コンテンツ・リコメンデーションのRevcontentがパーソナライゼーションのRoverを買収してサービスの質をアップへ

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自己資金のみでやっているRevcontentは、ForbesやThe Atlanticなどの一流パブリッシャーに、コンテンツ・リコメンデーション・サービスを提供している。同社はこのほど、Roverを買収した。

ペットシッターを紹介するRoverではなくて、コンテンツ発見アプリケーションで、前はFliporaやInfoaxeという名前だった。RevcontentのCEO John Lempによると、Revcontentがこの買収の代価として支払ったのは“3000万ドル強”のキャッシュと、株だ。彼によるとそれは、もっと良いコンテンツ・リコメンデーションになるための投資だ。

Roverはパブリッシャーに、Facebookのような個人化機能を提供するが、その粒度はFacebookの3倍も細かい、という。ユーザーの関心対象を最大3000項目も見る、という意味だ。

Lempは曰く、“コンテンツの提供者と、その本当のユーザーを、Web上で結び付けたいからね。そのために均質でむらのない“パーソナルWeb”を作り、メディアがオーナー企業ではなくユーザー/読者に奉仕するようにしたい”。

コンテンツ・リコメンデーション・サービスといえば、TaboolaやOutbrainなどのサービスは、高品質なジャーナリズムをリコメンドしているとはとても言えないが、Lempによると、テクノロジーの力でこの業界をもっと良くしていける、という。“今はまだ、浅っぺらなユーザー体験や、破綻しているユーザー体験が少なくないけど、テクノロジーをうまく使いこなせば、もっと良いユーザー体験を作れるはずだ”。

RoverのCEO Jonathan Siddharthは、彼の会社の技術とRevcontentのデータ、という組み合わせがおもしろい、と言う。Revcontentは毎月2500億件のコンテンツ・リコメンデーションを配布している、と主張している。またSiddharthの協同ファウンダーVijay Krishnanによると、RevcontentとRoverのシナジー効果で、とくにeCPMSWikipedia)が改善され、売上も増えるだろう、という。

Lempと同様にSiddharthとKrishnanも、オンラインジャーナリズムの有効なビジネスモデルが成り立つためにはコンテンツ・リコメンデーションが鍵だ、と主張する。それはトラフィックや売上に関してだけでなく、ユーザーの反応に関する有意義なデータも得られるからだ、と。

“民主主義が有効に機能するためには、言論の自由を法が保証しているだけでなく、自由な言論が商業的にも成り立たないとだめだ”、とKrishnanは語る。

買収により、Roverのチームは全員がRevcontentに加わる。Roverはこれまでに700万ドル近くを、Founders FundのStephen OskouiやGokul Rajaram, Barney Pell, Ilya Fushman, Mayank Bawa, Draper Fisher Jurvetson, Amidzad Venturesなどから調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ニュースの個人化技術で突破口を開いた、と自称するGongはソーシャルメディアをうまく利用

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新しいニューズアグリゲータを積極的に試してみる気にならない人の気持ちを、GongのCEO Itzik Ben-Bassatはよく分かっている。投資家たちの前で自分の会社を売り込んだときも、同じ話を聞くからだ。

“みんな、ぼくに向かって、‘もういいよ’って言うね”、と彼は回想する。

でもどうやら、以前はBlizzard Entertainmentの役員でWixの取締役でもあるBen-Bassat は、一部の投資家には気に入られたようだ。彼は300万ドルのシード資金を、Bloomberg Beta, Sequoia Capital, Mangrove Capital Partners, Boldstart Ventures, そしてさまざまなエンジェルたちから調達した。

ではGongは、どこがどう違うのか? Ben-Bassatは、それまでの個人化ニュースを二つに分類する。ひとつは、ソーシャルネットワーク自身だ。これは彼によると、“ニュースを扱うようには作られていない”。Facebookなどが偽のニュースクリックベイト(釣りネタ)に悩まされるのも、そのせいだ。

もうひとつは、ユーザーの関心を知ることに努め、記事のタイトルなどを分析して‘この人にぴったり’という記事を決めるアプリだ。Ben-Bassatによると、それらは機械的で冷たい。

Gongのチームは、ソーシャルメディアで広まっている記事に個々の読者のビヘイビアを結びつける。それを彼らは、HackRankアルゴリズムと呼んでいる。それが何をやるのかというと、まだそれほど大きなニュースになってないネタでも、それがユーザーの関心をそそることを予測できるのだ。

“人間を理解するテクノロジーでは、うちが先頭を走っている。アルゴリズムに魂があることが、重要なのだ”、とBen-Bassatは語る。“われわれは、ソーシャルデータが個人化を強力に補完することに気づいた。それによって、人びとの関心事をより正確に予言できる”。

ニュースを読む、というユーザー体験に関しては、Gongはかなり直感的で分かりやすい。ニュースの検索、関心のあるトピックによるニュースの長期購読、速報ニュースを閲覧、Gongのスタッフのおすすめ記事を読む、といったことができる。記事は、RSSで提供されるものに限定(だから他のサイトへ行くのはちょっと面倒)、そして“Gong social share”というポイントがつく。

Gongの今のバージョンが9月にローンチしてから、各週のトラフィックは30%増えたそうだ。とくにマーケティングはやっていないが、一度訪れてから再度リターンする読者は毎日の全ビジターの25%ぐらいいる。

Gongは今無料である。Ben-Bassatによると、現在はアルゴリズムの磨き上げとオーディエンスの拡大に注力している。次は、広告の導入方法を検討(実験)したい、と。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマートウォッチの盤面デザインをWeb上でもできるFacerアプリが、AndroidだけでなくApple Watchにも対応

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Androidスマートウォッチのカスタム化で人気のFacerが今日(米国時間3/3)、iOSとApple Watchにその手を広げた。Apple Watchのホーム画面を個人化するユーティリティはApp Storeに山ほどあるが、Facerの良いところは、無料の盤面デザインが大量にあることと、Facerにしかないコンテンツもかなりあり、その中には有料ブランドのものや、Web上で盤面をデザインできるツールなどがある。

Facerは、かなり初期のAndroidスマートウォッチのころから、盤面制作アプリケーションの上位製品のひとつとして、いつもリストに載っていたので、ご存じの方も多いだろう。このアプリのコミュニティはウン十万人の規模だ、と同社は言っている。Google Playのダウンロード数がそれぐらいだから、ウソや誇張ではないだろう。

1か月前にこのアプリケーションはアップデートされ、提供コンテンツ数もぐんと増えた。新たに加わった無料の盤面デザインは数千もあり、またGarfield, Betty Boop, Popeyeなどのブランド品も多くなった。そして今度からは、これらがすべてApple Watch用にも入手できるのだ。

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Apple Watch用のアプリケーションでは、最新の盤面画像をInstagramやTumblrのフィードで見ることができる。そのほかのテーマやチャネルもあり、その中にはUnsplash, Superfamous, Gratisography, Vecteezy, NASAといったパートナーからのもある。

教育的なのが好きな人向けには、フラッシュカード的なやつもあり、手首を振るたびに新しい星座や新しい単語、太陽系上の各惑星、などが表示される。

そのほかの盤面制作ユーティリティと違ってFacerでは、自分の個人化盤面をWeb上で作り、Web上で共有できる。そのためのWeb上のデザインツールfacer.io/creatorがあり、そこではテキストや図形や画像をオンラインのライブラリからHDのキャンバスへドラッグ&ドロップできる。ただしAppleは壁紙しか編集できないから、Androidの盤面ほどいろんなことはできない。

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Facerは、Little Labsの最新のプロダクトだ。ここはNEAから資金を得ており、自らを“‘スマートウォッチファーストの’アプリスタジオ”、と称している。iOSやAndroid用のモバイルアプリではなく、スマートウォッチやウェアラブルに専念する、という意味だ。

Little Labsのファウンダーたちは、 Jamdat MobileやEAなどでモバイルの開発経験を積んでいる。昨年同社はNEA, Lightspeed Ventures, Lowercase Capitalなどから300万ドルを調達した。

Facer以外のプロダクトもいろいろあり、その中にはApple Watch用の小さなスロットゲームや、オスカーにノミネートされた映画に由来するThe Martian Gameなんかもある。

Facerは、iTunes App Storeで無料でダウンロードできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ユーザ企業の顧客の質問にオンラインで自動的に答えるMindTouchが$12Mを調達

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製品に関する顧客の疑問に答えるクラウドサービスMindTouchは、企業の既存のドキュメンテーションや、教育訓練のための教材、カスタマサービスの文書などから答を探す。長年自己資金のみでやってきた同社が、初めての外部資金導入1200万ドルを発表した。

そのラウンドをリードしたのはPeakSpan Capitalで、SK VenturesとSAP SEが参加した。

ファウンダでCEOのAaron Fulkersonによると、実は同社がオープンソースのプロダクトとしてローンチしたのは、2005年だ。2010年にギアを切り替えて、商用のクラウドプロダクトになった。

同社は企業の既存のドキュメンテーションやそのほかの素材を集めてその内容を整理し、顧客がアクセスして利用できるようにしている。そのためには、オリジナルのコンテンツを小さな単位に分割し、それぞれのメタデータを取り出し、ユーザがそれらを検索できるようにする。そしてさらに機械学習を結びつけ、素材を貫く論理的な学習パスを編成する。それによってユーザは、必要な情報を容易に検索して見つけられるようになり、カスタマサービスに電話する必要がなくなる。

“顧客が抱える状況に合ったコンテンツを即座に提供できるし、単純なキーワード主義というよりセマンティック的に豊富な情報だから、顧客が求めている情報がより具体的に企業にも分かる”、とFulkersonは語る。

このサービスは、それを利用する企業にとってさまざまな価値がある。まず、企業のWebサイトへの自然なトラフィックが増える。製品を検索した消費者ユーザが、それを実際に買う可能性が大きい。納得いく答が得られるから、顧客満足度が上がる。答を自分で見つけたユーザは、それだけでいい気分になるのだ。

しかもMindTouchを使っている企業は、人びとがそれらの情報素材をどのように利用しているかに関する、細かい統計的データを得られるので、それは販売や営業の部門で非常に役に立つ。顧客の関心が分かれば、セールスを前進させられる。顧客が関心を持っている情報のタイプも分かるから、企業の製品や、このQ&Aサービス自身の、今後の新しい機能を作るための参考にもなる。

Fulkersonによると、とくにマーケティング努力もしなかったけど、現在のユーザ企業はおよそ400社、中にはRemington、Docker、Zenefits、Whirlpoolなど有名企業もいる。

今回初めて外部資金を導入したのは、スケールアップのためだ。Fulkersonによれば、そろそろ競合他社も現れそうだから、それに負けないだけの企業体力をつけておきたいのだ。

具体的には、1200万ドルは営業とマーケティング部門の整備、そしてプロダクトを改良していくためのR&D部門を置くことに充てられる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

サービスのパーソナライズを可能にするアルゴリズムの進化に必要なもの

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パーソナライズした体験をもたらすアルゴリズムは、昨日選んだものにも、今日選ぶもの、明日選ぶものの全てに影響を与えるようになる。

しかしパーソナライズ化が上手く行っていない所もある。私たちは興味のない、ユーザーの気を引こうとする広告に継続的に出くわす。デジタルのパーソナルアシスタントはそんなにパーソナライズされていない。ニュースフィードの深いアルゴリズムの溝がユーザーと友人を引き離しているし、オンラインで見るコンテンツは同じものがずっと繰り返し表示されている。

パーソナライズのための私たちの偶像は、遊園地の鏡張りの迷路に映る自分の姿のようだ。パーソナライズ化の過程でユーザーは抽象化され、デジタルという鏡に投影されたユーザーの興味関心は実際のものと乖離してしまっている。

パーソナライズ化のために埋めるべきギャップ

現在のパーソナライズされた体験が未完成なのには、5つの主要な要因がある。

データギャップ:これは、アルゴリズムの環境によりユーザーに関するデータが限定されていることで起きる。システムは、ユーザーに提供する体験とそれに対するフィードバックのループの文脈でしか、ユーザーを理解することができない。システムに外部のデータソースからの情報を入力したとしても、ユーザーの興味や好みの一部しか理解することができない。

計算処理ギャップ:計算処理の能力と機械学習テクノロジーの限界を指す。現在最速のシステムでも、複雑な個人をシステムのルールに従って理解するには遅すぎるのだ。同時に、最も先進的な機械学習のソリューションも、コンピューターがユーザーのことを遅滞なく学び、順応するには、まだ十分ではない。

パーソナライズ化の過程でユーザーは抽象化され、デジタルという鏡に投影されたユーザーの興味関心は実際のものと乖離してしまっている。

興味ギャップ:ユーザー、プラットフォーム、そしてサードパーティーの関係者(例えば、マーケッター)の意図が合致しないことを指す。つまり、ユーザーが見るものやできることは、誰の興味や好みを元に優先順位が決定されているかという問題だ。ユーザーは広告に興味がないかもしれないが、彼らの意思とは関係なく表示される。誰かがユーザーの注意を引くために料金を支払っているのなら、ユーザーが選べる範囲が狭まるのだ。

行動ギャップ:ユーザーの本当の意図と利用できるものの不一致を指す。例えば、ユーザーは存在していない「これは面白くない」ボタンを押したいと思っているかもしれない。あるいは、特定の画像を今後一切見たくないと思うかもしれないが、そのようにできる方法が存在しないといった場合だ。ユーザーの行動はフィードバックループの限定的な環境に収まるように簡略化されているのだ。

コンテンツギャップ:プラットフォームやアプリケーションにユーザーが求めていることやニーズにぴったり合うコンテンツがないことを指す。また、提供しているコンテンツの多様性が限定的な場合もある。例えば、スポーツニュースやレストラン情報のアプリやウェブサイトは関連するコンテンツがなくなる場合がある。トピックがニッチであるほど、ユーザーにとって継続的に有益なコンテンツが提供されるチャンスは少なくなる。

また、パーソナライズ化の根幹には普遍的なパラドックスが存在している。

パーソナライズ化は、デジタルの体験を個人の興味や好みに適応することを約束している。同様にパーソナライズ化はユーザーに影響を与え、毎日の選択や行動を起こす基準となり、ユーザーを形作っている。複雑でアクセスできないアルゴリズムが、ユーザーの代わりに見えない所で選択を行っている。それらは、ユーザーが認識できる選択肢を減らしている。つまり、個人の裁量を制限しているとも言える。

パーソナライズ化におけるギャップと内在するパラドックスにより、パーソナライズ化は不十分で未完成のままだ。ユーザーにとってアルゴリズムが自分の意図ではなく、他の誰かの意図を汲んでいるように感じてしまうのはそのためだ。

アルゴリズムによるパーソナライズ化の中核に人を置く

パーソナライズにより、個別ユーザーに対して更に良いサービスを提供するためには3つのデザインと開発の道が考えられる。

まず、パーソナライズ化には新しいユーザーインターフェイスの枠組みとインタラクションモデルが必要だ。直接的なアクションやそうでないアクションを効率的に学習してパーソナライズするインターフェイスは、データギャップを埋めることができる。同様に、システムがユーザーがしていることとそうでないことを学習することで、計算処理ギャップも埋まっていく。興味ギャップの問題を解くには、ユーザー自身が表示されるものを直接コントロールできるようにすべきだろう。ユーザー主導で異なるコンテンツやサードパーティーからの関連コンテンツを混ぜることのできるインターフェイスが必要だ。これによりユーザーは、自分に対し表示されているものを知ることができる。システムの透明性は、ユーザー自身が自分の好みを調節することを可能にし、プラットフォームやサードパーティーにとっても有益に働くだろう。

行動ギャップを埋めるには、本当の意図や反応を反映したカスタム絵文字やジェスチャーといった文脈も意識したインタラクションを実現する、ユーザー順応のインターフェイスが必要だ。また、システムはユーザーが興味を持ちそうなものが利用可能になった時、あるいは具体的なアクションが取れるようになった時に通知することでコンテンツギャップの減少につながるだろう。それは、腕に着けた端末の振動や、デバイスの画面の賢い通知メッセージといった形かもしれない。新しいインターフェイスは、リアルタイムではなく、パーソナライズ化した「自分時間」を優先するようになる。

次にパーソナライズ化には、関連したもの、意外なもの、タイムリーなもの、成熟したコンテンツを混ぜて提供することだ。データギャップと計算処理ギャップの観点では、より多様な選択肢を提供することで、システムがユーザーの本当に興味のあるものを詳しく理解することができるようになる。ユーザーは、自分の興味関心をより詳細に伝えることができる。そしてシステムは、ユーザーの行動から、これまで知り得なかったあるいは、形式通りではないものの中に関連性を見出すことができるだろう。

興味ギャップに関しては、関連情報と意外な情報を混ぜることで、ユーザー自身がどの情報を優先するかを決定することができる。関連した情報の中でも多様な選択肢を用意することで、システムが限定した情報の箱の中にユーザーを閉じ込めることがなくなる。時に表示される関連のないコンテンツも体験を阻害することはない。関連性があるかどうか、セレンディピティを起こす内容であるかどうかは、どちらも主観的で文脈に依存しているものだ。アルゴリズムはユーザーが新しいことを探索するのに前向きな時と、目標があり、特定の情報を求めている時を判別することができるようになる。

行動ギャップを狭めるためには、多様な賢いレコメンドで、ユーザーが自身のルールで選択することができるだろう。システムはユーザーの短期と長期における関心をそれぞれ理解し、ユーザーの情報ニーズを予測することができるようになる。タイムリーであるかどうかは、関連性と同義ではない。大量のコンテンツは、時間の経過と共に魅力や意味を失うのではない。コンテンツギャップは、幅広く分野の濃い内容の興味深い情報が集まるほど、効果的に埋まっていくことだろう。

そしてパーソナライズ化は、集合的知識と人工知能を取り入れるべきだ。物事の関連がすぐに分かり、コンピューターはより賢くなって、物事は更に効率的になる。計算処理ギャップを減少させるためには、人と機械の情報の流れを加速させることだ。人は(まだ)この世界で最もパターン認識に優れたシステムだ。私たちは協力して、意味のあるサインを見つけだすことができるだろう。人工知能が順応するインターフェイスと予測を立てる学習システムを強化することにより、人による意味付けを活用することができる。

人が主軸となるパーソナライズ化は、人がキュレートしたシグナルと順応する機械学習のソリューションを統合する。この方法で知的なシステムは、個人及び集合的なインタラクションと洞察により進化することができる。そして、人の想像力と非合理性がアルゴリズムの決定による制限を打破するだろう。

パーソナライズ化のパラドックスはどうだろうか?パーソナライズ化の領域の中には、客観性は存在しないし、客観的な視点もあるべきでもない。ユーザーがアルゴリズムを形作り続け、アルゴリズムもユーザーを形作り続ける。それがさらに私たちにとって有益になるよう、人が周りの物事の関連性や意味付けを主観的に行う方法をパーソナライズ化アルゴリズムが理解する必要がある。

結局の所、パーソナライズというコンセプトは、産業的な大量生産とマーケティングの世界から派生したものだ。アルゴリズムの力を借りた意思決定を行う新時代に移行しつつ、個人の能力に重きを置くには、パーソナライズ化アルゴリズムではなく、選択アルゴリズムを作らなければならないということかもしれない。

そのようなアルゴリズムをどこが構築することになるのだろうか?

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

アプリや広告の個人化(パーソナライゼーション)をよりリアルにするQuettraのPortraitはユーザの‘アプリグラフ’を調べる

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【抄訳】
アプリがどれだけ好調かを知るためにいちばん多く使われている二つの測度は、ダウンロード数と登録ユーザ数だ。どちらも百万のオーダーに達することがあり、アプリの人気の指標である、と言われている。でもダウンロード数では定着率を上げる方法がつかめないし、ユーザがそのアプリを実際によく使ってるかどうかも分からない。

モバイルアナリティクスのスタートアップQuettraは、著名VCのGoogle VenturesやCrunchFund(本誌TechCrunchのファウンダMichael Arringtonが作ったファンド)、Horizons Venturesなどに支えられてしばらくステルス生活を送ってきたが、今日(米国時間5/15)、そのプロダクトの一般公開にこぎつけた。それは、アプリに関心を持ったユーザにとりあえずそのアプリをせめて一回は開いてもらえるために、デベロッパが行うべき微調整を助ける、というプロダクトだ。

Portraitと呼ばれるそのプロダクトは、アプリとユーザに対する新しいタイプのアナリティクスで、とても軽量であると同時に得られる情報量は多い、という特長がある。

今や、モバイルユーザから情報を得る方法はたくさんある。センサでユーザのアクティビティや位置や、ご当地の気圧まで計る方法があるし、モバイルWebで今何を閲覧しているか、どのアプリのどこをクリックしたか、どれだけの量のデータを使ったか、スマホはどの機種を使っているか、などなども知ることができる。

それらに対して、QuettraのPortraitがやることはただ一つ、ユーザの“アプリグラフ”というものを調べるのだ。つまりそのユーザのiOSまたはAndroidデバイスには、すでにどんなアプリがインストールされているか、を調べる。そしてその情報をQuettraが開発したビッグデータ処理にかけ、それらのアプリからユーザの特性を把握する。

デベロッパは、そこから得られた情報を利用して、自分のアプリにそのユーザの気持を乗らせる方法を考えたり(たとえばコンテンツの提案をもっと増やす、とか、アプリをユーザの好みにもっと合わせた仕様にするとか)、アプリの最初の使用の直後に適切な通知を送ったり(通知はユーザが無視するスパムの洪水になりつつあるから良質な通知にとっては好機)、そのユーザにとって意味のあるアプリ内広告を出したりできる。

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[→写真吹き出し訳: ユーザは純粋な菜食主義とポッドキャストとフィットネスに関心がある]

QuettraのファウンダAnkit Jainは、Google Playの検索と発見を担当していた。彼によると、ユーザのアプリ集合に基づくインテリジェンスデータベースにはすでに1億2500万プロフィールぶんの情報があり、その一部はPortraitの非公開ベータに協力した数社のパブリッシャーから提供されている。

それらのパブリッシャーは、Quettraに投資もしているSungy Mobileや、Haptik、App In The Air、Echo Lockscreen、Dil Mil、RV App Studios、Junglee Gamesなどだ(Quettraが挙名しなかったパブリッシャーもある)。

デベロッパはPortraitのアナリティクスをSDKを使って実装し、誰かがそれを実装しているアプリを開くと、アプリがすぐにそのデバイスをスキャンしてアナリティクスの結果をデベロッパに返すので、それに対応してもっと良いコンテンツをプッシュする、などのことができる。

ParseやUrban Airship、MixPanelなどのマーケティングオートメーションプラットホームや、Admob、InMobi、MoPubといった広告ネットワークとも統合できる。

Quettraがまだステルスしていて、最初の資金調達を発表したときには、広告主がユーザのことをもっとよく知るようになる、という点を強調した。でも最近ではもっと幅広いねらいを訴求するためか、広告のことはあまり強調しなくなった。ユーザは、自分のアプリのプロフィールが外部に知られることから完全にオプトアウトする(iOSやAndroidではそれがプライバシー設定の一部であり、それはまた広告ネットワークがユーザを調べる方法に対してシステムが行う‘管理’でもある)。しかしPortraitではそういう場合ユーザは完全に匿名でジェネリックであり、QuettraのSDKは具体的なプロフィールを取得しない。

【中略】

Quettraは、ダウンロード数と登録ユーザ数だけに依存する素朴で幼いアナリティクスの時代を過去に葬り、定着率(リテンション)の向上策にハイライトを当てる。Jainによると、GoogleもFacebookもTwitterも、今ではその方向に傾きつつある。だが、QuettraとPortraitばかりでなく、スマート通知のAppBoyや、ユーザの選好(プリファレンス)を知ろうとするSensiyaなども、アプリを個人化(パーソナライズ)するモアベターな方法で先頭に立とうと頑張っている。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa