火星ローバーのキュリオシティは気になるものを自分で選ぶ

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キュリオシティ(2012年に火星に着陸したローバー)は、もはや老犬かもしれないが、いまだに新しい技を身につけ続けている。NASAのジェット推進研究所(JPL)が最近The Vergeの記事で明らかにしたのは、このロボットは今やレーザー分光計でスキャンする岩石を選ぶ際に、自分自身で目標を選ぶことができるようになったということだ。この作業はこれまでは地球の科学者たちによって遠隔で行われていたものである。

JPLは、ローバーに搭載されたChemistry and Camera(ChemCam)機器による分析のために、「週あたり複数のターゲット」をキュリオシティに選ばせるソフトウェアを開発した。ターゲットの大半は、まだ人間による指示を受けているものの、ある程度の自律性の付加により、キュリオシティはChemCamが視野に入れているものに対する人間の指示が無くとも、ターゲット候補の識別と分析を続けることが可能になった。

キュリオシティがどこに向けてそのレーザー分光計を向けるべきかを助けているソフトウェアはAEGIS(Autonomous Exploration for Gathering Increased Science:先進科学知識増強のための自律探索)と呼ばれている。これは人間が他のことで忙しい際に、補佐する役割を果たすように設計されている。

「おそらく長い移動の途中とか、あるいは地球、火星、探査船の活動のスケジュールによって惑星間の情報共有に遅延が発生する際に、科学チームが探査に関わることが難しい、あるいは不可能な場合においては自律性は特に有益です」と、JPLにおけるAEGIS開発のリーダーのロボットエンジニアTara Estlinは説明している

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NASAのキュリオシティ火星ローバーは、ChemCam機器のレーザーと分光計カメラのターゲットを自律的に選択する。例えば、オンボードソフトウェアは、左のようなNavcamの画像を分析し、黄色のドットで示される目標を選ぶ、そしてレーザー照射のためにChemCamをそちらに向けて右側のような画像を取得する。

キュリオシティの自律動作は人間の指定した範囲も考慮して行われる。つまり科学者達は発見に興味がある対象に応じて、適切なターゲットを選択するための基準を変更することができるということだ。

自律ガイド機能はまたキュリオシティが科学者を重要な点で支援する手助けをしている。私たち人間の目は物体のとても細かい表面上でターゲットを探そうとするときには、ひどく当てにならなくなる、特にそれが広大な宇宙空間を横切って遠隔で行われる際にはなおさらだ。AEGISはキュリオシティがごく小さなターゲットでも始めからイメージ分析に使う手助けをしてくれる。自律的に対象の絞り込みが行われるおかげだ。

宇宙探査のための自律性の増強は、より大きなデータセットが取扱えることを意味している。そしてそれは画期的な発見につながる可能性の拡大を意味するのだ。ただNASAには、いつでも(映画スタートレックの)ヴィジャーの警告的な逸話を心に留めていて欲しい

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(翻訳:Sako)