NASAが作った雪の結晶が解けていくシミュレーションは嵐の予報に役立つだけでなくとても美しい

雪については、まだ分かってないことが多い。それはどこから来るのか? どこへ行くのか? どんな味がするのか? これらの疑問に、一応の答はあるけれども、もっと複雑な疑問もある。顕微鏡的な微細なレベルでは、空中の雪はどのように解(溶)けるのか? それが、NASAのあるプロジェクトのテーマで、その結果は実用的であると同時に美しい

雪は、天候というシステムの重要な要素だ(雪氷圏(cryosphere)という言葉をご存知だったかな?)。そして、雪が形成され解けていく過程は、気象学者が、たとえば嵐やその激しさを予報するのに役に立つ。でも雪について知るためには、雪片を手のひらに取って、それを見つめているだけではだめだ。どんな研究でも、それを正しく理解するためには現象の数学的モデルが必要だ。

Jussi Leinonenは、NASAのジェット推進研究所で長年、この問題に取り組んできた

“解けていく雪のモデリングに関心があった。それがわれわれの遠隔感知機器の観察に与える影響を、知りたかったからだ”、と彼は最近のリリースで言っている。天候のパターンを理解し予測できることは、もちろんロケットの打ち上げにも関係がある。

Leinonenがもたらしたものは、雪片の解ける様相や要因の正確なモデルだ。それを雪片のタイプごとに、温度の違いごとに、解け方の状態ごとに作っていく。そのベーシックなバージョンは: 雪片の凹面に水が集まってそこが液体になる。その小さな湖が広がり、やがて氷の結晶全体を覆い、核を包む。そしてそれもやがて解ける。

と書いてしまうと単純だが、Leinonenのモデルはきわめて詳細で、雪片の形の違いや塊りの違いによる解け方の違いも表している。それを3Dで視覚化した映像(下図)は、とても美しいだけでなく、とても正しく見える。

正確なモデルがあれば気象学者は、雪や雨のさまざまなタイプを分析でき、それらが、どんな条件下でどう振る舞う、ということも分かる。またそれらの違いがレーダーのどんな画像になるかも、詳細に分かる。

雪片が解けていく様子を高解像度で映像化した動画は、スクリーンセーバーとしても人気が出そうだ。ただしLeinonenが作ったのは、Geophysical Researchに載った研究論文のみだけど。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

宇宙から定点観測、NASAが地球の1年間を映す動画を公開

epic-storms-pacific-ocean1

去年の今頃、NASAはDSCOVR衛星に搭載されるEPICカメラで撮影した画像を初めて公表した。そのカメラは、それ以降も地球よりおよそ100万マイル離れたLagrange Point 1と呼ばれる場所から撮影を続けていた。

3000枚以上の画像をまとめ、NASAは太陽が照らす地球の1年間の様子が分かる動画を制作した。

EPICは2時間毎に少なくとも1セット分の画像を撮影する。地球を散発的にしか撮影していないが、それでもEPICの記録は雲の動きや空に駆け巡る大きな天候パターンを明らかにする。1セットの画像では10の異なる波長を記録している。赤、緑、青の波長を組み合わせることで動画で見える地球の色を再現している。

たった1年の短い期間だが、EPICはすでにいくつか興味深い天体イベントを記録した。

皆既日食

Series of EPIC images showing the moon’s shadow move across the Earth during a total solar eclipse / Images courtesy of NASA/NOA

EPICの画像から、皆既日食の過程で月の影が地上を移動している様子が分かる:NASA/NOAの画像

3月、EPICは皆既日食で地球の上を月の影が移動している様子を捉えた。地表で月の移動経路に当たる場所にいた人たちは、皆既日食を見ることができた。

皆既日食の間、月は地球と太陽の間を通過する。地上で空を見上げると、短い間太陽が暗い丸い影に変わって日食を見ることができる。

月の移動

Series of EPIC images showing the lunar transit that took place in July, 2015 / Images courtesy of NASA/NOAA

2015年7月にEPICが捉えた月の移動の様子:NASA/NOAAの画像

DSCOVRの特異な地点からは、毎年1回か2回、月が移動している様子を見ることができる。

DSCOVRは常に地球と太陽の間に位置していて、月は地球の周りを回っているのだから、DSCOVRからは常に月が見えるだろうと感覚的に思うかもしれない。しかし、EPICが捉えられる範囲は狭いこと、地球と月は相当離れていること、さらに月の軌道は5度ほど傾いていることから、月はEPICの撮影範囲からは大抵の場合外れているのだ。

Earth/Moon to scale / Screenshot from BuzzFeed video “209 Seconds That Will Make You Question Your Entire Existence”

地球から月までの距離を表した画像:BuzzFeedの動画「209 Seconds That Will Make You Question Your Entire Existence」のスクリーンショット

最初の月の移動が目撃されたのは2015年7月16日で、2回目の写り込み は今年の7月4日に起きた。

Series of EPIC images showing the second lunar transit that took place July, 2016 / Images courtesy of NASA/NOAA

2016年7月、2回目の月の移動が確認されたEPICの画像:NASA/NOAAの画像

天候と北極、南極

  1. epic-storms-pacific-ocean.png

  2. epic-smoke-from-forest-fires.png

  3. epic-north-pole.png

  4. epic-south-pole.png

皆既日食と月の移動に加え、EPICは太平洋を進む3つの大型ストーム(最初の画像)、東南アジアで発生した山火事(2枚目の写真)、そして北極、南極の様子(3つ目と4つ目の写真)も捉えている。

EPICが1年の間で北極と南極のどちらの様子も捉えられるのは、1年に季節があるのと同じ理由で、地球が傾いているからだ。

北極がEPICの方に傾いている時、太陽の方に傾いていることを意味するため、北半球は夏であることを示す。同様に南極がEPICの方に傾いている時、南半球は夏だ。

EPIC Science 観測装置

EPICはアメリカ海洋大気庁が2015年2月にローンチしたDSCOVR衛星に搭載されているEarth Scienceのための観測装置だ。この衛星は常に太陽と地球の間にある特別な重力均衡地点「Lagrange Point 1」と呼ばれる場所に位置する。地球と太陽の間にDSCOVRは常に「駐車」しているため、継続的に太陽を向いている地球(太陽が照らす地球)を観測することができる。

DSCOVR location in relation to the Earth and sun / Image courtesy of NOAA

地球と太陽とDSCOVRの位置:NOAAの画像

DSCOVRの観測地点から、科学者は1年を通しての雲の範囲や天候パターンを研究することができる。EPICの光学画像からオゾンやエーロゾルの量、雲の高さや移り変わり、植物の生息地域、火山のあるホットスポット地域、地表に降り注ぐ紫外線量などを計測することが可能になる。

EPICはこれまでになかった地球の定常的な観察画像を提供している。DSCOVRのミッションは5年がかりのもので、私たちは少なくとも次の数年間、EPICが撮影する太陽が照らす地球の画像を見ることができるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website