MotionalとViaが自動運転車による無料の配車サービスをラスベガスで開始

Aptiv(アプティブ)と現代自動車(ヒョンデ)の合弁事業として、自動運転車技術の商用化を目指すMotional(モーショナル)は、オンデマンド交通サービスを手がけるテック企業のViaと共同で、ラスベガスで新たなロボットタクシーサービスを開始した。

2020年10月に初めて提携を発表した両社は、ラスベガスのダウンタウンで一般市民に自動運転車の無料乗車を提供する。この自動運転車には、安全のために人間のオペレーターも同乗することになっている。

このサービスは2021年前半に開始される予定だったが、新型コロナウイルス感染流行による不安から、両社は開始時期を延期していた。MotionalとViaは当初、オンデマンドの相乗りロボタクシーという青写真を開発し、これらの車両が公共交通機関にどのように統合できるかを学ぶ計画だった。両社はその後、相乗りサービスの計画を破棄し、代わりに個人向けの乗車サービスの提供のみを行う予定であることを、Motionalは認めた。

この新サービスは、MotionalがLyft(リフト)との既存の提携関係を延長し、2023年までにラスベガスで商用ドライバーレス配車プログラムを開始する計画を発表してから、わずか数カ月で実現したものだ。MotionalとLyftは、2022年の後半までに運転手なしの無料乗車サービスを開始することを目指しており、一般市民はLyftのアプリを通じて、電気自動車「Hyundai IONIQ 5(ヒョンデ・アイオニック5)」をベースにしたMotionalのロボタクシーを予約できるようになる。

MotionalとViaは、当初は無料で自動運転車の乗車サービスを提供するという、Cruise(クルーズ)やWaymo(ウェイモ)と似たアプローチを取っている。ただし、Motionalは、少なくとも法的には、ネバダ州で乗車に課金することを妨げられているわけではない。

ネバダ州は、現在CruiseとWaymoが商用化を目指しているカリフォルニア州に比べて、自動運転車の公道走行に関する規制がはるかに少ない。例えば、ネバダ州では自動運転車のテストや運行において、人間の安全オペレーターが乗車するか否かということを区別していない。また同州の法律は、自動運転車を配達や配車サービスとして提供することについては何も言及していない。ネバダ州自動車局の広報担当者によれば、このことは「できない」とする規制がない以上、法的には企業が商用自動運転車サービスに課金することが可能であることを意味するという。しかし、この広報担当者は、現在新しい法律が起草されていることにも言及した。

Motionalによると、同社はラスベガスで既存のLyftの運転手付きサービスで行っているように、運賃を請求できる許可を得ていると言っているが、その許可が自動運転車に関連したものなのか、それとも市内でタクシーサービスを運営するために同社に与えられたものなのかについては、詳しく述べていない。

現段階では、MotionalとViaはサービスの宣伝と自社の学習目的のために無料の乗車サービスを提供することで、乗客からフィードバックを収集し、両社の技術を組み合わせてどのように機能するかを研究することができると、Motionalの広報担当者であるAbby O’Malley(アビー・オマリー)氏は語っている。この広報担当者は、両社が商用サービスの運営を目指しているかどうかや、またその時期については明言せず「Motionalは、この試験運用から学び、将来的にViaとのパートナーシップを拡大することを楽しみにしています」とだけ述べた。

画像クレジット:Motional/Via

米国時間2月24日より、乗客はViaアプリを使って、Motionalの自動運転技術を搭載した「BMW 5シリーズ」のロボットタクシー1台を予約できるようになる。これは、Motionalが現在のLyftのサービスで使用している車両と同じものだが、オマリー氏によると、両サービスで使用する車両群は区別されており、Chrysler Pacificas(クライスラー・パシフィカ)もまだテストに使っているとのこと。

Viaのサービス提供時間は、月曜日から金曜日の午前9時から午後5時まで。乗客は、Viaアプリで強調表示されるRTCボンネビルトランジットセンター、ラスベガス市役所、コンテナパーク、ラスベガス芸術地区、クラーク郡政府センターなど、ダウンタウンの特定のポイントで乗車および降車できると、Motionalは述べている。

Motionalによると、このロボットタクシーサービスでは、Viaのインテリジェントな予約、ルーティング、ソフトウェアアプリケーション技術を活用することで、Motionalの自動運転ロボットタクシーとその車両管理、そして車内での乗客体験に役立てているという。

「車両は、乗客からの送迎の要求に基づき、(運用設計領域の中で)その時点で最も効率的なルートを採択します」と、オマリー氏はTechCrunchに語った。「バスが取るような固定ルートではありません」。

Motionalは、Viaと一緒にラスベガスで運行している車両フリートの規模を明らかにしなかったが、オマリー氏によれば、両社は需要を綿密に観察し、将来的にサービスを拡大するための基盤を持つようになる予定だという。

画像クレジット:Motional

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メルセデスやBMWもCES出展を断念、パナソニックは会場での会見中止

対面でのCES出展を辞退する大企業の数が増え続けており、開幕まで残り1週間を切ったところで、さらに大手自動車メーカー2社が名を連ねた。米国時間12月29日、Mercedes(メルセデス)は、対面イベントを見送ると表明した。

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「顧客、パートナー、従業員、ゲストの健康と安全が最優先のためです」と同社は声明で述べた。「参加者の数が多く、国ごとに異なる規制があるため、すべての参加者のために堅実で安全かつ無害な計画を立てることは、残念ながら現状では不可能です。非常に残念な決定ですが、必要なことだと考えています」。

米国時間12月30日、BMWもこれに続いた。同社はメディアリリースを発表し、バーチャル記者会見への移行を発表した。「BMWグループは長年にわたり、ラスベガスで開催されるCESでイノベーションを発表してきました。パンデミックのため、BMWグループはCESで予定していたすべてのメディア活動を、ドイツからライブ配信する完全なデジタルプログラムに移行します」と述べた。

一方、LiDAR会社のVelodyne(ベロダイン)は、12月26日の週に同社の決定についてフルプレスリリースを発表し、次のように述べた。

Velodyne LiDARは、新型コロナウイルスの感染率が急上昇しているため、CES 2022に対面参加しません。従業員、パートナー、一般市民の健康と安全がVelodyneにとって最優先事項であり、この決定の主な要因です。

IBMも米国12月30日、対面イベントからの撤退を決定したことをTechCrunchへの声明の中で表明した。

新型コロナの感染状況が悪化しているため、また慎重を期して、IBMは2021年ラスベガスで開催されるCESに参加しません。バーチャルでのイベントに参加することを楽しみにしています。

また、パナソニックは、米国時間1月4日に会場での記者会見を予定していたが、新たに中止を決めた。同社は、バーチャルイベントにシフトし、会場でのプレゼンスは限定的となる見込みだ。

これらの企業は、GM(ゼネラルモーターズ)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、AMD、OnePlus(ワンプラス)、MSI、Lenovo(レノボ)、Intel(インテル)、T-Mobile(T-モバイル)、AT&T、Meta(メタ)、Twitter(ツイッター)、Amazon(アマゾン)、Proctor & Gamble(プロクター&ギャンブル)、TikTok(ティクトック)、Pinterest(ピンタレスト)、そしてTechCrunchを含む多くの大手メディアの仲間入りをする。存在に気づいてもらうのにCESのような展示会に依存しているスタートアップにとって、オミクロンの懸念が高まる中で撤退を決断することは、特に難しいことだろう。しかし、展示会への参加を見送るという難しい決断をした中小企業から筆者のもとに入る連絡は増えている。

CESを運営する全米民生技術協会(CTA)は、米国時間1月5日(メディアデーは3日と4日)から始まるCESを断固として開催する姿勢を示している。

「CES 2022は、強力な安全対策を取って1月5日から8日までラスベガスで対面式で開催されます。また、ラスベガスに行きたくない、または行けない人々のために、デジタルアクセスも用意されます」と、CTAは12月22日付の声明で述べている。「私たちの使命は、業界を結集し、直接参加できない人々にもCESの魅力をデジタルで体験してもらうことに変わりはありません」。

クリスマスの日、ラスベガス・レビュージャーナルは「CESはラスベガスで開催されるべき」という見出しのCTA代表Gary Shapiro(ゲーリー・シャピロ)氏の論説を掲載した。その中で同氏は、メディアが「ドラマと有名企業のレンズを通してのみ物語を語る」と非難した。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトもCES 2022へのリアル出展を中止、インテル、GM、アマゾン、グーグルに続き

GM、Google(グーグル)、Lenovo(レノボ)、Intel(インテル)、T-Mobile(T-モバイル)、AT&T、Meta(メタ)、Twitter(ツイッター)、Amazon(アマゾン)、TikTok(ティックトック)、Pinterest(ピンタレスト)、そして今回はMicrosoft(マイクロソフト)。ソフトウェアの巨人である同社は、開催まで2週間を切っているCESへの現地参加取りやめを発表する最新のビッグネームとなった。

「急速に進化する新型コロナ環境の最新データを検討した結果、MicrosoftはCES 2022での直接参加を見送ることを決定しました」と同社はThe Vergeに送った声明の中で述べた。

2年近く続いたバーチャルショーからのコンシューマーエレクトロニクス業界の復帰とみなされていた同イベントは、オミクロン株に関する懸念がホリデーシーズンの旅行者数の増加と相まって高まる中、この1週間で急速に勢いを失いつつある。

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CESの運営団体である全米民生技術協会(CTA)は、物理的な展示会を予定どおり開催するという決定に変わりはないと述べている。米国時間12月23日夜、GoogleとGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ)が相次いで参加中止を表明したことを受けて、CTAはTechCrunchの取材に応じ、同協会の会長兼CEOであるGary Shapiro(ゲーリー・シャピロ)氏から新たなコメントを発表した。

ラスベガスで開催されるCES 2022には、2200社以上の企業が対面で参加することを確認しています。私たちの焦点は今も、テック業界が集結し、対面で参加できない人たちにCESのマジックをデジタルで体験してもらうことです。CES 2022は、規模の大小を問わず、世界中の企業が製品を発表し、ブランドを構築し、パートナーシップを結ぶ機会を提供します。CESにおけるワクチン接種の義務化、マスク着用、PCR検査提供といった包括的な健康対策に加え、参加人数制限と社会的距離対策により、参加者、出展者はラスベガスの会場で社会的距離を置きながら、あるいはオンラインで体験する場合も、有意義で生産的なイベントに参加できると確信しています。

2日前に発表されたCTAの声明では、バックアウトの影響は出展スペースの約7%に止まっているとのことだった。CTAは、大手企業や、同様に慎重な姿勢をとっているより小規模なスタートアップ各社が急速に撤退していることを考慮し、まだ最新の数字を発表していない。

現在、Samsung(サムスン)、LG、BMW、Qualcom(クアルコム )、ソニーなど、多くの大手企業が対面式の参加を続ける姿勢を見せている。

画像クレジット:Akio Kon/Bloomberg / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルがCES出展を取り止め、オミクロン株への懸念で

Lenovoのビッグニュースから始まり、Waymo、Intelと続いた。GoogleはCESへのリアル出展から完全に撤退するようだ。同社の広報担当者はTechCrunchに対して次のように語っている。

慎重に検討した結果、我々はCES 2022の会場で存在感を示すことを控えることにしました。オミクロン株を注意深く観察してきましたが、私たちのチームの健康と安全を考えると、これが最良の選択であると判断しました。私たちは、CTAとパートナーの両方との密接な協力を継続し、バーチャルな機会を特定しサポートし続け、最新のGoogleのイノベーションをみなさんと共有できることを楽しみにしています。

Alphabetの子会社Waymoの先のニュースから判断すると、Googleがバーチャルに進出したのは驚くことではない。それでも、ソフトウェアの巨人は近年、家庭用製品のNestシリーズやPixelスマホを通じてハードウェアにますます力を入れており、その存在感は増している。ここ数年、Googleの複雑な屋外展示は、ラスベガス・コンベンション・センターの駐車場での目玉となっていた。

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昨日の時点で、CESの運営団体であるCTAは、2022年1月初旬のイベント開催の決定に揺るぎはないが、ビッグネームの損失は積み重なり続けている。オミクロン株への懸念からラスベガスから撤退する企業のリストにはT-Mobile、AT&T、Meta、Twitter、Amazon、TikTok、Pinterest、そしてTechCrunchなど多くのメディアも含まれている。

私たちは、この最新のニュース(長い連休に向かう荒れた前兆)を踏まえて、CTAに連絡をとった。CTAの最後のコメントではキャンセルは42件で、展示フロアの約7%を占めている。その後も大手と新興企業の両方が出展を検討しているため、現在、変わってきていることは間違いないだろう。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

オミクロン株でCES出展者が参加を迷う中、主催は断固開催の意向

少々MWCのようになってきた。もちろん、2020年にバルセロナで開催が予定されていたMobile World Congress(モバイル・ワールド・コングレス、MWC)とは、これまでのところ少し異なる展開になっている。その理由は明らかだ。当時、パンデミックは事実上、未知のものだった。2年近く経った現在、我々は少なくとも、パンデミックをより把握しており、より効果的なツールを手に入れている。たとえ、すべての人がそうした方法を選択していないとしてもだ。

CES 2020は、世界的な封鎖という点では、ぎりぎりのところで間に合った。2021年の展示会では、主催者のCTA(全米民生技術協会)は(非常に賢明にも)そのリスクを回避し、完全にバーチャルで開催することを選択した。CES 2022は、多くの関係者にとって一種のハイブリッドイベントとして、控えめながら復活の道を歩んできた。

これまでのところ、バルセロナで見られたような根本的なドミノ倒しにはなっていない。しかし、オミクロン変異株の急速な広がりは、主催者にとって大きな脅威となっている。ホリデーシーズンの旅行関連の感染者急増(その数値的な影響はCESが終わるまでわからない)が非常にあり得ること、そしてラスベガスの一般的な予測不可能性(友人が最近述べたように、カジノを通らないと中心地のストリップのどこにも行けない)と相まって、なぜ最近多くの人が怖じ気づいたかは理解できる。また、イスラエルなどの国々の渡航制限も難しさに拍車をかけている。

CTAは声明の中で、計画どおり進めることを堅持している。CTAはTechCrunchに、これまでのところ、出展者のキャンセルはフロアスペースの7%に達しており、最新の変異株にもかかわらず、展示会に出展する企業は増え続けていると語った。

CES 2022は、強力な安全対策を取りながら米国時間1月5日から8日までラスベガスで開催されます。また、ラスベガスに行きたくない、あるいは行けない人々のために、デジタルでの参加も用意されています。私たちの使命は、業界を結集させ、実際の会場で参加できない方々にもCESの魅力をデジタルで体験していただくことにあります。

このほど42社の出展キャンセル(展示フロアの7%未満)がありましたが、12月17日以降、実際の会場への出展で新たに60社が加わりました。デジタルアクセスとラスベガスでのイベントの両方への登録はここ数日で数千件増え、力強い勢いを見せています。

CES 2022では世界の健康と安全、モビリティ、問題解決のための重要なイノベーションが展示されるため、計画通り進めます。さらに、何千もの中小企業がビジネスのためにCESに依存しています。出展者数は2200社以上に増え、12月21日に発表したように、両政党から選出された多くのトップがCESに参加します。

ワクチン接種の義務化、マスク着用、新型コロナ検査提供といったCESの包括的な健康対策、そして出席者数の抑制、社会的距離対策と合わせて、参加者、出展者は社会的距離を置きながらもラスベガスでの有意義で生産的なイベントに参加し、我々のデジタルアクセスで実りある体験ができると確信しています。

T-Mobile(Tモバイル)は米国時間12月21日、この展示会会場から撤退する最初の主要スポンサーとなった。同社は、資金面でのスポンサーとしての役割を果たし続けるが(おそらく契約無効化のようなことはまだ起きていない)、チームの大半を派遣しないことにし、CEOのMike Sievert(マイク・シーベルト)氏は対面でもバーチャルでも基調講演を行わない予定だ。奇妙なことに、WeezerはどうやらT-Mobileの祝福を受けながら、中心地ストリップで無料コンサートを行う

WeezerのボーカルであるRivers Cuomo(リヴァース・クオモ)氏のプレスリリースには「大好きなラスベガスに戻り、2021年の壮大なドローンレーシングリーグのラスベガス選手権レースにT-Mobileと一緒に参加できることにとても興奮しています」とある。

Meta(メタ)、Twitter(ツイッター)、Amazon(アマゾン)、Pinterest(ピンタレスト)は最初から手を引いている。しかし、いずれもビッグネームではあるものの、伝統的にこの展示会では目立つ存在ではない。

12月20日の週の初めには、The Verge、CNET、Engadget、PCMag、Gizmodo、Tom’s Guide、TechRadarと同様、TechCrunchもこの展示会にチームを派遣しないことを発表した。私たちとしては、簡単な決断ではなかった。この2年間でオンライン会議の世界へ移行するという著しい変化があったことは事実だが、我々にとってCESのような展示会にはまだ価値がある。

特に、Eureka Park(エウレカパーク)を歩き回り、そうでもしなければ騒音に満ちた受信トレイに埋もれてしまうような新しいスタートアップを直接見ることができるのは、大きな価値がある。筆者は、Venetian(旧Sands)エキスポホールのフロアで多くの企業を発見してきたので、前年の休みを経て再び同じことができることを非常に楽しみにしていた。

CES 2021は、世界(より具体的にはCTA)がすべてオンラインで開催されるハードウェア展示会に対応できるかどうか、大きな試金石となった。自身の体験からいうと、時期尚早だったと思う。バーチャルCESの体験はさほど良いものではなかった。特に、これらの展示会で最も難しく、重要な要素である「発見」に関してはそうだった。

2022年の展示会でどれだけのものが実際に展示されるかは別として、効果的なオンライン開催が必要だ。すでに多くのメディアが遠隔からの取材を計画している。また、このパンデミックが終息すると仮定した場合、今後どのように展示会をカバーするのか、多くの人が疑問に思っているはずだ。

CTAはこれまでのところ、こうした事態に揺るぎない態度を示している。CTAは、新しい健康プロトコルを導入しつつ、予定どおり展示会を開催すると繰り返している。ワクチン接種証明とマスク着用に加え、参加者には無料の迅速検査キットを配布し、参加者は会場に入る前の検査で陰性であることを証明する必要がある。

CESのソーシャルメディアアカウントは、ラスベガス・コンベンション・センター内部の画像や新しい講演者の発表に専念している。講演者には現在のところ、運輸長官のPete Buttigieg(ピート・ブティジェグ)氏や「NFT、WTF?!?!」というパネルでブロックチェーンについて話すことになっているParis Hilton(パリス・ヒルトン)氏などがいる。

Google(グーグル)、HTC、John Deere(ジョン・ディア)、TCL、BMWなどは「状況を注視し続けている」と語っている。NVIDIA(エヌビディア)を含む他の企業は、バーチャルの記者会見を行い、出展は行わないという、十分に警戒することを最初から選択した。

画像クレジット:Photo by ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

AWSの新CEOアダム・セリプスキー氏は「re:Invent」で何を発表するのだろうか?11月29日開催

1年で最も魅惑的な時期がやってくる。いや、これから始まるホリデーシーズンのことではない。来週から始まる、AWSの年に一度のユーザー向け祭典「re:Invent」のことだ。このカンファレンスは、新機能や新製品が大量に発表される、毎回ニュースの多いイベントだ。AWSにとっては、プレス、顧客、パートナー、その他の関係者を集めてラスベガスでパーティーを行うときでもある。2021年は新たな趣向が凝らされている。

2020年は新型コロナウイルスの影響でバーチャルイベントとして開催されたが、2021年はラスベガスに戻ってきたことに加え、新CEOのAdam Selipsky (アダム・セリプスキー)氏が指揮を執る初めてのre:Inventとる。

セリプスキー氏は、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がAmazon(アマゾン)CEOを退任して取締役会長に就くことを発表し、ベゾス氏の後任として元AWS CEOのAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏がAmazon CEOに昇格した後、2021年初めにTableau(タブロー)からやってきてAWSの新CEOに着任した。

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経営陣のイス取りゲームがひと段落し、セリプスキー氏は今回のre:Inventでメインの基調講演を行うことになったが、彼が前任者の後釜を務めるのは大変だろう。ジャシー氏には、自分の会社の膨大な製品カタログを頭の中で整理し、それらすべてがどのようにつながっているのかを、即興のように語れるという不思議な能力があった。同じようなことをするのは容易ではない。

しかし、ジャシー氏は、Tableauの元幹部が自分の後継者になることを従業員に知らせるメールで、セリプスキー氏には彼自身の個人的な強みがあることを指摘している。

「アダムは、強い判断力、顧客中心主義、チームビルディング、需要創出、そしてCEOとしての技能を、すでに非常に強力なAWSの首脳陣にもたらすことになります。また、彼はかつてAWSで11年間、このような上級職に就いていたため、当社の企業文化とビジネスをよく理解しています」。

それは確かにすべて事実であり、彼が現在引き継いで運営している会社は、しっかりと市場を支配しているが、このような成功にもかかわらず、セリプスキー氏はAWSに自身の印を押し、ビジネスのやり方に手を加える準備を整えている可能性を示す徴候も見られる。

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例えば、先週Bloomberg(ブルームバーグ)が報じたところによると、セリプスキー氏はMicrosoft(マイクロソフト)やGoogle(グーグル)のクラウド作戦帳を参考にして、業界に特化したソリューションにもっと集中しようと考えているという。ジャシー氏の支配下では、このような戦略を避け、より総合的なアプローチを好み、具体的な対応はパートナーに任せるというやり方を採っていた。

セリプスキー氏は、TableauがSalesforce(セールスフォース)に買収された後、短期間在籍したSalesforceが業界主導のソリューションアプローチを好んでいたことから、AWSにとってもこれが良い方法であると確信したのかもしれない。しかし、それ以上に、彼が自分の指揮下でAWSを変えるつもりかどうかは明らかにしていない。もしかしたら来週には何かを変えようとするかもしれないし、あるいはまだ壊れていないもの、直す必要のないものを見極めているのかもしれない。

セリプスキー氏へのアドバイスを求めると、業界関係者の中にはすぐに答えてくれる人がいた。

Constellation Research(コンステレーション・リサーチ)のアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏によれば、セリプスキー氏にまず最初にアドバイスしたいことは、AWSの増え続ける製品群を、よりシンプルで範囲を絞ったカタログに縮小することだという。「CTOたちは、開発者の創意工夫に頼らざるを得ないようなソリューションを避け、バージョン番号やロードマップが点と点を結ぶプラットフォームを提供しようとしています」と、ミューラーは語る。

第2に、ミューラー氏はクラウドの販売に関して、より企業に優しいアプローチをとること、つまりGoogleやマイクロソフト、あるいはIBMやOracle(オラクル)に寄せるやり方を提案している。同氏はさらに、Googleが行ってきたように、経験豊富な企業幹部をできれば採用することを提案し、特に、2018年にOracleから来たThomas Kurian(トーマス・クリアン)CEOや、2019年にSAPからグローバルクラウドオペレーションの社長として着任したRobert Enslin(ロバート・エンズリン)氏などの名前を例として挙げた。

Moor Insights & Strategy(ムーア・インサイツ&ストラテジー)の創業者で主席アナリストのPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏は、いくつか異なる提言をしている。同氏は、Googleやマイクロソフト、Adobe(アドビ)などに対抗するために、スタックを上げてより多くのSaaSアプリケーションの開発に着手することを提案。さらに、競合他社が主導権を握ろうとしているハイブリッドにも進出して欲しいと考えている。

とはいえ、現在でもAWSは絶大な成功を収めており、直近の四半期報告書では161億ドル(約1兆8500億円)もの収益を計上している。しかし、セリプスキー氏自身は先週、BloombergのEmily Chang(エミリー・チャン)氏によるインタビューで、このような優れた競合他社が自分の会社を追いかけてきている中で、この成功がいつまでも続くと期待して安穏としているわけにはいかないと語っている。

「自分たちが反乱軍であるかのような行動を続け、現職者のような行動を始めないようにすることが本当に重要です」と、セリプスキー氏はチャン氏に語った。

それはともかく、今回のre:Inventで、セリプスキー氏はAWSの顔として初めての出番を迎え、メインの基調講演を行う。ジャシー氏の直属とはいえ、セリプスキー氏は彼自身で、この収益性の高い部門を成長させ続けるために何が重要だと考えているかを強調するだろう。それが何か大きな変化をともなうかどうかは、来週になればわかるはずだ。

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーロン・マスク氏のLas Vegas Loopはいまだ想定された移動速度を達成できていない

ラスベガス観光局(LVCVA)のCEO、Steve Hill(スティーブ・ヒル)氏は、市の広大なコンベンションセンター(LVCC)のキャンパスのさまざまな場所に乗客を運ぶ、The Boring Company(ボーリングカンパニー、TBC)による地下シャトルの計画を発表したとき、最も遠いステーション間の移動にかかる時間は2分弱だと予測していた。

ラスベガス・レビュー・ジャーナルによると、ヒル氏は2019年6月「もしシステムが機能しなければ、すべてのお金を返してもらいます」と述べたという。

TBCの担当者とLVCVAとの間で交わされたメールによると、その「2分間の約束」は、最近では4月にもメディアに対して繰り返している。そのメールは、Plainsiteが公文書法に基づいて入手した5051ページに及ぶ文書の一部だ。

今のところ、その2分間という目標は達成されていないようだ。

同じ記録請求で入手した詳細な運行報告書によると、LVCC LoopのTesla(テスラ)タクシーは、運行開始から6週間で、システムのステーション間の移動に平均4分近くかかっている。

3万回以上の無料乗車と7万5000人以上の乗客を対象としたデータによると、平均3分未満で移動した日はなく、平均5分かかった日もあった(TechCrunchは、システムの総輸送人数が1000人未満の日は除外している)。先週行われた大規模な自動車のカンファレンスの際に撮影されたビデオ(最近のものなので、今回の公開資料には含まれていない)でも、同様の所要時間が記録されている。

数分の遅れは、一般のコンベンション参加者にとってはもちろん大きな違いではないが、CESのような大規模な展示会の際にTBCが乗客数の目標を達成できない場合、多額の金銭的ペナルティが課される可能性がある。この目標と実績の乖離は、最近ゴーサインが出た、ラスベガスのより広い地域の公共Loopネットワークに対するTBCの約束にも疑問を投げかけている。結局のところ、LVCC Loopの実績は、マスク氏の地下タクシーが都市交通の手段として成り立つのか、それともテスラが支援するアミューズメントとしての性格なのかを示すものとなるだろう。

2021年4月9日、ネバダ州ラスベガスで開催されたLVCC Loop(ラスベガス・コンベンションセンター・ループ)のメディアプレビューで、セントラルステーションにデジタルマップが表示された(画像クレジット:Getty Images / Ethan Miller)

より大規模なVegas Loopシステムは、51のステーションと約29マイル(約46km)のトンネルで構成され、市内の多くの観光地を結ぶ計画だ。TBCはVegas Loopのプロジェクトページで、NFLスタジアムからコンベンションセンターまでの距離が、現在のLVCC Loopの4倍以上であるにもかかわらず、4分で移動できるとしている。

また、このままでは、LVCC Loopが1時間あたり4400人の会議参加者を輸送するという目標を達成できるかどうかについても、現実の運行データからは疑問が残る。

TBCは5月のデモイベントで、62台のTesla Model 3、X、Yに3人の乗客(荷物なし)を乗せて、その数字を達成した。しかし、実際には、6月初旬から7月中旬までの間に、それぞれのLoop車両に乗ったのは平均2人にすぎなかった。

2019年にTBCが締結した契約では、大規模なコンベンションでTBCが1時間あたり約4000人を移動できない場合、その度に30万ドル(約3420万円)のペナルティが規定されている。これほど大きな違約金が発生すると、Loopの存続に影響を与える可能性がある。Loopが6月の操業開始月に輸送サービスで稼いだのはわずか23万500ドル(約2630万円)だ。TBCは、運行台数にかかわらず、毎月16万7000ドル(約1900万円)の管理費も得ている。

また、LVCC Loopが7月中旬までに輸送した1時間当たりの最高乗客数は1355人だった。これは、LVCCがネバダ州の夏の暑い時期に最大規模の会議を行うことがあまりなく、輸送を必要とする乗客がそれほど多くなかったことが大きな理由だ。例えば、6月に開催された美容関係のコンベンションでは、Loopの運行エンジニアがLVCVAに「乗客数が極端に少ないので、車両数を減らしました」と書いていた。夕方に15分間乗客が入らなかったため、Loopの経営陣が早々にシステムを閉鎖したことも何回かあった。

Loopのサービスには3つのレベルがある。レベル2は、LVCCキャンパスで開催されるコンベンションがないときに、車両5台のみをアテンダントなしで運行する。レベル3は、23台の車両で最大2万人の来場者に対応する。レベル4は、30〜62台のTesla車を使い、最大規模のイベントに対応する。

大きな技術テスト

おそらく1月に開催されるCESには、18万5000人程度の来場者が集まる。Loopは先週、8月にTechCrunchが予測したとおり、70台の車両で運行する許可を得た。それでも、乗客数のペナルティを避けるには、所要時間を短縮するか、説得して1台の車両に少なくとも3人の乗客を乗せる必要がある。また、乗客を乗せずに走行する「ゴーストカー」を削減する必要もある。6月上旬に行われたLoopのオープニングイベントでは、ゴーストカーが大半を占めていた。

現在のトンネルでは、さらに多くの車両を入れることはできない。先週行われた70台のテストでは、市の検査官が「ステーション内のトンネルの中で、1~2秒の差で車両が出入りする場面が複数あった」と指摘した。Loopによる安全分析は、車間距離を6秒に保つことを前提としている。

ポジティブな評価

良いニュースはといえば、乗客はLoopを気に入っているようだということだ。「顧客はこのシステムをとても気に入っていて、キャンパス内の移動手段として利用しています。待ち時間は、最大の混雑時でも2分程度になるよう管理できます」と、Loop OperationsのディレクターSeth Hooper(セス・フーパー)氏は6月末に書いている。当初は15分ごとに2分間だけ点灯していたマルチカラーのトンネルライト「レインボーロード」も、利用者の要望に応えて現在ではほぼ常設となっている。

実は、このシステムの最大の問題の1つは、無許可の侵入者だ。Loopでは、10月にTechCrunchが報じた侵入車両に加え、コンベンションセンターの職員がのぞきに来たと思われる侵入が何度もあった。「無許可車両の最大の犯人は、LVCVAのカートです」とフーパー氏は書いている。

また、動物も侵入した。7月下旬、TBCの社員2名が、サウスステーション近くの雨水管に落ちた子猫を救出しようとした。

TBCとLVCVAは、この猫が最終的にどうなったのかという質問、また、運行データに関するその他の詳細な質問にはすぐに回答しなかった。しかし、TBCは、あらゆる交通機関が直面する安全に関わる事件をカタログ化している。少なくとも3回、Loopのドライバーがカーブを見誤ってフェンスかポールに衝突し、軽度の損傷を受けた。6月末までに発生した乗客のけがは、他の乗客が車両のドアを閉めた際、Loopの乗客が指に小さな裂傷と挫傷を負った1件のみだった。

こうしたデータは非常に貴重だ。TBCは1つの都市全体にサービスを提供するために、この技術を拡大する計画を立てているからだ。なお、LVCCとは異なり、Vegas Loopでは、子どもやペットの乗車が可能かどうか、また、有料の乗車券がいくらになるのかはまだわかっていない。

画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

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(文:Mark Harris、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏のBoring Companyがラスベガス地下ループ拡張の初期承認を取得

Elon Musk(イーロン・マスク)氏のBoring Company(ボーリングカンパニー)は米国時間10月20日、ラスベガスの地下トンネルネットワークを介して、Tesla(テスラ)車に乗った乗客を輸送する交通システムを構築するために必要な最初の承認を取得した。

クラーク郡当局が特別使用許可とフランチャイズ契約を承認したことにより、Boring Companyはラスベガス・コンベンション・センターのキャンパスを結ぶ現在長さ1.7マイル(約2.7km)のVegas Loopシステムを、ラスベガス・ストリップ沿いのカジノ、市のフットボールスタジアム、UNLV(ネバダ大学ラスベガス校)など51のステーションを持つ29マイル(約46km)のルートに拡大することができる。また、最終的にはマッカラン国際空港まで延伸する。この承認については、Las Vegas Review-Journal(ラスベガス・レビュー・ジャーナル)が最初に報じた。

Boring Companyはトンネルの費用を負担するとこれまでに述べているが、クラーク郡当局は10月20日、その点を繰り返し強調した。クラーク郡との契約によると、フランチャイズ契約は50年間続くことになっている。

このプロジェクトは重要なマイルストーンを通過したものの、まだ完了したわけではない。今回の特別使用許可は、Boring Companyが各駅やトンネルの土地使用許可や建築許可を申請するためのものだ。同社はラスベガス市から別途フランチャイズ契約の承認も得なければならない。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

マスク氏の地下交通システム「Loop」は約束した無人ではなく運転手必須のテスラ「オートパイロット」を採用

正式公開から2週間足らず、The Boring Company(ザ・ボアリング・カンパニー)がラスベガスで運営するLoop(ループ)システムに初のセキュリティ侵害が発生した。

6月21日、Internationl Beauty Show(インターナショナル・ビューティー・ショウ)最終日の午前、地下を走行する同システムのTesla(テスラ)車団に「無許可車両」が侵入したことが、Loopの運営管理者とクラーク郡当局で交わされたメールでわかった。当該メールはTechCrunchが情報開示法に基づいて入手した。

一連のメールには、侵入事件以外にもLoopの運用に関する新たな詳細が記されていた。システムの非Teslaの電気自動車への驚くべき依存、Tesla車両に運転支援システムであるAutopilot(オートパイロット)の使用を許可する計画、および社内でテクノロジーが自律システムではないと位置づけられていることなど。

The Boring Company(TBC)はラスベガス市警察に侵入事件の捜査を依頼した。「無許可車両のドライバーは協力的で最終的にシステム外へと誘導された」とあるメールに書かれていた。

セキュリティ侵害による負傷や死亡はなかったが、TBCにとってなんとも不名誉な事件であることは間違いない。同社は5300万ドル(約58億2000万円)をかけた同システムのセキュリティと安全性をLVCC(ラスベガス・コンベンション・センター)に売り込んでいた。

TBCとLVCCの間で結ばれた経営合意によると、システムは「偶発的、悪意による、あるいはその他の無許可車両のトンネル内侵入を防ぐための物理的障壁」を備えることになっていた。システム進入路の防犯ゲート、地上駅を囲う数十基のコンクリート製車止めポールなどだ。

TBCもLVCCも、本事象に関する問い合わせに答えていない。TechCrunchはいずれかの回答が得られ次第本稿を更新する予定だ。

オートパイロットにチャンス到来

TechCrunchが入手したメール群は、スリルを求めた侵入者以上の情報を提供している。

そこにはTBCがLVCC Loopを走るTesla車の台数を62から70に増やし、Teslaのオートパイロットテクノロジーの使用を許可する計画の詳細が書かれている。これまでTBCは、全車両の運転支援テクノロジーを無効化し、人間ドライバーに操作させている。

新たな運用計画では、7つのアクティブセーフティ技術として、自動緊急ブレーキ、前方・側方衝突警報、障害物対応加速、死角監視、車線逸脱抑制、緊急車線逸脱警報、および2つの「フル・オートパイロット」技術である、車線中央維持と交通量感知型クルーズコントロールの仕様を要求している。

TBCがオートパイロット利用の必要性を説明するためにネバダ州クラーク郡の建築物・防火局に送ったレターをTechCrunchが他のメールとともに入手した。

TBCのプレジデントであるSteve Davis(スティーブ・デービス)氏は、当該機能を無効化することは「実績ある公道仕様技術」から「積極的に安全レイヤーを取り除く」ものであると書いた。デービス氏は「Tesla車でオートパイロットを作動させていたドライバーは、オートパイロットあるいは能動的安全機能を使用していなかったドライバーと比べて走行1マイルあたりの衝突が1/4以下だった」というTeslaの2021年第1四半期安全レポートの記述を引用した。「ここで明らかにされているように、Tesla車のこれらの機能を無効化することは事故の可能性を高めるものです」とデービス氏は書いた。

しかし、幹線道路交通安全局(NHTSA)は先週、いくつかの衝突事故を受けて同テクノロジーの正式な安全調査を開始した。

クラーク郡建築物・防火局責任者のJerry Stueve(ジェリー・スチューブ)氏はメールで次のように返信した。「我々はこの件を検討する予定ですが、『autodrive』(自動運転)という用語の定義とそれに何がともなうかをより明確にしていただければ、当部におけるこの要望の評価に役立つと思われます」。

「『オートパイロット』という用語がしはしば曖昧であり、車両とシナリオによって多くの異なる意味をなしうることに同意します」とデービス氏は返信した。(ここでデービス氏は上司であるElon Musk[イーロン・マスク]氏と意見を異にしているようで、マスク氏はオートパイロットの名前に対する批判に対して、誤解を与え「ばかげている」と反論している)。

「これらは『自律走行車』(autonomous)でも『自動運転車』(self-driving)でもありません」とデービス氏は続けた。「Teslaのオートパイロットと能動的安全機能を利用することで運転中の安全性に新たなレベルを加えることができますが、この機能を利用するためにはいつでもハンドルを取り戻せる十分注意深いドライバーが常に必要です」。

オートパイロットvs自律走行運転

TBCがLVCCに初めてLoopシステムを売り込んだ時の約束と矛盾することもあり、この区別は非常に重要だ。2019年、工事契約署名前に提出した地上利用申請書でTBCは次のように書いた。「Tesla Autonomous Electric Vehicles(AEVs、テスラ自律走行電動自動車)は高速、地下トンネルの乗客を3か所の地下駅まで運びます」。

2019年7月の計画書には「自律走行電動自動車の地下トンネルにおける活用は、既存の建造物や輸送システムに関わる妨害や対立を最小限にする独自の輸送ソリューションです」と書かれている。以来、同社は他の申請書類に同じような文言を使用しており、ラスベガス地域に数十の駅を設置する提案書も同様だ。

2021年1月、TechCrunchはLVCCとTBCの間で交わされた経営合意文書を入手し、そこにはこう書かれていた。「LVCCがPeople Mover Systemを購入した理由の1つはPeople Mover System車両の自律走行する能力にある【略】本契約書は、システムが有人運転を自律走行に切り替え、2021年12月31日までに、価格交渉を前提に、この変更を運用に織り込む意志があることを認識している」。

その期日はほぼ間違いなく守られない。2021年6月、スチューブ氏はデービス氏に次のように話した。「プロジェクトのはじめに話したように、自律走行運用の承認には、大がかりな監視、試験、検証が必要です。このプロセスには非常に多くの時間がかかります」。

それに答えてデービス氏は「私たちが自律走行あるいは自動運転の機能、運用を要求していないことを明らかにさせていただきたい」と述べている。

Loopの中の人間たち

問題は2つある。第1はTeslaのオートパイロットシステムが当面、ドライバーなしでは完全な動作ができないこと。第2は、おそらくもっと深刻で、Loopは国の標準が定める地下輸送システムの安全要求を満たすために、強くドライバーに依存していることだ。その種のシステムの乗客は、モノレールであれ電動車を使う地下的であれ、停電、火災、洪水などの非常時の安全が保証されなくてはならない。

TechCrunchがメールとともに入手したLVCC Loopの設計文書にはこう書かれている。「(我々の)訓練されたドライバーはシステムの安全面で重要な役割を果たします。緊急時にドライバーが乗客を適切に安全な場所に誘導する行動は、主要なリスク軽減措置です」。

TechCrunchが入手したいくつかの文書がこれを裏づけている。火災の際、ドライバーは「乗客の降車を補助し、歩ける乗客を最も近い出口に誘導する。ドライバーは口頭で指示を与える他乗客を身体的に補助すること場合もある」。ドライバーが乗客を率いて歩く場合「頻繁に振り返って全員がすぐ後に続いていることを確認する」。

ドライバーは、手に負えない問題がある乗客の判定と対応に責任を持ち、オートパイロット自体の動作状況の監視も行うとTBCはいう。「Loopにはドライバーが同乗し、能動的安全機能の使用を監督して必要に応じてブレーキや操舵を取って代わる人間が常に存在することを保証します」とデービス氏が6月に述べている。

TechCrunchが入手した数十件の文書と数百通のメールの中に、LVCC Loopの将来拡張の詳細や、TBCが完全自律走行に移行する方法や日程について書かれたものは1つもない。

Loopが米国土木学会の定める自律走行システムの安全原則に合致しているかについての質問に対して、TBCは次のように回答した。「自律走行運用に特有の基準はLVCC Loopには当てはまりません、なぜなら当システムは車両を操作するドライバーを有するからです」。

果たしてTBCがクラーク郡に伝えていることが、あるいはLVCCに伝えていることが、将来のLoopの運行にどれほど近いものなのかを知るには、時を待つしかない。

ちなみに、もしLoopの車両がまだドライバーレスではないのなら、LVCCはせめて全車両がTesla最新のモデルになると期待できるのか?おそらく違うだろう。

Loopのもう1つの要件は、米国障害者法(ADA)を遵守していることだ。クラーク郡担当者への7月のメールで、TBC幹部は、LVCC LoopのためにTesla以外のADA準拠電動車を購入する予定であることを明かした。

メールに具体的モデル名は書かれていなかったが、短距離用鉛酸蓄電池を備え、Tropos Motors(トロポス・モーターズ)の電動多目的車、Able(エーブル)と同じ仕様だ。この件に関してTroposもTBCも質問への回答はない。

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(文:Mark Harris、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Haloがユーザーまで遠隔地のオペレーターが運転して届ける5G利用の配車サービスをラスベガスで開始

5G技術は、遠隔オペレーターを使ってドライバーレスカーを動かすことができるという過剰な広告を振りまいてきたが、結局ここ数年はそれらは単なる誇大広告に過ぎなかった。この状況を変えるために、ラスベガスを拠点とするスタートアップHalo(ハロ)と通信事業者大手のT-Mobile(ティーモバイル)が提携し、ラスベガスで5Gを利用したドライバーレス電気自動車のサービスを2021年後半に開始する予定だ。

5台の車両でスタートするこのサービスは、ユーザーがアプリを使ってHaloの試験車両群に接続することで機能する。配車が注文されると、遠隔地のオペレーターがクルマを運転して待っているユーザーのもとへと向かう。クルマが到着したら、ユーザーはハンドルを握って、自分の旅行中普通にクルマを運転することができる。旅行が終わったら、遠隔地のオペレーターが運転を引き継ぎ、次の顧客のいる場所へ車を走らせる。

Haloのアプローチは、Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)のような、遠隔地もしくは車内の人間の関与を完全に排除することを目的とした、完全な自動運転技術スタックを開発している企業とは大きく異なる。その代わりに、Haloの車両には9台のカメラが搭載され、レーダーと超音波センサーが補助として搭載され(LiDARはなし)、T-MobileのUltra Capacity(ウルトラキャパシティ)ミッドバンド5Gネットワークを介して遠隔地のオペレーターと接続される。

HaloのCEOであるAnand Nandakumar(アナンド・ナンダクマール)は、TechCrunchに対し、このサービスは、拡張された範囲のローバンド5Gネットワークと、必要に応じてLTEでも運用できると述べている。

Haloのプレスリリースによると、同社の車両には「独自のフィードバックループを構築して、人間がクルマをコントロールしている間にバックグラウンドで学習し、時間をかけてレベル3の能力を達成できる」アルゴリズムが搭載されるとのことで、長期的には自動運転を視野に入れていることが伺える(なおレベル3とは、Society of Automotive Engineersが提唱する自動運転の5段階のレベルを意味している。レベル3は、非常に限定された条件下で人間のドライバーが運転を離れることを可能にするレベルだ)。

ナンダクマール氏はプレスリリースの中で「完全な自動運転は、技術的にも社会的信頼の観点からも大きな課題であり、今後数年間では解決できないでしょう」と述べている。「しかし、Haloのシステムはこれらの課題を解決するために、消費者のみなさまが今日から安心して使えるソリューションから始めて、時間をかけて自動化を実現できるようにデザインされています」。

また同社はその車両には、安全上の問題の可能性が検出された場合に、直ちに車両を完全に停止させる高度な安全停止メカニズムが搭載されると述べている。

Haloは2020年、T-Mobileが共同設立した5G Open Innovation Labに参加し、T-Mobileのエンジニアと対話したりミッドスペクトラム・ネットワークを利用したりできるようになった。ナンダクマール氏は、T-Mobileが同社に投資しているかどうかについては明言を避けた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Halo5GT-Mobileラスベガス遠隔操作

画像クレジット:Halo

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

財政苦境に直面するイーロン・マスク氏のラスベガスループ地下輸送システム、The Boring Companyに賠償金数億円の可能性

米国ネバダ州の規制当局が課した制限により、イーロン・マスク氏のThe Boring Company(ザ・ボーリング・カンパニー、TBC)は、同氏初の地下交通システム「LVCC Loop(ラスベガス・コンベンションセンター・ループ)」の契約目標達成が困難になっている。

ラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)のLoopシステムは60台以上の完全自律型高速車両を使い、展示ホール間で毎時最大4400人の乗客を輸送することになっている。しかしTechCrunchの取材によると、クラーク郡の規制当局がこれまでに承認したのは人間が運転する車両わずか11台で、さらに厳しい速度制限を設け、Tesla(テスラ)の「完全自律走行」先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」の一部であるオンボード衝突回避技術の使用を禁止しているという。そのようにブランディングされているものの、TeslaのAutopilotシステムは技術的には完全自動運転のレベルには達していない。Teslaとカリフォルニア州の規制当局との間で交わされたやり取りによると、内部的にも、Autopilotは特定の機能を自動化できる先進的な運転支援システムと見なされている。

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LVCCの母体であるラスベガス観光局(LVCVA、Las Vegas Convention and Visitor’s Authority)は、マスク氏にインセンティブを与え、TBCが約束を確実に果たすように促す契約を結んだ。契約は固定価格で、TBCがすべての支払いを受けるためには、特定のマイルストーンを達成しなければならない。この契約では、トンネル掘削完了、全体の作業システムの完成、テスト期間の終了と安全レポート、そして乗客を輸送できるという証明など、プロセスのさまざまな段階で支払いが行われる。最後の3つのマイルストーンは、何人の乗客を輸送できるかに関するものだ。Loopが1時間に乗客2200人の輸送能力を示すことができれば、TBCは440万ドル(約4億8000万円)を受け取ることができ、3300人を達成すれば再び同じ額をもらえる。4400人を達成した場合も同様だ。これらの輸送能力に応じた支払いの総額は、固定契約金の30%に相当する。

1時間に4000人以上の乗客を運ぶどころか、制約されたシステムでは1000人以下のキャパシティに制限される可能性があり、TBCは契約目標を達成できなかった場合、多額の違約金を支払うことになる。TBCは乗客から料金を徴収して収益を得ることはない(乗車は無料)。

【更新】本記事の公開直後にラスベガス観光局のSteve Hill(スティーブ・ヒル)代表は、今週行われた数百人規模のLoop試験で、予定されていた1時間あたり4400人の乗客を輸送できるキャパシティが実証されたとツイートした。これにより、後述の追加建設資金が確保される可能性がある。TBCは罰金を避けるためには、今後数カ月の間に実際のカンファレンスでこの数字をまだ達成しなければならない。TechCrunchは記事公開に先立ち数週間にわたり、LVCVA、クラーク郡、そしてTBCと何度も報道内容を共有した。実質的な回答をしたのはLVCVAだけで、キャパシティの問題や、子どもやモビリティの問題を抱える乗客についての未解決の質問については回答を得られなかった。

例えばTechCrunchが新たに入手した管理契約によると、CESのような大規模なトレードショーの際には、LVCCはTBCがシステムを運営・管理する1日ごとに3万ドル(約330万円)を支払うことになっている。しかし、2019年にTBCが締結した当初の契約書には、TBCが1時間あたり約4000人を輸送できない大規模なイベントごとに、30万ドル(約3300万円)の賠償金が課されると明記されている。

つまり、3~4日間のイベントで、TBCはシステムの運営費に加え数十万ドル(約数千万円)の損失を被ることになるのだ。パンデミック前の通常の年であれば、LVCCではこのような大規模なイベントを年12回ほど開催している。なお、TBCが車内広告などによる別の収益手段を計画しているかどうかは不明だ。

このキャパシティの問題は、すでにTBCにコストをかけている。契約では、TBCがパフォーマンス目標を大幅に下回った場合、マスク氏の会社は建設予算のうち1300万ドル(約14億3000万円)以上を受け取ることができないとされている。LVCVAはTechCrunchの取材に対し、契約に基づきTBCが1時間に数千人を輸送できる能力を実証するまで、建設費を保留していることを確認した。

年間20回ほど開催されるより小規模なイベントの場合、キャパシティ賠償金は適用されないが、契約によればTBCに支払われる1日あたりの使用料は1万1500ドル(約126万円)へと激減する。また、コンベンションの数にかかわらず、TBCは毎月16万7000ドル(約1830万円)の支払いを受けてシステムの稼働を維持することになっている。

米国時間5月25日に行われたLoopのキャパシティテストに参加したのはわずか300人と報じられているが、LVCVAの担当者は、1時間あたり4400人という数字は「十分に達成可能な範囲」と述べた。

管理契約によると、TBCは人間のドライバーチームの他にも、オペレーションセンター、メンテナンス・充電施設にスタッフを配置し、制服を着たカスタマーサービススタッフ、セキュリティスタッフ、フルタイムのレジデントマネージャーを提供しなければならない。

この料金体系は「予想される自律走行への移行」を考慮して、2021年末までにおそらく下方修正されることになっている。

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衝突警告システムは使用不可

Loopの初期運用に関する制限事項のいくつかは、クラーク郡の建築消防局に提示されたものだ。その内容は、ルート全体での制限速度を時速40マイル(時速約64km)に抑える、Loopの3つの駅構内では時速10マイル(時速約16km)に減速する、車両を11台までに制限することなどである。

クラーク郡消防局のWarren Whitney(ウォーレン・ホイットニー)副消防局長は、TBCからLoop内でTeslaの衝突警告システムを使用することは許可されていないと聞いている、と述べている。クラーク郡が米国時間5月27日に発行した交通システム運営ライセンスでは、Loopは「非自律走行」で「手動運転」の車両を使用しなければならないと規定されている。このライセンスは、計画されている62台の車両に対して発行された。クラーク郡当局およびTBCのいずれも、この運用制限に関する詳細な質問には回答しておらず、いつ、どのような場合に解除されるのかについても言及していない。

トヨタは以前、レーダーを使った衝突警告システムがトンネル内で正しく機能しない可能性があると警告していた。

衝突警告レーダーを欠いたTeslaが安全に「完全自律走行」できるかどうかは定かではないが、マスク氏は、車両からレーダーセンサーを取り除いてカメラのみを使用することを提案し、現在その計画を実行している。Teslaは2021年5月から、レーダーセンサーを搭載していない「Model 3(モデル3)」と「Model Y(モデルY)」の納車を開始した。レーダーセンサーがないことを受けて、米国道路交通安全局は、2021年4月27日以降に製造されたModel 3とModel Yには、自動緊急ブレーキ、前方衝突警告、車線逸脱警告、ダイナミックブレーキサポートについて、同局の認定がなくなると発表した。またこの決定を受け、Consumer Reports(コンシューマー・レポート)はModel 3をトップピックとして掲載しなくなり、米国道路安全保険協会はModel 3のトップセイフティピック+指定を外す予定だという。

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同消防局は他にも、何時間も続く可能性のあるバッテリー火災など、トンネル内での緊急事態への対応に懸念を抱いていた。ホイットニー氏はTechCrunchに次のように述べている。「電気自動車が事故を起こさずに炎上したケースは過去ありました。今のところ我々の計画は、まず人々を避難させ、その後、撤退して火が燃え続ける間待つことです」。

ホイットニー氏は、Loopシステムには多くのカメラや煙探知機が設置されていることに加え、毎分40万立方フィートの空気をトンネル内の両方向に移動させることができる「強力な」換気システムを備えていることを指摘した。これにより、乗客やドライバーは車の周りを歩いて脱出できるはずだという。TBCはそれほど深刻ではない事故のために、故障した車両を回収するための牽引車(これもTesla)を用意している。

TechCrunchの問い合わせに対し、TBCとクラーク郡はいずれも、Loopが車イス利用者、通常はチャイルドシートが必要な子どもや幼児、その他のモビリティの問題を抱えている人々、ペットや介助犬などの動物の輸送を許可するかどうかについては答えなかった。

消防隊員たちは、駅から遠く離れた場所で、2〜3台の他の車両が行く手を塞いでいるような事故を想定した地下システムでの訓練をすでに何度も行っている。ホイットニー氏は「11台であれば問題ありません」という。「しかし、クルマの数が増えてくるとそれは問題かもしれません。TBCは営利企業であり、効率を最大限に高めたいと考えていますから、キャパシティを増やそうとした時に、さらに議論が必要になるかもしれません」とも。

拡張計画

TBCは、既存のLoopでより多くの車両を使用したいと考えているだけでなく、すでにシステムの拡張を計画している。2021年3月末、TBCはクラーク郡に対し、LVCCの1駅から新しいResorts World(リゾート・ワールド・ラスベガス)ホテルまでの延長工事に着工したことを報告し、近くにあるEncore(アンコール・アット・ウィン・ラスベガス)までの同様の延長工事の許可も得ている。

さらにTBCは、ラスベガスのストリップやダウンタウンの大部分をカバーし、40以上の駅で数多くのホテルやアトラクション、そして最終的には空港を結ぶ交通システムを構築したいと考えている。そちらのシステムはTBCが資金を提供し、チケット販売によって支えられることになる。

このような拡張が可能かどうかは、TBCが比較的シンプルなLVCC Loopで約束した技術や運用をどれだけ早く実現できるか、また、トンネル内のタクシーがマスコミに書かれる量と同じくらい収益を上げられると実証できるかどうかにかかっている。

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タグ:The Boring Companyイーロン・マスクネバダラスベガスAutopilotTeslaLVCC Loop自律運転電気自動車

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(文:Mark Harris、翻訳:Aya Nakazato)

2022年、CESがラスベガスに戻ってくる

正直言って、ここ1年はラスベガスに戻らなければならないことについて休暇中に極度の不安を感じなかったのは、少し奇妙だった。しかし、状況は変わった。世界の多くの地域でワクチン接種が始まっており、CESが再び開催される準備が整っている。

巨大な消費者向け家電ショーの運営委員会であるCTAは米国時間4月28日朝、イベントが2022年1月5日から8日までCity of Second Chancesで開催されると発表した(メディアデーは正月明けの3日から始まる)。プレスリリースによると、およそ1000社の企業がこのイベントへの参加を表明している。

これまでのところ、Amazon(アマゾン)、AMD、AT&T、Daimler AG、Dell(デル)、Google(グーグル)、Hyundai(ヒュンダイ)、IBM、Intel(インテル)、Lenovo(レノボ)、LG Electronics、パナソニック、Qualcomm(クアルコム)、Samsung Electronics(サムスン・エレクトロニクス)、Sony(ソニー)が含まれている。しかし、この1年を振り返ると、すべてが常に変更される可能性があることに注意する必要がある。

CTAのエグゼクティブヴァイスプレジデントであるKaren Chupka(カレン・チュプカ)氏は、「私達の顧客は、ラスベガスで開催されるイベントに再び参加することに熱狂しています」と述べた。「グローバルブランドやスタートアップによる計画は順調に進んでおり、世界中のより多くの人々と対面式のCESの魅力を共有することを約束しています」。

もちろん、飛行機がラスベガス空港に着陸するまでは(マスクをしているかもしれないし、していないかもしれないが)、いろいろなことが宙に浮いたように感じられるだろう。またCTAは、デジタル要素は今後も存在し続けるだろうと強調した。これは、今後もこれらのショーの重要な側面であり続けるだろう。パンデミックによってトレードショー(特にハードウェアのトレードショー)が完全になくなる可能性は低いと思われていたが、同じことが繰り返されないのは人生と同じである。

2020年、ウイルスが米国内で実際に被害を与え始める約2カ月前に、CTAは新型コロナウイルス(COVID-19)の被害をギリギリのところで免れた。CESの最初の(そして当面は唯一の)オールバーチャルイベントは、複雑な結果となった。このようなショーの規模と範囲を考えると当然かもしれないが、実際には多くの不満が残った。しかしインフラが整備された現在、このイベントを完全に放棄するのは愚かなことだ。特に、この1年でこうしたイベントへの参加に多くの人が疑問を抱いている。

2021年のショーについては、ヨーロッパのMWCやIFAをはじめとする多くのショーが、安全対策を強化した上で開催される予定だ。しかし、これらのショーの規模や範囲は流動的であり、多くの企業がバーチャルでのショーにのみの参加する意向を表明している。

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カテゴリー:イベント情報
タグ:CESラスベガス

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

LAのアイコン的起業家、Zappos元CEOのトニー・シェイ氏が死去、46才

ネット靴店Zappos(ザッポス)の元CEO、Tony Hsieh(トニー・シェイ)氏が亡くなった。46才だった。靴の会社を大手に育ててAmazon(アマゾン)に売却し、成功で得た収益をテックと広範なビジネス投資でネバダ州ラスベガスの荒廃地域の再生を進める巨大プロジェクトに使ったことで知られる。

死因は住宅火災で負った怪我だったという。シェイ氏の広報担当者がTechCrunchに明らかにした。シェイ氏は火災のときに兄(弟)と一緒コネチカット州にいた。シェイ氏の他にけが人がいるかどうかは不明。

シェイ氏の最終的な死亡原因はまだ調査中だ。新たな情報が入り次第アップデートする。ダウンタウンプロジェクト(ラスベガスの古く荒廃した地区を再生させるためのシェイ氏の巨大な取り組みだ)を運営するDTPカンパニーズの声明は文末にある通りだ。

シェイ氏死去のニュースを受け、感謝祭週末の最中にあったラスベガスのコミュニティには衝撃が走った。観光に大きく依存しているラスベガスは、新型コロナウイルスパンデミックで甚大な影響を受けている街だ。

シェイ氏は聡明で、風変わりで、そして心の優しい人だった。多くの人が直接その優しさに触れ、しばしば先見の明を持つ人だと評した。

誇張ではなかった。シェイ氏はベイエリアに育ち、LinkExchange(リンクエクスチェンジ)という最初に興したマーケティングテック会社を1998年、わずか24才のときにMicrosoft(マイクロソフト)に売却した。

そこで得た収益の一部を使ってシェイ氏はVenture Frogs(ベンチャーフロッグス)というベンチャーキャピタル会社を興した。そこでの初期の投資の1つは、Nick Swinmurn(ニック・スウィンマーン)氏が1999年に創業したShoeSite.com(シューズサイト・ドットコム)だった。当時は靴のショッピング方法の変革期にあり、人々はオンラインで購入するようになっていた。

シェイ氏は投資においても本質的に起業家で、その後ShoeSite.comでより実践的な役割を果たした。ShoeSite.comは後にZapposに社名を変更した。ZapposのCEOとしてシェイ氏は2004年に顧客サービス事業を拡大するために同社をベイエリアからラスベガス郊外に移し、従業員に権限と動機付けを与えるためのフラットなマネジメントという強固な精神の下に運営した。同氏のリーダーシップによりZapposは大きな成長を遂げた。2009年にZapposを約12億ドル(約1250億円)で売却した(当時のeコマーススタートアップにとっては実に巨額だった)。

その後もシェイ氏は会社の経営を続け、収益を次の大きなプロジェクトに注ぎ込んだ。そのプロジェクトとは都市の活性化だ。

ラスベガスは感情に●訴えない街だ。砂漠の真ん中に位置し、ラスベガスは斬新で一見無限に見え、そして土台となる成長を追い求めてきた。何年もの間、それはダウンタウンの「老舗」ラスベガス企業の巨大な跡地を意味した。ダウンタウンは空っぽで、その大部分はついには犯罪と貧困の温床となっていた。他の多くの都市中心地と同様、悪循環に陥っていた。人々は新しい住宅や会社の建設に注力し、そのため古いエリアは一層無視されるようになり、脆弱になった。

シェイ氏は、明らかに衰退した様子にあった20世紀の現代主義の繁栄をダウンタウンの魅力として見出した。そしてそのエリアのかなりの部分の買い占めを進めた。アパートのビル、住宅、零細企業の建物、古いカジノ、ホテル、空いている駐車場などだ。

シェイ氏は不動産王になることだけを見据えていたわけではなかった。それは明らかに彼が興味を注いだところではあったが、と同時に彼が最もよく知るものでラスベガスを復興する狙いがあった。そのよく知るものとはテックだ。

シェイ氏はそのエリアに起業家を引き込み、また雇用をもたらそうと、スタートアップにかなりの額を投資し、事業を興すためにラスベガスに引っ越してくるのをサポートした。

この取り組みにはかなり多くの風変わりな要素があった。必ずしもすべてが押しの強い事業だったわけではなく、スケールの大きな楽しみを持とうとする側面もあった。大規模イベントBurning Manに触発されて、シェイ氏は砂漠でのフェスティバルのために建てられたいくつかの建築物をお金を払ってダウンタウンまで運び、設置した。

筆者がラスベガスでシェイ氏と過ごした忘れられないいく晩かは、ラスベガスにおける同氏のプロフィールで最も知られるようなものだ。

ある夜、カジノからバーへ、そしてレストランへと回り、最後には素晴らしいピアノカラオケに辿り着いた。そこで彼の子供の頃からの親友と筆者はDuran Duran(デュラン・デュラン)をデュエットで歌い、シェイ氏はフェルネ・ブランカ(アルコール度数の高い薬草系のお酒)をがぶ飲みした。どこへ行っても彼の周りには人が集まった(歩きながらも多くの女性から「ハイ、トニー」と声をよくかけられた)。これはマフィアのボスが昔やっていたことのようではないかと思ったのを覚えている(彼の友達が顧問で筆者がその夜の訪問客という役だ)。

もちろん、ダウンタウンプロジェクトは壮大なビジョンであり、他の多くのものと同じように、浮き沈みがあった。

そうしたものは驚くことではない。単に存在することだけでは十分とは限らない。テック分野で成功するというストライク率は実際にはかなり低い。

そして風変わりなアプローチはいつも良い風に作用するわけではない。ときには実際にどうなっているのか不明瞭ということもある。いい例を挙げよう。シェイ氏は2020年初めに21年間務めたZapposのCEOを突然辞任し、その理由は明かさなかった。

それでもZapposとシェイ氏がラスベガスで築いたもの、彼の取り組み、壮大なビジョンは、わずかなイマジネーション、かなりの努力、そして永続性でテック産業が手にすることができる、テックマネーを含めたインパクトという重要な遺言だ。

シェイ氏の家族、多くの友人、そしてシェイ氏が創造をサポートしたテックビジネス界で関わりのあった人々にお悔やみを申し上げる。

DTPの声明は以下の通りだ。

こんにちは、Megan Fazio(メーガン・ファジオ)と申します。Tony Hsieh(トニー・シェイ)氏が描いた「ダウンタウンプロジェクト」として知られたDTPカンパニーズで広報を担当している者です。誠に残念ながら、トニー・シェイ氏が2020年11月27日、愛する家族に見守れる中、やすらかに逝去したことをご報告させていただきます。

トニーの優しさや寛容さは、彼の周りの人々の琴線に触れました。そして永遠に世界を明るく照らし出します。幸福を届ける、というのが常に彼の信念でした。彼の旅立ちを嘆き悲しむのではなく、ともに彼の人生を祝福していただければと思います。

DTPカンパニーズ従業員やスタッフを代表してトニーの家族、そして愛する人、ビジョナリー(先見の明を持つ人)、友人としてのトニーを失くした彼の友人たちに心より哀悼の意を表します。トニーはDTPカンパニーズの結びつきの強いファミリーの中で仲間や同僚みんなに高く評価されていました。この心引き裂かれる悲劇に、トニーを知っている多くの人が揺さぶられています。

この非常に困難な時期に、引き続きトニーの家族のプライバシーを尊重していただきますようお願い申し上げます。

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(翻訳:Mizoguchi