ロボアドバイザー「WealthNavi」が40億円を調達、預かり資産は1000億円を突破

資産運用を全自動で行うロボアドバイザー「WealthNavi」を運営するウェルスナビは11月9日、複数の株主を引受先とした第三者割当増資と金融機関からの融資などにより、総額で40億円を調達したことを明らかにした。

内訳は第三者割当増資が25億円、融資などが15億円。なお今回同社に出資したのはいずれも既存株主だ。

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ウェルスナビは2月にも第三者割当増資と融資により45億円を調達。2015年4月の創業からの調達額は総額で107億円になる。

WealthNaviは2016年7月に正式公開されたロボアドバイザーサービス。世界の富裕層や機関投資家が利用する資産運用アルゴリズムを軸とし、自動で国際分散投資を実施する。そのため専門的な知識や時間がないユーザーでも使えるのが特徴だ。

「リバランス機能付き自動積立」機能や「自動税金最適化(DeTAX)」機能では中核となる技術について特許を取得。独自の機能でユーザーの資産運用をサポートする。

預かり資産の1%(年率・税別)を手数料として受け取るビジネスモデル(3000万円を越える部分は0.5%)で、8月23日に申込件数13万口座、預かり資産1000億円を突破。SBI証券や住信SBIネット銀行、全日本空輸を始めとしたパートナー企業を通じた利用も拡大している。

今回の資金調達は開発体制のさらなる強化や経営基盤の拡充、マーケティングの推進を目的としたもの。ウェルスナビでは「今後も『長期・積立・分散』による資産運用の普及に努め、働く世代の資産形成をサポートしていきます」とコメントしている。

最近はロボアドバイザーを含め、資産運用関連のサービスを手がけるスタートアップの大きなニュースが多い。

同じくロボアドバイザーを提供するお金のデザインは6月に59億円10月に7億円を調達。累計調達額は109.6億円にのぼる。スマホ証券のOne Tap BUYも先月19.5億円の資金調達を発表しているほか、テーマ投資型の資産運用サービスを展開するFOLIOはLINEとタッグを組み「LINEスマート投資」をスタートした(なお、FOLIOもつい先日よりロボアドバイザーサービス(おまかせ投資)を始めている)。

ロボアドバイザー「THEO」提供元のお金のデザイン、​新生銀行から総額5億円を調達

新たな個人の資産運用方法として注目を集めるロボアドバイザー。国内でも複数のサービスが立ち上がっているが、そのうちの1つ「THEO(テオ)」を提供するお金のデザインは7月14日、同日付で新生銀行を引受先とした第三者割当増資により総額5億円を調達したことを明らかにした。

まずは今秋を目処に新生銀行の顧客向けにTHEOの取り扱いを始めるほか、共同で新サービスの開発にも着手するという。お金のデザイン代表取締役社長の中村仁氏によると、4月に発表していたTHEO+をベースにしつつ「単に新生銀行がTHEOの取り扱いを開始する以上のこと」を検討中だという。

「我々の戦略はTHEO+というスケールできるプロダクトをどんどん改善していくこと。THEO+は初期の単純接続や残高表示連携を始めとした展開を考えている。現時点ではまだ詳細は明かせないが、単純にTHEO+新生銀行様を始める以上のことを計画している」(中村氏)

お金のデザインと新生銀行は5月8日に業務提携に関する基本合意を締結。その時点で新生銀行側は今後「新生総合口座パワーフレックス」の顧客向けにTHEOの取り扱いを開始することや、お金のデザインへの出資を検討しているとしていた。

THEOは5つの質問に答えると、それを元に世界の約6000種類のETF(上場投資信託)の中からユーザーに最適な組み合わせを提案、運用するというロボアドバイザーサービスだ。4月4日時点で無料診断を完了したユーザー数が26万人、実際に運用しているユーザー数が1万人を突破している。

運営元のお金のデザインは2013年8月の創業で、2016年2月にTHEOをローンチしている。2015年12月には東京大学エッジキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズらから総額約15億円を調達。それ以降複数の銀行や銀行系のVC、事業会社などから資金調達を実施し、2017年2月22日の時点で創業から累計で約33億円を超える資金を集めていた。(これまでの資金調達には過去の記事で詳しく紹介している)

冒頭でも触れたように現在ロボアドバイザーの領域は非常に盛り上がっており、たとえば2016年10月にはウェルスナビが総額15億円を、2017年3月には「VESTA」運営元のGood Moneygerが7500万円を調達したことをTechCrunchでも取り上げている。その他にもサービスローンチや、大手金融機関との連携などニュースが多く、今後もこの勢いは続いていきそうだ。

WealthNavi for SBI証券が申込件数1万口座・預かり資産50億円を突破、ウェルスナビ総額では75億円に

アルゴリズムで自動化された個人向けの資産運用サービス、いわゆる“ロボアドバイザーサービス”は、お金のデザインが提供するTHEOやエイト証券のクロエ、運用は行わずアドバイスのみを提供するVESTAなど、日本でも昨年から今年にかけて、いくつか提供されている。

そのうちのひとつ、ウェルスナビは、1月にSBI証券とともに「WealthNavi for SBI証券」をローンチ、2月には住信SBIネット証券との提携で「WealthNavi for 住信SBIネット証券」の提供を始めている。既に顧客を持つ金融機関とのこうした提携もあり、順調なペースで口座数と預かり資産残高を伸ばすウェルスナビは、3月31日に自社提供サービス「WealthNavi」と他社提携分なども合わせた預かり資産の総額が75億円、口座申込1万4000件を突破したと公表、4月12日には、WealthNavi for SBI証券がサービス開始から50営業日の時点で申込件数1万口座、預かり資産が50億円を突破したと発表した。

「WealthNavi for SBI証券」の申込件数及び残高推移(SBI証券リリースより)

「WealthNavi for SBI証券」ポートフォリオ画面イメージ

ウェルスナビは2015年4月に設立、2016年7月にWealthNaviを正式ローンチしており、現在サービス開始から約8カ月。ユーザーが利用開始時に運用の目的や年収、年齢を始めとする簡単な質問にいくつか答えることで、最適な運用プランとポートフォリオを作成して資産運用を行う。手数料は残高の年率1%(税別)、最低投資金額が自社のWealthNaviでは100万円(2017年4月中はキャンペーンで30万円)、WealthNavi for SBI証券とWealthNavi for 住信SBIネット証券では30万円となっている。

ウェルスナビによれば「提携による口座数の伸びはもちろん、この1月から3月でWealthNavi自体の申込数も伸びている」とのことだ。ちなみに日本では競合となるロボアドバイザーサービス、THEOを提供するお金のデザインでは、4月4日付けでTHEO単体での運用中ユーザーが1万人を超えたと発表している。THEOは2016年2月のサービス正式スタートから1年以上経っていることや、最低投資金額が10万円(運用報酬はWealthNaviと同じ1%)からとなっているため、単純にWealthNaviと比較できるものではないが、日本でロボアドバイザーサービスを使って資産運用を始める個人は、着実に増えているということは言えそうだ。

なお、米国のスタートアップ系のロボアドバイザーでは運用資産金額が、Bettermentで73.6億ドル、Wealthfrontが50.1億ドルとなっていて、日本の現状とは2桁違っている(Statisiaによるレポート・英語)。まだ始まって間もない日本のロボアドバイザー市場は今後、どれだけ取り入れられていくのか注目したい。
Infographic: America Is The Realm Of The Robo-Advisor | Statista

運用しないロボアドバイザー「VESTA」が7500万円調達

AIを利用した投資アドバイスサービス「VESTA」を運営する日本のGood Moneyger(グッドマネージャー)は3月21日、ジェネシアベンチャーズアコード・ベンチャーズSMBCベンチャーキャピタルを引受先とした第三者割当増資を実施し、総額7500万円を調達したと発表した。

同社はこれまでにも複数のエンジェル投資家から資金を調達しており、代表取締役の清水俊博氏によれば累計調達金額は1億円程度だという。

VESTAは人工知能(AI)を利用した投資アドバイスサービスだ。同社が独自に開発したアルゴリズムを利用して、投資すべき銘柄、各銘柄の保有比率、売買のタイミングなどをアドバイスしてくれる。現在のところ、VESTAが対応するのは「ノーロード投資信託」と呼ばれる売買手数料がかからない投資信託のみで、株式や債券への投資アドバイスは行っていない。

最近では、テクノロジーによって自動化された資産運用サービス「ロボアドバイザー」が国内外で盛り上がりを見せているように感じる。国内では2016年にTHEO(テオ)ウェルスナビがローンチし、2017年には新たにクロエが生まれた。また、海外でもWealthfrontBettermentなどの同様のサービスがある。

ただ、VESTAは他のロボアドバイザーとは少し違うビジネスモデルもつ。クロエやウェルスナビでは、国際分散投資の手法をソフトウェアによって自動化し、それを利用して顧客から預かった資金を運用している。これらの企業の収益源はいわゆる「運用報酬」と呼ばれるもので、ポートフォリオ評価額の数%が手数料として徴収される(クロエは0.88%、ウェルスナビとTHEOは1%だ)。

一方、VESTAは顧客から資金を預かることはせず、あくまで「アドバイザー」としての役割を果たすのみとなっている。彼らのビジネスモデルは、同社が提携する楽天証券での口座開設の勧誘や、口座をもつ顧客に対する投資アドバイスを行い、その報酬として証券会社側から「紹介料」を受け取るというものだ。そのため、顧客はVESTAを無料で利用することができる。

個人の資産運用のアドバイスを行うフィナンシャル・プランナー(FP)という職業があるが、VESTAはその役割をソフトウェアによって自動化したと考えれば分かりやすいかもしれない。

誤解を恐れずに言えば、証券会社の営業員からきめ細やかなアドバイスを受けるためには、それ相応の資金を口座に預けている必要がある。証券会社も人的リソースが限られており、どうしても預かり資産が多い顧客から優先して対応せざるを得ないからだ。一方のVESTAでは、たとえ運用資産が少なくとも、機械によるパーソナルな投資アドバイスを受けることができるという点がメリットだと言えるだろう。清水氏によれば、2016年12月にローンチしたVESTAはこれまでに約1000人のユーザーを獲得しているという。

ただ、少し気になるのはGood Moneygerの提携先が楽天証券1社のみという点だ。売買手数料のかからないノーロード投資信託しか扱っていないとは言え、これでは業界のしがらみに囚われない中立的なアドバイスが本当にできるのかどうか疑わしい。それについて清水氏は、「楽天証券との契約は排他的なものではないので、今後は提携先を増やしていくつもりだ」と語る。また、今回の調達ラウンドにはグループ内にSMBC日興証券を有するSMBCベンチャーズも参加しているが、同証券会社との提携については「まだ公言できることはないが、その可能性も含め話し合いは進めている」(清水氏)そうだ。

2015年4月創業のGood Moneygerは新たに7500万円を調達し、MUFGアクセラレータプログラムに参加することも決定した。今後の展望について清水氏は、「日本はFX取引量が世界一であるにもかかわらず、金融教育が進んでいないと感じる。当社は、資産運用そのものではなく金融教育にフォーカスしていくことで他社との差別化を図りたい。金融業界の大手も日本の金融教育には問題意識をもっていて、MUFGアクセラレータプログラムに当社が選ばれたのも私たちがそこに注力しているからだと思う」と語る。

金融教育カードゲームの「Asset Allocation」

その言葉の通り、Good Moneygerは一風変わった金融教育カードゲーム「Asset Allocation」も開発中だ。これは、各カードに書かれた「日銀による金融緩和」などの経済イベントによって、例えばドル/円が上がるのか、もしくは下がるのかを当てるというゲーム。401kを採用する企業などが想定ユーザーで、現在は1セット1500円で販売している。「今はまだ手売りしている状態」(清水氏)だということだが、同社は今回調達した資金の一部をこのアプリ版の開発にも充てる予定だ。

「お金のデザイン」のシリーズC調達額が15億円に、THEOを使う社員のポートフォリオも公開

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資産を預けるとアルゴリズムが自動で資産運用を行ってくれるロボアドバイザーサービスはウェルスナビやエイト証券のクロエなどいくつかある。お金のデザインが提供するグローバル資産運用サービス「THEO(テオ)」もその内の1つだ。TechCrunch Japanでは2016年9月、お金のデザインがシリーズCラウンドで8.1億円の第三者割当増資を実施したとお伝えしたが、今回新たにFenox Venture Capitalが出資に参加し、調総額は15億円になった。

THEOは10万円から資産運用を始めることができるサービスだ。9つの質問に答えると、THEOは各ユーザーに最適な資産ポートフォリオを世界86の国と地域における1万1000銘柄以上の海外ETFから組成する。

お金のデザインは2013年8月に創業し、2016年2月にTHEOをローンチしている。2015年12月には東京大学エッジキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズらから総額約15億円を調達した。2016年9月には、ちばぎんキャピタル、静岡キャピタル、ふくおかテクノロジーパートナーズ、丸井グループ、ベネフィット・ワン、東京短資株式会社によるシリーズCとなる第三者割当増資を発表した。このシリーズCには、後に山口キャピタル、ぶぎんキャピタル、京都銀行グループの「京銀輝く未来応援ファンド投資事業有限責任組合」、東邦銀行、百五銀行、 リクルートホールディングス、日本交通株式も参加した。さらに今回Fenox Venture Capitalが参加し、調達総額が15億円になったという経緯だ。創業からの累計調達額は約33億円を超える計算となる。

お金のデザインの担当者はFenox Venture Capitalからの資金調達について、「THEOはグローバル展開を視野に入れていて、Fenox Venture Capitalとはアジアやグローバルでのネットワーク作りなどで協力していきたいと考えています」と話す。THEOでは若いユーザー層に向けたエッジの利いたサービスを展開し、日本の金融機関や非金融機関との提携により得た知見を活かし、ゆくゆくは海外市場で展開することを目指しているという。

また、ローンチから1年経った2017年2月には、THEOへの申込者数が2万人を超えたという。お金のデザインは2月17日、THEOのローンチ1周年を記念して、THEOのユーザー数や属性などをまとめたインフォグラフィックスを公開している。それによるとTHEOのユーザー20代(15%)、30代(37%)の若い世代が多く、全体の89%が投資経験がそう多くない層だという。預け金額は、10万円のユーザーが39%と最も多い。

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また、THEO全体における預かり金額は50億円を超えているとある。これは2016年9末時点の日本投資顧問業協会の統計資料によれば、日本国内の投資一任契約型のロボアドバイザーの中で最も預かり資産額が多いという。

インフォグラフィックスの他に、お金のデザインの社員19名分のTHEOの資産運用状況も公開している。担当者は、「ロボアドバイザーの資産運用は実際どうなんだろうと疑問に思う人も多いかと思います。想定される運用実績を出すこともできますが、よりリアルな情報を出すことで、身近に投資のユースケースを感じてもらえると考え、公開しました」と説明する。

社員のポートフォリオを見てみると、その多くで資産の10%近い上昇が見られる。ただ、THEOは海外ETFによる資産運用のため、為替変動による影響も少なからずあり、円建ての数値を鵜呑みにすることはできないだろう。2016年11月の米大統領選挙以降に円安が進んだが、ポートフォリオの中にはその影響がはっきり出ているものもある。

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ただ、このようにロボアドバイザーの運用実績を公開するというのは、ユーザーが投資に関心を寄せるきっかけになりそうだ。誰かと資産運用で投資しているだなんて、おおっぴらに話すのにはなんとなく抵抗感があるし、ましてや他人の資産運用状況について知る機会なんてほとんどないだろう。お金や投資についてオープンに話す機会が増えれば、投資に対する世間の印象も徐々に変わっていくのかもしれない。

小さな目標に向けて1万円から投資できる、ロボアドバイザー「クロエ」がローンチ

投資で資産形成と聞くと、なんとなく難しい印象がして、自分には必要ないと思う人もいるだろう。けれど海外旅行のために貯金しているお金を運用すれば、普通に貯めるよりちょっと早く旅行に必要な金額に近づけるかもしれない(もちろんリスクもあるが)。そう考えると資産運用はぐっと身近に感じることができそうだ。本日、エイト証券がローンチしたロボアドバイザー「クロエ」は、ユーザーの目標達成をサポートする資産運用アプリだ。

ロボアドバイザーとは、グローバル分散投資を自動化した資産運用サービスのことだ。日本にあるロボアドバイザーのサービスにはウェルスナビお金のデザインが提供する「THEO」などいくつかあるが、クロエの特徴は、目的を持って資産形成する点だ。

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左から目標設定画面、資産運用の目標設定画面、ポートフォリオ画面

クロエのアプリを立ち上げると、まず目標を選ぶ画面がある。マイホームや旅行など目的をタップすると、次に設定画面で資産運用の目標を設定する。ここでは運用期間、初期投資金額と毎月の投資金額を設定することができる。クロエは1万円から投資できるため、目標額は数十万円規模でもいい。ポートフォリオの運用スタイルは自分のリスク許容度に応じて保守型、安定型、積極型から選べる。全て選ぶとポートフォリオ画面で、クロエが提案する資産別構成比率などを確認できる。

クロエは東京証券取引所に上場するETFを取り扱い、円建てで投資するため、為替変動による影響は受けない。クロエのアプリでは目的別のポートフォリオを複数作成することができ、口座開設から取引、運用報告の確認まですべてアプリ内で完結する。

「若い人や投資をしたことがない人でも投資を簡単に始められるサービスを目指しています」とエイト証券の広報担当者は説明する。数ヶ月先や来年までに貯めたい小さな額の目標から投資を始められるよう設計したという。

確かにこれまで投資というとまとまったお金が必要だという印象があり、特に始めるきっかけもなかったように思う。新しいパソコンを買うために、数万円から貯金感覚で投資できるとなれば、投資を始めるハードルは下がりそうだ。

エイト証券は2001年12月に設立し、2012年11月に香港の8グループに参画している。クロエはもともと8グループの8 Limitedが2016年12月に香港でローンチしたサービスで、今回日本市場向けにもローンチした形だ。

クロエの手数料は、年間ポートフォリオの評価額の0.88%(税抜・年率)だ。本日よりiOSAndroidアプリで利用できる。

ロボットが自動で資産管理 ― フランスのYomoniが540万ドルを調達

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フランスのスタートアップ、Yomoniロボアドバイザーを開発する有望なスタートアップだ。貯蓄の一部を預けると、あとはロボットが自動的に株式や債券を売買してあなたのポートフォリオを管理してくれる。Yomoniは現地時間1日、既存投資家のCrédit Mutuel ArkéaとIéna Ventureから540万ドルを調達したと発表した。

同時に、Yomoniのマネジメントチームは自社株を買い戻して保有比率を引き上げている。

ロボアドバイザーという言葉に馴染みがないのであれば、Yomoniのことをフランス版のWealthfrontやBettermentと考えれば分かりやすいかもしれない。これらの米国企業は成長しつつあるが、フランスではロボアドバイザーは比較的新しい概念だ。

Yomoniは今回調達した資金を利用して人員の強化を図るとともに、サービスに新機能を追加する予定だ。その例としてYomoniが挙げたのは、子どもの将来のために資産を築いておきたい親に向けた新しいプロダクトだ。また、モバイルアプリの開発についても言及があった。

Yomoniを利用して資産運用を始める場合、自分が安全志向の投資をしたいのか、または逆にリスキーな投資をしたいのかを選ぶことができる。この選択によってポートフォリオの運用成果が変わることになる ― そしてもちろん、損失を出す可能性もある。しかし、これまでのところYomoniのポートフォリオは良い成績をあげている。2016年、Yomoniが管理するポートフォリオの資産価値は2.3〜7.1%上昇しているのだ。

Yomoniは今後、手数料によるマネタイズ方法を採用する予定だ ― 手数料率は、年間1.6%程度になるとのこと。先ほど述べたパフォーマンスは手数料を差し引いた後の成績だ。

Yomoniはこれまでに2000人のユーザーを獲得している。管理するポートフォリオの総額は1290万ドルだ(ユーザー1人あたり約6500ドル)。しかし、このトレンドは加速しており、Yomoniは2020年までに運用額を10億8000万ドルまでに引き上げたいとしている。同社はこの目標達成のためにヨーロッパ各国へビジネスを拡大することも考えているようだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

ロボット資産運用のウェルスナビが総額15億円を資金調達—SBI証券、住信SBIネット銀行と業務提携

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テクノロジーによる資産運用サービス「WealthNavi(ウェルスナビ)」を提供するウェルスナビは、10月12日、SBIホールディングス、SBIインベストメント、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、DBJキャピタル、インフィニティ・ベンチャー・パートナーズを引受先とする、総額約15億円のシリーズBラウンドの資金調達を発表した。同時に、SBIホールディングス傘下のSBI証券および住信SBIネット銀行との業務提携も発表。それぞれの顧客向けにWealthNaviのサービスを提供していく予定だ。今回の調達で、2015年4月の設立後の資金調達の総額は約21億円超となる。

WealthNaviは、国際分散投資をソフトウェアで自動化して、クラウド経由で個人投資家向けに提供する“ロボアドバイザー”サービスのひとつ。2016年7月13日に一般公開された注目のFintechスタートアップによる資産運用サービスだ。

ウェルスナビでは今回の資金調達及び業務提携により、次世代の金融インフラを構築するため、積極的に金融機関に対してWealthNaviのシステムをパッケージで提供していくという。

SBI証券との業務提携では、資産運用のロボアドバイザーサービス「WealthNavi for SBI証券(仮称)」を口座数約360万のSBI証券の顧客に向けて提供し、さらにアプリ間連携などを通じて機能や利便性を強化していく予定。また2016年9月から連携を強めてきた、独立系フィナンシャル・アドバイザー、SBI証券、ウェルスナビの3者間連携により、リアルとネットを融合させた総合的な資産運用サービスを、主に富裕層向けに提供していくという。

住信SBIネット銀行との業務提携では、口座数約260万の住信SBIネット銀行の顧客向けに、やはりロボアドバイザーサービスの「WealthNavi for 住信SBIネット銀行(仮称)」を提供していく。さらに、預金・カード・資産運用が自動連携した、日本初の少額からの資産運用サービスを2017年春より開始する予定だ。d14586-11-912088-3

こうした取り組みを通じてウェルスナビでは、「銀行・証券・ロボアドバイザー」の連携モデルを実現・普及し、地方金融機関のFinTech導入を支援するSBIグループとも連携して、次世代金融インフラの確立を目指すとしている。

資産運用の「お金のデザイン」が総額8.1億円を調達、サービス向上に加え業務提携によるビジネス拡大も

THEOサイト

ロボアドバイザーによる資産運用サービス「THEO(テオ)」を提供する「お金のデザイン」は9月13日、総額約8.1億円の第三者割当増資の実施を発表した。引受先はちばぎんキャピタル株式会社、静岡キャピタル株式会社、株式会社ふくおかテクノロジーパートナーズ、株式会社丸井グループ、株式会社ベネフィット・ワン、東京短資株式会社ほかの各社で、2013年8月の創業時からの累積調達額は今回を含めると25億円超となる。

2016年2月に一般向けにも公開されたTHEOは、独自アルゴリズムに基づいたロボアドバイザーが資産を自動的に運用してくれる、個人顧客を対象にした資産運用サービス。年齢や投資経験、リスクに対する考え方など、9つの質問に回答することで、世界の約6000のETFの中から約40種類のETFを組み合わせ、ユーザーの嗜好性に応じたポートフォリオが作成される。PCのほかスマホだけでも手続きが完結し、最小10万円、運用手数料1%(年率)でグローバル資産運用が始められる。

THEOが提案するポートフォリオとシミュレーション

お金のデザインによると、今回の資金調達は、強い顧客基盤を持つ金融機関や事業会社との資本業務提携によるビジネス推進が目的とのこと。新規調達によるTHEOのサービス向上、新規顧客層の開拓に加え、金融機関向けOEMモデルの開発強化や個人向け確定拠出年金(日本版401k)へのビジネス展開も進めるとしている。

個人資産運用のデファクトになるか―ロボアドバイザー「ウェルスナビ」がローンチ

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テクノロジーによる自動運用を取り入れた個人向け資産運用サービス、いわゆるロボアドバイザーの「ウェルスナビ」が今日7月13日に一般公開となった。1月中旬から実運用を開始していたウェルスナビは、これまではクローズドな招待制だったが、今日から誰でもサービスの利用ができる。

財務省、マッキンゼー勤務を経て柴山和久氏が2015年4月に創業したウェルスナビは、2015年7月に5000万円のシード資金をIVPから、同10月にはSMBC、みずほ、三菱UFJの3大メガバンク系CVCなどから約6億円のシリーズA資金調達を行っている注目のFintechスタートアップだ。

日本でもロボアドバイザー市場は立ち上がるか

ロボアドバイザーについておさらいしておこう。

もともと機関投資家や富裕層向けプライベートバンクでは、現代ポートフォリオ理論に基づく金融アルゴリズムを使った国際分散投資が行われてきた。地理的にも性質的にも異なる複数の「資産クラス」に分散投資することで、予測不能なさまざまなイベントに関するリスクに対して比較的安定した資産運用ができる方法論だ。

この国際分散投資をソフトウェアで自動化してクラウド経由で一般消費者向けに「民主化」したのがロボアドバイザーだ。

ウェルスナビ自身は自社サービスをロボアドバイザーとは呼んでいないが、米国では同ジャンルのスタートアップとしてWealthfrontBettermentFutureAdvisorといったサービスが立ち上がっている。例えばWealthfrontはサービス開始以来3年半で預かり資産が26億ドル(約2700億円)となっていて、ロボアドバイザー市場全体では2015年末で600億ドル(約6.3兆円)となっている。2020年に2.2兆ドル(230兆円)を超えるという予測もある。

一方日本では、今回一般公開したウェルスナビのほか、お金のデザインの「THEO」(テオ)が2016年2月に本サービスを開始しているし、Finatextもある。現在1700兆円程度ある個人の現預金が投資へ大きく動くことになるのか、もしそうなったときロボアドバイザーが日本市場でどの程度受け入れられるのか注目される。ちなみに、規制や税金のことがあるのでFacebookのようなサービスと違ってロボアドバイザーのような資産運用サービスが国境を超えることはまずないだろう。

手数料1%で50カ国、1万1000銘柄以上に分散投資

ウェルスナビでは利用開始時に運用の目的や年収、年齢を始めとする簡単な質問にいくつか答えることで、リスク許容度を5段階で決めて資産運用を開始できる。運用ポートフォリオは6、7種のETF(上場投資信託)となり、50カ国、1万1000銘柄に分散投資が行える。手数料は預かり資産の1%。ETFの売買やリバランス時には手数料やスプレッドはかからない。

ウェルスナビではアメリカで上場しているETFを全部データベース化していて、それぞれのETFが「いかに良くインデックスに連動しているか」、「純資産総額が大きく、流動性があるか」(低いと長期運用に向かない)、「流動性を加味したコストが安いか」といった客観的基準で選んでいるという。ウェルスナビが選んでいるETFは、一番小さいもので5000億円規模、最大6兆円、平均3.5兆円規模という。

想定される運用パフォーマンスは個々人向けに用意されるポートフォリオによって異なるが、ウェルスナビは「世界経済の成長率を上回るリターンを目指す」という説明の仕方をしている(世界経済の成長率は近年3〜5%で推移している)。

将来のパフォーマンスは確率の話なので確実に言えることは何もない。代わりにウェルスナビでは「30%の確率で3000万円を超える」、「50%の確率で2000万円」、「70%の確率で1000万円」などと予測値を見ることができる。この予測シミュレーションは、初期投資額のほか積立額や運用期間、リスク許容度をユーザー自身で変えてみることで、たとえば退職時の30年後の総資産額を実験してみて直観的に把握しやすくなっている。

実際のサービス利用開始は、マネーロンダリング防止のための「犯収法」対応のために簡易書留による本人確認のステップが入るが、それ以外はきわめてシンプルだ。マイナンバーや免許証をスマホで撮影してアップロードしたら複雑な書類の記入などもなく、2営業日程度でアカウントが開設される。あとはユーザーごとに用意される専用口座に運用資金を振り込めば運用が自動でスタートする。

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追加投資でも随時リバランス、税金対策「デタックス」も実現

今回ウェルスナビの一般公開では2つの機能が加わっている。

1つは追加投資を行う際に、最適ポートフォリオと現実のズレを優先的に埋める形で各ETF資産の自動発注をする「リバランス付き追加投資機能」。機能的には似ているが、積立にもリバランス機能を持たせるという(積立機能自体は8月リリース予定)。

もう1つの機能は税負担を軽減する「DeTAX」(デタックス)と呼ぶもの。具体的には、分配金やリバランスから生じる税負担が一定額を越えた場合に、自動的に含み損を実現して税負担を繰り延べる。「含み損の実現」というのは、ユーザーが所有する含み損のある資産の一部をユーザー側からウェルスナビに売却し、0.1秒後にまたポートフォリオを元に戻すこと。多くの場合、これだけで年間0.4〜0.6%程度の負担減となるため、ウェルスナビの運用手数料1%というのは事実上その半額のようなもの、と柴山CEOはそのメリットを説明する。

「まさかの離脱」でも大きく動かなかったポートフォリオ

ぼくはウェルスナビを5月末から招待ユーザーの1人として使っている。だから6月末の「まさかの離脱」も経験することとなった。初めて乗ったジェットコースターがいきなり落下して内臓が5センチほど空中で動いた気分になるぐらいの金額を預けていたので、ちょっとした洗礼になった。1カ月半程度の1ユーザーの体験談で「長期」分散投資の何が分かるものでもないかもしれないが、個人的には分散投資の合理性を体感する材料となったので少し書いておこう。

Brexit直後には各地で株価は下がるし、為替も信じられない速さで円高に振れていく「市場の混乱」に直面した。あっという間に資産が1割ほど減って、正直「向かい風の中でのスタートになったな」と思った。その一方なるほどと思ったのは異なる資産クラスによる変動の相殺だ。

米国株や日本・ヨーロッパの株がガクンと評価額を下げて運用損が増えていくなか、ゴールド(金)のETFだけはグングンと値を上げて行き、ちょうど各資産評価額の上下動が相殺する形になっていたのだ。不動産評価額も微増していた。円建てで見ると1カ月ほどで10%近くも下げた評価額だが、実際にはほとんどは為替変動によるもの。ドル建てでは思ったほど影響を受けていなかったし、むしろトータルでは1カ月半たった今は資産額は増えている。ぼくのリスク許容度の診断は5段階中「4」で、そのポートフォリオには、米国株(VTI)、日欧株(VEA)、新興国株(VWO)、米国国債(AGG)、金(GLD)、不動産(IYR)というETF銘柄が入っている。このうち運用開始1カ月半でドル建ての評価損が今もかすかに出ているのは日欧株のみだ。

イギリスのEU離脱(の蓋然性の高い国民投票の結果)という大きなイベントがあったわけだが、それに対して株価と金では値動きに真逆の反応が起こった。ぼくは投資素人なので知らなかったが、そういうものらしい。市場が混乱すると安全資産への逃避が起こる。「金属は成長しないが企業は成長する。だから金や銀なんて買っても意味がない」と、これまでぼくは思っていた。だけど、これは素人の浅はかな考えだったようだ。負の相関のある資産クラス同士を組み合わせることで安定した運用を目指すという現代ポートフォリオ理論の基本を目の当たりにしたように感じたのだった。

市場が混乱する中でも分配金によって投資すべき元手が増えたら、ウェルスナビが淡々と追加で各ETFを買い増ししてくれていた。ロボなので当たり前だが、この「淡々と」というのが素人には頼もしく思えた。というのも、リバランスや買い増し時の微調整というのは理屈で理解していたとしても難しく思えるからだ。まず計算や実際の細々した売買が手間だ。それに加えて心理的に逆のアクションの誘惑にかられる、ということもある。値が上がった資産は一部を売却しないといけないが、調子が良さそうなものはもっと買いたくなるのが心情だ。逆に値が落ちていくものを買い増すのは慣れていないと抵抗感を覚える。でも、そうしないとポートフォリオの形が崩れることになって中長期にはパフォーマンスを落としてしまう。長期国際分散投資の運用は20年とか30年の話なので、実はBrexitレベルでも気にするような話じゃなく淡々とポートフォリオの形が崩れないように運用すればいいだけの話なのだろう。これは感情的バイアスのない機械がやるべきこと。皮肉なことに、ぼくはBrexit騒動によってロボアドバイザーのメリットを体感した気がしている。

5年後に1兆円の預かり資産、金融インフラとなることを目指す

一般公開に先立って都内で行われた記者向け説明会でウェルスナビの柴山CEOは、「次世代の金融インフラを構築して、働いている人たちが豊かさを実感できる社会を実現したい」とサービスの狙いを語った。

働き盛りの世代は金融商品を購入しようにも金融機関の窓口は週末行っても閉まっているし、就業後に行っても閉まっている状態だ。いま資産運用のための金融サービスの多くは60代以上をターゲットとしたものが多い。1700兆円ある個人金融資産のうち66%は60代以上が所有している(数字は総務省統計からウェルスナビが推計したもの)からだ。

これはこれで企業として合理的戦略だとしながらも、柴山CEOは20〜50代の働き盛りのための資産形成サービスが必要だと説く。ウェルスナビのアンケート調査によれば金融資産が1000万円を超えていて資産運用をしてない人のうち3割の人は「情報収集が大変そう」とし、4人に1人が「相談できる人がいない」「何を信じていいか分からない」と回答しているという。

従来の金融機関が提供するサービスと比べると、ユーザーと利益を一体化している「運命共同体」であるところがウェルスナビのポイントの1つという。「提供する側にとって一番良いものではなく、お客さん(ユーザー)にとって最適化されたものを提供していきたい」(柴山CEO)。ウェルスナビは金融商品の売り手ではなく、売買手数料も受け取らない。だから顧客の預かり資産を増やすことだけがウェルスナビにとっても収益増のインセンティブとなっている、というわけだ。

メガバンク系CVCからの資金も調達しているウェルスナビは、今後独立を保ったまま事業を推進するのだろうか、それともどこかのグループ傘下に入るエグジットを目指すのだろうか? そもそも顧客開拓チャネルとして、あくまで自前ブランドでやるのか、それともメガバンクや地銀の一商品としてOEM提供して行くのか?

「口座開設の3分の2以上は金融機関経由になっていくと見ています。提携先候補は預金を一番持っているところですよね、すでに提携の話は来ています」

独立したブランドにこだわるよりも、社会的インパクトを重視しているという。

「金融インフラとなっていくのが目標です。インフラというのは1度できてしまえば、例えば交通機関であれば事故の心配をしたりせずに利用できますよね。目標は数百億円とか数千億円という単位ではありません。預かり資産として1兆円を上回る金額になっていかないと社会が変わっていきません。5年後に1兆円の預かり資産を目指しています」

エグジットについては以下のように語った。

「VC出資なので株主に対する責任を果たしていく。その意味ではIPOが適していると思います。ただ、起業家として申し上げると引き裂かれる思いがあります。エグジット自体にエネルギーを割きたくない。足元でより良いサービスを目指したい、そのための文化作りをしたいと考えています」。

提携先やM&Aの可能性としてネット企業も候補になり得ることを柴山CEOは示唆する。「5年後や10年後となるとAmazonやGoogle、LINEが金融機関になってるかもしれませんよね。いまの金融のプレイヤーとは限りません。一番良いものをユーザーに提供していく、という理念が一致すれば積極的に考えていきたい」。