米国の失業者数が3600万人を突破する中、テック企業では雇用増加も

先週米国では、過去2週間の失業申請が3600万件を超えた。パンデミックによる事業閉鎖は無数の業界に打撃を与え、多くの分野で再開の時期は定まっていない。求人大手のIndeed(インディード)は、2019年の同時期と比べて雇用は著しく低調であると最新の報告で伝えている。報道に注目している人にとってはなんら驚きではない。

大規模なレイオフが日常的に起きているように感じる。この数週間だけでもUber(ウーバー)、Lyft(リフト)、TripAdvisor(トリップアドバイザー)、Casper(キャスパー)、Juul(ジュール)の会社が大がかりの解雇を行っており、多くの人はこれを氷山の一角だと思っている。

しかし国が大恐慌以来最悪の失業率を経験している一方で、テック業界は前進を続けている。つまるところこの数カ月間、リモート会議や遠隔医療、フードデリバリーから個人保護具(PPE)製造まで、テクノロジーは一種のライフラインとして機能している。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響(都市封鎖など)に対応するために生まれた新たな職の多くが一時的なものであるのは間違いないが、パンデミックが多くの分野で重要なパラダイムシフトを起こしていると見るのも理にかなった考えだ。社会が新しい日常に適応するにつれ、テクノロジーがその変化を育む力になることは間違いない。

多くの場面で役割を担うのはギグエコノミーだ。DoorDash(ドアダッシュ)のようなフードデリバリーなら配達要員が必要になり、Amazon(アマゾン)なら配送センターの雇用が増大する。しかしこうした職は万人向けとはいえない。仕事によっては労働者の新型コロナウイルス感染リスクを高くする可能性があり、それは企業がウイルス蔓延を阻止するための努力をしていても完全には防ぎきれない。

Zoom(ズーム)のように増加する需要に答え、サービスの人気の高まりとともに露見した古い問題を修正するために、雇用を急増している会社もある。最近同社は、ソフトウェアエンジニア500人を採用する計画を発表した。Cloudflare(クラウドフレア)もテキサス州オースチンに雇用枠がある。一方Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Goolge(グーグル)といったテック巨人も揃って、ロックダウンにも関わらずエンジニアリング職の採用を順調に続けている。

スタートアップに入社することは、現時点では難しい選択だ。小さな会社は著しく不安定な未来に立ち向かっているからだ。新型コロナウイルスが、既に足元の揺らいでいるスタートアップの終結を早める可能性は非常に高い。一方で最近調達ラウンドを完了した企業は有望であり、嵐を乗り切るのに十分な資金を持っている。例えば資金豊富なBerkshire Grey(バークシャー・グレイ)も、ソーシャルディスタンス時代にロボティクスがますます魅力的なソリューションになっている今、拡大を計画している。

テック求人情報を検索可能な単独データベースにまとめているサイトやアプリが新旧取り混ぜたくさんある。新型コロナの流行によって職を失った人を支援するために作られているサイトを以下のリストに載せた。完全に網羅したリストではないが、良い出発点になるはずだ。

画像クレジット:Manuel Breva Colmeiro / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動化によって仕事が失われても人は技術を学べる

[共同著者:Brooks Rainwater]
National League of Citiesの都市ソリューションと応用研究センター・ディレクター。

[共同著者:Camille Moore]
都市ソリューション・センター元フェロー。現在は教育基金Congressional Black Caucus Foundationのエネルギー・フェロー。

 

これは、ごく一般的な光景だ。あるトラック運転手がハイウエイを降りて、給油と食事のためにトラックを停める。彼女はカウンターの脇に立っているウェイターにハンバーバーとポテトを注文し、隣の店で持ち帰り用のコーヒーを買う。

しかしあと数年で、この日常的な、なんでもないやり取りは過去のものになる。トラック運転手も、ウェイターも、店員も、次第に機械に置き換えられるからだ。

計算方法は変化しても、数字は嘘をつかない。最終的には、大勢の人たちが機械に職を追われることになる。オックスフォード大学マッキンゼー・グローバル、経済協力開発機構(OECD)のどの予測を採用しようとも、9〜47パーセントのアメリカ人労働者は、今後10年以内に自動化によって職を失うと見て間違いはない。最悪の予測では、100万人単位の労働者が職を失うことになっている。

人の働き方は変化する。人には、自分たちの仕事を変革し進化させる生まれつきの能力があり、その歴史の中で、車輪、蒸気機関、人工知能とさまざまな発明を行っては劇的な進化や影響を仕事にもたらしてきた。なので、まだ生まれていない未来の仕事はたくさんあるのだが、これまでの流れを見れば、機械や職場のテクノロジーは労働者の過酷な肉体労働を肩代わりして、我々に、もっとものを考えたり、管理したりする余裕を与えてくれるはずだ。

我々全員が、より統合された職場に移行するようになれば、誰が機械を動かしているのかを知っておくことが非常に重要になる。実用的で戦略的な方針を持つことで、勤勉なアメリカの家族や街を明るい未来へ導くことができる。

National League of Cities(全米都市連盟)による「私たちの未来の仕事に関する評価」と題した最新の調査では、米労働統計局のデータを分析した結果、2030年までに、もっとも成長の早い業種では、時間管理、積極的傾聴、調整と判断、意識決定といった高度なソフトスキルが要求されるようになることがわかった。しかし最終的には、いかなる業界においても、どの仕事も作業も自動化の影響を受けることになる。しかも、そこに現れるであろう新しい仕事がどんなものであるかは、いまだ予測がつかない。そのような、予期された広範に及ぶ混乱に対処するための、もっとも効率的で、すでにその効果が実証済みの手段として、昔から伝わるインキュベーター(保育器)がある。つまり、我らアメリカの街だ。

才能の天然の発生地である街は
変化やアイデアが見出され
集中し、ふるいにかけられて
より広い社会に広がってゆく場所として
機能している

この報告書では、自動化や地元の経済の変化に直面しても持続性のある、よりよい仕事への論理的なキャリアパスを推奨している。たとえば、看護師や訪問ヘルパーなど、人間的な感性が重視される仕事は需要が伸びて成長を続ける。一方、レジ係(自動化の影響を真っ先に受けると思われるグループ)は、営業担当に転向できる。建設ロボットSemi-Automated Mason(SAM100)のような技術は、労働者を単純な手作業から解放して、監督や、技能を活かした雇用への道を開く。

アメリカの街は、それぞれの独自の未来を構築するために、独自の特性を活かす必要に、今まで以上に迫られている。地方の経済の力は、そこに住んでいる人の才能の力と比例する。そこにどんな才能があるのかを、よく理解することで、街のリーダーは独自のポジションに身を置き、才能のパイプラインを構築し、そこに、近い将来に求められる確かな技能を持つ人々を適切に配置することが、是が非でも必要となる。

私たちの調査では、ボストン、リッチモンド、ミネアポリスの3つの都市が、利用しやすく、平等で、持続可能な方法を用いて未来の職業に備えるという仕事を、特別に効率的なやり方で行っていることがわかった。

ボストンでは、労働人口の38パーセントが自動化の影響を受けやすいと予測されている。つまり、自動化によるリスクが低いということだ。この低さの理由は、成人向けの識字教育プログラム、弟子入りの制度、地元の成長産業のための需要に的を絞った資格制度を導入して、行政が、戦略的、段階的に労働者をサポートしているところにある。

リッチモンドは長い間、経済、政治、商業の力が交差する拠点として活躍してきた。自動化の影響を受けるのは労働人口の41パーセントと予測されているが、ここも自動化による失職のリスクは小さいほうだ。リッチモンドは、面接、シャドーイング、求めに応じた技能など、ビジネスに欠かせない技術を教えるPluggedIn VAといった教育プログラムを実施して、先手を打っている。

ミネアポリスはアメリカ中西部第二の経済センターだ。大学教育が充実しているため、求めに応じた職種に専門的な技術を持つ人間をつなげることができる。とくに、Hennepin Pathwaysは、地元の持続可能な職種に、それに見合う技術をすでに備えた人材を紹介するプログラムが実績を上げている。

才能の天然の発生地である街は、変化やアイデアが見出され、集中し、ふるいにかけられて、より広い社会に広がってゆく場所として機能している。都市部には個人の集塊を有し、あらゆる職業、文化、信念の人たちが密集する街には、国を生産的に前進させるダイナミズムがある。

未来の私たちは、非常に伝統的な空間、つまり職場において、新しいレベルの個性化と柔軟性を求められる。テクノロジーは強迫的で、侵略的で、誤動作もあるが、私たちが前進するための最大の利点は、立ち直る力にある。

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(翻訳:金井哲夫)