Joby Aviationの墜落事故、米国運輸安全委員会が調査中

米国運輸安全委員会(NTSB)が、米国時間2月16日水曜日にカリフォルニア州ジョロンで発生したJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)の実験機の墜落事故を調査している。

規制当局に提出された書類によると、この事故に関わっているのは、カリフォルニア州にあるJobyのテスト基地で行われた飛行テストで遠隔操縦されていた実験機だという。航空機の初期テスト段階では、米連邦航空局(FAA)が安全上の理由から航空機の無人化を要求することが多い。

同社の報告によれば、墜落による負傷者はなく、テストは無人の地域で行われたとのことだ。

「実験飛行プログラムは、航空機の性能の限界を見極めるための意図の下にデザインされたものであり、残念ながら事故が発生する可能性はある」と提出書類には記載されている。「我々は、関係当局による事故の徹底調査を支援する」。

NTSBは、航空事故から特定の種類の高速道路事故、船舶事故、橋梁事故に至るまで、最も深刻な事故を調査しあらゆる詳細を報告している。今回の墜落事故ではJobyの機体に「かなりの損傷」があったことを、NTSBのスポークスマンPeter Knudson(ピーター・ヌッドソン)氏がブルームバーグに語っている

Jobyの株価は時間外取引で9%下落している。

画像クレジット:Joby Aviation

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

サイクリストの安全性のために自動運転車が守るべき基準を同技術のArgoが発表

自動運転車技術を提供するArgo AI(アルゴAI)が、権利擁護団体のLeague of American Cyclists(LAB)と共同で、自動運転車がどのようにサイクリストを識別し対応すべきかについて示すガイドラインを作成した。自動運転業界がテスト段階から商業化へと移行し、今後数年でより一般的になろうとしている今、他のAV企業が模範とできるような基準を設定しようというのが目的である。

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世界保健機関(WHO)の推計によると、毎年4万1000人のサイクリストが道路交通関連の事故で死亡している。自動運転車により大幅に減ると期待されている衝突事故だが、優れたコーディングがなければそれが叶うことはない。自動運転車は、発生し得る物体や状況を分類および特定する膨大なデータベースから学習する仕組みだが、Argoのガイドラインでは自転車、自転車用インフラ、自転車法に特に留意してモデルをトレーニングすることを重視している。

Argo AIの社長兼共同創業者であるPeter Rander(ピーター・ランダー)氏は声明の中で次のように話している。「コミュニティメンバーとの信頼関係を構築し、一貫した安全な行動によってサイクリストに安心感を与えられる自動運転システムを開発するための、当社の献身的な取り組みの一環としてこのガイドラインを作成しました。他の自動運転車開発者にもこのガイドラインを採用してもらい、リスクの高い道路利用者とのさらなる信頼関係を築いていきたいと考えています」。

現在、米国およびドイツの一部で自動運転テスト車両を運行しているArgoは、LABのコミュニティと連携して一般的なサイクリストの行動や車との関わり合い方ついての聞き取りを実施。ArgoとLABは、自動運転システムがサイクリストを検知し、サイクリストの行動を予測し、安定した運転を行うための6つの技術ガイドラインを策定した。

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サイクリストは明確な対象クラスであるべき

サイクリストを個別のジャンルとして扱い、分類すれば、自動運転システムが学習すべき多様な自転車画像が収集できる。システムはさまざまな位置、方向、視点、速度の自転車画像を使って学習する必要がある。またこれにより自転車やライダーの形や大きさの違いも把握できるようになるとArgoは伝えている。

「スクーターや歩行者とは異なり、自転車の動きには自転車ならではの特徴があるため、自動運転システム(SDS)が自転車を正確に検出し、知覚システム内のコアオブジェクトとして自転車を指定する必要があります」と同社はいう。

サイクリストの典型的な動きを読む

自転車は予測不可能な動きをするものである。車線を超えたり、自転車をひいて歩いたり、道路上の障害物を避けるためにちょこちょこ動き回ったり、一時停止の標識で止まったり、歩道から道路に飛び出したりと、その動きはさまざまだ。優れた自動運転システムは、彼らの意図を予測するだけでなく、それに応じた対応を準備しておく必要があるのである。

「SDSには、サイクリストのあらゆる動きを把握した、サイクリストに特化した行動予測モデルを活用する必要があります。自動運転車がサイクリストに遭遇した場合、サイクリストが進路に選択するであろう複数の軌道を生成し、SDSがサイクリストの行動をより適切に予測して対応できるようにするのです」。

自転車インフラと地域の法律を地図上に表示

自動運転システムでは、周囲の環境を把握するために高精細な3Dマップを利用することが多い。Argoはその環境の一部として、自転車インフラや自転車に関する地域や州の法律が表示されるべきだと考えている。これにより、自転車レーンを塞いでいる停車中の車を避けるために車線に入ってきたり、赤信号を無視したりする自転車の動きを自動運転システムが予測し、自転車レーンから安全な距離を保つことができるというわけだ。

サイクリストから見たシステムの動きは一貫性があり理解しやすく、安全性が高くなければならない

サイクリストがAVの意図を明確に理解できるように、自動運転技術はごく自然な動きをするべきである。追い越しや合流、曲がる準備をする場合に、片側の車線を走行しながら車両の位置を調整したり、方向指示器を使用したりするというのがその例である。

また自転車の近くを走行する場合は「現地の制限速度に応じた保守的で適切な速度を守り、現地の法律と同等以上の幅を保ち、その幅と速度を維持できる場合にのみ自転車を追い越すべき」とArgoは伝えている。

また、自動運転システムは自転車が転倒した場合に備え、車を止めたりそらしたりできるよう自転車と一定距離を保つべきである。

不確実な状況に備え、積極的に減速する

自動運転システムは自転車の意図、方向、速度の不確実性をよく理解する必要があるとArgoは考えている。例えば、車両と反対方向に走行している自転車が同じ車線を走っている場合なら、車両が減速するように訓練すべきだと同社は提案している。

実際、自動運転システムは、不確実な状況のほとんどのケースで車両の速度を下げ、可能であれば車両とサイクリストの間に距離を置くべきだ。特に自転車を対象としていない場合でも、不確実な場合に速度を落とすというのはAV開発の世界ではすでにかなり標準的なことになっている。

サイクリングシナリオのテストを継続

自動運転の安全性を向上させるには、テストを継続的に続けるというのが一番の近道だ。自動運転技術の開発者は、自転車に特化したバーチャルテストとフィジカルテストの両方を継続すべきだとArgoとLABは提案している。

「バーチャルテストプログラムは、シミュレーション、リシミュレーション、プレイフォワードという3つの主要なテスト手法で構成され、自律走行車とサイクリストの関わり合い方を常に徹底的にテストする必要があります。これらのシナリオは、車両とサイクリストの行動の変化に加え、社会的背景、道路構造、視界の変化なども考慮する必要があります」。

通常、クローズドコースや公道で行われるフィジカルテストとは、開発者がシミュレーションを検証し、システムがバーチャルと同じように現実世界で動作することを確認するためのものである。Argoは、開発者がAVをテストする際には可能性の高いシナリオだけでなく「エッジケース」と呼ばれる稀な状況も想定すべきだと考えている。多くの都市の複数の公道でテストを行い、多様な都市環境からシステムを学習させることで、レアケースとコモンケースの両方を生成することができるのである。

安全性を極め、世間に受け入れられるために

より多くのAVが道路を走る日を迎えるためには、社会から受け入れられるという大きなハードルを越える必要があるが、現時点で自動運転車両の安全性に納得している人はさほど多くない。実際、市場調査会社Morning Consult(モーニング・コンサルト)の調査によると、約半数の人がAVの安全性は人間が運転する車に比べてやや劣る、あるいはかなり劣ると答えている。

自動車をすべての道路利用者にとって安全なものにするというのは、単なる前半戦に過ぎない。Argo AIのような企業は、人々が自分たちの車を安全だと信じてくれるように説得しなければならないのである。そのためには、業界全体で安全対策を標準化することが1つの方法なのかもしれない。

画像クレジット: Jared Wickerham/For Argo AI

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

コンピュータービジョンを利用するStreetlogicの電動自転車用衝突警告システム

Streetlogic(ストリートロジック)は、電動アシスト付きスポーツ自転車のライダーがより安全に道路を走行できるようにしたいと考えている。同社は、210万ドル(約2億3800万円)のプレシード資金を調達するとともに、主力製品であるサラウンドビューカメラの発売を発表した。このサラウンドビューカメラは、前方、側方、後方からの衝突を予測してライダーに知らせ、事故を未然に防ぐというものだ。

米国、カナダ、欧州では、2021年11月23日より、Streetlogicの電動自転車用先進運転支援システム(ADAS)の先行予約を30ドル(約3400円)の頭金で開始した。Streetlogicの創業者でありCEOでもあるJonathan Denby(ジョナサン・デンビー)氏によると、最終的な小売価格は300ドル(約3万4000円)から400ドル(約4万5000円)程度になる予定で、同システムの最初の量産ロットは2022年末までに納品される予定だ。Streetlogicの拠点であるサンフランシスコの購入者は、2022年初頭から招待制の限定的なベータ展開プログラムを通じて、いち早く同システムを試すことができる。

マイクロモビリティのADASシステムを考案したのは、Streetlogicが最初というわけではない。2020年、イスラエルのスタートアップであるRide Vision(ライドビジョン)は、同様のAIベースのシステムを発表した。このシステムは、ライダーの周囲の交通状況をリアルタイムに分析し、前方衝突警告、ブラインドスポットモニタリング、後方からの近接車両の警告などを提供する。Streetlogicと同様に、ライドビジョンのシステムは、走行を記録するだけでなく、安全に関わる事故の記録を保存して後から見直すことができるドライブレコーダーとしても機能する。

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最近では、Luna(ルナ)やDrover AI(ドローバーAI)などのコンピュータービジョン企業が、同様のテクノロジーをVoi(ヴォイ)やSpin(スピン)などのシェアマイクロモビリティ事業者が運用するeスクーター向けに開発している。このテクノロジーは似通っているが、ターゲットとする市場が異なる。

デンビー氏はTechCrunchに対し「違いは、当社がビジョンシステムをカスタマイズして、電動自転車のライダーにスマートな安全機能を提供しているのに対し、LunaやDrover AIはビジョンシステムを使って、eスクーターのライダーが街中をより快適に走行できるようにしていることだ」と説明する。また「それらの機能は、歩道の検知や駐輪システムのルールを守ってもらうためのものであり、eスクーターのライダーが適切にシェアシステムを利用していることを示すために必要なものだ。一方、当社のADASシステムの機能は、ライダー自身の安全を重視している。例えば、交通量の多い道路を走っているときに、自分と衝突する恐れのある車を検知した場合には、早期の警告によりライダーは安全を確保できる」と述べる。

もう1つの大きな違いは、ライダーが歩道を走るなど不適切な走行をしていると、LunaやDrover AIのシステムはスクーターのOSに接続し、減速して停止させることができることだ。Streetlogicの製品は、厳密には衝突警告システムだが、特に都市部では非常に有用なツールとなる。

「安全の面では、常に周りを見ているわけではありません。無理ですよね。また、通勤途中は、自分のめい想時間のようなもので、よく考え事をしてしまいます。少なくとも私の場合、安全については考えていません。仕事に行くことや、その日にすべきことに思いを巡らしています」と、Streetlogicの初期のベータテスターの1人で、毎日電動自転車で通勤しているTaylor(テイラー)氏は、同社のウェブサイトに掲載されている体験動画の中で述べている。

米国における回避可能だった自転車の死亡者数は、2010年の793人から2019年には1089人と6%増加しており、そのうち843人は自動車との事故で亡くなっている。電動自転車の販売が伸びても、自転車に関わる死亡事故の78%が発生する都市部では、自動車は依然としてマイクロモビリティの導入を妨げる脅威だ。自動車から電動自転車への乗り換えを検討している消費者は、ADASシステムのような安全機能が備わっているかどうかを確認するとよいだろう。

デンビー氏はTechCrunchに対し「道路や都市部に自動車よりも多くの電動自転車が走っているようなすばらしい世界、ユートピアのようなビジョンを持っている」と述べる。そして「ある程度の自動車は必要だが、大部分は自転車に置き換えることができるはずだ。電動自転車を日常生活における主要な移動手段として、より頼りになるツールにすることが、ユートピアを実現するための鍵になると考えている」と続ける。

Streetlogicのシステムは、自転車の前部と後部の両方に実装されており、すべてデバイス上で処理されるコンピュータービジョンに基づいている。ライダーを取り巻く車両の動きを追跡し、ライダーが車両と衝突する可能性がある場合には早期に警告を発する。これらの処理や警告は、完全にローカルなデバイス上のシステムで行われるため、クラウドへ接続する必要はない。また、サービスが提供されていない地域にいても機能する。

ライダー目線で見たStreetlogicのコンピュータービジョン製品。自動車との衝突を警告している(画像クレジット:Streetlogic)

ライダーはまず、デバイスが発する音声による警告を聞くことになる。これは、例えばライダーの後ろにクルマが急接近してきた場合に「Car Back(後方にクルマ)」といった内容のものだ。ライダーのスマートフォンには、障害物となる可能性のある方向がひと目でわかるシンプルな視覚的警告が表示される。ただし、この機能は、ライダーがハンドルバーのホルダーにスマートフォンを装着している場合にのみ有効になる。

LunaやDrover AIは、すでに歩行者や車線などの物体を検知するシステムを持っているが、eスクーターのライダーに衝突の可能性を積極的に警告することはない。しかし、両社のテクノロジーを持ってすれば、不可能ということはないだろう。

ドローバーAIのCEOであるAlex Nesic(アレックス・ネシック)氏は、TechCrunchに対し、電動自転車の警告システムは、ハイエンド市場における「次のレベル」の機能としては意味があるものの「当社が現在注力しているシェアマイクロモビリティ用途に必要な低いコストに抑えることは難しい」と述べる。

Streetlogicにとってはまだ始めたばかりだが、デンビー氏によると、アルファテストではこのテクノロジーは「驚くほどうまく機能した」という。また、サイクリストにとって自動車との衝突やニアミスが最も多い問題であるため、今のところシステムは自動車のみを追跡しているとのことだ。

「しかし、コンピュータービジョンの良いところは、後から機能を追加できることだ」と同氏はいい「例えば、他の自転車や歩行者、道路にできた穴やひび割れ、道路に飛び出す動物などを追跡することができるようになるだろう。これらはすべて、そのうち組み入れることができる。自動車の追跡だけでも、大部分の事故を防ぐことができた」と述べる。

Streetlogicでは、これらの検知機能を組み入れるために、さらに多くのデータを収集して機械学習モデルを学習させる必要がある。今回の資金調達の主な目的はそのためだ。同社によると、プレシードラウンドには、LDV Capital(LVDキャピタル)、Track Venture Capital(トラック・ベンチャー・キャピタル)、およびLyft(リフト)の元自律走行担当副社長であるLuc Vincent(リュック・ビンセント)氏などのエンジェル投資家らが参加し、調達した資金はチームの規模拡大のために使用されるという。先週、2名のチームメンバーを新たに雇用し、現在はフルタイムの従業員6名で構成されているが、予約注文に対応することに加え、システムの成熟度向上に向けた生産性確保のために、従業員を拡充したいと考えている。

「ハードウェア面ではApple(アップル)とUber(ウーバー)から、ソフトウェア面ではCruise(クルーズ)から、精鋭が集まっている」と、デンビー氏は語る。

デンビー氏自身もUberの出身で、後にLime(ライム)に買収された同社のスクーター「Jump(ジャンプ)」のコンピュータービジョンシステムのアドバイザーを務めた他、360度アクションカメラ「Rylo(ライロ)」の開発チームを率いていた。

Streetlogicは、早期に軌道に乗せるためにB2C製品として立ち上げたが、将来的には自転車メーカーとの統合を進めていきたいと考えている。

画像クレジット:Streetlogic

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

Waymoの自動運転車がサンフランシスコで歩行者をはねる、当時はマニュアルモードつまり人が運転していた

サンフランシスコで現地時間12月15日夕方に歩行者をはねたWaymo(ウェイモ)の自動運転車「Jaguar I-Pace」はマニュアルモードだった、と同社はRedditに投稿された第1報に回答するかたちで語った。Waymoによると、その時車両はマニュアルモードになっていた。実際に運転していたのは、ハンドルを握っていた人間のセーフティドライバーだったということだ。

この事件を説明したKWilletsによるRedditへの投稿には、サンフランシスコのローワー・ハイト地区に停車しているWaymoのテスト車両の写真が掲載されていた。現場には消防車と数人の救急隊員も写っている。目撃した事故後の様子を記したKWilletsの投稿には、こう書かれている。

2021年はこれ以上悪くならないと思っていた矢先、ドーンという音が聞こえた。何事かとベッドから飛び起きた。

近隣の誰かが向こう側のライドシェアの車両から降りてきて、1人が道を横切って渡り、もう1人は車両の後ろで明らかに写真を撮っていた。サンフランシスコ市警察のパトロールが立ち止まって、道を渡るときには気をつけなさいとか何とかを言っていたところに、近くの車線をWaymoが通り、渡り終えた人をはねた。彼は車に戻る途中だったのだと思う。被害者は意識があり、その後立っていたが、より正確な診断のためにサンフランシスコ総合病院に行ったという。無事であることを祈る。

Waymoなんてものはないと言われても、僕とおじいちゃんはあると思っている。

その後、この事件はTwitterで取り上げられ、さらに注目を浴びた。WholeMars Catalogの名でツイートしている有名なTesla(テスラ)ファンのOmar Qazi(オマール・カジ)氏とのやり取りの中で、Waymoの広報担当者が回答し、車両がマニュアルモードになっていたと述べた。

TechCrunchがWaymoに連絡を取ったところ、同社は以下の声明を出した。

米国時間12月15日の夕方、サンフランシスコのハイト通りのウェブスターとブキャナンの間のブロックで、当社の車両が衝突を起こしました。車両がマニュアルモードで走っていたときに、道路にいた歩行者と接触しました。歩行者は現場で怪我の手当てを受け、救急車で病院に搬送されました。当社の車両が走行する地域社会の信頼と安全は我々にとって最も重要であり、地元当局と連携してこの事件の調査を続けていきます。

Waymoは、カリフォルニア州、特にマウンテンビューとサンフランシスコ周辺において、何年も前から自動運転車のテストを行っている。Waymoはサンフランシスコでのテストを活発化させており、その結果、自動運転車全般、そしてより具体的には同社自身に注目が集まるようになった。例えば同社の自動運転車が次々と同じ行き止まりの道に入り、Uターンを余儀なくされたことから、Waymoは地元のニュースに取り上げられるようになった。

Waymoは自動運転車の規模について正確な数字を提供していないが、TechCrunchに対し「サンフランシスコに数百台の車両を保有している」と語った。同社のサンフランシスコでの活動は2021年、特に8月にTrusted Testerプログラムを開始し、研究プログラムを従業員だけでなく、一部の一般人にも開放して以来、活発になっている。このプログラムでサンフランシスコの人々は、同社の全電動の「Jaguar I-PACE」の自動運転車に乗ることができる。依然として、セーフティドライバーが運転席に座っている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラが完全自動運転のテスターに事故時の映像収集の許可を求める

Tesla(テスラ)の最新のFSD(Full Self-Driving、完全自動運転)では、事故や「重大な安全上のリスク」が発生した場合に、車外と車内のカメラで撮影された映像を同社が収集することへの同意をドライバーに求めている。Electrekの報道によると、同社が特定の車両とドライバーに映像記録を求めるのは初めてのことだ。

TeslaはこれまでにもFSDの一環として映像を収集してきたが、それはAI自動運転システムの訓練と改善のためにのみ使用されていた。しかし、今回の新契約によると、同社は映像を特定の車両に関連づけることができるようになる。「FSDベータを有効にすることで、私は、重大な安全リスクや衝突などの安全に関する事案が発生した際に、Teslaが車両の外部カメラやキャビンカメラからVIN(車両識別番号)に関連する画像データを収集することに同意します」と契約書には書かれている。

FSDベータ版を有効にすることで、私は、重大な安全リスクまたは衝突のような安全に関する事案が発生した場合に、Teslaが車両の外部カメラおよびキャビンカメラからVINに関連する画像データを収集することに同意します。

Electrekが指摘するように、この文言は、FSDシステムが事故の原因とされた場合に備えて、Teslaが証拠を確保したいことを示していると考えられる。また、重大な問題をより迅速に検出し、修正するためにも使用される可能性がある。

FSD 10.3は、これまでのベータ版よりも広範にリリースされたが、不当な前方衝突警告や予期せぬ自動ブレーキなどの問題が発生したため、すぐに撤回された。当時、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、このような問題は「ベータ版ソフトウェアでは予想されること」とツイートし「社内QAですべてのハードウェア構成をすべての条件でテストすることは不可能であり、それゆえ公開テストを行う」と付け加えた。

しかし、公道を走る他のドライバーも、知らず知らずのうちにベータテスターになっている。米国道路交通安全局は、11月3日にカリフォルニア州ブレアで発生した事故について、FSDが原因で衝突事故を起こしたというドライバーの訴えを現在調査している。このオーナーは、FSDが原因でModel Yが誤った車線に入り、他の車に衝突して双方に大きな損害を与えたと主張している。

Teslaは、ドライバーセーフティースコアが98点以上のさらに多くのユーザーに新しいベータ版をリリースする。これまでベータ版のリリースは、スコアが100点満点のドライバーに限られていた。同社は、この機能を利用するために月々199ドル(約2万3000円)、または一括1万ドル(約115万円)をドライバーに課しているが、約束していた自律走行実現の期限を守れなかった。現在、FSDシステムはレベル2とされており「完全な自動運転」に必要なレベル4には程遠い。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Tesla

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

米幹線道路交通安全局がテスラのバッテリー管理システム公式捜査の請願を却下

幹線道路交通安全局(NHTSA)は、ネット経由アップデートの欠陥が5台の車の火災を引き起こしたとする申し立てを巡り、Tesla(テスラ)のバッテリー管理ソフトウェアの公式調査を要求した2019年の請願を却下した。

同局が公式捜査を行わない理由の1つは、該当事象の過半数が米国外で起きているためである、と同局のウェブサイトに掲示された文書で述べられている。

NHTSAは評価の一環として、請願書に記載された2012年から2019年のModel SおよびModel X6万1781台に対する59件の苦情申立を検討した結果、却下を決定した。59件の苦情のうち、52件がバッテリー容量の減少を、7件がソフトウェアがアップデートされた後に充電速度が低下したことをそれぞれ主張していた。車のログデータによると、苦情の58%で車両の電圧制限ファームウェアが有効になっていたが、その後のアップデートによって当該車両のバッテリー容量は部分的あるいは完全に復旧したと報告書概要に書かれている。

同局は、最悪の事態が重なって2019年に中国で発生した2件の火災を引き起こしたことは認識している。それらの車両は直近に高速充電処理を完了し、バッテリーは高い充電状態にあり、バッテリー冷却システムが切断された状態で駐車されていた。2台の車には高負荷下で利用されていた履歴もあった。

Teslaのバッテリー管理システムに詳しい筋によると、もし本当に系統的なソフトウェア問題が存在したなら、5台をはるかに越える車が火災を起こしているだろうと語った。そのような稀少な事故は、製造上の物理的欠陥あるいは利用中の物理的損傷が原因である可能性が高い。例えばこの種の火災が発生した中国ではよくあるとNHTSAが指摘する、高速充電されたばかりの車に高い負荷をかけるような行為だ。

米国でも2件火災が起きているが、1件は高速充電の履歴がなく火災発生時に走行中だった車両によるものであり、もう1件は高電圧バッテリーシステムとの関連性がなかった。5番目の火災はドイツで発生し、車両は低い充電状態で長時間駐車されていた。

「米国内で高速充電に関連する事象が起きていないこと、および2019年5月以降同様の事象が世界中で起きていないことを踏まえると、この請願を許可した結果実施された捜査によって、安全に関係する欠陥の通知と改善に関わる命令が発行される可能性は極めて低い」と裁定は結論づけた。「よって、請願書に記載された情報、および安全に関わる潜在リスクを十分に検討した結果、本請願は却下された」。

報告書は、今回の請願が却下されたことに関わらず、将来安全に関わる欠陥が認められれば、同局がさらなる措置をとる可能性があることを示唆している。

NHTSAはこの請願を拒否したものの、これとは別にTeslaのソフトウェア「Autopilot」の捜査を今も継続している。高度な運転支援システムを有効にした車両が、非常灯を点滅させて駐車していた緊急自動車に衝突するなど、2018年以来死者1名負傷者17名を生む事故を起こしたのを受けたものだ。Teslaは10月22日までに詳細なAutopilotのデータを提出しないと1億1500万ドル(約128億5000万円)の罰金を課せられるが、同社の第2四半期の純利益11億4000万ドル(約1273億9000万円)を考えると軽いお仕置きだ。

関連記事:米交通安全局がテスラに運転支援システム「Autopilot」の詳細な情報提供を命じる

画像クレジット:PIERRE-HENRY DESHAYES/AFP / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

電動キックスクーターの安全性をモニターするSuperpedestrianが危険運転を検知・制御のためNavmatic買収

電動キックスクーターの運営会社Superpedestrian(スーパーペデストリアン)は、マイクロモビリティ運営会社による車両の位置特定と、その動きのリアルタイム補正を助けるスタートアップNavmatic(ナヴマティック)を買収した。

両社とも、2021年6月に成立した買収の詳細を明かしていない。取引の関係者によると、買収価格はNavmaticによる2020年6月の400万ドル(約4億4100万円)の設立資金調達の、最後の資金調達ラウンドとそう変わらない。

Navmaticの買収は、Superpedestrianにとって車両の安全システムを強化するために当該スタートアップのスーパーフュージョン技術を採用できることを意味する。新しいシステムはPedestrian Defense(ペデストリアン・ディフェンス)と呼ばれ、安全でない乗り方(一方通行の道路を逆走、無茶な進路変更、歩道の走行、急ブレーキの繰り返しなど)を検知する。また、スクーターを減速または停止させてリアルタイムで利用者に知らせるか、その行動を正す。利用者は利用終了時に、カスタマイズされた安全トレーニングに使用する安全評価を受け取る。上手な乗り方をしていれば割引を受けられるが、常習的に安全でない乗り方をする利用者はブラックリストに載ってしまう。

スクーター関連の事故が増える中、クルマが関与する交通事故の大半の場面で活躍するであろう新たなテクノロジー企業を紹介する。Spin(スピン)Voi(ヴォイ)は、同様に利用者を見張り、歩行者を守るためにさらなる技術手段を導入した。といっても、Navmaticのように位置特定ソフトウェアに注力したのではなく、コンピュータビジョンのスタートアップであるDrover AI(ドローヴァーAI)とLuna(ルナ)に目を向けた。非妨害性カメラを搭載したSpinとVoiの車両は、Superpedestrianのものとは違って、ある程度の精度を伴って歩行者を検知する。Superpedestrianの良さは、スクーターの細かい動きに関するデータを通じて利用者の行動を精確に理解するところだ。

「現在の課題はスクーターに関連する弱者、つまり歩行者、障害者、ベビーカーを押す人を守ることです」と、SuperpedestrianのCEOであるAssaf Biderman(アサフ・ビダーマン)氏はTechCrunchに語る。「そのため、非常に正確な位置、利用者の行動の特徴付け、コンテキストアウェアネスが必要です。利用者が他者の通行権を邪魔していないか?利用者がデータを正しくトレーニングすれば、カメラは必要ありません」。

ビダーマン氏は、SuperpedestrianがマイクロプロセッサとNavmaticのソフトウェアをLINKスクーターのオペレーティングシステム上で実行しており、Superpedestrianのすべてのマップがそこで機能していると話す。そのソフトウェアはグラウンドトゥルースで高精度なマップの視界を含め、さまざまなセンサーでトレーニングされている。乗車中、スクーターから取得されたデータを分析するリアルタイム計算がマイクロプロセッサのエッジで行われ、GPS生データ、多次元の慣性感知、車両の動力学を組み合わせて、車両の位置と動きを非常に精確に計算する。

「Navmaticのソフトウェアがあれば、位置検知が著しく向上し、スクーター運転者や小型車両のわずかな動きでさえすぐに分析できるようになります」とビダーマン氏は語る。「現在、その反応時間は0.7秒です」。

Superpedestrianのディベロップメント&パブリックアフェア部門ディレクター、Paul White(ポール・ホワイト)氏によると、車両の位置の正確性向上は局地的な条件に応じて70~90%である。

両社は、そのような精確な位置データを車両動作の制御機能と組み合わせると、視界に関する潜在的に安価で確実に拡張可能な優れた解決策となると話す。

「1台のスクーターに1000ドル(約11万円)や2000ドル(約22万円)のLiDARを搭載するわけにはいきませんよね?」とビダーマン氏はいう。「センサーフュージョンがあれば、夜に視界が悪くなったり、カメラが汚れたり、何度も故障したりするなどの制限や、反射や影の影響を受けるGPSの制限を克服できます。できるだけ多くのセンサーを組み合わせることで、それぞれの良いところを享受し、学習と改善を続けることができるのです」。

参考に、ドローバーAIとルナの技術により、スクーター運営会社はデータに基づき利用者の動きを制御することもできる。しかしこの能力はまだSpinとVoiがコンピュータビジョンを使用しているすべての都市で利用されているわけではない。Navmaticのチップはスクーターとオペレーティングシステムを共有しているが、例えばドローバーAIのものはスクーターのOSと直接通信する個別の車載IoTユニットで稼働する。この機能は現在サンタモニカでSpinにより試験的に利用されている。Voiは警報音を用いて歩道の歩行者に知らせるルナの技術をケンブリッジで試験利用したばかりだが、今度はスクーターを減速する方法を模索している。

Superpedestrianはオペレーティングシステムからハードウェアまでフルスタックを所有することにより、オフザシェルフのオペレーティングシステムを購入する他の運営会社と比べて優れた車両の制御性を誇る。

「当社の技術を他社のものと統合する上で、たくさんの課題がありました。他社はコード行を変える必要があるたびに、製造業者に連絡しなければならなかったのです。変更まで1週間もかかります」。NavmaticのCEOで共同設立者のBoaz Mamo(ボアズ・マモ)氏はTechCrunchに語る。

この買収へのSuperpedestrianのソフトウェアファーストのアプローチは、現在会社への投資者の1人であるEdison Partners(エディソン・パートナーズ)のパートナー、Dan Herscovici(ダニエル・エルスコビッチ)氏にとっても魅力的だった。

「スクーター企業による他の買収のほとんどは、市場シェアにとって遊びのようなものです」と彼はいう。「マイクロモビリティ企業が車両を強化するためにIPとテクノロジーに頼ることは滅多にありません」。

エルスコビッチ氏は、Superpedestrianが歩行者の安全と都市の法令遵守の問題を解決するため市場で多くのソリューションを吟味し、自らも技術を開発することを検討していたと話す。製品化までの時間と速く行動する必要性のバランスを取ると、都市の許可を失う恐怖が絶えず頭をよぎる。Navmaticの買収は正しい判断のように見えた。

「マイクロモビリティ分野については3つの大きな顧客層がいると考えています」とエルスコビッチ氏はいう。「まずは利用者。マイクロモビリティ企業は一番に利用者のことを考えますね。彼らをどうやって惹きつけ、乗り続けてもらうか?次に都市や自治体。最後に忘れられがちなのは利用者以外。道路を共有している人達です。業界は安全規則に基づいて利用者の行動を修正する道を模索していて、この買収はその力を解き放つと思います」。

マモ氏は、都市が利用者の移動方法や、優れたインフラ上の決断を下す方法について見識を得る可能性を、ペデストリアン・ディフェンスが切り開くことも指摘している。

ビダーマン氏は、Superpedestrianが2021年約5万台のスクーターを製造しており、12月からすべての新車に新しいテクノロジーを搭載すると述べた。2022年はアップグレードした車両を新規開拓する都市に展開し、同社がすでに営業活動を行う都市の旧モデルと入れ替え始める。

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画像クレジット:Superpedestrian

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

AIリスク情報配信FASTALERTの「リアルタイムAPI」機能がアップデート、災害ビッグデータの網羅性が国内最大級に

災害ビッグデータの網羅性が国内最大級に、AIリスク情報配信「FASTALERT」の「リアルタイムAPI」機能が大幅アップデート

SNSに投稿された災害や事故などのリスク情報を収集し、AIで精査して配信するウェブサービス「FASTALERT」(ファストアラート)を提供するJX通信社は6月29日、外部サービスやアプリでの「FASTALERT」のリスク情報を共有可能にする「FASTALERT リアルタイムAPI」の大幅アップデートを発表した。

FASTALERT リアルタイムAPIは、自然災害速報、火災速報、ライフライン速報、通信障害・システム障害速報、新型コロナウイルス感染症・ワクチン関連統計情報をすでに提供済み。今回新たに、鉄道運行情報、バス運行情報、航空運行情報、フェリー・客船運行情報、高速道路情報、停電情報、新型コロナ感染場所(事例)情報が追加しており、人々の関心が高い旅客インフラの遅延や高速道路の混雑状況などが、このAPIをサービスやアプリに組み込むことで提供可能になる。

たとえば、Yahoo! Japan、LINENEWS、FNNプライムオンラインは、このAPIを使って「新型コロナ ワクチン接種リアルタイム統計データ」を提供している。

FASTALERTは、TwitterなどのSNS投稿のほか、企業や官公庁からの公式情報、JX通信社の一般向けニュース速報アプリ「NewsDigest」からリスク情報を収集し、独自のAI技術でデマなどのノイズを排除した上で発生場所を特定し、「できごと単位」で即時配信するサービス。日本のすべての民放キー局とNHK、そのほかのマスコミおよびインフラ企業、警察、消防、自治体などでも広く導入されている。2016年9月にベータ版をリリース、2017年4月に公式リリースした後、ニュース番組などでの「視聴者提供動画」の定着に寄与したという。2018年には日本新聞協会「技術開発奨励賞」を受賞するなど、数多くの賞を獲得し、現在はSNS緊急情報サービスのシェア1位の業界標準とされている。

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タグ:API(用語)自然災害 / 火災(用語)JX通信社(企業)事故 / アクシデント(用語)FASTALERT日本(国・地域)

スマホカメラとAIを利用して自動車事故の損傷を査定するTractable、最大の市場は日本

保険業界も21世紀の生活に合わせて進化しているようだ。コンピュータビジョンを利用して遠隔地から損傷を鑑定できるツールを開発したAIスタートアップが、多額の成長資金を獲得したことを発表した。

Tractable(トラクタブル)は、自動車保険会社と提携し、ユーザーがぶつけたクルマの写真を撮影して送信すると、その損傷具合を「読み取って」査定するサービスを提供している。同社はシリーズDラウンドで6000万ドル(約66億1000万円)の資金を調達したと発表、その評価額は10億ドル(1102億円)に達したという。

Tractableは、世界の自動車保険会社トップ100のうち20社以上と提携しており、過去24カ月間で収益は600%増加したという。Alex Dalyac(アレックス・ダルヤック)CEOによると「年間売上高は8桁ドル(数十億円)に達する」とのこと。「新型コロナウイルス感染拡大がなかったら、もっと早く成長していただろう」と、同氏は語っている。人々が自宅から出なくなるということは、クルマで路上を走る人の数が格段に減り、事故も減るからだ。

現在のTractableのビジネスは、主に交通事故の損害請求に関わるものが中心となっている。ユーザーは事故で損傷したクルマの写真をスマートフォンのカメラで撮影し、(通常のアプリではなく)モバイルサイトを介して写真をアップロードする。

しかし、同社は今回の資金調達の一部を利用して、自然災害の復旧(特に物的損害の鑑定)や、中古車の査定といった、隣接する分野へのさらなる事業拡大も計画している。また、スマートフォンで撮影された(サイズの小さな)写真を処理・解析するためのAIベースの技術を、より優れたものにするためにも、この資金は使われる。

今回の投資ラウンドは、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)とGeorgian Partners(ジョージアン・パートナーズ)が共同で主導した。これにより、同社の累計調達額は1億1500万ドル(約127億円)に達した。

深層学習の研究者であり、Razvan Ranca(ラズバン・ランカ)氏やAdrien Cohen(エイドリアン・コーヘン)氏とともにTractableを設立したダルヤック氏によれば、同社が特定し解決する「機会」(「事故」と言い換えることもできるだろう)では、自分のクルマに起きた問題として対処する場合、保険会社とのやり取りには時間がかかりストレスになっているという。

最近では、そんな問題により近代的なプロセスを導入する新世代の「インシュアテック」スタートアップが登場しているものの、Tractableがターゲットとする既存の大手保険会社には、そのプロセスを改善する技術が不足していた。

それは、フィンテックを推進するネオバンクと、時代に追いつくためにさらなるテクノロジーへの投資に躍起になっている既存の銀行との間に見られる緊張関係と似ている。

「事故に遭うと、面倒なことからトラウマになることまでさまざまな負担を受けます」とダルヤック氏はいう。「壊滅的なダメージを受け、立ち直るまでにはかなりの時間がかかります。保険会社とのやりとりも多いし、多くの人がやって来て何度も確認しなければなりません。いつになったら本当に元通りになるのかを把握するのは困難です。私達は、画像分類の飛躍的な進歩により、そのプロセス全体が10倍速くなると確信しています」。

このプロセスは現在、保険金請求のための写真撮影に留まらず、Tractableのコンピュータビジョン技術を使って、車両が修理不能になった場合に、どの部品をリサイクルして他の場所で再利用できるかを判断するのにも役立っている。ダルヤック氏によれば、2020年はこのサービスが人気を博し「2019年にTesla(テスラ)が販売した新車台数」と同じ数のクルマのリサイクルを支援したという。

これまでTractableと契約を結んだ顧客企業には、米国のGeico(ガイコ)をはじめ、日本では東京海上日動、三井住友、あいおいニッセイ同和損保など、多くの保険会社が含まれている。また、フランス最大の自動車保険会社であるCovéa(コベア)、英国Admiral Group(アドミラル・グループ)のスペイン法人であるAdmiral Seguros(アドミラル・セグロス)、英国の大手保険会社であるAgeas(エイジアス)も同社の顧客となっている。

現在、日本は同社の最大の市場であるとダルヤック氏はいう。その理由は、高齢化が進んでいることと、その一方で携帯電話の利用率が非常に高いことという2つの条件が揃っているためだという。そのため「自動化は単なる付加価値ではなく、必要不可欠なものとなる」とダルヤック氏は述べている。だが、近い将来には米国が日本を抜いてTractableの最大の市場になるだろうと、同氏は付け加えた。

物的資産や中古車への応用などの新たな方向性は、保険会社との提携だけに留まらず、より幅広いユースケースへの扉を開くことになるだろう。それによってTractableが新たな競争環境に入る可能性もある。同じようなビジネスチャンスを狙っている企業は他にもあるからだ。

例えば、一般的なスマートフォンのカメラを使って住宅の3D画像を作成する方法を確立したHover(ホバー)は、元々は住宅の修理の見積もりをするために開発された技術を、保険会社に販売する方法を検討している。

しかし今のところ、このような商機は十分に大きく、競合他社に勝つことよりも、需要を満たすことの方が重要だと考えられる。

Insight PartnersのMDであり、Tractableの取締役でもあるLonne Jaffe(ロン・ジャフィ)氏は、声明の中で次のように述べている。「Tractableの大規模な加速度的成長は、同社の応用機械学習システムの力と差別化を証明するものであり、それはますます多くの企業に採用されることで改善を続けています。何億人もの生活に影響を与える事故や災害から、世界がより早く回復することを支援するために活動しているTractableとのパートナーシップを、二倍に強化できることを我々はうれしく思います」。

Georgian PartnersのパートナーであるEmily Walsh(エミリー・ウォルシュ)氏は、次のように述べている。「Tractableの業界をリードするコンピュータビジョン機能は、顧客の投資利益率と同社の成長を驚異的なペースで促進し続けています。TractableがそのAI能力を、中古車業界や自然災害復旧という数十億ドル規模の新たな市場機会に適用するために、引き続きパートナーとして協力できることをうれしく思います」。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Tractable資金調達自動車事故深層学習画像認識機械学習保険

画像クレジット:Tractable

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)