コロナ禍でむしろ育ち盛りの「インドア農業」Boweryがセレブの支援あり約326億円調達

ニューヨークを拠点とする垂直農法のスタートアップBowery Farmingは米国時間5月25日、3億ドル(約326億円)のシリーズC調達を発表した。このラウンドにより同社の資金調達総額は4億7200万ドル(約513億円)を超え、同社の企業価値は23億ドル(約2502億)となる。

Fidelity Management & Research Companyがこの大規模なラウンドをリードし、既存投資家であるGV(旧Google Ventures)、General Catalyst、GGV Capital、Temasek(テマセク)、Groupe Artémis(アルテミスグループ)が参加した。AmploとGaingelsも参加し、それに加えて、レーシングドライバーのLewis Hamilton(ルイス・ハミルトン)氏、バスケットボール選手でNBA選手会会長のChris Paul(クリス・ポール)氏、女優・映画監督のNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)氏、有名シェフレストラン経営者のJosé Andrés(ホセ・アンドレ)氏、シンガーソングライター・俳優のJustin Timberlake(ジャスティン・ティンバーレイク)氏など、セレブ個人投資家も参加した。

今回の資金調達は、Boweryが2020年1月以降、750%の稼働率向上を謳うなど、実世界での目覚ましい成長を遂げていることを受けたものだ。同社はパンデミックに影響されるどころか、むしろ力強く育っているように見える。現在、同社の垂直農法による農産物は、Albertsons(Safeway、Acmeを含む)、Giant Food、Walmart(ウォルマート)、Whole Foods(ホールフーズ)などの大手チェーンを含む850の食料品店で販売されている。

画像クレジット:Bowery Farming

また2020年のパンデミックにともなう店舗シャットダウンの際には、Amazon Fresh(アマゾンフレッシュ)も必要不可欠となったeコマースでのフットプリントを拡大するのに大きく貢献した。

CEOのIrving Fain(アービング・フェイン)氏は、プレスリリースで次のように述べた。「Fidelityをはじめとする新たな投資家からの資金投入、および長期的な投資家パートナーからの追加支援は、現在の農業システムに対する新たなソリューションの重要なニーズと、当社のミッションを支援することで得られる大きな経済的機会を認めていただいたものです。今回の資金調達は、当社の継続的な事業拡大だけでなく、ビジネスの中核をなす独自技術の継続的な開発や、目の前にあるますます重要な機会に向けて迅速かつ効率的に事業をスケールしていく能力の向上にもつながります」。

画像クレジット:Bowery Farming

同社によると、この巨額の資金は、米国内の新たな場所にインドア(屋内)農場を拡大するとともに、従業員の増員や研究開発への投資に充てられるとのこと。前者にはペンシルバニア州ベツレヘムの工業地帯にある新しいサイトが含まれており、これまでで最大の規模になるという。

関連記事
東南アジアの生鮮食品を小口直販するB2BプラットフォームSECAI MARCHEが1.5億円を調達
環境負荷の小さな農業の普及を目指すオーガニック農産物流通の「坂ノ途中」が約8.3億円を調達
250万ユーザーのアフリカの農家向けSNS「Wefarm」が独立農家のネットワーク拡大に向け約12億円追加調達
農業生産者同士や生産者と消費者を結び地域経済の活性化を目指す日本初の農業SNS「Veggie」
衛星画像を使った農地の遠隔監視技術で収穫量を増やすOneSoilが約5.4億円調達

カテゴリー:その他
タグ:Bowery農業垂直農業資金調達

画像クレジット:Bowery Farming

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)