核融合スタートアップ京都フュージョニアリングが総額20億円調達、グローバル核融合市場の取り込みと事業拡大を目指す

核融合スタートアップ京都フュージョニアリングが総額20億円調達、グローバル核融合市場の取り込みと事業拡大を目指す

核融合プラントエンジニアリングの研究開発を行う京都フュージョニアリングは2月2日、シリーズBラウンドとして総額13億3000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、既存投資家のCoral Capital、新規投資家のJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、JGC MIRAI Innovation Fund、ジャフコ グループ、大和企業投資、DBJキャピタル。累計調達額は16億7000万円となった。

また、京都銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行など金融機関からの総額7億円の無担保融資契約の締結も進めている。これを含めると総額で約20億円となり、エクイティとデット両面での資金調達力を強化するとしている。

二酸化炭素を発生しない核融合は、環境問題とエネルギー問題を同時に解決できる技術として注目され、国際的な研究開発が加速しており、日本政府も2022年夏までに核融合国家戦略を策定することを発表している。これにともない、グローバルはじめ民間の核融合スタートアップも数多く設立され、多額の投資金が流れ込み、核融合市場が急速に立ち上がりつつあるという。

京都フュージョニアリングも、その中の1つ。経済産業省のスタートアップ企業育成支援プログラム「J-Startup」認定、JETROの「スタートアップシティ・アクセラレーションプログラム」採択、特許庁の「知財アクセラレーションプログラム」採択など、国内で大きな期待を集めている。

同社は、今回調達した資金を活かし、大型案件受注など核融合市場での事業拡大を目指すとし、特に「世界的に開発が求められている」という核融合炉の加熱装置や熱取出し装置、核融合プラントエンジニアリングの技術開発を加速して、「日本の産業技術力をベースとしたグローバル展開」を狙うとのことだ。

調達目的

  • 研究開発投資の加速
  • グローバルに活躍するトップレベルエンジニアやビジネスパーソンの採用
  • 大型案件受注・事業拡大に伴う運転資金の確保

核融合技術で新エネルギー開発に取り組む「京都フュージョニアリング」が約1.2億円調達

核融合技術で新エネルギー開発に取り組む「京都フュージョニアリング」が約1.2億円調達

京都フュージョニアリング(KF)は1月20日、第三者割当増資による総額1億1600万円の資金調達を発表した。引受先は、Coral Capitalおよび個人投資家、創業メンバーなど。累計調達額は総額3億4400万円となった。

調達した資金は、市場展開力の強化と、人材の追加採用を中心に使用。先進的な研究成果の実用化と事業化を通じ、社会への貢献を進めていく。

2019年10月設立のKFは、京都大学エネルギー理工学研究所の小西哲之教授が中心となって開発した、核融合装置とエネルギー利用に関する事業を手掛けるエンジニアリング企業。日本発の核融合テクノロジーで新しいエネルギー産業を切り拓くことを目的としているという。

クリーンで持続的なエネルギーを生み出す核融合炉は、「地上の太陽」とも呼ばれ、世界をリードする研究開発が本邦で進められてきた。現在、2025年稼働を目指し、日本も参加する7極の国際共同プロジェクトにおいて「熱核融合実験炉」(ITER)の建設が進められ、核融合炉からのエネルギーの取り出しが現実味を帯びてきているという。

同時に、米・英・加などでは、より早期の核融合炉の実現を目的として、すでに複数のベンチャー企業が設立されており、2020年代の実証炉実現に向けた装置の開発・建設が加速しているとした。

KFでは、これら欧米の大学関連企業や国際共同で建設が進められている複数の核融合炉プロジェクトに対して、主要機器であるブランケットやダイバータ、ジャイロトロンなどを提供したり、プラントの設計を支援したりすることで、世界のエネルギー環境問題の根本的な解決に貢献する。

ブランケットは、核融合で生じた熱を炉外に取り出し、燃料となる三重水素を生産する装置。ダイバータは、核融合で生じたヘリウムなどの不純物を炉内から取り出す装置のこと。またジャイロトロンは、核融合炉の起動時にプラズマを発生させ、加熱し、電流を駆動する電磁波発生装置という。

核融合エネルギーは、今後爆発的に増加する途上国のエネルギー需要に応えつつ、高レベル放射性廃棄物が発生しないため、パリ協定の求める温室効果ガス削減に対応し得る技術として、近い将来大きく成長する可能性を持つ市場としている。

調達した資金は、これらの先進機器への研究開発を通じた市場展開力の強化と、海外営業人材およびエンジニア人材の追加採用を中心に使用する。さらに、これらの先進的な研究成果の実用化と事業化を通じて、社会への貢献を進めていく。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:エネルギー核融合(用語)環境問題(用語)京都フュージョニアリング資金調達(用語)日本(国・地域)