ダンボールやプラスチックの廃棄物を減らすリユーザブルパッケージングのReturnityが3億5千600万ドル相当を調達

簡単な試験問題です: ダンボール箱をリサイクルするのが良いですか?それとも丈夫な包装袋を、それがその作り手に再び出会うまで何度も何度も使うのが良いですか? Returnityなら、後者と答えるだろう。そして同社はこのほど、Brand Foundry VenturesXRC Labsなどから310万ドルを調達して、すでにEstée LauderやNew Balance、Rent the Runway、Walmartなどに提供しているワークをさらに継続し、拡張していくことになった。

ReturnityのCEO、Mike Newman氏は次のように回想する。「かなり長くかかったね。最初は再利用できるショッピングバッグを作って、リサイクルショップThredUpの共同創業者でCEOのJames Reinhardt氏なんかがそのバッグを買ってくれた。彼は、輸送用にも良いバッグが欲しい、と言った。そこから、すべてが始まった。今日まで、そればっかりやっている。」

「再利用できるショッピングバッグなら、うちに前からある。それはとてもクールだと自分でも思っている。でもそれだけでは発展性がない。私たちは、パッケージングが単なる製品ではなく、本当はシステムであることを、学ばなければならなかった。リユーザブルなパッケージングをサポートするシステムがなければ、それはプレスリリースだけで終わってしまう事業だ。スケールしないし、サステナブルでもない。私たちの発想がビジネスになり、リユーザブルという考え方そのものがビジネスになるためには、それがスケーラブルでサステナブルでなければならない。そうでなければパッケージングを改革することはできない」。

同社の挑戦は巨大だ。米国だけでも毎年200億以上の小荷物が配達されている。世界全体では1000億になり、5年後にはその倍になる。そして大量の材料が廃棄されている。しかしリユーザブルなパッケージングは理にかなっている。とくに、送ることと返却が自然にセットになっている業界でそう言える。ファッションのレンタルや、食料品の定期的配達、そのほかの定期的な配達や荷受けのある業界だ。

でもご存知にように最近は、レンタルの扱い量が急に減ってしまい、人びとはハイエンドのファッションをレンタルしてリビングに放っておくことをしなくなった。そこでReturnityには、2020年に厳しい目覚めが襲った。

Newman氏はこう言う: 「2020年には大きく成長するはずだった。でもパンデミックによるシャットダウンで売上の80%が一晩で消えた。往復性が本質的にある業界を超えて、うちのビジネスが成り立つためには、何をすべきか、考えなければならなくなった。それが見つからなかったら、今の弊社は存在していないだろう。いちばんつらかったのがそこだし、超えるべき試練でもあった。私たちは、企業には何を提供すべきかという、基本的な問題に直面せざるをえなかった」。

今同社はかなりの数のパイロット事業とケーススタディがあり、それらを発表してもいる。その一部は、前向きの企業と共同で行っている。たとえばウォルマートには、家庭に食料品を配達するためのリユーザブルバッグを供給し、パッケージングのクリーニングと再供給も行っている。

New Balanceに対しては、そのNew Balance Team Sports事業のためのリユーザブルな輸送パッケージングの実装展開を先導し、効率的で環境にやさしいシステムによりパートナーとのサンプルの送受を行っている。このリユーザブルなパッケージングにより、使い捨てのダンボール箱が10000以上発生する従来のやり方が変わった。排ガスの量も63%に減少した。

ヘアケアのAvedaでもこのやり方が功を奏し、使い捨てだった1リットルの瓶をReturnable Shipper Programによるパッケージングの再利用に変えている。また返品処理サービスのHappy Returnsは、ストアと倉庫間の物の移動を、同社の“Return Bar”ネットワークで改善した。お店はeコマースの商品の交換や返品を、印刷や再包装や対人接触なしで処理できる。


Returnityが作っているリユーザブルなパッケージングは、大量のダンボールやプラスチックがリサイクル行きになるのを防ぐ。画像クレジット: Returnity

今回の310万ドルでReturnityは顧客開拓努力を拡張し、また、プロダクトとこれまでできなかったマーケティングの改善を行なう。さらに、オンボーディング(顧客登録)プロセスを標準化して、より本格的な成長を可能にする。

Newman氏曰く、「顧客には、三つのグループがある。ひとつは付き合いの長い顧客で、Happy ReturnsやRent the Runwayなどは頻繁にうちを利用し、弊社に愛着がある。第二のグループはWalmartやEstée Lauderのようにパイロットを終えたばかりで、これからの成長に備えている。そして最後のグループはアーリーステージブランドの長い々々リストで、パッケージングの共同開発は数か月後にやっと始まり、発表もできるだろう」。

「このラウンドで私たちはパイプラインを築くことができ、リユーズの重要性を自覚しているけど着手できなかった企業のための仕事を加速できる」。

編集注記: この記事の最初のバージョンではReturnityの投資家としてXRC Labsが抜けていた。また引用したプレスリリースの草案ではSustainable Oceans Allianceがラウンドに参加となっているが、SOAはReturnityへの投資に参加していない。以上2点を本稿では改定した。

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Returnity & Rent the Runway

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