味覚を検知する実験用ロボットアーム

人間には味覚があり、それがかなり特別な能力だということとを知っているだろうか?それも特別ではなくなった。カリフォルニア大学デービス校とカーネギーメロン大学の研究者は、特定の化学物質を検出できるように遺伝子組換えされたバクテリアを用いて、ものの「味」がわかるソフトロボットハンドを開発した。

ロボットが備える「バイオセンシング・モジュール」は、IPTGと呼ばれる化学物質の存在を、タンパク質を生成することによって検出する遺伝子組換え大腸菌菌株を使って作られている。IPTGが検出されるとロボットに組み込まれた光検出回路を作動する。ロボットはその信号を使って水槽の中に化学物質が存在するかどうかがわかるので、物質が完全に拡散消失すると、それを検出して物体(ここではボール)を水に入れても安全であることを知る。

研究者らは「バイオハイブリッド・ボット」と彼らが呼ぶ有機物融合部品を使ってロボットを作っている。現在検出できる物質は1種類だけなので、できることに限りがある。また、長時間のうち起きる濃度のわずかな変化を読み取ることも課題のひとつだ。

それでも研究者たちは、長時間一定の大きさと構造を保って存在できる微生物群(たとえば、人間の大腸に存在する消化に不可欠な微生物群)を作るという課題が克服できれば、もっといろいろなことができると期待している。例えば、ロボットが化学物質を検出するだけでなく、ポリマーを作って自己修復したり、バイオエネルギーを生成して他の動力源に頼ることなくロボットを動かすことも可能になる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

バーチャルリアリティーが食べ物を美味しくする

またまたVRが現実世界に入り込んできた。米コーネル大学の食品科学者らは、心地よいVR環境で食べたチーズが、殺風景な官能評価ブースで食べた同じチーズより美味しく感じることを発見した。

バーチャルリアリティーヘッドセットを着けた約50名のパネリストが3種類のブルーチーズサンプルを食べた。被験者は、標準官能評価ブース、心地よい公園のベンチ、コーネル牛の家畜小屋の3種類用意されたバーチャル環境に置かれ、特別に録画された360度ビデオを見ることができる。

被験者はチーズのサンプルが同一であることは知らされておらず、牛舎環境で食べたブルーチーズを評価ブースやバーチャル公園で食べたものよりも、優位に辛みが強いとと評価した。

その通り:バーチャルファームで食べたチーズは、なにもない殺風景なブースで食べるよりもずっと美味しかった。

「何かを食べる時、われわれは食物の味と香りだけを感じるのではなく、周囲からの感覚入力を受ける——目、耳、さらには周囲に関する記憶までも」と研究者のRobin Dandoは言った。

念のために言っておくと、この研究はVRが食べ物を美味しくするかどうかを確認することを意図したものではなく、VRが一種の味覚テスト環境として使えるかどうか、たとえばメーカーで食物のテストをするために、被験者を飛行機に乗せたり本物の牛舎に入れたりしなくても済むかどうかを検証するために行われた。食べ物は環境が変わると味も変わるため、VRでその環境をシミュレーションできることの価値は非常に大きい。

「この研究によってバーチャルリアリティーを利用できることが検証された。これはテストにのための没入環境をVRが提供するからだ」とDandoは言った。「バーチャルリアリティーは、食べている物に環境そのもの性質を視覚的に付与するため、テストの費用効果を高める」

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