Datasemblyが消費財向け商品のリアルタイム設定ツールで約11億円を調達

ワシントンD.C.を拠点とするDatasembly(データセンブリー)は、消費者向け商品の価格付けから「当てずっぽう」をなくすことを目指している。

Ben Reich(ベン・ライヒ)氏とDan Gallagher(ダン・ギャラガー) 氏が共同創設したこの会社は、ワシントンD.C.地区の小売り分析企業で働いていた2人が、仕事の後に開発したプロジェクトから始まっている。

大手ブランドや全国規模の小売り業者の商品とサービスの価格に関する情報を収集していたとき、2人は集めたデータの中に、大きく間違っているものが非常に多くあることに気がついたとライヒ氏は話す。

「企業は、不完全なデータを元に数百万ドル(数億円)規模の意志決定をしてます。彼らは競合相手を調べ上げ、市場の中のどこに自分だけの場所があるかを知りたがっています」とライヒ氏。しかし適切なツールがなければ、それは不可能だと彼はいう。

問題は地域、その土地固有、または非常に限定的な地域性による消費者の嗜好の違いに小売業者が対処しようとするときに、さらに深刻化するとライヒ氏はいう。Datasemblyは、同社のソフトウェアを使えば、国中の消費者に向けた供給状況と価格に関するリアルタイムのデータが得られると主張する。

Datasemblyは、大規模にデータを集めることでその問題を解決するとライヒ氏は話す。500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)のアクセラレーターを修了した同社は、これまでに小さなシードラウンド投資を獲得しているが、この度、Craft Ventures主導でValor Siren Venturesが参加したシリーズAラウンドにより1030万ドル(約10億9000万円)をクローズした。

同社の声明によると、米国の最大手日用消費財企業のうち3社と、地域および全国の小売り業者トップ5のうち2社がすでに顧客になっている。

新しい資金はセールス、マーケティング、製品開発の拡大に使われる予定だ。このラウンドの結果として、PayPal(ペイパル)の創設者でCOO、メッセージングサービスYammer(ヤマー)の創設者、Craft Ventures(クラフト・ベンチャーズ)の共同創設者であるDavid Sacks(デイビッド・サックス)氏がDatasemblyの取締役会に加わった。

「この20年間、小売り業界のデータセットはほとんど変わらぬままでした。しかし今、Datasemblyは、テクノロジーを駆使して企業に見えるもの、共有できるもの、行えることを以前は事実上不可能だった方法で変革しようとしています」と、Craft Venturesの共同創設者であり業務執行取締役のサックス氏は声明で述べている。「ベンとDatasemblyのチームは、競争力のある価格付け情報に関して可能なことへの業界の期待を変えようとしています。このデータを活用したいと考えない小売業者や日用消費財ブランドがあるとは、とうてい思えません」

カテゴリー:ソフトウェア

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画像クレジット:Anna Shvets / Pexels

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(翻訳:金井哲夫)

電力自由化ビジネスに挑む「エネチェンジ」が5億円を調達ーーマーケティングの強化と海外事業展開を推進

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2016年4月、電力の小売が全面自由化された。規制緩和によって新規の事業者が参入する市場が生まれており、電力ではすでにソフトバンクをはじめとした通信キャリアや楽天などのネット企業も参入している。そんな新市場にチャンスを見い出したスタートアップの1社がエネチェンジだ。同社は2017年1月23日、オプトベンチャーズ、IMJ Investment Partners Japan LLPから総額5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

電力自由化を見越して、2015年4月に創業したエネチェンジ。同年9月には電力の価格比較サイト「エネチェンジ」をリリースした。電力自由化が開始される直前の2016年2月には4億円の資金調達を実施。さらに創業メンバーである城口氏も関わるケンブリッジ大学の産学連携ベンチャーで、AIを活用した電力データ解析サービスを開発する「SMAP Energy」と組み、海外へも電力事業を展開している

現在は電力比較サイトエネチェンジを中心に事業展開を行う一方で、法人向けの電力切替サービス「エネチェンジBiz」、格安SIM比較サイト「SIMチェンジ」を展開している。

調達した資金はマーケティング予算に投下

エネチェンジでは、今回調達した資金をもとにテレビコマーシャルを中心としたマス広告を展開する。ウェブ中心の集客から、より大きなインパクトを目指すために予算を投じていく。テレビコマーシャルは1月25日より関西エリアで開始する。

また、電力使用量をデジタル計測する「スマートメーター」の普及を見据え、AI(人工知能)技術を利用した電力消費量の研究及び海外での事業展開を本格化。すでにイギリス、ドバイなどで電力サービス事業展開をステルスで展開中だ。ケンブリッジ大学で電力データ解析の研究を行う、創業メンバーの城口氏は「2週間に1度はイギリスに行ったり帰ったり」(エネチェンジ)し、海外での開発、事業展開を行っている。

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写真左から)IMJIP 千葉貴史氏、エネチェンジ 有田一平、オプトベンチャーズ 細野尚孝氏

2016年2月時点で電力価格比較サイトのエネチェンジは月間180万UUと回答していたが、現在は170万UUとやや減少している。「2016年2月は電力自由化の波があり、3月、4月をピークに増加していましたが、今はやや落ち着いています。夏場や冬場で電力消費が多くなるタイミングに比例して、申し込みが増加する傾向があります」(エネチェンジ)

同時期にサービスを開始した法人向けサービスのエネチェンジ Bizに関しては「個人の電力自由化の注目が法人向けサービスにも影響を与えています。当初は申し込みも少なかったのですが、自由化直後の2016年4月から2016年8月にかけて申し込みが増え、当該期間で売り上げベースで1200%の成長を果たしました。現在は営業、コールセンターも設けて本格稼働をしています」(エネチェンジ)と語った。

電力比較サイトと同様の仕組みで展開する格安SIM比較サイトのSIMチェンジは月間140万UU程度。格安SIM比較サイトの中での月間UU数は1位(エネチェンジ調べ、2016年9月時点)だ。

今後は主力サービスのエネチェンジのマーケティングを強化しつつ、海外での電力事業展開に資金の一部を投下していく。また、1月16日より都市ガス比較のサービスをエネチェンジ内で開始。同18日には関西電力出身で元大阪府副知事の木村愼作(きむらしんさく)氏が顧問に就任。今後は電力・ガス自由化普及に向けた講演活動、メディアへの出演をメインに活動するとしている。