表記ゆれの影響受けず物件を特定できる「不動産共通ID」正式版が公開、国土交通省「不動産IDルール検討会」とも連携予定

表記ゆれの影響受けず物件を特定できる「不動産共通ID」正式版が公開、国土交通省「不動産IDルール検討会」とも連携予定


オリジナル地図を自由に作成できるサービス「Geolonia Maps」などを提供するGeolonia(ジオロニア)と不動産テック協会は10月29日、「不動産共通ID」正式版の提供を同日開始した。利用料金は原則無料。また、緯度・経度が取得できる有料APIの提供も予定している。

不動産共通IDは、不動産取引における企業間での情報連携やデータ連携などの実現を目的として提供するID。不動産事業において統一されていない住所や物件名の表記に対して、同一物件を示す情報に共通のIDを付与することで、表記ゆれに影響されることなく物件の特定が容易となるインフラ環境を構築し、不動産情報のデータ連携にかかるコストの削減を図る。表記ゆれの影響受けず物件を特定できる「不動産共通ID」正式版が公開、国土交通省「不動産IDルール検討会」とも連携予定

Geoloniaは、2020年8月に日本全国の住所マスターデータをオープンデータとして公開。不動産共通IDは、同マスターデータを基にGeoloniaと不動産テック協会が共同で整備を行い、2021年4月15日にベータ版を公開した。大手不動産会社や不動産テック企業、放送局、公的機関など100社を超える参加企業からのフィードバックを踏まえ、今回正式版開始した。

不動産共通IDのAPIは基本無料で提供。APIに住所と物件名を送ることで、不動産共通IDに加えて、正規化された住所と建物名の一部を取得できる。また、今後提供予定の有料APIでは、無料APIの情報に加えて、緯度・経度も取得できる。有料APIの利用料は月額5万円(税込)で、不動産テック協会の会員は月額1万円(税込)を予定している。

国土交通省との連携

不動産をIDで管理する試みについては、国土交通省が「不動産IDルール検討会」を開催しルール整備を進めており、その第1回から不動産テック協会理事が参加するなど全面的に協力しているという。

国主導の「不動産ID」整備後は、ID乱立によってユーザーが混乱する事態を避けるため、不動産共通IDとの連携を図るプログラムを提供するなどの取り組みを行う。同協会からは「不動産テック協会主導の不動産共通ID→国土交通省においてルール整備が検討されている不動産ID」に変更できるプログラムの提供を予定しているという。また同時に、これまで「住所→不動産共通ID」を返答していたプログラムに修正を加え、「住所→不動産共通ID+国土交通省においてルール整備が検討されている不動産ID」を返答するプログラムの提供を目指すとしている。

不動産共通IDの詳細および国土交通省との連携については不動産テック協会サイトで確認できる。

不動産テック協会の目的は、自協会のIDを普及させることではなく、不動産にIDが付与されることで、不動産業全体のDXが推進されることとしている。今後も、国土交通省と連携を取りながら、IDの普及を推進するという。表記ゆれの影響受けず物件を特定できる「不動産共通ID」正式版が公開、国土交通省「不動産IDルール検討会」とも連携予定

表記揺れの影響を受けず不動産物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

表記揺れの影響を受けず物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

Geolonia(ジオロニア)不動産テック協会は3月15日、国内の土地や建物等の不動産情報に対して付与する共通ID(不動産共通ID)ベータ版を4月15日に提供すると発表した。不動産共通IDはAPIとして提供し、無償利用が可能。正式サービス時には正規化された住所や物件名を逆引き取得できる有料の上位プランも提供予定。

また「不動産共通ID β版利用 先行エントリーフォーム」において、事前利用登録の受付を開始した。

不動産共通IDは、Geoloniaが2020年8月にオープンデータとして公開した日本全国の「住所マスターデータ」(Geolonia 住所データ。ライセンスはCC BY 4.0)を基に、不動産取引における企業間での情報連携やデータ連携などの実現を目的として不動産テック協会が整備するID。

不動産事業において統一されていない住所や物件名の表記に対して、同一の物件を示す情報に共通のIDと付与することで、表記揺れに影響されることなく物件の特定が容易となるインフラ環境を構築、不動産情報のデータ連携にかかるコストの大幅削減を図る。

表記揺れの影響を受けず物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

不動産共通IDはなぜ必要なのか?

現在、不動産に関する情報は不動産事業者各社において、「住所」「物件名」などで物件を特定して管理されている。しかし、その表記方法が統一されていないため、同一物件の住所でも「三丁目」と「3丁目」といった表記ゆれや誤入力が発生しており、同一物件であるという特定が難しく、様々な企業が持つ不動産情報の連携が困難という課題がある。こうした課題を乗り越え、生活や企業活動のうえで有用・必須な不動産情報の利用可能性を広げるため、不動産テック協会とGeoloniaは共同で「不動産共通ID」プロジェクトを2020年7月よりスタートした。

不動産共通IDの整備は、行政においても長年の課題であり、不動産業界だけでなく、物流業界や行政などにも幅広く応用できるインフラとなるという。企業ごとに管理方法や管理表記の違う不動産情報に対して、同一物件を示す情報に共通のIDを付与することで、表記ゆれがある住所と物件名が入力されても同じIDが得られる技術により、物件の特定が容易となるインフラ環境を構築する。

不動産共通IDで物件を特定することで、物流の誤配送を防ぎ再送コストを削減できるほか、在宅情報との組み合わせにより在宅の家のみに配送する、夜間光街画像との組み合わせで空き家を特定するといった活用が可能という。また、特定物件に対して複数の工務店・施工会社が行った修繕をひとつに集約し、建物の修繕履歴を一元管理することも可能になるとしている。

表記揺れの影響を受けず物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

2019年9月設立のGeoloniaは、位置情報基盤を通じて、社会が抱える様々な課題を解決できる企業を目指すスタートアップ。IoT、スマートシティーなど、国、自治体、企業のDXが進むにつれて重要な「地図」「地理空間情報」「ロケーションデータ」の分野で、ウェブ地図提供事業、位置情報開発支援事業、ロケーションプラットフォーム事業を展開している。

不動産テック協会は、現在100社超(そのうち不動産テック企業72社)が属する、日本最大の不動産テック企業の団体。加盟企業には、仲介や管理業務、価格査定、ローン・保証など、多岐にわたる不動産業務の効率化や収益化のために、テクノロジーを活用しサービス提供する企業が加盟している。各社ごとに保有する不動産情報は、数千~数億に及ぶという。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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