メタ、南アフリカで独占禁止法違反の疑いで起訴される

Meta(メタ)は、南アフリカの競争規制機関である競争委員会(Competition Commission)が、政府のスタートアップであるGovChatと#LetsTalkが同社のWhatsApp Business APIを使用することを阻止する意図が競争的でないと判断したため、起訴の危機に直面している。

2021年3月から同社に対する不公正行為の申し立てを調査してきた同委員会は、支配的地位の濫用や制限的慣行に関する苦情を裁定する競争審判所(Competition Tribunal)にMeta(旧Facebook)の起訴を付託した。

その付託の中で、規制当局はMetaに「最大ペナルティ」である米国企業の現地での売上高の10%の罰金を払わせるよう勧告している。

同委員会は、Metaが「2020年7月か同時期」に、GovChatと#LetsTalkが同社のWhatsApp Business APIを使用できないようにすると脅したと主張している。さらに、Metaはスタートアップによるデータ使用について不当な制限を課し、Metaの製品と競合する可能性のある新製品やサービスを革新して開発する能力を制限したと付け加えている。

「……WhatsApp Business APIへのアクセスを規定する規約は、GovChatがもたらす潜在的な競争や、Facebookが新しいサービスや製品の開発を可能にするために取得した膨大なデータなどの面でFacebookを保護し、競争から遮断するために設計されています」と規制当局は声明で述べている。

GovChatは、WhatsApp Business APIを使用してリアルタイムのコミュニケーションを促進する市民エンゲージメントプラットフォームとして、南アフリカ政府によって2018年に立ち上げられた。現在、政府のデータによると、870万人のアクティブユーザーを抱え、5億8200万件以上のメッセージを処理している。

GovChatは、道路の穴などの市民問題に関する警告や苦情の発信源となっているほか、新型コロナのパンデミック時の救難支援など、社会保障の申請処理に政府によって利用されてきた。GovChatのプラットフォームを通じて、これまで1330万件以上の申請が提出されている。

今回の送検は、南アフリカを含むアフリカ5カ国の競争監督機関が、アフリカのデジタルプラットフォームの出現と拡大を制限する障害に対する共同行動を促進することなどを議題とする覚書に署名した数日後に行われた。この合意の他の締約国は、エジプト、ケニア、モーリシャス、ナイジェリアである。

MetaはTechCrunchに送った声明の中で「WhatsApp(ワッツアップ)が市場から企業を排除しようとしたり、反競争的行為を行ったことを示す証拠はない」と述べ、一方でGovChatは「当社のオンボーディングプロセスを経ずにWhatsApp APIに組織を登録することにより設定条件に違反した民間企業です。これは、当社サービスの利用を希望するすべての組織に要求されるもので、当社のサービスを誰が利用しているかを把握し、組織が当社のプライバシー保護方針に同意していることを意味します。WhatsAppは、独自のWhatsApp Business APIと世界中のユーザーの利益を守るために、あらゆる合理的な手段を講じる権利を擁護します」と述べている。

また、南アフリカのWhatsApp広報担当者は次のように述べた。「WhatsAppは、信頼できる情報源から重要な情報を人々に提供するのに役立っており、南アフリカ国民と政府をつなぐ役割を担っていることを認識しています。だからこそ、国際的に認められた規制基準を遵守してGovChatと協力し、このサービスを提供したいのです」。

「ですが、GovChatは、国民とその情報を保護するために作られた我々のポリシーに従うことを繰り返し拒否し、国民よりも自らの商業的利益を優先させることを好んでいます。我々は、WhatsAppを悪用から守り、ユーザーを保護し続けます」と広報担当者は述べている。

世界的に見ても、Metaは反競争的な行為の可能性があるとして、さまざまな監視の対象となっている。つい先週、欧州委員会は、MetaとGoogle(グーグル)の間のオンラインディスプレイ広告サービスに関する協定(コードネーム「Jedi Blue」)がEUの競争規則に違反しているかどうかを評価するため、正式な反トラスト調査を開始した。

2018年9月のJedi Blue契約は、MetaのAudience NetworkがGoogleのオンライン広告枠入札プログラム「Open Bidding」に参加できるようにしたもので、この動きは他のアドテクサービスプロバイダーを排除して「オンラインディスプレイ広告の市場における競争を歪め、パブリッシャー、ひいては消費者に不利益を与える可能性がある」と欧州委員会は指摘している。

一方、米連邦取引委員会は、ソーシャルメディア大手のMetaが、約10年前にInstagram(インスタグラム)とWhatsAppを買収するなど、反競争的行為によってSNSの独占を違法に維持しているとして、メタを違法独占で提訴している。

本記事はMetaからのコメントを含め更新された。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

[原文へ]

(文:Annie Njanja、翻訳:Den Nakano)

南アフリカのスタートアップPhractylが奇抜な鳥形デザインのeVTOL「Macrobat」の開発発表

南アフリカのスタートアップPhractylが奇抜な鳥形デザインのeVTOL「Macrobat」の開発発表

Phractyl

南アフリカのスタートアップPhractylが、アフリカ全土に環境に悪影響を与えない持続可能なモビリティともたらすべく開発したeVTOL(電動垂直離着陸)機「Macrobat」を発表しました。

「自然からインスピレーションを得て」デザインされたその外観はまるで鳥のよう(Macrobatというだけにコウモリ?)。機体下部には2本の足があり、着陸時にはやはり鳥のように各関節が可動して、後傾姿勢になってパイロットの乗り降りをサポートします。後傾の姿勢では機体が45度、プロペラ部分がさらに20度上を向いた状態になり、離陸の際はこのまま飛翔し、足を折りたたんで格納するとしています。

南アフリカのスタートアップPhractylが奇抜な鳥形デザインのeVTOL「Macrobat」の開発発表

Phractyl

外観だけを見るとなんだかバッサバッサと羽ばたくのかとも思ってしまいますが、さすがにそれはありません。ただしプロペラ部分が水平に対し約65度の角度で回転して浮上するため、PhractylはMacrobatを”ほぼ垂直離着陸機”と定義し、electric near-vertical takeoff and landing、略してeNVTOLと称しています。

南アフリカのスタートアップPhractylが奇抜な鳥形デザインのeVTOL「Macrobat」の開発発表

Phractyl

なぜこの機体に鳥のような足を持たせることを選択したのかについては、Phractylは他の地域に比べてアフリカ大陸は非常にユニークな状況にあるためだと説明します。アフリカはその多くの場所で滑走路もヘリポートも整備されておらず、将来eVTOLの時代が到来することを想定したときに、未舗装で凹凸がある場所でも離着陸が可能になるよう考慮した設計にしたからとのこと。

また、PhractylはMacrobatについてCGイメージのとおりプロペラを2基にすることにはこだわらず、必要ならば小型プロペラを4基搭載し、冗長性を持たせた設計にすることも可能だとしました。想定されるMacrobatの最高飛行速度は180km/hで、航続距離は約150km。最大積載重量は約150kgとなっています。定員は1人とされるものの、医療品や物資の配送用途を想定して無人でも飛べるようにし、ほかには人がアクセスしにくいインフラや設備の点検、農業用薬剤の散布といった様々な条件の作業で人の代わりになることも想定しています。

Phractylは、現在開発中の試作機を公開できる時期を示していませんが、これを完成させるべく資金調達のための様々なキャンペーンを「積極的に」展開し「縮小版のプロトタイプを作るため努力している」とのことです。

(Source:PhractylEngadget日本版より転載)

南アのクラウドソーシング「Zind」は現実の問題を解決するためにデータサイエンティストのコミュニティを構築、AIも活用

Zindi(ジンディ)は、AIを使用して企業や個人の現実の問題を解決することを目指している。そして、南アフリカを拠点とするこのクラウドソーシングスタートアップは、過去3年間それをずっと実践してきた。

ちょうど2020年、Zindiに参加するデータサイエンティストのチームが機械学習を用いてウガンダの首都カンパラの大気モニタリングを改善し、また別のグループはジンバブエの保険会社のZimnat(ジンマット)が行う顧客の行動予測(特に解約しそうなひとの予測や解約を思いとどまらせるための有効な手段の予測)を支援した。Zimnatは、他のやり方では解約していたであろう人びとにカスタムメイドのサービスを提供することによって、顧客の解約を防ぐことができた。

これらは、企業、NGO、政府機関がZindiに提示した、データ中心の課題に対して実現されたソリューションの一部だ。

Zindiはこれらの課題を発表し、データサイエンティストのコミュニティに対してソリューション発見コンテストに参加するよう呼びかけている。参加しているデータサイエンティストがソリューションを提出して、採用された者が賞金を獲得する。コンテストの主催者は、自身の課題を克服するために寄せられたもののうち最良の結果を利用することができる。たとえばウガンダ全土の大気汚染を予測するための解決策を模索しているAirQo(エアクオ)による大気質監視プロジェクトや、Zimnatの損失削減を支援することなどが解きたい課題だ。

関連記事:Zindiが新型コロナ対策に向け1.2万人のアフリカ人データサイエンティストを活用

「このおかげで、いまやAirQoは、一般の人々が大気質と大気質の予測を確認できるダッシュボードが提供できています。このプロジェクトのエキサイティングな点の1つは、AirQoがプロジェクトの実装を支援するためにコンテストから2人の勝者を採用したことです」とZindiの共同創業者でCEOのCelina Lee(セリーナ・リー)氏は述べている。他には南アフリカのMegan Yates(メーガン・イエーツ)氏とガーナのEkow Duker(エコー・ダッカー)氏が、プラットフォームの共同創業者だ。

リー氏は「AirQoはまた、彼らが構築したソリューションに対してGoogleから資金を調達し、他のアフリカ諸国にもそれを展開していく予定です」と語る。このコンテストはバーミンガム大学のDigital Air Quality East Africa(DAQ EA)ならびにカンパラのマケレレ大学のAirQoプロジェクトと提携して開催されたコンテストだったのだ。

Zindiは、アフリカ全土のデータサイエンティストのデータベースだ。このクラウドソーシングスタートアップは、最近100万ドル(約1億1300万円)のシード資金を調達した(写真クレジット: Zindi)

Zindiを利用した他の注目すべき民間および公的組織には、Microsoft(マイクロソフト)、IBM、Liquid Telecom(リキッドテレコム)、UNICEF(ユニセフ)、および南アフリカ政府が含まれている。スタートアップの、発足以来の成長を目の当たりにして、リー氏はZindiが達成できたことに興奮しており、コミュニティの将来に情熱を注ごうとしている。このプラットフォームは現在、代替手段を提供しており、アフリカ全土で事業を展開し、しばしば高額な従来のコンサルティング会社との競争を激化させている。

Zindiのユーザーは、2020年の初めから3倍に増え、大陸の45カ国から3万3000人のデータサイエンティストを集めるまでになっている。また、データサイエンティストたちに対して30万ドル(約3384万円)の対価を支払った。

この数は、Zindiが2022年3月に、大学生たちがさまざまな解決策を求めて互いに競い合う、3回目の大学間Umoja Hack Africaチャレンジを主催することで増加するだろう。

Zindiは、この大学間コンテストを利用して、学生を実用的なデータサイエンスの経験に従事させ、AIを使って実際の課題を解決させている。2020年のイベントは、パンデミックのためにオンラインで行われたが、プラットフォーム上に約2000人の学生が集まった。

サンフランシスコ出身のリー氏は「学生は最初の機械学習モデルを構築して、そこから、キャリアと教育へのあらゆる種類の扉が開かれます」と述べている。

Zindiには現在「学習から稼ぎまでの道のりを短くする」ためのジョブポータルが用意されている。組織は、人材配置ポータルに人材募集を投稿することで、そこにある人材のプールを活用することができる。

このクラウドソーシングプラットフォームは、新進のデータサイエンティストにトレーニング資料を提供する学習コンポーネントの導入も計画している。これは、プラットフォームが知識のギャップとトレーニングの必要性を認識したためだ。一方リー氏は、Zindiのユーザーのほとんどは、学習経験を必要としている学生や、世界の問題を解決するために高度なスキルを必要とする人たちであるという。

新しい計画は、最近プラットフォームが調達した100万ドルのシード資金によって可能になる。

画像クレジット: Zindi

リー氏は「私たちにとって、それはコミュニティを拡大し、すべてのデータサイエンティストにとってより多くの価値を生み出すことなのです」と語る。

「私たちが理解していることの1つは、特にアフリカでは、データサイエンスが非常に新しい分野であるということです。そのため、この資金を使って、より多くの学習コンテンツを導入していきます。そして、私たちのデータサイエンティストの多くは、まだ大学生か、キャリアの非常に早い段階にいます。彼らは、とにかく自分たちのスキルを学び身につける機会を探しているのです」。

シードラウンドは、サンフランシスコを拠点とするVCのShaktiが主導し、Launch Africa、Founders Factory Africa、FIVE35が参加した。

リー氏によれば、これらの計画はすべて、アフリカ大陸で強力なデータサイエンスコミュニティを構築することを目的としていて、近い将来、プラットフォームのユーザーを100万人に増やすことを目指しているという。これは、キャリアの初期段階にいるデータサイエンティストにトレーニングの機会を提供し、コラボレーションとメンターシップを促進する強力なコミュニティを形成することによって達成可能だと彼女はいう。

リー氏は次のように述べている「そして、最終的にはアフリカで100万人のデータサイエンティストにリーチしたいのですが、そのためにはデータサイエンスを、この分野で成功するキャリアを追求することに関心のある若い人なら誰でも、必要なツール、つながり、経験にアクセスできるようしたいと考えています」。

「私たちのビジョンは、誰もがAIにアクセスできるようにすることです」。

画像クレジット:Zindi

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(文: Annie Njanja、翻訳:sako)

グーグルがケニアでクラウドソーシングアプリ「TaskMate」を展開、グローバル展開も検討

米国時間10月18日、Googleは、ケニアにTaskMateを立ち上げた。これはスマートフォンを利用して仕事を見つけ賃金をもらうというクラウドソーシングなアプリで、同社は成長途上のギグ経済を活用する。Googleはケニアで1年間の実験を経てこれからベータテストを行い、この大陸の他の国にも導入するための準備をする。このアプリはインドでもパイロットとして利用できる。

アプリTaskMateのユーザーは、企業が求める翻訳や写真撮影など、スキルを要する、あるいは要しないタスクを充足するが、求人が載るためにはGoogleの承認を必要とする。

TaskMateのような、人びとがサービスを実行して代金をもらうというタイプのGoogleのアプリは、他にもある。たとえば有料でアンケートの回答者になるというアプリや、またLocal Services Adsというアプリは企業に、その会社のサービスを必要としている知人等を見込み客として結びつけて謝礼を得る。

TaskMateのプロダクトマネージャーであるMike Knapp(マイク・ナップ)氏は「TaskMateをローンチしましたが、アフリカだけでなく、も世界でオープンするのもこれが初めてです」と挨拶している。

パイロット事業は2020年後半に始まり、ユーザーはペンシルベニア州立大学の研究プロジェクトのために植物の写真を撮ったり、その他いろいろな仕事をした。このアプリのギグワークには、在宅と現場仕事の両方がある。

ナップ氏は、パイロット事業について「パイロットでは1000名の人たちがアプリを使用し、とてもポジティブなフィードバックが得られました。そこで、今日からはベータ段階に移行します。より大規模な実験になるでしょう」と述べている。

「今は、実験に協力してくれる企業やスタートアップを探しています。彼らの難しい問題の解決にどれぐらい役に立つか、それを検証したい」。

このプラットフォームに求人をポストする企業は、求職者のグループを指定できるし、また特定のスキルを持つ人を招待できる。ケニアのTaskMateのユーザーは、稼いだお金をモバイル決済サービスM-Pesaから引き出せる。M-Pesaを運用しているSafaricomは、東アフリカで最大の通信企業だ。

「クラウドソーシング方式なので、求人を広めるのも、仕事を達成するのもシンプルです。このアプリはケニアの人たちに仕事と収入を得るチャンスを提供し、コミュニティの創成と副収入の獲得の両方の役に立ちます。これはGoogleのアフリカに対するコミットメントであり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の旅路でもある」とナップ氏はいう。

TaskMateの立ち上げと同時期にGoogleは、ガーナとケニアとナイジェリアと南アフリカの小規模企業を助けるための、1000万ドル(約11億4000万円)のローンを発表した。パンデミックによって停滞した経済の回復を助ける意図もある。ローンの提供は、サンフランシスコの非営利貸付組織Kivaを通じて行われる。この融資は、先々週に発表されたアフリカへの10億ドル(約1143億円)の投資の一部だ。

Googleの投資に含まれる海底ケーブルは、南アフリカとナミビアとナイジェリアとセントヘレナを貫き、アフリカとヨーロッパを結ぶ。それは高速インターネットを提供し、2025年までにナイジェリアと南アフリカに、デジタル経済の成長により170万の雇用を作り出す、と言われている。

アフリカのデジタル経済はこのような統合化の継続とともに一層の成長が期待され、接続人口の増加によっても成長の新たな機会が生まれる。アフリカのサハラ南部地域では、人口の28%、約3億300万人が現在、モバイルインターネットに接続している、と2021年のGSMAモバイル経済報告書はいう。そしてこの数字は2025年には40%にもなり、TaskMateのようなインターネット接続を利用するサービスや、アフリカの若い人口により、インターネットをベースとする企業やサービスにさらに大きな機会を提供する。

画像クレジット:SpVVK/Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Hiroshi Iwatani)

南アフリカの通信大手TelkomがNetflixの配信を停止

南アフリカの通信事業者Telkom SA SOC Ltdは、2021年10月以降、電話とインターネットのセットトップボックスからNetflix Inc.を廃止したとBloombergが報じている。

記事によると、Telkomのコンテンツ担当役員Wanda Mkhize(ワンダ・ムキゼ)氏が声明で、両社のパートナーシップは回復されないと述べ、それ以上の詳細は語られていない。

現在、両社に問い合わせ中なので、情報が得られ次第この記事を更新する。

Netflixは近年、アフリカ全土で成長を探り、有料会員と売上の増加を狙ってきた。Telkomとの関係が終わった今、同社が既存の会員や消費者向けに別のルートを作るのかはまだ明らかでない。

2021年9月、同社はケニヤのAndroidスマートフォン向けに無料プランを発表して新会員の獲得に乗り出した。このプランでは「同社のテレビ番組および映画の約4分の1」にアクセスできるという。

関連記事:Netflixがケニアで無料プランを開始、東アフリカでの成長を加速へ

全アフリカでの会員獲得と維持を目指すNetflixは今では、この大陸の多様な市場で作られた南アフリカの「Queen Sono(クイーン・ソノ)」、ケニヤの「Sincerely Daisy」、ナイジェリアの「2 weeks in Lagos」といったコンテンツを前面に打ち出している。

GSMAモバイル経済報告によると、モバイルインターネットに接続したサハラ以南の人口は2021年に全人口の約28%、3億300万人に達し、それをビデオストリーミングサービスも顧客として狙っている。モバイルインターネットに接続した人たちは2025年に人口の約40%に達すると予想され、Netflixのようなインターネット企業により大きな市場を提供する。

大陸全土にわたる安価で高速なインターネットはNetflixやAmazonなどのビデオストリーミングサービスに、この大陸に巨大な足場を築く機会を与えている。

Netflixには、同国にもう1つのパートナー、MultiChoice Group Limitedがいる。同社は大陸最大のペイTVプロバイダーで、南アフリカではペイTVサービスの一環としてNetflixやAmazonを提供している。MultiChoiceが両社と契約を交わしたのは、2020年半ばだ。それはあくまでもMultiChoiceのペイTVの会員確保努力であり、そのために2015年には低料金のストリーミングサービスShowmaxを導入した。

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画像クレジット:Sam Wasson/Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Hiroshi Iwatani)

パンデミック後のアフリカのモバイルアプリ市場と急上昇するモバイルゲームアプリ利用率を読み解く

パンデミックは世界のアプリ市場に大きな影響を与えている。モバイルアプリに対する消費者の支出は2021年第1四半期および上半期にそれぞれ320億ドル(約3兆5200億円)、649億ドル(約7兆1700億円)となり、新記録を樹立した。

関連記事:2021年上半期のモバイルアプリ支出額が過去最大の7兆円超え、ダウンロード成長は鈍化

アフリカの状況は世界のアプリ市場に関するレポートでもあまり言及されないので、正確な消費者支出を求めるのは難しい。それでも、Google(グーグル)とAppsFlyer(アップスフライヤー)が共同で発表した最新のレポートでは、2020年のパンデミック発生以降のアフリカにおけるアプリ市場の状況について、いくつかの重要な情報を読み取ることができる。

このレポートは、アフリカの3大アプリ市場(ケニア、ナイジェリア、南アフリカ)における、2020年第1四半期~2021年第1四半期のモバイルアプリのアクティビティを追跡している。

この3大市場における6000のアプリと20億のインストール数を分析したところ、2020年上半期から2021年上半期にかけて、アフリカのモバイルアプリ業界(主にAndroid)全体でインストール数が41%増加した。ナイジェリアは最も多く43%増、南アフリカ、ケニアではそれぞれ37%増、29%増となった。

ロックダウン期間の数字

アフリカでは2020年3月22日にルワンダが初めてロックダウンを実施。続いて、ケニア(3月25日)、南アフリカ(3月27日)、ナイジェリア(3月30日)でロックダウンが開始された。

2020年第2四半期からは自宅で過ごす人が増え、アプリのインストール数は3か国で20%増加。南アフリカではロックダウンの影響が最も早く表れ、インストール数は2020年第1四半期と比較して17%増加した。

一方、ナイジェリアとケニアにおける同時期のインストール数の増加は、それぞれ2%と9%だった。レポートによると、このような差は、各国の規制レベルの違いにより生じたものだという。南アフリカは規制レベルが最も厳しく、ロックダウンの頻度も高かった。

2020年第1四半期~第2四半期ではゲームアプリが好調に推移し、非ゲーム系アプリの販売が8%増であったのに対し、ゲーム系アプリは50%増となっている。これは、全世界で2020年第2四半期にゲームアプリのダウンロード数が急増(140億ダウンロード)し、過去最高を記録したトレンドと一致する。

アプリ内課金による収益と前年同期と比較した増加率

AppsFlyerによると、最も大きなトレンドとして注目されるのはアプリ内課金による収益だ。2020年第3四半期におけるアプリ内課金による収益の数字は、2020年第2四半期と比較して136%という驚異的な伸びを示し、2020年の総収入の33%を占めた。レポートによれば「アフリカの消費者が小売店での購入からゲームのアップグレードまで、アプリ内でどれだけ消費しているかがはっきりした」という。

アプリ内課金による収益は南アフリカで213%増加、ナイジェリアとケニアではそれぞれ141%、74%増加した。

スマートフォンの利用時間が増えたことから、アプリ内広告収入も前年同期比で大幅に増加し、2020年第2四半期から2021年第1四半期にかけて167%増加した。

先ほど2020年第1四半期~第2四半期で比較したゲームアプリと非ゲームアプリについては、2020年第2四半期と2021年第1四半期との比較では、それぞれ44%、40%増加している。

フィンテックとスーパーアプリ

過去5年間、アフリカのスタートアップに対するベンチャーキャピタルの投資は、フィンテック分野が圧倒的に多いが、それも当然である。フィンテックは、主にモバイルを利用する、大多数の銀行口座を持たない消費者、銀行口座を使いにくい消費者のみならず、銀行口座を持つ消費者にも多くの価値をもたらす。アフリカにおける10億ドル(約1100億円)規模のスタートアップのうち、1社を除いてすべてがフィンテックであるのは、この価値を踏まえてのことだ。

Disrupt Africa(ディスラプトアフリカ)のレポートによると、アフリカのフィンテックは、2017年から2021年の間に89.4%の成長を遂げ、現在、大陸全体で570社以上のスタートアップ企業が存在する。多くのフィンテックはモバイルベースで、アフリカの消費者が毎日利用するフィンテックアプリの数が反映されている。南アフリカとナイジェリアの消費者によるフィンテックアプリのインストール数は、前年比でそれぞれ116%、60%増加した。

AppsFlyerは、フィンテックアプリと同様に、スーパーアプリも増加していると報告している。スーパーアプリ、すなわち「オールインワン」アプリは、銀行業務、メッセージング、ショッピング、ライドヘイリングなど、さまざまな機能をユーザーに提供する。このようなアプリの増加は、大陸ではデバイスが限られることにも起因するが、フィンテックアプリの急増と同様、システム的な銀行口座の使いにくさも一因である。

レポートは「スーパーアプリは、ユーザーが直面する課題を解消し、顧客情報の取得や従来の銀行では実現できないレベルの利便性の提供を可能とする」と報告している。

AppsFlyerのEMEA & Strategic Projects担当リージョナルバイスプレジデント、Daniel Junowicz(ダニエル・ジュノヴィッチ)氏は、本レポートで取り上げられているトレンドについて次のように話す。「2020年来の(パンデミックによる)混乱にもかかわらず、アフリカのモバイルアプリ市場は盛況で、インストール数は増加し、消費者は今まで以上に多くのお金を費やしています。企業が収益を上げる上で、モバイルがいかに重要であるかがわかります」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:アフリカアプリケニアナイジェリア南アフリカフィンテックスーパーアプリ

画像クレジット:Getty Images

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

【コラム】アフリカ諸国政府にブロックチェーンサービスを売って学んだこと

編集部注:本稿の著者Mohammed Ibrahim Jega(モハメド・イブラハム・ジェガ)氏は、Domineum Blockchain Solutionsの共同ファウンダー。連続テック起業家、スタートアップアドバイザー、フィンテック専門家でブロッチェーン推進者。

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アフリカ大陸の大きな魅力の1つは12億という人口であり、そこに獲得可能な巨大市場があることを意味している。しかし、ターゲット顧客が54カ国の政府だと何が起きるのか?

我々のケースがそれだ。Domineum Blockchain Solutions(ドミニエム・ブロックチェーン・ソリューションズ)を設立したのは、アフリカ諸国政府が貨物の出荷と記録管理に関わる問題を解決するのを手助けするためだった。

大変な仕事になることはわかっていたが、最初の顧客を獲得するのが最難関になるとは予想していなかった。

当社の最初のプロダクトは、貨物の出荷元と移動経路を追跡し、あらゆる国との輸出入製品の内容を特定する貨物サービスだった。我々は、貨物が非公式な裏経路を通ることによる収入減少問題を解決するためにこれを開発した。

サハラ以南アフリカに焦点を合わせていた我々は、2019年に4つの国に打診した。母国ナイジェリアとケニア、ガンビア、ギニア共和国の各国だ。

最初に話を持ちかけた時、どの政府からも期待した反応を得られなかった。我々のソリューションを試す準備が整っていなかった。提案は新奇であり、彼らがブロックチェーン技術に馴染みがなかったためだ。動揺した我々は、ターゲットに小国を加えた、シエラレオネだ。

首都フリータウンの港湾は、シエラレオネの貿易の主たる玄関口として貿易量の80%がここを通過している。同港には貿易中継地としての長い歴史があり、ヨーロッパとアメリカ大陸の中間という戦略的に重要な位置の恩恵を受けてきた。

しかし、フリータウンはアフリカはもちろん、サハラ以南アフリカの中でも主要な港湾都市とはいえない。この港を通過するのは、全世界の輸送取扱量の1%にも満たない。世界人口のおよそ0.1%が住むアフリカの小国はダイヤモンド、カカオ、コーヒーなどを輸出し、食糧、機械、化学薬品などを輸入している。

ある時この国は、一連の製品の輸出入に関して大きな課題に直面した。シエラレオネのあるサプライチェーンマネージャーが状況を説明した。「私たちは輸出手続きで大きな課題に直面しました。港で長期に渡る遅延が起きていたのです。深夜前に到着した私たちのトラックは、何時間、時には何日間も順番を待たせられました。書類手続きが非常に複雑でした」。

世界銀行によると、シエラレオネの「貿易問題はいくつかの要因に起因する。貿易情報の欠如、高レベルな現物検査、さまざまな手数料、ライセンス、許可証、証明書。手作業による手続き。当局部署間の連携の欠如など」。Domineumはこれを解決することを目指した。

シエラレオネ政府との最初の話し合いは順調に進んだ。幸運なことに、シエラレオネは国境を越える物品の移動に必要な時間とコストを減らすために、世界銀行グループの支援を受けて5年計画(2018~2023年)を展開していた。目標は、貿易コストの10%削減だ。3カ月に渡る検討の結果、当社の貨物追跡システムが導入された。

当社は2019年の終わりにこの提携事業を開始し、さもなければ失われていた200万ドル(約2億2000万円)の収益を獲得することに成功した。ビジネスモデルはシンプルだ。当社の貨物追跡システムによってシエラレオネ政府が獲得した追加収益の40%を手数料として我々が受け取る。

アフリカに参入する際、ナイジェリアや南アフリカ、ケニアなどの大きくて人気のある市場に焦点を当てたがるのが一般的だ。しかし、これまでに我々が学んだのは、この国々は会社にとって最初の参入国ではない可能性が高いということだ。ビジネス-政府モデルは一筋縄ではいかない。政府と仕事をするためには実にさまざまな政治活動が必要だ。

これまでうまくいっているのが、まずいくつかの国に接触して足がかりを得て、それをコンセプトが通用する検証として使うやり方だ。シエラレオネでの成功を受け、我々は他の国々に戻って、よりよい反応を得られることを期待している。

シエラレオネの成功は、我々が提供していたサービスを考え直すきっかけになった。当初の話し合いは貨物追跡サービスから始まったが、やがて我々は、始めにノーと言った国に別のサービスを提案すべきなのではないかと考えた。

アフリカでは土地登記が共通の問題であることがわかった。アフリカの農村部の90%以上が未登記であり、土地収奪の温床になっている。このことが農業その他の産業の成長を阻んでいる。紛争時に土地が他者に略奪されたり、政府に強制収用されるからだ。

我々は再び各国を訪れ、ブロックチェーンを用いた土地所有登記などのサービスを提案した。ナイジェリア政府から肯定的反応があり、パイロットプログラムを実施することになった。このパイロットフェーズが終わった暁には次のビジネス契約を獲得できることを楽観している。

アフリカ諸国政府とのビジネスはどんな感じだったか?小さくて獲得可能な市場である。もしあなたが、アフリカの国の政府に製品やサービスを売り込むつもりなら、最初の顧客は小さな国にいることを念頭に置くのがよいだろう。

その他のチャンスをつかむために、我々はこの発想に基づいて今後も他のアフリカ諸国への拡大計画を続けていくつもりだ。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:アフリカシエラレオネコラムナイジェリア南アフリカケニア

画像クレジット:KTSDESIGN SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Mohammed Ibrahim Jega、翻訳:Nob Takahashi / facebook

南アフリカの自動車サブスクリプション会社Planet42がカーボンニュートラルを目指す理由

UberやBoltのような配車サービス企業が交通業界の在り方を覆して以来、彼らの悩みの種となってきたのは交通渋滞と公害だ。調査によると、自家用車よりも配車車両による移動の方が排出量が多いことが示されている。

二酸化炭素排出量を削減して後者の問題を解決するべく、両社はライドシェアリングや、自転車やスクーターのシェアリングサービスといった他の交通モデルの構想を打ち出してきた。また、公共交通機関のスケジュールに合わせたサービス提供や、ドライバーに電気自動車への切り替えを促すインセンティブの提供などにも取り組んでいる。しかし、これらのモデルはほとんど成功していない。

2018年、Lyftはさらに一歩踏み込んで、カーボンニュートラルの実現を宣言した。Atlanticによると、Lyftはサンフランシスコに拠点を置くサステナビリティ企業3Degreesからカーボンクレジットを購入することで、その取り組みを実行する計画を立てた。

Lyftは2019年の一年間で、240万エーカーの木を植樹するのに匹敵する量の炭素を削減したと発表した。同社は206万2500トンのカーボンオフセットを購入してこれを達成したが、2020年には従来の路線に回帰している。

このプログラムによってLyftはカーボンニュートラルを実現したものの、これはコストのかかるプロセスだった。同社は、配車サービスによって排出される正味の炭素排出量は長期的に見て引き続き増加するだろうと主張した。そのためLyftは2030年までに乗車の提供を電気自動車に限定すると宣言した。これは世界中の大半の自動車会社と同じであり、各社とも将来的に電気自動車を通じてカーボンニュートラルを達成することを約束している。

一方、南アフリカに拠点を置く自動車会社Planet42は、カーボンニュートラルを将来的にではなく今現在達成することを目指している。だがPlanet42は配車サービス会社ではない。ディーラーから中古車を購入し、サブスクリプションモデルで顧客に貸し出すサブスクリプションサービスを展開している。

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Marten Orgna(マルテン・オルグナ)氏とEerik Oja(エリック・オジャ)氏によって設立されたPlanet42は、新興市場の個人をターゲットにしているが、その事業展開はアフリカに限定されている。同社はこれまでに南アフリカで3000台近くの車を調達しており、今後数年間で10万台に増やし、2025年までに全世界で100万台にする計画だ。

こうしたことからPlanet42は、配車サービスを提供しておらず、本来ならクルマを所有していない人々にクルマを提供するという点で社会的に大きなプラスの影響を与えているにもかかわらず、そのクルマから生じる排出ガスによって、限定的ではあるが環境上マイナスの影響をもたらしている。

多くの自動車会社はカーボンニュートラルになることに無気力になっているようだが、Planet42は間接的にどのように排出量に貢献するかを検証し、2020年行動に踏み切った。

「カーボンニュートラルになるという目標は価値がないと主張する人はほとんどいないと思いますが、世界はカーボンニュートラルに向けて十分な速さで進んでいないように感じました」とオジャ氏はTechCrunchに語った。「そこで私たちは、2040年までにカーボンニュートラルになるといった空虚な大構想を打ち出すのではなく、現時点でカーボンニュートラルを実現することを決断しました」。

画像クレジット:Planet42

電気自動車はアフリカではほとんど普及しておらず、植林にはコストがかかるが、同社はどのように取り組んでいるのだろうか。

Lyftの植林プロジェクトを支援する前に、3Degreesはいくつかの風力発電所の事業に関わり、また埋立地プロジェクトから温室効果ガスを回収した。Planet 42は風力発電所事業によるカーボンニュートラルの実現を選んだが、この取り組みに向けては南アフリカの現地企業と協力している。

最初のプロジェクトは南アフリカのノーザンケープ州にある風力発電所で、カーボンオフセットクレジットからの資金により、Planet 42はこの発電所に何カ月にもわたって資金の提供をすることができた。風力タービンから発電される電力は、石炭を燃やしたり、低炭素世界経済を支えるなど、他のより有害なエネルギー生産方法を相殺する。

「当社が及ぼすマイナスの影響を相殺するため、当社が事業を展開している市場でカーボンオフセットプロジェクトに投資しています。言い換えれば、当社がカーボンニュートラルに投資することは、自ら課した税に相当します。当社が率先して取り組むことで、アフリカやその他の地域の企業が追随してくれることを願っています」。

融資と株式で2000万ドル(約22億円)を調達した同社が最初にローンチしたときは、カーボンニュートラルを達成することは将来的な構想でさえもなかった。しかし今では、Natural Capital Partnersによってカーボンニュートラル企業として認定されただけでなく、投資家たちがこのプロジェクトに大きな関心を寄せている。

オジャ氏によると、同社の次の目標は、究極的には電気自動車によってカーボンニュートラルを達成することだが、その実現性は十分にあるだろう。アフリカにおける電気自動車の導入は、米国、欧州、さらにはその他の新興市場が抱える問題とは異なる別の問題に直面している。まず電力料金が高く不安定な電力供給が行われているという深刻な燃料上の問題がある。さらに、税制上の優遇措置、補助金、政策が全般的に欠如しているということ、そして平均的なアフリカの自動車所有者には高価すぎるという事実があげられる。

例えば、米国では100万台以上英国では31万7000台以上の電気自動車が走っているが、Planet42の主要な市場であり、アフリカでトップの電気自動車市場である南アフリカではその数は約1000台にとどまっている。したがって、電気自動車が主流になるまでは、風力発電は同社のカーボンニュートラルへの取り組みに欠かせないものとなる。

「理想的には、私たちが実現を目指しているのは当社の車が電気自動車になることであり、それこそが私たちが将来に向けて計画していることです。そうすることで日々のオフセットは必要なくなりますが、私たちはまだそこに至っていません。最終的には電気自動車が理想的であることを誰もが理解しています。しかし、その未来は手元にあるものではないため、今すぐ行動していく必要があります」とCEOは語っている。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:南アフリカPlanet42カーボンニュートラル二酸化炭素中古車電気自動車

画像クレジット:Planet42

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

アフリカでAPIフィンテックを展開するStitchがステルスから脱して4.3億円を調達

この数年、世界中でフィンテックインフラストラクチャー企業が多数出現している。アフリカでは、過去3年の間に、フィンテックインフラストラクチャーを提供するスタートアップがいくつか誕生している。南アフリカのフィンテックスタートアップStitch(スティッチ)もその1つだ。このほど、Stitchはステルスモードから脱して、400万ドル(約4億3000万円)のシードラウンドを発表した。これは現時点で、アフリカのAPIフィンテックスタートアップによる最高額の資金調達ラウンドだ。

Kiaan Pillay(キアーン・ピレイ)氏、Natalie Cuthbert(ナタリー・カスバート)氏、およびPriyen Pillay(プリエン・ピレイ)氏によって創業されたStitchは、アフリカ全土の金融口座にAPIのみでアクセス可能にしたいと考えており、まずは、最初のマーケットである南アフリカからサービスを開始する予定だ。開発者はStitchのAPIを使用すると、アプリを金融口座に接続できる。これにより、利用者は、取引履歴と残高の共有、本人確認、決済の開始といった処理を行うことができる。

APIを利用した金融サービス企業が世界中で多数出現している。Plaid(プレイド)は米国の市場をリードしている。スウェーデンに本拠地を置くフィンテックTink(ティンク)は欧州全体を席巻しており、Truelayer(トゥルーレイヤー)とBelvo(ベルボ)はそれぞれ、英国と中南米で確固とした地位を築いている。

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こうした企業は、エンジニアおよび開発者向けに、アプリからユーザーの金融口座に接続する際に必要な技術面および運用面での操作を軽減するツールを提供している。APIを使うことで、通常ならゼロから構築する必要のある複雑なサービスを数行のコードを追加するだけで組み込むことができる。

企業や開発者は他の金融インフラストラクチャー同様、Stitchのサービスを使用すると、パーソナルファイナンス、融資、保険、決済、資産管理などの他のサービスにイノベーションを起こすことができる。

Stitchの創業者たちは南アフリカのマーケットでAPI製品を構築した経験に基づいて起業した。キアーン・ピレイ氏は、2017年、南アフリカの保険APIプラットフォームRoot(ルート)の運用リーダーとして勤務していた。しかしその後、サンフランシスコに本拠地を置く、ID APIを開発する企業Smile Identity(スマイルアイデンティティー)に転職する。そこで同氏は、アフリカ全土のフィンテックに取り組み、コンプライアンスとアイデンティティー周りのインフラストラクチャーに問題があることを発見する。

Stitchのチーム(画像クレジット:Pang Isaac)

この頃、ピレイ氏、カスバート氏(前職はRootのソフトウェアアーキテクト)、およびプリエン・ピレイ氏は、サイドプロジェクトとして、アフリカ向けにVenmo(ベンモ)式のウォレットを構築する作業を行っていた。そして、銀行に接続しようと8カ月間試みた結果、アフリカのフィンテックはインフラストラクチャーが欠如しているために進歩のスピードが遅いことに気づいた。

「我々はユーザーが現金をウォレットから銀行口座に移せるようにする方法を考えていた」とピレイ氏はいう。「最初は手作業でやっていたが、その後、一時しのぎの策として、このプロセスを画面スクレイピングを使って自動化してみた。そして、この手作業を自動化するという解決策自体を製品化できること、なおかつもっと洗練された方法があることに気づいた」。

そのような経緯で、ピレイ氏をCEO、カスバート氏をCTO、プリエン・ピレイ氏をCPOとして、Stitchの立ち上げに向けてチームが結成された。2019年10月にはこのアイデアに本格的に取り組み始め、1カ月後にはプレシードラウンドを確保した。Stitchによると、ステルス状態で運営している間に、 Intelligent Debt Management(インテリジェント・デット・マネジメント)、Momentum Velocity Club(モメンタム・ベロシティ・クラブ)、FlexClub(フレックスクラブ)など、数社の顧客を獲得したという。その後、Stitchは消費者向け製品を扱う企業からも注目されるようになる。

Stitchは現時点で、データおよび本人確認用API製品を提供しているが、今月には、決済用製品もラインナップに追加する予定だ。大半のAPIフィンテックスタートアップと同様、StitchもAPIコール1回ごとに課金する。ただし、予算作成やパーソナルファイナンス管理アプリなど、一部の製品では、固定料金制も導入している。

Stitchは、投資家たちから幅広く深い支援を受け、資金を調達して南アフリカで確固とした成長基盤を築くつもりだ。また、アフリカ西部や東部でも事業を展開する予定だという。

活況を呈するアフリカの金融インフラストラクチャー

アフリカの金融インフラストラクチャー市場にはすでに、APIフィンテック領域のプレイヤー(主にナイジェリアのスタートアップ)が存在している。そうした企業は大規模なラウンドで資金調達しており、うらやましいほどの支援も受けている。Mono(モノ、半年前に起業したばかりのスタートアップ)はYCの支援を受けている。また、Okra(オクラ)はアフリカ全土に展開するVC企業TLcom Capital(TLcomキャピタル)の支援を、OnePipe(ワンパイプ)はTechstars(テックスターズ)の支援を受けている。米国に本拠地を置くがアフリカに注力しているPngme(プングメ)は、アフリカ全土に展開するVC企業EchoVC(エコーVC)、とLateral Capital(ラテラルキャピタル)から投資を誘致している。

現時点では、これらのスタートアップは3か国以上には事業展開していない。例えばモノ、オクラ、ワンパイプはナイジェリア国内のみを拠点としており、プングメはナイジェリアとケニア、Stitchは南アフリカのみでサービスを提供している。こうした企業がマーケットを拡大していったとき、どのような競合関係および協力関係が展開されていくのかを見るのは興味深い。これは、そんなに先の話ではない。オクラは現在、ケニアと南アフリカで試験的にサービスを提供しているし、モノは2021年末までには、ガーナとケニアにマーケットを拡大する予定だからだ。

これらのスタートアップの創業者に以前話を聞いたところ、アフリカの市場では健全な競争が展開されると思うと答えてくれた。キアーン・ピレイ氏は次のように付け加えた。「長期的な展開としては、各企業がそれぞれ得意な分野でニッチな機能を実現していく形になるだろう」。

「プレイドが席巻している米国とは違い、アフリカのフィンテック業界には複数のプレイヤーが必要だと思う。欧州が良い例だ。多くのかなり大規模な企業が同じようなバンキングAPIサービスを提供している。アフリカでは、複数の企業が特定の機能(決済、データのエンリッチ化、店舗IDなど)を提供する形になるのではないかと思う」。

画像クレジット:Stitch

Stitchの今回のシードラウンドには錚々たる参加者が名を連ねており、主導するのは、ロンドンに本拠地を置くVC企業firstminute Capital(ファーストミニッツ・キャピタル)と米国に本拠地を置く投資会社The Raba Partnership(ラバ・パートナーシップ)だ。その他の出資者にはファンドとエンジェル投資家の両方がいる。

ファンドとしては、CRE、Village Global(ビレッジグローバル)、Norrsken(ノースケン、Klarna(クラーナ)の共同創業者Niklas Adalberth(ニクラス・アダルバース)氏が設立したファンド)、Future Africa(フューチャーアフリカ、Flutterwave(フラッターウェーブ)の共同創業者Iyinoluwa Aboyeji(リノウワ・アボイェジ)氏が設立したファンド)、500 Fintech(ファイブハンドレッド・フィンテック)などがいる。エンジェル投資家としては、ベンモの共同創業者Iqram Magdon-Ismail(イクラム・マグドンイズメール)氏、プレイドの何人かの創業メンバー、およびCoinbase(コインベース)、Revolut(レヴォルート)、Fast(ファスト)、Paystack(ペイスタック)の経営幹部らがいる。

ステルス状態のスタートアップがこれだけの投資家たちの支援を受けることができた理由について「Stitchの米国でのネットワークと各投資家の当社の製品に対する信頼が大きい」とピレイ氏はいう。

「スマイルアイデンティティーで仕事をしていたときサンフランシスコでかなりの期間過ごしたため、こうした世界クラスの創業者や投資家たちと接触することができた」とキーアン・ピレイ氏はいう。「我々にはアフリカ全土の市場で新世代の金融サービスを提供するチャンスがある。これだけの投資家たちの支援を受けることができて本当に幸運だと思う」。

ファーストミニッツ・キャピタルの共同創業者兼ジェネラルパートナーBrent Hoberman(ブレント・ホバーマン)氏によると、同社がStitchを支援する決定を下したのは、アフリカのほとんどのオンラインビジネスは、Stitchを介して自社のアプリケーションにフィンテック機能(シンプルなオンライン決済、融資能力の向上、本人確認の簡素化など)を組み込むようになると信じているからだという。

「南アフリカ人の同胞として、アフリカ全土のマーケットへの進出を見据える、優れた才能を持つ同胞エンジニアのチームと仕事ができることにワクワクしている」とホバーマン氏は付け加えた。

この1月、アフリカのVC市場は、アグリテックとクリーンテックセクターが資金調達ラウンドを席巻しており、フィンテックセクターは低調だったが、その後、フィンテックセクターが活気を呈しつつある。今週、南アフリカのデジタルバンクTymeBank(タイムバンク)が1億900万ドル(約118億1600万円)という巨額の資金を調達し、南アフリカ全土およびアジアへの進出を目論んでいる。大規模ラウンドといえばVC資金の30%以上を獲得した特定のセクターの大規模ラウンドを見たことがあるが、今回のラウンドはそれを上回る規模になっている。

過去2年間のアフリカにおけるAPIフィンテック領域で注目すべき、一連の投資案件では、すべての主要スタートアップが50万ドル(約5400万円)から400万ドル(約4億3300万円)を調達しているが、今回のStitchのシードラウンドはその中の最新の案件だ。

ブレント・ホバーマン氏のファーストミニッツ・キャピタルでの役職とラバ・パートナーシップの本拠地を更新しました。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Stitchアフリカ資金調達南アフリカ

画像クレジット:Pang Isaac

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

南アフリカのVC企業Knife Capitalが資金52.5億円確保、シリーズB10〜12社への投資を計画

南アフリカのベンチャーキャピタルであるKnife Capital(ナイフ・キャピタル)は、シリーズBの資金調達を目指すスタートアップ企業のために5000万ドル(約52億5000万円)の資金を調達している。同社のKnife Fund III(ナイフ・ファンドIII)はAfrican Series B Expansion Fund(アフリカのシリーズB拡張ファンド)と呼ばれ、南アフリカのスタートアップ企業の積極的な拡大に直接投資することを目指すものだ。また、同社はアフリカの他の地域を拠点とする企業に向けた共同投資も計画している。

その最初の投資ファンドは、Knife Capital Fund IまたはHBD Venture Capital(HBDベンチャー・キャピタル)として知られ、Eben van Heerden(エベン・ファン・ヘールデン)氏とKeet van Zyl(キート・ファン・ジル)氏が運営するクローズド・プライベート・エクイティ・ファンドだった。これによって同社はいくつかのスタートアップ企業に着手資金を提供した。また、そのポートフォリオからは、VISAによるフィンテック系スタートアップのFundamo(ファンダモ)の買収や、UberEats(ウーバーイーツ)によるorderTalk(オーダートーク)の買収など、重要なエグジットも生まれた。

2016年にこのVC会社は、Knife Capital Fund IIとして現在の所得税法第12J条(アーリーステージの企業に対するVCなどからの投資については100%の税控除を行う法案)を利用した投資オファーを開始。主にシリーズAステージに投資する同ファンド(KNF Ventures)は、8つのスタートアップをポートフォリオに抱えている。同社は2020年、このFund IIを拡張して新規投資家に開放する意図をTechCrunchに語っていた。その計画は、スタートアップ企業にネットワーク、資金、拡大の機会へのアクセスを与えることだった。

「南アフリカやアフリカの企業の国際化を支援したい」と、共同経営パートナーのAndrea Bohmert(アンドレア・ボーマート)氏は当時語っていた。その証拠に、同社のポートフォリオ企業の1つであるDataProphet(データプロフェット)は、米国と欧州に進出するために600万ドル(約6億3000万円)のシリーズAを調達している。

ボーマート氏がTechCrunchに語ったところによると、第3のファンドを設立した目的は、南アフリカのベンチャーキャピタルの資産クラスを特徴づけてきた深刻なシリーズBの資金調達ギャップに対処するためだという。この問題は、南アフリカのスタートアップ企業にとって、ビジネスの潜在能力を十分に発揮できなかったり、早期に撤退せざるを得なくなる結果を招くことがあった。

「最近では、200万ドル(約2億1000万円)から500万ドル(約5億2500万円)の資金調達が可能な企業が増えています。それらの企業は、自国内で事業を展開している限り、私たちの場合は南アフリカですが、現地のコスト構造から、それだけの資金があれば成功を収めることができるでしょう」と、ボーマート氏はいう。「しかし、これらの企業が国際的な牽引力を得て、母国以外の国でインフラを構築する必要が出てくると、そのためには多額の資金調達が必要になります。現在のところ、南アフリカ企業がより大きな市場に打って出るための資金調達を積極的に展開し、500万ドル以上の小切手を書ける南アフリカのVCファンドは、おそらくNaspers Foundry(ナスパーズ・ファンドリー)以外にはほとんど存在しません」。

その結果、アフリカは国際的なVCのインキュベーターになってしまったとボーマート氏は主張している。そのような国際的なVCは、高額の小切手を書くことはできるが、多くのスタートアップがまだ現地で必要とするサポートを提供することはできない。

同様に、国際的な投資家が南アフリカで積極的に現地の共同投資者を探してラウンド投資を行っている例もあるが、現地でそのような共同投資者が見つからない場合、投資を進めるチャンスを失うことになりかねない。Knife Capitalは、このファンドを立ち上げることで、このようなギャップを埋めたいと考えていると、ボーマート氏は語っている。

「私たちは、国際化を目指す南アフリカのテクノロジー企業のために、シリーズB投資の話し合いをリードできる国際的な投資家から、共同投資を行うために選ばれる地元のリード投資家になりたいと考えています」。

Knife Capitalは先週、南アフリカに拠点を置く投資会社のMineworkers Investment Company(MIC、マインワーカーズ・インベストメント・カンパニー)から1000万ドル(約10億5000万円)を確保した。この公約により、MICは他の国内外の投資家と並んで、このファンドのアンカー投資家となる。

MICのCIOであるNchaupe Khaole(チャウプ・カオール)氏は、地元の機関投資家がベンチャーキャピタル投資にアプローチする方法を変える動きは、以前からMICのパイプラインの中にあったと説明する。そしてKnife Capitalとの提携により、このアイデアは具体化し始めている。

「我々のコミットメントは、経験豊富なプレイヤーとして当社が持つ多くの強みとともに、今回の投資を実現するものになるでしょう。その1つは、我々と提携することで南アフリカ経済に実際に目に見える変化をもたらすと、ポートフォリオ内の企業を感化させる当社の能力です。今回の資金調達ラウンドの成功の鍵となる触媒となることを嬉しく思います」と、カオール氏は述べている。

その他の詳細としては、Knife Capitalは2021年5月までに最初のクローズを行い、年末までに最終クローズを行うことを目標としている。その大半は共同出資となり、10から12社の企業が資金を受ける計画だ。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Knife Capital南アフリカ資金調達アフリカ投資

画像クレジット:Knife Capital

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

4大陸18カ国に展開しているAI農業プラットフォームの南アフリカ発Aeroboticsが17.6億円調達

予想される人口増加と食糧需要に応えるために世界中で農業が背伸びをし、地球温暖化によって食糧安全保障がより差し迫った課題となっている中、南アフリカ発のスタートアップが人工知能を使い農場や樹木、果物の管理をすることで農家を支援している。

世界の農業にインテリジェントなツールを提供する南アフリカのスタートアップ、Aeroboticsは応募超過となったシリーズBラウンドで1700万ドル(約17億6000万円)を調達した。

Aerobotics社によると、南アフリカの消費者向けインターネット大手Naspersの投資部門であるNaspers Foundryがこのラウンドを主導し、560万ドル(約5億8000万円)を出資したという。他にはCathay AfricInvest Innovation、オランダのFMO: Entrepreneurial Development BankPlatform Investment Partnersが参加した。

James Paterson(ジェームズ・パターソン)氏とBenji Meltzer(ベンジ・メルツァー)氏によって2014年に設立されたAeroboticsは現在、果樹農家のためのツールの構築に注力している。AI、ドローン、その他のロボットを使用した同社の技術は、樹木の病気の特定、害虫や病気の追跡、より良い収量管理のための分析など、これらの作物の健康状態の追跡と判定を支援している。

同社はその技術を発展させ、シーズンの早い段階で柑橘類の生産者から樹木と果実の両方の画像を収集・処理することで、農家に独立した信頼性の高い収量予測と収穫スケジュールを提供している。これにより農家は在庫を準備し、需要を予測し、顧客が最高の品質の農作物を手に入れることができるようになる。

Aeroboticsはここ数年で記録的な成長を遂げている。1つには、8100万本の樹木と100万個以上の柑橘類の果実を処理した実績から、世界最大の樹木と柑橘類の独自データセットを持っていると主張している。

設立して7年の同社は、南アフリカのケープタウンに拠点を置いている。アフリカ大陸の新興企業の多くが、主に国内での課題の特定と解決に注目している時期に、Aeroboticsは海外でもそのサービスに多くの牽引力を見出している。同社はアフリカと同様に世界の主要な農業経済の中心地である米国、オーストラリア、ポルトガルにオフィスを構えており、アフリカ・南北アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアの4大陸にわたり18カ国で事業を展開している。

画像クレジット: Aerobotics

その中でも米国が同社の主要市場であり、Aeroboticsによると同国では2つの仮特許を申請中であり、1つは樹齢を推定するシステムと方法、もう1つは収量を予測するシステムと方法だという。

同社は今回のシリーズB投資を利用して、米国とその他の市場向けに、より多くの技術と製品を開発し続ける計画だと述べている。

「当社はオートメーションを最適化し、インプットを最小限に抑え、生産を最大化するためのインテリジェントなツールを提供することに尽力しています。農産物業界のリーダーたちとのさらなる共同開発を楽しみにしています」とCEOであるパターソン氏は声明の中で述べている。

何世紀か前にはテクノロジーのフロンティアとして謳われていた農産物業界は、長い間その面で停滞していた。しかし気候に適した農業をサポートし、農家を支援するAeroboticsのようなアグリテック企業は、業界を過去の栄光に戻そうと躍起になっている。投資家は業界に注目しており、過去5年間、息を呑むような勢いで投資が行われてきた。

Aeroboticsの場合、2017年9月にシードラウンドの一環として4Di CapitalとSavannah Fundから60万ドル(約6200万円)を調達した。その後、2019年2月にはNedbank CapitalとPaper Plane Venturesが主導するシリーズAラウンドでさらに400万ドル(約4億2000万円)を調達した。

今回のシリーズBラウンドを主導したNaspers Foundryは、2019年にNaspersが南アフリカのテック系スタートアップのための14億ランド(104億円弱)のファンドとして立ち上げた。

Naspers South AfricaのCEOであるPhuthi Mahanyele-Dabengwa(プーティ・マハニエレ-ダベンガ)氏は、今回の投資についてこう述べている。「南アフリカでは食料安全保障が最も重要であり、Aeroboticsのプラットフォームは、それを維持するための支援に向けて積極的に貢献しています。この種の技術革新は社会的課題を解決するものであり、まさにNaspers Foundryが支援したいと考えているタイプのアーリーステージ企業です」。

Aeroboticsの他にも、Naspers FoundryはオンラインクリーニングサービスSweepSouthやフードサービスプラットフォームFood Supply Networkにも投資している。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Aerobotics農業南アフリカ資金調達

画像クレジット:Aerobotics

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(翻訳:Nakazato)