JAXA認定宇宙ベンチャー天地人、衛星画像から水道管の漏水可能性区域を判定する実証実験を開始

JAXA認定宇宙ベンチャー天地人、衛星画像から水道管の漏水可能性区域を判定する実証実験を開始

JAXA認定の宇宙ベンチャー企業であり、宇宙ビッグデータを活用して土地の価値を見出すスタートアップ天地人は、衛星画像を使って水道が漏水していると思われる箇所の推定を行う実証実験を開始する。これは、愛知県の豊田市上下水道局、漏水検査や地中探査事業を展開するフジ地中情報と共同で実施されるもので、豊田市全域を対象として、2022年2月1日から2023年3月下旬まで行われる。

この実証実験で天地人は、衛星画像をAIで高精度解析して水道管の漏水可能性区域を判定し、フジ地中情報が実施する路面音聴調査のデータをもとに、AIによる漏水可能性判定の分析と精度向上を行うことにしている。「最新の衛星データでどこまで漏水可能性区域を判定できるかを検証」すると天地人は話している。

同様の調査は、2021年8月、豊田市の一部地域を対象に行っているが、そのときの推定的中率は約3割だった(556の漏水可能性区域のうち154区域で漏水が判明)。このときは、判定区域の直径を200mとしていた。今回は、直径100m以内に狭め、的中率約6割を目指すという。

JAXA認定宇宙ベンチャー天地人、EC・欧州宇宙機関主催の衛星データ国際コンテストにおいて農業関連部門で優勝

JAXAが認定する宇宙ベンチャー天地人は、EC(欧州委員会)とESA(欧州宇宙機関)が主催するビジネスアイデアのコンテスト「Copernicus Masters」のうち、ドイツの農業団体BayWa(バイバ)とともに実施した「BayWa Smart Farming Challenge 2021」において、アジアのスタートアップで初めて優勝を飾った。

Copernicus Mastersの主催者であるCopernicus(コペルニクス)は、ESAが中心となって実施されている地球観測プログラム。Copernicus Mastersには9つの部門があり、BayWa Smart Farming Challenge 2021はそのひとつ。それぞれの優勝者の中から総合賞「コペルニクス・マスターズ」が選出される。

BayWaの課題は、牧草管理、農業および園芸における初期の作物病害の推定、園芸における収量予測の3つ。これに対して天地人は、「衛星データとAIを使って土地の利用を最適化するソリューション」を提案した。審査では、革新性、衛星データ活用サービスを実際に使用するエンドユーザーにとっての付加価値の有無、技術的な実現可能性、市場での実行可能性が評価された。

優勝した天地人には、特典としてBayWaとの協働の機会が与えられたほか、Copernicus Masters総合賞のファイナリストとしての権利が与えられた。総合賞の特典は、ESAのビジネス育成センターからの支援や、協賛企業からのビジネスサポート。さらに賞金と衛星データが贈られることになっている。

天地人は、今回の機会を活用してソリューション開発とグローバルでの販売の強化を目指し、気候変動に対応した農業や土地の特徴にあった農業の実践、CO2排出量削減に向けての取り組みなどを後押しするという。

JAXA認定スタートアップ「天地人」が宇宙ビッグデータを活用した土地評価エンジン「天地人コンパス」体験版を提供開始

JAXA認定スタートアップ「天地人」が宇宙ビッグデータを活用した土地評価エンジン「天地人コンパス」の無料体験版を提供開始

JAXA認定の宇宙領域スタートアップ天地人は10月11日、宇宙ビッグデータを活用した土地評価エンジン「天地人コンパス」の無料体験版「天地人コンパス Demo」の提供開始を発表した。宇宙ビッグデータを実際の事業に応用する体験ができる。

天地人コンパスは、宇宙から土地を評価するサービス。衛星写真だけでなく、降水量などの気象情報、3D地形情報、地表面温度などの地球観測衛星からのデータを活用して、土地の解析、可視化、データ提供を総合的に行うというものだ。世界中あらゆる場所のデータを取得でき、利用者が持っているデータを組み合わせた複合的な分析も可能。農業や都市開発など様々な用途に対応でき、宇宙から稲の栽培環境をモニタリングする「宇宙ビッグデータ米」プロジェクトや、キャンプ場の候補地探し、複数の土地の類似性を気象の観点から評価するプロジェクトなどに使われている。

「天地人コンパス Demo」では以下の機能が体験できる。

  • ピンポイント評価機能:地上データでは観測が難しい場所について、土地の状況・環境を過去からさかのぼり評価し、適地の探索や、未来のリスクを可視化する。サンプルエリア内と特定の期間に限り、任意の場所の気象の遷移や土地の情報を閲覧できる

  • 広域土地評価機能:ビジネスや農業に最適な場所探しや、災害や自然環境変化を分析できる。分析の元となる地図情報を重ね合わせることも可能。分析例として、農作物の高温障害リスクの分析、仮想の米の品種(天地人米)を栽培条件を仮設定し地表面温度と土壌から生産適性度をスコア化するといったものがある

「天地人コンパス Demo」サービス詳細

  • 料金:無料
  • 提供開始日:2021年10月11日
  • 対応ブラウザー:Google Chromeを推奨、PCのみ対応

評価が行えるサンプルエリアは、日本の都市部、山間部、平野部に限定される。特設サイトからアクセスすれば無料で利用できる。

「宇宙ビッグデータ米」が2021年中に販売予定、宇宙領域の天地人・農業IoTの笑農和・米卸の神明が栽培着手

「宇宙ビッグデータ米」が2021年中に販売予定、宇宙領域の天地人・農業IoTの笑農和・米卸の神明が栽培着手

JAXA認定の宇宙領域スタートアップ「天地人」は4月6日、スマート水田サービス「paditch」(パディッチ)を提供する農業ITスタートアップ笑農和(エノワ)、米卸大手の神明と協業し、「宇宙ビッグデータ米」の栽培に着手すると発表した。

現在日本の農業は、生産者の高齢化にともない農業就業人口は減少傾向にあり、今後の供給力が懸念されている。天地人と神明と笑農和の3社は、「米が足りなくなる」という共通の危機感を持っているという。そこで3社は、将来的なコメの生産増につながる農業施策として、宇宙の技術を活用した農業を確立するプロジェクト「宇宙ビッグデータ米」を立ち上げ、栽培に着手するとした。

同プロジェクトは3社の強みを活かしており、以下の特徴を備えるとしている。

  • 地球観測衛星のデータを活用した天地人の土地評価エンジン「天地人コンパス」を採用。収穫量が増える圃場(ほじょう。農産物を栽培する場所)や、よりおいしく育つ可能性のある圃場を見つける
  • スマホで水管理を自動化できるpaditchを活用し、適正な水温・水量を維持することで、よりおいしい米を多く栽培する
  • 神明の直営店「米処 穂」で販売予定

宇宙ビッグデータ米の目的のひとつは、「気候変動に対応したブランド米をつくる」ことという。そのため、同タイミング同地域で「天地人コンパス」を使い見つけた圃場にpaditchなどテクノロジーを活用する方式と、従来方式とで栽培を行い、食味や収量などの比較を行う予定としている。

また近年、地球温暖化によって「高温障害」が多発しており、米の外観品質の劣化と食味の低下が懸念されているという。この問題に関しては、圃場選びや水管理で回避できると考えており、今回の栽培方法が有効かを実証する。

天地人は、JAXA職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立した宇宙領域スタートアップ。天地人コンパスを使い、衛星データからビニールハウス内の作物に対する日射量を推定するプロジェクトや、キウイフルーツなどの作物の新規圃場の検討など、農業に関わるプロジェクトを実施している。

神明は、「私たちはお米を通じて、素晴らしい日本の水田、文化を守り、おいしさと幸せを創造して、人々の明るい食生活に貢献します。」の企業理念のもと、基幹事業である米穀事業に加え、無菌包装米飯・炊飯米などの加工食品の製造販売、水産品や青果流通への参入、外食事業の展開など、食に関わる多彩なビジネスを展開している。

笑農和は、「IT農業を通じて笑顔の人の和を創り社会に貢献する」を企業理念に掲げ、全国でスマート農業機器の販売と農業コンサルティングを展開。稲作工程中で最も時間と労力を使う「水管理」工程に着目し、スマホで水管理が行えるるpaditchシリーズを販売している。

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カテゴリー:フードテック
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