夢の衣類折り畳みロボ「laundroid」開発会社が倒産、負債総額は22億5000万円

帝国データバンクによると、seven dreamers laboratories(セブンドリーマーズラボラトリーズ)は、4月23日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。

同社は、睡眠サポート器具「ナステント」、カーボン製ゴルフシャフトなどの販売のほか、世界初の全自動衣類折り畳み機「laundroid」(ランドロイド)の開発を手がけていた企業。laundroidの開発にはパナソニックと大和ハウス工業も参入し、2017年度の一般販売を目指していた。 また同社は、両社から2018年9月に第三者割当増資で10億円を調達していた。

laundroidの開発が難航したことで赤字が膨れ上がり、2018年度中の販売も再度延期。2018年11月には、ゴルフシャフト事業を別会社に譲渡したほか、大幅減資による累損解消を実施したが、持ちこたえられなかった。負債は債権者約200名に対しで約22億5000万円とのこと。

「ナステント」は、手軽にいびきを解消できるグッズとして人気が高かった

子会社のセブン・ドリーマーズ・ランドロイドも負債約9億3000万円で、同日に破産手続き開始決定を受けている。同社が手がけるlaundroid事業およびナステント事業については、現在事業譲渡の交渉を進めているという。未完の衣類折り畳みロボのlaundroid事業の譲渡は難航するかもしれない。一方、いびきや無呼吸睡眠を手軽に改善できるナステントは、医療機器として広まりつつあるので今後の動向が気になる利用者も多いだろう。続報が入り次第、記事をアップデートする。

毎週2〜4社のスタートアップが倒産―、企業清算の専門家が語る業界の現状

Marty Pichinsonと彼が共同設立したSherwood Partnersは、事業に失敗したスタートアップの資産売却や、彼らが順を追って倒産の手続きを踏めるように資金をやりくりして猶予期間を伸ばす手助けを、25年間にわたって主要事業として行ってきた。その結果、彼はターミネーターや葬儀屋といった死に関連した様々なニックネームで呼ばれている。

しかし、セールスマン魂と同じくらい気の強さで有名なイリノイ生まれのPichisonは、Sherwood Partnersの事業がうまく行く限り、そんなニックネームのことを気にかけることもない。

そんなPichisonに先週インタビューを行い、現在のスタートアップ業界に関する話を聞いてきたので、この記事ではその様子をお伝えしたい。

TC:株式市場のトレンドが上向いてきて、スタートアップの資金調達状況も順調なように見えますが、企業倒産の状況はいかがでしょうか?

MP:毎週2〜4社が清算していて、これは今まで見たことがないようなスピードです。個人的には、もしもうまく行かなければすぐに投資をやめて他の企業に目を向けるというSequoia Capitalのアプローチをとる(投資家が)増えているのではないかと考えています。

TC:投資家はこれまでもそうしていたんじゃないですか?

MP:その速度が上がってきているんですよ。MicrosoftやIntel、Facebook、Google、Appleといった企業は自分たちのテリトリーを築いていて、そこから動くことはありません。そのため、ちょっと捻りを加えた類似事業を行う企業が生き残るのが段々難しくなってきています。他の企業が新しい機能やツールを開発しても、大手企業はこれ幸いと、次のバージョンでその機能を(自分たちのプロダクトに)追加してしまうんです。

TC:ここ何年かの間は、お話を聞くたびに仕事が忙しいと仰っていましたが、たまには落ち着くこともありますよね?

MP:Sherwoodは設立時(1992年)からほぼ継続的に成長してきましたが、確かに2014年には理由も分からないまま仕事が減ったことがありました。まぁ当時のVCは、(スタートアップが資金調達する前に自分たちの投資利回りを上げるために)投資先企業をギリギリまで追い込んでいたので、2015年中には(VCが投資をストップしたため)四半期の成績としては最高額を記録しましたけどね。

TC:上場の動きが現在広がっているように見えますが、IPOを行う企業が増えるとどんな影響が生まれるのでしょうか?

MP:IPOは特に関係ありません。IPOの数が増えたというのは、各業界の勝者が決まったというだけで、それ以外の企業は成功をおさめた企業の後塵を拝するだけです。ソーシャルネットワーク業界でFacebookが勝利をおさめたときと何ら変わりありません。

その一方で、この業界へは引き続きお金が流れ込んでいて、スタートアップの株式は本当の意味でひとつのアセットクラスへと成長しました。レストランや歯医者、ショッピングモールなんかの統合を行っていたプライベート・エクイティを含め、誰もがこの業界に入り込みたいと思っているんです。これ以上ショッピングモールが増えるとも思えませんしね。このようにテック企業には注目が集まっていますが、彼らの投資先の企業全てが成功するとは限りません。

TC:もっと具体的な話として、例えばシリーズBの段階にある企業の清算を担当することが多いといった傾向はありますか?どのくらい早い段階で投資家は身をひくことが多いのでしょうか?

MP:特にこれと言った傾向はなく、シリーズBからシリーズEの段階にある企業まで担当する企業の種類は様々です。3社か4社くらいユニコーン企業をたたむ手伝いをしたこともあります。全体に関して言えば、必要以上の負債を抱えているスタートアップが多いなと感じています。まずVCからの期待があって、在庫や売掛金が加わって、さらに負債が積み上がってくるとなると、その会社は投資家だけなく債権者のことも気にしなければいけなくなります。債権者はとても具体的なものを企業から求めていますしね。

TC:特にスタートアップの割合が多いと感じる業界はありますか?

MP:ストリーミングからハードウェア、ソフトウェア、ファッションまで、業界ごとの偏りは特にありません。ただ私たちが問題視しているのは、プロダクトのコンセプトや恐らく顧客の満足度に関しても似たような企業が、それぞれ全く違うアプローチをとっているので、複数のスタートアップを統合して1つの有力企業をつくるのが難しいということです。企業統合にかかるコストが高すぎるんです。

TC:何年も前に、Sherwoodが知的財産の売却を始めたという話をされていて、当時マウンテンビューに知的財産のオークションを行うAgency IPという会社まで新設されましたよね。今でも企業を清算するときは知的財産に1番注目されていますか?

MP:Sherwoodが売却してきた特許の数は、恐らく他のどの企業よりも多いと思います。通常の場合、(債権者の)ローンを返済するためには、特許を売却するくらいしか手立てが残っていないので、企業の本当の価値に比べれば売却額は少なくなってしまいます。それでも担保付ローンを返済するのに十分なくらいの金額にはなることが多いですよ。

TC:あなたに頼ってくるVCには何とお話されていますか?投資先企業を絞るということ以外に、何か彼らに対するアドバイスはありますか?

MP:私はここ何年間もVCに対して、もっと早く私たちにコンタクトするように言っています。中には、投資先のスタートアップがランウェイの終わりを迎える1年くらい前に連絡してくるVCもあります。しかし(うまくやれば)、そこそこの企業が優良企業に勝つのは難しいことではありません。顧客が優良企業のことを知る前に、目的のターゲットに自分のプロダクトを使ってもらうことが重要なんです。

他にも、あるひとつのアイディアに固執しているスタートアップを見かけますが、そんなとき私たちは「それはアイディアでも何でもないですよ。この全体の10%にあたる事業で最近売上が出始めていますよね?他のことはやめて、この事業に集中してください」といった感じのことを伝えています。

TC:最近ロサンゼルスに拠点を移されたようですが、その理由を教えてもらえますか?

MP:ロサンゼルスには18ヶ月前に引っ越してきました。シリコンビーチは本当に素晴らしいところですね。決して安くはありませんが、まだまだ新たな建物を建てるだけの土地もありますし。これからはコンテンツとテクノロジーの融合が次々に起きると思います。AmazonとNetflixがアカデミー賞を受賞して、どの企業も他の領域に進出しようとしていますが、ひとつの企業で全てを賄うことはできません。

TC:企業の清算や再建といった観点ではどうですか?シリコンバレーの方がそういった点では良さそうに見えますが。

MP:まだシリコンバレーには大きなオフィスを持っていますよ。ニューヨークのオフィスには4人置いていて、ロサンゼルスのチームは2人から10人に増えました。

ロサンゼルスの人気が今後もっと高まっていく中で、私たちは現在なかなかいいポジションにいると思っています。家で朝食をとってからロサンゼルスに飛んで、投資先企業とランチをして、良いホテルに泊まって、次の日にまた別の会社とランチをとって、夕食までには(ベイエリアの)自宅に戻ってくる、という方がVCにとっては効率がいいですからね。街によって仕組みが全く違うので、他の街ではこうはいかないだろうな、となんとなく思っています。ボストンではロボットと医療が盛り上がっていて、ニューヨークは少し落ち着いていますが、移動が楽ということもあって、VCはロサンゼルスに来ることの方が多いです。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Gawker Mediaがニューヨーク南部地区連邦地裁に破産申請

GOOD MORNING AMERICA -Nick Denton of Gawker is a guest on "Good Morning America," 3/24/16, airing on the ABC Television Network. (Photo by Fred Lee/ABC via Getty Images)
DAN HARRIS, NICK DENTON

ニューヨーク南部地区連邦裁判所から公開された文書によれば、今日(米国時間6/10)、Gawker Mediaは破産を申請した。

Gawkerの破産申請は、プロレスラー、ハルク・ホーガン(本名、Terry Bollea)との法廷闘争が長引く中で行われた。ホーガンはGawkerがセックステープの一部を公開し、これに関するブログ記事を書いたことで同社を訴えていた。

ホーガンおよび他の何人かのGawkerに対する訴訟はPayPal共同ファウンダーでベンチャー投資家のPeter Thielが財政的に支援していたことが最近になって明らかになった

今年3月、陪審員はGawkerがホーガンに1億4000万ドルの損害賠償を支払よう認定していた。Gawkerは控訴中

Gawkerは裁判所に対し、賠償の支払いの前に控訴審を進めるよう認めるよう求めていたが、Politicoの記事によれば、 判事は今日Gawkerの請求を退けた。裁判所によるこの決定がGawkerの破産申請の引き金を引いたものとみられる。

連邦破産法11条の適用の申請書でGawker Mediaは同社の資産には5000万ドルから1億ドルの価値があるものの、直面する負債額(ホーガンへの支払いを含め)は1億ドルから5億ドルに上るとしている。

11条申請で今後Gawkerが運営するGawker、Jezebel、Deadspinその他のサイトに加え無料のニュース・プラットフォームのKinjaがオークションにかけられることになる。今年1月、Gawker Mediaは訴訟費用を確保するために一部株式をColumbus Nova Technology Partnersに売却する計画を明らかにしていた。

すでに何社かGawker Mediaの買収に関心を示している企業が現れている。 その一つは PC Magazinなどを運営するZiff Davisで、破産申請に関連してすでに買収の申し出を行っている〔 Ziff DavisのCEO、Vivek Shahの提案メモに関してはRecodeに全文が掲載されている〕

プレスリリース中でNick Dentonは買収案について「この訴訟により長年続いてきた独立のメディアとしての地位を諦めることとなったが、われわれのライターは引き続き真実を書くことに集中し、何百万もの読者の信頼に応えていく。〔売却による組織再編でGawkerは〕訴訟から解放され、プラットフォームや新媒体の構築という本来の重要業務に集中できる」と書いている。

情報開示:この記事の執筆者はGawkerの元編集長、A.J. Daulerioの下でニュースサイトのRatterに属していた。 Daulerioはホーガンのセックステープ事件の記事の執筆者であり、訴訟において個人的に賠償額を認定されている。

この記事の執筆にはAnthony Haが協力.

〔日本版〕Gawker Mediaの申請書全文は原文を参照。Politicoの記事によれば今回の申請はホーガン側によるGawker資産の差し押さえを防ぐためという。売却代金はエスクローに保管され、控訴審の判決に応じてホーガンまたはデントンや株主に引き渡される。

Gawkerの申請の根拠法は、Title 11 of the U.S. Code – Bankruptcy Chapter 11。Wikipediaではアメリカ合衆国連邦倒産法第11章と訳されている。内容は日本における民事再生法に近い。債務者による債務整理、会社再生に関する立案が可能。連邦法の構成からすれば「11章」と訳すのが適切だが、「連邦破産法11条」という訳語が広く使われているため暫定的にこちらを使用。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+