ランディー・フリアーCEOが去り、Huluはディズニーの下で構造改革を推進

Huluのは米国時間1月31日、CEOであるRandy Freer(ランディー・フリアー)氏がDisney(ディズニー)の消費者を直接対象とする(ダイレクト・トゥー・コンシューマー、D2C)ビジネスに即した大規模な構造改革のメンバーから外れることになったことを明らかにした。ディズニーは、21st Century Fox21世紀フォックス)を買収し、続けてNBC Universalの完全な経営権を獲得した後、昨年、Huluの経営権を獲得した。しかし現在まで、Huluの経営は従来どおり大幅にHuluに任されていた。

この動きは、現在Disney+とESPN+も含む、ディズニーのDTC事業スリム化計画を示唆している。Foxネットワークグループの社長兼COOだったフリアー氏は、2017年にHuluに入社。SECファイリングによれば、彼の在籍中にHuluの加入者は92000万件にまで増加した。

組織の再編により、Huluの経営幹部はKevin Mayer(ケビン・メイヤー)会長率いるDisneyのダイレクト・トゥー・コンシューマー&インターナショナル(DTCI)の同じ役職の人間に直接報告をするようになる。この変更で、さまざまな動画配信サービスを跨ぐリソースの分配が改善される。Huluの国際展開もより迅速に効率的になるだろう。

Huluの国際展開は、ディズニーに完全な経営権が移る以前から議論が始まっていた。2018年後半、同社の会長兼CEOのBob Iger(ボブ・アイガー)氏は、Foxとの契約締結が完了した後にHuluの経営チームと会い、Huluのグローバルな拡大とオリジナル番組への投資について話し合う予定だと言っていた。オリジナル番組の充実は、配信業者が、潜在顧客に提供する豊富なコンテンツを地元のコンテンツ所有者から入手できずにいる海外市場へのアプローチを優位にする。

Foxを手に入れたことで、ディズニーはFoxスタジオとFXが使えるようになった。Huluはそこで、オリジナル番組を数多く制作できる。さらに、ディズニーのD2Cビジネスのお陰で、Disney+、Hulu、ESPN+を組み合わせたさまざまな料金プランを、いろいろな国で試すこともできる。そのすべてでHuluが主導する必要がないのだ。

「過去2年間のCEOとしてのリーダーシップと、ここ数カ月間の協力によりHuluの非常に明るい未来を確信できたことを、ランディーに感謝したい」とメイヤー氏は、先週末に公開されただ談話の中で述べている。「Disney+の立ち上げが成功し、私たちは、私たちのDTCビジネスのポートフォリオ内、そしてポートフォリオ全体の規模の利益に集中できるようになりました。極めて有能なHuluチームと、私たちの組織との統合をさらに進めることで、より効果的、効率的なリソースの展開が可能になり、アメリカ国外での私たちの存在感を急速に高め、たゆまないイノベーションを継続できます。前途には膨大なチャンスが待ち構えています。私たちの前向きな力と顧客へのよりよいサービスを加速させる能力に、私は自信を持っています」と彼は話している。

フリアー氏はディズニーを称賛しつつ立ち去った。「Huluでの時間、そして驚くほど有能で繊細な人たちと働き学べる機会を持てたことを大変誇りに思います」というフリアー氏の談話がVarietyの記事に掲載された。「また、ケビンとウォルト・ディズニー・カンパニー、さらにNBC UniversalとFoxにも、脅威の伸びを見せ業界を大きく変貌させた時期にHuluを率いるチャンスを与えてくれたことを感謝したい。Huluは、今あるテレビシリーズの中でも最高のものを求める消費者にとって、一番の選択肢という地位を確立しました。Huluはディズニーの中の、DTCIの主導とリソースの下で繁栄するものと確信しています」と彼は話していた。

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(翻訳:金井哲夫)

『スタートレック:ピカード』でCBS All Accessが新規加入者数の記録を更新

CBSの動画配信サービスCBS All Access(オールアクセス)は、新シリーズ『スタートレック:ピカード』の初回配信、第62回グラミー賞授賞式、そして言わずもがなのフットボールの最盛期といった3つの大きなイベントで人気を博し、1月の新規加盟者数が過去最高となった。同社によれば2020年1月は、2019年2月の新規加入者数の記録を超えたという。さらに先週は、2019年のスーパーボウルの週の記録に迫る、過去2番目の数をたたき出した。

この記録には、期待されていたドラマ『スタートレック:ピカード』の配信開始が大きく寄与している。ファンの間で大人気のパトリック・スチュワート演じるジャン=リュック・ピカードは、惑星連邦宇宙艦隊の提督を引退し、家族のブドウ園で静かに暮らしていたが、その生活が脅かされる。物語は、『新スタートレック』シリーズの最後の劇場版映画『ネメシス/S.T.X.』の18年後の設定になっている。この作品はピカードを引っ張り出しただけではない。新スタートレックに登場したデータ(ブレント・スピンナー)、セブン・オブ・ナイン(ジェリ・ライアン)、トロイ(マリーナ・サーティス)、ライカー(ジョナサン・フレイクス)も呼び戻した。

本作品は、視聴者のノスタルジーだけを求めた他のリブート作品とは異なり、『ピカード』の作家陣は番組が伝えたい内容をよく考えている。その結果、映画評論サイト『Rotten Tomatoes』では95パーセントという高評価を得た。

CBSはまた、『ピカード』のエピソード1は総配信数の記録を更新し、CBS All Accessのオリジナル・シリーズでは、過去最高の加入者数を獲得したと話している。

『ピカード』の総配信数は、もうひとつのスタートレック・シリーズであり不人気のうちに終わった『スタートレック・ディスカバリー』が打ち立てたCBS All Accessの最初の記録と比較して、115パーセント以上も上回った。しかも、CBS All Accessのオリジナル・シリーズを視た加入者数として『ディスカバリー』以前の記録を180パーセント以上も上回っている。

一方、グラミー授賞式は、今まででもっとも多くの配信数を記録し、授賞式が行われた1月25日の日曜日には、新規加入者数の新記録を打ち立てたとCBSは伝えている。新規加入者数は、2019年の80パーセントを超える増加率で、これは同サービスのユニーク視聴者のうちの30パーセント以上を占めている。

ただし、CBS All Accessのみの加入者総数については、CBSは公表していない。また、どれだけの数が広告なしのプランにアップグレードしたかも不明のままだ。

代わりにCBSは、CBS All AccessとShowtimeのOTTサービスの加入者数を1000万人とだけ発表している。

いずれにせよこの数字は、NetflixやHuluといったライバルの動画配信サービスには遠く及ばない。Netflixはアメリカ国内の加入者数が6100万Huluは2900万となっている。Disney+やApple TV+といった新顔も急成長している。Disney+は加入者数が2320万から2500万推定されている。Apple TV+はさらに多いとの見積もりもあるが、調査会社の調査方法には疑問が残る(Apple TV+は、Appleのデバイスを新しく買った人は1年間無料で利用できるわけだが、だからといって視聴しているとは限らない。今後、有料プランで利用するかもわからない)。

要するに、これらの数字が示しているのは、CBSが成長するためには、フットボールや季節のイベント、新しいスタートレック・シリーズ以上のものが必要だということ。『スタートレック:ピカード』がヒットしたとしても、スタートレックだけが目当てのファンたちは、番組配信時にだけ加入して、シリーズが終われば解約してしまう。なかには、一気見配信が始まるまで待つ人もいるだろう。それなら、無料トライアルで見終えることもできる。

だが、新しくViacomCBSを合併したことで、新たなオプションが使えるようになった。合併の結果として、ニコロデオン、BET、MTV、Comedy Centralの番組がCBS All Accessで見られるようになることをViacomCBSの経営幹部たちは示唆している。これにより、2022年までにCBS All Accessの加入者は2500万人に達すると同社は見込んでいる

「このサービスは、目覚ましい継続的な成長を遂げてきました。そして『スタートレック:ピカード』、グラミー授賞式、フットボールの最高のシーズンにより達成された新記録は、CBS All Accessにとって夢のような年のキックオフを飾るすばらしい出来事となりました」と、ViacomCBSの最高デジタル責任者であり、CBS Interactiveの社長兼CEOのMarc DeBevoise(マーク・デベボワース)氏はいう。「CBS All Accessは、オリジナル・シリーズからスポーツ、スペシャルイベントなどの多様ですばらしい番組で、今後も成長を続けます。私たちは、見逃せないドラマやイベントが絶え間なく続く番組表を提供できるように、2020年の戦略的な計画を立てています」と話した。

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(翻訳:金井哲夫)

キュレーターが作品を推薦するコレクションズ機能をNetflixがテスト

Netflixは、ユーザーが観たいであろうテレビ番組や映画を推薦する新しい方法としてCollections(コレクションズ)機能のテストを開始した。現在はiOSデバイスでテストが行われている。すでにNetflixでは、視聴履歴をもとにしたテーマ別の推薦を行っているが、コレクションズはテーマだけに縛られない。Netflixによると、社内のクリエイティブ部門に属する専門家によって作品がキュレーションされ、ジャンル、雰囲気、ストリー、キャラクターの特徴など、類似の要素をもとにコレクションズに分類されるという。

人間によるキュレーションは、Netflixがこれまで行ってきた推薦方法とは違う。この配信サービスは、アクション、ドラマ、SF、ロマンスといった大まかなグループ分けを超えた、何百ものニッチなカテゴリーを有する高度な分類システムで知られているが、さらに絞り込んだサブカテゴリーによって、より正確にターゲットを絞った推薦が可能になる。

またNetflixは、サービス全体で人気の高い、または流行っているタイトルを常に追いかけ、他の人たちが何を視ているのかがわかるようにする。

この新しいコレクションズ機能は、最初にジェフ・ヒギンズ(Jeff Higgins)氏が発見し、この新機能のスクリーンショットを何点かツイートした。

コレクションズを試してみたい方は、アプリのホームページ右上に現れるオプションを選択して欲しい。これまでMy Listがあった場所だ。

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NetflixのCollectionsは、視たいものを探す新しい方法だ。しかも早く。

推薦作品は、“Let’s Keep It Light”(軽くいこう)、“Dark & Devious TV Shows”(暗くて悪辣なテレビ番組)、“Prizewinning Movie Picks”(賞を取った映画)、“Watch, Gasp, Repeat”(視て、息をのんで、その繰り返し)、“Women Who Rule the Screen”(画面を支配する女たち)などなど、数々の編集グループに分類される。

メインの画面からそのコレクションをフォローできる。タップすれば、このグループの作品をさらに調べることができる。

「好きなテレビ番組や映画が見つかる簡単な方法」

興味のあるコレクションをタップすると、画面が滑らかに切り替わり、コレクションの内容を説明するヘッダーの下に作品のサムネールが現れる。ここでそのコレクションをフォローしてもよい。すると、おそらくNetflixの通知システムとリンクされる。

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Netflix Collectionsで画面が滑らかに切り替わるところ。

この新機能にアクセスした人は、アプリのホームからもコレクションが選べるようになる。

「私たちは、私たちのファンと、みなさんが気に入るであろう作品とを結びつける新しい方法を常に模索していますが、そのひとつとして、Netflixの作品をキュレーションしてコレクションズにまとめるという新しい方法をiOSアプリで試しています」とNetflixの広報担当者はTechCrunchに話してくれた。「私たちのテストは、どれだけ続けるか、どの国で実施するかは毎回異なり、私たちのサービスの恒久的な機能になることもあれば、ならないこともあります」。

Netflixがコレクションズとして推薦作品の分類をあれこれ試すのは、これが初めてではない。同社のDVDサービス(そう、まだあったのです)は、その専用モバイルアプリにこれとよく似たコレクションズ機能を導入した。

今回のテストは、間もなく登場するDisney+やApple+といったライバルを含む競合サービスの増加を見込んで、現在の契約者を囲い込むための機能を開発する中で実施された。その関連で、先日発表された機能には、新タイトルや近く公開されるタイトルを常に把握できるというものがある。常に次の作品へ楽しみをつないでもらうための戦略だ。

Netflixによると、コレクションズはiOSのみの対応とのこと。テストなので、すべてのユーザーに提供されるわけではない。

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(翻訳:金井哲夫)

Netflix、Q2新規登録者数が500万人超えーーオリジナルコンテンツへの注力が奏功か

Netflixの新規登録者数が業界予想、そして彼ら自身の予想を2四半期連続で大幅に超えた。

本日(現地時間7月17日)の発表によれば、2017年第2四半期の新規登録者数は520万人で、同社の予測値の320万人を大きく上回った。このニュースを受け、株価は一気に9%上昇。新規登録者のうち400万人以上は海外のユーザーとされているが、北米外への進出に力を入れている同社の動きを考えると、国内の新規登録者数が100万人以上伸びたというのも驚きだ。

そして登録者数こそ、投資家が常に気にしている数字だ。決算書は各数字の算出方法などを変化させることで、ある程度実態よりよく見せることができる一方で、将来の経営数字に影響を及ぼすのは、他でもない登録者数(Facebookで言うところのユーザー数)なのだ。さらにNetflixは現地市場をほぼ支配しているが、海外市場にはまだまだ伸びしろがある。

登録者数の伸びには、国内だけでなく海外でも人気を博しているNetflixのオリジナルコンテンツが関係しているように思える。今回発表されたレポートの中には遠回しな表現もいくつか見られたが、注目すべきは同社の総登録者数の約半数が海外ユーザーで、「2017年の年間決算では海外市場が利益に貢献するだろう」と予測している部分だ。後半は少しわかりづらいものの、とにかく海外事業が予想よりもうまくいっているということは間違いないようだ。

「コンテンツの人気を過小評価していたこともあり、第2四半期には全ての主要市場で予想よりも登録者数が伸びた」と四半期報告書には記されている。

Netflixが1月に発表した昨年の登録者数の純増は、国内が200万人、海外が500万人で、これも当時の投資家予想を大きく上回っていた。同社はコンテンツ制作にかなり力を入れているが、国内市場が飽和状態に近づくにつれて、海外ユーザー数を増やす方法を模索しなければならなかった。最近では『3%』をはじめとするオリジナルコンテンツの制作が功を奏し、海外市場での勢いも順調だと語っている。

四半期報告書によれば、第2四半期の収益は27億9000万ドル、EPS(1株あたり純利益)は15セントだった。一方、アナリストの予想は収益が27億6000万ドル、EPSが16セントだった。収益面ではほぼ予想通りだが、(繰り返しになるが)ここで重要なのは登録者数だ。

高品質なオリジナルコンテンツ制作の努力は、実際に実を結びはじめているようで、今年のエミー賞にもNetflixのオリジナル作品がいくつもノミネートされていた。しかし、エミー賞ノミネート作品をうまく活用することで、同社はまだまだ登録者数を伸ばせられるだろう。海外市場は需要過多の状態にあるため、国内外両方のユーザーにとって魅力的なコンテンツを制作している企業だという評判を確立できれば、それも難しい話ではないはずだ。ちなみにNetflixは、今年だけで60億ドルもの資金をオリジナルコンテンツ制作に投じる予定。次から次へと新しいコンテンツを求めるユーザーのことを考えると、この数字は今後さらに増えていきそうだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

口パク動画のMusical.lyが新アプリをローンチ―、今度は1対1のビデオメッセンジャー

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ティーンやトゥイーン(10〜14歳前後の子ども)をターゲットにした口パク動画アプリのMusical.lyが、App Store上で新しいアプリを公開した。数日前に、同社はPing Pongと名付けられたビデオチャットアプリの配信をApp Store上でスタートさせていたが、どうやらこれは一般公開前のテストリリースだったようだ。これで上海に拠点を置くMusical.lyがリリースしたアプリの数は、合計で4つになった。同社のフラッグシップアプリであるMusical.lyのユーザー数は、昨秋時点で1億人を超え、ライブビデオ配信アプリのLive.lyはリリースから数ヶ月のうちに、TwitterのPeriscopeを追い抜かした

サンフランシスコにも拠点を構えているMusical.lyの評価額は、昨年5月に1億ドルのラウンドをスタートした時点で5億ドルに達していた。当時のユーザー数は6000万人ほどで、まだMusical.lyは成長途中にあった。そして同社は資金調達後すぐに、ビデオを介してリアルタイムでコミュニケーションがとれるLive.lyを、同社にとって2つ目のアプリとしてローンチし、Facebook LiveとPeriscopeに挑んでいった。

共同CEOのAlex Zhuは、ユーザーが音楽以上のものを共有しているということにMusical.lyのチームが気づき、このトレンドをビジネスにできないかと考えた結果、Live.lyが誕生したと説明していた

その後同社は、3つめのアプリとなるSquadをローンチした。このアプリも、Musical.lyのユーザーをもっとソーシャルな方向へと動かし、お互いに交流できるような場を提供している。シンプルなグループビデオチャットアプリのSquadは、今年の1月にリリースされたものの、Product Huntで取り上げられた以外では、特にマーケティング活動の痕跡は残っていない。

そしてリリース後は、多くの人がSquadをHousepartyと比較していた。Housepartyもティーン向けのグループビデオチャットアプリで、ライブビデオ配信サービスの先駆者的な存在であるMeerkatと同じ会社が開発を手掛けている。なおMeerkat自体は、PeriscopeやFacebook Liveの登場でシャットダウンへと追い込まれた。

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Squadのスクリーン

一方Ping Pongは、ユーザーがグループではなく1対1でやりとりすることを除いては、Squadの変化形でしかないような印象を受ける。恐らくこのアプリの目的は、ユーザーがグループでリアルタイムにやりとりするのと、1対1での非対称ビデオメッセージを送り合うのと、どちらを好むのか検証することにあるのだろう。

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Ping Pongのスクリーン

SquadもPing Pongも、まだそこまでユーザー数は伸ばせていないようだ。App Storeのソーシャルネットワーキングのランキングを見てみると、Squadが318位に、Ping Pongは700位にランクインしている。ソーシャルメディア上でもPing Pongの話あまり見かけず、現在のところPing Pongはサインアップさえできない状態にある(Squadは問題なく動いている)。

サインアップができないというエラーメッセージが表示されるわけではなく、Ping Pongは利用者の多い時間帯にはまだ対応していないようで、読み込み画面でスクリーンが固まってしまう。Facebook経由でもサインアップはできないが、おかしなことにFacebookはPing Pongのことを「chacha」と呼んでいる。もしかしたらコードネームなのかもしれない(一方で偶然?にも、北京発のChaChaというビデオチャットアプリも存在する。しかし両社の関係についてはよくわかっていない)。

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TechCrunchは、先週末からMusical.lyに何度もコンタクトを試みているが、メディアにめったに登場しないことでよく知られる同社からのコメントはまだない。

Ping PongはApp Storeで公開されており、アプリの様子をみることはできるが、先述の通りサインアップは少なくとも今のところできなくなっている。

Ping PongもSquadもGoogle Playでは配信されていないが、主力アプリのMusical.lyはAndroid向けの「Musical.ly Lite」として公開されている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

100万人以上の若者が利用するグループビデオチャットアプリHouseparty

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ライブストリーミングには、大きなイベントを放映したり、一対一のビデオコールをしたりする以外にも使い道がある。Housepartyを使って、一日に合計2000万分も会話している100万人の若者はそのことを良く知っている。Housepartyとは、ティーンに大人気のグループビデオチャットアプリだ。

今はなきMeerkatをもとに開発されたHousepartyは、同時性を備えたソーシャルネットワークという、新たなカテゴリーを牽引しているサービスで、実際に友人と会って話すのに最も近いエクスペリエンスを提供している。

フィード上に投稿して誰かがLikeボタンを押してくれるのを待ったり、メッセージ機能を使ってテキストやメディアを送受信したりする代わりに、Houseparty上のやり取りは全てリアルタイムで行われる。しかも、Housepartyでは誰かが中心となってコミュニケーションが行われるのではなく、スクリーンを最大8分割することで、会話に参加している人全員が一緒に話したり笑ったりできるようになっているのだ。

インターネット上のサード・プレイス

ファウンダーのBen Rubinは、Housepartyのことをインターネット上の居間のように考えていると話す。しかし同サービスの例えとして、居間はやや孤立性が強いように感じられる。Google HangoutsなどのグループビデオアプリとHousepartyの大きな違いは、会話に参加して欲しい人に対して、誰かを家に招くように、リクエストを送る必要がないという点だ。同サービスでは、ユーザーがオンライン状態になれば、すぐに「家の中」で他にアプリを開いている友人とパーティーを始めることができる。

これこそ、社会学者の言う「サード・プレイス」に、Housepartyがネットサービスの中で最も近い理由だ。

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「ファースト・プレイス」は人の家、つまり親密だが外の世界からは孤立した場所を指す。そして「セカンド・プレイス」は、職場のように、社会的だがフォーマルで大きな責任が伴う場所を指す。最後に、「サード・プレイス」は、カフェやバー、ショッピングモールのように、リラックスや人との交流、アイディアの共有、ブラブラして過ごすことなどを目的とした公共のスペースを指している。サード・プレイスは、それ以外の場所の厳しさに疲弊した心を休める場としても利用されることがある。

houseparty-appオンライン環境では、しばしばサード・プレイスが、意図的に作られずとも自然発生することがある。World Of WarcraftのようなMMORPGのプレイヤーの中には、ログイン後すぐに戦闘に加わるよりも、一緒にダベる人がいないかまず周りの様子を伺うという人もいるのだ。さらにSecond LifeやAltspaceのような仮想世界では、架空の家を建てたり、コンテンツを消費するのではなく、オンラインコミュニティへの出入りを目的としたユーザーの存在も確認されている。

Housepartyは意図的にサード・プレイスをつくり出し、そこへはユーザーの電話帳の中に存在する、現実世界のソーシャルグラフのどこからでもアクセスできるようなつくりになっている。その結果、ユーザーは自分が動かなくても友人と会うことができるほか、何かを作りだすというプレッシャーを感じることなく人と交流することができるのだ。

ティーンや若年層は、持ち余した時間を使って、友人と集まりたいという強い願望を持っている一方で、家族からの自立や交通手段、家の所有権の問題からその思いを完全には叶えられないでいる。その背景こそ、Housepartyが、ユーザーの60%以上を占める24歳未満の若年層に人気を博している理由だ。

パーティーは続く

新鮮な仕組みのおかげもあり、Housepartyは5月のiOSアプリのチャートで総合3位に急浮上したが、現在でも同アプリは、一発屋では終わらない力を持っていることを証明している。今週のチャートで29位まで順位を戻したHousepartyのデイリーユーザー数は、本記事のインタビューから数日経った時点で120万人を突破した。同時性を持ったこのアプリでは、ネットワーク効果が全てを握っている。既存ユーザにとっては、友人が新たに1人Housepartyを利用し始めるだけでも、アプリの価値が急激に上昇するため、Housepartyがエンゲージ率を維持できれば、サービスの価値が雪だるま式に上がっていくことが予想される。

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それに加えて、同社はサーバーをダウンさせないように努めなければならない。というのも、ライブストリーミングアプリのMeerkatからHousepartyへのピボット後、Housepartyの親会社であるLife On Airは、シリーズBでGreylockから調達した1400万ドルを引き伸ばして使うため、従業員数を36人から現在の11人へと減らしたのだ。

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当時Rubinは、PeriscopeやFacebook Liveが得意とするブロードキャスティングの分野では、Meerkatには勝ち目がないと気付いた。競合他社には、多くのファンを持つ配信者を雇って、プレミアムなコンテンツを配信するための資金力とコネクションがあったのだ。そこで、Life On Airはコストと人員をカットしながら、携帯電話のカメラという広く使われている入力機器を利用し、一般層をターゲットとしたHousepartyの開発を進めた。

これこそ、FacebookやInstagram、Twitter、Snapchatといった競合ソーシャルメディアが、Housepartyをコピーするのが難しい理由だ。Housepartyの同時的ライブ体験は、ユーザーがアプリを開いた瞬間に会話に加われなければ意味がない。そしてこの機能は、Instagramが本日発表した、ダイレクトグループメッセージへのライブ動画機能追加のように、あと付けできるものではない。さらに競合となる大手企業が、同時接続型のグループビデオチャットをサービスの中心に置くという極端なピボットを行うとは考えづらい。

つまり、Housepartyこそがユーザーの集う場所なのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Vimeoがサブスクリプションビデオサービスを開始

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Vimeoは独自の消費者向けサブスクリプションサービスの立ち上げで、Netflix,、Amazon、YouTube、その他の業者に挑戦しようとしている。このIAC所有の企業は、水曜日に収益レポートの一部としてこの発表を行った。 株主向けレターの中で、IACのCEO兼Vimeo暫定CEOのJoey Levinは、既存のサービスとの違いを強調しながら、この領域におけるVimeoの幅広い計画に関して詳述した。

この分野への同社の参入は、今年の初めにプレミアム、OTT(over-the-top)サブスクリプションビデオを提供するVHXを買収したときに、図らずも予想されていた。

この市場におけるVimeoの利点は、ゼロからスタートする必要はないということだ、とLevinは言った。今日このビデオネットワークは、1億1500万本のビデオを持ち、2億4000万人の月間視聴者から月に10億以上のビューを重ねている。そのうちの2400万人の視聴者は特に熱心で、月に3本以上のビデオを視聴している。そして、何百万人もがすでにVimeoのクリエイターからコンテンツを購入している、と彼は言った。

これまでは、消費者はVimeoの提供する様々な方法でクリエイターに対して支払いを行うことができた – 例えばクリエイターの選択によって、ビデオに対して直接払ったり、サブスクリプションを行ったり、という具合だ。クリエーターはまた、より多くの聴衆を獲得する努力の一環として、ビデオを無料で配布することが可能だった。

Vimeoに組み込まれた収益化ツールは、サイト上でコンテンツを共有する新興映画制作者、編集者およびディレクターたちを引き寄せてきた。そしてこれは、徐々に、Vimeo自身に、数十億ドルではなく数百万ドル程度のコンテンツ制作投資で、より大きな事業者、たとえばNetflix、などに対抗できるのではないかという考えを固めさせた、とLevinは語った。

Vimeoの、オリジナル

映像コンテンツへの投資の面では、これまでのVimeoは、Vimeo Originals構想の一部として、選ばれた番組、映画、コンサート、特別作品などに資金を提供することによってそのネットワークへの種まきをより戦略的に行ってきた。そのウェブシリーズの一つ「High Maintenance」はHBOによっても取り上げられ、短編映画のオスカーノミネートの4本のうちの3本はVimeoのディレクターの手によるものだった。また、Originalsの一本「Garfunkel and Oates: Trying to be Special」は本年のエミー賞に、いち早くノミネートされた。

Vimeoが独自のサブスクリプションサービスを実験し始めれば、当然多くの競争に直面することになる。これは消費者サイドでは、Netflix、Amazon、Hulu、YouTube、その他の消費者向けの、より巨大な事業者との競争を意味する、とLevin。しかしSaaSサイドでもMLBのストリーミングテクノロジープラットフォームであるBAMTech(ディズニーが現在、33%の株式を所有している)などとの競争が考えられる。

特にVimeoは、多くの場合YouTubeのライバルと目されることが多い。どちらのネットワークも無料のビデオ共有を可能にしており、クリエイターのコミュニティの期待に応えているからだ。

YouTubeも同様に、ここ数カ月の間に、サブスクリプションサービスへの進出をしようとしている。しかしThe Vergeの最近のレポートによれば、YouTube Redサブスクリプションサービスは、有料顧客の確保に苦労しているようだ。レポートによれば、その150万の加入者のうち、100万はまだトライアルの段階である。

しかし、Vimeoは同じような困難には直面しないだろう。なぜならそれは既にコンテンツを有料で楽しむ場所としての地位を確保しているからだ。

Vimeoの-のRoku

Levinは、Vimeoのより大きなビジネスモデルならびに、今日の主要なプレーヤーと比べたときの財務的な話題には触れなかった。その代わりに、彼はその収益性の高いコアのSaaSツール事業が7500万ドル以上の収益を生み出していることには触れたが、Vimeo全体のビジネスは赤字であり、直近の黒字化は優先していないと述べた。

ゴールは「数百万の直接取り引き顧客」のサブスクライブベースの成長を進めながら「クリエイターたちのための、数百万ものサブスクリプションと取引」を促進することである、とLevinは述べた。

「Vimeoは既に、貴重なコンテンツを生産し、観客を大規模に集め、財布を開いてくれる消費者を手に入れて、コミュニティとマーケットプレイスを手に入れています」と、Levinは株主へのレターに書いている。「今、私たちは、5000億ドルのテレビと映画マーケットの一部を切り取るために、マーケティング、プログラミング、プロダクトのイノベーション、そして破壊的な始まりの生のエネルギーと奔放な野心で、このシステムに燃料を注ぐ必要があるのです」と、彼は付け加えた。

そのサブスクリプションビデオ計画のニュースとともに、Levinは、Vimeoはサービスのカスタマーエクスペリエンスをリデザインしている最中であると述べた。それによってVimeo Originals、これまでのライブラリ、そしてクリエイターズマーケットプレイスがより包括的なサービスとなる筈だ。

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(翻訳:Sako)

2015年、最も輝いてたアプリ「Meerkat」にお別れを

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Meerkatを覚えているだろうか?2015年の始めごろにローンチし、SXSWで脚光を浴びたアプリだ。それから数週間で、誰もがMeerkatの話をするようになっていた。そこにPeriscopeがやってきた。ほぼステルスだったPeriscopeは、Meerkatと劇的に似ていた。Periscopeが世間に知られるよりも早く、Twitterは1億ドル近くでこのアプリを買収した。

Meerkatへの関心は急速に薄れていった。

それから1年半が経ち、正式にMeerkatは姿を消した。Meerkatを手がける企業は新プロジェクトに注力する。

Life On Air(Meerkatの開発元)の共同ファウンダーあるBen Rubinは、10月1日の午後にアプリストアからMeerkatを削除したことを発表した。

しかし、 Life On Airの旅は続く。彼らは現在、Housepartyというアプリに注力している。Housepartyはグループで動画チャットを楽しむアプリで、 Life On Airは数ヶ月の間秘密裏に開発していたという。

Housepartyは、同時に8名まで入れる「パーティー」にユーザーが参加し、同じ時間にオンラインにいる友人同士との動画チャットに気軽に出たり入ったりすることができる仕組みだ。The Vergeが今週投稿した記事によると、Housepartyはすでに100万人近いユーザーを獲得しようとしているということだ。

Meerkat自体のTwitterアカウントも停止していて、プライベートモードになっている。Meerkatのウェブサイトもまた、代わりに Housepartyのウェブサイトに遷移するようになった。

Life on airの共同ファウンダーBen Rubinは、TechCrunchにメールで事業のピボットについてしばらく前から検討していたこと、また、同社のこれからについて彼の考えを共有した。

今しがたMeerkatをアプリストアから取り除きましたが、実際にはMeerkatをローンチしていから6ヶ月で方向転換しようと考えていました。配信(一人から多数へ)のカテゴリーはユーザーの日々の習慣になるようなものではなく、ユーザーが毎日使えるものとはほど遠かったのです。

私たちの会社のミッションは、物理的に離れていても、人々を最も人にとって意味のある形でつなぐことです。Housepartyは、このビジョンを体現していると私たちは信じています。それに、口コミでアプリはどんどん広がっていて、マーケットもそれを証明しています。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website