企業はノートPCを購入するかわりに数分の手続きでレンタルすべきだと考える「Fleet」

フランスのスタートアップFleet(フリート)は、ハードウェアをサービスとして管理することで、IT部門のベストフレンドになろうとしている。Fleetの顧客は、パソコンやスマートフォンを月々定額でレンタルできる。ハードウェアに問題が発生した場合は、返品や修理に対応する。

また、更新時期には、古いノートパソコンやスマートフォンを新しいものと交換することができる。顧客は、現在保有しているデバイスを1つの管理画面で確認することができる。

同社は、幅広い種類のデバイスを提供している。例えば、M1 Proチップと16GBのRAMを搭載した14インチのMacBook Proは、現在1台あたり月額99.90ユーロ(約1万2930円)だ。M1 MacBook Airは1デバイスあたり月額54.90ユーロ(約7100円)から。128GBのストレージを搭載したiPhone 13は、月額44.90ユーロ(約5810円)になる。

Microsoft(マイクロソフト)のノートパソコン(Surface Laptop Go、Surface Laptop 4、Surface Pro 7)、Dell(デル)のパソコン、そしてChromebookも数モデル用意されている。端末が寿命を迎えてFleetに送り返されると、同社はその端末を非営利団体に譲渡したり、再生業者に売却したり、リサイクルしたりする。

Fleetはブートストラップしたスタートアップで、VCからの資金調達はしていない。しかし、現在のランレートで1200万ユーロ(約15億5300万円)の年間売上高が見込まれるなど、順調に成長している。

同社は現在、Ankorstore、Ornikar、Sunday、Matera、Cubyn、Wemaintain、Shineなど、フランスの有名なスタートアップ数社を含む600社の顧客を有している。そして中央ヨーロッパ時間3月14日、同社はスペインでDaaS(Device as a Service)の提供を開始する。そしてバルセロナにもオフィスを開設する予定だ。

Fleetのサプライヤーの多くはすでに欧州全域に配送可能であるため、同社の欧州での展開はまだまだ続く。ポルトガル、イタリア、ドイツ、ベルギーを次の市場として考えている。

多くの企業は、従業員用のデバイスを直接購入することを選択する。しかしそれには大きな初期費用がかかるし、ハードウェアの問題が発生したときに助けてくれるサプライヤーがいないことになる。

企業は、こうした大きな資本支出を運用コストに転化する方法を模索してきた。例えば、企業はハードウェアを購入するために、銀行とクレジットラインを交渉することができる。

そして、これがFleetのビジネスモデルを理解する鍵になる。同社は、金融機関やリース会社と直接交渉しているため、顧客はアカウントを作成し、いくつかの書類を提出するだけでよい。数分もあれば、ノートパソコンを注文することができる。そしてFleetは、顧客に代わってやっかいな仕事をこなす、もう1つのサービスプロバイダーとなるわけだ。

画像クレジット:Jeremy Bezanger / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Den Nakano)

体験型ストアのb8taが埼玉県越谷市に新店舗を4月27日オープン、家電お試しサービスのレンティオ取扱製品が体験可能に

体験型ストアのb8ta Japanが埼玉県越谷市に新店舗を4月27日オープン、家電お試しサービスのレンティオ取扱製品が体験可能に体験型ストア「b8ta」(ベータ)を手がける​b8ta Japan(ベータ・ジャパン)は3月14日、日本国内4店舗目となる「b8ta Koshigaya Laketown」を4月27日にオープンすることを発表した(埼玉県越谷市・イオンレイクタウンkaze内)。また、家電製品を中心としたレンタル・販売サービス「レンティオ」を運営するレンティオとの業務提携も明らかにした。新店舗では、レンティオが取り扱う調理家電の試用も可能となる。

b8taは「リテールを通じて人々に新たな発見をもたらす」(Retail Designed for Discovery.)をミッションに掲げ、商品の販売ではなく消費者に体験してもらうことを主軸とし、スタートアップ企業などの新製品をメインに取り扱っている。今回新たにオープンするb8ta Koshigaya Laketownは、東京以外で初めての出店となる。この新店舗では、オープン時には国内外合わせて40ブランドの商品を取り扱う予定。

レンティオは、カメラや家電製品を中心とする3000種類以上の最新製品を購入前に試用できるサービス。レンタル品をネットで注文し、実際に使った上でユーザーが返却するか購入するかを選ぶことができ、「買う」「買わない」以外に「買わないで使う」というRent to ownの選択肢を提供している。

今回のb8ta Japanとレンティオの業務提携により、b8ta Koshigaya Laketownの店内ではレンティオが取り扱う一部の調理家電を実際に試用することが可能となる。店内には来場者が実際に利用できる「ライブキッチン」が設置され、簡易的な調理をすることができ、気に入った調理家電はその場でレンティオのレンタルサービスに申し込むことができる。

「b8ta Koshigaya Laketown」詳細

  • 開業日:2022年4月27日
  • 営業時間:商業施設に準拠
  • 定休日:商業施設に準拠
  • 所在地:〒343-0828 埼玉県越谷市レイクタウン4丁目2番地2 kaze 2階 C-207(イオンレイクタウンkaze

セルフ型トラックレンタルマーケットプレイスFetchが事業拡大で約4億円調達

昔、筆者はトラックを所有していた。そのトラックが大好きだった。しかし、実際にトラックとして使うことはさほどなく、結局、そのトラックを売って、もっと日常的なニーズに合ったものを購入した。より「実用的」なものだ。今でもあのトラックが恋しい。

現在、年に数回、トラックをトラックとして使う必要があり、その場合、友達を説得して34回目の借用をさせてもらうか、大型ハードウェア店でレンタルを試みるしかない。店に着くまでに使えるトラックがあることを願い、列に並び、書類に記入し、保険証を忘れたために車まで走っていき、また列に並び直す。

数年前にTechCrunchが初めて紹介したFetch(フェッチ)は、このプロセスを少し簡単にする。近くにあるトラック(またはバン!)を探し、アプリで予約し、歩いて行って携帯電話からロックを解除すれば、すぐに出発することができる。今週、Fetchはチームと事業を拡大するために350万ドル(約4億円)を調達したことを発表した。Fetchを実現するために、とも言える(編集部注:Fetchは行って取ってくる、の意)。

Fetchは今のところ、いくつかの都市で事業を展開しているが、そのリストは急速に増え始めている。最初に地元アトランタで開始し、最近ではボルチモア、フィラデルフィア、ダラス、ワシントンDCに事業を拡大している。Fetchの共同創業者Adam Steinberg(アダム・スタインバーグ)氏によると、2022年末までに「さらに12都市」に進出する予定だという。

同社のビジネスモデルも、前回取り上げたときからかなり拡大している。以前は、Fetchで利用できるトラックはすべてFetchが所有していたが、最近は、空きトラックを持つ人なら誰でも貸し出せるマーケットプレイスとなっている(車両を抱える企業でも、空き車両を持つ個人でも、週7日レンタルに貸し出せれば利用できる)。

登録を済ませると、トラックの所有者は、承認された借り手が車両のロックを解除し、トラックを使えるようにするためにFetchのハードウェアを取り付ける。借り手は自分で保険に加入する必要があるが、Fetchはその保険契約を補うための二次保険も提供している。

レンタル料金は、サイズや運転距離など求めるものによって若干異なり、時間や日単位、あるいは必要な期間に応じて借りることもできる。例えば、アトランタで全長6フィート(182センチ)のピックアップトラックは、現在サイトでは1時間19ドル(約2200円)で、あるいは走行距離50マイル(80キロメートル)までなら1日70ドル(約8000円)で提供されている。

他にオンデマンドレンタカーサービスがある中で、なぜこのようなサービスを立ち上げたのだろう。理由はターゲット層だ。重量1000ポンド(約453キロ)の木材を動かしたり、古い机をオフィスから運び出したりしたいときに、休暇用のレンタカーアプリに飛びつくのは、ちょっと変な感じがする。「私たちの理想の顧客は、中小企業の経営者です」とスタインバーグ氏はいう。「ケータリング業者やイベントプランナーなど、定期的にトラックを必要とする中小企業です」。

スタインバーグ氏によると、同社は「レンタル1台あたりの収益性も達成」している。そして、現在「数百台のトラックをマーケットプレイスで稼働させていて」、その約半数がアトランタ地域にあるとのことだ。また、Home Depot(ホームデポ)とも提携し、一部の地域で同社のレンタル業務を受託している。

次の動きは?チームの拡大だ。同社の従業員は現在12人で、今後3カ月ほどで倍増させる計画だ。

今回の資金調達ラウンドはNextView Venturesがリードし、Knoll Ventures、Zeno Ventures、Nassau Street Ventures、その他多くのエンジェル投資家が参加した。

画像クレジット:Fetch

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Nariko Mizoguchi

Rent the Runwayを進化させた英国のファッションレンタル・シェア「HURR」が約6.1億円調達

「Rent the Runway」スタイルの英国のファッションレンタルマーケットプレイス「HURR」は現地時間12月10日、欧州のVCであるOctopus Venturesが主導するシードラウンドで540万ドル(約6億1000万円)を調達したと発表した。今ラウンドにはAscensionやD4 Venturesなども参加した。

2019年にローンチしたHURRは、ピアツーピアのファッションレンタル、ファッションアウトレットとの直接提携、(英高級百貨店セルフリッジズのレンタルサービス)Selfridges Rentalなどの小売店とのホワイトレーベルサービスを組み合わせたハイブリッドなビジネスモデルを展開している。また、Selfridges London(セルフリッジズ・ロンドン)に実店舗を持ち、世界的なフリマアプリDEPOP(ディポップ)との提携も行っている。

HURRの創業者兼CEOであるVictoria Prew(ヴィクトリア・プリュー)氏は、次のようにコメントしている。「私は、オーナーシップを共有するのが大好きなミレニアル世代の一員です。私たちは皆、AirbnbやUber(ウーバー)のような破壊的な技術を駆使したビジネスの台頭を目の当たりにしてきましたが、家やクルマをそうしてレンタルできるのであれば、ワードローブを貸し借りすることもできるはずです」。

Octopus Venturesのコンシューマー部門投資家であるMatt Chandler(マット・チャンドラー)氏は、次のように述べている。「HURRは、新しいオーナーシップモデルへの移行を利用して、より気候に優しいファッション業界への移行を先導できる絶好の立場にあります」。

画像クレジット:HURR

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

Neuronがレンタル用電動スクーターに危険な乗り方を検知する機能を試験的に搭載

マイクロモビリティシェア大手Birdの日本展開に向け、国内プラットフォームパートナーのBRJが4億円調達

電動スクーター(電動キックスクーター)のシェアリング事業を展開するNeuron Mobility(ニューロン・モビリティ)は、同社のスクーター「N3」に新しいオペレーティングシステムと追加の車載センサーを搭載し、危険な乗り方や軽率な乗り方をすると検知して警告や修正を行うアップデートを施した。シンガポールに本拠を置く同社は、今後6カ月の間、オーストラリア、カナダ、英国で約1500台の改良を施したスクーターを試験的に運用する予定だ。

Neuronの新型スクーターは、高精度な位置情報技術と迅速なジオフェンス検知により、急激なハンドル操作、横滑り、縁石跳び、タンデム走行、歩道走行などの危険な行為を検知すると、過ちを正したり、警告したりする。新センサーとIoT(モノのインターネット)は、このスクーターがさまざまな言語で乗り手に話しかけ、自らの行動を正すように導くことを可能にした。走行後には乗り手の安全性を評価したり、安全に乗るための教育資料をメールで送信することもできる。極端な状況下では「サービスエリアを出ているので、戻らないと電源が切れます」というような音声メッセージを発したり、シンプルにスクーターを減速させて停止させることも可能になった。

長期的には、すべての運転者に個別の安全性評価が与えられるようになる予定だ。Neuronでは、この評価によって安全な乗り方を奨励し、危険な行為が多い特定の運転者は安全教育の対象とすることで、そのような行為の繰り返しが防げることを期待している。

「しかし、この技術レイヤーが現実の世界で、現実にユーザーの手に渡ることで、実際にどのような影響があるでしょうか?」と、 NeuronのCEOであるZachary Wang(ザカリー・ワン)氏は、TechCrunchに語った。「それが今回の試験の焦点です。何千台ものスクーターを調査し、多くの自治体と協力して、どこで線を引くべきかを、検討したいと考えています。都市のニーズに最も適した方法でこの技術を導入するためには、どのようにすればいいかを研究したいのです」。

このような種類の運転支援システムを導入している電動スクーター事業者は、Neuronだけではない。Bird(バード)は最近、位置情報を利用した歩道走行検知技術を、ミルウォーキーとサンディエゴで数百台のスクーターに搭載した。Superpedestrian(スーパーペデストリアン)は、夏にNavmatic(ナヴマティック)を買収し、同社の高精度測位ソフトウェアを導入することで、危険な運転行為を検知し、スクーターをリアルタイムで停止させることができるようになった。

Spin(スピン)、Voi(ヴォイ)、Helbiz(ヘルビズ)などの企業も、スクーター用の先進運転支援システム(ADAS)を試験的に導入しているが、これらのシステムでは、車両に取り付けられたカメラとその他のセンサーを使用して、乗り手の行動や駐輪に関して同じ様な判定を行う仕組みだ。

これらの企業と比べると、Neuronは確かに少し遅れているものの、この種の技術を公開している企業の中で、純粋に自社で開発しているのはNeuronだけだろう。Birdの位置情報は、スイスの企業でワイヤレス半導体や高精度の測位モジュールを製造しているu-blox(ユーボックス)との提携により実現したものだ。また、SpinとHelbizはDrover AI(ドローバーAI)と、VoiはLuna(ルナ)と提携し、各々のコンピュータビジョンモジュールを開発している。

Neuronでは、正確な位置情報を得るために、多数の衛星コンステレーションからの電波を利用して高精度な地理空間測位を行うマルチバンドの全球測位衛星システム(GNSS)を実装している。また、新たに搭載された加速度センサーと6軸ジャイロセンサーは、車両の走行速度、加速度の大きさ、旋回角度、傾斜の有無などを検出し、乗り手が危険な運転をしているかどうかを判断する。同時に測位ソフトウェアと連動して、より正確な位置情報を取得する。

迅速なジオフェンス検出では、これらのデータをクラウドではなくエッジコンピューティングを用いてローカルかつ迅速に処理することで、10cmレベルの精度を実現していると、Neuronは述べている。

「私たちはこの12カ月間、これらの技術をすべて束ねる作業に取り組んできました。1つの機能を実現するためには、多くのセンサーを追加する必要があり、情報をローカルに処理するためには、その前に位置を知ることができなければならないからです」と、ワン氏は語る。

Neuronの新技術の機能は、すべてのスクーターに同時に搭載されるが、すべての機能が同時にテストされるわけではない。例えば、オタワのような都市では、電動スクーターは車道か自転車専用車線しか走ることができないため、そこで重視されるのは歩道を検知する技術だ。一方でオーストラリアでは、電動スクーターも歩道を走ることが義務付けられており、Neuronの高精度な位置情報技術は、指定された駐車場に関連して試用されることになるという。

Neuronは現在、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、韓国の23市場で事業を展開しているが、今回の試験的運用はカナダのオタワ、オーストラリアのブリスベンとダーウィン、英国のスラウで行われる予定だ。

画像クレジット:Neuron Mobility

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

リモートワークが当然のものになる中、一等地のプレミアムな長期賃貸物件を提供するUkioが約9.9億円調達

多くのスタートアップ企業がこの10年間、Airbnb(エアービーアンドビー)に似た、思いつく限りあらゆるバリエーションのサービスを提供しようとしてきた。しかし「Ukio(ウキォウ)」は、リモートワークが一般的になってきた今、増え続ける賃貸住宅の競合他社と規制当局の間をすり抜ける方法を見つけたと考えている。

Ukioは、地元の不動産オーナーと協力して、都市の一等地でターンキー方式(すぐに入居できる出来上がり物件)のプレミアム体験を提供し、1カ月以上のレンタルサービスを提供している。初期の結果は期待できる。

スペインのバルセロナを拠点とするこの会社は、2020年初めに設立され、現在、バルセロナとマドリッドの間に100戸以上のアパートメントを所有し、95%の稼働率を維持している。

米国時間9月23日、ヨーロッパのトップ投資家から900万ドル(約9億9300万円)の大規模なシードラウンドを発表し、2022年には大陸の6つの首都に700以上のアパートメントを展開する計画だ。まずは次にリスボンに展開し、続いてロンドン、ベルリンがその候補地となる。

共同設立者でCEOのStanley Fourteau(スタンレー・フォーチュ)氏によると、Ukioのこれまでのゲストは、2種類のユースケースにほぼ均等に分けられるという。1つは、現地で仕事を見つけ、最終的には永住目的の住宅へ移る予定の長期滞在者だ。今のところ、このグループは6カ月以上滞在する傾向にある。

Airbnbで長年ディレクターを務めたフォーチュ氏によると、リモートワークや分散型の仕事が主流になったことで、短期賃貸以上のものを求めるデジタルノマドタイプのグループも増えてきたという。もう半数のこのユーザーグループは、これまで2〜3カ月程度の滞在が多い傾向にある。

その市場機会を示すために、彼はGartner(ガートナー)のレポートを引用し、リモートワーカー層が2021年末までに全労働者の31%にまで拡大する可能性があると述べている。しかし、TechCrunchの読者はこの数字を少し控えめだと感じるかもしれない。例えば、私が3月にExtra Crunchのために調査したプロップテックの投資家たちは、将来的にはオフィススペースは贅沢なものになり、より多くのワーカーが好きな場所に住み、ヨーロッパの多くの都市で知られているような、娯楽やコミュニティのための楽しい「第3の居場所」がある拠点に住むようになると述べている。

関連記事:近隣小売り店舗への回帰など、意外な2021年の米不動産業界のトレンド

Ukioは、このような人口動態の変化に対応しようとする唯一のスタートアップというわけではない。「Blueground(ブルーグラウンド)」「Sonder(ソンダー)」「Sentinel(センチネル)」「Zeus(ゼウス)」など、数多くの著名なスタートアップが存在する。では、Ukioは何が違うのだろうか?

「Ukioは、物件のレンタル、家具の設置、管理を行い、ゲストの体験全体を監督しています。私たちの垂直統合型アプローチにより、Airbnb(ピアツーピア・マーケットプレイス)のようなプラットフォームへの供給を専門化させることができます。これは、グローバルなホテルチェーンがBooking.comへの供給を専門化させるのと同様です」とフォーチュ氏は説明している。

このアイデアは、Airbnbに在籍していた時に、長期レンタルに対するユーザーのニーズが同社のプラットフォームモデルに合わなかったことから生まれた。「Airbnbでは、ホストコミュニティとの関係を強化し、そのコミュニティを成長させることに重点を置いています」と同氏は語る。もしAirbnbがUkioのような垂直統合型の賃貸事業を作るとしたら「既存のコミュニティと競合することになり、彼らとの関係が損なわれる可能性がある」という。

今日では、都市で最も魅力的な長期賃貸物件は、Airbnbに掲載される前に借りられてしまったり、需要が満たされる前にプラットフォームから取り上げられてしまったりするそうだ。一方、Ukioが運営するアパートメントは「今後もずっとそのコミュニティの一部であり続けるでしょう」と述べている。

Ukioは、不動産オーナーとの関係も、重要な拠点に堀を作るための手段だと考えている。「私たちは、7年から10年の賃貸契約を結び、テナントを完全に管理します。これらの契約は、空室率を回避し、管理コストを削減することで、オーナーの収益を最適化します。また、Ukioは利回りを保証し、煩わしさのないソリューションを提供しています。ビジネスとしては、ターゲットを絞った働きかけよりも、Ukioとの提携を希望する家主からのインバウンドリクエストの方が多く、来年の成長に向けた強力な供給パイプラインを持っています」と語る。

ここで、彼が長期的な差別化につながると考えている点について、より詳細に説明しよう(簡潔に言い換える)。Ukioは、200項目におよぶプロセスを経て候補となるマンションを選び、一等地にある最高のマンションオーナーとのみ取引を行っている。その多くはシングルユニットで、Sentinelのようにビル全体を利用するスタートアップよりも、都市全体でより多く組み合わせ展開が可能になる。また、Bluegroundなどのようなテンプレート化されたアプローチではなく、各ユニットが独自のデザインを採用している。多くの競合他社は、ホストが自分のユニットを提供・管理するプラットフォームが中心だが、Ukioはすべての物件を管理する社内チームを持っている。また、Zeusのような最も直接的な競合他社の多くが米国に焦点を当てているのに対し、Ukioはヨーロッパに焦点を当ててスタートしている。

技術面では、供給獲得ツールに加えて、高い稼働率を維持するためのダイナミックな価格設定モデルや、設置や導入のコストを削減するための社内設計システムとカタログを使用している。Ukio製品に特化した共同設立者であるスタンリー氏の弟、Jeremy(ジェレミー)氏は、Zynga(ジンガ)、EA、Headspace(ヘッドスペース)、そして最近ではKnotel(ノッテル)での重要な役割を担ってきた過去10年の経験を持っている。

物理的な製品を中核とする企業として、Ukioは、新型コロナ関連の規制だけでなく、現地の規制強化のリスクに直面している。フォーチュ(スタンリー)氏は、この問題を認めながらも、Ukioの会社の特殊なモデルは、長期滞在の地元の人々に多用されているため、対処するのに適していると主張している。この段階で大きな問題となるのは、Ukio社の他にも資金力のある競合他社がいることだ。彼らは将来のリモートワーカーを惹きつけるために、何度もビジネスモデルを調整するに違いない。

このように、迅速なスケールアップの必要性が、今回の大規模なシードラウンドの背景にある。このラウンドには、フランスのベンチャー企業Breega(ブリーが)がリードし、Heartcore(ハートコア)とPartech(パーテック)が参加し、エンジェル投資家としてCoverwallet(カバーウォレット)の創業者であるIñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)氏やTravelperk(トラベルパーク)の創業者であるAvi Meir(アヴィ・メイル)氏などが参加した。

画像クレジット:Ukio

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(文:Eric Eldon、翻訳:Akihito Mizukoshi)

月額料金で新品または再生品のSIMフリー端末をリースするスマホサブスサービスの英Raylo

英国を拠点とし、スマホサブスクリプションサービスを展開するスタートアップ企業Raylo(レイロ―)は、Octopus Ventures(オクトパスベンチャーズ)が主導するシリーズAラウンドで1150万ドル(約12億7000万円)を調達した。

今回の資金調達は、2020年の債務による資金調達に続くもので、2019年の創業以来、Rayloが調達した金額は株式発行と債務による調達を合計して4000万ドル(約44億円)になる。同社には、Macquarie Group(マッコーリーグループ)、Carphone Warehouse(カーフォンウェアハウス)のGuy Johnson(ガイ・ジョンソン)氏、Funding Circle(ファンディングサークル)の共同設立者なども投資を行っている。

調達した資金は「消費者がスマートフォンを所有するのではなく、月額料金を支払って新品または再生品のSIMフリーデバイスをリースする」サブスクリプションサービスの強化のために使用される。

Rayloによると、顧客数と売上高は前年同期比で10倍の伸びを示しており、今回の調達で、従業員の倍増やさらなる技術開発など、英国における成長の加速を計画しているという。将来的にはグローバルに展開することも示唆しているが、現時点では英国を軸に着実に成長したいという考えだ。

Rayloを通じた最新スマートフォンの購入では、契約終了時のハードウェアの所有権移転をともなわないので、ユーザーは希望小売価格よりも安い価格でスマートフォンを利用することができる。

環境への配慮はさることながら、数年前から10万円を超えているiPhoneの最上位機種のようなプレミアムスマホの価格を考えると、希望小売価格よりも安い価格というのはますます重要なポイントになるかもしれない。

さらに、スマートフォンに大金を支払える消費者はそれほど多くはないという事実もある。リースや返却という手段は、そのようなユーザーに高額なハイエンドモデルを利用する方法を提供する。

関連記事:スマートフォンに10万円超を払うのは米国消費者の10%以下

一般的なRayloのサービスでは、ユーザーは12カ月または24カ月の契約期間終了後にデバイスを返却し、返却されたデバイスは2~3回リサイクルされて他のユーザーに利用される。

Rayloによれば、返却されたデバイスは同社のパートナーによってリサイクルされる。通信事業者による販売では、消費者は使用しなくなった古いデバイスを引き出しにしまい、デバイスが持つ潜在的な有用性を無駄にしてしまうのに対し、Rayloのサービスでは、デバイスを長く使うことで持続可能性を促進する循環型モデルを構築できるとしている。

使わなくなったデバイスを家族に譲ったり、売却や下取りに出したりする人も少なくないが、Rayloによれば、英国では約1億2500万台のスマートフォンが使われずに「冬眠」しているという。スマホユーザーの多くが、スマートフォンの第二の人生を気にしていないということだ。

Rayloは、1台の定額制リースを6~7年間で3人のユーザーに利用してもらえると考えている。これが実現すれば、英国でのスマートフォンの平均寿命(2.31年)は約2倍になる。

できるだけ長期間利用できるように、Rayloのすべてのスマートフォンにはケースと液晶保護フィルムが無料で提供される。

ユーザーは、リースされたスマートフォンを傷つけたり、高額な修理代や返却できなくなったりした際の料金をカバーできるように、保険に加入するかどうかを検討する必要がある。Rayloは、独自のデバイス保険をオプションとして販売しており、保険に加入すると月額料金は少し高くなる。

Rayloのサービスは通信事業者のサブスクリプションプランと競合するが、同社はリース方式の方が安いと主張する。契約終了の際、消費者はデバイスの所有権を持たない(すなわち、他の場所で売ったり下取りしてもらったりできる権利が付与されない)ので、当然といえば当然である。

契約終了時にデバイスを返却したくない(あるいは返却できない)場合、ユーザーはノンリターン(返却不可)料金を支払うが、この料金はスマートフォンの種類やリース期間によって異なる。例えばSmsungの「Galaxy S21 Ultra 5G」や「iPhone 12 Pro Max」(いずれも512GBモデル)を12カ月間使用した場合など、プレミアムモデルのノンリターン料金は600ポンド(約9万円)以上になることもある。

一方、契約終了後もアップグレードせずに同じデバイスを使い続けたい場合は、通常の月額料金を最長36カ月まで継続して支払うことが可能で、ノンリターン料金は1ポンド(約150円)になる。

Rayloのリースデバイスにはすべて24カ月間の保証が付いており、ユーザーによる破損や事故に起因しない故障については無償で修理を行い、修理ができない場合は代替機を提供するとしている。

今回のシリーズAラウンドについて、Octopus Venturesのアーリーステージフィンテック投資家であるTosin Agbabiaka(トーシン・アグバビアカ)氏は、声明の中で次のように述べる。「サブスクリプションエコノミーによって、商品やサービスへのアクセスは急速に変化しています。しかし、個人にとって最も価値のあるデバイスであるスマートフォンに関しては、消費者は所有権一体型のサービスの利用を余儀なくされています。ほとんどの人が買っては捨て、買っては捨てのサイクルに陥っていて、経済的にも環境的にも大きな負担となっています」。

「Rayloは、多くの消費者にプレミアムスマホを低価格のサブスクリプション料金で提供し、最新技術を利用できるようにすることでこの問題を解決します。一度使用された機器を再利用する同社のサービスは、この市場において消費者に支持される持続可能な選択肢となります。この市場には大きなチャンスがあります。私たちは、(Rayloの共同設立者の)Karl Gilbert(カール・ギルバート)氏、Richard Fulton(リチャード・フルトン)氏、Jinden Badesha(ジンデン・バデシャ)氏の3人には、スマートフォンの提供方法を進化させるビジョンと深い専門知識があると信じています」。

近年、ヨーロッパでは、多くの再生電子機器ビジネスが投資家の注目を集めており、欧州委員会でも「修理する権利」法の制定が検討されている。

この分野で最近行われた資金調達には、フランスの再生品市場スタートアップ「Back Market(バックマーケット)」の3億3500万ドル(約369億円)、ベルリンを拠点とする「Grover(グローバー)」の電子機器サブスクリプション事業に対する7,100万ドル(約79億円)、フィンランドを拠点とし、中古iPhoneの再生・販売を行う「Swappie(スワッピー)」の4,060万ドル(約45億円)などが挙げられる。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)