電気通信大学が自己センシングが可能なマッキベン型人工筋肉を開発

電気通信大学が自己センシングが可能なマッキベン型人工筋肉を開発

電気通信大学は10月5日、自己センシングが可能なマッキベン型人工筋肉の開発を発表した。マッキベン型人工筋肉とは、空気の出し入れによって長さ方向に収縮するアクチュエーターのこと。その変化量の測定は、これまで外部のセンサーに頼っていたが、柔軟なセンサーを埋め込むことで、人工筋肉自身が変化量を検知できる自己センシングの可能性が開けた。

マッキベン型人工筋肉は、ゴムチューブを空気で膨らませる(入力する)と長さ方向が縮むことを利用した人工筋肉。柔らかく軽量で安全性が高く、ロボット用のアクチュエーターや人工装具などにも使われている。しかし、その構造上の理由から、同じ入力でも、過去の入力の影響を受けて変化量が不安定になる「ヒステリシス」という現象が発生する。そのため、正確に変化量を把握するには、レーザー変位計などの外部のセンサーを備える必要があり、装置が複雑化する難点があった。

そこで、電気通信大学機械知能システム学専攻の新竹純助教を中心とする研究チームは、柔らかい膜を柔軟な電極で挟んだ構造のエラストマーセンサーをマッキベン型人工筋肉に統合することを考えた。人工筋肉のチューブにエラストマーセンサーを貼り付けると、人工筋肉の収縮に伴い静電容量が変化する。それを測定することで、長さ方向の変形を検出できるというものだ。

実験では、コンプレッサーから空気が送り込まれ、人工筋肉のチューブが膨らんで長さ方向に収縮すると、その変化がセンサーの応答に表れることがわかった。さらに、各センサーとの計測値の誤差は小さく、解析モデルとセンサーの出力は一致するなど、精度に問題はなかった。1000回以上の繰り返し動作での安定性も確認でき、この方式の有効性が示された。電気通信大学が自己センシングが可能なマッキベン型人工筋肉を開発

この方式を使えば、マッキベン型人工筋肉の導入がより容易になり、「さまざまな機械システムの実用化を促進する」ことが期待されるという。今後は、ロボットデバイスの研究開発を行う予定だと研究チームは話している。

論文「Self-Sensing McKibben Artificial Muscles Embedded With Dielectric Elastomer Sensor」はIEEE Xploreに掲載されている。