スマートロック×不動産サービスのライナフが東急不動産HDから資金調達

ライナフ代表取締役 滝沢潔氏

スマートロックなどのIoT製品「NinjaLock(ニンジャロック)シリーズ」や不動産事業者向けサービスを提供するライナフは、8月30日、東急不動産ホールディングスが運営するスタートアップ支援プログラム「TFHD Open Innovation Program」から資金調達を実施したことを明らかにした。調達額は非公開だが、1億円以上とみられる。

ライナフは2014年の創業。これまでに、三井住友海上キャピタルおよび三菱地所による2016年2月の調達、三菱地所などが参加した2016年11月の調達、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、長谷工アネシス、住友商事などを株主とする2018年1月の調達を実施しており、今回で累積調達額は10億円以上になる。

老舗メーカーと共同開発したスマートロックがヒット

ライナフでは、スマートロック「NinjaLock」などのIoTハードウェアを提供する一方で、これらを活用した無人内覧サービス「スマート内覧」や、AIを利用した物件確認電話システム「スマート物確」など、不動産事業者向けの業務効率化サービスを展開している。

2019年4月には鍵・錠前メーカーの老舗企業、美和ロックと共同で、住宅向けに完全固定式のスマートロック「NinjaLockM」を開発し、発売した。スマートロックとしては従来製品のNinjaLockと同様、暗証番号やカード(NFC対応ICカードやスマホなどの端末)、アプリでの解錠が可能。賃貸物件をターゲットとしたNinjaLockMでは、このスマートロックとしての基本機能に加えて、「空室モード」「入居モード」の運用モード切り替えができる点が特徴だ。

  1. NinjaLockM_top

  2. NinjaLockM_app

  3. NinjaLockM_keypad

空室モードでは、管理会社や仲介業者が解錠できるように設定され、入居者が決まれば入居モードに切り替え。入居者以外の解錠権限が一括で停止される。賃貸物件での業者間の鍵の受け渡し、管理のコスト削減や、内覧管理業務の効率化を実現でき、発売時から先行して導入を表明していた三井不動産レジデンシャルリース、三菱地所ハウスネットをはじめ、不動産企業や仲介会社からも好評を得ているという。

ライナフ代表取締役の滝沢潔氏は「大手建設業者、不動産業者は、賃貸住宅のスマートロックに高い信頼性を求めている。NinjaLockMは固定式で、美和ロックが定める品質検査をクリアした高品質の住居用スマートロックということで、多くの問い合わせがあった。今後の新築マンション全棟に標準で導入すると決まったところもある」と話している。

当初1万台程度を予定していた来年1年間の販売予測は、引き合いの多さから目標10万台に変わった、と滝沢氏。新築への導入だけでなく、既存の賃貸マンションでも、退去時の鍵交換の際にNinjaLockMへの入れ替えが進んでいるということだ。

滝沢氏によれば、老舗メーカーとテクノロジーベンチャーが手を組む動きは、錠・鍵の領域でも世界的な潮流だという。2017年12月にはスウェーデンの老舗メーカーAssa Abloyが、米国のスマートロックスタートアップAugust Homeを買収している。「品質のよいものをつくる老舗と、サーバー運用やUI/UXに明るいベンチャーが組むことで、よりよいものができる」と滝沢氏は語る。

「賃貸物件は固定式スマートロックにシフトするだろう」

ライナフではこれまで、スマートロック単体ではなく、不動産管理に注目したサービスとの組み合わせにより事業を展開してきた。物件管理のためのWebサービスと鍵が連動している点が評価されたことで、「住居、賃貸物件に主戦場が絞られてきた」(滝沢氏)という。こうした動きに伴って、ライナフは8月23日付で会議室の空室管理サービス「スマート会議室」を、遊休不動産活用事業を展開するアズームへ事業譲渡している。

スマートロックには、家電量販店などで販売され、個人が中心ターゲットのQrio(キュリオ)や、同じく一般家庭向けで月額360円のサブスクリプション型で利用できるBitkey(ビットキー)の製品、入退室管理システムと連携し、オフィス向けに導入が進むAkerun(アケルン)などがある。

滝沢氏は、賃貸物件市場に焦点を当てたことで、これらのスマートロックとライナフ製品とは「全くバッティングしなくなった」と述べている。「後付け型のスマートロックは、賃貸物件で入居中もそのまま使うには、やや心許ない。今後、後付け型ロックは管理のために空室の間だけ付けるものとなり、入居中も使えるものとしては固定式のスマートロックへとシフトしていくだろう」(滝沢氏)

ライナフでは今回の調達発表と同時に、東急住宅リースと資本業務提携を締結したことも明らかにした。今後、賃貸物件管理やマンション管理業務で連携していくとしている。

今回の東急不動産HDからの出資により、ライナフの株主には日本の大手不動産プレイヤーが、ほぼそろった形となる。これは以前から「1社に限らず、不動産業界全体からの応援を受けたい」とする滝沢氏の意向にも合致するものだ。

ライナフには、将来的にはスマートロックを活用したサービスを通じて、住居のセキュリティを保ちながら、買い物代行や家事代行などのサービスを安全に家に取り入れる、という構想もある。

8月2日には、置き配バッグ「OKIPPA」を提供するYperと連携し、宅配伝票番号だけでオートロックマンションのエントランスを解錠、自宅のドア前まで置き配配達を可能にする取り組みを始めた。「ライナフが自社だけでこうしたサービス開発を行うのではなく、宅配に特化したYperと連携して、オープンイノベーションとして取り組む方が、より効率よく課題を解決できる」と滝沢氏は話していた。

和製Amazon Homeとなるか、スマートロック活用で不在でも宅配・家事代行サービスが受けられる新プロジェクト

写真左から:セーフィー 小室氏、パルシステム東京 小林氏、ホワイトプラス 井下氏、ライナフ 滝沢氏、honestbee 宮内氏、タスカジ 和田氏、ベアーズ 後藤氏

スマートロックをを軸に不動産サービスを展開するスタートアップ、ライナフは1月30日、家に不在でも宅配や家事代行サービスが受けられる「サービスが入ってくる家」プロジェクトを2月下旬より開始することを発表した。東京都大田区にある36居室の新築賃貸マンション1棟で、同社のスマートロック「NinjaLock(ニンジャロック)」を全戸に導入。オートロックの共有エントランスを開錠するシステム「NinjaEntrance(ニンジャエントランス)」も設置し、宅配や家事代行サービスを提供する5社との提携により、不在時にもサービスが受けられる住まいを提供する。

提携先企業は、生鮮食品宅配サービスのパルシステム東京、宅配クリーニングのホワイトプラス、買い物代行サービスを提供するhonestbee Japan、家事代行スタッフのマッチングサイトを運営するタスカジ、家事代行サービス提供のベアーズの各社だ。また、ライナフのスマートロックとは別にIoT機器として、玄関部分を撮影するためのクラウドカメラ「Safie(セーフィー)」をセーフィーが提供する。

個別の各サービスの利用料金は利用者が各社へ直接払うが、IoT機材等設備の初期費用や通信・保守など運用に関わる料金は、居住者ではなく、物件の所有者や不動産管理会社などが負担する形となる。

ライナフはこれまで、スマートロックなどのIoTハードウェアと連動して、不動産オーナーや管理会社向けに空室活用のための「スマート内覧」「スマート会議室」「スマート物確」といったサービスを提供してきたが、「サービスが入ってくる家」プロジェクトを機に、住まいに関する生活関連サービスにも取り組む。

プロジェクト推進のため、あえてアナログな運用を選択

ライナフ代表取締役社長の滝沢潔氏によれば「プロジェクトにあたっては、大きなシステムは作っていない」とのこと。「いろいろな提携先と新しいことを始めよう、というときにスマホアプリを新たに作ったり、端末を配布したり、といった大がかりなことをやろうとすると、だいたいプロジェクトが進まなくなるので」と滝沢氏は言う。

その代わりに、このプロジェクトのためにライナフが用意したのは、スマートロックなど既存のIoTハードウェアと、24時間運営のオペレーション専用コールセンターだった。

共有エントランス部分と居室玄関ドアに設置されたスマートロックを開錠するのは、提携先サービススタッフではなく、コールセンターが担当。宅配サービスや家事代行に訪れたスタッフがコールセンターへ電話をかけると、オペレーターがサービスの予約状況を照会。スタッフの本人確認のための質問をいくつか行い、インターネット経由で鍵の開閉を遠隔操作する。

滝沢氏は「あえてアナログに、コールセンターへの電話による運用にした。これは、事業者の担当スタッフが必ずしも全員がスマートフォンを持っているわけではないことや、リテラシーなどに配慮した結果。ゆくゆくは自動化したいが、今の段階ではこれが最適と考えている」と話している。

入居者は、スマートフォンのNinjaLock専用アプリで、いつでも玄関ドアの開閉履歴を確認することができる。また、玄関部分の映像をスマートフォンアプリから確認できるクラウドカメラSafieと、玄関ドアとは別の錠前付き室内扉を設置することで、不在時のセキュリティが強化されている。

セキュリティと言えば、スマートロックの安全性への疑問や、室内にネット経由でアクセスできるカメラが設置されていることへの不安を持つユーザーもいることだろう。この点に関して滝沢氏はこう説明している。

「カメラについては、室内全体を撮影するものではなく、あくまで玄関の出入りをチェックするためのものなので、玄関だけを写すように設置する。また、スマートロックだけでは心配、という方のために別途鍵がかかるドアを内側に用意している。それでも気になる、という方もご心配なく。これらの機材はすべて電気で動作するので、電源や電池を抜けば動かなくなる。『サービスが入ってくる家』に利便性を感じてもらえて、より良いサービスを受けたい、と納得していただけたなら、また使ってもらえばよいと考えている」(滝沢氏)

物流のラストワンマイルが変化するのではないかとの期待

滝沢氏は、2017年3月の取材でも「サービスが入ってくる家」のコンセプトについて語っている。スマートロックを設置した家の外側・内側の2枚のドア。ドアとドアの間に設けられたサービスゾーン。サービスゾーンで受け渡しされる荷物・食材やクリーニングなどの宅配サービスと、内側のドアの奥まで入って提供される家事代行サービス。今回のプロジェクトはおおむね、これらを踏襲したものとなった。滝沢氏は、プロジェクトを「IoTで実現する現代版の土間」と表現している。

プロジェクト発足の背景には、単身世帯、共働き世帯の増加と、インターネット通販などによる宅配、家事代行サービスのニーズの高まりがある。

宅配サービスや家事代行サービスの利便性を、より享受したいはずの単身者や共働き世帯ほど、日中家を空けることが多くて、宅配物の受け取りや家事代行スタッフとの鍵の受け渡しが難しい。ライナフでは、これからの不動産には「家主不在時でも安心してサービスを受けられる家」が求められる、として、広さや機能などのハード面だけでなく、ITを利用して柔軟にサービスが受けられる、ソフト面が充実した住まいを提供すべく、今回のプロジェクトを立ち上げた。

滝沢氏は「今回、プロジェクトにパルシステムなどの宅配サービスが提携先として参加し、宅内への配送を行うことに注目している」と言う。「大手の宅配業者は、防犯などの観点から宅内への配送に対して消極的。今回の提携先の宅配サービス運用がうまくいくようであれば、今後、宅配便の大手に参画してもらうことも期待できる。物流のラストワンマイルの変化を促すことにもつながる」(滝沢氏)

確かに現状でも宅配ボックスを利用して、不在時に荷物を受け取ることは可能だが、ミネラルウォーターなど重い荷物は、玄関先まで運んでほしいものだ。滝沢氏は「近所の八百屋や魚屋、弁当屋から配達されたものを、玄関の内側に置いた冷蔵庫に入れておいてもらえるようになれば、新鮮でおいしい食材を帰宅してすぐに手に入れることができる。ひいては商店街など、地域の活性化にもつながれば、とも考えている」とも語っている。

「日本初の不在時サービス対応マンション」となる今回のプロジェクト対象物件は、賃貸マンションで新築だが、滝沢氏によれば「我々が提供するスマートロックもスマートエントランスシステムも後付けタイプなので、大がかりな工事不要で設置できる。既存の物件の価値向上のために利用してもらうことも歓迎する」とのこと。1棟単位でなく、物件ごとでの利用も可能だという。

また賃貸だけでなく、分譲マンションにもサービスを広げたいと滝沢氏は話す。現在、スマートエントランスシステムのNinjaEntranceは東京と大阪を中心に130棟のマンションに設置されているが、分譲マンションでは、共有エントランスへの開錠システム設置に管理組合の許可が必要で、これまで導入のハードルが高かった。滝沢氏は「各社との提携によりサービスをパッケージ化することで、住まいの価値向上や便利さを提供し、単なる開錠機能だけではないサービスを広げたい」と語る。

「宅内へのサービス提供には、不動産管理会社も乗り出したいと考えているはずだ」と滝沢氏は続ける。「ただ、宅内プラットフォームでは『宅内へ入っていく』こと自体に、うさんくさいイメージもついてまわりがち。ライナフが、サービス提供会社をまとめて巻き込むのを担当することで、管理会社も取り入れやすくなるのではないか」(滝沢氏)

サービスを提供する提携各社はそれぞれ、プロジェクトに以下のような期待を寄せている:

「生鮮品宅配サービスで課題となる再配達が解消されること、配達担当の残業が削減できること、利用者の不満が軽減できることで、コストの削減や雇用問題の解決にもつながるのではないかと考える」(パルシステム東京 事業運営部部長 小林秀信氏)

「宅配クリーニングを手がける当社でも、物流のイノベーションにつながるサービスを検討している中で、こうしたプロジェクトでノウハウが得られればと思っている」(ホワイトプラス 代表取締役社長 井下孝之氏)

「このプロジェクトが地域コミュニティの活性化、地域への貢献につながるのでは、というところにワクワクしている。家事コンシェルジュサービスの日本へのローカライズのきっかけとしても期待している」(honestbee Coutry Manager 宮内秀明氏)

「鍵の受け渡しは家事代行では大きな課題。顧客もハウスキーパーも互いに安心してサービスの利用・提供ができるのは良いこと。宅配や買い物代行で受け取った食材をキーパーが料理するなど、家事の“ラストワンマイル”サービスを提供できるプラットフォームにもなると思う」(タスカジ 代表取締役社長 和田幸子氏)

「今までの家事代行サービスでは、レポートなどアナログなログしか残せなかったが、クラウドカメラやドアの開閉記録が残ることで、行動ログをデジタルに残すことができる。サービス品質の向上も目指せると考えている」(ベアーズ マーケティング部部長 後藤晃氏)

米国ではAmazonが、スマートロック連動で不在時でも家の中に荷物を届けてくれる「Amazon Key」サービスを、2017年11月から一部地域でスタートしている。配達以外ではハウスクリーニングのMerry Maidsや、ペットシッターサービスのRover.comなど、1200以上のサービスを「Amazon Home Services」として、今後数カ月以内に提供していく、ということだ。

滝沢氏は「日本では米国から半年から1年遅れて、同様のサービスが始まることが多い。それを考えれば、実証実験ではなく実サービスとしては日本初のスマートロックを活用した不在時の宅内サービスが、数カ月遅れでスタートするのだから、そう遅れていないだろう」と話している。「住宅×IoT×サービスの分野では、日本はよいポジションにあると考える。配送サービスのクオリティの高さもあわせて考えれば、アメリカより上という見方もできる」(滝沢氏)

「サービスが入ってくる家」が普及すれば、宅内サービスのセキュリティに対する考え方が変わるのではないかと滝沢氏は言う。「利用が浸透してきた家事代行サービスの世界では、実は、合い鍵を預かって不在宅でサービスを提供するケースが6割を超えるとも聞いている。このサービスでも普及にともない『不在でも大丈夫みたい』『便利』といった評判が広まれば、玄関“内”でサービスを受けることが当たり前になっていくだろう」(滝沢氏)

不動産テックのライナフが伊藤忠テクノロジーベンチャーズなど5社から3.2億円を資金調達

スマートロックなどのIoTデバイスを切り口に不動産サービスを展開する、不動産テックのスタートアップ企業ライナフは1月25日、伊藤忠テクノロジーベンチャーズをリード投資家として、長谷工アネシス住友商事、FFGベンチャービジネスパートナーズ、既存投資家である三井住友海上キャピタルを引受先とした、総額3.2億円の第三者割当増資の実施を発表した。

今回の資金調達は、三井住友海上キャピタルおよび三菱地所が出資に参加した2016年2月、三菱地所、DGインキュベーション、西武しんきんキャピタル他が参加した2016年11月に続くもので、シリーズBラウンドにあたる。

ライナフでは、スマートロックの「NinjaLock(ニンジャロック)」、オートロック付きの共有エントランス向け開錠システム「NinjaEntrance(ニンジャエントランス)」をIoTハードウェアとして提供。また、これらのハードと連動して、不動産オーナーや管理会社向けに「スマート内覧」「スマート会議室」「スマート物確」といったサービスを提供してきた。

ライナフ代表取締役の滝沢潔氏は「今回の調達は資本・業務提携としての目的が強い」と話している。「これまでの株主構成では、どうしても既存株主のための事業展開と見えてしまう。不動産各社へのサービス提供も進めているが、サービスの単なる“運用”から“拡大”へと進むために、一社に限らず、さまざまな不動産プレイヤーからの応援をいただいているという形にしたかった」(滝沢氏)

大手不動産プレイヤーとして新たに株主に加わった長谷工アネシスは、長谷工グループのサービス事業を行う企業で、マンション販売や賃貸マンションの管理事業などに加え、スマートマンション事業や保険サービスなども手がける。ライナフでは今後同社と、マンション建設や不動産事業、住宅関連サービスへのICT活用について検討していく予定だ。

また住友商事とは、同社が保有する不動産や販売するマンションへのサービス導入を検討してもらうほか、商社として、海外展開への支援をライナフとしては期待しているという。

福岡銀行グループのVCであるFFGベンチャービジネスパートナーズについては、銀行と地元不動産会社との金融機関としてのつながりを生かし、九州地域への進出で協業する予定で、滝沢氏は「これを機に関東以外への進出も強化していく」としている。

今回の調達資金は、営業体制強化のための人材採用のほか、「カスタマー・サクセス」部門の強化にも充てる。滝沢氏は「現在提供しているサブスクリプション型のサービスで、投資の回収を完了して収益を上げるためには、顧客に2年目以降も継続していただくことが重要。新規顧客の開拓はもちろんだが、既存顧客への定期訪問などでより多くの物件へのサービス導入をお勧めし、さらにその顧客がまだ利用していない新サービスも使ってもらえるような体制づくりを行っていく」と説明している。

なお、ライナフでは既存の空室向けサービスのほかに「住生活領域についても、日本初となる新しい取り組みを予定している」として、1月30日に新サービスを発表するそうだ。滝沢氏の話では、どうやらそれは、2017年3月のLIXILとの提携の際にTechCrunchが取材で聞いた、スマートホームならぬ「スマートドア」構想と関係しているらしい。

このスマートドア、あるいは「サービスが入ってくる家」と滝沢氏が呼ぶ構想は、米Amazonが2017年11月から開始した、不在時でも家の中に荷物を届けてくれるサービス「Amazon Key」と似ている。

2017年3月の取材当時の滝沢氏の話では、スマートロック付きのドアが家の外側と内側の2カ所に設置され、不在でもドアとドアの間で荷物の受け取りやクリーニングなどの宅配サービスが受けられ、内側のドアが開けられるキーを発行すれば家事代行サービスも受けられる、というサービスが想定されていた。どのようなサービスになるのか、発表の内容も追って記事にする予定だ。

不動産テックのライナフがアットホームと業務提携——AI音声認識で仲介会社に物件情報を提供

スマートロックと、それに連動する不動産管理ソリューションを展開するライナフ。これまでにも、オンラインで物件の内覧を予約し、セルフ内覧ができる「スマート内覧」や、貸し会議室の予約、スマホや電話での入室が可能な「スマート会議室」といったサービスを提供してきた。そのライナフが新たに提供し始めたのが、AIによる音声認識で物件確認の電話に自動応答するサービス「スマート物確」だ。ライナフは9月15日、不動産情報サービスのアットホームとの業務提携を発表。スマート物確をアットホームの加盟・利用不動産店に対して、9月27日より提供開始する。

ライナフ代表取締役の滝沢潔氏によれば、準大手の不動産管理会社の場合、仲介会社から物件の成約状況や紹介可否を確認する電話は、1日600件ほどかかってくるという。現状では管理会社では、問い合わせのたびにExcel表などを確認しながら回答することになるのだが、この業務の負荷を自動音声応答で軽減しようというのが、スマート物確の狙いだ。

「物件名にしか反応しない」独自の音声認識システム

スマート物確では、仲介会社が物件確認専用の番号に電話をかけると自動アナウンスが流れ、物件名を声に出すとAIが音声認識によって物件を特定し、その物件の情報を自動で応答する。

物件確認の自動応答システムでは、すでにイタンジが提供する「ぶっかくん」があるが、滝沢氏は「ぶっかくんでは、電話をかけると、物件名ではなく賃料や部屋番号、専有面積をプッシュ入力することで物件を絞り込んで特定し、物件情報を答える仕組みになっている。スマート物確は、より人の会話に近い形を目指した」と既存サービスとの違いを説明する。「音声で物件名(建物名)を言うと、対象が1室であればその部屋の情報をすぐにアナウンスする。複数の空き物件がある場合は、そこで部屋番号を入力する仕組みだ」(滝沢氏)

物件名を検索の基準とするスマート物確では、賃料などの条件変更があり、仲介会社が把握する賃料と自動応答システムのデータベースの賃料との間に相違がある場合でも、物件を特定することが可能となっている。

実際に、スマート物確の自動音声対応が聞けるデモ番号に電話をかけて、試してみた。アナウンスに従って、サンプルの物件名を声で話すと物件の検索が始まり、約10秒ぐらいで物件を確認する音声が返ってくる。音声でも思った以上にスムーズに検索ができる印象だ。

スマート物確の音声認識システムは、物件名だけを認識する不動産専用のものだという。滝沢氏は「いろいろな音声認識APIを使ってみたのだが、これまでのGoogleなどの音声認識システムでは、日常会話には強いが、固有名詞の認識で弱いことが分かった。そこでオープンソースの音声認識プログラムに手を加え、エンジンを自社開発した」と説明する。

管理会社はスマート物確で、物件ごとに読み上げる回答項目を設定、追加できる。また、営業時間の案内なども設定することが可能だ。

応答項目設定画面

さらにどの物件に、いつ、どの仲介会社から電話がかかってきたかを確認できる受信履歴画面や、問い合わせの多い物件が把握できる、受電ランキングなどの機能も備わっていて、物件の分析やマーケティングに活用することもできる。

物件ランキング画面

スマート物確では、自動音声案内だけではなく、仲介会社がオペレーターと直接話したいという場合には、通話を切り替えることもできる。滝沢氏によると、今回の本格リリースの前にベータ版を実際の業者で使ってもらった例では、半数以上の問い合わせが物件情報の自動音声案内のみで完了しているケースもあるそうだ。ベータ版の不動産会社による導入も進んでおり、9月15日現在の管理物件数は既に10万室を超えたという。

「電話は重要なチャネル」「他社連携さらに進める」

ライナフでは、不動産業界での問い合わせや予約で、いまだに電話は重要なチャネルだと捉えている。「宅配便の再配達や飲食店の予約でも、やはりネットよりも“確実に申し込みできた”という印象が強いのが電話。今後、スマート物確を内覧予約システムのスマート内覧ともつなぎ込み、年内にもリリースする予定だ。これにより、物件の空き状況の確認から内覧予約、現地の開錠と内覧までを、ネット経由に加えて電話でも行えるようになる。さらにスマホへの普及率が9割を超える、LINEとの連動も進めていく」(滝沢氏)

ライナフはスマートロック「NinjaLock」を切り口としてはいるが、以前から滝沢氏が取材で述べているように、“不動産管理”を軸にした不動産テックサービスを提供する姿勢を貫いている。その過程の中で、不動産の物件情報、予約情報、鍵情報を集め、一元的に管理するデータベースを構築してきた。滝沢氏は「これまでの物件内覧、貸し会議室などのサービスに加えて、他社への情報提供も視野に入れている。ホテル業界での予約・在庫管理ASPのようなサービス提供を、不動産の分野で目指している」と話している。また賃貸物件だけでなく、Airbnbやスペースマーケットなどが扱っているような短期の空きスペースの物件、時間、鍵の情報についても、他社へ一括で提供できる仕組みを検討しているそうだ。

今回のアットホームとの提携も、そうした他社への情報提供やサービス連携の一環だと滝沢氏は言う。「アットホームは5万4000店舗の販売網を持ち、また元々ファクトシート(物件情報の図面)の印刷・配布では最大手の企業。不動産情報のネットワーク化を進め、不動産業務の支援サイトも提供しているアットホームとの情報、システム連動を進めることで、業務の効率化、データ化も進み、不動産業界自体が一歩先へ進むと考えている」(滝沢氏)

ライナフがスマートロック新製品、LIXILと共同開発する「スマートドア」構想も

スマートロックを切り口に不動産テックサービスを展開するライナフは3月30日、スマートロックの新機種「NinjaLock2」を公開した。製品は5月より予約販売を開始する。あわせて、住宅設備・建材大手のLIXILと共同で、IoTを活用した新サービスの研究開発をすると発表した。

各種サムターン錠への対応で海外進出するNinjaLock2

まずは新製品のNinjaLock2について見ていこう。NinjaLock2は、サムターン錠の上からかぶせることで、アプリをインストールしたスマホやタブレットとBluetoothで通信して錠の開閉ができるスマートロック「NinjaLock」の後継機種となる。

 

従来製品との違いのひとつは、オプション製品のキーパッドとの連動だ。キーパッドはFeliCaと数字キーによる暗証番号入力とに対応しており、部屋のドアの外側に取り付けられる。ライナフ代表取締役の滝沢潔氏は、キーパッドの追加について「民泊での利用を意識した」と言う。「来日した外国人観光客には、モバイルでのネット環境が整っていない人も結構多く、従来品のスマホアプリや携帯電話からの開錠操作では不十分だった。そのため暗証番号による開錠にも対応することにした」(滝沢氏)

 

従来のスマホ操作による開錠設定と同様、暗証番号にも、3日間だけ使えるものを発行するといった期限を設けられるほか、同時に50個までの異なる番号を発行することにより“誰が開錠したか”を追跡することも可能だ。また、SuicaやPASMOなどのICカードを、日常的にカードキーとして利用することもできるという。

NinjaLock2本体のほうでは、対応するサムターン錠が増えたことが大きな変化だと滝沢氏は話す。「サムターンの回転角度を5度単位で、720度(2回転)まで設定できるようになった。また、サムターンにかぶせる部分は特許を申請中で、どんなサムターンの形状でも挟み込めるようにした。これまで必要だったアタッチメントの交換が不要になる」(滝沢氏)

サムターンの90度回転が一般的な日本だけでなく、海外の錠にも対応できるようになったNinjaLock2は、アジアでも同時発売するそうだ。「米欧はまだだが、まずはアジア地域で販売を開始する予定。台湾や香港では展示会への出展も決まっている」(滝沢氏)

新機種ではそのほかに、本体内に時計(リアルタイムクロック)を内蔵したことで、「毎日夜10時になったら自動施錠する」など、開閉動作を予約することができるようになっている。

NinjaLock2を受託生産するのは、鴻海精密工業に次ぐ世界第2位のEMS(受託生産業者)、Flextronicsだ。「思いがけず、大きな企業と組めることになった」という滝沢氏は「高い品質のスマートロックを提供できると期待している」と話している。

方向性の違いが見えてきた、日本のスマートロック3社

NinjaLock2は、すでに提供されている他のスマートロック製品と、見た目や物理的な機能ではそれほど大きな差があるようには見えない。新製品投入で、ライナフが目指すものは何だろうか。

滝沢氏は「日本でスマートロックを扱うスタートアップ3社は、ここへ来て方向性に違いが出てきている」という。「WiLとソニーが設立したQrioはメーカー色が強く、ハードウェア(ガジェット)としてのスマートロックを提供している。Akerunシリーズのフォトシンスは『Akerun Pro』を月額9500円のレンタルプランでのみ提供し始めた(関連記事)ことで、法人オフィスのセキュリティ需要に応えていて、セコムやALSOKが提供してきたサービスのリプレースが主戦場となってきている」(滝沢氏)

そうした中、ライナフがスマートロックで狙うのは、あくまでも「不動産テック」だと滝沢氏は言う。滝沢氏は2016年11月の取材でも「不動産の流通と活用を促すためのテクノロジー」として、NinjaLockとの組み合わせにより不動産物件を“セルフ内覧”できるサービス「スマート内覧」や、貸し会議室を予約・利用できる「スマート会議室」を紹介していた。

「スマート内覧はサービス提供開始から半年で、内覧数を2.5倍に増やしたところもある。一方で、サービスの提供にあたっては、スマートロックの付け外しに課題があった。NinjaLockの取り付けには両面テープを使っていたが、粘着力が強すぎるとはがす時に大変だし、弱すぎては錠としての意味がなくなる。そこで新製品のNinjaLock2では、オプションに強力な磁石でロックを取り付けることができる、マグネットパーツを用意した」(滝沢氏)

キーパッド等のデバイスとの組み合わせや、時計の内蔵による開閉動作予約など、NinjaLock2の新機能も、物件の貸し出しや民泊としての利用といった不動産活用を促進することにフォーカスした結果ということのようだ。

スマートホームではなく「スマートドア」でサービスを家に取り入れる

そして、さらに新しい不動産価値を生み出そうと考えられているのが、今回のLIXILとの提携による共同研究開発による「スマートドア」構想だ。

滝沢氏は「これからの住まいのコンセプトは、サービスが家に入ってくることだ」という。「不動産の価値を時代別に見ていくと、バブル期は狭いワンルームをできるだけ多く供給・保有する、という考え方だった。2000年代に入ると、バス・トイレが一つになったバブル期物件の人気はなくなり、リビングを広く取った物件が好まれるようになった。居住する人数が減ったことで物件当たりの部屋数が減り、1LDK、2LDKといった部屋割りが増えた。そして2020年代、働き方改革で共働き世帯が増えることなどから考えられるのが『サービスが入ってくる家』というコンセプトだ」(滝沢氏)

具体的には、スマートロックが内蔵されたドア(スマートドア)が家の外側と内側の2カ所に設置され、ドアとドアの間に土間のようなサービスゾーンが設けられた構造が想定されている。

「サービスゾーンには棚、ハンガーラック、冷蔵庫が置かれている。スマートドアが設置された家に入ってくるサービスとして考えられるのは三つ。一つは宅配便。ワンタイムの鍵で外側のドアを開けて、サービスゾーンの棚に荷物を置いていってくれるというもの。二つ目は食材やお弁当、クリーニング、洋服レンタルなどの宅配サービス。食材やお弁当なら冷蔵庫に入れていってもらって、帰宅したらすぐに食べられるとか、クリーニングに出したいものをハンガーラックにかけておけば回収して、仕上がったものはまたハンガーラックにかけていってくれるといったことを考えている。三つ目は家事代行。家事代行では、内側のドアも開けられるキーを担当者ごとに発行して、サービスを受けることを想定している」(滝沢氏)

また家事代行については、株主である大手デベロッパーとともに不動産の付加価値を上げる施策として、賃貸マンションをターゲットに一棟まるごとサービスを提供することも検討しているという。

ライナフは2016年にLIXILアクセラレーター・プログラムでアライアンス賞を受賞し、新たな住まい・暮らし方の実現に向けた協働検討を行っていた。今回、新しいコンセプトのIoT建材と新サービスの研究開発を共同で行うことで両社が合意。LIXILとの連携では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の企業間連携スタートアップに対する事業化支援事業に採択され、NEDOから最大7000万円の助成金が交付されることも決定している。滝沢氏は、開発実施から半年間ほどでサービスをローンチしたい、と話している。

滝沢氏は「住まいとIoTというと、スマートホームが取り上げられがちだが、現時点で大きな進展はなく、ユーザーも顕在化していない。Apple Homeなどとの連携も検討はしているけれど、今はスマートホームよりは『サービスを家に入れるドア』というところに開発リソースを集中したい。IoTは生活を豊かにするべきものだし、共働きの人も高齢者も生活が豊かになるサービスを考えたい」と語る。「それから宅配サービスもいいけれど、スマートドアは商店街の八百屋さんや魚屋さん、クリーニング屋さんといった地域のサービスも家に取り込むことができると思っている。地域と不動産との結びつきも強くできるコンセプトだと考えている」(滝沢氏)

スマートロックを切り口に不動産活用サービスを展開するライナフ、総額3.9億円を資金調達

ライナフ代表取締役の滝沢潔氏

ライナフ代表取締役の滝沢潔氏

スマートロックを利用した不動産活用サービスを提供するライナフは11月4日、三菱地所、DGインキュベーション、西武しんきんキャピタル、他を引受先とする総額3.9億円の資金調達を実施したことを発表した。設立からちょうど2年を迎えたライナフは、今回の調達を元にウェブサービスやハードウェアの開発と、人材採用の強化を図る。

自らも不動産投資を手がけるライナフ代表取締役の滝沢潔氏は、「保有する物件で空き室をいかに減らすかで頭を悩ませたこともある」と言い、そうした経験から、空き室活用を支援するビジネスを検討し始めた。空き室・空きスペースの活用を促すサービスとして真っ先に思い浮かぶのは「AirBnB」や「スペースマーケット」といったマッチングサービスだが、滝沢氏は「大量の物件を抱える不動産の保有者は、実際にはほとんどこうしたサービスには登録していない」という。では、大量の不動産を活用するために必要なソリューションとは何か。滝沢氏が目を付けたのは、空き部屋や空きスペースの無人運用を可能とする、スマートロックだった。

NinjaLock

サムターン錠に装着されたNinjaLock。

ライナフでは、サムターン錠の上からかぶせることで、アプリをインストールしたスマホやタブレットとBluetoothで通信して錠の開閉ができるスマートロック「NinjaLock」を開発。2015年6月には量産品をヨドバシカメラで販売開始した。2016年8月には、建物入口のオートロックの自動ドアに設置することで、遠隔開錠やアプリでの開錠が可能なIoT製品「NinjaEntrance」もリリースしている。

だが、ライナフの収益の本命は、スマートロックなどのIoTハードウェアではない。「IoT製品単体での収益化は、製品を動かすために稼働し続けるサーバーのランニングコストを考えると難しい。ウェブサービスとの組み合わせ、不動産活用のためのサービスとのワンパッケージ化によって、ハードの利用料としてではなくサービスの利用料としてなら、ある程度の金額を払ってもらえるようになり、ビジネスとして成り立つ」(滝沢氏)。

スマート内覧の鍵操作画面

スマート内覧の操作画面。

2016年2月、前回のライナフの調達発表の際、同時に発表された「スマート内覧」は、NinjaLockを利用した不動産流通を促すためのサービスパッケージのひとつ。物件の内覧希望者がウェブで内覧日時を予約しておけば、スマホや携帯電話で物件の開錠ができるため、不動産管理会社や仲介業者が同行することなく“セルフ内覧”が可能なサービスだ。室内のタブレットとスマートロックがBluetoothで通信しており、訪れた人はスマホのブラウザ経由か、音声通話の自動ガイダンスに従ってプッシュトーンで開錠する。音声通話による開錠は、仲介業者の間でまだまだスマホが普及していないことに配慮したものという。室内のタブレットのアプリは、訪問者に物件の詳しい情報を提供するほか、管理会社から室内を確認するために写真を撮影したり、訪問者が管理会社に質問をするための通話や仮申し込みにも利用できる。累計導入室数は100室を超え、2016年度のグッドデザイン賞をソフトウェア・サービス・システムの分野で受賞した。「室内タブレットには今後1年以内に、AIコンシェルジュも搭載していく」と滝沢氏は言う。

室内タブレットに表示されるウェルカム画面

スマート内覧の室内タブレットに表示されるウェルカム画面。

訪問した物件の情報もタブレットで確認できる

訪問した物件の情報も室内タブレットで確認できる。

また、住友不動産ベルサールと共同で開発し、2016年7月にリリースされた「スマート会議室」は、やはりNinjaLockを活用した、無人で貸会議室の運営が可能なシステム。スマート内覧と同様、部屋と日時を選んでウェブで予約し、予定日時になったら部屋をスマホなどで開錠して利用する。こちらは、そのまま決済まで完了できる。引き合いも増えているそうで、今年度内に導入100室突破を予定。今後、清掃手配や仕出し弁当の注文、備品レンタルなど、関連する付加価値の高いサービスを提供していくという。

スマート会議室の操作画面

スマート会議室の操作画面。

「空き室・空きスペース活用の場面は不動産流通の場面より利用頻度も高く、今後目を向けていきたいジャンル」という滝沢氏。賃貸物件としての空き室についても、内覧などがない時間帯に時間貸しができるように、とスマート内覧とスマート会議室が融合したサービスも目論んでいるそうだ。

「不動産を活用するためのテクノロジー」「不動産を活用するためのサービス」と何度となく口にした滝沢氏は、「物件オーナーやユーザー、業界それぞれの目線で見て、売れると分かっているものができたから増資した。これで営業や広告、マーケティングを強化すれば絶対に伸びる」と自信を持つ。「不動産の分野はIT化が進んでいなかった。FinTechが盛り上がって、そろそろ一段落しそうな金融の分野よりかなり遅れてはいるが、投資を考えたときに二大資産として挙がるのは、金融と不動産。FinTechと違って不動産テック(Real Estate Tech)はRTechだかReTechだか、まだ名前も定まっていないような状況だけれども、不動産テック業界は必ず盛り上がると思っている。もっと盛り上げていきたいし、新しいベンチャーもどんどん出てきてほしい」(滝沢氏)