広告表示オプションを追加しても品質スコアはアップしません

昨年の 10 月に Google より 広告表示オプションと広告ランク: 広告ランクの算出方法が変わります という記事が公開されて以来、

広告表示オプションを追加すれば、品質スコアもアップするんですよね?

こんな質問を耳にするようになりました。

でも、この記事 をよく読んでもらえれば分かるんですけど、そんなこと一文も書いてないんですよね。(まあ、そう誤解する理由もよく分かりますが…)

結論から言うと、広告表示オプションを追加しても品質スコアはアップしません。

品質スコアではなく、広告表示オプションを追加することで、広告ランクに影響する可能性があります。

今までは 広告ランクの計算は、入札単価と品質スコア でしたが、それに加えて広告表示オプションが考慮されるようになりました。

そもそも広告ランクが高くないと、広告表示オプションが表示されないのでは?

そもそも広告ランクが高くないと広告表示オプションは表示されないのですが、広告表示オプションが表示される条件下で、広告表示オプションのパフォーマンスが追加でプラス要因となるという意味です。

つまり、入札単価と品質が全く同じ広告 A と B があった場合に、広告表示オプションの効果が高いと見込まれる広告の方が上位に掲載されるという意味です。

でも広告表示オプションを追加したら、クリック率が良くなるのでは?

広告表示オプションのクリック率は、品質スコアの計算には考慮されません。

通常の広告のクリック率は品質スコアの計算に使われますが、広告表示オプションのクリック率は除外されます。

何だかよく分からなくなってきたんだけど…

上にも書きましたが、広告表示オプションを追加しても品質スコアに影響しないというだけで、広告ランクには影響する可能性がありますので、設定しなくても良いという意味ではありません。

それよりも、こちらも上に太字で書きましたが、広告表示オプションを追加することで、プラスの影響はあっても、マイナスに影響することはありませんので、今まで以上に活用するべきです。(もちろん、より便利性の高い広告表示オプションを追求することが効果的ですが。)

細かいことかも知れませんが、間違った理解から無駄なアクションを取らないためにも、正しく理解しておきましょう。

『クリック率ってどれくらいが良いの?』の質問に、真面目に答えを出してみようじゃないか…

クリック率が大事だっていうのは、AdWords をある程度やってる方であれば分かっていると思うのですが、セミナーやコンサルをやっていると、下記のような質問をよく受けます。

クリック率って、どれくらいが良いんですか?

品質スコアを1つ上げるのに、どれくらいクリック率を上げれば良いですか?

これまでは、『順位とか予算とかマーケットなど、いろんな要素が絡んでくるから一概には言えないんだよね〜』と言って逃げてきたわけですが…

今回は、真面目にこの質問の答えを出してみようかと思います。(厳密に言うと、真面目にこの質問の答えを出す努力をしてみようかと思います。)

まずは出来る限り厳密にデータを処理するために、ジャンルの異なる様々なアカウントから完全一致のキーワードだけを取り出し、クリック数が 5 クリック以上のキーワード限定で検証してみました。(およそ3万キーワード、品質スコアの履歴は考慮してません。)

そして、品質スコア別に平均順位とそのクリック率をだして散布図を作成し、累乗近似曲線を追加してみました。(縦軸がクリック率で、横軸が順位です。)

順位とクリック率(品質スコア10の場合)

順位とクリック率(品質スコア9の場合)

順位とクリック率(品質スコア8の場合)

順位とクリック率(品質スコア7の場合)

順位とクリック率(品質スコア6の場合)

順位とクリック率(品質スコア5の場合)

順位とクリック率(品質スコア4の場合)

順位とクリック率(品質スコア3の場合)

順位とクリック率(品質スコア2の場合)

順位とクリック率(品質スコア1の場合)

このデータから、順位とクリック率と品質スコアには相関性があることが分かります。

これを実際の数字で表にしてみると、下記のようになりました。

品質スコアと順位におけるクリック率

※ 累乗近似曲線の計算式は以下とする。(X) = 順位

  • (品質スコア 10) = 0.1603(X)^-0.754
  • (品質スコア 9)=0.2177(X)^-1.108
  • (品質スコア 8)=0.0976(X)^-0.811
  • (品質スコア 7)=0.0711(X)^-0.844
  • (品質スコア 6)=0.0528(X)^-0.753
  • (品質スコア 5)=0.1158(X)^-1.346
  • (品質スコア 4)=0.0269(X)^0.0143
  • (品質スコア 3)=0.0129(X)^-0.063
  • (品質スコア 2)=0.0097(X)^-0.838
  • (品質スコア 1)=0.0034(X)^-0.077

部分的に、想定外の数字が出ている部分もありますが、データをかなり増やしてみてもほぼ同じだったので、限界までデータをとって辞めました…泣(品質スコアが 9 のキーワードは、ブランドキーワードがより多かった気がするんだけど、そういうのが影響してたりするのかな?)

累乗近似を使っているので、実際にこの数字を超えたらOKとかそういう意味ではありませんが、ひとつの指標にはなると思います。

あと、気になったのが品質スコアが 4 以下になると、順位が1位〜8位までほとんど変わらないということはすごく面白いと思います。(これは、品質スコアが 4 以下になると、なかなかプレミアムポジションにいけないという良いデータだと思います。)

数字が揃ってなくて気持ち悪い方へ

品質スコアを

  • 10〜8
  • 7〜5
  • 4〜2

の3つのグループに分けて、上記と同じグラフを作って見ると、かなり綺麗なデータが出たので、こちらも参考のために記載してきます。

順位とクリック率(品質スコア10-8の場合)

順位とクリック率(品質スコア7-5の場合)

順位とクリック率(品質スコア4-2の場合)

品質スコアと順位におけるクリック率②

※ 累乗近似曲線の計算式は以下とする。(X) = 順位

  • (品質スコア 10〜8)=0.0568(X)^-0.673
  • (品質スコア 7〜5)=0.0344(X)^-0.588
  • (品質スコア 4〜2)=0.0142(X)^-0.388

まとめ

今回の記事は、データの整理がちょっと大変でしたが、面白いデータがとれたのではないかと思います。

暇な人は、自分の管理しているアカウントでもやってみてください。

品質スコアの履歴を AdWords Script を使って管理する方法

品質スコアを最適化するために広告文を変更したりすることはあっても、その前と後の変化をデータを取って検証している人は意外と少ないですし、『品質スコアの履歴があったら良いけど、マニュアルで管理するのも面倒だな〜』と思っている方もいると思います。

そんな時に、AdWords Script を使って品質スコアの履歴を管理することができます。【参照: PPC Hero(英語)

手順

①. まずは下準備ですが、AdWords にログインした状態で、こちらのスプレッドシートを開き、ご自身のGoogle Drive などに保存します。

②. あらかじめ、Campaign(キャンペーン)AdGroup(グループ)Keyword(キーワード) の項目に、ご自身で運営している項目をそれぞれ反映させておきます。

③. 次に、AdWords アカウントにあるスクリプトを作成の画面に移ります。

スクリプトを作成

④. そこに、下記にあるスクリプトを貼り付けます。【参照: PPC Epiphany(英語)

var spreadsheet_url = “INSERT_SPREADSHEET_URL_HERE”;
var email_address = “YOUR_EMAIL_HERE”;

function main() {
var matches = new RegExp(‘key=([^&#]*)’).exec(spreadsheet_url);
if (!matches || !matches[1]) throw ‘Invalid spreadsheet URL: ‘ + spreadsheetUrl;
var spreadsheetId = matches[1];
var spreadsheet = SpreadsheetApp.openById(spreadsheetId);
var sheet = spreadsheet.getSheetByName(‘Input Keywords’);
var sheet_values = sheet.getDataRange().getValues();
var result_range = new Array(); // holds the results to write back
var alert_text = new Array();
var history = new Array();
var currentTime = new Date();
var today = (currentTime.getMonth() + 1) + “/” + currentTime.getDate() + “/” + currentTime.getFullYear();

for(i = 1; i < sheet_values.length; i++){
// make sure there is actually some data here
if(sheet_values[i][0] == "") continue;
result_range[i] = [today, 0];
var campaign_name = sheet_values[i][0];
var adgroup_name = sheet_values[i][1];
// remove single quotes at the beginning of the keyword (Excel sometimes adds them in front of modified broad matches, like: '+keyword)
var keyword_text = sheet_values[i][2].replace(/^[']+/g, "");
var latest_check = sheet_values[i][3];
var old_quality_score = sheet_values[i][4];

var keywordIterator = AdWordsApp.keywords()
.withCondition("CampaignName = '" + campaign_name + "'")
.withCondition("AdGroupName = '" + adgroup_name + "'")
// this won't let us filter for phrase or exact matches so we have to remove brackets and quotation marks (broad match modifiers are fine)
.withCondition("Text = \"" + keyword_text.replace(/[\[\]\"]/g, "") + "\"")
.get();
while(keywordIterator.hasNext()){
var keyword = keywordIterator.next();
// since we couldn't filter phrase or exact matches directly, we have to make sure that this is the right keyword
if(keyword.getText() == keyword_text){
var current_quality_score = keyword.getQualityScore();
// save quality score for results
result_range[i][1] = current_quality_score;
// for the history we also note the change or whether this keyword is new
if(old_quality_score > 0) var change = current_quality_score – old_quality_score;
else var change = “NEW”;
var row = [today, campaign_name, adgroup_name, keyword_text, current_quality_score, change];
history.push(row);
// if we have a previously tracked quality score and it’s different from the current one, we make a note to log it and send it via email later
if(old_quality_score > 0 && current_quality_score != old_quality_score){
alert_text.push(current_quality_score + “\t” + old_quality_score + “\t” + change + “\t” + latest_check + “\t” + keyword_text);
}
// we’ve found the keyword we were looking for so we look no further
break;
}
}
}
// write results to spreadsheet
result_range.splice(0,1);
sheet.getRange(2, 4, result_range.length, 2).setValues(result_range);
// write history to spreadsheet
var history_sheet = spreadsheet.getSheetByName(‘QS history’);
history_sheet.getRange(history_sheet.getLastRow()+1, 1, history.length, 6).setValues(history);
// if we’ve made notes for alerts then we send them via email
if(alert_text.length){
var message = “The following quality score changes were discovered:\nNew\tOld\tChange\tPreviously checked\tKeyword\n”;
for(i = 0; i < alert_text.length; i++) message += alert_text[i] + "\n";
// also include a link to the spreadsheet
message += "\n" + "Settings and complete history are available at " + spreadsheet_url;
// if we have an email address we send out a notification
if(email_address && email_address != "YOUR_EMAIL_HERE"){
MailApp.sendEmail(email_address, "AdWords quality score changes detected", message);
}
// log the message
Logger.log(message);
}
}

INSERT_SPREADSHEET_URL_HERE の部分に、先ほど保存したスプレッドシートの URL を入力します。(必要に応じて、YOUR_EMAIL_HERE の部分に、メールアドレスも入力します。)

⑤. スクリプトを実行することで、それぞれの品質スコアをスプレッドシートに反映することができます。

品質スコアの履歴

⑥. あとは、AdWords アカウントより実行の頻度を決めたり、それをメールで配信することも可能ですし、それらのデータを加工することでアカウント全体の品質スコアをみながら最適化していくことも可能です。

AdWords Script に関しては、他にもキーワードや広告の管理にもいろいろ使用出来ると思うので、そのあたり今後いくつかご紹介していけたら良いなと思っています。

エンハンストキャンペーン導入に伴い、品質スコアはどうなるの?

AdWords のエンハンストキャンペーンに関しては、かなり大きなニュースなので、いろんなところで目にしている方も少なくないと思います。

何のことか分からない方は、下記のサイトをみて頂ければ良いかと思いますが、簡単に説明するとデバイスやタイミングが多様化してきたので、それにあわせたマーケティングを簡単にできるような管理画面やキャンペーン管理を変更しちゃおうということだそうです。

具体的に、今後はPCとスマホを同じキャンペーンで運用することになります。(移行期間はありますが、最終的には強制的にその方向になるようです。)

細かい話をしだすと膨大な量になりますし、現段階では Google からの資料を見て頂ければ十分だと思うのですが、今回はこのブログで期待されている項目だけにフォーカスして、お届けします。

品質スコアの管理はどうするの?

このブログの人気記事をみていると、いまだに品質スコアに関することが多いので、エンハンストキャンペーン導入に伴い、品質スコアがどう影響するのかということを、英語の参考資料を元に書きたいと思います。

まず大枠の話だけをすると、品質スコアの履歴に関して、キーワード・広告・ランディングに変更がない限り、今回のアップデートによる影響はありませんということです。

ただし、PCとスマホのキャンペーンが結合されるので、それに関する細かい部分は以下です。

PCのみキャンペーン

PCのキャンペーンに関する品質スコアの履歴は、そのまま継続で持ち越されます。ただし、アップグレード後に、他のディバイスに関する品質スコアの履歴も、そのディバイスで広告が表示される範囲内で加味されていきます。

スマホのみのキャンペーンを停止した後

PCとスマホのキャンペーンが結合されるので、必然的にスマホのみのキャンペーンは停止することになるのですが、それまでのスマホに関する品質スコアの履歴は、PCのキャンペーンへと移行されるときに、キーワード・広告・ランディングに変更がない限りそのまま引き継がれます。

これは、スマホの広告を別のアカウントで運営していた場合でも、同じ事です。

※ ただし、PCとスマホの品質スコアは表面上は結合されても、実際に使用される品質スコアは、それぞれのディバイスで広告が表示されるときに、それぞれの品質スコアが使われることになります。

スマホのキャンペーンで、PCとは異なるスマホ専用の広告文を使用していた場合

アップグレードの際に、スマホ専用の広告として継続され、その品質スコアの履歴もそのまま引き継がれます。

まとめ

上でも少し触れましたが、PCとスマホのキャンペーンが結合されることによって、管理画面上では品質スコアも結合されます。

ただし、それぞれのディバイスで個別に品質スコアをもっており、実際に使用される品質スコアは、それぞれのディバイスで広告が表示されるときに、それぞれの品質スコアが使われることになります。

管理画面上で表示される1〜10段階の品質スコアは、全てのディバイスの平均(どのディバイスでより多く広告が表示されたかのウェイトを考慮された上での平均)ということになります。

※ 品質スコアに限っては、全てのディバイスの平均でしか知ることができませんが、クリック率や平均順位など、他の指標に関しては、ディバイス別に分析することが可能です。