リコーが統合型アクセラレータープログラム「TRIBUS 2021」成果発表、スタートアップ企業6社公開・社外から117件の応募

リコーが統合型アクセラレータープログラム「TRIBUS 2021」成果発表、スタートアップ企業6社公開・社外からは117件の応募

リコーは2月18日、社内外の起業家を対象に事業共創を目指すアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス) 2021」の成果発表会「TRIBUS Investors Day」を2月17日に開催したと発表。社内起業家5チームとスタートアップ企業6社を公開した。なお同社は、4年目となる2022年度も「TRIBUS 2022」として同プログラムを継続するとしている。

同プログラムは、リコーグループ社員であれば誰でも応募できる社内起業家プログラムと、スタートアップからの応募を募るプログラムを統合した形で運用する、統合型アクセラレータープログラム。2021年度は、「不可逆な世界でこれからの選択肢をつくる」をテーマに、働く人の創造力を支える新しい時代のビジネスアイデアを広く募集し、社内からは78件、社外からは117件の応募があった。

2021年度は「外部審査員特別賞」を新設。TRIBUS 2021の社内ピッチコンテストと統合ピッチコンテスト(2021年10月)で審査員を務めた社外有識者7名から、企業やチームに賞が贈られた。また、「TRIBUS企業賞」には東急グループの「東急アライアンスプラットフォーム」担当者が注目したスタートアップが1社選ばれ、同社との面談の機会を獲得した。さらに「TRIBUS社内起業賞」には、社内審査員と社外投資家から2チームが選ばれ、来年度から自由裁量権を持つ活動が認められた。
リコーが統合型アクセラレータープログラム「TRIBUS 2021」成果発表、スタートアップ企業6社公開・社外からは117件の応募
「TRIBUS 2021」参加チームと企業の提案事業と現況、受賞内容は次の通り。

「TRIBUS 2021」参加チームと企業の概要

APTO

提案:AI開発でもっとも労力がかかるデータ作成を、安く、早く、大量に、高品質に行えるサービス。
現況:SV事業のバーチャルツアーサービス「RICOH360 Tours」におけるAI機能拡充のため、アノテーションプラットフォーム「harBest」(ハーベスト)の利用を開始。他サービスに向けて水平展開を目指す。

CALCU

提案:次世代ダストボックス「CALCU」。食品廃棄の削減と最適化で 事業利益の最大化をはかるIoTシステム。
現況:リコーグループ顧客先での検証候補抽出。リコー内の社員食堂運営企業とのマッチングを検討。

クリエ・ジャパン(東急アライアンスプラットフォーム賞)

提案:さまざまなデータを元にひとりひとりに最適化した動画を自動で生成する動画DXサービス「PRISM」。
現況:リコージャパン顧客の印刷業界企業に向けたメニュー化、販売支援の具体的提案が3社で進行中。サイネージ事業で流通小売業向けを中心に活用を検討。新規コンテンツ開発におけるコストダウンと自動化を検討。リコージャパンの営業活動において、多様な商品とのマッチングおよびセールス支援を目的に動画活用を継続検討。

JDSC

提案:電力などのデータ×AIで、日常生活をしながらフレイル状態を検知し、高齢者の健康寿命延伸に挑戦。
現況:インフラデータなどを用いたMCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)早期検知とトラッキングのビジネスモデル検討、協業会社との提携を推進。リコージャパンと共同で自治体ヒアリングおよびカスタマー調査を実施中。

スマートショッピング(ANOBAKA賞、藤田ファンド賞)

提案:IoT重量計「スマートマット」を活用した在庫管理・発注自動化ソリューション。
現況:スマートマットクラウドの販売代理店を介した販路拡大に向けた準備。リコーグループ内での自社利用を検討。

ユニフィニティー(LEO賞)

提案:現場を便利にするアプリを簡単に作成する業務用モバイルアプリのノーコード開発プラットフォーム。
現況:自動生成ツールの構築およびリリースを実施。リコーグループ内6部署との連携により、85件のリードを獲得、アプリ申し込み6件。全国展開を見据え、リコージャパンおよび開発パートナーとの座組を構築中。

社内起業家チーム(「TRIBUS社内企業賞」受賞チーム)

リコーテクノロジーズ(IDATEN Ventures賞)

提案:水中カメラアクセサリー。
現況:特許、意匠出願を完了。モニター会など市場の受容調査を実施。4つの水族館、2つの水産試験場から360°水中映像の可能性に大きな関心。

リコーITソリューションズ(ゼロワンブースター賞)

提案:オンライン商談をAIで支援。
オンライン商談をAIアシスタントでリアルタイムに可視化、支援するサービスの機能限定クローズドβ版を開発、リリースし、4社が利用中。アライアンスパートナーとして営業教育会社、クラウド型営業支援関連サービス事業者への協業提案。

外部審査員特別賞

リコージャパン(Spiral Innovation Partners賞)

提案:緑化による環境改善

リコー(みらい創造機構賞)

提案:スポーツ動画の活用に関するソリューション。

リコーのアクセラレータープログラムTRIBUS採択企業ユニフィニティーが現場効率化アプリの自動作成サービスβ版を無償提供

ゼロワンブースターは12月17日、リコーとともに運営するアクセラレータープログラム「TRIBUS」(トライバス)において採択されたユニフィニティーが、現場効率化ノーコードアプリの自動作成サービスβ版の無償提供を発表した。

同サービスにより、現場効率化用途のカスタムアプリを無料で試作し、DXプロジェクトの検証や新規事業のPoCをスムーズに進められるという。申し込みは、「無料アプリを申し込む」より行える。

TRIBUSは、リコーが社内外からイノベーターを募り、リコーのソースを活用してイノベーションにつなげるプロジェクト。資金や先進技術にとどまらず、リコーグループ社員が社内外で得た知見を活かしサポートする。ユニフィニティーは、これまでに蓄積したアプリ開発のノウハウに加え、サービス企画、プロジェクトマネジメントや製品デザイン、販売・開発体制の構築に至るまでTRIBUSから多くの支援を受けて、現場効率化ノーコードアプリの自動作成サービスを実現した。

同サービスでは、カメラやバーコードリーダー、GPSなどを活用して現場を効率化するモバイルアプリが無料で作成できる。豊富な画面パターンとカスタム機能を組み合わせることで、様々なアプリを表現可能という。また、1カ月間無料で試用可能なUnifinity Platformの専用開発ツール「Unifinity Studio」を用いれば、さらに細かい部分のカスタマイズも行える。


ユニフィニティーは、「テクノロジーの力をもっと身近に」をキーワードに掲げてアプリのノーコード開発プラットフォーム「Unifinity」を提供するスタートアップ。AIやクラウドといった様々な先端テクノロジーを誰でも活用できるアプリを、誰でも作れるようにすることで、あらゆる人が自分だけのアプリで働くことができる社会を目指している。

ゼロワンブースターは、「日本を事業創造できる国にして世界を変える」という企業理念のもと、大手企業とスタートアップ企業が相互に補完し合い、イノベーションを共創して事業の成長を加速するオープンイノベーションプログラム「コーポレートアクセラレーター」や、社内起業家を発見・育成するプログラム「イントラプレナーアクセラレーター」を展開している。

リコーのアクセラレータープログラムTRIBUS 2021、社内78件・社外117件の応募から参加11チームを選出

起業家向けシェアオフィスやコーポレートアクセラレーターなどを展開するゼロワンブースターは11月4日、リコーと共同運営するアクセラレータープログラム「TRIBUS 2021」(トライバス)の参加11チームを発表した。これらのチームは、10月28日に開催された社内外の総合ビジネスコンテストから選出された。

「不可逆な世界でこれからの選択肢をつくる」をテーマとするTRIBUSの2021年の参加者は、社内起業家5チームと、スタートアップ企業6チーム。リコー社内から78件、社外から117件のビジネスアイデアの応募があり、その中から選ばれた。

募集領域は、以下7領域。
・事業活動を通じた社会課題の解決で、脱炭素社会と循環型社会を実現
・次世代太陽電池で作る「充電のない世界」
・認知機能の見える化と適切な介入で認知症の「未病」を改善する社会を実現
・働き方が変わる、働く場所が変わる、紙とデジタルの橋渡しで社会へ新しい価値を提供
・アナログとデジタルがシームレスにつながり、リアルを超えるUXの実現
・リアル×デジタル融合型の企業向けマーケティングサービス
・その他の事業領域(オフィス分野、HR、AI、ロボティクスなど)

アクセラレータープログラム期間中は、リコーグループとパートナー企業からの支援を受けて、ビジネスアイデアの検討や実証実験が行われる。成果発表は2022年2月17日を予定。パートナー企業には、2020年TRIBUS採択チームのグローバル・カルテット、CAMPFIRE Startups、KDDI、日本マイクロソフトが参加している。

採択チームと応募プランの概要は以下のとおり。

スタートアップ企業

  • APTO:AI開発でもっとも労力がかかるデータ作成を、安く、早く、大量に、高品質に行えるサービス
  • CALCU:次世代ダストボックス「CALCU」。食品廃棄の削減・最適化により、 事業利益の最大化をはかるIoTシステム
  • クリエ・ジャパン:様々なデータを基に1人1人に最適化した動画を自動で生成する動画DXサービス「PRISM」
  • JDSC:電力などのデータ×AIで、日常生活をしながらフレイル状態を検知し、高齢者の健康寿命延伸に挑戦
  • スマートショッピング:IoT重量計「スマートマット」を活用した在庫管理・発注自動化ソリューション
  • ユニフィニティー:現場を便利にするアプリを簡単に作成する業務用モバイルアプリのノーコード開発プラットフォーム

社内起業家チーム

  • リコーテクノロジーズ:特殊環境における映像事業
  • リコージャパン:緑化による環境改善
  • リコーITソリューションズ:オンライン商談をAIで支援
  • リコーエレメックス:技術者と現場のマッチングを支援するサービス
  • リコー:スポーツ動画の活用に関するソリューション

リコーと九州大学共同開発によるフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルが9月提供開始、「充電のない世界」目指す

リコーが「充電のない世界」の実現に向けフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始

リコーは8月18日、IoT機器を常時可動させるための自律型電源となるフレキシブル環境発電デバイスのサンプルを9月から提供すると発表した。これはリコーと九州大学が2013年から共同研究してきた発電材料を使ったもの。屋内の低照度でも高効率な発電ができる。フィルム形状なので、さまざまなIoTデバイスに搭載が可能。IoTデバイスメーカー、サービス事業者、商社向けにサンプルを提供し、早期の商品ラインアップ化を目指すとのこと。

リコーが「充電のない世界」の実現に向けフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始

リコーは、九州大学 稲盛フロンティア研究センター 安田研究室との共同研究によって、「光電変換層(P型有機半導体)の分子構造や材料組成などを精密に制御」することで、比較的暗い場所でも高い電圧と電流が得られる有機光電変換系を開発。有機デバイス設計では、中間層(バッファ層)材料の最適化や界面制御による高効率化と高耐久化を実現した。これには、安田研究室の高性能有機半導体の設計と合成の技術、リコーの有機感光体の材料技術が活かされている。

リコーと九州大学が共同開発したフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始

リコーが開発した有機薄膜太陽電池(OPV)の構成と機能

フレキシブル環境発電デバイスには、次の特徴がある。

  • 発電効率の向上と高耐久化の実現
  • 広い照度域における高い変換効率
  • 高照度環境下における高い耐久性
  • 部分陰による影響が少ない遮光特性

約200lx(ルクス。一般家庭の居間の照明程度)の低照度から、約1万lx(曇りの日の屋外程度)の中照度でも高い光電変換効率を維持でき、約10万lxという太陽光に近い明るさでも高出力を維持できる。また、セルに部分的に影がかかっても、急激な出力の低下は起こらない。

リコーと九州大学が共同開発したフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始
リコーでは、「移動型・携帯型のウェアラブル端末やビーコンなどのデバイス、およびトンネル内や橋梁の裏側に設置される社会インフラのモニタリング用デバイスなどの自立型電源として適用が可能」としている。これにより、小型電子機器の電池交換や充電の必要がなくなり、九州大学の安田琢麿教授は、SDGsの目標7である「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成に貢献できると話している。

リコーと九州大学が共同開発したフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始リコーと九州大学が共同開発したフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始

主な仕様・41x47mmサイズで使用環境(照度)が200lxと10000lxの場合の出力

  • 最大出力(Pmax)min(取り出せる電力の最大値)
    200xl:84µW
    10000lx:4200µW
  • 最大出力動作電圧(Vpmax)typ(電力が最大となる電圧値)
    200xl:3.3V
    10000lx:3.6V
  • 最大出力動作電流(Ipmax)typ(電力が最大となる電流値)
    200lx:25µA
    10000lx: 1200µA

詳細はこちら。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:環境発電 / エネルギーハーベスティング(用語)九州大学(組織)太陽光 / 太陽光発電 / ソーラー発電 / 太陽電池(用語)有機太陽電池 / OPV(用語)リコー(企業)日本(国・地域)

リコーが3Dコンテンツを全方位立体映像として現実空間に映し出せる投影装置を開発、裸眼で視認可能

リコーが3Dコンテンツを全方位立体映像として現実空間に映し出せる投影装置を開発、裸眼で視認可能

リコーは3月8日、社内起業家とスタートアップを支援する事業共創プログラム「TRIBUS 2020」において、同社社内チームが、現実空間に全方位映像を映し出せる投影装置を開発したと発表した。同投影技術による立体映像の認知度拡大と市場性の検証をするため、まずはデジタルサイネージ用途で、2021年3月から「WARPE」(ワープイー)ブランドとしてビジネスパートナーを募り、市場探索を開始する。今後、2021年度中に試作機による実証実験や試験的な稼働を始め、2022年度中の実用化を目指す。

同システムは、装置の真下から上に向けて光を投射し、独自開発の特殊な回転スクリーンに当たった光の残像で立体化させた映像(立体映像)を表示させる体積走査型の投影装置という。これにより、全方位から立体映像を見ることが可能としている。

現在実用化に向けて開発を進めており、現時点では、人の頭のサイズ(直径200mm、高さ250mm)で立体映像のカラー動画表示を実現している。

また従来は、特殊な眼鏡や専用ヘッドセットを通して立体映像を見るものが多かったが、同社装置では全方位から裸眼で立体映像を見ることが可能という。

リコーが3Dコンテンツを全方位立体映像として現実空間に映し出せる投影装置を開発、裸眼で視認可能

装置イメージ図

三次元酔いを起こさずに、完全立体表示を実現することにこだわる

リコーは、コロナ禍でEC化が急速に進み、小売店やショールーム、展示会などのリアルな場所では、集客力向上のための新たな価値の創出が課題となっていると指摘。このような状況を受け、リアルの場所は、物を展示・販売するだけの場から、デジタルと融合した「体験を提供する場」への急速な変化が求められているとした。

今回開発した装置については、世界的に急増している仮想空間の三次元デジタルコンテンツを、現実の世界に同化するかのように立体投影し、顧客とコミュニケーションをすることで、新たな体験価値を提供し、ワクワクできる場所へと進化させることに寄与するものとしている。

開発にあたっては、三次元酔いを起こさずに、現実空間に実在するような完全立体表示を実現することにこだわったそうだ。映像は現時点で約3.7億ボクセル(三次元像を構成する画素の数)のカラー動画立体表示を実現している(フルハイビジョンの平面映像では、二次元像を構成する画素の数は約207万画素)。

2022年度中の実用化を目指す

今後、2021年度中に試作機による実証実験や試験的な稼働を始め、2022年度中の実用化を目指す。さらに将来的には、働く場における立体映像によるリモート会議や立体構造物のシミュレーションやモデリング支援、教育分野における立体構造把握支援、エンターテインメント、家庭用バーチャルアシスタントなど、幅広い用途で、デジタルコンテンツを使ったコミュニケーションの高度化に貢献していく。

また同システムで投影した映像や公開イベントは、「WARPE」サイトやFacebook上において順次告知する。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:リコー(企業)WARPE(製品・サービス)日本(国・地域)