リクルートが米国の企業口コミサービスGlassdoorを約1300億円で買収

リクルートホールディングスは5月9日、米国で求人情報検索サイトを運営するGlassdoorを約1300億円(12億米ドル)で買収したことを明らかにした。同金額でGlassdoorの発行済全株式を取得する。

GlassdoorはリクルートのHRテクノロジーセグメント傘下で、引き続き現経営陣のもと運営していく方針。同セグメント傘下のIndeedとも協働し、オンラインHR領域のさらなる事業拡大を目指す。

Glassdoorは2007年の創業。社員や求職者による企業の口コミ情報を軸にした、求人情報検索サイトを提供している。同サービスには2018年1月時点で約77万社に関する、4000万件以上の口コミが掲載。月間ユーザー数も5900万を超える。Crunchbaseによると、これまでTiger GlobalやBenchmark Capital、Battery Venturesらから2億ドル以上を調達している。

リクルートは2012年に求人検索サイトのIndeedを子会社化。中期的に米国およびグローバル市場において、Indeedの拡大とM&AによりHRテクノロジー事業を強化する戦略を掲げている。Indeedが仕事探しを簡単にするための検索技術を磨いてきた一方で、Glassdoorは求職者の意思決定をサポートする透明性の高い企業情報を蓄積することに注力してきた。今後も各々のブランドで運営を続けながら、求職者をサポートするという共通の目標に向かって協働し、さらなる事業成長を目指す方針だ。

リクルートでは今回の買収を通じて「オンライン求人検索、オンライン求人情報アグリゲーション、求職者と求人企業のマッチング、そして求職者による求人企業の口コミ情報によって、求職者の仕事探しを更に強力にサポートし、オンラインHR領域におけるポジションを確固たるものとします」としている。

リクルート「SUUMO」がAirbnbと業務提携、民泊事業へ参入

リクルートホールディングス傘下で不動産情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーは1月17日、Airbnbとの業務提携により、民泊関連事業へ参入することを発表した。

リクルートでは、SUUMOに物件を掲載する賃貸管理会社やオーナーに対して、空き室を民泊として活用できるよう提案し、運営も支援。と民泊の2通りの活用を勧めることで、物件の収益向上を支援することを目指す。

民泊運営を希望する空き物件の管理会社・オーナーには、同社が提携する民泊運営代行会社を紹介。家財手配をはじめとした民泊運営の開始準備から、Airbnb等の民泊プラットフォームへの情報掲載、予約や問い合わせ対応、鍵の受け渡し、クチコミ管理、清掃など、運営業務一式を委託することで、民泊運営経験のない管理会社やオーナーでも利用しやすくする。また同社では、Airbnbサイト以外に、特別サイトなどを通じた集客施策の展開も予定している。

クラウド型マニュアル作成「Teachme Biz」運営がリクルートなどから総額1.2億円を資金調達

クラウド型マニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」を提供するスタディストは6月26日、リクルートホールディングス日本ベンチャーキャピタル三菱UFJキャピタルを引受先とする第三者割当増資を実施したことを発表した。調達額は1.2億円。スタディストでは、5月にもセールスフォースからの資金調達を発表している。また、日本ベンチャーキャピタルと三菱UFJキャピタルからの資金調達は、2015年12月に行われた総額1.5億円の調達に続くものとなる。

Teachme Bizは、写真・動画を選んで説明文を追加するだけで、業務マニュアルを作成し、共有できるサービスだ。PCはもちろん、スマホだけでもマニュアル作成ができる。2013年9月のサービス本格展開から約3年9カ月で、有償利用社数を1500社に広げており、そのうち、飲食、宿泊、小売などのサービス業での導入は約350社、2年で6倍に拡大したという。

スタディストでは、今回の出資を通じたリクルートとの業務提携により、サービス業でのTeachme Bizの導入拡大を図る。特に飲食や宿泊業界を中心としたサービス業に強いリクルートとの提携で、同業界で新規100社への導入を目指す。調達資金は主にサービス業界に特化した新機能開発や、販売体制の増強にあてるとしている。

クラウド人材管理サービス「カオナビ」運営会社にリクルートが資本参加

日本のHR Tech分野のスタートアップにまた、新たな動きがあった。顔写真が並んだインターフェイスが特徴のクラウド人材管理サービス「カオナビ」。3月27日、リクルートホールディングスが、サービスを運営するカオナビ社の発行済み株式の一部をRSIファンド1号を通じて取得し、持分法適用関連会社としたことが明らかとなった。取得価額等については公表されていない。

カオナビは、社員の実績や評価を、顔写真を切り口にした独特のインターフェイスで一元管理できるクラウドサービスだ。初期費用無料、月額3万9800円と低価格から利用でき、直感的な画面で経営陣や現場の管理職にも使いやすい点をウリにしている。

2012年にサービスを開始し、現在では日清食品HD、テルモ、トゥモローランド、サイバーエージェント、VOYAGE GROUPなど、大企業からスタートアップまで400社以上の企業へ導入。「顔と名前が一致しない」という単純だがありがちな課題の解決や、人事情報の一元化などの利便性が評価されているという。

今回の資本参加を通じて、リクルートとカオナビ社では、HR Tech領域での事業提携の検討・協議を開始するとしている。カオナビ社では「引き続きIPOを目指す方向性には変わりない。事業会社系のファンドに出資いただくことで、より成長を加速させることができると期待している」としている。

電話カウンセリング「ボイスマルシェ」のバーニャカウダが6000万円を調達、法人向けの福利厚生サービスに軸足

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「いま、割とカウンセリング市場が熱い。注目され始めた感じ」──そう語るのは、女性専用の電話カウンセリングサービス「ボイスマルシェ」を運営するバーニャカウダのCOO 菅野彩子氏だ。同社はSMBCベンチャーキャピタル・みずほキャピタル・三生キャピタルを割当先とする第3者割当増資を実施。調達額は約6000万円で内訳は非公開。調達資金を元手にさらなるサービス拡大を図る。

ボイスマルシェは、女性ユーザー専用の電話カウンセリングサービスだ。ユーザーは、心理カウンセラーやキャリアコンサルタント、コーチなどの専門家による個別カウンセリングをうけることができる。25分で3000円、55分で1万2000円、110分で2万4000円の3プランを用意し、通話料は無料。サービス開始は2012年3月。

相談できる悩みは多岐にわたる

ウェブサイト上で相談したいカウンセラーを選ぶことができる

相談できる内容は、20代の就活から終活まで多岐にわたる。例えば友人との喧嘩・仕事のキャリア形成・婚活・結婚・子供に関する悩みなど。カウンセラーは約500人以上が登録しており、心理カウンセラーやキャリアコンサルタントなど公的・民間の有資格者がほとんどを占めている。バーニャカウダが面談と実技指導を行い、カウンセラーの一定の品質を確保しているという。

また法人向けには「ボイスマルシェforビジネス」も展開している。これは従業員向けの福利厚生サービスで、企業が窓口となって契約し、従業員は1回1時間の電話カウンセリングが受け放題だ。2015年9月より提供を開始し、すでにルミネなどが導入。こちらは女性だけでなく男性の従業員も利用できる。2015年12月から一定規模以上の事業所で従業員のストレスチェックが義務化されるなど、従業員のメンタルヘルスに関心が高まっており、法人向けサービスの企業からの引き合いも増えているという。

イメージしたのは食べログ

バーニャカウダCEOの古川亮氏は、ボイスマルシェについて「イメージしたのは食べログ」と語る。利用者は、ボイスマルシェのWEBページからカウンセラーの評価やレビューをチェックし、気に入れば日時を予約、クレジットカードで決済できる。評価から予約、決済までがウェブサイト上で完結する点が売りで「カウンセラーのプラットフォームでもある」と古川氏は説明する。

左からバーニャカウダ COOの菅野彩子氏、CEOの古川亮氏

左からバーニャカウダ COOの菅野彩子氏、CEOの古川亮氏

競合サービスとしては、エキサイトが運営する”お悩み相談室”などがある。それらと比較した強みについて古川氏は「カウンセラーの数」を挙げる。同様のオンラインカウンセリングサービスでは、カウンセラーは多くても数十人が一般的であるといい、500人以上という在籍数は「日本最大級」と古川氏は胸を張る。カウンセラーが多いために「当日上司に怒られてしんどい時に、10分前に予約してカウンセリングをうけることもできる」と菅野氏は言う。またコンシューマ向けと法人向けの両輪で展開している点も国内では珍しいという。

相談できる相手がいなかった

バーニャカウダは2010年1月に設立。創業メンバーの古川亮CEOと菅野彩子COOはともに前職がリクルートで、2人はリクルート時代の社内研修で知り合った。2人とも起業志向ということで意気投合。当初は「占い」を軸としたサービスを構想していたが、途中で「カウンセリング」に変えた。その理由について菅野氏は次のように語る。

「当時結婚を前提に交際していた人がいたが、転職を機に破談。追い詰められた時に相談できる相手がいなかった。占いだといまいちだが、専門家に相談できるプラットフォームがあればいいなと思った」

女性向けにサービスを絞る理由については、女性管理職の割合を増やすという日本政府の政策的な後押し。そして女性の社会進出が進む中で、「仕事でのキャリア形成」「家庭と仕事の両立」など、親世代が経験しなかった新しい悩みが産まれ、女性の悩みが急速に多様化している点を挙げる。

「予約と購入を抑える」のがリクルート流

前職のリクルートでは、古川氏はSUUMOやHR事業でマッチングサービスを、菅野氏はインターネットマーケティングやウェブメディアの立ち上げや運営に携わった。ボイスマルシェの立ち上げにはその経験も役立ったという。菅野氏は「既存の広告メディアでは勝てないと思った。リクルートでは、ホットペッパーのように広告よりアクション、つまり予約と購入を抑える。ボイスマルシェもこの考えで立ち上げようと思った」とも語る。

創業期には古川氏と菅野氏の自己資金でサービスを運営。2014年9月にSMBCベンチャーキャピタルから第3者割当増資により3000億円を調達した。そして2015年9月に今回の6000万円の調達に至った。資金調達の際には、500人以上のカウンセラーと密接なコミュニティを構築している点、さらに、法人向けサービスのボイスマルシェforビジネスがルミネ内で好評だという点が評価された。

バーニャカウダは今回調達した資金をもとに、サービス拡大に向け人員を拡充。現在は社員3人とパートで運営しているが、これを10名に増員。また直近ではB2CよりもB2B向けサービスに注力する方針で、そのための営業やマーケティングの人材も揃えたいとしている。