「友人の友人」までの副業・転職意欲を確認できる「YOUTRUST」が資金調達

副業・転職のリファラル採用プラットフォーム「YOUTRUST」運営のYOUTRUSTは1月28日、シードラウンドでの第三者割当増資を実施したと発表。

引受先はTLMおよび個人投資家の中川綾太郎氏。調達額は総額数千万円と発表されている。

2018年4月にリリースされたYOUTRUSTは「友人の友人」までの副業・転職の意欲がリアルタイムで閲覧できるヘッドハンティングのためのプラットフォームだ。アカウントは副業・転職希望者向けのユーザーアカウントと採用を希望する企業向けのリクルーターアカウントの2種類。

副業・転職希望のユーザーは「転職含め検討中」「今すぐ手伝える」「まずは相談から」「今は難しい」の4つから意欲を選択。意欲の公開範囲は友人や共通の友人がいるユーザーにも意欲が見える「パブリック」、もしくはつながっている人にしか意欲が見えない「プライベート」から選べる。その後は友人とつながったり、「自己紹介」や「できること(Ruby on Rails、広報、ライティングなど)」を追加したりしてプロフィールを充実させ、スカウトを待つだけ。

「友人の友人」にまでスカウトなどのアプローチができるリクルーターアカウントは審査制で、利用料はアカウント毎に月額3万円。その他にも雇用形態によって異なる成果報酬を支払う必要がある。

YOUTRUSTいわく、あえて「『友人の友人』までのネットワークに制限する」ことで「信頼性を担保し、58%と非常に高いスカウト返信率を維持している」のだとか。また、リリースから約半年だが、ノンプロモーションながら全体のユーザー数が約4000名、うちリクルーターアカウントは120社171名。登録者はインターネット業界のユーザーが95%。

同社は今回の資金調達により、サービス運営体制の強化やプロモーション推進に注力する。具体的にはフルタイムメンバーを増やし、PR活動やイベント・セミナーの開催などプロモーションに力をいれる予定だ。

リファラル採用のMyRefer、パーソル独立後3.6億円の調達ーー「つながりで日本のはたらくをアップデートする」

左から、MyRefer代表取締役社長CEOの鈴木貴史氏、USEN-NEXT HOLDINGS代表取締役社長CEOの宇野康秀氏

リファラル採用に特化したHRテックサービス「MyRefer」を提供するMyReferは8月6日、グリーベンチャーズ、パーソルホールディングス、宇野康秀氏などを引受先とする総額3億6000万円の第三者割当増資を実施したと発表した。

同社はパーソルグループの新規事業創出プログラム「0to1」発の事業。成長をより一層加速化させること、そしてパーソル全体のオープンイノベーションを更に強化していく試みとして8月1日に法人化した。同プログラム初の独立法人化案件だというだけでなく、1998年設立のサイバージェント以来のインテリジェンス(現パーソル)発のスピンアウトベンチャーとなった。インテリジェンス創業者で現在はUSEN-NEXT HOLDINGSの代表取締役社長CEOを務める宇野氏はこの動きを「非常に嬉しく感じている」とコメントしている。

「創業の頃から人と組織を元気にするインフラサービスとしてやっていた。個人的にやりたいことは、ベンチャーがチャンスを得て巣立っていくこと。大企業を脅かすような存在に進化していくことを支援したい」(宇野氏)

また、同氏は「(独立元企業にとっては)自社で抱えきれない事業もある」「独立したからと言って1が0になるわけではない」とも話している。

「自社で育てたサービスが独立してしまうと損失が多く見えるが、自社内で成長した上で独立を目指す優秀な人が増えることはメリットだと思う。逆に、サイバーはインテの中にいたら今のようにはなっていない可能性もある。独立したことでブランディング形成できるという面もある」(宇野氏)

一方、パーソルホールディングス取締役副社長COO高橋広敏氏は「パーソルグループにおいてもオープンイノベーションやインキュベーションを積極推進しており、MyReferのさらなる事業成長を支援していく」とコメントしている。

MyReferはリファラル採用を中途採用のみならず新卒、アルバイト採用でも利用が可能にするクラウドサービスだ。リファラル採用とは社員に人材を紹介・推薦してもらう採用手法のこと。社員の個人的な繋がりを活用し、より企業にマッチした人材を獲得することが可能となる。

人事担当者はMyReferを導入後、社員にマイページを配布。社員はマイページで求人情報を確認し、SNS上の友人にシェア。推薦コメントを人事担当者に送信。お誘いが届いた友人は興味があればMyReferに登録して応募する。社員の活動状況を全て可視化するアナリティクス機能により、人事担当者は社員の紹介活動や候補者応募状況、求人別の紹介状況を確認することができる。

iPhoneとAndroidに対応したアプリを使うことで社員はワンクリックで求人を紹介することが可能。同アプリでは「社内の活動状況がランキングで可視化されるのでログインしたくなる」との声もあり、社員が楽しく自発的に自社の紹介活動を行える。また、社員は活動状況によってはギフトを受け取ることも可能だ。

「エージェントとか求人広告のような職務経歴書などを用いたハード面でのマッチングではなく、人と人との繋がりによるレファランスを活用する。新卒、中途とアルバイト領域の全ての採用を人と人との繋がりによる就職・転職でディスラプトしていきたい」とMyRefer代表取締役社長CEOの鈴木貴史氏は語った。従来の履歴書や経歴書をベースとしたマッチング手法では、個人のポテンシャルを最大限活かせず、企業も外部エージェントに依存した採用に終始しがちだという。一方、MyReferは企業に対して社員の繋がりを活用したインフラを提供するので、持続可能な採用力強化を可能としている。

MyReferは日本で最も利用されているリファラル採用サービスで、2015年9月のサービス正式リリースから30カ月で370社が利用、利用社員数は10万にもおよぶ。利用企業には2018年1月の段階でUSEN-NEXT HOLDINGSやファーストリテイリング、日産自動車などが挙げられていた。

鈴木氏は調達した資金で新機能の開発や採用、マーケティングを強化していくという。退職した社員の再雇用やアルバイトからの正社員登用も含めた社内移動を可能にし、採用側が自社のニュースなどを求職者に発信できるような仕組みを構築したいと意気込んでいた。

リファラル採用支援「Refcome」提供元が約2億円調達――1年で登録社員数10倍、アルバイトにも活用

リファラル採用を支援するクラウドサービス「Refcome(リフカム)」を提供するリフカム(Combinatorから社名変更)は11月6日、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ及び既存株主のDraperNexus、Beenext、ANRIを引受先とした第三者割当増資により総額約2億円を調達したことを明らかにした。

今回調達した資金で現在伸びているアルバイト領域への展開に力を入れていくほか、リファラル採用の運用支援体制の強化、さらには新サービスの開発にも取り組んでいく。なおリフカムは2016年10月にも伊藤忠テクノロジーベンチャーズを除く3社から5000万円を調達している。

1年間で登録社員数が10倍、アルバイト・派遣領域で利用が拡大

Refcomeは2016年7月にリリースされたリファラル採用を活性化させるクラウドサービス。人事と現場の社員双方の負荷を減らし、リファラル採用に取り組みやすい環境をサポートすることがウリだ。具体的には人事担当者が社員へ募集内容を周知できる機能や協力してくれた社員を把握できる機能、社員が友人に会社の紹介をしやすい機能などを備える。

2016年10月時点で2700人だった登録社員数は1年間で10倍越えの3万人に増え、月次の売上高も15倍へと成長した。リフカム代表取締役の清水巧氏の話では、この1年でIT企業だけでなく飲食チェーンやアパレル、不動産など導入企業の幅が広がったという。合わせてわずか10%だったアルバイトや派遣での利用比率が1年間で40%に増えるなど、正社員以外の利用も増えたそうだ。

アルバイトや派遣の採用でRefcomeの利用が増えてきた理由はどこにあるのだろうか? その背景のひとつには「離職率の問題」があると清水氏は話す。

「ある飲食店では採用したアルバイトの3人に1人が入社から2週間以内に辞めてしまうということがあった。その1人を採用するのにも求人媒体を使うと7〜8万円かかるということもあり、そもそも辞めない人をなるべく安く採用したいというニーズが強くなっている。リファラル採用の場合は友人が社内にいるため社内になじみやすいこともあり、問い合わせが増えてきた」(清水氏)

アルバイトの募集においても、たとえば「友人紹介キャンペーン」など、これまでもリファラル採用的な施策は行われていた。ただ時代の変化とともにほとんどの人がSNSを使うようになり「リファラル採用」という概念や、それを支援する仕組みも整い始めている。「おそらく5年前では少し早かった。外部環境が追いついてきてちょうどいいタイミングになってきている」という清水氏の話も頷ける。

従業員のエンゲージメント測定とリファラル採用を連動

清水氏にこの1年の変化についてもう少し詳しく話を聞くと「従業員のエンゲージメント測定とリファラル採用を連動させて提案できるようになったこと」と「事例が増えてナレッジが蓄積されてきた結果、提案できる施策が増えたこと」がサービスの成長につながっているという。

リフカムは2017年4月、アンケート結果を基に社員のエンゲージメントを可視化できる「Refcome Engage(リフカムエンゲージ)」をリリースした。リリース時にも話があったが、リファラル採用がうまくいくかどうかは、従業員のエンゲージメントが大きく影響するのだという。

たとえばある飲食チェーンではリファラル採用に協力的な店舗と非協力的な店舗があり、双方で従業員のエンゲージメントを測定したところ、協力的な店舗はエンゲージメントも高いという結果が出たそうだ。そこでまずはRefcomeの導入企業を中心にRefcome Engageを提案。双方のツールは連動しているため、エンゲージメントの測定結果からリファラル採用の施策設計までをシームレスに行えるようにした。

また1年以上をかけて様々な企業のリファラル採用をサポートする中で、ナレッジが蓄積されより効果的な提案ができるようになったきている。

「たとえば100名規模のITベンチャーで人事から全社的に人材紹介の依頼をしても効果が薄い一方で、事業部長など現場のトップから依頼をするようにしただけでうまく機能するようになった事例がある。規模や業種によっても最適な手法は異なるため、フォローアップする体制を強化してきた」(清水氏)

清水氏が前職のSansan時代にカスタマーサクセス部門に携わっていた経験もあり、リフカムでは初期からカスタマーサクセス(CS)に力を入れていてきた。年間の解約率は10%未満とのことで、現在もCSドリブンで新たな機能や施策が生まれているという。

採用から組織作りまでを一気通貫するHRサービスへ

今回の資金調達を踏まえて、リフカムではアルバイト採用領域を中心にIT業界以外への展開をさらに進めていくほか、リファラル採用の運用支援体制の強化も引き続き進めていく。

そしてその先には新たなサービスや機能を加えることで、リファラル採用システムを超えて組織作りまでをサポートするシステムへ拡張することを構想しているという。

「リファラル採用を推進していると中には今すぐ転職することは考えていない人もいる。そのようなタレントをデータベース化できるものなど、さらに川下のサービスも作っていく。もともと『採用を仲間集めに』をミッションに、リファラル採用を通じて良い会社を作るサポートをすることが目的。RefcomeやRefcome Engageに新サービスも加えることで組織作りまでを一気通貫でできるようにすることで、ミッションの達成を目指したい」(清水氏)

Facebookで職探し―、LinkedInの牙城を崩す新機能

facebook-vs-linkedin

Facebookは、これまでLinkedInが注意を払ってこなかった2つのグループをターゲットに、種々の求人機能をローンチしはじめた。彼らがターゲットにしているグループとは、単純労働者と積極的に職探しをしていない人たちだ。昨年TechCrunchがテスト中にあったのを報じたこの機能によって、FacebookはLinkedInの成長を妨げるばかりか、彼らから広告収益の一部を奪うことになるかもしれない。

新機能を使えば、ビジネスアカウントを持っている企業は、Facebookページのステータスアップデート機能を使ってフィード上に求人票を投稿できるほか、「Jobs」タブにもその情報を掲載できる。一方求人票を見たユーザーは、「Apply Now(今すぐ応募)」ボタンを押せば、Messengerを通じてその仕事に応募できる。応募にかかる時間をできるだけ短くするため、応募者の名前や写真は、Facebook上の情報から自動的に抽出されるようになっている。この機能は、アメリカとカナダの全てのビジネスアカウントで順次利用できるようになる予定だ。

jobs-desktop-mobile-experience

Facebookは求人票を広告としてフィード上に流すことで、新機能から収益をあげることもできる。さらにユーザーが求人票をシェアしたり、仕事を探している友人を求人票にタグ付けしたりするようになれば、企業は採用プロセスを効率化できるようになる。

Facebookで広告・ビジネスプラットフォーム担当ヴァイスプレジデントを務めるAndrew “Boz” Bosworthは、同社が「ユーザーが普段の生活の中で、もっとFacebookを有効活用するにはどうすればいいか」というのを考えていたと話す。そんな中Facebookは、小企業が採用に悩んでおり、ほとんどの人が現状の仕事に満足していたとしても、もっと給与が高くて良い仕事があれば転職する気があるということに気付いた。

これはLinkedInが満たせていないニーズだ。同社のサービスは、中規模以上の企業で高いスキルが求められる仕事を積極的に探している人たちの間では人気を博している。

しかしパートタイムの仕事やアルバイトを探している人にとって、学歴や履歴書を重視するLinkedInの仕組みはハードルが高いと考えられている。しかもLinkedInは、一度にたくさんの仕事に応募したいと考えている人には向いていない。その上、現在仕事をしていない人や、転職先を積極的に探していない人には、そもそもLinkedInを訪れる理由がないかもしれないのだ。

一方、LinkedInがターゲットにしていない人や、彼らを採用したいと考えている企業は毎日Facebookを利用している。そして投稿や広告という形で求人票が色んな人のフィード上に広まることで、転職を考えていなかった人にもその情報が伝わる可能性もある。さらに「Apply Now」ボタンのおかげで、ユーザーはいつも通りFacebookを使うような感覚で、簡単に求人へ応募できる。

16344637_1831852097027364_8648633785480380416_n

しかしこの機能にはひとつ問題がある。職探しをしている人の中には、雇用主がソーシャルメディアを通してバックグラウンドチェクをすることを恐れている人もいるのだ。Facebook経由の応募によって、雇用主は以前よりもバックグラウンドチェックをしやすくなるかもしれない。

この点についてBozは、新機能に関する調査を行ったところ「驚くほど好評」だったと話す。高いスキルが求められる、有名企業の人気ポストへ応募するような人は、ソーシャルメディアを使ったバックグラウンドチェックを恐れているかもしれないが、「カジュアルな職探しをしている人は、空いているポジションに片っ端から応募しています」と彼は言う。

最終的には求人に関する情報をユーザーの教育水準や職歴に応じて分類し、関連性の高い情報を表示することも検討しているとFacebookは話す。さらに同社が本機能を改良していけば、求人票を出している企業の社員や、求人票を見ている人が、自分の友だちでその仕事に合いそうな人を紹介できるようになるかもしれない。また求職者からの応募を受け取るチャンネルとしてのMessengerの人気が高まれば、採用担当者が応募情報をうまく処理するためのツールのニーズも高まってくるだろう。

facebook-jobs-applications

とはいえ、とりあえず今のところのFacebookの作戦は、(Microsoft傘下の)LinkedInがこれまで放置していた人に対して求人情報を届けるということだ。「求職者の3分の2は現状何かしらの職に就いています」とBozは話す。「彼らは良い情報が入ってきたら反応しますが、自分からいつも仕事を探しているわけではありません」

LinedInは採用に主眼を置いたソーシャルサービスとしてはナンバーワンかもしれないが、そのユーザー数は4億6700万人と、Facebookの18億6000万人には遠くおよばない。さらにFacebookのユーザーは何らかの目的で毎日Facebookを利用しているため、新機能のおかげで自分でも気づいていなかったような夢の仕事に関する情報をたまたま目にし、実際に応募することになるかもしれない。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter