スマホで賃貸住宅管理が完結、自主管理を行う不動産オーナー向けraQkanを手がけるOH YEAHが約6000万円調達

スマホで賃貸住宅管理が完結、自主管理を行う不動産オーナー向けraQkanを手がけるOH YEAHが約6000万円調達

自主管理を行う不動産オーナーが、スマートフォンからの操作だけで賃貸住宅管理を行えるようにするサービス「raQkan」(ラクカン)を提供するOH YEAHは2月1日、第三者割当増資による6065万5000円の資金調達を行ったことを発表した。引受先は、AZファンド2021投資事業有限責任組合と個人投資家。累計調達額は約1億3000万円となった。調達した資金はraQkanの開発と販売の強化、組織体制の強化にあてる。

raQkanは、LINEで承認するだけで賃貸管理が完結できるという、自主管理を行う不動産オーナーなどに向けたサービス。OH YEAHは、賃貸管理会社に満足できていない不動産オーナーの選択肢を増やすものとしても位置付けている。

賃貸管理は煩雑な業務が多く、退去から入居募集まで1~2週間かかることが少なくないという。また自主管理している不動産オーナーは、退去者とのやりとりや原状回復のための工事業者発注依頼、仲介業者への入居斡旋依頼や入居後の入居者のクレーム対応など、膨大な管理業務を行うことになる。

これに対してraQkanでは、OH YEAHの連携パートナー企業が提案する内容を承認するだけで工事発注、入居募集など仕事の発注を完了できるという。数週間かかっていた業務を数時間で完了することも可能で、業務効率化を図りやすいとしている。

OH YEAHは、2020年8月設立の不動産テック領域スタートアップ。自主管理を行う不動産オーナーの業務効率化、賃貸管理会社に満足できていない不動産オーナーの選択肢を増やし、安定した不動産経営をサポートするとしている。

今後も投資が増えていく不動産テクノロジー、Inspectifyは住宅診断と修理のマーケットプレース

Josh Jensen(ジョシュ・ジェンセン)氏は23歳のときに、イリノイ州ピオリアに最初の家を買った。

彼はその家を売ってビジネススクールの学費に充て、その後の人生コース(機械技師やスタートアップ企業の役員)では妻とともにいくつかの家を買い、リフォームし、転売した。

「10年で家を10軒買い、リフォームし売ってきた。家の検査もしたが、それには毎回失望した」とジェンセン氏はいう。

家を買って売るということ続けたジェンセン氏は、その経験を元にInspectifyを創業した。それは住宅診断すなわち住宅診断と修理のマーケットプレースで、家の売買の過程を合理化することが狙いだ。

家を買う人はこのプラットフォームで診断をすぐに予約し、修理の見積もりを得ることができる。同社は複数の不動産会社と協力して、その過程を高速化している。

「データを活用してサービスプロバイダーに繋がり、全体的な過程をかなり合理化している。家のバイヤーは、その家を本当に買う可能性がある人だけを探せる。そのための情報を使って、家の購入から保有、良質な管理までの推移をサポートする」とジェンセン氏は説明する。

多くのスタートアップと違い、ジェンセンの企業はすでに黒字だ。このプラットフォーム上で住宅診断士の仕事をとると、同社が15%のマージンを得る。

住宅診断の費用は380ドル(約4万円)から450ドル(約4万8000円)ほどで、ロサンゼルスにオフィスのある同社にはいつも多くの来店がある。ジェンセン氏によると、2020年8月にローンチした同社の売上は月商ベースで前年同期比60%伸びているという。

ジェンセン氏は以前に、Andreessen Horowitzが支援するFlyHomesを経営していた。Inspectifyの他の創業メンバーも、不動産業における経験が豊富だ。共同創業者のTaylor Zwisler(テイラー・ツウィスラー)氏は、ネット上の不動産屋であるVaultの元役員で、Inspectifyの創業には同社のCTOであり元Amazonのエンジニアで連続起業家でもあった。Denis Bellavance(デニス・ベラヴァンス)氏とともにに加わった。

ベラヴァンス氏はPeachを創業し、Zillowの長年の社員として同社のカナダでの事業を立ち上げた。

「妻と私は不動産投資における興味深いモデルだ。家を買ってリフォームしてそこに住んで、それから引っ越す。2人はそれに対して、情熱を感じているんだ。以前はそんな仕事は、資金を呼び込むためのサイドビジネスだったけど」とジェンセン氏はいう。

Y Combinatorのこの前のクラスを卒業した同社は、不動産にフォーカスしたスタートアップにとってのチャンスの波にうまく乗っている。

最近数年の間、不動産テクノロジーや不動産管理サービスの住民向けおよび商用市場向けの投資が増えている。その方面における2020年5月の総投資額は16億ドル(約1698億円)ともいわれている。しかしこれは、前年同期比では70%のダウンとなる。National Real Estate Investorが引用しているKeefeやBruyette & Woodsなどのデータはそのようになっている。しかしこの下降傾向の中にあっても歴史的に見ると上昇傾向であり、この記事によると1件あたり投資額の中央値は全過去平均の63%アップだ。

画像クレジット:Vadmary / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

事業用不動産は新型コロナ終息後の回復に影

ここ数年の好景気により、事業用不動産のオーナー、不動産業者、土地所有者たちは、年間数千億ドルもの収益を上げてきた。

それが今、新型コロナウイルスのパンデミックによって引き起こされた経済危機で、大打撃を受けている。さらに悪いことに、不動産業界は元に戻れないほどに変わり果ててしまう可能性もある。

今、賃貸料を回収するのは明らかに至難の業である。National Multifamily Housing Councilによれば、米国では、3月5日の時点で家賃を支払えた世帯が81%であったが、4月5日にはそれが69%まで激減した。昨年の同じ時期には82%の世帯が家賃を支払っていたのに、だ。

解雇された人や自宅待機となった人の数が急増したことを考えると、この数は、5月5日までに、ほぼ間違いなく悪化するだろう。

事業用不動産でも、問題は深刻になりつつある。賃料を支払えなくなり、立ち退きを余儀なくされた小売店やレストラン業は数え切れない。さらに、大手チェーンの中にも、賃借料の支払いが困難になったり支払いを拒否したりする企業が増えている。

例えば、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じるところによると、WeWorkは米国にある一部の施設の賃借料を支払えず、リース契約についての再交渉を試みている。とはいえ、WeWorkは自社がコワーキングスペースを提供するテナントには賃料の請求を続けている

StaplesSubway、Mattress Firmも、賃貸料の値下げ、リース契約の修正、新型コロナウイルスの影響で被った損失を埋め合わせるその他の措置を講じるよう建物のオーナーに強く迫るため、賃貸料の支払いを停止したのである。

目まぐるしい変化

一番答えが知りたい質問は、次に何が起こるかということだ。行き詰ってしまった資産を何とかしようと、その方法を探る人たちもいるが、事業用不動産市場が元に戻らないという可能性は非常に高い。

小売業者やレストランが姿を消していく一方で、オンラインで事業を展開する企業の業績は上がっている。Amazonは、悪い評判がないとは言えないが、それでも一日ごとに市場シェアを拡大している。実際、Amazonの時価総額は今週1兆ドルの大台を取り戻した。

数週間前に報じた通り、ストリートウェアのオンライン販売を手掛けるStockXも急成長している。StockXのCEOであるScott Cutler(スコット・カトラー)氏は、その時にこう語っていた。「StockXは、これまでもずっと希少性の高い購買プラットフォームだったが、実際の店舗に行けなくなった今、StockXの利用者はさらに増えている」。

特に、サンフランシスコ、シカゴ、ボストン、ニューヨークといった市場では状況が急速に変化する可能性がある。個人経営の店やレストランがしのぎを削るエリアであったのに、ベンチャー企業の従業員やサラリーマンたちが突然在宅勤務となってその業務形態に順応してきており、消費需要が落ち込んでいるためだ。

Cadenceの創設者兼CEOであるNelson Chu(ネルソン・チュー)氏の例を考えてみよう。Cadenceは、ニューヨークにおいて17人のスタッフで証券化プラットフォームを運営する駆け出しの会社である。最近、400万ドルの資金調達に成功し、先月、住宅地内の物件の賃貸契約を結んだ。その契約では、オフィスを移転できるまでは、賃借料を請求されないことになっていた。

Cadenceにしてみれば、良い条件である。使ってもいない場所の貸借料の支払いを心配しなくて済むのだ。それにもかかわらず、Chu氏は、リモートで働かなければならない状況に追い込まれたことで、自社の業務形態にリモートワークをもっと組み込む余地があることに気づかされたと述べている。

Chu氏は次のように語っている。「これまでリモートワークがビジネスを継続する上で悪影響を及ぼすのではないかと心配されてきた。しかし現在、リモートワークが強いられる中でも、業務には何の支障も出ていない。これは、オフィスの規模を縮小し、州外に住む従業員が毎日出勤しなくても運営が成り立つことを示しているのではないだろうか」。

想像に難くないが、これまでテレワークというトレンドに同調してこなかった他の起業家や経営陣も、Slack、Googleスプレッドシート、Zoomなどのツールを使うようになり、同じ結論に達しつつある。

生き残りをかけて

リモートワークに関するこの新たな可能性は、不動産会社に直接影響する。

事業用不動産向けサービス会社大手のCBREで、調査と分析のディレクターを務めるColin Yasukochi(コリン・ヤスコチ)氏はこう語っている。「リモートワークは現在、その運用が活発に検討されている分野である。今はリモートワークを余儀なくされている状況だが、その働き方を今後も続ける企業が当然出てくるだろう。問題はリモートワークの規模や期間がわからないことだ」。

この状況はもちろん、CBREや他の不動産業界が今年期待していた動向ではない。昨年11月にCBREが発行した「市場展望」レポートの内容はかなり楽観的だった。当時は、「不測のリスクがなければ」と前置きした上で、「活発な経済活動、強固な財務基盤、低金利、資産クラスとしてある程度の魅力が不動産にあること」について考えると、2020年は事業用不動産業界にとって「非常に良い年」になるであろうと推測していたのである。

ご存知の通り、その後の数カ月間に生じた「不測のリスク」により、企業は休業に追い込まれ、産業界のほぼすべてのセクターにおいて一時解雇が余儀なくされている。また、ウイルス感染の本質が明らかになった今、オフィスに再び出勤できるようになったとしても、人が密集する職場に行くことに気乗りしない人が出ることも十分に考えられる。

オフィスに行かずに仕事ができることを知ってしまえば、間違いなくそうなるであろう。

それが、今後のオフィス用スペースの需要減少につながる可能性は高い。そして、減少したのと同じ(またはそれより大きな)スペースが、新たな形体のオフィスに利用されることになるかもしれない。このことは、事業用不動産業者を含め、誰にもまだわからないのだ。

Mark George(マーク・ジョージ)氏はカリフォルニア州サンノゼ在住の仲介業者で、Cresaという事業用不動産会社に勤務している。現在、在宅勤務を行っており、同じく初めてリモートワークを行う妻とオフィスを共有し、子どもたちと一緒に家にいる時間を楽しんでいる。「しかし、特に不動産業では、自宅から出られない状況で業界の動向の変化を把握するのは難しい」と同氏は言う。

ジョージ氏によると、仲介業者は「いくぶん孤立している」。「物件を見せられないので、内見などの仕事はすっかりなくなってしまった。どの地方自治体でも庁舎は閉まっていて許可を得られないため、不動産業界はまさに休業状態だ」とのことだ。

「最終段階まで来ていた取引は」新型コロナウイルスが米国で勢いを増す前に「おそらく契約までこぎ着け」た。しかし「契約成立まであと少しだったが、最終段階とは言えない取引はどうなったかわからない。私が見てきた取引は、全て保留になっている。皆が待機状態に陥っている」と同氏は語っている。

同じくCresaに勤務しており、サンフランシスコ在住のBrandon Leitner(ブランドン・ライトナー)氏も同じように感じており、「取引に急速な動きはない」と言う。それでも、自社がTwitterのような大企業をはじめ、シリーズAラウンドやシードラウンドのスタートアップとも取引があるため、現在の市の外出禁止令が解除され、仲介業者が再び物件を見せられるようになれば、取引は再び活発化するであろうと期待している。

CBREによると、過去数年間、サンフランシスコで商業用スペースは1平方フィート(1000平方cm)当たり88ドルで取り引きされていたが、ライトナー氏は、その価値が「最低でも10%、おそらく20~30%」低下すると予想している。要因としては、市内にある200万平方フィートのスペースを押さえていた複数の企業がそれを手放したがっており、取引が可能になるとすぐにその物件が市場に出回ることが挙げられる。

特に、取引可能な320万平方フィートの商業用スペースがすでにあることを考えると、この数字は大きい。さらに、CBREのヤスコチ氏は、過去6カ月間だけでも「相当」なスペースが市場に上がってきたと述べている。

回復に望みをかける

ライトナー氏が言うように、「市場に上がる物件の数を増やすことを今は控えたい」と言う不動産所有者には、ありがたくない話である。

同氏は、不動産所有者が「現実的」であり、「できる限り譲歩して」踏みとどまり、新たなテナントを募集するようにと提案している。もちろん、できることには限界がある。土地所有者もたいてい負債を抱えているのだ。つまり、業績不振が長引き、オフィス利用者の数が元に戻らなければ、自分たちも苦境を乗り切るのに、金融業者に頼らざるを得なくなるのである。

サンノゼ在住の仲介業者であるジョージ氏は金融業者は投資を保護するためにも、不動産業者に助けを差し伸べるだろうと考えている。連邦準備制度も、銀行に不動産ローンの支払いを先送りする権限を与えることで、不動産所有者が賃貸料の請求を先延ばししやすくする可能性もある。

とはいえ、新型コロナウイルス感染症の終息後、事業用不動産マーケットが元に状態に完全に戻るのかどうかは、フタを開けてみなければわからない。

ヤスコチ氏は「このパンデミックは、我々が今までに経験したことのない事態だ」と語っている。CBREのエコノミストは第2四半期と第3四半期の目算が「非常に厳しい」と予測しているが、同氏によると、第4四半期には市場に「大幅な上昇傾向が見られるかもしれない」とのことである。

ただし、「これは、需要が回復するか、業務拡張計画が延期になるのか、それとも永久に白紙になるのかにかかっている」とも語っている。

今のところヤスコチ氏は、特に地元サンフランシスコの市場では、通常通りのビジネスに戻れるだろうと楽観視しているようである。「Bay Areaは何かあるとすぐ悪影響を受ける気がするが、たいてい回復も早い」と語っている。

業界関係者は、その回復に望みをかけているに違いない。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

WeWorkが非公開で上場申請書を提出、推計収入2030億円、赤字は2120億円

WeWorkを運営するThe We Companyは、米国証券取引委員会(SEC)に上場申請書を非公開で提出したという情報をプレスリリースで確認した。

ニューヨークタイムズの報道によれば、同社がSECに最初に書類を提出したのは昨年12月だという。

今年1月までに、WeWorkは株式と借り入れを併用して470億ドルの会社評価額で総額84億ドルの資金を調達している。ユニコーン(10億ドル企業)を多数生んでいるテクノロジー業界でもAdam Neumann氏とMiguel McKelvey氏が2010年に創立したWeWorkのような100億ドル級はさすがに数が少ない。同社への大口投資家はソフトバンク・ビジョン・ファンドで、昨年11月には30億ドルの出資を受けた。最近ソフトバンクは株式の過半数の取得を目指したが、最後の瞬間に見送っている。

WeWorkの収入は2017年の8億8600万ドルから 2018年には18億ドルへと倍増した。同時に純損失も19億ドルという天文学的数字になった。株式上場を目指す会社として魅力を増すような数字ではない。もっともUberも成長が鈍化している中で株式上場のためのロードショーを各地で開催中だ。WeWorkの財務に関する情報を Crunchbaseから拾ってみると次にようになる。

  • 2017年の収入は8億8600万ドル
  • 2017年の純損失は9億3300万ドル
  • 2018年の収入18億2000万ドル(105.4%アップ)
  • 2018年の純損失は19億ドル(103.6%アップ)

つまり収入に対する赤字の率は変わっていない。ただしAxiosによれば、2018年のWeWorkの入居率は90%であり、登録メンバー数も116%アップして40万1000社となっている。

WeWorkはシリコンバレーのスタートアップの価値がインフレ評価される典型としてよく取り上げられる。WeWorkの本質は不動産賃貸業だ。マーケットと出資者に永続可能なハイテク企業であると納得させるためには膨大な額の投資を続ける必要がある。

WeWorkの主要株主はソフトバンク、Benchmark、T. Rowe Price、Fidelity、ゴールドマン・サックスなどだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

約60分かかる物件提案を1分に短縮、不動産仲介会社向けSaaS「PropoCloud」公開へ

AIを活用した中古マンションの提案アプリ「カウル」を展開するHousmart(ハウスマート)は2月28日、不動産仲介会社向けの新サービスを3月1日にローンチすることを明らかにした。

PropoCloud(プロポクラウド)」と名付けられた同サービスは、カウルのコアとなる技術を用いた仲介会社向けのSaaSだ。

これまで住宅購入検討者1人に対して1回あたり約45〜60分かかっていた物件の提案やメール追客業務を、テクノロジーを用いて約1分にまで短縮するのが特徴。営業担当者がより多くの時間を顧客と向き合うことに使えるようにサポートする。

独自のデータベースとアルゴリズムで物件提案をシステム化

もともとHousmartでは、居住用の中古マンションの購入を検討している個人向けのアプリとしてカウルを提供してきた。

同サービスでは東京と神奈川の主要エリアにおいて3万件以上の物件データを集約した独自のデータベースを構築。ユーザーの好みや条件に加え、アプリ内での行動を基に豊富な物件の中からオススメのものをレコメンドする。

加えて新築時の分譲価格や過去の売買・賃貸事例、築年数、物件の広さ、間取り、最寄り駅情報といったビッグデータをAIが分析し、物件ごとに現在の適正価格や35年後までの推定価格などを算出できるのも特徴だ。

このシステムがあるからこそ、Housmartでは1人の営業パーソンが通常の約30倍に当たる600人以上の顧客をサポートできているというのは以前紹介した通り。今回リリースするPropoCloudは、まさにこの仕組みを他の不動産仲介会社にも開放しようという試みだ。

Housmart代表取締役の針山昌幸氏の話では、都内だけでも毎日数百件ほどの新しい物件が売りに出されているそう。これらの情報を日々キャッチアップし、顧客ごとのニーズに合わせて最適な提案をするのは簡単な仕事ではない。

「従来は営業担当者が毎日レインズをチェックしながら、人力で分析やシミュレーションをして顧客に情報を送っていた」(針山氏)そうで、物件の選定から分析、コスト算出などを含めると1人あたり約45〜60分かかるのが通常だという。

一方PropoCloudではカウルと同様に、3 万件以上の物件データが即日から利用可能。初回に営業担当者が1分ほどで簡単な顧客情報や希望条件を登録しておけば、あとは担当者に代わって“勝手に”物件の選定や提案をしてくれる。

物件に関する顧客のアクション(お気に入りをしたか、ゴミ箱に入れたかなど)を蓄積することで、提案精度を高めていくことも可能。提案は普段顧客とのコミュニケーションで使っているメール上で行うため、わざわざ専用のアプリをダウンロードしてもらう必要もない。

現在の適正価格や35年後までの推定価格、購入時の経費・毎月のランニングコストをAIが算出する機能も備える。

従来1ヶ月あたりの追客可能なメール数が約160通だったのに対し、「PropoCloud」を使うことで約6000通(約38倍)の追客が見込めるという

これまでは営業担当者が人力でやらざるを得なかった仕事をシステムと上手く分担することで、各顧客に対してより手厚いサービスを提供できるのがPropoCloudの特徴。針山氏も「物件情報の提供にマンパワーを割かずに済めば、担当者は顧客のサポートや物件見学など付加価値の高い業務により多くの時間を使えるようになる」と話す。

試験的に複数社で活用してもらったところ「今までほとんどできてなかった追客ができるようになった」「お客さんの行動や営業担当者がどのようにコミュニケーションをとったのか、一連の履歴を簡単に残せるようになった」といった反応があり、手応えを感じているそう。生産性の向上だけでなく「(顧客の方を向いて仕事をできることで)従業員の満足度のアップや退職率の低下にも効くのではないか」といった声も寄せられたという。

料金体系については、抱えている顧客数を基準にした複数の定額プランを用意する方針。だいたい1人の顧客に対して毎月100〜200円ほどで情報提供ができるようになるイメージとのことだ。

リリース時にPropoCloudの対象となるのは東京都23区、武蔵野市、三鷹市、⻄東京市、横浜市、川崎市の居住用中古マンション(オーナーチェンジ物件除く)。初年度は180店舗への導入を目指していく。

入居申込から契約まで完結、不動産業務基盤「キマRoom! Sign」にIT重説・電子契約の新機能

「不動産業界はアナログで、紙の書類・FAX・電話が好き、というイメージがあるが、あれは全部“ウソ”。なるべくしてなった“必然”なんです」広島発の不動産テックスタートアップ、セイルボート代表取締役の西野量氏は、そう切り出した。

「不動産業界、特に賃貸物件では、管理会社と仲介業者の間で、契約が決まるまでの間に情報のやり取りが数多く発生する。しかも、そのキャッチボールは無数の仲介業者との間で行われる。相手ありきの自己完結しない業界。そのことがローテクに寄る理由です」(西野氏)

大家、管理会社には自分で借主を見つける手段はない。そこで管理会社は何軒もの仲介業者と、物件の空き状況確認から始まり、内覧の可否伝達や条件交渉など、契約までやり取りを重ねる。だが、キャッチボールの方法は相手である仲介業者に委ねることになる。そこで選択されるのは、どんな業者でも最大公約数的に使える、最も“枯れた”テクノロジー、すなわち「紙・FAX・電話」にどうしても偏ってしまうのだと西野氏はいう。

仲介業者も巻き込んで使えるプラットフォームを作りたい。1つのプラットフォームの中で、入居申込から契約まで、やり取りを完結したい。そうした西野氏の思いから誕生したのが、不動産業務の電子プラットフォーム「キマRoom! Sign(キマルームサイン)」だ。

このキマRoom! Signに11月27日、「IT重説」(ITを活用した重要事項説明)と電子契約の機能が加わった。IT重説とは、それまで義務とされていた、対面での賃貸契約の重要事項説明がオンラインでも行えるようになったもの。2017年10月に本格運用が始まり、テレビ会議システムなどを使った説明が各社で始まっているが、1つのシステムで入居申込・IT重説・契約の3つの業務を行えるのは、日本では初だという。

「システム連携があってこそ不動産業界の電子化は進む」

キマRoom! Signが公開されたのは、2017年8月のことだ。このときには、入居の電子申込機能が先行してリリースされた。

仲介業者は入居希望者に、タブレット端末への手書き入力で入居申込に記入してもらう。記入するとリアルタイムでテキストデータ化されるので、その場で電子化された内容が確認ができ、データの再入力の手間や誤転記などの心配もない。

仲介店舗で記入したデータは直接、管理会社へ送信される。従来の紙と同じフォーマットで、手書き文字が記入されたPDFも送信可能だ。印刷すれば紙で保存できるし、FAXしか受け取れない相手にはFAXで送信もできる。西野氏は「一斉に取引先全部が導入してくれるわけではない以上、どうしても紙でのやり取りは残る。従来の業務を電子化しながら、運用に乗せることを重視している」と話す。

サービス公開から1年経ち、今年の11月5日には家賃保証会社、少額短期保険・火災保険会社、付帯サービスといった“不動産周辺業種”の各社とのデータ連携を実現する「キマRoom! Sign コネクト」がリリースされた。APIを提供することで、周辺業種での審査や契約もスムーズに行えるようになる。

西野氏は「不動産会社が業務過多となっているのは、契約主体の貸主と借主だけでなく、関係する第三者も多いから」と、API提供による業界の枠を超えた連携を進めた理由についても述べている。

「せっかく契約が電子的に一気通貫でできるようになったとしても、家賃保証や火災保険、かけつけサービスなどの付帯サービスの申込はまた別の紙で、となっていたら、意味がない。周辺業種も含めた全体でやらないと、電子化は浸透しない」(西野氏)

そしてキマRoom! Signは今回、IT重説・電子契約機能が追加されたことで、申込から契約までのフローを一気通貫で完結することが可能となった。

西野氏は「重要事項説明のみオンラインでできたとしても、説明を確認したことを示す書面はどうするのか。契約は紙・郵送のまま、というのでは、そこからまた書類を返送してもらって、大家さんに送って……となって時間もかかるし、確認の手間も減らず、電子化・効率化は進まない」と機能追加の意図について話している。

前述したとおり、IT重説ではテレビ会議の仕組みを活用して各社工夫もされているようだ。また電子契約の仕組みでは、「クラウドサイン」や「DocuSign」などの汎用的なものもある。だが西野氏は「電子化とは単に紙をデータに置き換えるということではなく、システム連携があってこそ」と不動産賃貸業務に特化した、キマRoom! Signのメリットを説明する。「契約に至るまでのキャッチボールの間に、紙や手入力の業務が入らずに済むようにするためには、システム連携も必要なんです」(西野氏)

保証人や仲介業者も含めた契約プレイヤーが多いために、書類の転送だけでも時間がかかる不動産賃貸契約では、電子化することで締結までのタームを短くすることも期待できる、と西野氏。IT重説と電子契約なら、借主も仲介店舗に出向く必要がなく、スマートフォンを使って、すきま時間で重要事項の確認と契約が完了できるため、時間の節約にもなる。

さらに、これまでは今、何件の申込が契約までのどの段階にあるのか、不動産会社がステータスを一覧することは困難だった。それがキマRoom! Signでは、「社内審査中」「審査OKで契約待ち」など、ステータスが見える化されるため、契約件数などの目標に対する進捗管理もやりやすくなる。

キマRoom! Signの料金体系は、書類を電子化するための初期費用が1書式あたり5万円、月額費用は基本料1万円(店舗など1拠点あたり)。それに申込1件につき300円〜500円の従量課金が加わる(いずれも税抜価格)。金額については「書類の送付コストを意識した」と西野氏は言う。「契約書類を対面受取で1回送付するのに約500円。それを貸主・借主と会社との間で、返送プラス往復で3回は使うと考えれば、その3分の1の費用で利用できる。業務効率という見えないコストよりは、書類のデリバリーコストが節約できると考えてもらえれば、分かりやすいと思って」(西野氏)

「5年後には電子化が進んだ業界と言われるようになる」

セイルボートは2010年の設立。広島・岡山の物件を中心に紹介する、不動産業者間の物件情報検索ポータル「キマRoom!」を運営し、2014年3月には広島ベンチャーキャピタルから3000万円の資金調達を実施している。

その後、物件検索では不動産流通機構(レインズ)のオンラインシステムの浸透もあって苦戦。不動産流通のフローの中でテクノロジーを生かせる領域を探していた西野氏は、「物件確認」や「VR内見」、「スマートロックによる内見自動化」といったサービスは既にあるものの、「入居申込」「契約」の部分ががら空きだと気づく。こうして、申込から契約までをシームレスにカバーする、不動産業界向けのデジタルソリューションの提供に注力することとなった。

そして2017年8月に、キマRoom! Signをリリース。2018年11月にはリログループの子会社リロケーション・ジャパンと既存株主の広島ベンチャーキャピタルから合計約2億円の資金調達を実施した。

「不動産業界は、例えば飲食業界などに比べれば、エンドユーザーである借主の利用頻度も低く、非日常の世界。それだけにカスタマー最適化が構造的に進まない分野です。そこを、頻度高く利用する仲介業者や管理会社をユーザーとしたマーケットインで考えることで、カスタマー最適化を進め、電子化を推進したい」と西野氏は語る。

キマRoom! SignのIT重説・電子契約機能は、大手不動産会社から徐々に導入を進める、と西野氏。「日本の不動産会社は13万社ある。5000戸以上を管理する大手企業は、そのうち約250社。この250社で日本の半分の物件を管理している。2020年度には、この250社にサービスを浸透させたい。そうしていくうち、5年後には不動産業界が『電子化が進んだ業界』と言われるようになるのではないか」と今後の見通しについて述べていた。

セイルボート代表取締役 西野量氏

Trulia、引越し先のご近所情報をクラウドソーシングで提供するツールを開発

オンライン不動産サイトを運営するTrulia(かつてのライバルであったZillowに買収されている)が、引越し予定の場所に関するさまざまな情報を提供してくれるサービスを立ち上げた。情報提供に利用するのはNeighborhoodsというサービスで、周囲のトピックスや安全情報に加え、これまでも利用していたWhat Locals Sayというツールを使って集められた住民の意見や、Truliaスタッフが集めるデータや写真(ドローンによる撮影なども行う)が閲覧できるようになっている。

現在のところ、サンフランシスコ、オークランド、サンノゼ、オースチン、およびシカゴエリアにおける300箇所の情報を提供している。2018年中に、さらに1100箇所の情報を追加していきたい考えだそうだ。情報はTruliaのモバイルアプリケーションおよびウェブにて提供されている。ただしウェブ版の使い方はややわかりにくく、情報の一覧性も低いようだ。触ってみたところではうまく使いこなせなかった。しかしモバイルアプリケーションはなるほどよくできている感じだった。提供される情報のリンクをシェアできるようになったりすれば、さらに便利に使えるようになるのだろう。

  1. Trulia-Neighborhoods_-Home-Page

  2. Trulia-Neighborhoods_-Explore-the-Area

  3. Trulia-Neighborhoods_-What-Locals-Say

引越し先の情報が欲しいというのは、間違いなく多くの人が感じていることだろう。Truliaによれば、家を購入する際には、家自体のみならず近隣の情報も重視するという人が85%にのぼるのだそうだ。実際に家を買うとなれば、自分の目で確かめてみたいという人の方が多いかもしれない。しかしNeighborhoodsのようなツールを使えば、自分の好みにあうのかどうかを簡単にチェックしていくことができる。もちろんTruliaは通勤時間や、犯罪発生率などの情報ももっていて、それらとあわせて候補地を見ていくことで、効率的に引越し先を決めることができるかもしれない。

「Trulia Neighborhoodを使えば、引越し先にどのような生活が待っているのかを簡単に知ることができるのです」と、シニアバイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャーのTim Correiaは言う。「家を買おうとする人にとってはこうした情報の入手が非常に重要であり、皆さんそれぞれに大きな苦労をなさっています。大きなニーズがある中、情報をよりわかりやすく、かつ簡単に提供するのはとても重要なことであると考えます。それにより、家を買おうとする人に大きなメリットを感じてもらえるようになると思うのです」。

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(翻訳:Maeda, H

和製Amazon Homeとなるか、スマートロック活用で不在でも宅配・家事代行サービスが受けられる新プロジェクト

写真左から:セーフィー 小室氏、パルシステム東京 小林氏、ホワイトプラス 井下氏、ライナフ 滝沢氏、honestbee 宮内氏、タスカジ 和田氏、ベアーズ 後藤氏

スマートロックをを軸に不動産サービスを展開するスタートアップ、ライナフは1月30日、家に不在でも宅配や家事代行サービスが受けられる「サービスが入ってくる家」プロジェクトを2月下旬より開始することを発表した。東京都大田区にある36居室の新築賃貸マンション1棟で、同社のスマートロック「NinjaLock(ニンジャロック)」を全戸に導入。オートロックの共有エントランスを開錠するシステム「NinjaEntrance(ニンジャエントランス)」も設置し、宅配や家事代行サービスを提供する5社との提携により、不在時にもサービスが受けられる住まいを提供する。

提携先企業は、生鮮食品宅配サービスのパルシステム東京、宅配クリーニングのホワイトプラス、買い物代行サービスを提供するhonestbee Japan、家事代行スタッフのマッチングサイトを運営するタスカジ、家事代行サービス提供のベアーズの各社だ。また、ライナフのスマートロックとは別にIoT機器として、玄関部分を撮影するためのクラウドカメラ「Safie(セーフィー)」をセーフィーが提供する。

個別の各サービスの利用料金は利用者が各社へ直接払うが、IoT機材等設備の初期費用や通信・保守など運用に関わる料金は、居住者ではなく、物件の所有者や不動産管理会社などが負担する形となる。

ライナフはこれまで、スマートロックなどのIoTハードウェアと連動して、不動産オーナーや管理会社向けに空室活用のための「スマート内覧」「スマート会議室」「スマート物確」といったサービスを提供してきたが、「サービスが入ってくる家」プロジェクトを機に、住まいに関する生活関連サービスにも取り組む。

プロジェクト推進のため、あえてアナログな運用を選択

ライナフ代表取締役社長の滝沢潔氏によれば「プロジェクトにあたっては、大きなシステムは作っていない」とのこと。「いろいろな提携先と新しいことを始めよう、というときにスマホアプリを新たに作ったり、端末を配布したり、といった大がかりなことをやろうとすると、だいたいプロジェクトが進まなくなるので」と滝沢氏は言う。

その代わりに、このプロジェクトのためにライナフが用意したのは、スマートロックなど既存のIoTハードウェアと、24時間運営のオペレーション専用コールセンターだった。

共有エントランス部分と居室玄関ドアに設置されたスマートロックを開錠するのは、提携先サービススタッフではなく、コールセンターが担当。宅配サービスや家事代行に訪れたスタッフがコールセンターへ電話をかけると、オペレーターがサービスの予約状況を照会。スタッフの本人確認のための質問をいくつか行い、インターネット経由で鍵の開閉を遠隔操作する。

滝沢氏は「あえてアナログに、コールセンターへの電話による運用にした。これは、事業者の担当スタッフが必ずしも全員がスマートフォンを持っているわけではないことや、リテラシーなどに配慮した結果。ゆくゆくは自動化したいが、今の段階ではこれが最適と考えている」と話している。

入居者は、スマートフォンのNinjaLock専用アプリで、いつでも玄関ドアの開閉履歴を確認することができる。また、玄関部分の映像をスマートフォンアプリから確認できるクラウドカメラSafieと、玄関ドアとは別の錠前付き室内扉を設置することで、不在時のセキュリティが強化されている。

セキュリティと言えば、スマートロックの安全性への疑問や、室内にネット経由でアクセスできるカメラが設置されていることへの不安を持つユーザーもいることだろう。この点に関して滝沢氏はこう説明している。

「カメラについては、室内全体を撮影するものではなく、あくまで玄関の出入りをチェックするためのものなので、玄関だけを写すように設置する。また、スマートロックだけでは心配、という方のために別途鍵がかかるドアを内側に用意している。それでも気になる、という方もご心配なく。これらの機材はすべて電気で動作するので、電源や電池を抜けば動かなくなる。『サービスが入ってくる家』に利便性を感じてもらえて、より良いサービスを受けたい、と納得していただけたなら、また使ってもらえばよいと考えている」(滝沢氏)

物流のラストワンマイルが変化するのではないかとの期待

滝沢氏は、2017年3月の取材でも「サービスが入ってくる家」のコンセプトについて語っている。スマートロックを設置した家の外側・内側の2枚のドア。ドアとドアの間に設けられたサービスゾーン。サービスゾーンで受け渡しされる荷物・食材やクリーニングなどの宅配サービスと、内側のドアの奥まで入って提供される家事代行サービス。今回のプロジェクトはおおむね、これらを踏襲したものとなった。滝沢氏は、プロジェクトを「IoTで実現する現代版の土間」と表現している。

プロジェクト発足の背景には、単身世帯、共働き世帯の増加と、インターネット通販などによる宅配、家事代行サービスのニーズの高まりがある。

宅配サービスや家事代行サービスの利便性を、より享受したいはずの単身者や共働き世帯ほど、日中家を空けることが多くて、宅配物の受け取りや家事代行スタッフとの鍵の受け渡しが難しい。ライナフでは、これからの不動産には「家主不在時でも安心してサービスを受けられる家」が求められる、として、広さや機能などのハード面だけでなく、ITを利用して柔軟にサービスが受けられる、ソフト面が充実した住まいを提供すべく、今回のプロジェクトを立ち上げた。

滝沢氏は「今回、プロジェクトにパルシステムなどの宅配サービスが提携先として参加し、宅内への配送を行うことに注目している」と言う。「大手の宅配業者は、防犯などの観点から宅内への配送に対して消極的。今回の提携先の宅配サービス運用がうまくいくようであれば、今後、宅配便の大手に参画してもらうことも期待できる。物流のラストワンマイルの変化を促すことにもつながる」(滝沢氏)

確かに現状でも宅配ボックスを利用して、不在時に荷物を受け取ることは可能だが、ミネラルウォーターなど重い荷物は、玄関先まで運んでほしいものだ。滝沢氏は「近所の八百屋や魚屋、弁当屋から配達されたものを、玄関の内側に置いた冷蔵庫に入れておいてもらえるようになれば、新鮮でおいしい食材を帰宅してすぐに手に入れることができる。ひいては商店街など、地域の活性化にもつながれば、とも考えている」とも語っている。

「日本初の不在時サービス対応マンション」となる今回のプロジェクト対象物件は、賃貸マンションで新築だが、滝沢氏によれば「我々が提供するスマートロックもスマートエントランスシステムも後付けタイプなので、大がかりな工事不要で設置できる。既存の物件の価値向上のために利用してもらうことも歓迎する」とのこと。1棟単位でなく、物件ごとでの利用も可能だという。

また賃貸だけでなく、分譲マンションにもサービスを広げたいと滝沢氏は話す。現在、スマートエントランスシステムのNinjaEntranceは東京と大阪を中心に130棟のマンションに設置されているが、分譲マンションでは、共有エントランスへの開錠システム設置に管理組合の許可が必要で、これまで導入のハードルが高かった。滝沢氏は「各社との提携によりサービスをパッケージ化することで、住まいの価値向上や便利さを提供し、単なる開錠機能だけではないサービスを広げたい」と語る。

「宅内へのサービス提供には、不動産管理会社も乗り出したいと考えているはずだ」と滝沢氏は続ける。「ただ、宅内プラットフォームでは『宅内へ入っていく』こと自体に、うさんくさいイメージもついてまわりがち。ライナフが、サービス提供会社をまとめて巻き込むのを担当することで、管理会社も取り入れやすくなるのではないか」(滝沢氏)

サービスを提供する提携各社はそれぞれ、プロジェクトに以下のような期待を寄せている:

「生鮮品宅配サービスで課題となる再配達が解消されること、配達担当の残業が削減できること、利用者の不満が軽減できることで、コストの削減や雇用問題の解決にもつながるのではないかと考える」(パルシステム東京 事業運営部部長 小林秀信氏)

「宅配クリーニングを手がける当社でも、物流のイノベーションにつながるサービスを検討している中で、こうしたプロジェクトでノウハウが得られればと思っている」(ホワイトプラス 代表取締役社長 井下孝之氏)

「このプロジェクトが地域コミュニティの活性化、地域への貢献につながるのでは、というところにワクワクしている。家事コンシェルジュサービスの日本へのローカライズのきっかけとしても期待している」(honestbee Coutry Manager 宮内秀明氏)

「鍵の受け渡しは家事代行では大きな課題。顧客もハウスキーパーも互いに安心してサービスの利用・提供ができるのは良いこと。宅配や買い物代行で受け取った食材をキーパーが料理するなど、家事の“ラストワンマイル”サービスを提供できるプラットフォームにもなると思う」(タスカジ 代表取締役社長 和田幸子氏)

「今までの家事代行サービスでは、レポートなどアナログなログしか残せなかったが、クラウドカメラやドアの開閉記録が残ることで、行動ログをデジタルに残すことができる。サービス品質の向上も目指せると考えている」(ベアーズ マーケティング部部長 後藤晃氏)

米国ではAmazonが、スマートロック連動で不在時でも家の中に荷物を届けてくれる「Amazon Key」サービスを、2017年11月から一部地域でスタートしている。配達以外ではハウスクリーニングのMerry Maidsや、ペットシッターサービスのRover.comなど、1200以上のサービスを「Amazon Home Services」として、今後数カ月以内に提供していく、ということだ。

滝沢氏は「日本では米国から半年から1年遅れて、同様のサービスが始まることが多い。それを考えれば、実証実験ではなく実サービスとしては日本初のスマートロックを活用した不在時の宅内サービスが、数カ月遅れでスタートするのだから、そう遅れていないだろう」と話している。「住宅×IoT×サービスの分野では、日本はよいポジションにあると考える。配送サービスのクオリティの高さもあわせて考えれば、アメリカより上という見方もできる」(滝沢氏)

「サービスが入ってくる家」が普及すれば、宅内サービスのセキュリティに対する考え方が変わるのではないかと滝沢氏は言う。「利用が浸透してきた家事代行サービスの世界では、実は、合い鍵を預かって不在宅でサービスを提供するケースが6割を超えるとも聞いている。このサービスでも普及にともない『不在でも大丈夫みたい』『便利』といった評判が広まれば、玄関“内”でサービスを受けることが当たり前になっていくだろう」(滝沢氏)

AIが1000万件のデータから「賃貸と購入どっちがお得?」を鑑定、物件売買サービス「カウル」

「今家を買う人は30〜40代前半の人が中心。何か物を購入する際はスマホを使って情報を集め、比較検討をするのが当たり前になっている。“家”というのは数千万円ものお金を支払う人生で1番高い買い物なのに、情報開示が進んでいなくて適正価格がわかりづらい」——Housmart(ハウスマート)代表取締役の針山昌幸氏は不動産売買の課題について、そのように話す。

Housmartが現在手がけているのは、物件の売買ができるサービス「カウル」。近年需要が増えている一方で、特に価格の不透明性が高い「中古マンション」に焦点を当てる形で2016年1月に立ち上げた。

そのカウル内で本日「カウル鑑定」という新たな機能がリリースされた。興味がある部屋について、データをもとにAIが将来価格を予想。「賃貸と購入のどちらがお得か」を瞬時に鑑定してくれるというものだ。

同じ建物でも部屋によって「どちらが得か」は変わる

カウル鑑定では過去から現在にいたるまでの不動産売買や賃貸に関するデータを活用し、AIが1〜35年後の物件価格を算出。そこに物件価格の値下がり金額や住宅ローン金利、マンションの管理費、税金などを考慮した上で、購入する場合と賃貸で借りる場合どちらが得かを瞬時に鑑定する。

使用料金は無料。カウルでローンの返済計画を立てると、その情報から物件ごとにトータルコストの差額を見ることができる。

不動産関連の雑誌でも賃貸と購入を比較する特集はよくあるが、支払う価格だけをベースに比較したものも少なくない。針山氏の話では「中古マンションは購入から10年、20年が経過してもけっこうな金額で売れることがよくある」そう。売却した場合に手元に残る金額を含めて、部屋単位で料金を比較できるのがカウル鑑定の特徴だ。

開発に至ったきっかけのひとつは、中古マンションの購入を検討するユーザーの「買ったマンションが将来いくらで売れるのか知りたい」というニーズ。以前からカウルではデータをもとにAIで適正価格を算出し、カウル推定価格という形で情報を提供してきた。そこからさらにシステムを改良し、35年後までの将来価格の予測や賃貸との比較をできるようにしたのがカウル鑑定だ。

「実は同じマンションでも部屋によって(賃貸と購入の)どちらが得かというのも変わってくる。そこをユーザーがオンライン上で直感的に判断できるようにすれば、利便性も高い」(針山氏)

カウル鑑定の対象となるマンションは販売用のため、同じ部屋を実際に借りることは難しい。ただし「この部屋を借りる場合、いくらぐらいで借りられるか」を推定することで、周辺の似たようなマンションや同じマンションの賃貸に出されている部屋を借りられる可能性はあるという。

将来的な価格を人間が算出するのは難しい

もともと針山氏は新卒で不動産会社に入社。自身も体感した業界の課題を解決するべく、楽天を経て2014年の10月にHousmartを創業している。物件価格の透明化や将来価格の算出もかつてからニーズはあれど、実現されてこなかったものだ。

「1社の不動産会社が売り主と買い主の双方を担当していたのが従来の一般的な不動産売買。多くの会社は売り主サイドに立つため、買い主に価格を透明化するインセンティブもなかった。これは買い主サイドに立つと大変な割に儲からないという、ビジネスの構造上の課題もある」(針山氏)

カウルの場合はこれまで人力で対応していた物件提案などの業務を自動化。余計なコストを削減することで、買い主サイドに立ってもビジネスとして成り立つ仕組みの構築にチャレンジしてきた。

加えて約1000万件に及ぶ売買事例や賃貸事例、物件データなどをもとにAIで適正価格や将来価格を割り出す取り組みも実施。現場経験のある針山氏らが半年から1年ほどチューニングを重ね、カウル鑑定のリリースに至ったという。

あくまで過去のデータをもとにしているので、完全に将来価格を的中させられるわけではない。針山氏によると「(将来の)インフレ率や日本全体の景気、エリアの再開発状況といった要因は含まない。築年数や立地条件などのスペックをもとに、将来的に最大でこのくらいのペースで価格が下がるという数値を出す」仕組みではあるが、人力に比べればはるかに適正な価格が出せるという考えだ。

カウルのリリースからは約2年が経過し、現在の登録ユーザー数は1.5万人を突破。2015年と2016年にはVCから資金調達もするなど、事業を拡大してきた。

今後は現在賃貸で暮らす人が家賃を入力することで、「現在住んでいる賃貸住宅と検討している住宅を購入した場合のシミュレーション」ができる機能も搭載予定。これまでは不透明だった情報を開示してわかりやすくすることで、不動産購入のリスクを減らしていきたいという。

SoftBank Vison Fund、不動産仲介のCompassに4.5億ドル――ポストマネーの企業評価22億ドルに

鉄は熱いうちに打てといわれるが、Fidelityがリードしたラウンドで先月1億ドルを調達した不動産仲介のスタートアップ、Compassはさらに巨額の投資を受け入れた。今回SoftBank Vision Fundが4億5000万ドルを投資するのに加えて5000万ドルの発行済の株式買い上げが予定されている。調達された資金は不動産の売買・賃貸のプラットームを世界に拡大するために利用される。

ニューヨークに本拠を置くCompassの資金調達総額は7億7500万ドル、ポストマネー〔投資後評価額〕で22億ドルとなる。わずか数週間前の企業評価額は18億ドルだった。

今回の巨額のラウンドは前回のラウンドと時期的にほぼ重なっている。共同ファウンダーのAllonが日本でSoftBankとの契約をまとめた日にFidelityは1億ドルの投資を発表した。

Compasshsがオンライン不動産仲介に地歩を築いたのは2012年にさかのぼる。当時はUrban Compassという社名だったが、800万ドル資金を支援者から調達するこtに成功し、最大のシードラウンドだとして話題になった。もっともすべては比較の問題で、現在の状況からすると800万ドルは小銭とも見える。

Compaqssは現在アメリカの11都市で運営されている(1億ドルの資金はこの運営のためと発表された)が、共同ファウンダー、会長のOri AllonはインタビューでSoftBankから投資で目標をさらに拡大し、世界的な規模への展開をめざすと語っている。【略】

Compassがこれほど大型の投資を引き寄せる理由のいくぶんかは共同ファウンダーの経歴にある。Allonはエンジニアであり、起業家としてはスタートアップをGoogle、Twitterに売却しており、それぞれの検索ビジネスの重要な基盤となっている。共同ファウンダー、CEOのRobert Reffkinは元ゴールドマン・サックスの金融専門家で、その経歴も申し分ない。

同時にCompassのテクノロジーそのものものも投資家の強い関心をひいたはずだ。Compassは当初、ローカルビジネス情報の革新を目指していたが、ここである要素をローカルビジネスのカギとして重視した。つまりユーザーの実際のロケーションだ。このプラットフォームが提供する近隣ビジネスのデータベースはわかりやすく、事前に十分な審査を受けていてCompassのユーザーが信頼することができた。

不動産仲介にシフトしたCompassが現在ターゲットとするのは高級な物件と顧客だ。 ハイエンドの物件の取引はマージンが大きいし、不動産の購入を考えている高所得者からの着実な需要がある(Allonは「将来もハイエンドだけに絞っていくつもりはないが、当面はこの市場に集中する」とインタビューで語っている)。

家屋の購入・賃貸希望者と物件所有者を仲介するサービスとしてCompassは決して最初の会社ではない。この分野にはZillow、Trulia、Redfin、Homes.com、Rent. comなどの有力サービスを始めとしてきわめて多数の会社が存在する。しかしCompassは、たとえていうなら、多数の既存のスマートフォンンの中に誕生したiPhoneのような存在となる可能性がある。後知恵かもしれないが、iPhoneはユーザー体験を慎重にコントロールし、ユーザーをしっかり見極めることによって既存のスマートフォンが目指しながら実現できなかった高いクオリティーのサービスを実現できたのではないだろうか。

また巨額の投資はCompassの驚くべき成長に見合ったものだ。不動産業者の数―Compassはユーザー向けと不動産業者向けの二つ面でビジネスをしている―という重要な要素を2年間で5倍に増やすという結果を出している。これが手持ち物件数を飛躍的に増大させ、顧客の多様な需要に応えられるようになるという循環を生んでいる。同社は今年、1万6000件の成約(取扱高140億ドル)、売上にして3億5000万ドルを達成することが確実と見られている。

SoftBankのVision Fundaid上級投資専門家、Justin Wilsonは「「不動産というのはきわめて大きいビジネス部門でありながら、これまでテクノロジーが関与する度合いが比較的低かった。そのため非効率と断片化が著しかった。Compass従来と異なるエンド・ツー・エンドのテクノロジー・プラットフォームを構築し、多様なデータを集約し、顧客の当初の物件の検索を始めとして、顧客と不動産業者の双方を取引のあらゆる段階で支援する。保有するユニークなデータとテクノロジーによるディスラプトにより大きく成長し、Compassは数兆ドルにも上る不動産業においてユニークな地位を築いていくはずだ」と声明で述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

リアルエステートテック専門のアクセラレーターMetaPropの今年のクラスに集まった8社を紹介

三年目になる今年も、MetaProp NYCにはリアルエステートテックを志向するスタートアップたちが集まった。今年の主な話題は、グリーンビルディングや、アパートのエントリー(入り口〜玄関)と駐車場などだった。多くがニューヨークのスタートアップだが、中には遠くシンガポールからの企業もいた。

MetaProp NYCの協同ファウンダーでマネージングディレクターのAaron Blackが、声明文の中でこう述べている: “われわれのようなRE系アクセラレーターがこのところ増えているのは、不動産産業のヴァリューチェーンの全域にわたって、テクノロジーによるソリューションの需要が全世界的に急速に伸びていることの証(あかし)である”。

同アクセラレーターへの参加者は、オフィススペースとメンターシップ(個人指導)のほかに、25万ドルの資金を受け取る。

MetaPropはメインの事業であるアクセラレーターのほかに、最近は8週間のプレ・アクセラレーター事業を開始した。どちらの事業も、コロンビア大学が協力している。またCushman and Wakefieldとのパートナーシップにより、不動産企業をスタートアップと新しいテクノロジーに結びつける事業も開始している。

以下は、今年のアクセラレータークラスに参加したスタートアップたちだ:

BlocPower(ニューヨーク)は、‘都市内へき地’の建設プロジェクトに投資家を結びつける。都心部における炭素排出量を減らし、グリーンな雇用を作り出す、と期待されている。

Doorport(ニューヨーク)は、来客を室内からチェックできるビデオ・インターコムを、スマートフォンのアプリとして作った。同社はこのアプリを、大きなビルの管理プラットホームに拡張したいと考えている。

Hoozip(ニューヨーク)は、不動産のホールセーラーと投資家たちのためのツールとオンラインコミュニティを提供する。

Irene(ニューヨーク)は、高齢者にホームエクイティーローン(逆モーゲージ)を提供する。

OnSiteIQ(ニューヨーク)は、360度画像による建設工事の検査および文書化システムを建設企業に提供する。

Streamline(サンフランシスコ)は、機械学習を利用して不動産企業とその顧客たちが位置データを理解できるようにする。

Travtus(シンガポール/ロンドン)は、テナントが電話でメンテナンスをリクエストとして、必要なメンテナンス工事/作業の遅れを防止するシステムを提供する。

WeSmartPark(バルセロナ)は、“Airbnbの駐車場バージョン、ただし完全に自動化されている”、だそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

不動産代理店の住宅販売案件をGmailのアシスタントで顧客ごとに管理するAmitreeが$7Mを新たに調達

リアルエステートテックのスタートアップAmitreeは、不動産代理店の仕事を楽にして、さらにその結果として、そのお店を利用する住宅購入者の人生をもっと楽にすることをねらっている。同社は、そのためのプロダクトFolioのためにこのほど、700万ドルを調達した。

Amitreeはここまで来るために、長くて奇妙な旅路を経験した。同社が最初に(2013年)ローンチしたのは、住宅購入者の権原移転手続きを一歩々々ガイドする消費者向けのツールだった。そのClosing Timeと名付けたプロダクトは、消費者が家の購入の完了までにやるべきすべてのことを順番に羅列した、トゥドゥリスト(to-do list)のようなものだった。

でも、誰もが知ってるように、人が家を買うサイクルは短くても10年に一度ぐらいだ。だからそのプロダクトは、消費者ビジネスに不可欠なリピーターを獲得できない。そこでAmitreeは振り出しに戻り、不動産代理店をターゲットとするFolioという新しいプロダクトを作った。

AmitreeのCEO Jonathan Aizenは曰く、“消費者が良質な住宅購入経験を得るために何よりも重要なのは、不動産代理店が有能であることだ”。しかし少なくともこれまでは、不動産市場におけるイノベーションといえばもっぱら、代理店とバイヤーの関係をディスラプトすることだった。それに対してAmitreeがねらうのは、不動産代理店の仕事を楽にするツールを作ることだ。

住宅購入者の場合と同じく不動産代理店にも、お客を商談の完結に向けて一歩々々導いていくためのトゥドゥリストがある。ただし住宅購入者と違って代理店は多くの場合、複数の商談を抱えている。顧客ごとの条件や商談の進捗状況などがさまざまに異なる購入案件を、ひとつひとつ正しく進めることは、ものすごく難しい仕事である。

そこでAmitreeのFolioが役に立つ。FolioはGoogle Chromeのエクステンションで、不動産代理店のメールアカウントに接続してスマートアシスタントになり、大量のメールを処理して、彼らが管理しているひとつひとつの商談が今どうなってるかを理解する手助けをする。

このツールは商談ごとにフォルダを作って、代理店のワークフロー管理を助ける。ひとつのフォルダーの中に、そのお客さんとのメールのやり取り、文書のファイル、関係先のコンタクト情報などをすべて入れておく。これにより、お客さんごとに毎回いちいち関連文書を探す手間がなくなる。また、商談の次の段階へ行くためにはどんなリマインダーをメールすべきかも、すぐに分かる。

約1年前に立ち上げたFolioは、不動産業界に根付きつつある。このChromeエクステンションは3万回あまりダウンロードされ、これまでに20万件あまりの商談を管理した。Amitreeの推計では、これはアメリカの不動産商談の総件数の約5%に相当する。

この成長ペースを維持したい同社は、Vertical Venture Partnersがリードするラウンドで710万ドルを調達した。これにはAccel PartnersやSeven Peaks Venturesなど既存の投資家も参加し、同社の総調達額は1300万ドルになった。

Aizenによると、今回得た資金の主な用途は、エンジニアリングとデータサイエンス方面の人材獲得だ。最初の三年半は7名の社員でやってきた同社も、おかげで今ではその倍になっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Ideal Flatmate、デートサイトのようなフラットメイト検索サービス

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一緒に住む家族や友だちがいないため、嫌々ながら新しいフラットメイトを探さなければ行けないロンドン在住者には、Ideal Flatmateのサービスがぴったりだ。

同社は、デーティングサービスのようにユーザーの趣向をもとに、ひとりひとりに合ったフラットメイト探しをサポートするサービスを提供している。ユーザーはまず、候補者を絞るために予め用意された文章にどのくらい同意するか(強く同意する〜強く反対する)を答えるようになっている。

既にアメリカでは、大学生に特化したroomsurfのように、似たようなサービスがいくつか存在するが、イギリスでこのようなサービスを提供するのは、Ideal Flatmateが初めてだと同社は話す。さらにIdeal Flatmateは学生以外もターゲットにしているが、今のところロンドン在住者だけが対象になっており、今年中にはイギリス全土にサービス網を広げようとしている。

昨年10月にソフトローンチされ、最近正式ローンチされたIdeal Flatmateには、現在3000人のユーザーと1000軒の物件が登録されており、これまでに3万人もの人が同社のサイトを訪れている。

現在までの運営資金は、ファウンダーと数名の個人投資家によって賄われており、「今年中には初めての投資ラウンドを開催しようと思っています」と共同ファウンダーのTom Gatzenは話す。

「2025年までには20〜39歳の人口の半分以上が、民間の物件を借りると予測されているので、市場規模はかなり大きくなるでしょう」と彼は付け加える。

確かに過去10年の間に、イギリスでは家を購入する人よりも借りる人のほうが増えており、この社会経済的な変化は「賃貸時代」と呼ばれることもある。この背景には、住居の需要が供給を上回っていることによる家賃の急激な上昇を含め、さまざまな要因がある。

今のところユーザー層に関して何かトレンドが見られるかという質問に対し、Gatzenは「サイトを利用しているユーザーや、物件をアップロードしている大家の層は多岐にわたっています」と答えた。「1番多いのは20〜35歳の層ですが、40才以上のユーザーもかなり多く、社会的な変化の結果、中年層でもシェア物件に住む人が増えているというのがわかります」

マッチメイキングのためにユーザーが最初に答える質問の中には、人との交際の仕方や掃除に対する考えなど、家の中の平和を維持するのに欠かせないものが含まれている。その一方で、外交的か内向的かを答えさせるような、ユーザーの人間性を確認するものもある。なおIdeal Flatmateは、ケンブリッジ大学の心理学者2名との協力を通じてこの質問集を作成した。

「私たちはフラットシェアをしている人たち500人を対象に、自分にあったフラットメイトを探す上で重要だと思われる100個の質問を投げかけました。その後、ケンブリッジ大学の教授と要因分析を行って回答を解析した結果、100個あった質問のうち20個が特に重要だということが分かりました」

まだ彼らのアプローチが正しいと断定できるほど、その有効性を証明するデータはないが、Ideal Flatmateは、「似たような人」とマッチしていると「感じる」という好意的なフィードバックをユーザーから受け取っているとGatzenは話す。

「今後の成長に向けて、マッチメイキングの機能を改良していき、ユーザーが自分に合ったフラットメイトを確実にみつけられるようにすることが重要だと考えています」と彼は言う。

まだ設立間もない同社だが、最近有料オプションをローンチし収益化にも取り組んでいる。その一方で、物件探しというのはとても短い期間しか発生しないイベントだ。何年にもわたってデートを繰り返す人はいるかもしれないが、ほとんどの人は長くとも1、2ヶ月以内には「家なき子」状態を脱したいと考えるものだ。

さらにロンドンで物件をシェアする場合、1年単位の契約を結ぶことがほとんどなため、収益機会にかなりの穴が空いてしまう。「賃貸時代」にあるとは言え、どう考えてもデーティングサービスのような市場規模は狙えないだろう。

そのため、Ideal Flatmateの閲覧自体は無料だが、ユーザーはフラットメイト候補と連絡をとるには有料会員登録しなければならない。1週間のアクセス権は4.99ポンドから準備されており、有料会員には条件(場所、予算、趣向)に応じて「ユーザーに合ったフラットメイトと物件候補」の情報が送られてくる。

さらに有料会員はサイト上のメッセージ機能も利用できるので、マッチしたユーザーやグループは、チャットを通じて交流を重ね、実際に顔を合わせてフラットシェアの相談をすることもできる。

新たな収益源となる仕組みも近々ローンチ予定で、今年の春から大家や不動産会社は、サイト上への物件情報掲載に対して料金を支払うようになるとGatzenは話す。

フラットメイトや物件を探している側、物件を提供している側の両方に課金するという同社の動きは、Ideal Flatmateのサービスを意味あるものにするために必要なユーザーに対して、同社のサービスにはお金を払う価値があると考えさせようとしているように見える。長期的にビジネスを継続させるには、ユーザー数を増やし十分な収益を獲得する必要があるが、このIdeal Flatmateの戦略は、ユーザー数の増加に歯止めをかける危険性をはらんでいる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

不動産データのHouseCanaryがGoogle元CEOのエリック・シュミットなどから3300万ドルを調達

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HouseCanaryによれば、米国の住宅市場は30兆ドルもの規模をもつが、個々の住宅がもつ価値を表したデータはいまだ不正確なものだという。不動産スタートアップのHouseCanaryは自分たちであればより良いデータ分析ができると信じており、今回の資金調達ラウンドにも参加したEric SchmidtとKobe Bryantなどの投資家から信頼を獲得している。

「(住宅市場に関するデータの洗練さ)は、株式市場のそれと比べて25年ほど遅れています」とHouseCanary CEOとJeremy Sicklickは話す。HouseCanaryが目指すのは「米国市場で最も正確に住宅のバリュエーションをする」ことだ。

HouseCanaryは機械学習と包括的なアルゴリズムを駆使し、1億軒もの住宅価値の評価と予測をするデータビジネスを構築した。彼らのメトリックスには地域にある学校の数、就労のしやすさ、犯罪率などが含まれている。

HouseCanaryのターゲットは不動産投資家やクライアントのために住宅の価値を評価する人々だ。

Eric Schmidtのファミリーオフィスで不動産投資を担当するLauren Pressmanは、「不動産に関するデータが発行されるのは年に4回か1回の場合がほとんどです。そのため、不動産投資家は古くなったデータや不正確なデータを基に意思決定するしかありませんでした」と語る。「HouseCanaryが住宅価値の評価プロセスからヒューマンエラーやバイアスを除くことで、先の不動産市場の急落で私たちが経験したことを避けられるのではないかと期待しています」。

Europlay Capital Advisors CEOでHouseCanaryへの出資者でもあるMark Dyneは、「(HouseCanaryは)古びた不動産業界をディスラプトできる大きな可能性を秘めた企業です。データは貯めるだけでは十分ではありません ― それをごしごしと擦り、キレイにし、マッチさせ、洗練されたアルゴリズムに通してやる必要があります」。

サンフランシスコを拠点とするHouseCanaryの創業は2014年で、これまでにシードラウンドでBasepoint VenturesやBryant Stibel Investmentsから資金を調達している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

不動産取引プラットフォームのOpenDoorがシリーズDで2億1000万ドルを調達:リスキーなビジネスモデルという評価を跳ねのける

Home and money on hand

本日(現地時間11月30日)午後、Norwest Venture PartnersはOpenDoorにシリーズDで2億1000万ドルの巨額出資を完了したことを発表した。OpenDoorは今回調達した資金を利用して、同社が展開する不動産取引プラットフォームを10都市に拡大することを目指す。

OpenDoorの特徴は、自社で不動産の在庫を抱えているという点だ。不動産の再売却価格を予測するために同社が導入している予測分析のアルゴリズムは複雑である一方で、実際の不動産取引フローはかなり効率化されている。

ユーザーがOpenDoorで不動産を売却したいと考えている場合、そのユーザーは同社から不動産の売却価格を提示される。その売却価格に納得がいけば、ユーザーはOpenDoorに不動産を売却する。その後同社は不動産を修繕し、利益を得るために他のユーザーに売却するという仕組みだ。

OpenDoorは買い手を惹きつけるために、セルフサービスの不動産見学を随時開催している。スマートロックとセキュリティカメラによって実現されたサービスだ。OpenDoorで不動産を購入する際には、180項目もの住宅の品質審査とワランティ、そして30日間のキャッシュバック保証がついてくる。

昨年の今頃、同社はシリーズCで8000万ドルを調達している。すべてのラウンドを合わせると、同社の合計調達金額は3億2000万ドルになる。OpenDoorのバリュエーションがユニコーンとして認められる10億ドルにすでに達している可能性は高い。

本ラウンドにはNorwest Venture Partnersの他にも、NEAKhosla VenturesGGV CapitalAccess IndustriesFifthWallLakestarSVB CapitalCaffeinated CapitalFelicis Venturesが参加している。OpenDoorで経営執行役会長を務めるKeith Raboisは、Khosla Venturesのパートナーも務めており、同VCが本ラウンドにも参加していることは注目すべき点だといえる。CrunchBaseによれば、Khosla VenturesがOpenDoorに資本参加したのは2014年のシリーズAからだ。今回のラウンドまではKhoslaが同社の筆頭株主だったが、今日のラウンド後の出資比率はまだ分からない。

Norwest Venture Partnersは今回の出資にあわせて、OpenDoorが「数百万ドル」の負債を抱えていることを公表している。この負債は同社が不動産の購入に利用した資金だ。通常、フィンテック企業やマーケットプレイスが資金を借り入れる際には、その前に彼らのビジネスモデルがもつ可能性を証明することが求められる。

このビジネスモデルの話がうますぎると感じている者は少なくない。多くのメディアでは、景気の下降局面で同社のビジネスモデルが抱えるであろう問題について触れている。遠慮なしに言えば、景気下降局面で売れ残った住宅を多く抱える企業の株価はこうなってしまう。

それに対してOpenDoorは、同社の「摩擦のない」マーケットプレイスによって全体のリスクを減らすことができると主張している。また、経済的なメルトダウンが発生した場合には、住宅の売り手はどんな値段でも良いのでOpenDoorに売却したいと考えるため、どんな状況でもOpenDoorは利益を得ることができるとも話している—ほとんど不可能とも言える将来予測が可能だと仮定すればだが。

同社は現在200名の従業員を抱えており、OpenDoorのサービスはダラス/フォートワース地区とフェニックスで利用可能だ。これらの地域におけるOpenDoor上での不動産取引のボリュームは約6000万ドルとなっている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

新たなスタートアップDoorkeysがインドの不動産市場を電子化

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ようやくテクノロジーが欧米の不動産ビジネスを変えようとしているが、新興市場の方が住宅の購入や賃貸に関し深刻な問題を抱えている。世界各地で不動産に関する情報が不足している中、利用できる情報もでたらめにまとめられている上、さまざまな関係者が自分の利益を追求しながらこの業界に深く関わっているため、そのうち誰かを飛び越えてビジネスを行うこともできないでいる。

インドで誕生した新たなスタートアップのDoorkeysは、業界の透明性や効率性を高めるため、住宅売買のプロセスをオンライン化しようとしている。

Rising Straits Capitalの会長を務め、不動産業界での豊富な経験を持つSubhash Bediと、サービスマーケットプレイスMydala.comの共同ファウンダーであり実業家のArjun Basuによって設立されたDoorkeysは、200万ドルの資本金とともに9月1日にローンチした。

不動産取引のオンライン化

同社のプラットフォームは、基本的には売り手と買い手を結びつけるマーケットプレイスとして機能している。仲介業者を全て排除するNoBrokerのような競合サービスとは違い、Doorkeysは仲介業者の存在を認めている。同サービスは、言うならば既存のシステムや関係者に変更を加えず、全体をそっくりそのままデジタル化しようとしているのだ。

「アメリカでさえ仲介業者を取り除くことができていないのに、インドのような透明性が極めて低い市場でそれが実現すると思いますか?」とBediはTechCrunchとのインタビューで話していた。「仲介業者を考慮しないコンセプトは現実離れしているように感じます。私たちは、Doorkeysを仲介業者用のオンラインCRMシステムのようにとらえようとしているんです」

ユーザーはDoorkeys上で、地域や価格といった条件をもとに候補となる物件を探すことができます。さらに全ての売り手(=仲介業者)はレート付けされているため、内覧やその後の契約をアレンジする業者を選ぶ際に、買い手は高いレーティングの業者を探しだしたり、彼らの過去のパフォーマンスに基づくコメントを確認することができるのだ。つまり、Doorkeysは仲介業者が買い手の利益を1番に考えるという、現在のインドの仲介業者にはあまり意識されていない考え方に対するインセンティブを生み出そうとしているのだ。

「インドには50万以上の不動産仲介業者が存在します。不動産市場はとても細かく分散しているものの、私たちは仲介業者にツールを提供しつつ、街や近隣地域に関する彼らの知識を利用することで、この規制の行き届いていない分野のフレームワークを構築しようとしているのです」とBasuは付け加え、さまざまなオフラインのプロセスにも仲介業者の力が必要であると説明した。

Doorkeysは、売り手・買い手のどちらからも利用料を受け取っておらず、その代わりに契約時のコミッション(詳細非公表)を通じて収益をあげている。既に同社は、向こう2年間のうちに年間純利益7000万ドルを達成するという野心的な目標を掲げている。

「私たちは、既にいくつかの国内最大級の仲介業者ネットワークに入り込んでおり、Doorkeysの付加価値についても彼らに理解してもらっています。仲介業者は物件の引き合いに関する情報(旧来の広告業界で言えば虚偽の引き合い情報)に対して、そこまでの大金は支払っていません」とBasuは語る。

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ローカル市場へのフォーカス

Bediは、以前不動産テクノロジー企業に対する投資環境の偵察のためにインドを訪れたが、その結果にがっかりしたところで、BasuとDoorkeysのアイディアについて話しはじめたと説明する。

BediとBasuによれば、当分の間Doorkeysはニューデリー市場に注力し、急速な拡大路線をとることはない。

「最初にニューデリーというローカル市場でサービスを開始するのはとても重要なことです」とBasuは説明する。「私たちはまず、ローカルレベルでユニットエコノミクスを成立させなければいけません」

インドの上位8都市前後が国全体の不動産取引の約80%を占めていることから、今後の目標は、インドの全ての地域を攻めるのではなく、大きなボリュームを占める中核都市に進出することだと彼は語った。

彼らのモデルが正しいことを証明するための上記のような計画を踏まえ、Doorkeysはコスト面も”締めて”いきたいと考えている。現在同社は40人の社員を抱えており、今年の終わりまでにはその数を倍に増やす計画だ。

「創設メンバーは今後もこのサービスに資金を投入していくほか、さらに今後数ヶ月間のうちに、不動産業界に大きな影響力を持つ企業や投資家からのシードマネーの受け入れも予定しています。そして、最終的に私たちは”A級”投資家の獲得を狙っています。そうは言っても、Doorkeysは多くのアセットを必要としないモデルのため、重要なのは現金燃焼率を抑え、サービスの普及を待つということです」とBediは語る。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

月額980円のホームセキュリティ、Secualが総額1億5000万円を調達

Secual(セキュアル)は本日、ベクトルインベスターズクラウドから総額1億5000万円を調達し、各社と資本業務提携を締結したことを発表した。Secualは工事なしで設置可能な住宅のセキュリティー用IoT端末を製作している。先週5月26日には正式出荷を始めた。今回の資本業務提携でSecualはプロダクトのマーケティングに力を入れるとともに、Secualのセキュリティーサービスを賃貸住宅や民泊サービスに導入を進めたい考えだ。今回、Secualの代表取締役社長を務める青柳和洋氏にサービスの仕組みと今後の展望について聞いた。

Secualのセンサーとゲートウェイ

Secualは「センサー」と「ゲートウェイ」の2つのハードウェアを開発し、それらとスマホアプリを連携したセキュリティーサービスを提供している。センサーとゲートウェイは工事なしで手軽に設置することが可能だ。薄い四角い形のセンサーは侵入を検知したい窓やドアにシールで貼り付け、ゲートウェイはコンセントに差し込むだけで良い。あとはゲートウェイの電源ボタンを押すと自動でペアリングが完了する。センサーの大きさは手のひらに収まるくらいの小ささで思っていた以上に薄い印象だった。

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Secualのアプリ

セキュリティーサービスの初期設定はSecualのアプリから行う。アプリでセキュリティーのオンオフ、センサーが反応する振動の閾値などを設定することができる。セキュリティーをオンにしている時、侵入犯が窓やドアを開けたり、衝撃を与えたりするとセンサーが検知し、ゲートウェイから大音量のアラーム音が鳴る。それと同時に連携しているアプリにも通知が届く仕組みだ。アラームが発動した時に通知するユーザーなどをアプリで設定することができる。

「誰でも利用できるセキュリティーサービスにすることにこだわりました」と青柳氏は話す。通常の自宅のセキュリティーサービスは高額で、専用の機器を取り付けなければならないことも多く、一部の人しか導入できなかったと青柳氏は説明する。Secualの場合、センサーは1個3780円、ゲートウェイは5940円なので、設置するセンサーの数にもよるが初期費用は3万円程度から始められる。月額利用料も980円で一般のセキュリティーサービスの5分の1ほどだという。また端末は工事なしに設置できるので引っ越す時でも簡単に取り外して、引っ越し先でまたすぐに利用することができる。退去時に原状回復の必要がある賃貸物件でも利用可能だ。これにより、従来のセキュリティーサービスを利用しづらかった一人暮らしや若い夫婦の世帯でも導入できるようになると青柳氏は説明する。

Secualの代表取締役社長を務める青柳和洋氏

青柳氏はITコンサルティング会社、大手コンサルティングファームを経てコンサルティングサービスを提供するイグニッション・ポイントを設立した経歴を持つ。Secualはイグニッション・ポイントからスピンオフした会社だ。イグニッション・ポイントでは、最新テクノロジーをどのように経営に役立てるかということに取り組んでいて、自社でもテクノロジーを活用した事業を開発していたという。Secualはそこから誕生したプロダクトと青柳氏は話す。

2015年6月に設立したSecualは同月、ウィルグループインキュベートファンドからシード資金を調達している。2015年8月には、クラウドファンディング・プラットフォームのMakuakeで目標額100万円のクラウドファンディングキャンペーンを行い、開始22時間後には目標額を達成し、最終的に600万円以上を集めることに成功した。2015年12月にはアドベンチャー、AMBITION、その他法人及び個人投資家らから総額6000万円の資金調達を達成している。

今回、資本業務提携を発表したインベスターズクラウドとは、彼らが提携する賃貸物件や民泊サービスとの連携を進める計画だという。インベスターズクラウドはアパート経営プラットフォーム「TATERU」や住宅に設置されているエアコン、照明、インターフォンといったIoT機器をアプリから管理する「TATERU Kit」など不動産分野でサービスを展開している。そういった彼らの事業と連携し、低価格のセキュリティーサービスを普及させたい考えだ。

Secualは今回調達した資金で開発体制の強化にも力を入れる計画だという。高齢世帯向けの見守りや他の事業者と提携して、緊急時には人が駆けつけることができるサービスなどを検討しているという。また、例えばテレビの大雨洪水警報といった情報は全国に一律の情報が放送されるが、Secualは、ゲートウェイからその地域に関係する情報だけを届けるサービスなども考えていると話す。