カリフォルニア州がロボタクシー会社Waymoなどの有料サービス提供にゴーサイン

カリフォルニア州でロボタクシーサービスを運用しようとしている企業は、ドライバーレス乗車を有料で提供できるようになる。ただしそのためには、不必要な官僚主義によって、提供が2年以上遅れると業界の一部で批判されている政府の承認プロセスを進める必要がある。

カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は米国時間11月19日、認可を受けた企業が無人自動車を使ったライドシェアリングを有料で提供することが可能になる新しいプログラムを2件承認した。

生まれたばかりの自動運転自動車テクノロジー業界は、CPUCに対する数カ月にわたるロビー活動で無人車両によるライドシェアの運用と有料サービスを可能にする規則変更を要求してきた。今回の決定はおおむね歓迎されているがいくつか気になる点もある。

「本日CPUCが商業無人ライドシェアリングに関する規制の枠組みを承認したことを喜んでいます」とWaymo(ウェイモ)のカリフォルニアポリシー責任者であるAnnabel Chang(アナベル・チャン)氏はメールによる声明で語った。「同委員会によるこの待望の決定によって、Waymoは自社の完全無人Waymo Oneライドシェアリングサービスを地元の州で提供できるようになります。CPUCの決定は当社の最新技術をサンフランシスコに持ち込む最適なタイミングで下されたものであり、私たちのWaymo Driverをカリフォルニア州民向けのサービスに使用できることを楽しみにしています」。

運用会社は有料サービスを明日から始められるわけではない。将来のロボタクシー運用会社はCPUCとカリフォルニア州運輸局(DMV)から正式な認可を受ける必要があり、何種類かの報告義務を負う。ドライバーレスサービスの申請は、ライドシェアリングの有無によらず申請できる。

さらに参加企業は、安全計画と四半期報告書をCPUCに提出し、個々の乗車の乗降場所に関する匿名集計情報、車椅子利用可能な運行回数、受難地域に対するサービスレベルなどを報告する必要がある。他にも車両で使用する燃料のタイプや電力、走行距離と賃走距離なども提供しなくてはならない。

GM傘下のCruise(クルーズ)は、CPUCに提出したコメントの中で主要な障壁を1点指摘している。プログラムへの参加を希望する企業は、「Tier 3」通知書の形式で申請書を提出しなければならない。Tier 3プロセスによって運行認可を取得することは州の他の輸送、安全性および排気量削減の目標と矛盾するとCruiseは主張している。

「CPUCとのDMV両方から認可を得るためのプロセスには2年以上かかる可能性があり、ニーズの緊急度を踏まえるとあまりにも長過ぎます」とCruiseが提出文書に書いている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アリババ支援のAutoXとフィアット・クライスラーが中国でロボタクシーを運用へ

アリババが支援する自動運転車のスタートアップであるAutoX(オートエックス)は米国時間1月7日、Fiat Chrysler Automobiles(FCA、フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と提携して、中国をはじめとするアジアの国々で大量のロボタクシーを展開すると発表した。

AutoXによれば、このクライスラーのミニバンであるPacifica(パシフィカ)を使ったロボタクシーの一般向けサービスを、2020年前半に中国で開始するとのこと。利用者はWeChat(ウィチャット)のミニアプリや、その他の中国で人気のアプリを使ってロボタクシーを呼べる。

今回の提携は、自動運転のフルスタック開発を行うAutoXにとっては大変に重要な一歩となる。AutoXは、カリフォルニアと中国でロボタクシーの試験運用を行っているが、その真の狙いは、自社でロボタクシーを運用したい企業に技術をライセンスすることにある。

FCAにとっては、この提携はそれほど重要ではないかも知れないが、FCAは中国でのロボタクシー事業を展開したいと思えば、理論的にはそれが可能になる。

香港とカリフォルニア州サンノゼに拠点を置くAutoXは、すでにカリフォルニアと中国で試験を行っている。2019年の初めには、深圳の繁華街で一般向けのサービスを開始し、9月には上海市と提携して100台のロボタクシーを使った運用試験を上海で行っている。

AutoXのCEO肖健雄(シャオ・ジアンシャオ)氏は、次なるステップは安全のためのドライバーを必要としない、完全な無人運用だと話す。「そのゴールのためには、ハードウエアを完成させることが不可欠です」と彼は言う。同社によれば、FCAとの提携はその助けになるとのことだ。

「完全な無人運用を実現するためには、完全な冗長性を備えたドライブ・バイ・ワイヤー・システムによる信頼性の高い車両プラットフォームが必要になります」と肖氏。「このレベルの冗長性は、自動車業界ではまだ新しく希少なものです。その点、クライスラーのPacificaプラットフォームは、無人運用での信頼性が実証されています」。

AutoXは、CES 2020でクライスラーのPacificaを展示する予定だ。この車両には一連のセンサー群が装備されている。現在このハイブリッドカーに搭載されているのは、360度の半導体ライダーセンサー、何台もの高解像度カメラ、死角ライダーセンサー、レーダーセンサーだ。AutoXは、RoboSence(ロボセンス)とドローンメーカーDJIのライダーセンサーを採用している。

さらにこの車両には、AutoXが開発したXCUという車両制御ユニットも装備されている。XCUは、ライダーやレーダーなどのセンサーを含む自動運転スタックを制御し、車両に統合する。XCUの高速処理能力と高度な演算能力で、中国の市街地に見られる複雑なシナリオに最適に対応できるとAutoXは話している。

「街は自動車、歩行者、自転車、スクーター、その他の動くものにあふれていて、その多くが交通ルールを無視しています」とCOOの卓李(ズオ・リー)氏は声明の中で述べていた。「急速な発展を遂げる中国では、建設工事や改修工事が夜通し行われています。朝と昼と夜とでは、街の様子はまったく異なります。そのため私たちのシステムは、各オブジェクトの認識と追跡を、高速に、非常に正確に処理するよう求められています」。

一方、FCAの自動運転戦略は、自動運転車開発企業との提携に重心を置いている。2016年5月、Waymo(ウェイモ)とFCAは、Waymoの自動運転システムを組み込んだPacificaを100台ほど共同で開発すると発表した。そして去年、FCAは商用自動運車の開発でAurora(オーロラ)と提携した。

昨年AutoXは、スウェーデンの持ち株会社で電気自動車のメーカーでもあるNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビーグル・スウェーデン)と提携し、2020年末までにヨーロッパでロボタクシーの試験サービスを展開すると発表した。同社はカリフォルニア規制当局からロボタクシーでの乗客の輸送の認可も得た(安全のため人間のドライバーを乗せるのが条件)。AutoXでは、カリフォルニアのロボタクシーサービスを「xTaxi」と呼んでいる。

画像クレジット:AutoX

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(翻訳:金井哲夫)