Apple Silicon対応の仮想化ソフトParallels Desktop for Mac with Apple M1 chipのプレビューが登場

macOS上でWIndowやLinuxなどOSを動かすことができるホスト型仮想化ソフトを開発するParallels(パラレルズ)が、ArmアーキテクチャのApple Silicon(Apple M1)に対応したParallels Desktop for Macのテクニカルプレビュー版を公開した。ダウンロードするには、Parallelsでのアカウント登録が必要だ。

テクニカルプレビュー版で動かせるのは、Arm対応OSのディスクイメージ(ISO、VHDX)。テクニカルプレビューでは以下の制限がある。

  • 仮想マシンにx86 ベースのOSをインストール・起動できない。
  • 仮想マシンを中断したり再開できない(「実行中の状態」のスナップショットに戻すことを含む)。
  • 仮想マシンの実行中に「close」ボタンは使えない。
  • ARM32アプリは仮想マシンでは動作しない。

なお、Windows Insider Program登録すれば、Windows 10 on ARM Insider Previewをダウンロード可能だ。

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:ParallelsApple SiliconArm仮想化

macOS mojave登場前にParallels 14をじっくり使ってみた

毎年、この時期にmacOSの新バージョン登場に先駆けて必ずアップデートを発表する米パラレルズ社が、最新版のParallels Desktop 14 for Macを発売中だ。Parallelsは、macOS上でWindowsなど、ほかのOSとそのアプリを実行可能にする、いわゆる仮想化ソフト。ほかにも同様のアプリは存在するが、Parallelsは動作の安定性、速度、UIの完成度などで群を抜いていて、このジャンルのトップランナーと言える。

最近では、分野を問わず、このようなタイミングで定期的に新バージョンをリリースするmacOS用アプリも、ほかにはあまり見当たらなくなった。その意味でも、ParallelsはMacユーザーにとって頼もしい存在だ。

Parallelsの一般的な特徴、新機能、動作条件、価格などについては公式サイトに譲るとして、ここでは実際に最新版を動かしてみながらParallelsならではの機能や、そのメリットを紹介していくことにしよう。

「シームレス」の追求

そもそも現在のMacには、アップル純正のBoot Campがあり、Macの内蔵ストレージのパーティションを分割することで、macOSに加えてWindowsをインストールして起動することも可能となっている。それなのに、仮想化ソフトを利用することに、どれほどのメリットがあるのかという疑問を抱く人もいるだろう。

Boot Campは、MacでmacOS、またはWindowsのいずれかを選んで起動することを可能にする仕組みだ。両OSを同時に使用することはできず、常にどちらか片方だけとなる。また、両者のファイルシステムの違いから、起動しているOSから起動していないOSのパーティションへのアクセスにも制限があり、両者の間には高い壁があるようにも感じられる。そのあたりも含めて、アップル自身のBoot Campサポートが徐々に先細りになっているような雰囲気があることも否定できない。

ひと言で言えば、そのようなユーザーの不満や不安を一掃してくれるのがParallelsだ。Parallelsを使えば、WindowsがいわばmacOSのアプリとして動作する。Windowsは、macOSのファイルシステム上に作成した仮想ディスク上にインストールされ、そこから起動される。Windowsが使用するメモリもmacOSのアプリケーション用のメモリから割り振られる。こうした構成によって、両OSはもちろん、その上のアプリを1台のMacで同時に起動して利用できる。両OS間のファイルの共有も、ドラッグ&ドロップも含めて、自由自在と形容できるレベルに達している。

こうしたParallelsの動作は、あらゆる部分で「シームレス」であることを追求しているように感じられる。そう思わせる特徴を順に見ていこう。

何も手を触れる必要のないWindowsのインストール

初めてParallelsを使用する際には、MacにParallels本体をインストールするのはもちろん、さらにその上に「仮想マシン」を作成する必要がある。その仮想マシン上にはWindowsや、そのほかのOSをインストールすることも必要となる。Parallelsでは、その仮想マシンの作成とOSのインストール作業が、ほとんど文字どおりワンタッチで完了する。

Windowsは、言うまでもなく有料のOSなので、何らかのかたちで購入手続きが必要だ。

01InstallWin10

何も持っていないところから始める場合には、Parallelsのインストール操作の中でMicrosoft Storeからクレジットカード決済でライセンスを購入し、そのままインストーラーのイメージをダウンロードしてインストールできる。すでにライセンスを持っていれば、そのままダウンロードを開始し、インストール後にアクティベーションを実行すればいい。とりあえず試してみたい場合も、ライセンスを持っている場合と同様に進んで、インストールしてひととおりの動作を確認した後に購入を検討することができる。

購入手続きを別にすれば、これらのインストール作業では、何を入力する必要もなく、Windowsのインストール完了まで一度も停止することなく進行する。

02Installed.png

Windowsのユーザーアカウントも、とりあえずはmacOSのアカウントと同じ名前で設定される。必要なら後で追加したり、入れ替えたりすればいい。Windowsの基本的な設定も、すべてデフォルトのままとなるが、このあたりはかなり割り切っている。

いずれにしても、作業の途中で停止して、ユーザーに選択や入力を強いるステップを極力廃した設計は、まさにシームレスを目指したものだろう。

LinuxやmacOSも「ゲストOS」として利用可能

Parallelsでは、Parallels本体がその上で動作するOSのことを「ホストOS」、Parallelsの仮想マシン上で動作するOSを「ゲストOS」と呼んでいる。

ホストOSは、当然ながらmacOSなのだが、この時期にParallelsがアップデートされるのは、毎年秋に登場する最新のmacOSをホストOSとして問題なく利用できるようにするためだ。Parallelsは常にmacOSに先行して登場するので、現時点ではまだ正式版がリリースされていないMojaveに対応することを保証した上で発売している。

Windowsを利用する場合には、もちろんWindowsがゲストOSとなる。ゲストOSとして利用可能なのは、基本的には標準的な「PC」にインストール可能なOSだ。Linux系のOSをMac上で利用するためのもっとも手軽な方法としてParallelsを挙げることもできる。しかしほかにも通常のPCにはインストールしにくいOS、例えばAndroidや、普段はホストOSとして動いているmacOSを、仮想マシン上で利用することも可能となっている。

Windows以外のOSで、無償で入手、利用が可能なものは、あらかじめParallelsが用意している専用のサーバーからダウンロードして、やはりワンクリックでインストールが完了するようになっているものが多い。Linuxでは、Ubuntu、Fedora、CentOS、Debian GNUといった各種のディストリビューションが揃っている。これらのOSと、Android 7については、目的のOSをインストール済みの仮想マシンのイメージをダウンロードして、そのまま動作可能となる。そのぶん、処理は迅速だ。

Parallelsがサーバーで提供する無料OSの仮想マシンの種類は、情勢の変化などによって、入れ替わる可能性がある。例えば、以前はChromium OSも用意されていたが、現在ではサーバーから削除されている。とはいえ、サーバーにないOSでも、PC用のインストーラーを用意すれば、空の仮想マシンに手動でインストールして利用できる場合が多いはずだ。

macOSは、もちろん通常のPCにそのままインストール可能なOSではないが、Parallelsは特別にMac用の仮想マシンも用意している。そのため、使用しているMacのハードウェアの条件に依存することなく、新旧のmacOSが利用できることもある。例えば、次期バージョンのMojaveは、2011年以前のMacモデルはサポートしない。今回テストに使用したiMacは2011年製なので、直接Mojaveをインストールすることはできないが、Parallelsの仮想マシン上にはベータ版をインストールできた。

03ControlCenter.png

逆に、現在のMacにはインストールできないSnow Leopard(サーバー版)などを、仮想マシン上で使うことも可能だ。

なおParallelsでは、別パーティションにインストールされているBoot CampのWindowsを、特別な仮想マシンとして登録して利用することも可能だ。その場合には、通常の仮想マシンでは可能な実行のサスペンド(一時停止)、途中経過をスナップショットして保存する機能、仮想マシンを過去の状態に戻すロールバックなどが利用できないという制限はあるものの、それ以外は通常の仮想マシンとほぼ同様に使える。

OSの違いを極力意識させないアプリケーション環境を提供

Parallelsのシームレスという特徴が最大に発揮されるのは、一般のユーザーにとってもっとも重要なアプリ環境においてだろう。簡単に言えば、WindowsアプリをあたかもMacアプリのような感覚で操作し、利用することができる。Parallelsの最大の目的は、Macでは直接動かすことのできないWindowsアプリを利用できるようにすることにあるのだから、これは最も重要な機能と言える。

デフォルトの設定では、仮想マシンの上で動作するWindowsアプリのアイコンが、MacのDockに表示される。それにより、Macのアプリと区別なく起動や切り替えの操作が可能となる。

04Dock.png

Dockに直接登録されていないアプリも、Dockにフォルダーとして登録されるWindowsのアプリフォルダをたどって起動することが可能だ。これはそのアプリを含む仮想マシンが起動していないときでも選択可能で、その際には仮想マシンのWindowsが立ち上がってから、目的のアプリが起動することになる。Macの環境にもよるが、その動作は目を疑うほど速い。

さらにデフォルトでは、MacのアプリがWindows側からも利用できるような設定になっている。さすがにこれはやり過ぎと感じられる場合が多いだろう。不要なら、設定のチェックボックス1つでオフにできる。

05OptionApp.png

多彩な動作形態

Parallelsでも、仮想マシンを作成した直後は、仮想マシン上のOSのデスクトップが、macOSの1つのウィンドウとなって動作する。仮想化ソフトにとって、もっとも一般的な動作形態だ。

Parallelsには、その形態の特別な場合として、前バージョンから「ピクチャ・イン・ピクチャ」と呼ばれる動作形態も用意されている。これは縮小された仮想マシンのデスクトップが、macOSの小さなウィンドウに表示される形態だ。

06Desktop.png

仮想マシンの動作に応じて、リアルタイムで表示が更新されるのはもちろん、やはり縮小表示されるマウスポインターを使った操作も可能だ。キー入力も通常どおり受け付ける。

また「コヒーレント(Coherent)」と呼ばれる動作形態では、仮想マシンのデスクトップではなく、その上で動作する個々のアプリが、それぞれmacOSのウィンドウに表示される。

07Coherent.png

シームレスもここまで来ると、もはやどちらのOSのアプリであるかを意識せずに、個々のアプリの操作に没頭できる。

本物のPCを超える仮想PCならでは使い勝手

Parallelsの仮想マシンは、本物のPCの動作をエミュレートしたもので、その上で動作するソフトウェアに、あくまで仮想の動作環境を提供する。それだけに、本物のPCには真似のできないような使い方も可能となる。

もっともわかりやすい例としては、本物のWindowsマシンでは決して撮ることのできないスクリーンショットを、簡単に撮影することができる。例えばWindowsの起動途中や、OSの不具合でクラッシュして、いわゆるブルースクリーンになった状態では、Windowsの機能を使ってスクリーンショットを撮ることはできない。しかし、macOSのウィンドウの中で動き、macOSのウィンドウを画面全体として表示している仮想マシンなら、macOSの機能を使って撮ればいいだけだ。

こうした機能は、一般のユーザーにはさほど有用ではないかもしれない。しかし、Windowsアプリの開発者やデザイナーにとっては、非常に役に立つことがある。プロユーザーを意識した機能はほかにもある。例えば、フルスクリーンモードでは、Windowsのビデオカードのガンマ設定で表示できる。macOSとWindowsの微妙な色の違いも、1台のMacで比較できるのだ。アプリの動作検証では、複数のバージョンのWindows上での細かな挙動の違いなども、1台のMacで観察できる。仮想マシンが接続されたネットワークについても、送受信の帯域幅、パケット損失、遅延など、自由に設定可能で、劣悪なネットワーク環境でのアプリの動作の検証にも使える。

08Network.png

さらにParallelsのPro版には、Windowsの標準的なアプリ開発環境Visual Studioのプラグインが付属している。そのプラグインを使えば、Parallels上で動作している複数の仮想マシンをまたいだリモートデバッグが可能となる。特にWindowsのアプリ開発者にとっては、Parallelsを、本物のPCを超えた有力な開発ツールととらえることも可能なのだ。

Parallelsは、あくまで仮想マシンでありながら、本物のPCに引けを取らないどころか、場合によって本物を超える速度と使い勝手を実現している。それこそが、究極のシームレスと言える特徴だろう。特に仮想化ソフトにとってもっとも重要な動作速度の向上は、Parallelsのバージョンが更新されるたびに、より高いレベルを引き上げられてきた。

最新版のParallels 14では、プロセッサーの速度を最大2倍にすると言われているAVX-512命令もサポートした。今のところCannon Lakeプロセッサーを搭載するiMac Proでしか有効ではないものの、今年の秋以降に登場するMacでは、サポートも広がるはずだ。それも含めて、Macの能力や用途を拡張するためにできることには労力を惜しまないというParallelsの開発姿勢が、このアプリの最大の魅力なのかもしれない。

Google Compute EngineではそのVMインスタンスの上で別の仮想マシンを動かせる、マトリョーシカのように

クラウドコンピューティングの、これからご紹介する機能は、ちょっと変わっているが、でも実用性は十分にある。GoogleのCompute Engineが今日(米国時間9/28)、“nested virtualization”(入れ子状の仮想マシン)と呼ばれる新たな機能を、ベータでローンチした。その名のとおり、VMの中でVMを動かせるのだ。

でも、なんでそんなことを? Compute EngineのプロダクトマネージャーScott Van Woudenbergが、今日の発表声明でこう説明している: “企業がオンプレミスで仮想マシンを動かし、その上にアプリケーションがあるとき、それらをクラウドへ移行するためにはnested virtualizationを便利に利用できる。VMのイメージをインポートして変換する必要がない。dev/test(開発/試験の繰り返し)やCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)などで、複数の環境でソフトウェアを検証する必要のあるワークロードでは、nested virtualizationが最適である。”

彼によると、これによりクラウドベースの災害復旧ソリューションをより安価に作れるし、教育訓練や資格認定のためにさまざまな仮想環境をセットアップしたい企業にとっても便利だ。被験者の全員に、確実に同じ環境を提供できるからだ。

この機能は、プリエンプティブVMを含め、Compute EngineのどのタイプのVMでも利用できる。唯一の要件は、その(ユーザーの)VMがIntelのHaswell以降のCPUで動くことだ。

実際にどうやるかというと、まず通常のVMをセットアップし、そのインスタンスの上にKVM互換のハイパーバイザーをインストールする。Googleによると、今のところKVM非互換のハイパーバイザー、Xen, ESX, それにMicrosoftのHyper-Vなどはサポートされない。使用するインスタンスも、Linuxインスタンスのみである。Windowsマシンではnested virtualizationを使えない。

なお、Microsoft Azureはすでにnested virtualizationをサポートしている(Hyper-Vハイパーバイザーを使用)。AWSでは、OracleのRavelloのようなツールを使って同様の機能を実現できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

あなたの次のパソコンはデータセンターの中にあるかもしれない

パソコンのパワーや携帯性は日を追うごとに向上しており、ノートパソコンでも負荷のかかるタスクをこなせるようになった。一方で、回線速度も驚くほど速くなってきているため、データセンターにあるサーバーへ簡単にタスクの一部をアウトソースできるようにもなっている。

携帯アプリもすでにほとんどがサーバーコンポーネントを利用して、データの処理・保管を行っている。例えばFacebookに投稿された動画は、サーバー上で再度エンコードされるため、ユーザーはSDやHDなど複数のフォーマットで動画を楽しむことができる。

しかし私は、このトレンドが向こう数年間でさらに重要性を増してくると考えている。全てのデバイスは、近くのデーターセンサーのサーバー上で動いているものを映し出す、単なるスクリーンになるかもしれないのだ。

そんな未来の実現に向けたひとつめのステップが、世界中の回線速度とレイテンシーの大幅な改善だ。私は幸運にも人口が多くインフラも整備されたパリに住んでいるため、自宅の回線でも上下それぞれ250Mbps、800Mbpsの速度が出ており、有線接続であれば2ミリ秒以内にパリ中のデーターセンターにアクセスできる。

次に、私はここ何年間もスペックより携帯性を重視してきた。現在私はこの記事を、12インチの小さなMacBookで執筆している。軽くてファンレスのこのマシンは、以前使っていたMacBook Proにもほとんど負けないくらいパワフルだ。

できるだけ軽いデバイスを選びたいと思っている人は、今後しばらくはノートパソコンの劇的なパフォーマンス向上は見込めないだろう。しかし同時に、強力なGPUを必要とするタスクは増えている。クリエイティブ系の人であれば、画素数の多い写真や4K動画を編集しなければならないし、インターネットブラウザでさえ、以前よりも強力なプロセッサーを必要としている。

3つめに、企業はユーザーのコーディング経験の有無に関わらず、誰もが使えるようなサービスを開発しなければならない。例えばAdobeであれば、PhotoshopやPremiere Proといったアプリのクライアント版をリリースし、重いタスクは全てサーバー側で処理することができるだろう。希望者にこのようなサービスを提供するにあたって、Adobeのサブスクリプションモデルは完璧な土台のように感じられる。

現存するテクノロジーを使って、革新的なサービスを提供している企業も存在する。フランスのスタートアップBladeは、主にクラウドゲーム向けのShadowと呼ばれるサービスを運営中だ。彼らはサーバー向けのXeonプロセッサーを使って何千台もの仮想マシンを管理しており、ユーザーは月額32.7ドル(30ユーロ)で、Nvidia GTX 1070が1人ひとつずつ割り当てられたパーソナルインスタンスを手に入れられる。

当初私はレイテンシーや画像圧縮などの制約から、クラウドゲームが本当に成立するのか疑っていたが、彼らのサービスではWindows 10の本格的なデスクトップ環境の再現と素晴らしいネットワークパフォーマンスを実現できることがわかった。

Bladeはつい最近WindowsとAndroid向けのアプリをリリースし、現在はmacOS版アプリのほか、安価なCPUとさまざまなポートを搭載した専用デバイスの開発にも取り組んでいる。このデバイスがリリースされれば、ユーザーはパソコンを持っていなくてもShadowサーバー上の仮想マシンにアクセスできるようになる。

私もWindows機でShadowのアプリを使ってみたところ、すぐに別々の壁紙を使わなければいけないと気づいた。というのも、自分がローカルのマシンを操作しているのか、パリの近くにあるShadowのデータセンターにある仮想マシンを操作しているのか区別できなくなってしまったのだ。

Shadowインスタンスでゲームをプレイしているときは、ローカルのコンピュータには負荷がかからないので、ユーザーのノートパソコンは静かなままだ。そのため、重いタスクを外部で処理しているということを実感することができる。一方でBladeのような企業は、強固なプライパシーポリシーとセキュリティシステムを備えていなければならない。

CPUやGPU、SSDの性能は今後も向上していくだろうし、クラウド企業はそれを利用してより優れたサーバーを提供できるようになる。

逆に光ファイバーとLTEが組み合わさることで、常時接続が当たり前となる中、インフラの重要性はさらに高まっていくだろう。全てのデバイスでギガ回線を利用できるようになれば、未来に住んでいるような気分になるはずだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

MicrosoftがAzure Container Service Engineをオープンソース化、Kubernetesのネイティブインテグレーションも発表

Cargo Port.

オープンソースのKubernetesコンテナ管理プロジェクトは、おそらく、今日利用可能なさまざまな競合するコンテナ管理サービスの中で最も人気があるものだ。Kubernetesのオープンソース側のホスト役を果たしているCloud Native Compute Foundationは、初めてのKubernetesカンファレンスを今週主催する。当然ながら、数日の内に私たちは相当な数のコンテナ関連ニュースを目にすることになるだろう。

その筆頭はMicrosoftである。同社はそのAzure Container Service(ACS)のコアエンジンのソースコードをオープンにするだけではなく、ACSに対するKubernetesのネイティブインテグレーションに関しても、そのプレビューを公開する。加えて、MicrosoftはMesosphere’s DC/OSへの対応も続けていて、DC/OSの最新版に対するサービスもアップデートする。

「コンテナが仮想化の次の進化です、組織をこれまでよりも更にアジャイルにしてくれるのです」と、MicrosoftのCompute for Azureの責任者のCorey Sandersは、本日のアナウンスの中に書いている。「私はこれを毎日のように顧客から教えられています!一度アプリを書けば、どこへでもデプロイすることができます。開発でも、テストでも、そして本番環境でも。コンテナはどのようなハードウェアでも、どのようなクラウドでも、そしてどのような環境でも変更せずに実行することができるのです。要するに、それらはアジャイルなDevOpsに対する真にオープンでポータブルなソリューションを提供してくれるのです」。

マイクロソフトは、ユーザーに対してコンテナのオーケストレーションプラットフォーム(Docker Swarm、DC/OS、Kubernetes)の選択肢を提供する戦略を続けている。Kubernetesに関しては、Microsoftはすでに最近の2年の間、そのインフラ上で、このGoogleがインキュベートしたコンテナ管理プラットフォームをサポートしていた。「今日は、私たちはこのサポートをさらに進め、Azure Container Service上のKubernetesのプレビューリリースをアナウンスします」とSandersは書いている。「この深くネイティブなKubernetesへのサポートは、Azure上におけるコンテナオーケストレーションエンジンに対する、また別の完全なオープンソースの選択肢を提供します」。

Microsoftはまた、コンテナイメージのためのプライベートリポジトリであるAzure Container Registryのプレビュー版を、11月14日にローンチすることも発表した。既にAzureの上に各自がプライベートなDocker Registryをセットアップすることはできていたが、それは手動プロセスで、開発者にリポジトリインフラストラクチャの管理を委ねるものだった。AmazonGoogleの両者が、既にこの機能を提供していることを考えると、Microsoftが今この競争に参加してくることは驚きではない。

これに加えて、Microsoftはまた、Visual Studio、Visual Studio Team Service、およびフリーでオープンなVisual Studio Code Editorのような開発ツールから、マルチコンテナLinuxアプリケーションをデプロイするための、より沢山のツールを11月14日に提供することもアナウンスした。

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(翻訳:Sako)

VMwareが仮想デスクトップ製品の現代化のために多様なアップデート、低コスト化と顧客の自由度向上

E-COMMERCE, COMPUTERS AND CITY SKYLINE

VMwareが今日(米国時間8/29)、ラスベガスで行われたVMworldで、同社の仮想デスクトップ(virtual desktop, VDI)製品群の一連のアップデートを発表した。

その発表は、同社の仮想デスクトップの現代化のために、顧客にクラウドやオンプレミスやハイブリッドの環境で、さまざまなオプションを提供することをねらっている。また、HPやDell、それに超低コストのRaspberry Piさえも含めた、さまざまなハードウェアベンダとのパートナーシップによって、費用を下げようとしている。さらにIBMとのパートナーシップにより、仮想デスクトップのクラウドバージョンをIBMのインフラストラクチャサービスSoftlayerからも提供する。

同社によると、今回のアップデートでデプロイのスピードの問題が解決し、そのためにより効率的なリソースプールを仮想デスクトップに供給できることになった。これによりデプロイメントがより迅速になり、安定感のあるデスクトップが提供され、朝の最初のタスクのようなピーク時にも安定的な利用ができるようになった。

VMwareはさらに、システムをタブレットでも十分使えるようにチューンナップした。これにより社員たちは、iPadなどから仮想シェル上の自分の仕事にアクセスできる。

仮想デスクトップは前から、容易な管理と強力なセキュリティが売りだったが、その謳い文句に対する市場の乗りは、未だにいまいちである。それは、社員たちにリソース満載のPCを与えることをやめて、安価なダムターミナルを与え、仕事に必要なツールとリソースだけをそこに載せる、という考え方だ。

それはメインフレームとダムターミナルという構造の再来だが、ただし高価なメインフレームではなく、一般市販の安価な、そして使いやすい、PCのネットワークにリソースのプールを設ける。

しかしこの方式では、朝の8時半に全社員がコンピューターの電源を入れると、ネットワークとリソースプールの負荷が急増する。身軽なPCをエンドユーザーが使うという点ではクラウドも仮想デスクトップの同じ利点を提供するが、クラウドの方がVDIsのコントロールとセキュリティが強化される、という説がある。デスクトップはシフトが替わる夜になると空になり、社員はもはやオープンなインターネット上にいない(会社のクラウドにアクセスしていない)からだ。

仮想デスクトップはエンタープライズのPCデプロイメントの8%に達している、という数字がある。5年前に言われた30%より、ずっと低い。今仮想デスクトップは、金融や教育など、コンピューティング環境に対するより堅固なコントロールを求める分野で、ニッチ的に利用されている。

この市場に最初に参入したのが、VMwareとCitrix(およびその他)だ。ほかに、Microsoft, HP, Dell, Red Hatや、そのほかの伝統的なエンタープライズコンピューティング企業も主要な選手たちだ。AWSもネイティブのクラウドバージョンAmazon WorkSpacesを提供しており、最近はその、時間制の課金方式を発表した

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AppFormixの総合クラウド監視最適化サービスが監視対象として仮想化ネットワークをサポート

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AppFormixは、Rackspaceなどのクラウドプラットホームを利用する企業の、OpenStackおよびコンテナベースのクラウド上のシステム監視し最適化する。その同社が今日、そのサービスにvirtualized network functions(VNF, 仮想化ネットワーク機能)*のサポートを加えた、と発表した。〔*: 日本では言葉として、NFV(Network Function Virtualization, ネットワーク機能の仮想化)の方がよく使われるようだ。〕

これまでのネットワーキングは、高度な専用ハードウェアを駆使するシステムだったが、しかし最近では徐々に、ありふれた日用品のようなコンピューターの上でソフトウェアを動かしてネットワークを実現するようになった。ハードウェアに要する費用は激落した。ただしネットワーキングという機能は、とくに通信業界などではレイテンシー(遅延)に敏感だ。しかもこの業界はVNFの主要ユーザーのひとつであり、またOpenStackのユーザー企業がとても多い。しかし、厳しくチューニングされた専用ハードウェアではなく、安価な日用品的コンピューターを使うと(そのままでは)、遅れやジターといった問題に悩まされがちだ。

AppFormixの協同ファウンダーでCEOのSumeet Singhによると、同社のサービスを利用するとジターを最大70%減らせる。彼は述べる: “VNFはまだ新しい技術だが、通信企業はこれによりネットワーキングをハードウェアからソフトウェアへ移行させようとしている。そして問題にぶつかる。弊社のサービスは一種のリアルタイムシステムで、これら仮想化ネットワークの状態…あらゆる性能要素…を常時監視し、分析し、その結果に基づいて最適化する”。

VNFの場合、最適化とは、ワークロードの構成やリソースの割り当てを変えることだ。AppFormix自身の調査によると、CPUの割り当てはジターにあまり影響しない。むしろ、問題の原因は多くの場合、キャッシュやメモリの使い方にある。たとえばAppformixのサービスがキャッシュの割り当てを適正化すると、ジターは減少する。

Singhが強調するのは、仮想化ネットワーキングの常時監視と最適化が重要なのは通信企業だけでなく、ユーザーを満足させる迅速なネットワーキングサービスをコンスタントに提供しなければならないeコマースなどでも重要、という点だ。

AppFormixの総合的なクラウド最適化サービスにVNFのサポートが加わったことにより、OpenStack(によるクラウド)とKubernetes(によるコンテナ管理)をベースとするクラウドシステムのユーザー企業はより安心して、ネットワーキングのソフトウェア化に取り組めるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazonの仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpacesに時間制課金が導入、パートタイマーなど向けか

amazon_workspaces

Amazonの仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpacesはこれまで、料金が実際の使用時間とは関係なく月額制だったが、今度から、時間単位の従量制が併せて導入される。この新しい課金方式は、パートタイムや出張の多い社員、プロジェクトに一時的に参加している非社員、などにとって有利かと思われる。

AWSのre:Inventカンファレンスで発表され、2014年に一般公開されたAmazon WorkSpacesは、AWSのクラウド上で動くセキュアな(とAmazonが称する)デスクトップコンピューティングサービスだ。ユーザーはまるで自分の机上のデスクトップ機と同じ感覚で文書やアプリケーションにアクセスできるが、Webアプリケーションではないので、Amazonがクライアントアプリケーションを提供している環境でしか利用できない(Mac OS X, iPad, Windows, Androidタブレット, Chromebook, Amazon Fireタブレット)。もちろん、これらに該当するデバイスなら、どこからでも利用できる。

企業はあらかじめアプリケーションやファイル、もろもろのアクセス権などを構成したうえでWorkSpacesを社員にデプロイする。またActive Directoryを統合してユーザーの認証やWorkSpaceの管理ができる。

amazon-workspaces

料金は、ユーザーのリージョンやハードウェアリソースの要件、プレロードすべきアプリケーション(Microsoft Officeなど)などによって異なる。その月額基本料金はアメリカの場合、21ドルから60ドルぐらいだ。

この月額制の利用形式が“AlwaysOn”(常時on)と呼ばれるのに対し、今度の時間制の利用形式〜課金方式は“AutoStop”と呼ばれる。AutoStop方式では、課金はユーザーがログインして利用を開始したときに始まり、ユーザーがログオフしたとき自動的に料金の加算はストップする。そこで、AutoStopなのだ。ただしユーザーが指定できる連続利用時間は、1時間以上48時間まで、となっている。

WorkSpacesは、ユーザー企業のアドミンが強制的にストップすることもできる。その場合、ユーザーが利用を再開したときにはストップされたときの状態が完全に保全されている。再開に要する時間は、90秒以内だ。

またAmazon Work Spacesはこのほど、ユーザーからのフィードバックに応えてrootボリュームのサイズが80GBに拡大された。言うまでもなく、これまでよりも多いアプリケーションやデータを載せておける。ただし既存のユーザーが80GBに拡張するためには、WorkSpacesの再構築が必要である。

今回始まった時間制課金にも、小額の月額料金が伴う。その“Value”プランは1時間$0.22から始まり、“BYOL”(Bring Your Own License)プランは1時間$0.17だが、それ以外に7ドル25セントの月額料金を払う。その仮想ワークスペースの仕様(一人あたり)は、仮想CPU 1、メモリ 2GB、ストレージ10GBだ。“AlwaysOn”の平均月額料金はわずか25ドルだから、この新しい時間制の課金は、フルタイムではなくハーフタイム未満の社員、ないし契約労働者に向いているだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazonの仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpacesに時間制課金が導入、パートタイマーなど向けか

amazon_workspaces

Amazonの仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpacesはこれまで、料金が実際の使用時間とは関係なく月額制だったが、今度から、時間単位の従量制が併せて導入される。この新しい課金方式は、パートタイムや出張の多い社員、プロジェクトに一時的に参加している非社員、などにとって有利かと思われる。

AWSのre:Inventカンファレンスで発表され、2014年に一般公開されたAmazon WorkSpacesは、AWSのクラウド上で動くセキュアな(とAmazonが称する)デスクトップコンピューティングサービスだ。ユーザーはまるで自分の机上のデスクトップ機と同じ感覚で文書やアプリケーションにアクセスできるが、Webアプリケーションではないので、Amazonがクライアントアプリケーションを提供している環境でしか利用できない(Mac OS X, iPad, Windows, Androidタブレット, Chromebook, Amazon Fireタブレット)。もちろん、これらに該当するデバイスなら、どこからでも利用できる。

企業はあらかじめアプリケーションやファイル、もろもろのアクセス権などを構成したうえでWorkSpacesを社員にデプロイする。またActive Directoryを統合してユーザーの認証やWorkSpaceの管理ができる。

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料金は、ユーザーのリージョンやハードウェアリソースの要件、プレロードすべきアプリケーション(Microsoft Officeなど)などによって異なる。その月額基本料金はアメリカの場合、21ドルから60ドルぐらいだ。

この月額制の利用形式が“AlwaysOn”(常時on)と呼ばれるのに対し、今度の時間制の利用形式〜課金方式は“AutoStop”と呼ばれる。AutoStop方式では、課金はユーザーがログインして利用を開始したときに始まり、ユーザーがログオフしたとき自動的に料金の加算はストップする。そこで、AutoStopなのだ。ただしユーザーが指定できる連続利用時間は、1時間以上48時間まで、となっている。

WorkSpacesは、ユーザー企業のアドミンが強制的にストップすることもできる。その場合、ユーザーが利用を再開したときにはストップされたときの状態が完全に保全されている。再開に要する時間は、90秒以内だ。

またAmazon Work Spacesはこのほど、ユーザーからのフィードバックに応えてrootボリュームのサイズが80GBに拡大された。言うまでもなく、これまでよりも多いアプリケーションやデータを載せておける。ただし既存のユーザーが80GBに拡張するためには、WorkSpacesの再構築が必要である。

今回始まった時間制課金にも、小額の月額料金が伴う。その“Value”プランは1時間$0.22から始まり、“BYOL”(Bring Your Own License)プランは1時間$0.17だが、それ以外に7ドル25セントの月額料金を払う。その仮想ワークスペースの仕様(一人あたり)は、仮想CPU 1、メモリ 2GB、ストレージ10GBだ。“AlwaysOn”の平均月額料金はわずか25ドルだから、この新しい時間制の課金は、フルタイムではなくハーフタイム未満の社員、ないし契約労働者に向いているだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Volkswagenのレースゲーム、IKEAの拡張現実アプリにみる効果的な「顧客体験」創出の事例

Experiences generate clicks  not ads   TechCrunch

【編集部注:本稿の執筆者、Pratham MittalVenture Pactの共同創業者】

広告はもはや、あまり効果的でなくなっている。

まず第一に、あまりにも多くの広告が存在しているからだ。画面、生活の至る所に広告が溢れかえっており、企業、スタートアップはその他大勢の中で目立つことが恐ろしく難しいことに気づいている。

確かに、広告コピーによってクリエイティブであることは可能だ。ユーザーへの徹底的なリマーケティングで話題となり、共感を得ることもできる。しかし、結局は他の企業もそのまま同じようなことをしているところで未だに競い合って、ユーザーの視界から外れてしまう。

今日、経験豊富なマーケターはコンテンツ・マーケティングが非常に重要なものだと認識している。しかし、現実を見てみよう。一体どれだけのEブックとブログが座って読むに値するものだろうか?さらには、かなり良質なコンテンツを作ったとしても、競争の激しいキーワードで順位を獲得するのは簡単ではない。Eブックがバイラルになる、もしくはDharmesh Shah氏からElon Musk氏のような人が自社のコンテンツをツイートしてくれると思ってるなら、あなたの成功を祈るよ!

一般の消費者はオンライン広告・マーケティングに対して慣れきっている。どのようにしてこの状況を変えようか?消費者が広告に興味を持たないこの状況下で何が有効なのか?顧客がEメール、電話番号を渡すに値するとどのように証明しよう?

顧客の興味を引くのはデートに誘うときとそんなに変わらない。いかに自分が素晴らしいのか、もしくは月並みな口説き文句をいったりはしない。その人自身が特別な存在だと感じさせる、信頼を築くために一層の努力をする、本当に気にかけていることを示す、そしてさりげなく電話番号を聞くのだ!

今日の顧客は、あなたが顧客に対して気を配っていないこと、またいかにもなセールストークを言っているだけだと気づいている。
前述したことがあなたが顧客にすべきことだ。記憶に残る体験を構築すること、交流の機会を設けること、個々の顧客に合わせてカスタマイズを行うこと、付加価値を与えること、信頼を築くことだ。

それでは実際のこれらの顧客体験はどのようなものなのだろうか。

私たちは有名スタートアップとFortune500入りの企業に調査を行った。素晴らしい顧客体験のほとんどは後述の5つのデジタル体験のうちの1つに当てはまる。

カリキュレーター(計算機)

オンラインスクールに登録するもしくは、保険を購入する際にあなたが真っ先に知りたいのは「費用は一体いくらなのか」だろう。カリキュレーターがそんな喫緊の質問に答える手助けになる。費用は一体いくらなのか?投資対効果は何か?いくら節約できるのか?

現実に、購入決定のためのカリキュレーターを使った投資対効果、費用の計算が毎月数百万回実施されている。

カスタマーに平凡なランディングページを突きつけるのではなく、彼らの質問に直接答えられるようにしたらどうだろうか?インタラクティブなカリキュレーターの出番だ。

想像してもらいたいのだが、病院のサイトに「心臓病を患うリスクを計算しよう」というカリキュレーターがあればどれだけ顧客のエンゲージメントを高めることができるだろうか。もしくはオンラインスクールのサイトに「学問を修めるための費用をいくら節約できるか計算しよう」というカリキュレーターがあればどれだけコンバージョンを得ることができるだろうか。

レベル判定

顧客はいつも自分自身について知りたいと思っている。とりわけ自分がしている良くないことについて。もし成績をつけることができる場合、顧客は判定「A」を獲得するために努力することだろう。そして、その過程で顧客からの高いエンゲージメントと多くの顧客データを手に入れることができる。

一般の消費者はオンライン広告・マーケティングに対して慣れきっている。

SEOの判定、もしくはWebサイトのスピードの判定で自社のWebサイトをテストしている時のことを考えてみよう。一旦判定Aを獲得するためにしなければならないことがわかったら、そのために多くの努力をするだろう。

HubSpotを例に取ろう。Webサイトがマーケティングにしっかり対応しているか、ユーザーフレンドリーがどうかを判定するツールがある。インバウンド・トラフィックがどこで遅くなっているのかHubSpot の見込み顧客に伝えることで、信頼を築くだけでなく大量のWebサイトの情報を集めることもできている。
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Webサイトの判定が最も一般的なものだが、さらに他の可能性もある。大学は論文の成績判定ツール、IQレベル判定などを開発できる。ヘルスケア企業は腎機能値、BMI(肥満指数)などの人の健康データを判定するツールを利用できる。

コミュニティー

業界フォーラム、コミュニティーはまだ手がつけられていない有用かつ有望な分野だ。買い手は何か買う前に、ほとんどいつでも他の人からの意見を求めている。意見の交換ができるフォーラムはかなり価値が有るだろう。

すぐに、しっかりした回答をもらうことができる業界フォーラムを立ち上げることができたら、業界に関することを質問するための行きつけのサイトになることができる。そして、しっかりSEO対策をしている場合、フォーラム上での質問も検索に引っかかり多くの検索トラフィックを得ることができるだろう。
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最高の見本となるのはクラウドに関する意見をもらうことができるGartherのCloudAdviceフォーラムだろう。GartherはIT分野の調査・研究を行う企業だ。ITに関わる人のためのコミュニティーを作っており、そこで技術的な質問を投稿したり、課題となっていることを議論することができる。このフォーラムによってGatnerは見込み顧客に自社の存在を認知してもらえるし、また彼らをその業界の権威として確立することができる(示すことができる)。

Gartnerはフォーラムに「Weekly Heroes」というカテゴリーを設けゲーム感覚を追加している。ユーザーに報酬を与え、投稿を続けてもらえるようにインセンティブを設けているのだ。

ゲーム

ポイントサービスから実際のモバイルケームのようなゲーム体験はユーザーがゴールを達成したいように仕向ける。正しく使えば、ユーザーのエンゲージメント向上に役立ち、ブランドを印象づけることができる。
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チョコレートを販売する企業のKinder Joyは5〜12歳の子供向けのアプリの提供を開始した。アプリでクイズ、パズル、教育ゲームなどがある教育環境下に子供を置くことができる。コンテンツを楽しんでいる間、子供は継続的にKinder Joyのブランドに接することになる。子供の親がアプリの利用時間、接続を管理することができるので、信頼できるブランドという印象をあたえることができる。

これだけ大勢の企業がごっだ返している中では、最高のセールストークも効果的でない。
他の例にはVolkswagenがあげられるだろう。Volkswagenの車でレースができるクラッシクカーのレーシングゲームのアプリを作った。アプリ自体は非常にシンプルなものだが、ユーザーはゲームで新しいモデル、パーツを手に入れるために奮闘しながらVolkswagenのすべての車に詳しくなっていくのだ。

AR(拡張現実)

AR(拡張現実)とVR(仮想現実)は顧客のエンゲージメントを高めることにつながる新たなタイプの体験となる。お気に入りの例の1つはL’Oréalの「Makeup Genius」アプリだ。このアプリを使うことで、スマートフォンの画面上でL’Oréalの様々な化粧品を仮想で顔に試すことができる。報告によるとアプリは2000万回以上ダウンロードされているそうだ。

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2000万人もの潜在顧客を深くブランドにエンゲージするというのはマーケティングの世界で未曾有のことだ。L’Oréalは正確にあなたがどのアイライナーが好きなのか、あなたの顔がどんなタイプか、その他様々な情報を把握しているということだ。販売において、どれほど個々の顧客にカスタマイズした販売が可能になるか想像してほしい。

IKEAはAR(拡張現実)の利用成功例を持つ企業だ。IKEAのアプリは仮想でリビングスペースに家具を置くことができる。外出することなく数百万の机、椅子、洋服だんすを試してみることができるのだ。そしてここにIKEAにとって素晴らしいメリットが存在している。IKEAはあなたが何色の机を好きかといった情報だけでなく、家の間取り、部屋数、その他いろいろな情報を集めることができるのだ。

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このアプリという特効薬によって、IKEAがまるで顧客の家に上がりこむのと同じだけの多くの情報を得ることができ、大きな価値をもたらしている。

今日の顧客は、あなたが顧客に対して気を配っていないこと、またいかにもなセールストークを言っているだけだと気づいている。これだけ大勢の企業がごっだ返している中では、最高のセールストークも効果的でない。

それゆえ顧客を獲得する競争は広告への入札や誇大広告でクリックを誘ったりすることではなくなる。顧客との相互の交流、個々の顧客にカスタマイズしたやり方で真の価値をもたらすテクノロジーの最新の手法を駆使できた人が勝者になるだろう。

マーケティングのあり方が大きく変わっていることを考慮して、マーケティング部門は自社の「デジタル指数」は何かについて、そしてそれを最大化するにはどうすれば良いのか考え始めるべきだ。テクノロジーに精通した自社専属の科学技術者を雇い、IT/テクノロジー部門にもより力を入れ、熱心に製品開発に取り組むとよいだろう。

マーケティングが新たなITとなる日はそんなに遠くない。

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

Ubisoft、今秋VRゲーム版「スタートレック」を発売

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ファンにとっては、一番楽しみなVRゲームランキングの頂点に立ちそうなタイトルが明らかになった。E3を前にした大規模な記者会見で、Ubisoftは今年の秋にOculus Rift、HTC Vive、PlayStation VRでそれぞれ発売予定の新規タイトル「Star Trek: Bridge Crew」を発表した。

同作のトレイラー映像では、「スタートレック」シリーズの出演者、レヴァー・バートン、ジェリー・ライアン、カール・アーバンの面々がクルーメンバーとして一緒にゲームをプレイしているが、全員が協力して行うゲームの操作性に好印象を得ている様子が伺えた。中でもバートンは、ホスト役を務めたアイシャ・タイラーと共にゲームについて興奮気味に語っている。

ゲーム内容としては、最大4人のプレイヤーが船長や操舵手など、それぞれ異なる役割を担い、各々が任せられた責任を果たしながらミッションを遂行するというものだ。また、コンピューターにクルーを任せて自分が船長を務めるソロプレイも可能だ。

見たところ、画面上の操作が多く、宇宙空間での冒険というよりは飛行シミュレーションに近い。また、トレイラーからは最先端の映像を用いているようには見えない。

それでも、レナード・ニモイが初めてゴム製の耳をつけてMr.スポックを演じたときから、スターフリートの宇宙艦を操縦していたいと夢見てきた人にとっては、明らかに夢の実現への第一歩だろう。今週後半には、TechCrunchでも実際にデモを体験する予定だ。ラフォージ中尉(レヴァー・バートンの役名)のように楽しめることを願っている。

[原文へ]

(翻訳:Nakabayashi)

Operaのブラウザー内蔵VPNサービスがやっとデベロッパーバージョンに登場、一般提供は今年後半

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Operaが昨年の3月に、仮想非公開ネットワーク(virtual private network, VPN)サービスSurfEasyを買収したのは、もちろん、それを同社のブラウザーや、もしかしてデータ節約アプリOpera Maxに組み込むためだった。結局それには1年以上かかり、今日(米国時間4/20)やっとOperaはブラウザーのデベロッパーバージョンの初期的リリースで、SurfEasyの組み込みバージョンをローンチした。

ブラウザー内蔵のVPNにより、暗号化されていないブラウザーセッションが一般公開のWi-Fiネットワーク上に露呈することが防がれ、また職場や国(中国など)によっては、ファイヤーウォールをバイパスできる。また、ユーザーには仮想のIPアドレスが割り当てられるので、ユーザーの位置を調べることが困難になる。

SurfEasyの完全なバージョンとは違ってこの内蔵サービスはブラウザーセッションだけを保護し、ユーザーのコンピュータを起点とするそのほかのトラフィックは保護されない。

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OperaのSVP Krystian Kolondraが、今日の発表声明でこう言っている: “必要とあれば誰にでも、オンラインのプライバシーを秘匿する権利がある。無料で無制限のVPNをブラウザーに直接加えると、未知のサードパーティのプロバイダなどからアプリケーションやエクステンションを導入する必要がなくなる”。

今のところ、ユーザーが選べる仮想ロケーションは、合衆国とカナダとドイツの三つだ。しかし同社によると、この機能が今年の後半あたりに、ブラウザーのデベロッパーバージョンではなく通常バージョンに載せられるようになれば、ロケーションはもっと増やす。

現状では、この機能はブラウザーの設定メニューにも登場しない。試してみたい人は、Operaのデベロッパーバージョンをインストールしたら”Privacy & Security”タブを探し、それをトグルするとVPN機能がonになる。通常バージョンではOpera Turboみたいに、ワンクリックでonにできることを、期待したい。

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[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クラウドSDNのPLUMgridがLinux FoundationとパートナーしてI/Oレイヤ技術IO Visorをオープンソース化

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The Linux FoundationPLUMgridが今日(米国時間8/16)、現代的なデータセンターのLinuxによるネットワーキングと仮想化をより一層推進するための、ハードウェアメーカーとLinuxディストリビューションのベンダらによる集団パートナーシップを発表した。このパートナーシップには当面、Barefoot Networks、Broadcom、Canonical、Cavium、Cisco、Huawei、IntelおよびSUSEが加わる。

このプロジェクトはPLUMgridのIO Visorの技術をベースとし、PLUMgridはIO Visorをプロジェクトに寄贈する。Linux Foundationが、そのほかのサポートを提供する。

今のトレンドとして、コンピューティングとストレージとネットワーキングは仮想化ヘ向かっている。そしてPLUMgridの主張によれば、I/Oとネットワーキングのサブシステムも、このトレンドに追随すべきであり、とくに物のインターネット(IoT)のアプリケーションにおいて、このことが言える。

PLUMgridの見方によると、ネットワークの機能を仮想アプライアンスとして提供するこのトレンドは、ルータやスイッチなどの高価な専用ハードウェアを使うことに比べると、パフォーマンスとスケーリングでボトルネックを抱える。すなわち同社によると、これらの仮想アプライアンスは需要に応じて容易にスケールするように作られていない。

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PLUMgridのファウンダでCTOのPere Monclusは次のように語る: “わが社は数多くのオープンソースプロジェクトを積極的にサポートしているから、IO VisorをLinux Foundationと共にオープンソースとしてコミュニティに提供していくことは、弊社のベストインタレストに適うだけでなく、クラウド技術がアジャイルに、かつ高いパフォーマンスでスケールすることに依存しているユーザの利益にも適うものである”。

この技術の核は、IO Visorをデータセンターのすべてのサーバに組み込むことによって、仮想ネットワークを構築することにある。するとヴァイザーがPLUMgridのDirector サービスと協働してデータレイヤを作り、デベロッパのニーズに応じてそれらのすべてのネットワークに接続していく。〔参考資料(1)(2)。〕

“仮想化は柔軟性とセキュリティの要求が厳しいから、今回の共同パートナーシップにはきわめて重要な意義がある”、とLinux Foundationの事務局長Jim Zemlinは語る。“オープンソースソフトウェアとコラボレーションに基づく開発は、どの業界においても、大きな変化に対応していくための重要な要素だ。IO VisorはLinux上の仮想化とネットワーキングのための、不可欠のフレームワークを提供するだろう”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa