進化): 集積回路の物理的限界を突破し、微細化・高速化・省エネルギー化のブレイクスルーを図る
  • インテリジェンス領域(脳科学とAIの融合): 特定課題のみに対応する従来のAIから、人間の脳のように複合的・想像的活動を実現するAIを目指す
  • データ領域(物理とAIの融合): データクレンジングや教師データ作成などのコスト問題の解決に向けて、限られた教師データによるモデル構築など機械学習システム自体の変革を目指す
  • サービス領域(AIと社会): AIなどのデジタル技術がもたらす倫理や差別などの社会課題を横断的に研究

Beyond AI 研究推進機構

同研究推進機構は、東京大学の学内および海外の有力大学の研究者による最先端のAI研究を行う中長期研究と、研究成果を基に事業化を目指すハイサイクル研究という2方向で研究を行い、事業によって得たリターン(事業化益)をさらなる研究活動、次世代AI人材育成のための教育活動に充てることでエコシステムの構築を目指すことが特徴となっている。

Beyond AI 研究推進機構

また、今年度中にハイサイクル研究拠点を設置し研究を開始する予定で、中長期研究によって生まれた成果や知財を生かし、医療・ヘルスケアやスマートシティー、MaaSなどの分野において、CIP制度を活用した迅速な事業化に取り組むとしている。CIP制度とは、経済産業省が制定した研究促進制度で、大学・企業などが共同で素早く研究開発組織を立ち上げ、研究成果を基に設立したジョイントベンチャーを株式会社として事業化できる制度。

着実にリターンを創出する拠点としての役割を担うことで、エコシステム構築を加速し、AIが社会や人々の幸せに貢献することを目指していく。

ヤフーとふるさとチョイスが新型コロナの給付金を寄付できるプラットフォームを共同設立

ヤフーとふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク公益財団法人パブリックリソース財団、コロナ給付金寄付実行委員会は5月8日、政府が「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」として、住民基本台帳に記録がある外国人を含む全国民を対象に一律で給付される10万円を個人や企業の支援のために寄付できるプラットフォームの設立を発表した。

具体的には、医療、福祉・教育・子ども、文化・芸術・スポーツ、経営困難に追い込まれた中小企業などのテーマを選んで100円からの寄付が可能になる。寄付サイトは、ヤフーとトラストバンクがそれぞれ開設し、パブリックリソース財団の協力の下で運営される。ヤフーのサイトではTポイントでの寄付も可能だ。

プロジェクトの概要は以下のとおり。

対象テーマは以下のとおり。

  1. 医療分野: 新型コロナウイルス感染症患者の治療に取り組む医療機関に対するマスク・ガウンなどの防御用品、人工呼吸器などの医療器具、治療に取り組む人件費など
  2. 福祉・教育・子ども分野: 介護施設、障害者施設、学校、保育所、学童保育、学習支援団体、DV防止団体、生活困窮者支援団体などに対するコロナウイルス感染症予防対策、または、感染症の予防策の影響により困難に直面する人を助ける事業、または、将来の事業再開に向けて進める準備活動など
  3. 文化・芸術・スポーツ分野: 感染症拡大防止のために中止・閉鎖に追い込まれた芸術、文化、スポーツ活動の担い手、施設、事業者(ライブハウスや演芸場、スポーツジムを含む)に対するオンラインでのパフォーマンスの実施などの現在の代替的活動の支援、将来の事業再開に向けて進める準備活動など
  4. 経営困難に追い込まれた中小企業分野: 感染症拡大防止のために営業自粛・休業に追い込まれた、飲食店、宿泊施設などの中小企業に対する当該中小企業における、女性、若者、障がい者の雇用継続、将来の事業再開に向けて進める雇用継続の準備活動など。

ちなみに、Zホールディングスやヤフーが属するソフトバンクグループ傘下でSBプレイヤーズの子会社であるさとふるも、ふるさと納税サイトを運営しているが、今回の寄付プラットフォームの設立ではグループの垣根を越えて、ふるさとチョイス(トラストバンク)と連携する。発起人は以下のとおりだ。

  • 佐藤大吾氏(発起人代表、NPO法人ドットジェイピー理事長)
  • 岸本幸子氏(公益財団法人パブリックリソース財団代表理事・専務理事)
  • 川邊 健太郎(Zホールディングス代表取締役社長CEO、ヤフー代表取締役社長CEO)
  • 西田修一氏(ヤフー執行役員)
  • 須永珠代氏(トラストバンク会長兼創業者)
  • 乙武洋匡氏(作家)
  • 小室淑恵氏(ワーク・ライフバランス代表取締役)
  • 為末大氏(一般社団法人アスリートソサエティ代表理事)
  • 古田敦也氏(スポーツコメンテーター、元東京ヤクルトスワローズ監督)

即時配達サービス「PayPayダッシュ」が福岡・天神で始まる、イオン九州と3月16日から実験開始

ヤフーとイオン九州は3月12日、即時配達サービス「PayPayダッシュ」の実証実験を3月16日から開始することを明らかにした。対象エリアは福岡・天神エリアのみで、イオンショッパーズ福岡店が取り扱う弁当やパン、飲料、菓子など約150種類の商品を注文から最短30分で受け取れる。なお、配送には自転車を利用する。併せて「PayPayダッシュ」のスマートフォンアプリの提供も始まった。

利用者は「PayPayダッシュ」のアプリ上で配達先を指定して商品を選ぶだけ。注文が完了するとPayPayダッシュの配達員が該当商品を店舗でピックアップし自転車で配送する。PayPayダッシュの支払いは、もちろんPayPayによるキャッシュレス決済。もしくは、PayPayダッシュのアプリに登録したクレジットカードでも支払える。送料は3月31日までは無料だが、4月1日以降は注文状況に応じて変動する。

両社は今回の実証実験で、実店舗から配達先のラストワンマイルの即時配達ニーズを把握するとともに、今後の取扱商品の拡大や、他の地域での展開を検討し、さらなるお買い物体験の向上を目指すという。実証実験の概要は以下のとおり。

  • 実施期間:2020年3月16日から(終了時期未定)
  • 対象エリア:福岡県西鉄福岡(天神)駅付近の一部地域
  • 取扱商品:弁当、おにぎり、パン、カップ麺、飲料、お菓子、調味料など約150種類。
  • 送料:2020年3月16日~3月31日の期間は無料。4月1日以降は注文状況などによって変動。
  • 最低注文金額:700円~2000円(注文状況などによって変動)

ヤフー、ZOZOをグループ企業に迎え「一緒にインターネットの未来を作っていきたい」

9月12日、Yahoo! JAPAN(ヤフージャパン)はファッションECサイトを運営するZOZO(ゾゾ)に対しTOB(take-over bid:株式公開買付け)を実施、ZOZO株式の過半数を取得し、子会社化を目指すと発表。そしてTOBを前提に、資本業務提携契約を締結した。

投資額は約4千億円。ヤフー代表取締役社長CEOの川邊健太郎氏は当日の記者会見で、ZOZOとの資本業務提携を通じ、ヤフーは広告事業に加えイーコマースも「大きな事業の柱にしていく」と話した。

「ZOZO社をグループ企業に迎え、一緒になってインターネットの未来を作っていきたい」(川邊氏)。

川邊氏が今回の資本業務提携のポイントの1つに挙げたのが、ZOZOTOWNのECモール初出店だ。ヤフーはこの秋、「PayPayモール」というYahoo! ショッピングとは異なる新たなプレミアムモールを立ち上げる予定であり、そのファッションカテゴリにZOZOTOWNが入る前提の契約をしているそうだ。

新たにZOZO代表取締役社長兼CEOに就任した澤田宏太郎氏は「アパレル業界をこれまで以上に盛り上げられることにわくわくしている」と話す。自身の特徴を「リアリスト」、「ニュートラル」、「安定感」という3つの単語で表現し、「前澤(ZOZOファウンダー前澤友作氏)とは真逆」と説明した。だが「ただのつまらない会社になる気は毛頭ない」。ZOZOはこれまで通り「やんちゃな大人だ」(澤田氏)。

退任した前澤氏いわく、同氏は2023年の月旅行の前にも1度、月に行く予定がある。そのためのトレーニングなどが必要なことも、退任した理由の1つだという。「僕は感性に基づく経営手法をとっておりました。澤田新社長はその感性的な経営とは真逆の経営手法をとっていただける。経営の考え方、体制が抜本的に変わるべきタイミングだったと思います。そうしたタイミングでヤフー社とのご縁に恵まれ、澤田社長が率いる新体制でZOZO社が新しいスタートをきれることを、僕は心から応援したいと思っております」(前澤氏)

ヤフー系サービスは順次PayPay化、6月3日からヤフオク!売上金をPayPayチャージ可能

ヤフーは5月21日、「Yahoo!ショッピング」などのヤフー関連サービスにおけるオンライン決済手法として、6月3日よりPayPayを導入することを発表した。これにより、PayPay残高とTポイント、Yahoo!ウォレットに登録しているクレジットカードなどを組み合わせての決済が可能になる。「ヤフオク!」では、売上金(ヤフオク!に出品した商品が売れた際の代金)をPayPayにチャージできる。6月18日からはLOHACOでのオンライン決済にPayPayが利用可能になるほか、ヤフー関連のその他のオンラインサービスでもPayPay対応を進めていくとのこと。

なおPayPayによるオンライン決済でも常時3%還元を受けられるが、6月から始まる20回に1回の確率で最大1000円相当のPayPayボーナスが付与される「PayPayチャンス」の対象外となる。

PayPayが第三者割当増資で460億円調達、グループ一丸でキャッシュレス推進へ

QRコード決済サービスを提供しているPayPayは5月8日、第三者割当増資の実施を発表した。2019年5月以降に、ソフトバンクグループから460億円の出資を受け入れる。今回の増資により、PayPayの資本金は920億円(資本準備金を含む)となる。

同社は、ソフトバンクとヤフーの共同出資会社だが、両社の親会社(持株会社)であるソフトバンクグループが追加出資を決めたことで、グループ全体でさらに重要な位置を占めることになる。

PayPayは現在「第2弾100億円キャンペーン」などを実施中だが、今後は「ワクワクペイペイ」として1カ月ごとに店舗を絞った還元キャンペーンを実施する予定だ。6月はドラッグストアを対象に最大20%還元となる。今回の第三者割当増資で潤沢な資金を獲得したことにより、ソフトバンク全体でキャッシュレス決済を強力に推し進めていくと考えられる。

料理動画サービス「kurashiru」のdelyが女性向けメディア「TRILL」を連結子会社化

女性向けメディア「TRILL」

delyは3月25日、女性向けメディア「TRILL」を運営するTRILLを連結子会社化したことを発表。

delyは2018年7月にヤフーの連結子会社(YJ2号投資事業組合からの出資)となって事業を継続してきたが、そのヤフーから同じく連結子会社だったTRILLの株式を51%取得して同社の経営権を握ることになる。

delyは1月からライフスタイル事業に参入し、ライフスタイルメディア「my kurashiru」を立ち上げ

delyは、料理動画サービス「kurashiru」の大ヒットのあとヤフーグループ入り。2019年1月にはライフスタイル事業に本格参入し、ライフスタイルメディア「my kurashiru」を立ち上げていた。今後TRILLは、delyとヤフーのジョイントベンチャーとして、両社の資産を活用して事業運営を進めていくという。今回の発表に伴い、4月1日付でTRILLの代表取締役社長のdelyの代表取締役である堀江裕介氏が就任する。

ヤフー2018年度3Q決算、「PayPay」などモバイルペイメントを重要視

ヤフー代表取締役の川邊健太郎氏

ヤフーは2月4日、2019年3月を期末とする2018年度の3Q決算(10〜12月)を発表した。連結ベースでの売上収益は前年同期比7.4%増の7075億9000万円、営業利益は同19%減の1196億7900万円、四半期利益は同33%減の700億8800万円だった。

営業利益、四半期利益ともに前年同期比減となった同社だが、広告関連の売上収益は同7.1%、検索連動型広告の売上収益は同12.2%と好調だった。また、「Yahoo! ショッピング」を軸とするショッピング事業の取扱高も前年同期比で22.5%増と成長を続けている。

決算説明会では、同日に2回目の「100億円祭り」を発表したばかりのQRコード決済サービス「PayPay」にも言及。累計の登録ユーザー数がサービス開始4ヶ月で400万人を突破するなど、この領域では後発ながら順調にユーザー基盤を整えていることが分かる。PayPayの立ち上げにともなう広告費用の増加などから、ヤフーは通期の営業利益を1330〜1430億円と予測していたが、今回の決済でその予測も1400〜1430億円へと引き上げている。

ヤフーにおけるモバイルペイメントの役割は大きい。決算発表会では、過去5年間のユーザーID、売上の増加を表すスライドが映し出されたが、その下の部分には、これまでヤフーの主戦場であった「PC」「スマートフォン」にならんで「モバイルペイメント」という表記がある。

また、ヤフーはこれまで目指してきた「オンライン上の生活の改善」に加え、現実世界で使うモバイルペイメントの拡充など、「オフライン上の生活の改善」にも注力していくことを名言。ヤフーがマネタイズ手段としてあげた「統合マーケティングソリューション(インターネット広告含む)」「eコマース」「fintech」「データソリューション」のすべてに関わる中心的事業としてモバイルペイメントを位置づけた。

ヤフーはPayPayによって、オンライン上の購買活動だけでなく、オフラインでの購買活動においてユーザーとの接点を持つことできた。同社は、オンラインやオフライン問わずマーケティングソリューションを一気通貫で提供する「統合マーケティングソリューション」を重要な収益源として位置づけており、そのことからもPayPayは同社にとって非常に重要な存在とされている。

同社は、これまで収益の柱を担ってきた「検索連動型広告」や「ディスプレイ広告」に加えて統合マーケティングソリューションを第二の柱として育て上げることで、2023年にはこの領域だけで5000億円の売上収益をあげることを目指している。

ヤフーが新たにインフルエンサー向け動画投稿サイト開設、“短尺動画”メインに毎月500本配信へ

つい先日「TikTok」のByteDanceが会社評価額で世界最大のスタートアップになったというニュースを紹介したけれど、YouTuberやVtuberのトレンドを見ていても個人のクリエイターが投稿する動画コンテンツの可能性はどんどん広がっているように思う。

そんな個人クリエイターやインフルエンサーの活動の幅を広げるプラットフォームがまた新たに立ち上がった。運営するのはヤフーだ。

同社は10月30日、厳選されたクリエイターやインフルエンサーが自身の作品や動画コンテンツなどを自由に投稿できるプラットフォーム「Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム」を開設した。

このプログラムでは各クリエイターが投稿した動画を「ショートフィルム」「おもしろ/ネタ」「トレンド/カルチャー」「モノ/ガジェット」「How to」「専門マスター」という6つのカテゴリーに分類。ユーザーは全ての動画を無料で視聴できる。

投稿されるのはオリジナルの動画コンテンツで、ショートフィルム以外は1〜2分前後の“短尺動画”だ。11月1日時点で各業界で活躍するクリエイター約200名が参加する予定。今後は毎月500本を超える動画コンテンツを、公式サイトのほか「Yahoo! JAPAN」アプリやYahoo! JAPANのトップページなどで配信していくという。

ヤフーでは2012年に専門家や有識者が個人として情報を発信する「Yahoo!ニュース 個人」をスタート。今回のプログラムではYahoo!ニュース 個人で培ったノウハウも活用しつつ、複数のパートナーとタッグを組んでクリエイターをエンパワーメントすることを目指す。

たとえば制作支援においては動画マーケティングや動画メディア事業を展開するViibarと連携。動画制作のノウハウをマニュアル化しクリエイターに無料で提供する(両社は2015年に資本業務提携を締結)。動画コンテンツの制作経験が少ないクリエイターに対しては動画制作ツール「RICHKA」をカスタマイズし、こちらも無料で提供するという。

そのほか著名クリエイターをマネジメントするUUUMやインフルエンサーマーケティングを手がけるサイバー・バズなどとも連携し、新たなクリエイターの活躍支援スキームを構築していく計画だ。

今後は動画コンテンツだけでなく、記事や写真、イラストなど多様なコンテンツにも対応した「総合的な投稿プラットフォーム」へと拡大していく予定。参加クリエイター同士のつながりの強化、ユーザーとのコミュニティづくりやリアルな交流イベントなどにも力を入れるという。

新生delyはこれから、モノを売り、1兆円企業をめざす

写真左より、ヤフー常務執行役員でコマースカンパニー長の小澤隆生氏、dely代表取締役の堀江裕介氏、ヤフー常務執行役員でメディアカンパニー長の宮澤弦氏

本日ヤフーの連結子会社となることを発表したばかりのdely。代表取締役の堀江裕介氏はTechCrunch Japanのインタビューに対し、「1000億円企業で終わるのではなく、1兆円企業をつくる」ための布石だと語った。ヤフーと手を組む新生delyはこれから、モノを売り、上場も目指す。

インフラになる、モノを売る

2016年2月にサービスを開始したレシピ動画サービスの「クラシル」。サービス開始から2年あまりで1200万ダウンロード、290万人のSNSフォロワー数を獲得するまでに成長した。約1週間前の7月5日には同業のスタートアウツを買収したことを発表したばかりだが、堀江氏はその際のインタビューのなかで「レシピ動画サービスのなかでダントツのナンバーワンになるための打ち手」と語っている。

レシピ動画のような領域では、トップのサービスに広告主が集中するため、いかにこの領域でナンバーワンを勝ち取るかが重要になる。そのために打ち出したのがスタートアウツの買収だった。

レシピ動画サービスというメディアビジネスをさらに強化することを考えれば、ヤフーの傘下入りすることも納得がいく。アプリであり、動画というコンテンツを扱うクラシルは、そのフォーマットに慣れた若い世代に受け入れられやすい。それ以外のユーザー層を取り込むには、30代以上のユーザーも豊富に抱えるヤフーとの連携が大いに効果的となる。

具体的には、ヤフーのトップページにあるタイムラインにクラシルのレシピ動画を差し込んだり、検索キーワードを使った連携などを考えているという。

しかし、堀江氏は一方で、レシピ動画というメディア事業だけで狙えるのは“1000億円企業”が関の山だとも話す。1兆円企業となるためには何が必要なのか。堀江氏にとってその答えは、モノを売るサービスを手がけ、人々の生活のインフラになることだった。つまり、食の領域におけるEC事業への参入だ。

「それが、ミールキットを売るのか、食材を売るのかという具体的な形はこれからテストして決める段階。巨大な資本を持ち、コマース事業でモノを売るという知見を持つヤフーと手を組むことで、1兆円企業になるために何か大きなことができると考えた」(堀江氏)

日本では2017年4月にAmazonが、そして昨日の7月10日には同じく料理レシピのクックパッドが参入を発表した食品ECビジネス。これからその領域でのサービス開発を目指すdelyには、同社ならではの強みがあるという。

既存のレシピサービスを利用するとき、ユーザーはいま手元にある食材で作れる料理を検索することが多い。冷蔵庫を見て、豆腐とひき肉が余っているから麻婆豆腐のレシピを検索するという具合だ。その一方で、クラシルを利用するユーザーを調べてみると、おいしそうな動画を通して自分が食べたいものを感覚的に見つけ、それから食材を買いに行くという人が多かったという。レシピを見るとき、ユーザーの手元に食材がないという状況は、これから食品ECを手がけるdelyにとっては大きなチャンスなのだ。

delyの創業は2014年2月。その当時に彼らが手がけていたのはフードデリバリー事業だった。しかし、結局この事業は上手くいかず2015年にメディア事業へピボット。2016年春からは料理動画に注力したが、ピボット時にはスタッフが全員会社を去る事態にも陥った。その苦い経験を忘れないため、当時のサービス名である「dely」を今でも社名として残している。そんなdelyにとって、モノを売るサービスを手がけるのは創業以来の悲願なのだ。

実際、2016年にYJキャピタルが初めてdelyに投資した際に代表取締役を務めていた小澤隆生氏は「当時delyを見たときから、これは“モノを売れる”サービス」だと感じたと話し、そのとき堀江氏が作成していたピッチ資料にも、モノを売るサービスへの展開は明記されていたのだという。

「クラシルは、料理をするユーザーの意思決定を楽にしてくれるサービス。でも、まだまだそれは完全ではない。今でもユーザーは週に2〜3回は買い物に行っている。ユーザーの意思決定を究極的に楽にしたい」(堀江氏)

引き続き上場も目指す

今回、ヤフーはdelyの株式を既存株主から買い取る形で出資比率を引き上げているが、堀江氏自身は1株も売却していない。ヤフーの連結子会社となってからも、引き続きdelyは上場を目指すと堀江氏は話す。

「このニュースを見て、でかいこと言っていたのに売っちゃったのかと勘違いする人もいるかもしれないけれど、僕はあくまで1兆円企業をつくる気でいるし、上場も目指している。キャッシュもまだ数十億単位で残っているから、(勘違いするのは)勘弁してください」と笑顔で堀江氏は話した。

「自分たちの財布の範囲内でできることを考えるのではなく、まずは勝つための意思決定とは何かを考え、それに必要なお金をどうやって調達するかを考える。今後1年間で見えてくる数字をもとに、上場を戦略の1つとして考えたい」(堀江氏)

2017年3月に行った30億円の資金調達、つづく2018年1月の33億5000万円の資金調達など、これまでも大幅にアクセルを踏み込んできたdely。今回のディールにより、delyはヤフーとの連携をさらに深め、新たなサービス開発への挑戦を始める。

ヤフー、レシピ動画「クラシル」のdelyを連結子会社化、株式取得総額は約93億円

7月11日、ヤフーはレシピ動画サービス「クラシル」の運営元であるdelyを連結子会社化すると発表した。同社は2016年より子会社であるYJ2号投資事業組合を通してdelyへの出資を行なっていたが、今回新たに約93億円を投じてgumi venturesや木村新司氏の投資会社であるPegasus Wings Groupなど既存株主が所有する株式を買い取り、議決権所有割合を45.6%にまで引き上げる(本出資以前の議決権所有割合は15.9%)。

delyは今回の出資について、「本取り組みにより、delyは企業価値を更に高め、事業面においてはヤフーが有するメディア・コマース事業等の多様なリソースを活用することが可能となる。具体的には、クラシルのコンテンツをヤフーのメディア・コマース関連サービス等の利用者に対して、利用しやすい形でお届けする取り組みをすすめていく」とコメントした

TechCrunch Japanでは、本日夕方にdely代表取締役の堀江裕介氏にインタビューを行い、続報を掲載予定だ。

実名グルメサービスRettyにYJキャピタルが資本参加、ヤフーと戦略的提携へ

グルメ情報の実名投稿メディア「Retty」を運営するRettyは5月16日、ヤフー子会社のYJキャピタルによる資本参加と、ヤフーとの戦略的パートナーシップを構築すると発表した。

Rettyは2011年6月にサービスを開始した、実名でのグルメ情報投稿サービス。20代から40代の男女を中心に利用者を抱え、2017年5月には月間利用者数が3000万人を突破した。2016年7月にはWiLなどから11億円の資金調達を実施している。

今回の資本参加によるシナジー創出を実現するため、Rettyとヤフーはグルメ情報サービス領域での戦略的提携に合意。ユーザーのニーズに合った飲食店の紹介、飲食店への送客をさらに強化するため、両社で飲食店向けのオンライン予約・集客サービスの開発を検討していくという。

ヤフーでは現在、地域情報サービス「Yahoo!ロコ」での飲食店情報提供、「Yahoo!ダイニング」での飲食店予約受付などのサービスを展開している。また2012年8月に、カカクコムが運営する食べログと、ヤフーからの送客に応じて広告収入を得るという形で連携している。

Retty代表取締役の武田和也氏は、今回の資本参加・連携について「日本最大級のポータルサイトであるヤフーからのRettyへのアクセスは非常に多く、ヤフーユーザーに向けてより充実したグルメサービスを展開していくことは、Rettyユーザーへのサービス拡充にも繋がると判断した」とコメント。

「飲食店向けのオンライン予約・集客サービスの開発については、両社のアセットや強みを最も発揮できる領域であり、かつインターネットにおけるユーザーの強いニーズである『お店が見つかり予約できる世界』を実現するために最良の取り組み」として、この領域からのパートナーシップ構築となった経緯を説明している。

また武田氏は「その他の具体的な取り組みについて現時点では未定」としながら、「Rettyの保有する数百万件の口コミデータや1500万枚超の投稿画像、約80万件の飲食店基本情報と、ヤフーが提供する地域情報サービスとの連携強化などを通じて、Rettyのグルメメディアとしてのさらなる成長を目指したい」と述べている。

ヤフーが仮想通貨とブロックチェーン事業参入へ、子会社がビットアルゴ取引所東京へ資本参加

ヤフーは4月13日、100%子会社であるZコーポレーションを通じて、ビットアルゴ取引所東京へ資本参加することを明かした。

Zコーポレーションではビットアルゴ取引所東京からの第三者割当増資と、親会社であるシーエムディーラボからの株式譲渡を引き受ける。出資額は非公開だがZコーポレーションでは株式の40%を取得する方針。ビットアルゴ取引所東京は同社の持分法適用会社となる。出資時期は2018年4月中の予定だ。

ビットアルゴ取引所東京はすでに仮想通貨交換業者として登録を認められている企業の1社。ヤフーでは同社に資本参加することで、ブロックチェーン関連領域と仮想通貨事業に参入する。まずは同社が持つサービス運営やセキュリティのノウハウを活用して、ビットアルゴ取引所東京による取引所サービスを強固にしていく方針。サービスの開始は2018年秋の予定だ。

つい先日マネックスがコインチェックを36億円で買収したニュースを報じたばかり。GMOグループやDMMグループのようにすでに自社で事業を展開しているケースもあるが、一方では大企業が仮想通貨事業を運営するスタートアップへの資本参加を通じて、新たに参入してくるケースが増えていくのかもしれない。

なおZコーポレーションは、ヤフーの既存事業とは異なる領域へ挑戦するために設立された子会社。宮坂学氏が代表取締役を務めており、2018年3月にはシェアサイクル事業を展開するOpenStreetへ出資することも発表済みだ。

“3D彫刻タワー”で振り返るインターネットの歴史、ヤフーが1474件のトピックを3DCG化

年表を見ながらインターネット業界の主要なトピックを振り返ってみると、いろいろな発見があっておもしろい。

たとえば動画配信サービス「Hulu.com」のスタート、「Twitter」の日本語版公開、「Evernote」の一般公開、「App Store」の開始、「Airbnb」の設立、「Dropbox」の正式サービス開始、「Google Chrome」のリリース ——これらはすべて今から約10年前の2008年に起こった出来事だ。

実はこの情報、ヤフーが本日公開した「インターネットの歴史 History of The Internet」からピックアップしたもの。同コンテンツではインターネットに関する1474件のトピックを全て3DCG化して、“3D彫刻タワー”で表現している。

3DCGで作られた彫刻は、それぞれのトピックにまつわる人物や事柄がモチーフ。スマートフォンやPCで上下にスクロール(ドラッグ)して360度回転させながら鑑賞できるほか、彫刻をタップ(クリック)することで詳細を閲覧できる。

もともとはYahoo! JAPANのサービス開始20周年を記念して、2016年4月に「History of the Internet ~インターネットの歴史~」を公開。デザイン変更も加えながら今回が3回目となる。なお2016年版2017年版については今でも見ることができるので、デザインの違いも含めて見比べてみるのもおもしろいだろう。

ちなみに2005年におきた出来事のひとつとして「TechCrunchの開始」も紹介されている。

FinTechサービスの共同開発に向けてヤフーとSMFGが業務提携、9月には新会社も設立

ヤフー三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMFG)は8月9日、包括的な業務提携に関する契約を締結したと発表した。

両社は今後、ノウハウやリソースを活用した商品やサービスの展開、新たなビジネスモデルの創出などの幅広い連携を行うという。

また、ヤフーとSMFGは2017年9月以降に新たな合弁会社を設立する予定だ。

TechCrunch Japanがヤフー広報部に取材したところ、新会社の持ち分比率は、ヤフーが51%、SMFGが49%となる。また、この新会社の主な業務は、「Fintech(金融)分野のアプリやサービスの開発」と、データ分析、デジタルマーケティングだという。

ヤフーとSMFGといえば、ヤフーによるジャパンネット銀行の連結子会社化のニュースも記憶に新しい。

ジャパンネット銀行は、ヤフーとSMFG傘下の三井住友銀行が41.16%ずつ出資する両社の持分法適用会社。10月に開催するジャパンネット銀行の臨時株主総会を経て、ヤフーの連結子会社化にする予定となっている(その後も、それぞれ出資比率と、ジャパンネット銀行がヤフーと三井住友銀行の持分法適用会社であることに変更はない)。

ヤフー前社長の井上雅博氏が60歳で逝去——米国で交通事故

ヤフーは4月29日、前代表取締役社長である井上雅博氏が4月25日(日本時間26日)、米カリフォルニア州での交通事故により逝去したと発表した。60歳だった。

井上氏は1979年に東京理科大学理学部数学科を卒業。同年ソード電算機システムに入社。1987年にはソフトバンク総合研究所に移り、1992年よりソフトバンクに入社した。1996年にはソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏とともに米Yahooとの合弁会社・ヤフー株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。国内最大のとなるポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を立ち上げ、2012年6月に同社を退任した。

ヤフーでは「こここに生前のご厚誼を深く感謝するとともに、謹んでお知らせ申し上げます」としている。通夜び葬儀、お別れの会の予定は現在決まっておらず、詳細が決まり次第お知らせするとしている。

ヤフーが「SBドライブ」へ出資し自動運転へ本腰、既存事業との連携やデータ活用へ

自動車業界のみならず、通信業界やIT業界の企業もこぞって注目する「自動運転」。また新たに1社、IT業界の雄がこの領域に本腰を入れることが明らかになった。3月24日、ヤフーはソフトバンクは自動運転技術を活用したスマートモビリティーサービスの事業化を目指すSBドライブへ出資したと発表した。出資金額はヤフーが約4.9億円、ソフトバンクが約1.9億円。ソフトバンクについては追加出資となり、累計の出資額は約5.1億円に上る。

SBドライブは、ソフトバンクと自動運転技術を研究・開発する先進モビリティの合弁会社として2016年4月に設立された企業だ。これまでも両社やヤフーの協力を受け、自動運転技術を活用した路線バスといった地域公共交通サービスや、大型トラックの隊列走行による輸送効率化などに取り組んできた。2016年に北九州市、浜松市、鳥取県八頭町、長野県白馬村とスマートモビリティーに関する連携協定を締結しており、2018年度後半には公道での完全自動運転による実証実験を計画している。

以前からSBドライブに協力をしてきたヤフーだが、今回の出資により自動運転分野に本腰を入れる形になる。今後は「Yahoo!地図」などの既存サービスとの連携や、自動運転車を通じて取得できるビッグデータをYahoo! JAPANサービスで活用することで、地域や移動に関するユーザーの課題を解決する「UPDATE MOBILITY」の実現を目指していくという。

ヤフーに限らず、国内でもIT系の大手企業が続々と自動運転を含むコネクテッドカーの領域に参入していることは、TechCrunch Japanの読者のみなさんならすでに知っているだろう。

たとえば2015年5月にZMPと合弁会社「ロボットタクシー」を設立し精力的に自動運転車開発に取り組んでいたDeNAは、2017年1月にZMPとの提携を解消。新たに日産とタッグを組み、2017年内に日産製の自動運転車両を用いた技術的な実証実験の開始、2020年までに無人運転による交通サービスプラットフォームの検証を目標に掲げている。

2017年3月にクラウドAIプラットフォーム「Clova」を発表し注目を集めたLINEに関しても、タクシー配車アプリ「LINE TAXI」を提供しているし、親会社である韓国NAVERが手がける自動運転車はすでにレベル3の段階にあるという。

 

Yahooがテレビ番組視聴サイト「Yahoo View」をローンチ、Huluの動画を無料配信

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Yahooは今朝、コードカッター(訳注:ケーブルテレビからインターネットでのテレビ視聴に切り替えている人)向けに、新しいテレビ視聴サイトYahoo Viewをローンチした。このサイトではHuluの無料コンテンツを提供する。Yahoo Viewは、Huluの番組や映画を無料で視聴する方法の1つとなる。Huluは今回のYahooとのパートナーシップを締結する前から、有料サブスクリプションサービスを促進するために、無料バージョンを縮小する計画を立てていた。

YahooとHuluは、YahooがHuluのコンテンツの配信を請け負うなど、長期に渡るビジネス関係を築いてきた。今回の契約に関しては、半年ほど前から話し合われていたという。
[開示情報: 現在YahooとTechCrunchのどちらもVerizonが所有している]

YahooはHuluにとって「有力パートナー」であるものの、独占的な配信パートナーではない。HuluのコンテンツはComcastやPeople.com、EW、New York ManagizeなどHuluのプレイヤーを搭載するウェブサイトといった複数のソースから視聴可能だ。

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Yahoo Viewでは、ユーザーはABC、NBC、FOXなどのネットワークで配信されるお気に入りの番組の直近の5話分を視聴することができる。各回は放送日の8日後からYahoo Viewで視聴できるようになる。テレビ番組、アニメ、映画、韓国ドラマ、イギリスやラテンアメリカのコンテンツなど合計1000本以上が視聴でき、Huluでおなじみの動画クリップや舞台裏インタビューなどもある。

Yahoo Viewが興味深いのは、Yahooの名前がついたHuluを視聴するためだけのウェブポータルではないことだ。このサービスはYahooが所有するブログプラットフォームTumblrと紐付いている。このサイトは、オンラインでテレビ番組のファンが多く集う場所になっていて、ファンはブログを書いたり、動画クリップ、写真、GIFをリブログ(Tumblrの共有機能)したり、番組の公式ブログをフォローしたりしている。今回の連携で、ユーザーはYahoo View経由で好きな番組を視聴し、すぐにTumblrに飛び込むことができるようになる。

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またサイトには「Beyond the Episode」というセクションがあり、画面内の別枠で動画を再生するピクチャ・イン・ピクチャ機能がある。これで動画を視聴しながら、Tumblrも見ることができる。Yahoo Viewは番組公式Tumblr、ファンコミュニティーとユーザーをつなげ、そこでユーザーは画像を見たり、編集したり、GIFを楽しんだりすることができる。また、ネタバレを防ぐためにこのセクションはブロックすることもできるとYahooは伝える。

「素晴らしいサービスを構築する際にコミュニティーはとても強力です。YahooはTumblrでそれを知っています」とJess Leeは言う。彼女はファンション・スタートアップPolyvoreの共同ファウンダーで経営者だったが、Yahooに買収されたのを機にYahooに加わった。Leeは現在、Yahoo Viewを管轄しているライスタイルプロダクトのVPを務めている。これはMarissa Mayerの「MAVENS」戦略の一環で、その戦略の意図は「ネットワークにおける動画視聴を限りなく上昇させる」ことという。

Yahoo Viewはコードカッターを対象としているが、Yahooが他に配信しているテレビに似たコンテンツの全てがあるわけではない。例えば、Yahooは過去にNFLと試合をライブストリームする契約を取り付けたり、年に1度開催されるウォーレン・バフェットのBerkshire Hathawayをライブ配信している。しかし、これらのコンテンツはYahoo Viewには持ってこない。Yahoo SportsやYahoo Financeといったそれぞれにとって最適な場所で配信される。Yahoo Viewはテレビコンテンツだけを取り扱う。

Yahoo Viewに掲載されるHuluのコンテンツでは広告が表示され、両社はそれに関わる一般的なレベニューシェア契約を締結している。YahooはHuluの動画プレーヤーで独自の広告を掲載することはできないが、Yahoo Viewはウェブサイト自体に広告を掲載するなど他の方法でマネタイズすることができるだろう。

Huluは1200万人近い有料登録者向けの事業だけに集中するため、無料サービスは数週間後には廃止する予定だ。

Yahoo Viewは現在デスクトップから利用できるが、近いうちモバイル経由のウェブサイト、そしてiOSとAndroidのネイティブアプリでも利用できるようになる。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ヤフーとYJキャピタル、テック領域特化の新ファンド「YJテック」を組成

ヤフーと100%子会社であるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)のYJキャピタルがテック領域での投資を強化する。両社は7月27日、ビッグデータやAI、サイバーセキュリティ分野特化の投資ファンド「YJテック投資事業組合(YJテック)」を5月に組成。あわせて国内外2つのファンドへのLP出資を決定したことを発表した。

YJテックは2016年5月末時点で35億円規模(持分割合ではヤフー98.6%、YJキャピタル1.4%)の資金を運用する投資ファンド。米国やイスラエル、日本などで最先端技術を保有するスタートアップ企業への投資を行い、最先端の知見や技術トレンドをYahoo! JAPANが提供するサービスに活用していくことを目指すという。

ファンド組成にあたり、ヤフーコーポレート統括本部企業戦略本部総合事業企画室長/データ&サイエンスソリューション統括本部D&S事業開発室長を兼任する谷口博基氏が専任パートナーに就任する。これに加えて、Yahoo! JAPANの技術領域の3人の執行役員が助言を行う。

またYJテックでは米Data Tribeおよび慶應イノベーション・イニシアティブの両ファンドに対してのLP出資を決定したとしている。Data Tribeはサイバーセキュリティ、アナリティクス、ビッグデータ領域のスタートアップに特化した投資を実施している。また慶應イノベーション・イニシアティブはグリー共同創業者で元副社長の山岸広太郎氏が手がける7月設立の慶應義塾大学初のファンド。IT融合領域、デジタルヘルス、バイオインフォマティクス、再生医療の4分野を中心にして、大学の研究成果を活用したスタートアップへの投資を行うとしている。

「勝算は集客力」ヤフーがスマホゲーム参入

ヤフーがスマホゲームに参入することがわかった。同社の宮坂学社長が2月4日、2015年第3四半期の決算説明会で明らかにした。ヤフーは今年1月、インキュベイトファンドと共同で「GameBank株式会社」を設立。4月以降、スマートフォンやタブレット向けに、ミッドコアゲーム(カジュアルゲームよりも、やりこみ要素のあるゲーム)やコアゲームを投入していく。

メンバーはゲーム会社出身

開発体制は30人。メンバーのほとんどは、セガネットワークスやコーエーテクモゲームス、バンダイナムコ、スクウェア・エニックスといったゲーム会社出身。今後、1年で80人に増員する計画だ。

GameBank執行役員COOの椎野真光氏によれば、開発費は1タイトルあたり1〜2億円。四半期に1タイトルのペースで投入する。同時に、3〜5億円をかけて海外有力タイトルを日本展開することも視野に入れているという。

圧倒的な集客力でライトユーザー獲得へ

スマホゲームの勝算の鍵は「集客力」だ。ヤフーの月間ページビュー数は約605億PV。ヤフーのサービスを利用するために利用されたブラウザ数(ユーザー数とは異なる)は1日あたり約7600万ブラウザに上る。GameBankはテレビCMに加えて、ヤフーの圧倒的な集客力をフル活用すると、椎野氏は語る。

「コアなゲームはコアなユーザーがだけがプレイすると思いきや、一気にマス広告でライトなユーザーが入ってきたりする。ヤフーの送客を使って、初めてオンラインゲームをやるユーザーをどんどん引っ張りたい。インターネット上で最大のトラフィックを持つヤフーがスマホゲームに参入する勝算は、そこにある。」

なぜ今なのか

ところで、なぜ今なのか。宮坂氏は「前々からゲームを作りたかった」と前置きした上で、こう続けた。「これまではゲームメーカーと組んで『ヤバゲー(Yahoo!モバゲー)』を提供してきて、それなりの大きな規模に成長した。ゲームを作れる人材も増えたので、このタイミングでゲーム事業を切り出そうと考えた」。

なお、インキュベイトファンドはこれまで、Gumiやイストピカ、アクセルマークといったゲーム会社に投資してきた実績がある。新会社では「インキュベイトファンドが持つゲーム分野のアドバンテージをうまく事業にいかしながら進んでいきたい」と宮坂氏は語る。インキュベイトファンドが投資するゲーム会社との連携も検討するようだ。