フランスで介護専門フリーランサーを派遣するマーケットプレイスMediflash

療養施設やクリニック、メンタルヘルス施設のようなヘルスケア施設への人材派遣を改善しようとしている、フランスの新しいスタートアップMediflash(メディフラッシュ)を紹介しよう。同社は自らを従来の人材派遣エージェントに代わるものと位置付けている。派遣スタッフ、施設両方にとってより良い契約を提供するとうたう。

「介護スタッフへの支払いは少ない一方で、ヘルスケア施設側にはかなり費用がかかります」と共同創業者のLéopold Treppoz(レオポルド・トレポズ)氏は筆者に語った。

従来の人材派遣エージェントは給料を払って介護スタッフや看護師を雇っている。施設が十分なスタッフを確保できないときは人材派遣エージェントに派遣を依頼する。そしてエージェントはスタッフを派遣し、施設に課金する。

「我々がMediflashを立ち上げたとき、人材派遣エージェント業をしようと考えていました。しかしよりデジタル化され、テックを使った手法でです」とトレポズ氏は話した。だがMediflashは従来の人材派遣エージェントと同じ問題に直面するだろうということに気づいた。

そして同社はデベロッパーやプロジェクトマネジャー、マーケティング専門家などのためのフリーランス専用マーケットプレイスに取り組んでいるスタートアップに目を向けた。フランスではそうしたスタートアップの数社は極めて成功している。CometMaltStaffMeBrigad などだ。一部の企業はヘルス分野のプロに特化したサービスも展開している。しかしMediflashは特に介護スタッフに注力したいと考えている。

Mediflashに登録する介護専門職の人はフリーランサーだ。Mediflashはヘルスケア施設とそうしたフリーランサーをつなげるマーケットプレイスとして機能する。マーケットプレイスを通じて派遣される介護スタッフはより多くの収入(最大20%増)を見込め、その一方で施設側は人件費を抑えられる、とMediflashは話す。

もちろん、人材派遣会社は介護スタッフを雇っているため、これは公正な比較ではない。フリーランサーはフルタイムで働く従業員と同じ福利厚生、特に失業手当を受けられない。

「しかし介護専門職の多くの人は、需要が多いためこれは問題ではない、と言います」とトレポズ氏は話した。プラットフォームには、小遣いを稼ぎたい看護師養成学校に通っている生徒、すでにパートの仕事を持っていて追加の仕事を探している人、フルタイム職の代替人員となりたい人などがいる。

通常、ヘルスケア施設は人材不足を解消するために3日間だけ人手を欲しがる。Mediflashはヘルスケア施設が1つの人材派遣エージェントを利用することをよく知っている。だからこそ、同社はそれぞれの施設と1対1で話すセールスチームを抱えていえる。目下、MediflashはMetz、Nancy、Strasbourgに注力している。

Mediflashはつい最近、Firstminute Capitalがリードするラウンドで200万ドル(約2億2000万円)を調達した。MaltのAlexandre Fretti(アレクサンドル・フレッティ)氏、NablaのAlexandre Lebrun(アレクサンドル・レブルン)氏、Batch.comのSimon Dawlat氏(シモン・ダウラ)、Twitterに買収されたAiden.aiのMarie Outtier(マリー・アウティエ)氏などのエンジェル投資家も参加した。

これまでにMediflashは派遣要請のあった1400日に対応した。Mediflashは各派遣取引で手数料を取る。同社は他の都市や国にも事業を拡大する計画だ。

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画像クレジット:Mediflash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

高齢者転倒時の骨折リスクを軽減する床「ころやわ」の累積出荷「高」が通天閣を突破

製造枚数6000枚に到達、高齢者転倒時の骨折リスクを軽減する⾻折予防床材「ころやわ」の累積出荷「高」が通天閣を突破

出典:photolibrary

医療機関や介護施設で、高齢者の転倒による大腿骨骨折のリスクを軽減させる、「転んだ時だけ柔らかい床『ころやわ』」を製造するMagic Shields(マジック・シールズ)は5月31日、「ころやわ」の製造枚数が6000枚に達し、これを積み上げた高さ他が大阪通天閣の103mを超える120mを突破したことを発表した。

ころやわは、厚さ約2cmのシート。車椅子や杖でへこむことがないため、移動時の安定性は保持されるが、衝撃を加えたときには大きく沈み込みクッションの役割を果たす。基本的な資材サイズは30X30cm。緩衝材エラストマーと塩化ビニールシートで構成されている。「メカニカルマテリアルの概念を応用したもので、素材では出せない特性を独自の構造体で実現」しているという。大きさに合わせて塩化ビニールシートでカバーするので、つなぎ目はない。畳1畳分の「マットタイプ」、既存の床に設置する「設置タイプ」、新築時に施工する「新築 / 改築タイプ」の3つの商品展開を行っている。「マットタイプ」はレンタルもある。

2019年に創設されたMagic Shieldsは、医療機関や介護施設で働く人たちの知見を取り入れたエビデンスに基づく商品開発を行い、2021年5月1日現在、導入施設での転倒骨折報告数0人を達成している(同社調べ)。また衝撃吸収性だけでなく、歩行安定性も重要であるとの指摘を受け、2021年2月に商品仕様を一新。歩行安定性を高めた製品の本格的な販売を開始した。

転倒骨折は、毎年100万件発生すると言われている。同社では、広島県での実証実験(ひろしまサンドボックス「D-EGGS PROJECT」)を継続し、「ころやわ」の骨折軽減効果と、医療費、介護費の削減効果の試算を進め、「最終的に医療費、介護費1兆円の削減を目指す」という。

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介護事業所向けリハビリ業務支援SaaS「リハプラン」を運営するRehabが7億円調達

デイサービス向けクラウド機能訓練ソフトやリハビリ業務支援SaaS「リハプラン」を運営するRehab for JAPAN(リハブフォージャパン)は5月24日、第三者割当増資による総額7億円を調達したと発表した。累計調達総額は約11億円となった。

引受先は、CYBERDYNE、CEJキャピタル(サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合)、MTG Ventures(MTGV投資事業有限責任組合)、SMBCベンチャーキャピタル(SMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合)、豊島運営のCVCファンド、三菱UFJキャピタル(三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合)、小野薬品工業、KIRIN HEALTH INNOVATION FUND(KIRIN・GB投資事業有限責任組合)、キャピタルメディカベンチャーズ(ヘルスケア・ニューフロンティア投資事業有限責任組合)。

調達した資金調達により、介護事業者が長年培ってきた知見や高度な技術との連携に向けて、既存事業の拡大、新規事業へのスピードをさらに加速する。

リハプランは、機能訓練業務を誰でも簡単かつ効果的に行える「デイサービス向けクラウド機能訓練ソフト」だ。2018年2月リリース以来、累計の導入事業所数は900事業所、すでに6万6000人の高齢者データを有しているという(2021年5月時点)。

リハプランでは、最新の高齢者データベースをもとに2200種類の目標・運動プログラムから最適な計画・訓練を自動で提案。従来専門職の脳内で行われていたリハビリ訓練計画の立案工程を自動化しており、要介護者の身体状況や自宅での生活課題、本人の意志などに関する項目をチェックするだけで、最適なリハビリメニューを提案するとしている。これにより、リハビリ指導経験のないスタッフでも、効果的な介護リハビリを提供できるようになった。

さらに、リハビリ業務に必要な機能を揃えていることから、職員の書類業務負担を軽減しつつ、介護事業所の差別化・売上アップを支援するとしている。

また同社は、介護事業所内には要介護者の身体状況や生活、家庭環境、本人の興味・関心などに関する深いデータが存在することに注目しているという。ただし、これらデータは複数の手書きの紙資料に点在する形で記録されており、分析可能な状態になっていないケースが多いそうだ。そこで業界知見とAIや動画解析などの先端技術を活用して、スタッフの業務を効率化しながらより質の高いデジタルデータに変え、個別性の高いリハビリテーションの有効性を実現するのがRehab for JAPANの目標だ。

2016年6月創立のRehab for JAPANは、「介護に関わるすべての人に夢と感動を」をビジョンとし、より多くの高齢者が健康的に長生きすることで幸せに長く暮らせる世界(健康寿命の延伸)に向けて、「エビデンスに基づいた科学的介護」の実現を目指すスタートアップ企業。介護現場のリアルデータを収集し、高齢者が元気になることを「科学」するとしている。

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医療ICTのアルムが約56億円をシリーズA調達、コロナ禍拡大に対応するソリューション開発・研究開発に投資

医療ICTのアルムが約56億円をシリーズA調達、コロナ禍拡大に対応するソリューション開発・研究開発に投資

医療ICTベンチャーのアルムは4月5日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約56億円の資金調達を完了したと発表した。引受先は、SOMPOホールディングス、三井物産、エーザイ、ロイヤル フィリップス、エヌアイデイ、CYBERDYNE、フィナンシャル・エージェンシー、ミクシィ、キャピタルメディカ、ベクトル、SBIインベストメント、Bonds Investment Group、みずほキャピタル、Asia Africa Investment and Consultingおよび個人株主。

調達した資金は、国内外における事業の拡大と成長に活用する。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対応するためのソリューション開発を含む研究開発投資を積極的に実施することで、医療・ヘルスケア業界のニーズに素早く応え、急速に変革する社会にさらに貢献する。

アルムは、2021年について、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う人の移動の増加により、新型コロナウイルス感染症の拡大が課題となる中で、ワクチン接種の開始をはじめとする「新型コロナウイルス感染症の制御が本格化する年」と捉えているという。

そこで、地域包括ケア推進ソリューション「Team」および救命・健康サポートアプリ「MySOS」を連携させた、自宅・宿泊施設療養者向けモニタリングシステムや、PCR検査の結果がいち早く届くサービスを強化し、より一層の安全・安心の提供や経済活動の両立を目指したソリューションの開発・提供を推進するとしている。

また、医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」のネットワークを活用した治験サポートサービスの強化や、手術映像等を院外へ配信するストリーミングサービスを活用した教育・医療サポートサービスなどの新しい価値創造を加速。Joinのプラットフォーム化を強化し、医療AIサービスとの連携を強め、医療現場の働き方改革に貢献する。

さらに、医療データを活用した新型保険商品の開発など、新たな収益構造を構築するとしている。

Joinは、医療関係者がセキュアな環境でコミュニケーションをとれるアプリ。標準搭載のDICOMビューワーにより医用画像を閲覧、チャットに共有可能。夜間休日などに院外にいる医師へのコンサルテーションツールとしての活用や、救急患者の転院の際の病院間連携・情報共有などに利用できるという。日本で初めて保険収載されたプログラム医療機器(販売名は汎用画像診断装置用プログラム「Join」)。

Teamは、医療・介護サービスをシームレスにつなぎ、地域包括ケアシステムの推進をサポートするソリューション。介護事業所向けアプリ「Kaigo」や看護事業所向けアプリ「Kango」で記録した業務内容などを多職種間で情報共有・連携が可能。

MySOSは、患者自身や家族の健康・医療記録を行い、救急時などのいざという時にスムーズな対応をサポートするアプリ。健康診断結果やMRI・CTなどの医用画像をスマホで確認可能。PHR(Personal Health Record)としても活用でき日々の健康管理に役立てられる。

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入退院調整をリアルタイムで可視化する医療機関・介護施設向け業務支援SaaSの3Sunnyが3.2億円調達

入退院調整をリアルタイムに可視化する医療機関・介護施設向け業務支援SaaSの3Sunnyが3.2億円調達

医療機関・介護施設向け業務支援SaaSを開発・提供する3Sunny(スリーサニー)は3月4日、第三者割当増資による総額約3億2000万円の資金調達を発表した。引受先は、メディカルノート、メディアスホールディングス、帝人、ANRI、ANOBAKA、個人投資家。これにより累積資金調達額は約4億円となった。

今後はプロダクト開発や人材採用を強化することで医療介護業界のデジタル推進に取り組む。また医療介護業界の業務のDXに貢献するべく、親和性の高い周辺領域で事業展開しているサービスとの連携を進める。

入退院調整をリアルタイムに可視化する医療機関・介護施設向け業務支援SaaSの3Sunnyが3.2億円調達

2016年7月操業の3Sunnyが手がける医療機関向け業務支援SaaS「Carebook」(ケアブック)は、リリースから約2年で都内を中心に大学病院や大規模医療グループなど全国で230超の医療機関に導入されているという。病院に所属する医療ソーシャルワーカー・退院調整看護師が日々行っている事務作業を効率化し、患者に向き合うことにフォーカスできる仕組みを提供している。

医療機関では治療後、高齢者など病院から退院しても継続的ケアが必要な患者に対して、病院所属の医療ソーシャルワーカー・退院調整看護師が次の退院先・転院先のサポートや調整業務を行っているという。

年間の入退院患者数がのべ約1500万人発生し今後も増加が見込まれる中、限られた病床数を有効活用するために、患者・家族の納得度を高度に保ちつつスムーズな入退院調整を行うことが求められている。

しかし病院や施設間で利用するシステムが異なるなどの理由で、コミュニケーション手法が電話やFAXに依存することが多く、常に受電に追われる・調整状況がリアルタイムに可視化されないなどの課題が起きているそうだ。

これらの課題の解決を目指すべく同社はCAREBOOKを開発・提供し、医療介護従事者が本来の専門領域に集中できる環境作りをサポートするとしている。

3Sunnyは、「医療介護のあらゆるシーンを、技術と仕組みで支え続ける」をミッションに掲げ、医療介護業界における「三方晴れやかな未来」を目指す。

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家族型ロボット「LOVOT」のGROOVE Xが18億円調達、SOMPOホールディングス・日立GLSと資本業務提携

家族型ロボット「LOVOT」のGROOVE Xが18億円調達、SOMPOホールディングスおよび日立GLSと資本業務提携

ロボットベンチャーのGROOVE X(グルーブエックス)は12月9日、を主な引受先として、総額18億円のシリーズB3資金調達を実施したと発表した。主な引受先はSOMPOホールディングス日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)など。累計調達額は124.1憶円となった。

また、これからの高齢化社会やWithコロナ時代によるライフスタイルの変化に向けた新たなる社会的課題の解決、新サービスの共同開発に取り組むことを目的に、両社と資本業務提携を締結した。

家族型ロボット「LOVOT」のGROOVE Xが18億円調達、SOMPOホールディングスおよび日立GLSと資本業務提携

 

SOMPOホールディングスとの資本業務提携

GROOVE Xは、⾼齢化社会における介護や認知症に関わる社会的課題の解決に向け、これまでSOMPOホールディングス子会社で介護サービスを運営するSOMPOケアが運営する介護付きホーム「SOMPOケア ラヴィーレ駒沢公園」などの介護施設に家族型ロボット「LOVOT」(らぼっと)を導入。施設内でのコミュニケーションの活性化や入居者の方々の心身の状態の変化についての実証評価を実施。

そんな中、⾼齢化社会における介護や認知症に関わる社会的課題の解決をさらに促進させるため、今回の資本業務提携を締結するに至ったという。

具体的な取り組みとして、高齢者の生活支援と認知症ケアを対象に、LOVOTを用いたソリューションの共同開発を開始。今後GROOVE Xは、SOMPOホールディングスが運営する、「人間」と「テクノロジー」の共生による新しい介護のあり方を創造するプロジェクト「Future Care Lab in Japan」と連携。見まもりをはじめ高齢者の生活支援におけるLOVOT活用、認知症の方を対象とするLOVOTを用いたケアの効果実証を行う予定。

Future Care Lab in Japanは、SOMPOグループがプロデュースする未来の介護プロジェクト。ICT・デジタル技術を積極的に活用した「人間」と「テクノロジー」が共生する新しい介護のあり方を創造し、より少ない負担で質の高い介護サービスを提供できる、持続可能な介護事業モデルの構築をめざす研究開発を行っている。

日立GLSとの資本業務提携

LOVOTは、あらゆるセンサーとAIを高度に組み合わせた「EmotionalRobotics」を搭載。利用者のデータ連携などにより、家庭における新しい接点として大きな潜在力を有しているという。

日立GLSは、日立グループにおいて顧客の暮らしと直接の接点を持つことを特徴とし、家電品、空調機器の販売、デジタル技術を活用したプロダクト・サービスを提供。最近では、大学の研究機関との連携により、高齢化など社会課題を解決し、人々のQoL向上を支えるソリューション開発にも積極的に取り組んでおり、そんな両社の想いが合致し、今回の資本業務提携を締結した。

今回の資本・業務提携によって、GROOVE Xは、日立GLSの事業基盤を活用し成長を加速させるとともに、同社技術を日立GLSの商品開発に活用する。

また、LOVOTやコネクテッド家電を通じて得られる生活者に関わるデータを活用し、複数の家電やデバイスが連動して快適な住環境を提供する新たなサービスを提供する。

Withコロナ時代で変化した、あらゆるライフスタイルに合わせた環境やサービスを提供するため、生活に潤いと安心を与えることが期待できるLOVOTの普及・活用に取り組み、生活者ひとりひとりにうれしい暮らしの提供に取り組んでいく。

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家族と最適な介護者とを引き合わせるHomageのジリアン・ティーが「世界の高齢化にテクノロジーをどう生かすか」を語る

Homage(ホメッジ)の共同創業者であり最高責任者のGillian Tee(ジリアン・ティー)氏の話が聞けるのは、いつだってうれしい。なぜなら、高齢者や弱い立場の人たちをテクノロジーで支援する方法に関する彼女の見解には含蓄があるからだ。国連によれば、世界で最も急速に増加している年齢層は65歳以降の高齢者だという(国連レポート)。同時に、多くの国々で介護者不足が深刻化しいて、介護者の燃え尽き症候群による高い離職率が問題をさらに複雑にしている。

「これはまさに、最も重要な社会的テーマであり、全世界的な問題です」とティー氏はDisruptのセッションで語った。

4年前にシンガポールで創設されたHomageのプラットフォームは、マッチング・エンジンを使って家族と最適な介護者とを引き合わせる。同時に遠隔医療プラットフォームでは、オンライン診療やスクリーニング検査などのサービスを提供している。その後にマレーシアにも立ち上げられ、米国時間9月14日には日本の医療技術大手であるインフォコムによる新たな戦略的投資を発表した。この提携により、Homageのアジア太平洋地域での拡大が加速することになる。

Homageを創業する前、ティー氏はニューヨークでRocketrip(ロケットリップ)を共同創業している。Rocketripは、出張関連費用の削減を目的とした企業向けのチケット予約プラットフォームで、Google Ventures、Y Combinator、Bessemer Venturesといった投資会社を引きつけ、3000万ドル(約31億4000万円)以上を調達した。しかし2016年、およそ15年間の外国暮らしに終止符を打ち、ティー氏は故郷シンガポールに帰ることに決めた。「帰郷は母の近くにいるためであり、また、自身のスタートアップの経験を東南アジアでも生かせると考えたからだ」と彼女はDisruptセッションで話していた。

ティー氏は新しい会社を興したいと考えていたが、すぐに介護の世界に飛び込むことはしなかった。そのアイデアが実体化したのは、彼女に近い親類の何人かが慢性疾患の診断を受け、介護の必要性が生じてからのことだった。

「私たちは何をすればいいのかわからず、何が必要なのかを考える方法すら知りませんでした。そのとき私は『大変だ、たくさん勉強しなければ』と悟ったのです」。

高齢化の進行と社会動学の変化に伴い、世界中の多くの家族が同じ問題で奮闘している。伝統的に親類の面倒を見ることになっていた家族も、遠くに離れて暮らすようになったり、仕事で時間が取れなくなるなどの理由で世話が難しくなっている。

家族は、介護者の紹介を口コミや代行業者に頼ることが多いのだが、その手続きは複雑で、長い時間を要し、ときに感情に左右される難しさがある。Homageは、マッチング・アルゴリズムでそこを楽にする。このプラットフォームでもっともユニークな点はきめ細かな対応だ。画面で紹介されるのは、介護事業者の資格や提供できる介護の種類(たとえば長期ケア、ショートステイ、理学療法、リハビリなど)だけでなく、特別な技能も含まれる。たとえば、移動の支援を必要とする利用者も多いので、Homageでは安全に移動できる手段を評価してくれる。

そして同社のマッチング技術が利用者にとって最適な介護業者を見つけ出し、Homageのスタッフが契約手続きを最後まで代行する。このプロセスを合理化することにより、Homageはコストを削減し、より多くの人がサービスを利用できるようにする一方で、サービス提供者の報酬の比率の引き上げが可能になった。

賃金の引き上げは、Homageのもうひとつの目標への助力にもなる。それは、介護人員の拡大と、人材の維持だ。他にも、Homageのプラットフォームから介護人材を最適な働き口に送り出すという取り組みで、同社は介護者不足問題に対処しようとしている。継続的な教育プログラムを提供し、スケジュールが過密にならないよう調整もする。このプラットフォームには長期契約で登録している介護サービス提供者もいれば、週に数日だけHomageの利用者にサービスを提供する人もいる。

「エイジテック」への総合的なアプローチ

6月にHomageは遠隔医療サービスを開始(未訳記事)した。Homage Health(ホメッジ・ヘルス)というこのプラットフォームは、しばらく開発段階にあったのだが、新型コロナウイルスの大流行に開始を後押しされた。「ハイタッチ」つまり人間的な触れ合いを重視した対面の遠隔診療は、同社の介護事業の側面にも即している。なぜなら、多くの患者は定期的なスクリーニング検査や、医師や専門医による診察を必要としているからだ。移動が困難であったり免疫力が低下している患者も、これによって楽に定期的な診察を受けられるようになる。

「ウェアラブル・センサーなどのハードウェアは、救急治療が必要になる前に心臓病などの潜在的健康問題を特定するという点で有望だが、患者の日常生活に簡単にそれらを組み込ませる、あるいは装着を忘れさせない方法が課題だ」とティー氏は説明する。

全体としてHomageの使命は、介護を必要とする多くの人たちに対応する総合的プラットフォームの構築だ。戦略的投資を行ったインフォコムとの新しい提携関係により、それは前進することになるだろう。なぜなら、Homageが数年かけて協議してきたとティー氏が話すその企業は、高齢者住宅や病院を含むおよそ1万3000の日本の施設と協力関係にあるからだ。

インフォコムにも独自の介護サービス・プラットフォームがある。Homageとの提携で、双方の企業は手を結び、より多くの患者に対応できるようになる。「日本は、世界で有数の高齢者人口を抱える国だ。その需要に応えるために、日本では今後5年から10年以内に、少なくとも50万人の介護サービス提供者を動員しなければならなくなる」とティー氏は言う。

「私たちは、求められる種類の介護サービスを利用しやすくするインフラを作り始める必要があります。そうした使命においては、私たちはインフォコムとぴったり一致しています」とティー氏。「彼らにも、日本の介護サービス提供者に仕事を紹介するプラットフォームがありますが、Homageのモデルは審査も行うため、とくに適用性が高いと見てもらっています」。

画像クレジット:Homage

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(翻訳:金井哲夫)

介護ワークシェア「カイスケ」運営のカイテクが約1億円を調達、関東エリア強化と関西・東海・九州展開を目指す

介護ワークシェアリング「カイスケ」運営のカイテクが約1億円を調達、関東エリアの強化とともに全国展開を目指す

介護ワークシェアリング「カイスケ」運営のカイテクは、シードラウンドにおいて、第三者割当増資および融資により、約1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はプラス、East Ventures、守屋実氏、他個人投資家。

調達した資金は、カイスケのユーザー体験を向上させるために、プロダクト開発・マーケティング・人材採用に充てる予定。また、カイスケは今回の資金調達で、プラスとの資本業務提携を開始。関東エリアでのワークシェアリングプラットフォームを強化するとともに、関西・東海・九州エリアへの展開を目指す。

カイスケは、日本初のウェブ上で「介護資格証の認証→仕事探し→仕事確定→勤怠管理→事業所/ワーカー評価→給与受取」(特許出願済)までを完結できるサービス。コロナ禍において、AIで代替しづらい「介護ワーク」以外の部分は全てデジタル化し、ワンストップでできるサービスはより求められるものとなっているという。

2020年1月からα版のテスト運用をスタートし、契約事業所数は70法人、勤務完了仕事件数は300件以上となった。

カイスケは、これまで介護業界では成し遂げられなかった有資格者の「オンデマンド雇用」(スポット雇用)を実現。時間や生活の制限から解放されることで、空き時間の有効活用(収入UP/他施設を経験による経験蓄積)をしたい方々など副業層の促進、育児/介護などの理由で定時勤務や正社員として働くことのできない方々など潜在介護職の掘り起こしが可能としている。

さらに、「お試し雇用(勤務)」をした上で採用ができるため、介護職と介護事業所のミスマッチを減らし、離職防止にも寄与できるという。