東北大学、2050年の超高齢化社会を見据えた次世代介護ロボット研究開発拠点「青葉山リビングラボ」をオープン

東北大学、2050年の超高齢化社会を見据えた次世代介護ロボット研究開発拠点「青葉山リビングラボ」をオープン

東北大学は2月14日、超高齢化社会を担う介護ロボット機器やシステムの研究開発拠点となる「青葉山リビングラボ」を、東北大学青葉山キャンパスに開設したことを発表した。ここでは、2050年の未来を想定した画期的なアプローチと、近い将来に適用できる現実的なソリューションの両方を見据えた研究が行われる。2月21日にオンライン開催される第1回「東北Kaigo-Tech実践研究会」で正式公開される予定。

「リビングラボ」とは、厚生労働省の「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業」に参画する研究所のことで、現在青葉山リビングラボを含めて全国に8カ所が存在している。実際の生活空間を再現し、利用者が参加する形で新しい技術やサービスの開発を行う施設のことをいう。

青葉山リビングラボでは、250m2のスペースに介護施設と在宅介護の模擬環境を作り、3次元モーションキャプチャーシステム、床反力計測用フォースプレート、6軸力学センサー、環境認識用センサーなどの計測機器に、転倒衝撃を軽減する寄り添いロボット、ロボットアシストウォーカー、移乗サポートロボットなどの介護ロボットや介護装をが配備している。

東北大学、2050年の超高齢化社会を見据えた次世代介護ロボット研究開発拠点「青葉山リビングラボ」をオープン

これは、東北大学大学院工学研究科の平田泰久教授がプロジェクトマネージャーを務める科学技術振興機構「ムーンショット型研究開発事業」のうち、目標3の研究開発プロジェクト「活力ある社会を創る適応自在AIロボット群」が2050年に実現を目指す、誰もが積極的に社会参画できる社会の構築を支援するものだ。また同時に、2030年をめどとして、AIロボット群が人に寄り添う支援やサービスの介護現場での実証も目指している。

青葉山リビングラボでは、2050年に活用が期待される画期的なアプローチと、近い将来の実用化、市販化を見据えた研究開発、またそのスピンアウトや開発企業の支援とを両輪として、超高齢者社会の課題解決に取り組んでゆくとしている。

Labrador Systems、高齢者や不自由がある人を助ける支援ロボットの手を2023年までに家庭へ

CES 2020の会場で、Labrador Systemsの共同創業者でCEOのMike Dooley(マイク・ドゥーリー)氏は、「今年は(展示会で)偽物のロボットが少なくなっていると思う」と話していた。ここ数年、CESではロボットを目新しいものとしてではなく、本格的なホームデバイスとして扱い始めている。当時、同社はスイートルームを借りて、後に「Retriever」と呼ばれることになるシステムの初期バージョンを展示していた。

2021年初め、初のバーチャルCESの開催後、同社は一部のユーザーにプロトタイプの配布を始めた。この度の展示会では、その初期テストの成果を、体験談動画という形で見ることができる。Retrieverは、私が2年前に見たものをより洗練させたものだが、基本的には同じ原理で動作する。高齢者や移動に不自由のある人を支援するロボットバーカートのようなものだ。

画像クレジット:Labrador Systems

高齢化が進む日本では、ロボットによる高齢者介護が大きなビジネスになっていることは、この業界を見てきた人なら知っているだろう。しかし、米国ではそれほどでもないようだが、それに続く企業が出始めている。Retrieverは、このように人々を支援するために目的を持ってロボットを製造している米国の企業としては、私がこれまで見た中で最も良い例の1つだ。自立した生活を送れるが、ロボットハンドを追加することで恩恵を受けることができる人々を主な対象としている。

ドゥーリー氏は、ニュースに関連したリリースで「私たちの社会には、十分なサービスを受けていない人がたくさんいます。痛みや他の健康上の問題で、自分自身が動けなくなると、たとえ短い距離でも、自立や生活の質、健康全般に大きな影響を与える可能性があります。Retrieverは、そのギャップの一部を物理的に埋め、個人がより活動的になり、より多くのことを自分で行えるようにすることを目的としています」と述べている。

画像クレジット:Labrador Systems

このシステムは最大25ポンド(約11.3kg)まで運ぶことが可能で、洗濯物や食事といった家の中にある荷物を運ぶのに使用できる。カウンターや棚、同社が提供を予定しているという特注の冷蔵庫などから、カートの上に物を移動できる開閉式のトレイシステムを搭載している。その下には、食品や薬などの収納スペースと、携帯電話を充電するためのポートがある。

本システムはAlexaによる音声コントロールにも対応している。SOSV/HAX、iRobot、全米科学財団とともに、Amazon Alexa Fundが同スタートアップの支援者の1つだ。次のベータテスト期間を経て、Labradorは2023年後半までに、機能に応じてさまざまな価格帯で商用販売を開始する計画だ。アーリーアダプターはRetrieverを1500ドル(約17万4000円)で購入することができ、月額サービス料は資金調達次第で99〜149ドル(約1万1500〜1万7300円)になる。

また、Labrador Systemsは、Alexa FundとiRobot Venturesが共同リードする310万ドル(約3億6000万円)のシードラウンドも発表している。この資金は、エンジニアリングの人員増強と生産の加速に充てられる予定だ。

Alexa FundのPaul Bernard(ポール・バーナード)氏は、このニュースに関連した声明の中で、「Labradorは、高齢で移動に困難を抱える人々に支援を提供することの意味について、最先端の技術を進歩させています。彼らは、私たちの社会における重要な問題に取り組んでおり、消費者向けロボット工学における数十年の経験を生かし、人々がより良い生活を送るための力を与える製品を提供しています」と述べた。

画像クレジット:Labrador Systems

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)