米国土安全保障省、四足方向のロボット犬が南部国境をパトロール

米国土安全保障省が今週、同省科学技術局が進めていた米国南部の国境で、犬の形をした四足歩行ロボットを使用する研究の詳細を明らかにした。Boston DynamicsのSpotのようなロボットに、人間の政府職員に対して友好的でない地域をパトロールさせるつもりだ。

このニュースに付随する声明で、国土安全保障省のBrenda Long(ブレンダ・ロング)氏は「南部国境は人間や動物にとって敵対的な場所である可能性もあるため、マシンの方が有効だと考えられる。科学技術局による研究開発事業は、地上監視用自動走行車両(Automated Ground Surveillance Vehicles、AGSV)と呼ばれ、基本的にはロボット犬だ」と述べている。

この事業はフィラデルフィアのロボット企業Ghost Robotsと協同で行われる。同社は過去に、Verizonなどの大企業の仕事も経験している。最近、同社が新聞の見出しを飾ったのは、ある見本市に登場した、SWORD Defense Systemsの特殊用途無人ライフル(Special Purpose Unmanned Rifle、SPUR)というリモコン狙撃手のロボットだ。それは四足歩行ロボットで最も有名なBoston Dynamicsが、DARPAの話を一応聞いたが、結局越えなかった一線(ロボットの軍事利用)だ。

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公式にアナウンスされているこのロボットの用途は、国境のパトロールだ。そのシステムは自律的に歩き回ったり、リモートでコントロールされてリアルタイムのビデオフィードをオペレーターに送る。武装については触れられていないが、それがあるとより多くの人やメディアの関心を集めただろう。

Ghost自身は、米政府との提携は名誉なことであり、ペイロードなどについてはあらゆる可能性に対応したいと述べている。

CEOのJiren Parikh(ジレン・パリク)氏は、2021年のインタビューで次のように述べている。「私たちはペイロードを作りません。武装について宣伝や広告も、おそらく行いません。武装は答えにくい問題でもあります。しかし軍に渡すため、軍が何をするのかわかりません。政府に、ロボットの使い方を指示することはできません。売る・売らないを決める線引きはない。私たちとしては単純に、米国とその同盟国の政府に販売するだけです。敵対的な国の市場の企業に私たちのロボットを販売する気はありません。弊社ロボットへの、ロシアや中国からの引き合いはたくさんあります。しかし、それが弊社のエンタープライズ顧客のためでもそちらには販売しません」。

国土安全保障省は、危険な国境地域の問題に限らず、テクノロジーに関心を持つ理由をたくさん挙げている。

米国税関国境警備局のBrett Becker(ブレット・ベッカー)捜査官は「他の国と同じように通常の犯罪行為もありますが、国境沿いでは、人間の密輸、麻薬の密輸、銃器や大量破壊兵器を含むその他の禁制品の密輸もあります。これらの活動は、個人のものから国際犯罪組織、テロリスト、敵対する政府まで、あらゆる人によって行われる可能性があります」と投稿している

国境ロボットの開発や配備に関するスケジュールへの言及はないが、すでにチームは、暗視装置を装備したロボットの現場テストを行い、屋外や居住用建物内などを想定したテストも行っている。

「空中や地上、水中などで使用する半自律ドローンは、すでに至るところで効果的に利用されており、ロボット犬もそれらと同様です」とロング氏はいう。しかし、米国政府のドローン利用のこれまでの流れを見るかぎり、国土安全保障省がロボットに現場仕事をさせることを賞賛するのは、無理がありそうだ。

画像クレジット:Ghost Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

チューリッヒ工科大学の四足歩行ロボットANYmalがハイキングに挑戦

ここ数年、ロボット研究者たちが有脚ロボットで実現した成果は驚くべきものばかりだ。2021年7月にオレゴン州立大学はCassieを5km走らせたのは記憶に新しいところだが、今週、チューリッヒ工科大学の研究者たちは、ANYmalロボットが近くの山を登る訓練でその身体能力を伸ばしたと発表した。

訓練した四足ロボット(Boston Dynamicsの製品をどうしても連想させる形状の)は、近くのエッツェル山という標高1098メートルの山頂を歩くように訓練されている。このロボットは、120メートルの標高差がある山道を31分間で歩くことができたという。これは、人間のハイカーの標準的な歩行時間よりも4分も速い。さらにつまずいたり、踏み外したりすることなく、このロボットがタスクを達成したということは、多くの人間が思う以上にすばらしいものだ。

研究者たちによると、この偉業は制御方式の変更で達成できたとのことで、科学誌でも紹介された。方式は、画像による視覚と触覚のフィードバックを組み合わせたというもので、この組み合わせにより、ロボットはハイキングではよくある視野が限られた凹凸のある地面を楽に歩けるようになる。このフィードバックをもとに、ロボットはどの程度慎重に歩けばいいのかなどを判断する。この技術は、四足歩行ロボットが山を登る前に、まず仮想環境で試された。

研究リーダーのMarco Hutter(マルコ・フッター)氏は、「このロボットは、視覚による環境認識と、脚の直接接触に基づく固有感覚(触覚)を組み合わせることを学びました。これにより、より速く、より効率的に、そして何よりも堅固に悪路に望むことができるのです」という。ANYmalは将来、人間にとって危険な場所や、他のロボットでは通れないような場所でも使用できるようになるだろう。

不整地での安定した歩行は、四足歩行ロボットにおける重要な研究開発課題だ。このようなリアルタイム処理の活用は、最終的には、人間を危険から守るために危険な状況に送り込まれるロボットに役立つと考えられている。

画像クレジット:Takahiro Miki/ETH Zurich

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ロボットにスナイパーライフルを装着させるという一連問題

ロボットに銃を装備させるというのは、実用的な四足歩行ロボットが登場して以来、我々が追い続けてきたトピックだ。先の展示会で、SWORD(スワード)と呼ばれる企業が設計した遠隔操作可能な狙撃銃がGhost Robotics(ゴースト・ロボティクス)のシステムに装着されているものがお披露目されたため、この問題がさらに重要性を増してしまった。

これはBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)がどうにかして自らを遠ざけようとしていた問題である。当然のことながら戦争マシンを作っているという事実は、一般的に見て企業イメージにもよろしくない。しかし、多くのロボット産業がそうであるように、DARPA(国防高等研究計画局)の資金援助を受けたBoston Dynamicsが恐ろしいSF映画のようなロボットを生み出しているという事実は事態を複雑にしている。

先のコラムでは、威嚇や暴力を目的としたSpotの使用に対するBoston Dynamicsのアプローチについて話をした。また、ロボットの背中に銃を取り付けることについての筆者自身の考えも少し述べたつもりだ(繰り返しいうが、私は銃やデスマシン全般に反対である)。記事を書く前にGhost Roboticsに連絡を取ったものの、返事をもらったのは記事が公開された後だった。

筆者はその後、同社のCEOであるJiren Parikh(ジレン・パリク)氏に、同氏が「歩く三脚」と呼ぶこのシステムについて話を聞くことができた。Ghostはペイロード、この場合はすなわちSWORD Defense Systemsの特殊用途無人ライフル(SPUR)を設計していないため、こういった呼び方をするのだろう。しかしここには重要な倫理的疑問が詰まっている。歩く三脚と同社は呼ぶが、実際の責任はどこに置かれているのだろうか。ロボット開発会社なのか、ペイロードを製造する会社なのか。またはエンドユーザー(例えば軍隊)なのか、はたまたこれらすべてなのか。

銃を装備したロボット犬の軍隊が誕生し得るという可能性があるのだから、これは非常に重要な問題である。

自律性の観点からお話を伺いたいと思います。

ロボット自体には、武器のターゲティングシステムのための自律性やAIを一切使っていません。システムを作っているSWORDについては、私からはお話しできませんが、私の知っている限りでは、武器は手動で発射されるトリガー式であり、ターゲティングも裏で人間が行っています。トリガーの発射は完全に人間がコントロールしているのです。

完全な自律性というのは、越えるべきでない一線だとお考えですか。

我々はペイロードを開発していません。兵器システムを宣伝したり広告したりするつもりがあるかと聞かれれば、おそらくないでしょう。これは難しい質問ですね。私たちは軍に販売しているので、軍がこれらの兵器をどのように使用しているのかはわかりません。政府のお客様にロボットの使い方を指図するつもりはありません。

ただし販売先に関しては境界線を設けています。米国および同盟国政府にのみに販売しています。敵対関係にある市場には、企業顧客にさえロボットを販売しません。ロシアや中国のロボットについての問い合わせは多いですね。企業向けであっても、こういった国には出荷しません。

貴社が望まない方法でロボットが使われないようにするための権利を留保していますか?

ある意味ではそうですね。弊社にはコントロール権があります。全員がライセンス契約にサインしなければなりませんし、我々が望まない企業にはロボットを売りません。弊社が納得できる米国および同盟国の政府にのみロボットを販売しています。ただし軍の顧客は、彼らが行っていることすべてを開示しないということを認識しなければなりません。国家安全保障のため、あるいは兵士を危険から守るために、特定の目的でロボットを使用する必要があるのであれば、私たちはそれに賛成します。

画像クレジット:SWORD

ロボットを使って何をするかではなく、誰がロボットを購入するかというのが審査対象という事ですか。

その通りです。このロボットを使って格闘技のビデオを作ったり、ロボットがとんでもないことをするリアリティ番組を作ったりしたいという声が寄せられています。しかし誰が使うかわからなければお断りしています。ロボットはあくまでも道具です。検査やセキュリティ、そしてあらゆる軍事的用途のためのツールなのです。

先に見た写真に関してですが、タイムラインはあるのでしょうか。

2022年の第1四半期後半には、スナイパーキットのフィールドテストを行う予定だそうです。

このケースにおける契約内容は何ですか?国防総省は御社やSWORDと個別に契約をしているのでしょうか。

契約はありません。彼らは市場機会があると信じているただのロングガン企業で、彼らは自分たちのお金で開発し、我々はそれが魅力的なペイロードだと思った。顧客がいるわけではありません。

画像クレジット:Reliable Robotics

さて、(少なくとも今回)軍用犬ロボットの話はここまでにしよう。陸上での案件から、海や空へと話を移したい。まずはベイエリアに拠点を置く自律型貨物機企業、Reliable Robotics(リライアブル・ロボティクス)が1億ドル(約114億円)を調達した。設立4年目の同社の総資金額は、今回のシリーズCラウンドにより1億3000万ドル(約148億円)となり、自律型トラック輸送モデルを空へと移行させるべく計画を進めている。

無人航空機といえば、Alphabet(アルファベット)の子会社であるWing(ウイング)が米国でのドローン配送を本格的に開始することを発表した。オーストラリアとバージニア州の小さな町でパイロット版に成功した同社。その後ダラス・フォートワース都市圏で自律走行による配達を開始するべく、Walgreens(ウォルグリーンズ)とのパートナーシップを発表したのである。

画像クレジット:Alphabet

Wingは規制面での取り組みについて次のように話してくれた。

2019年4月、Wingはドローン事業者として初めて米連邦航空局から航空事業者としての認定を受け、数マイル先にいる受取人に商材を届けることができるようになりました。この認定の拡大版として、2019年10月にバージニア州でローンチすることができました。現在この拡大版の許可に向けて作業を進めており、その一環として、今後数週間のうちにテストフライトを行い、この地域で新しい機能を実証する予定です。ダラス・フォートワース都市圏でのサービス開始に先立ち、私たちは地元、州、連邦レベルの当局と協力して、すべての適切な許可を確保してまいります。

画像クレジット:Saildrone

水上はというと、こちらでも1億ドル規模のシリーズCが行われている。科学的なデータ収集を目的とした自律航行船を開発するSaildrone(セイルドローン)は、すでにかなりの数の無人水上飛行機(USV)を配備しており、その総走行距離は約50万マイル(約80万Km)に達しているという。

最後に、パンデミックによる人手不足の中、ロボットウェイターを採用するというThe New York Times(ニューヨーク・タイムズ)の興味深い記事を紹介したい。ロボットウェイターというのは大して興味深いわけでもないのだが、おもしろいことに、この結果人間のウェイターが受け取るチップが増えたと報告されたのである。

Serviによってウェイターがキッチンを往復する手間が省かれ、常に忙しいウェイターは客と会話する時間を増やし、より多くのテーブルにサービスを提供することができたため、ウェイターはより高いチップを得ることができたのである。

自律型システムは既存の仕事を置き換えるのではなく、企業が現在の人員では補えない部分を補うものであるという、ロボット関連企業が以前から主張してきたことが、このニュースで裏付けられた形になった。自律型システムが既存の仕事を完全に取って代わる事はなく、現在の人員では補えない部分を補完するのだということがよく分かる。これが完全な自動化への一歩となるかどうかは疑問だが、人間がより人間的な仕事に専念できるようになることに、大きな意味があるのではないだろうか。

画像クレジット:SWORD

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

世界初、Boston Dynamicsロボット犬によるローリング・ストーンズの名曲MVカバー

Spotは、よく働き、よく遊ぶ。最新のビデオでBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は、ローリング・ストーンズのアルバム「Tattoo You(刺青の男 )」の40周年を記念して、4足歩行ロボットがジャガーさながらの動きを見せる様子を披露した。「Spot Me Up 」では、Spotロボットのカルテットが、1981年にリリースされた「Start Me Up(スタート・ミー・アップ)」のミュージックビデオを全力で真似ている。

もちろん、バイラルビデオはBoston Dynamicsの重要なマーケティングツールであり、ロボットがより洗練されたものになればなるほど、そのパフォーマンスはより印象的なものになっている。ストーンズもまた、テクノロジーマーケティングに昔から関わってきた。実際にストーンズは、90年代半ばにWindows 95のキャンペーンで「Start Me Up」の使用をライセンス契約している。

分割画面では、ロボットがビデオの再生に合わせてそれぞれ動き、ストーンズは最高のスパンデックス姿で登場している(RIP、チャーリー・ワッツは常にベストドレッサーだった)。「Start Me Up」は、ストーンズが6時間かけてレコーディングしたと言われているが、ローリング・スポットの振り付けにどれだけの時間がかかったかは不明だ。しかし、これまで見てきたように、ミックのように動くかどうかに関わらず、1分半のビデオには多くの準備が必要とされる

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このビデオは、自律型ロボットシステムがより厳しい目で見守られている中で公開された。

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

【ロボティクス】軍用犬、ぶどう畑そしてお金

ロボットの背中に銃を固定することについて話をする。私は好きではない(立場を明確にしておきたいので)。2021年2月にMSCHFがSpotでそれをやったとき、あれは自律型ロボットとともに社会がどこへ向かっていくのかに関する思考実験であり展示会であり声明だった。そして何より重要だったのは、載っていたのがペイントボール銃だったことだ。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は不快感を示して次のように語った。

本日当社は、あるアートグループが当社の産業用ロボットSpotの挑発的な使い方に注目を集めるイベントを計画しているという情報を入手しました。誤解のないように申し上げますが、当社は、暴力や危害、脅迫を助長するような方法で当社の技術を表現することを非難します。

これは同社が何よりも大切にしている事柄であることが明らかだ。数十年にわたる殺人ロボットSFの歴史を経て、高度なロボットがそこに関わると人々が考えることは想像に難くない。これはオートマトン版のルール34(アシモフのロボット工学第1原則に対する明確な反逆)だ。もしロボットが存在するなら、誰かが兵器化する。

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これまで私がこのコラムで言ってきたように、私はここでこうした会話をしていることを喜んでいるし、NYPD(ニューヨーク市警察)がSpotのブランド付きバージョンの話を持ち出したことに人々が懐疑的だったことをうれしく思う。一方で私は、たとえば警察が爆発物探知などの危険な作業にロボットを長年使ってきたことを指摘するのも重要だと考えている。大部分の人々は、人間を爆発から救うことはロボットの有効な利用方法であるという意見に賛成だろう。

Boston Dynamicsがロボットを危害のために使用することに対して反対の声を上げ続けていることをうれしく思う(頭脳を持たない四足ロボットに関して何をもって脅威とするかは、別の議論である)。Spotのメーカーである同社は、ロボティクス産業の多くの会社とともに、DARPA(国防高等研究計画局)出資プロジェクトで経験を積んでいる。荷運びラバのロボットを作ることと、移動兵器を作ることの間にはかなり大きな溝があると私は言いたいが、それはまさしく、会社のミッション・ステートメントに盛り込むべきことがらだ。

今週ワシントンD.C.で行われたAssociation of the U.S. Army(米陸軍協会)大会で展示されたGhost Robotics(ゴースト・ロボティクス)の犬型ロボットに関して言わせてもらえば、脅迫と言えるのは最良のシナリオの場合だ。ライフル銃メーカーのSWORD Defense Systemsに自ら語ってもらおう。

SWORD Defense Systems Special Purpose Unmanned Rifle(特殊目的無人ライフル)は、Ghost Roboticsの四足ロボット、Vision-60などの無人プラットフォームから精密射撃を行うように設計されています。兵器システムの安全で信頼性の高い配備を可能にする安全、装填、排出、および発射能力を備えており、操作者が遠隔から兵器を装填し安全に使用することが可能です。

もしこれがあなたの背筋を凍らせないのなら、他に何を言えばよいのか私にはわからない。軍隊が数十年空爆作戦に使っている攻撃ドローンと倫理的にかけ離れたものだろうか?違うかもしれない。しかし、私はドローン攻撃のファンでもない。

 

Ghost Roboticsが軍とのつながりを曖昧にしていることはもちろん責められない。会社のウェブサイトを訪れた人が最初に見るのはGhost Visionシステムと一緒に歩き回っている兵隊だ。しかし、DoDの予算と防衛費は、歴史的にロボット企業を存続させている主要部分であり、それはVCがこの分野に資金を注入するずっと前からだ。Ghostのサイトには、防衛、国土、および企業に分類した記述がある。Verizon(ベライゾン)との最近大きく取り上げられた5G契約は最後の分類に入る。

2020年12月の報道で、ロボット犬の戦場パトロールへの使用が取り上げられた。この場合Spotの機能とあまり変わらない。しかし、ロボットに銃を装備させることは大きく意味を変える。そこにはたくさんの疑問がある。私はGhost Roboticvsにいくつか基本的質問を投げかけた。しかし、この状況について質問するのはもちろんこれが最後ではない。

画像クレジット:Dexterity

無人ライフル以外のニュース。Dexterity(デクステリティー)は新たな大型資金調達で波を起こし続けている。ステルス状態から5620万ドル(約64億円)を獲得して表舞台に登場してからわずか1年あまり、ベイエリア拠点のスタートアップは、パンデミック下で自動フルフィルメントへの関心が急速に高まる中、鉄は熱いうちに打てを体現している。設立から4年、新たに1億4000万ドル(約160億円)を評価額14億ドル(約1595億円)で調達した。

この会社は自社システムを実世界で2年にわたって稼働させており、運ぶ商品は「ゆるく詰められた変形しやすいポリバッグから繊細なホットドッグ用パン、柔らかなトーティラチップス、下手にに詰められた段ボール箱、袋入のミミズ、消費者向け食品のトレイや木箱、さらにはとろけるバーデーケーキ」まで実に多岐にわたる。Dexterityは獲得した資金を、最初のロボット1000台の配置を続けるために使用する計画だ。

画像クレジット:Yanmar

最後に紹介するのはYanmar(ヤンマー) YV01、ぶどう畑に特化して設計された自律型噴霧ロボットだ。

「YV01は最先端自律テクノロジーを提供し、柔軟、軽量で、高い精度でぶどうに噴霧するため環境に負荷をあたえません」とYanmar EuropeのプレジデントであるPeter Aarsen(ピーター・アーセン)氏がリリース文で言った。「身近な管理者によって安全、簡単に操作が可能で、通路が狭く
つるがあまり高く伸びていないぶどう畑に最適です」。

現在、シャンパン産出地であるフランスのエペルネ(他にどこで?)でテスト中で、システムは2022年に販売される予定だ。

画像クレジット:SWORD

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボストン・ダイナミクスを買収した現代自動車が4足歩行ロボットを工場の安全監視に活用

Hyundai(現代自動車)がBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)の買収を完了させたのは2021年6月のこと。この韓国の巨大自動車メーカーは、マサチューセッツ州に本拠を置くロボット企業の技術を、将来を見据えた多くのコンセプトモビリティ車に統合させるという壮大な計画を持っていることは間違いない。しかし現時点では、既存のロボットを活用することに、より力を入れているようだ。

現代自動車は米国時間9月17日「Factory Safety Service Robot(工場安全サービスロボット)」と名付けられたロボットを発表した。同社は発表文書の中で、簡潔にするためにすぐにこのユニットを「the Robot(このロボット)」と呼び始めたが「Factory Safety Service Robot」と何十回もタイプする時間がある人はいないだろうから、私もそうしたいと思う。

このロボット(わかるよね?)は基本的に、工場の安全点検用に開発された「Spot(スポット)」を改造したものだという。当然ながら、現代自動車は身近なところから始めることにしたようで、子会社であるKia(起亜自動車)のソウル工場で最初の試験運用を開始した。

Spot…ではなくこのロボットには、LiDARと熱検知カメラが搭載されており、空間内の高温になっている場所や火災の危険性、開いているドアなどを検知できる。何か異常を感知すると、安全確認用のウェブページを通じて警告を送信し、リアルタイムでその画像やデータを共有することができる。Spotと同様に自律的に動作することも、人間が遠隔操作することも可能だ。

「Factory Safety Service Robotは、ボストン・ダイナミクス社との最初のコラボレーション・プロジェクトです。このロボットは、産業現場における危険性を検知し、人々の安全を確保するのに役立ちます」と、現代自動車のDong Jin Hyun(ドン・ジン・ヒョン)氏はリリースで述べている。「私たちはボストン・ダイナミクスとの継続的な協業を通じて、産業現場の危険を検知し、安全な労働環境を支えるスマートサービスを、これからも作り出していきます」。

画像クレジット:Hyundai

全体的には、Spotに何ができるかを知っている人なら、センサーが追加されているとはいえ、このロボットの要点をほぼ理解できるだろう。ボストン・ダイナミクスは先週、このロボットにデータ収集機能を追加することを発表している。

画像クレジット:Hyundai

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

子供が乗れるロボユニコーンは中国のEVスタートアップXpeng製

子どものためにロボット犬を買うのではなく、神話上の生き物を買ってあげるといいかもしれない。中国の電気自動車メーカーXpengは、子どもたちが乗れるロボットユニコーンを発表した。SCMPによると、この四足歩行ロボットは、Xpengの自律走行やその他のAIタスクの経験を活かして複数の地形タイプをナビゲートし、物体を認識し「感情的なインタラクション」を行うという。

その他の詳細については明らかにされていないが、デザインはBoston RoboticsのSpotをよりかわいく、より子ども向けにしたようなものだ。サイズは子どもと同じくらい。ただ申し訳ないが、あなたが仕事に向かうときに踊ることはない。

関連記事:中国Xpengが展開するLiDARを利用した自律運転EV

このユニコーンロボットは、本物のユニコーンと同じくらい神話的な存在でもある。Xpengは、価格や入手方法はおろか「角付きロボット馬」の販売予定時期も明らかにしていない。7万5000ドル(約826億円)のSpotほどではないかもしれないが、洗練されていることもあり2019年に発売された2900ドル(日本では21万7800円)のaiboよりも高いと予想される。

ある程度までは、利益は問題ではない。XpengのチーフであるHe Xiaopeng(ホー・シャオペン)氏は、今回のユニコーンは同社の既存技術を活用してロボット分野に進出する広範な動きの一環であるという。これは第一歩だと思って欲しい。Xpengがユニコーンから学んだことは、より洗練された(そしてできれば大人向けの)ロボットの開発につながるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget

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画像クレジット:Xpeng

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(文:Jon Fingas、翻訳:Katsuyuki Yasui)

シャオミが独自の四足歩行ロボットを発表、開発者向けに約17万円で販売

中国のXiaomi(シャオミ)は現地時間8月10日、オープンソースの四足歩行ロボット「CyberDog(サイバードッグ)」を発表した。このロボットは、開発者がプログラムを発展させ、アプリケーションを作成することを目的としている。Boston Dynamics(ボストンダイナミクス)の「Spot(スポット)」を強化させたようなこのロボットには、独自のサーボモーターをはじめとするシャオミのエンジニアリングのノウハウが詰まっている。

画像クレジット:Xiaomi

CyberDogの頭脳に当たるのは、世界最小のAIスーパーコンピューターと言われるNVIDIA(エヌビディア)のJetson Xavier NX(ジェットソン・エグゼビアNX)。世界を知覚するため、その全身にはタッチセンサーや超音波センサー、カメラ、GPSなど、11個のセンサー類が搭載されており「周囲と交流」することができるという。

シャオミによると、この技術はCyberDogがオーナーの後を追いかけたり、障害物を避けて移動したりすることを十分に可能にしているとのこと。また、人間の姿勢を識別したり、顔を認識することもできるので、グループの中の特定の個人を選び出し、追跡することもできる。

画像クレジット:Xiaomi

シャオミはこれを一般向けに販売するのではなく「シャオミファン、エンジニア、ロボット愛好家たちがCyberDogの広大な可能性を共同で探求する」ために、現時点では1000台の提供を予定している。そしてそれは、シャオミが主催するオープンソースコミュニティによって促進され、やがて「将来のイノベーション」に向けた開発を行うためのロボット研究所を建設することも、同社では計画しているという。

もちろん、このロボットは安いものではない。その研究に自分も関わりたいと思う人は、1台入手するために9999人民元(約17万円)を支払う必要がある。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したDaniel Cooperは、Engadgetの編集主任。

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四足歩行ロボット「ANYmal」は階段を上り人の代わりに現場を24時間パトロールする

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Xiaomi四足歩行ロボットNVIDIA Jetson

画像クレジット:Xiaomi

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(文:Daniel Cooper、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

四足歩行ロボット「ANYmal」は階段を上り人の代わりに現場を24時間パトロールする

スイスのロボット企業ANYboticsについては何年にもわたって取り上げてきた。同社は四足歩行ロボットの分野で独自の取り組みを行っており、当然のことながらBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)のSpotと比較されてきた。もちろん先述したように、このカテゴリーでの同社の取り組みは数年前から続いており、収斂進化を遂げるケースもあるだろう。

米国時間4月21日、ANYboticsはANYmalを次のレベルに引き上げる準備ができたと発表した。同社はこのロボットを「エンド・ツー・エンドのロボット検査ソリューション」と位置づけている。具体的には、このロボットはエネルギーや産業プラントのような場所を検査するために設計されており、人間が24時間365日現場にいることが理想的ではない場所をパトロールする。

画像クレジット:ANYbotics

ロボットの上部にはカスタマイズ可能なペイロードが搭載されており、視覚、聴覚、熱などさまざまな検査用センサーが搭載される。オンボードカメラは遠隔操作でパンやチルトが可能で、エリアをより鮮明に映し出すことができる。

ANYmalは階段を上ったり、従来の車輪つきロボットでは入れないような場所にも入っていったりできる。さらに自律的に検査を行い、バッテリー残量が少なくなると充電ドックに戻ることができる。

現在このロボットは試験的に導入されているが、ANYboticsはこのロボットの予約販売も開始している。そして、2021年の下半期には顧客への納入を開始する予定だ。また、同社はクライアントをスピードアップするための一種のオンボーディングを提供している。

画像クレジット:ANYbotics

「ANYboticsの専門家が窓口となり、お客様と密接に連携して自動化すべきタスクを評価し、自律移動型検査ロボットの導入に向けて組織を準備します」と、リリースでは述べられている。「チームはシミュレーション、オンサイトでのデモンストレーション、および長期的なパイロット導入における実現可能性と影響を確認します。導入ロードマップが確立された後、チームはお客様の試運転のトレーニングを行い、施設全体にシステムの拡大をサポートします」。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ANYbotics四足歩行ロボット

画像クレジット:ANYbotics

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter