子ども向けインタラクティブ通話デバイスAmazon Glowが半年の招待制販売を経て米国で一般に販売開始

2021年9月、Amazon(アマゾン)は「Amazon Glow」という不思議な形のデバイスを発表した。

ビデオ通話デバイスでありながらプロジェクターでもあるこの製品は、離れている家族と子どもをユニークなデュアルスクリーン方式でつなぐことを意図している。1つは内蔵スクリーンで遠隔地の通話相手の顔を写し、もう1つはプロジェクターでデバイスの下にあるテーブルに照射し、ゲームや本のための大きなタッチスクリーンとして機能する。子どもが卓上のタッチスクリーンで見ているものはすべて、通常、遠隔地の発信者のiOS / Androidタブレットに反映される。ママ、パパ、おじいちゃん、おばあちゃんが遠く離れた場所でページをめくると、子ども側のページもめくられる。

しかし、Glowには当初、1つだけ難点があった。購入するには、まず招待を受ける必要があったのだ。Amazonの製品テストプログラム「Day 1 editions」の一環として製品の不具合を解消する間、出荷は一部のユーザーに限定されていた。

Amazonは、米国時間3月29日より招待が不要になることを発表した。注目すべきは、「Day 1」プログラムから外れるため、価格が249ドル(約3万600円)から299ドル(約3万6740円)に跳ね上がることだが、同社は以前からその予定であると述べていた。この価格には、本体に必要な本やゲームを提供するほぼ必須の(Amazonプライムとは別の)サービス「Amazon Kids+」の1年間の契約と、本体がテーブルから転がり落ちて壊れた場合の2年間の「安心」交換補償が含まれている。

なお、Amazonによると、Glowはこれから「米国内」のすべての人に提供されるとのことで、他の国での販売についてはまだ詳しく述べられていない。

数カ月前、3歳の子どもの手を借りて初期モデルをチェックしたが、予想されたバグや時折のハードクラッシュにもかかわらず、我々(と祖父母)は非常に楽しい時間を過ごすことができた。そのため、レビュー用の貸出機を返送したあと、すぐに自分たちのものを購入したぐらいだ。まだ少しバグがあるが、だんだん改善されている(より軽快で、ここ数週間はより多くのゲームが追加されている)。少なくともうちの子どもは、祖父母と私がFaceTimeしているのを見ると毎回、Glowに切り替えるよう要求する。

画像クレジット:Amazon

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画像クレジット:Amazon

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Den Nakano)

MetaがVRヘッドセット発売から3年近く経ちようやく基本的な保護者向け管理ツールを追加

Meta(当時はFacebook)が最初にVRヘッドセットをリリースしたのは2019年5月だったが、ここにきてようやくMeta Questに保護者向け管理ツールを追加する。

Metaは2021年に驚きのリブランドをして以来、VRへの投資は社名変更の価値があったことを証明しようとしていると注目されている。しかし米国政府の最上層部が安全性を重要視する中で、Metaはさまざまな保護者向け管理ツールを公開することで子どもたちにとってより安全なプラットフォームにしようと取り組んでいる。

Meta Quest 2は2021年の年末商戦で販売数を大きく伸ばし、クリスマス後の2週間でOculus Questのモバイルアプリはおよそ200万回ダウンロードされたと推計される。しかしMetaのヘッドセットが普及するにつれ、ペアレンタルコントロール機能の欠如が問題視されるようになった。英国個人情報保護監督機関はこのヘッドセットがオンラインでの子どもの安全規定に違反している恐れがあるとして圧力を強めている。

画像クレジット:Meta

現在、Questヘッドセットではデバイスへのアクセスに関してパスコードなどのロック解除パターンを設定することができる。Metaによれば、4月にこの機能を拡張して特定のアプリに適用できるようにするという。つまり、保護者が共有使用しているヘッドセットで子どもに特定のゲームをプレイさせたくないなら、そのアプリ専用のロック解除コードを設定できるようになる。

同社は5月には、IARC(International Age Rating Coalition、国際年齢評価連合)がその年齢層には不適切とみなしたアプリを10代がダウンロードできないように自動でブロックする機能を追加する予定だ(QuestのプロフィールがFacebookアカウントと関連づけられて年齢が判断される)。ティーンが保護者のログイン情報と関連づけられているアカウントを使用している場合は、この保護機能は動作しないかもしれない。

今後数カ月かけて、MetaはQuestのペアレンタルコントロールを強化していく方針だ。Oculusのモバイルアプリで保護者はペアレントダッシュボードにアクセスし、このダッシュボードで子どものアカウントとリンクする。

Metaはさらに、ツールや保護者向けリソースを集めたファミリーセンター公開した。

画像クレジット:Meta

Metaはブログ記事でアカウントのリンクに関し「プロセスを開始するのはティーンで、保護者とティーンの双方がエクスペリエンスに同意する必要があります」と記している。

モバイルアプリにVR管理ツールを含めるのは、VRヘッドセットよりもモバイルアプリの操作に慣れている保護者にとってはスマートな方法だ。保護者はこのモバイルダッシュボードでティーンのアカウントに対し、例えば全年代向けアプリのダウンロードを事前に承認するというようにレーティングをもとに子どもがダウンロード可能なアプリを管理できる。ティーンが有料アプリを購入したい時に、保護者はそのリクエストを承認または拒否する設定もある。ウェブブラウザや、ヘッドセットをPCのVRゲームに接続するLinkアプリといった特定のアプリを子どもが利用できないようにブロックする機能もある。さらに、保護者が子どものスクリーンタイム、フレンドリスト、ダウンロード済みアプリを見ることもできる。

Questヘッドセットは13歳以上のユーザーを対象にしているが、もちろん13歳未満の子どもも必然的にバーチャルリアリティを利用するようになるだろう。ただし13歳以上のティーンであっても、MetaのソーシャルVRアプリである「Horizon Worlds」や「Horizon Venues」など一部のアプリには年齢制限がかけられている。

「Horizon Worlds」のウェルカムプラザだけは人間のモデレーターがいるが、モデレーターはメタバースでのセルフィーの撮り方に関する質問をするユーザーのサポートに忙しいようだ。

「Horizon Worlds」はすでにコンテンツモデレーションシステムの不備を悪用されている。BuzzFeedによれば、Qアノンの陰謀説のようなFacebookやInstagramで禁止されているコンテンツが満載のテスト用のワールドを作っても、Metaのコンテンツモデレーションシステムはガイドラインに違反していないと判断したという。このプラットフォームでセクハラや痴漢行為に遭ったと報告しているユーザーもいる。この種のハラスメントは残念ながらテキストベースのウェブのフォーラムでも起きるが、没入型の不慣れなバーチャルワールドではことさら強烈に感じられることもあるだろう。これまでMetaはこうした行為を抑制するための試みとして、オプションで他人との距離を一定以上に保つ個人境界機能を導入した。

TechCrunchはMetaに対し、多くのユーザーがすでに子どもたちがこのプラットフォームをうろついていると報告し、Quest Storeのアプリのレビューでは行儀の悪い子どもたちにつきまとわれたという苦情が散見されることから、18歳未満のユーザーが「Horizon Worlds」などのアプリを利用できないようにする方法についてコメントを求めた。

Metaの担当者はTechCrunchに対し「現時点では長いジャーニーの第一歩を踏み出したところであり、今後さらにオプションを増やしていく予定です」と述べた。Metaはアプリごとのロック解除パターンは解決策としてあり得るとしているが、これは保護者に知識と予見があれば18歳以上向けのプラットフォームを子どもが使えないようにするだけのものだ。Metaは「保護者とティーンが当社のプラットフォームに対して何を必要としているかをさらに把握しながら、保護者向け管理ツールの機能を引き続き開発し拡張していきます」と述べた。

結局のところ、ペアレンタルコントロールは保護者とティーンがそれをきちんと使って初めて効果を発揮する。しかし、こうしたガードレールの設置はMetaにできる最低限のことだ。

画像クレジット:Meta / Facebook

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトの「PeopleLens」プロジェクトは視覚に障がいをもつ子どもが社交的ヒントを学ぶ手助けをする

視覚障がいがある成人にとって困難なことの1つに、目が見える人たちの社交、会話に使われるボディランゲージを理解して参加することがある。PeopleLens(ピープルレンズ)はMicrosoft(マイクロソフト)の研究プロジェクトで、ユーザーに周囲にいる人たちの位置と名前を知らせて、会話をより豊かで自然なものにすることが目的だ。

晴眼者は部屋で周囲を見渡すだけで、どこに誰がいて誰が誰と話しているかなど、社交的な手がかりや行動に役立つ数多くの基本的情報を瞬時に得ることができる。しかし視覚障がい者は、現在、誰が部屋に入ってきたのか、誰かがその人を見て会話を促したのかどうか、必ずしも知ることができない。これは、集団への参加を避けるなど孤立や非社交的行動につながる。

Microsoftの研究者たちは、視覚障がいをもって生まれた子どもがその情報を得て有効に活用するために、テクノロジーをどう役立てられるかを知りたかった。そして作ったのがPeopleLens、ARメガネで動作する高度なソフトウェア群だ。

メガネに内蔵されたセンサーを使って、ソフトウェアは知っている顔を認識し、その人のいる場所と距離を音声によるヒントで示す。クリック、チャイム、名前の読み上げなどだ。例えばユーザーの頭が誰かに向くと小さなぶつかる音が鳴り、その人が3メートル以内にいれば続けて名前が読まれる。その後高くなっていく音によってユーザーがその人物の顔に注意を向ける手助けをする。他にも、近くにいる誰かがユーザーを見たときにも通知音が鳴るなどの機能がある。

PeopleLensソフトウェアとその3D表示(画像クレジット:Microsoft Research)

これは、この種のデバイスを一生身につけるということではなく、さまざまなヒントに気づき、社交的な反応を見せる能力を向上するための支援ツールとして使うことが目的だ。他の子どもたちが視覚を利用して学習する非言語的スキルを身につけるためにも役立つ。

現在のPeopleLensはまだまだ実験に過ぎないが、これまでに研究チームはかなりの年月を費やしてきている。次のステップは、英国内で5~11歳の長期間デバイスをテストできる子どもたちを集め、同世代分析を行うことだ。自分の子どもがあてはまると思う人は、MicrosoftのパートナーであるUniversity of Bristol(ブリストル大学)の研究ページで申し込みができる。

画像クレジット:Microsoft Research

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

女の子にコーディングを教えるオンラインゲーム「Erase All Kittens」、英スーパーマーケットTescoと配信契約を締結

英国のEdTechスタートアップErase All Kittens(EAK)は、子どもたち、特に女の子にプログラミングを教えるオンラインゲームだ。同社はこのほど、英国の大手スーパーマーケットTescoと流通契約を結んだ。その日、米国時間3月8日はたまたま国際女性デー、女性と少女たちをグローバルに支援しましょうという年に1度の日だった。Erase All Kittensはこれまで、100万ドル(約1億2000万円)ほどのシード資金を調達している。

この契約により、Tesco Clubcardの金券を使ってErase All Kittensの1年のサブスクリプションを9.99ポンド(約1530円)でTescoのウェブサイトから購入できる。Tesco Clubcardの会員は2000万人いて、そのうち660万人がストアのアプリをいつも使っている。

「Erase All Kittensとチームを組むことができたのはとてもうれしいことです。少女たちをプログラミングに誘う同社の労作は、デジタルのリテラシーが日常生活で重要になってきた今の世界ではとても貴重なものです」とTesco Clubcardの広報担当者はいう。

Erase All Kittensは子どもたちにプロフェッショナルなプログラミングを教えるオンラインゲームで「インターネット宇宙の魔法の世界で猫たちを救う」というアドベンチャーだ。これまでに、いくつかの賞を受賞している。

EAKによると、このゲームの教材は7歳から13歳ぐらいまでの子どもたちの想像力を刺激するよう作られていて、プレイヤーは本物のソースコード使って各レベルを作ったり直したりできる。女の子と男の子の両方に向いているが、EAKの調査によるとゲームをプレイした後では女の子の95%がプログラミングをもっと勉強したくなるそうだ。

同社によると、この「マリオ」のようなウェブ上のゲームは、これまで100カ国ほどの4000の学校、その16万人以上の子どもたちがプレイした。2021年はTwinkl Educational Publishingがリードするシードラウンドで100万ドルを調達し、このラウンドにはA Black Square家族事務所のChristian Reyntjens氏や、Shazamの創業者を含むエンジェル投資家たちが参加した。

CEOで共同創業者のDee Saigal(ディー・サイガル)氏は次のように語る。「プログラミングやエンジニアリングは男の子のものという大きな偏見が現在でもあります。それは本当は、女性をSTEMのキャリアから排除する性差別です。もっと多くの少女や若い女性がテクノロジーの使い方を学んで世界を作っていこうとしないかぎり、性差別は大きくなる一方です。私たちはこの問題をグローバルな規模で解決するためにErase All Kittensを作りました。このたびTescoとパートナーして全国のもっと多くの女の子たちにプログラミングと創造へ向かう気持ちを持ってもらえることは、とてもすばらしいことです」。

現在のEAKは3時間から4時間ぐらいのゲームプレイでHTMLとCSSを教えている。2022年中に、Javascriptを加えた新しいレベルを作る予定だ。

画像クレジット:Erase All Kittens game

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

保育園・幼稚園の成長と経営を支援するマーケットプレイスをWinnieが提供

Winnie(ウィニー)を2016年にSara Mauskopf(サラ・マウスコフ)氏とAnne Halsall(アン・ハウサール)氏が創業した当初は、親向けに開発した育児ソリューションに取り組んでいた。

「育児分野における他のSaaSソリューションは、まずサービス提供者を念頭においていますが、非常に分散した市場のため、推進力を得るのが本当に困難でした」とマウスコフ氏は話す。「私たち自身が親として本当に必要性を感じていたため、マーケットプレイスこそが、自分たちが最もよく理解しており、本当に勝てる場所だと判断しました」。

数年の間に全国の親からの要望を集めた。その後、このスタートアップは、信頼と、家庭のニーズに対する理解を活用して、サービスの提供側をもっと改善したいと考えた。そこで同社は、保育園の規模拡大を支援する製品「Winnie Pro(ウィニー・プロ)」を発表した。同社のサービスは、単に定員の空きを埋めるだけでなく、保育園・幼稚園の成長と経営を支援することを目指す。

まず、これは、小規模な事業者がプロフィールやランディングページを立ち上げ、情報を一カ所に集約するのを支援するというシンプルなものだ。Winnieによると、同社のプラットフォーム上にある25万所の保育園・幼稚園の半数以上は、自らのウェブサイトを持っておらず、親が保育園・幼稚園を探すとき、Winnieのプロフィールが唯一の手段となっている。同社はまた、すでに自らのウェブサイトを持つ顧客に対しても、親たちがすでに認知しつつあるランディングページを提供することにより支援できると考えている。ランディングページは、レビュー、プログラムの詳細、教育のタイプ、ライセンス情報、認証などの機能を備える。

Winnie Proは、マーケティング、登録、スタッフ配置の支援も行う。「ビジネスにとって常に役立つサービスを組み込むことで、サービス提供者が募集を必要とするときだけでなく、常に価値を提供できるようになります」とマウスコフ氏は付け加えた。

新計画は、Unusual Ventures、Homebrew、Day One Ventures、Reach Capitalから投資を受けた同社が、ビジネスモデルを拡大したことも意味している。同社は現在、SaaSのようなモデルを追求している。そのモデルでは、同社の新しいサービスに対し、保育園・幼稚園の規模に応じた月額料金を請求する。

Winnieは以前、保育園や幼稚園に何人の親を紹介したか、つまり「pay-per-lead(ペイ・パー・リード)」のモデルで収益を上げていた。この戦略は、パンデミック時に力を発揮した。Winnieへのアクセスが急増し、売上は8倍になった、とマウスコフ氏はいう。

「サブスクリプション収益とは異なり、ペイ・パー・リードは紹介する親の数に応じて毎月変化します」とマウスコフ氏は話す。「最近の傾向として、多くのサービス提供者が人材不足のため、『今はこれ以上紹介を受けられない」というような制約があります」。

同社は現在、SaaSのような月額で料金を請求するモデルを追求している。料金は保育園や幼稚園の規模に応じて変わる。そして、マーケティング、登録、さらには人材採用を支援する。ベータ版の顧客向けには、Guidepost MontessoriIzziが含まれている。

画像クレジット:Winnie

「サービス提供者がより効率的にビジネスを行うためのバックエンドツールを開発することだけが目的ではありません」とマウスコフ氏は語る。「特に、9〜5時の保育だけでなく、この変化する世界において、親が保育を見つける方法をより良く、より効率的にすることが目的です」。

このビジネスモデルの転換は、同社にとって自然な進化といえる。同社は現在、親から寄せられる要望に基づいて、保育園や幼稚園にコンサルタント的なアドバイスを提供することもできる。例えば、同社がある保育園に対して、その地域の親たちがドロップインケア(スポットで子どもを預かるサービス)を渇望していることを伝える。そして、保育園や幼稚園が需要に応じて採用を行い、最終的に収益を上げるようアドバイスするのだ。

マウスコフ氏にとってこの新製品は、すでに検証済みだ。人とケアをつなぐシンプルなマーケットプレイスだけでは不十分だという事実があるからだ。

「パンデミック以前は、『すべての雇用主が保育施設を併設していたらどうだろう』と、雇用主が提供するヘルスケアと同じようにできないかを常に考えていた部分がありました」とマウスコフ氏は話す。「今、私たちは、その答えは『イエス』だと、これまで以上に確信しています。というのも、人々は毎日オフィスに通うわけではありませんし、ケアの種類も一律ではありません。そして、雇用主は、ほとんどの場合、家族の課題を解決するために、真の意味で貢献していないからです」。

画像クレジット:Sue Barr / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokが10代に与える悪影響について米国各州の司法長官団が調査を行うと発表

米国各州の司法長官は、現地時間3月3日、TikTok(ティックトック)が、子どもたちや10代の若者たちの心身の健康状態に与える悪影響について調査を行うと発表した

この調査では、TikTokがどのように若いユーザーに悪影響を及ぼすか、またTikTokがその悪影響について事前に知っていたかどうかを分析する。この党派を超えた司法長官のグループは、TikTokが若年ユーザーのエンゲージメントを高める方法や、TikTokがユーザーに同プラットフォームでより多くの時間を過ごすように仕向ける誘因を調査する。この調査は、TikTokが州の消費者保護法に違反し、一般市民に害を与えているかどうかを弁護士団が判断するために役立つことになる。

「子どもや10代の若者が、すでに不安や社会的圧力、抑鬱などの問題と格闘している中で、ソーシャルメディアが彼らの身体や心の健康を、さらに害することは許容できません」と、マサチューセッツ州司法長官のMaura Healey(マウラ・ヒーリー)氏は、プレスリリースで述べている。「各州の司法長官にとって、若者を保護し、TikTokのような企業が彼らの日常生活にどのような影響を与えているかについて、より多くの情報を得ることは急務です」。

このような行動が起こることは珍しくないが、それが大手テック企業に大きな変化をもたらすことは滅多にない。それでも2021年には、44人の弁護士から成る同じような団体が、同じくヒーリー司法長官を共同代表として、Meta(メタ)にInstagram Kids(インスタグラム・キッズ)の立ち上げ計画を一時停止させることに成功した。しかし、この決定はおそらく、元Facebook(フェイスブック)の幹部だったFrances Haugen(フランシス・ホーゲン)氏の内部告発があったことが深く関係している。

ソーシャルメディアが子どもの精神衛生に与える影響は、政府も気にかけている。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領が、米国時間3月1日夜の一般教書演説で、ソーシャルメディアに言及したほどだ。

「私たちは、ソーシャルメディアプラットフォームが利益のために、我が国の子どもたちに対して行っている国民的実験に対して、責任を持たなければなりません」と、大統領は全国的な演説の中で語った。「今こそ、プライバシー保護を強化し、子どもへのターゲティング広告を禁止し、テック企業に子どもの個人データ収集を止めるよう要求する時です」。フランシス・ホーゲン氏は、ファーストレディであるJill Biden(ジル・バイデン)博士の貴賓として出席し、バイデン大統領の演説の中で個人的な謝辞さえ送られていた。

TikTokに対する調査は、カリフォルニア、フロリダ、ケンタッキー、マサチューセッツ、ネブラスカ、ニュージャージー、テネシー、バーモントの司法長官をはじめ、全米の弁護士からなる超党派の連合団体が主導して行っていく。

画像クレジット:Bryce durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

バイデン大統領がソーシャルメディアのメンタルヘルスへの影響について訴え、一般教書演説で

ホワイトハウスは、バイデン大統領による初の一般教書演説に先立ち、米国におけるメンタルヘルスの危機に取り組む計画を発表し、特にソーシャルメディアが子どもや10代の若者に与える影響について強調した。この問題は、一部の議員の間で重要視されている。特に、内部告発者のFrances Haugen(フランシス・ホーゲン)氏がFacebook(フェイスブック、現在はMeta)に不利な内部文書を大量にリークした後はそうだ。内部文書には、10代の若者への悪影響を同社が認識している証拠も含まれていた。

ホワイトハウスによると、バイデン大統領は議会に対し、プライバシー保護の強化、子どもへのターゲット広告の禁止、テック企業による子どもの個人情報収集の停止を要請する。

一般的に、一般教書演説でテック企業が重要な役割を果たすことはない。バイデン大統領が米国3月1日夜、ロシアのウクライナ侵攻に関するより差し迫った危機を考慮し、言及さえしない可能性もある。とはいえ、大統領はソーシャルメディアのプラットフォームに対し、若いユーザーの安全を守るよう呼びかけている。ファーストレディのJill Biden(ジル・バイデン)博士がホーゲン氏を特別ゲストとしてこのイベントに招待したことは、ソーシャルメディア幹部に対する5回にわたる上院公聴会のきっかけとなったホーゲン氏の主張に、大統領が注目していることを示している。

「大統領は、子どものデータとプライバシーの保護をはるかに強化すべきと考えているだけでなく、プラットフォームやその他の双方向デジタルサービス提供者は、製品やサービスの設計において、利益や収益よりも、子どもや若者の健康、安全、幸福を優先させ確保すべきだと考えています」。ホワイトハウスのブリーフィングには、こう書かれている。

この文言は、ホーゲン氏が議会に登場した際に使っていた言い回しを彷彿とさせる。同氏は「60 Minutes」のインタビュー以来、元社員としての立場から、Facebookは安全性よりも利益を優先していると繰り返してきた。

大統領はまた、ソーシャルメディアが私たちにどのような害を及ぼすのか、およびその害に対処するためにどのような臨床的・社会的介入が可能かについての研究に、少なくとも500万ドル(5億7500万円)を投資する計画の概要を示した。また、米保健福祉省は「ソーシャルメディアとメンタルウェルネスに関する全米センター」を立ち上げ、10代のソーシャルメディア利用がもたらす影響について一般市民に啓蒙していく予定だ。

バイデン大統領はまた、子どもたちを対象とした過剰なターゲット広告やデータ収集を禁止するよう議会に要求する見通しだ。2000年に施行された児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)は、13歳未満のユーザーの追跡やターゲティングを制限することを目的としているが、プラットフォームがユーザーの年齢を認識していることが証明されない限り、この法律を適用することはできない。つまり、子どもが「はい、私は13歳です」というボックスをクリックするだけで、子ども向けではないコンテンツにアクセスできてしまうため、COPPAは簡単に適用できないことが多い。

すでに一部の議員は、COPPAをより効果的なものにするためにアップデートを試みている。Ed Markey(エド・マーキー)上院議員(民主党、マサチューセッツ州)とBill Cassidy(ビル・キャシディ)上院議員(共和党、ルイジアナ州)は2021年、インターネット企業が13〜15歳のユーザーの個人データを本人の同意なく収集することを違法とする法案を提出した。この法案はまた「消去ボタン」を設け、ユーザー(またはその親)が、企業が収集した自らに関するデータを手動で消去できるようにするものだ。

「消去ボタン」のコンセプトは、Richard Blumenthal(リチャード・ブルメンタール)上院議員(民主党、コネチカット州)とMarsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党、テネシー州)が最近提出した「Kids Online Safety Act(KOSA)」にも登場する。2021年10月には、YouTube(ユーチューブ)、TikTok(ティクトック)、Snap(スナップ)の代表者が上院の公聴会で、親が自分の子どもや10代の若者のオンラインデータを消去できるようにすべきだという意見に同意した。

ホワイトハウスのブリーフィングでは、アルゴリズムが選ぶコンテンツが、特に若い有色人種の女性の間で、メンタルヘルスに悪影響を与える可能性があることも取り上げている。

「『黒人の女の子』、『アジア人の女の子』、『ラテン系の女の子』と検索すると、ロールモデルやおもちゃ、アクティビティではなく、ポルノなどの有害なコンテンツが並ぶことがあまりにも多い。プラットフォームは、子どもたちが何が可能かを理解し、アクセスする機会に方向性を与えます」と報告書は述べている。「私たちは、プラットフォームやその他のアルゴリズムによって強化されたシステムが、差別的に子どもたちを標的にすることがないようにしなければなりません」。

ここ数年、ホワイトハウスがこのブリーフィングで説明したような問題を解決することを目指す法案がいくつか議会を通過したが、ほとんどは可決されるに至っていない。法案が成立するほどの勢いになっても、意図したことが達成されないこともある。トランプ前大統領は2018年「オンライン性的人身売買対策法(FOSTA)」に署名し、法制化した。その名の通り、人身売買を抑制するための法律だったが、かえって合意の上で働くセックスワーカーにとって、より危険な状況を作り出しただけだった。

バイデン大統領は、研究に500万ドル(約5億7500万円)を投じ、ソーシャルメディアとメンタルウェルネスに関する全米センターを設立したが、ソーシャルメディアとメンタルヘルスに関するコメントは、長年にわたって議会で議論されてきたことを繰り返したに過ぎない。しかし、これらのメッセージから、大統領が少なくとも、米国人のオンラインでの生活にいくらか注意を払っていることがわかる。

バイデン大統領は一般教書演説で、ソーシャルメディアの巨人に関する計画を示唆した。

「パンデミック以前にも、子どもたちは苦労していました。いじめ、暴力、トラウマ、そしてソーシャルメディアの害。今夜ここにいるフランシス・ホーゲン氏が示したように、我々はソーシャルメディアプラットフォームが利益のために子どもたちに対して行っている国家的な試みに対して責任を負わせなければならないのです。今こそ、プライバシー保護を強化し、子どもへのターゲット広告を禁止し、テック企業に子どもの個人情報収集をやめるよう要求するときです」。

また、ホーゲン氏は演説後、バイデン大統領の発言についてコメントした。

「バイデン大統領が一般教書演説でこの問題を提起し、これにより我々がソーシャルメディアが子どもたちの精神衛生に与えている真実の暴露を続け、この恐ろしい現実を変えるためにすべての関係者に力を与えられることに感謝しています」とホーゲン氏は報道機関にメールで送った声明で述べた。声明はTwitter(ツイッター)にも投稿された。「FacebookとInstagram(インスタグラム)は、私たちを中毒にし、また子どもと私たち自身の最悪の事態を増幅させるために設計された欠陥商品です。彼らは私たちの子どものメンタルヘルスを犠牲にして利益をあげているのです」。

【更新】3月2日米国東部時間午前9時20分、バイデン大統領とフランシス・ホーゲン氏の言葉を盛り込んだ。

画像クレジット:Al Drago/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

日本人の赤ちゃんの顔の「かわいさ」には客観的な特徴があった―日本版かわいい乳児顔データセット公開

日本人の赤ちゃんの顔の「かわいさ」には客観的な特徴があった―日本版かわいい乳児顔データセット公開

かわいさを増やす・減らす方向に変形させた顔のペアから、よりかわいい方を選ぶ課題を587名の成人が行った

大阪大学大学院人間科学研究科教授の入戸野宏氏らによる研究グループは2月18日、日本人の乳児の顔の形状を分析し、その「かわいさ」には客観的な特徴が存在することを明らかにしたと発表した。日本人の赤ちゃんの顔をベースにした体系的な研究はこれが初めてとのこと。

赤ちゃんの顔のかわいさについては、1943年にオーストリアの動物行動学者コンラート・ローレンツが提唱した「ベビースキーマ」という概念がある。大人が赤ちゃんに対してかわいいという感情を抱かせる身体的特徴を分析したものだが、研究対象は白人の赤ちゃんに限られていた。そこで同研究グループは、同様の方法を使って日本人の赤ちゃんの顔に関する実験を行った。

実験には、保護者から提供してもらった生後6カ月の赤ちゃん80名の無表情な正面顔の写真を使用した。それを20歳から69歳の日本人の男女200名に見せ、「まったくかわいくない」から「非常にかわいい」までの7段階の評価を付けさせた。そして、平均得点の高いほうから10名、低い方から10名を選び、両グループの顔を平均化し、かわいさが高い顔と、低い顔とを合成した。

画像を合成して作られたかわいさが高い顔(左)と低い顔(右)のプロトタイプ(原型)。6カ月児80名の顔のかわいさを20~69歳の日本人200名が評定した。かわいさの得点が高い10名の平均顔と得点が低い10名の平均顔をそれぞれ求めた

画像を合成して作られたかわいさが高い顔(左)と低い顔(右)のプロトタイプ(原型)。6カ月児80名の顔のかわいさを20~69歳の日本人200名が評定した。かわいさの得点が高い10名の平均顔と得点が低い10名の平均顔をそれぞれ求めた

そこから、かわいさが低い顔から高い顔にするには、どの部分を変形させればよいかというパターンを導き出したところ、「ベビースキーマ」の特徴と一致したという。さらにこの変形パターンを50枚の赤ちゃんの顔に適用して、かわいさを増した顔と減らした顔を作り、そのペアを20歳から69歳の日本人の男女587名に見せ、かわいいと思う方を選ばせた。すると、9割の人がかわいさを増した写真を選んだ。ただし、若い男性だけは、女性や中高年の男性にくらべて正答率が低かった。

ほとんどの人が赤ちゃん顔のかわいさの違いを識別し、よりかわいい方を選んだが、若い男性は正答率が低かった(587名のデータに基づく)

ほとんどの人が赤ちゃん顔のかわいさの違いを識別し、よりかわいい方を選んだが、若い男性は正答率が低かった(587名のデータに基づく)

このことから、赤ちゃんのかわいさには、個人の好みとは別に、多くの人が共通して感じる客観的な特徴が存在することが判明した。この研究で作成された「日本版かわいい乳児顔データセット」Japanese Cute Infant Face(JCIF) dataset)は、インターネット上で公開されている。

英国政府、ポルノサイトの年齢確認の復活なるか?

英国政府は、インターネットプラットフォームのコンテンツに関する包括的な規則を定めた次期法案に、ポルノサイトの年齢制限の設置義務を新たに追加することを発表した。これは、子どもがポルノにアクセスしたり、偶然見つけたりすることを防ぐために、アダルトサイトに「年齢認証技術」の使用を義務付けるという政府の長年の目標の復活である。

デジタル・メディア・文化・スポーツ省(DCMS)は「セーファー・インターネット・デー」に合わせてこの発表を行い、子どもの保護に関する大衆的なレトリックを強化している。

DCMSによると、未成年者のアクセスを防ぐためのポルノサイトに対する法的義務は、ポルノサイトをOnline Safety Bill(オンライン安全法案)の対象にすることで実現されるという。オンライン安全法案は、2021年5月に政府が制定した、でに非常に広範な法案を、さらに拡大するものである。

この法案は当初、ユーザーが作成したコンテンツに付随するさまざまな「害悪」に焦点を当てていた。しかし、児童安全の活動家は、実際のポルノを提案された法的義務の対象外とすれば制度全体が弱体化すると警告し、政府もその点を認めたようだ。

Chris Philp(クリス・フィルプ)デジタル大臣は声明の中で次のように述べる。「子どもはあまりにも簡単にオンラインでポルノにアクセスできます。保護者が『子どもはオンラインで見てはいけないものを見ないように保護されている』という安心感をもてるようにしなければなりません」。

「私たちは現在、オンライン安全法案を強化し、すべてのポルノサイトに適用して、子どもたちにとってインターネットをもっと安全な場所にするという目的を達成しようとしています」。

DCMSによると、今回の法案には、ポルノサイトはどのような年齢認証技術を使用して、利用者が18歳以上であることを「確実に」確認する必要があるかは明記されていないという。

DCMSは「成人側が、安全な年齢認証技術を使用してクレジットカードを所持していることや18歳以上であることを証明したり、第三者サービスに政府のデータと照らし合わせて年齢を確認することなどが考えられる」と提案している。

「新しい法的義務をどのように遵守するかを決める責任は企業自身にあります。Ofcom(英国放送通信庁)は、ユーザーデータの処理を最小限に抑えることができる、幅広い年齢認証技術の利用を企業に推奨する可能性があります」と政府は延べ、次のように続ける。「 この法案は、特定のソリューションの使用は義務付けていません。イノベーションと、将来のより効果的なテクノロジーの開発と利用を可能にする柔軟性が不可欠だからです」。

児童安全の活動家は、オンライン安全法案のさらなる拡大を求めているが、市民の自由権やデジタル権(個人がデジタルコンテンツにアクセスする権利)を訴える活動家たちは、個人の権利や自由に対するリスクを引き続き警告し、あらゆる種類のインターネットコンテンツを規制するという大規模な計画の実現性にも疑問を投げかけている。彼らによると、この法案は、オンライン上の表現を萎縮させる恐れがあると同時に、英国でのデジタルビジネスの障壁にもなりかねないという。

後者についてはともかく、現在検討されているように、ポルノサイトへの年齢確認の義務化や、何らかの形で年齢確認を行い責任を軽減するようプラットフォームに働きかける「注意義務」制度などを盛り込んだ法案が実際に成立すれば、少なくとも年齢認証業界は大きな収益を上げることになりそうだ。

プライバシーや市民的自由に関する批判に対応するために、DCMSのプレスリリースでは、ポルノサイトが導入を義務付けられる年齢認証技術は「完全な身元確認は必要としない」としている。

また、ユーザーが身分証明書などを使って年齢を証明する必要がある「かもしれない」としながらも、企業が導入するソリューションでは「年齢確認の目的とは無関係のデータを処理または保存してはならない」と規定している。

(DCMSのプレスリリースは)「現在利用可能なソリューションには、携帯電話会社が保有する情報とユーザーの年齢を照合する方法、クレジットカードを使って照合する方法、パスポートデータなど政府が保有するデータを含むデータベースを使って照合する方法などがある」として「使用する年齢認証技術は、安全かつ効果的で、プライバシーを保護するものでなければならない」と強調する。

DCMSは、年齢認証技術を「使用または構築」する企業は、英国のデータ保護規制を遵守する必要があり、さもなければ英国個人情報保護監督機関(ICO)から強制措置を受ける可能性があると指摘する。

しかし、政府が同時に国内のデータ保護体制の簡易化を検討していることは注目に値する。DCMSは、人々のプライバシーを低下させることで、デジタルビジネスの「革新」を促進するかもしれないと示唆しているが、より明白な影響、すなわち、商業的なデータマイニングを野放しにした場合、個人のデータ侵害や誤用のリスクは大幅に拡大し、セキュリティ違反やスキャンダルのパイプラインを並べることで、デジタルサービスに対する国民の不信感を確実に高めることになる、という点を考慮していない。

DCMSは、英国の既存の個人情報保護法は、年齢・身元確認の義務化などにともなうポルノユーザーやインターネットユーザーの不正な追跡を防ぐことができると主張しているが、ICOがアドテックによるインターネットユーザーの不正な追跡をまったく阻止できなかったことを考えると、DCMSの主張も批判的に検討する必要がある。ICOが方針を180度転換し、英国のポルノユーザーが私的に楽しむ権利を強固に守るために、注意が大好きで企業に優しい規制当局がポルノサイトの年齢確認基準を積極的に尋問することを想像すると、控えめに言っても相当の不信の停止(批判を一時停止し、非現実なものを受け入れること)が必要がある。

しかし、政府のプレスリリースにはこのような詳細は書かれていない。むしろDCMSは、提案されているオンライントラッキングの拡大を「オンラインでの年齢確認は、オンラインギャンブルや年齢制限のある販売など、他のオンライン分野ではますます一般的になっている」として単に常態化しようとしている。

その上で「業界と協力して、企業が年齢認証技術を利用する際に従うべき強固な基準を策定し、Ofcomもオンラインの安全体制を監督する際にそれを利用できることを期待している」と述べる (つまり「産業界が年齢認証技術をどのように利用するかについては、我々が産業界と協力して考えるから、ユーザーが心配する必要はない」というのが政府の方針なのだ。えーっと……)。

英国政府は以前、ポルノサイトに年齢確認を義務付けようとしたことがある。しかし、年齢確認を義務化することは技術的にも規制的にも困難であり、また、アダルトサイトの利用者全員に本人確認を求めることはプライバシーの観点からも問題があるとの批判を受け、2019年にこの計画をひっそりと取り下げざるを得なかった。それにもかかわらず、政府は、このコンセプトを、すでに準備中のオンライン上の有害性に対するより包括的なアプローチに組み込めるように取り組むとしている。

このような「ポルノブロック」の波乱に満ちた過去や、拡大し続けるオンライン安全法案の範囲と野放図な表現の制限をめぐる現在の論争にもかかわらず、DCMSは法案の見直しを提案するのではなく、さらに項目を追加してインターネットコンテンツの規制を倍増しようとしている。

2月5日、DCMSの国務長官であるNadine Dorries(ナディン・ドリーズ)は、メディアのインタビューに応じ、犯罪コンテンツに新たに追加された項目について言及した。それにはオンラインでの麻薬や武器の取引、密入国、リベンジポルノ、詐欺、自殺の助長、売春を扇動・管理して利益を得ることなどが含まれ、取り締まりを強化するために法案の文言に追加されるという。

同氏は、オンラインやデジタルデバイスを使用したDV(ドメスティックバイオレンス)や強姦・殺害の脅迫に対処するために、新たな刑罰を法案に追加することも発表した。

この追加により、対象となるプラットフォームでは、積極的に識別して削除することが求められるコンテンツの種類が大幅に拡大される(単にユーザーからの問題コンテンツの報告に対応するだけには留まらない)。

つまり、これまでプラットフォームが何十年にもわたって享受してきた法的責任体制が大きく変わることになり、プラットフォームの運営やコスト、オンライン上の言論に大きな影響を与えることになる。

DCMSは2月4日に発表したプレスリリースで、次のように示唆している。「優先度の高い犯罪に積極的に取り組むために、企業は自社サービスの特徴、機能、アルゴリズムが、これらの犯罪への遭遇を防止し、これらのコンテンツの利用時間を最小限に抑えるように設計されていることを確認する必要があります」「これは、自動または人力によるコンテンツの修正、違法な検索ワードの禁止、疑わしいユーザーの検出、利用を禁止されたユーザーが新しいアカウントを作成できないようにするための効果的なシステムの導入などで実現可能です」。

法案で提案されている、この高度に規制されたコンテンツモデレーション体制(コンテンツをチェック・評価して不適切なものを除外する体制)を実施するために手段には、規制に準拠していないプラットフォームに対して最大で全世界の年間売上高の10%という大規模な金銭的罰則が含まれている。また、テロリズムや児童の性的搾取、自殺の助長や詐欺などの増え続ける害悪から人々を守ることができないアルゴリズムやプロセスが発見された場合、上級管理職に対しては懲役刑が科せられる可能性もある。

この法案には、英国の新しいインターネットコンテンツ規制機関であるOfcomにサイトをブロックする権限を与え、英国内でアクセスできないようにすることも含まれている(ということは、これは年齢認証技術を促進するだけではなく、VPNサービスの急成長も後押しすることになるはずだ)。

規制により創出されるかもしれないニッチなビジネスチャンスとしては、政府はエンド・ツー・エンドの暗号化サービスに組み込むことができる技術の開発を奨励しようとしている、という点が挙げられる。この技術では、監視を回避するために強固に暗号化されたコンテンツでも児童の性的虐待に関する情報をスキャンできるようにすることで、法律が適用されるようになる(ただし、ある種の違法なコンテンツをスキャンできるようになれば、他の犯罪や単に有害なコンテンツをチェックする機能を追加しようとする政治的圧力に抵抗するのは難しくなるだろう)。

1つの法律(実際には多くの二次的な法律も存在する)で非常に多くの複雑で微妙な問題を解決しようとすることは、本来ならば政治的な自殺行為であるはずだ。しかし、終わりの見えないコンテンツスキャンダルのおかげでハイテク企業を無責任な利益追求者として描くことが容易になった今、政府はこの法律に過度に単純化した「児童保護」という要素を付け加え、長く待たされたFacebook(フェイスブック)などを「調教」することに対する大衆的な支持を得られる理想的な状況を作り出したのである。

この法案の「ありとあらゆるものを詰め込んだ」性質と曖昧な定義が相まって、結果を予測することは非常に困難になった。連動する要件すべてが実際に何を意味するのかについての明確な指針の欠落は、この提案を推し進める閣僚にさらなる援護射撃となっている。

今回の追加提案の前にオンライン安全法案を精査した2つの議会委員会は、多くの懸念を表明しており、最近では、DCMS委員会が「この提案は言論の保護と有害性への取り組みに欠ける」と警告している

12月には、別の議会委員会が、ビッグテックによる自主規制の時代に終止符を打つという政府の広範な目的を支持しながらも、一連の変更を要求した。

政府は、児童保護活動家から寄せられたポルノサイトへのアクセスに関する広範な懸念とともに、これらの意見を最新の追加法案に反映させたとしている。

画像クレジット:Harshil Shah / Flickr under a CC BY-ND 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

ライフイズテック、ディズニーの世界で学べる児童向けプログラミング教材「テクノロジア魔法学校」を2週間限定で無料公開

ライフイズテック、ディズニーの世界で学べるプログラミング教材「テクノロジア魔法学校」入門・基礎編を2週間限定で無料公開

中高生向けのITおよびプログラミング教育サービス「Life is Tech!」(ライフイズテック)を運営するエドテック企業ライフイズテックは2月9日、ディズニーの世界で創造的に学べるオンライン・プログラミング学習教材「テクノロジア魔法学校」(1章〜4章)を2週間限定で無料提供すると発表した。2020年の休校期間も実施し、1万人以上が学んだものという。

申し込みを受け付けは、2月16日まで。申し込みは「「テクノロジア魔法学校」無料開校お申込み」から行える。

「テクノロジア魔法学校」は、魔法学校を舞台にしたオリジナルストーリーに加えて、「リロ・アンド・スティッチ」や「塔の上のラプンツェル」など8つのディズニー作品をテーマにしたレッスンを収録している。冒険をしながら、ウェブデザイン、ゲーム制作、メディアアートの3つのコースでプログラミングを学ぶことができる。ディズニー作品をテーマにしたタイピングレッスンもあり、PC初心者にも対応している。オンライン自宅学習では、子どもたちが飽きてしまうことが最大の課題とされているという。この教材は、「速く・深く・大量に」学べる「3秒ステップ・バイ・ステップ式」を取り入れるなどして、特に持続性を重視して作られた。

本来は月額2958円(税込)の有料コースなのだが、2022年2月17日から3月2日までの2週間限定で無料提供される。内容は、「テクノロジア魔法学校」入門・基礎編全76レッスン。対象は小学生以上(推奨年齢は12歳以上)。

ユカイ工学と共同開発、STEM通信教育「ワンダーボックス」にロボットの組み立てを通し学べる「メカニクスラボ」登場

EdTech(エドテック)スタートアップのワンダーラボは、STEM領域の通信教育プログラム「ワンダーボックス」のための新しいトイ教材「メカニクスラボ」を、ロボティクス領域スタートアップのユカイ工学と共同で開発し提供を開始する。

ワンダーボックスは、4歳から10歳の児童を対象に、遊びを通して思考力・創造力・意欲を育てる通信教育プログラム。その教材として新たに提供される「メカニクスラボ」は、自分で簡単なロボットを組み立てることで、電池とモーターの関係を学んだり、単純な構造のため試行錯誤が楽しめたり、多くの発見や探究心が引き出されるというもの。

ワンダーラボは、2021年12月末から2022年1月にかけて、ワンダーボックス会員向けに「メカニクスラボ作品コンテスト」を開催しており、子どもたちが自由に遊んでいる様子が見てとれる。

 

英内務省、エンドツーエンド暗号化反対に世論を誘導するためのネガティブキャン広告キャンペーンを計画

Stephen Hird / reuters

Stephen Hird / reuters

英内務省が、エンドツーエンド暗号化反対に世論を誘導するための広告キャンペーンを計画していると伝えられています。

Metaは2021年11月、InstagramとMessengerのエンドツーエンド暗号化を2023年まで延期すると発表しました。プライバシー保護の観点からみれば実装が待ち遠しい機能ですが、一部政府や法執行機関にとっては、通信の内容を確認できなくなり、児童虐待などの犯罪の傾向を把握できなくなるとの指摘も出ています。

英内務省は、まさにこの指摘の立場をとっており、内務書の広報担当者は米メディアRolling Stoneに「エンドツーエンドの暗号化が子どもたちの安全を守る能力に影響を与えるという懸念を共有する多くの団体をまとめるために、(広告代理店の)M&C Saatchi社と契約しました」と語っています。政府はこのキャンペーンのために53万4000ポンド(約8400万円)を割り当てているとのことです。

Rolling Stoneが入手したという資料によると、このキャンペーンには一般市民の不安を煽るような要素が含まれる可能性があるとのこと。たとえば、ガラスの箱の中に大人と子どもが入り、ガラスが徐々に黒くなっていくという演出も含まれています。また、SNSを活用し、両親にFacebookなどの企業に連絡するよう呼びかけるような内容になっているとのことです。

プライバシーの擁護派はこのキャンペーンを「脅迫」と呼び、すでに対抗キャンペーンを計画しているとも伝えられています。国際的非営利組織Internet SocietyのRobin Wilton氏は、「強力な暗号化がなければ、子どもたちはこれまで以上にオンラインで無防備になります。暗号化は個人の安全と国家の安全を守るものであり、政府が提案しているものはすべての人を危険にさらすものです」と語っています。

(Source:Rolling StoneEngadget日本版より転載)

子ども向け健康ウェアラブルKiddoが約18.5億円調達、喘息・心臓病・自閉症・糖尿病といった慢性疾患にフォーカス

正式にはGood Parents Inc.(グッド・パートナーズ)として知られるKiddo(キドー)は、米国時間1月4日に1600万ドル(約18億5000万円)のシリーズAラウンドを発表した。ウェアラブル、ペアレンタルコーチング、テレヘルスの組み合わせを通じて、同社は慢性の健康障害を抱える子どもたちのケアの管理にしっかりと照準を定めている。

Kiddoは、子どもの健康のためのウェアラブルとソフトウェアの組み合わせの開発に、数年前から取り組んでいる。2016年に同社を設立したJaganath “CJ” Swamy(ジャガナス・“CJ”・スワミー)氏は当初、子どもたちが楽しく利用でき、親たちが健康状態をモニタリングできるような健康とウェルネス向けデバイスの開発に関心を持っていた。しかし同社は現在、慢性の健康障害の管理に全面的にフォーカスするように刷新されている。

スワミー氏がTechCrunchに語ったところによると、そのフォーカスは、同氏自身の経験から部分的に着想を得ているという。同氏がアーリーステージの投資家からの転換期にあるとき、息子の1人が喘息のような呼吸障害を抱えるようになった。

「息子に起きていることについて、日々管理と監視を行い、その情報を医師に伝えて治療手順の適切な修正につなげることに苦労していました」とスワミー氏はTechCrunchに語っている。「このような大変な課題を経験する中で、慢性疾患を持つ子どもたちを管理しなければならない親たちのために、こうした体験をより良いものにするにはどうすればよいかを考え始めました」。

その結果生まれたのが、2歳から15歳までの子どもを対象としたケアコーディネーションプラットフォームのKiddoである。子どもは専用のリストバンド(FitBitのようなもの)を受け取る。親がダウンロードするアプリは、そのウェアラブルからデータを収集して、その情報を子どもの主治医に伝える。同プラットフォームには、喘息、心臓病、自閉症、糖尿病の子どもをモニタリングするための特別な設計が施されている。

今回のラウンドは、Clearlake Capital(クリアレイク・キャピタル)の支援を受けるVive Collective(ヴァイヴ・コレクティブ)が主導した。これでKiddoの調達総額は2500万ドル(約28億9000万円)になる。その他の投資家には、Wavemaker 360(ウェーブメーカー360)、Wavemaker Asia Pacific(ウェーブメーカー・アジアパシフィック)、Mojo Partners(モジョ・パートナーズ)の他、Techstars(テックスターズ)と関連ファンドが名を連ねている。

概して、Kiddoは「遠隔患者モニタリング」のカテゴリーに分類される。患者が自宅でプライマリケア施設と同等の基本的なケアを受けられるように設計されている。

このウェアラブル端末は心拍数、温度、SpO2(血中酸素飽和度)、動作、発汗などの信号を送信する。一方、アプリはそのデータを、地域の大気環境(喘息患者にとって重要な指標)、天気、湿度などの他の指標と統合する。時間の経過に伴い、Kiddoはこれらの特質に基づいてそれぞれの子どもに対するプロファイルを生成していく。こうした指標が基準から大きく逸脱している場合、親は通知とともに、家庭での状況をコントロールするのに役立つヒントのリストを受信する。

例えば、子どもが喘息発作の切迫の徴候を示している場合、親は呼吸数と心拍数が規則的な範囲外であることを示唆する警告を受け取る。その後、アプリは状況を管理する方法について一般的な提案を行う。「『1時間ほど安静にさせる、冷たい水を飲ませるかエアコンの効いた環境に置く、医師のアドバイスに基づいてアルブテロールを服用させる』といったことです」とスワミー氏は説明する。

症状が続く場合は、親がこのアプリを使って医師の予約を取ることができる。

遠隔患者モニタリング自体のアイデアは新しいものではないが、近年そのアイデアに関する研究が数多く発表されている。例えば、学術誌「Telemedicine and e-Health」に掲載された2020年のあるシステマティックレビューでは、レビューされた272件の論文のうち43%が2015年から2018年の間に発表されていることが示された。これらの研究の約77%で、遠隔患者モニタリングが患者ケアに正のインパクトを与えている。

Kiddoは自社サービスの臨床的検証に投資しているが、スワミー氏によるとデータはまだ一般公開されていない(同氏はフォローアップメールで「データは機密であり、顧客と共有するためだけにある」と説明した)。一方で、学術機関やパートナー、民間団体の研究によって「Kiddoプラットフォームの多くの側面が実証」されていることに同氏は言及している。そのプロセスには、Children’s Hospital of Orange(オレンジ郡小児病院)のThompson Autism Center(トンプソン自閉症センター)で開発中の新たな研究が含まれる予定であるという。

同プラットフォームは、治療アドヒアランスを50%以上向上させ、不要な救急外来を「2倍」減少させることが自社独自のデータで示されているとスワミー氏はいう。ただし、このデータも公開されていない。

Kiddoは現在のところFDAからの承認は得られていないが、Class I(低リスク機器の分類クラス)の認定を目指している。

プレスリリースによると、同社はこれまでに7つの医療システム、福利厚生プロバイダー、財団と提携しており、その中にはUHC Optum(UHCオプタム)、PC Health(PCヘルス)、および「数カ所の小児病院」が含まれている(その他の提携先は明らかにされていない)。

重要な点として、同社はあくまでもB2Bプロバイダーとしての位置づけにあるとスワミー氏は語っている。直接消費者に販売する計画はなく、医療機関や医療システムとの提携に注力していく。

Kiddoの最新の資金調達ラウンドは、同社にとってユーザーに関する重大な1年を経て行われたものとなる。これまでのところ、同社は7万人の子どもたちと協力関係を築いており、今後数年間でその数を20万人に拡大する計画である。このトラクションは投資家の関心を引く要因の1つであるが、Kiddoに有利に働くトレンドはこれだけではない、とスワミー氏は指摘する。

遠隔患者モニタリングに好都合となり得る規制の動きもある。従来、遠隔モニタリング技術のためのCPTコード(償還コード)の数は限られていた。2018年以降、一部のコードが再目的化されており、医療提供者が患者の遠隔モニタリングに課金しやすくなるようなコードも追加されている。

そのトレンドは続いている。2022年、Centers for Medicare and Medicaid Services(メディケア・メディケイド・サービスセンター)は、遠隔患者モニタリングに適用される償還コードの範囲を拡大した。これにより、支払者はこれらのサービスをさらに多くの種類の遠隔患者モニタリングに請求できるようになった。

遠隔患者モニタリングの規制的展望はまだ流動的であるが、これらの規制はKiddoのような企業を支援する方向に進んでいる。スワミー氏によると、こうしたCPTコードの恩恵を受けて、Kiddoの技術は償還可能なものになっているという。「私たちが取り組んでいる医療システムには、財務的な成果があります」と同氏は付け加えた。

今回のラウンドを機に、Kiddoのセールスおよびプロダクト開発チームの規模を拡大したいとスワミー氏は考えている。同氏はまた、Kiddoが治療できる慢性疾患の種類を増やすという大望も抱いている。現時点で同社は、小児腫瘍学と整形外科に目を向けており、今後2年間でその方向に一層前進することを目指している。

画像クレジット:Kiddo

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

子どもにデジタルスキルを教えるKodlandが約10.4億円調達、オンラインのコーディングスクールを拡張

ロンドンに拠点を置くKodlandは、2018年に起業して子どもにコンピュータプログラミングなどのデジタルスキルを対面で教えるコースを提供し、2020年前半からはオンライン教育にシフトした。同社はシリーズAラウンドで900万ドル(約10億4000万円)を調達し、これから市場を拡大していく。

このラウンドはRedseed Venturesが主導し、他にBaring Vostok、Kismet、Flyer One Ventures、ニューヨークに拠点を置くI2BFのパートナーであるAlexander Nevinsky(アレクサンダー・ネビンスキー)氏が参加した。

Kodlandが提供する6〜17歳向けのリモートコースは現在、英国、アイルランド、米国、カナダ、独立国家共同体地域、マレーシア、インドネシア、アルゼンチンで利用できる。同社はそれぞれの地域に応じてローカライズしたコンテンツを提供している(同社のユーザーはおよそ40カ国に広がっている)。同社によれば、これまでにおよそ1万6000人が有料コースに申し込んだ。

Kodlandは新たに調達した資金でオンラインコースの対象地域をさらに広げていく。

同社のコースはグループ学習またはプロジェクト学習で、コーディングやウェブサイト構築、ゲーム制作、アニメーション、ビデオ編集といったデジタルスキルを、従来のクラスルーム形式のレッスンよりも楽しくインタラクティブに教える。同社プラットフォームが提供するオンライン教育は、自己学習ではなく講師が指導する。

Kodlandによれば、同社プラットフォームには約1000人の講師がいて、市場によって雇用している場合もあればギグワーカーの場合もある。通常は、生徒15人に対して講師が1人つく。ただし個人指導も提供している。

同社は、学校に対してツールやリソースを販売するのではなく、デジタルスキルの課外学習に集中しているという。その方が学校教育の複雑な導入要件に対応する必要がなく、グローバルに拡大しやすいからだ。

また、クリエイターエコノミーに関して「Out of the Box」という独自のアクセラレータを設けている。これは優秀な生徒の目を「現実の」プロダクトに向けさせ、デジタルの成果物を収益化できるように特別に支援するものだ。

今回のラウンドで、Kodlandのこれまでの調達金額合計は1100万ドル(約12億7000万円)となった。同社は今回調達した資金を使い、今後2年間でコースの対応言語をさらに8言語増やして市場を拡大する計画だ。プロダクト開発にも資金を投入するという。

同社はTechCrunchに対し「2022年中に現在の英国やアイルランド以外にも英語圏の国に拡大し、スペイン語圏や東南アジアの国々にも拡大します」と説明した。

資金の一部はアクセラレータプログラムに使われる。

Kodlandは生徒たちから「大きなトラクション」を得て「最大級の成長を確実に遂げている」ことを背景に、今回のシリーズAを実施した。同社は2021年第3四半期に前年同期比6.5倍の売上を達成した。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、EdTechは全般に急成長した。外出や人に会うことが制限されたため、画面を見る時間が増えたからだ。保護者が在宅で仕事をしている間に手頃な価格で子どもに使わせることのできるツールを求める需要があることはいうまでもない。

しかしそれは、競争が激化しているということでもある。

ソフトバンクのような大手投資家が教育分野に多額の資金を投じEdTechのユニコーン各社も活発M&Aをしている。コホート方式の学習プラットフォームも同様にEdTechとクリエイターエコノミーをつなごうとすることで投資を集めてきた。

子どもに関連するところでは、この分野の大手には以前からRobloxがある。Robloxはソーシャルゲームを活用して、プログラミング学習と収益化の可能性に対して子どもたちに興味を持たせようとしている。

しかし、講師が指導するクラスで子どもたちにSTEMのスキルを教えるというKodlandの構造とやり方は、拡大を続けるEdTechの世界で認められるようになるかもしれない。

同社は「国際的な子ども向けオンラインデジタルスキルスクール」として質の高い教育コンテンツという概念を保護者に売り込んでいる。4つのクラス(「モジュール」と呼ばれる)のセットは110ユーロ(約1万4000円)、全32クラスのコースは660ユーロ(約8万6000円)だ。

シリーズAに関する発表の中でRedseedマネージングパートナーのEugene Belov(ユージン・ベロフ)氏は次のようにコメントした。「従来の教育機関にとって現在の急激なテクノロジーの進歩についていくのは難しいことです。そのため供給(若年層のスキルや能力)と人材に対する需要(現代の職場で求められる要件)とのギャップがしばしば発生しています。(共同創業者の)Alexander Nosulich(アレクサンダー・ノスリッチ)氏とOleg Kheyfets(オレグ・カイフェッツ)氏は、これまでの学校教育では手付かずになることが多いにもかかわらず現在のデジタルの世界では不可欠になりつつあるスキルを生徒たちに教えることで、このギャップを埋めようと熱心に取り組んでいます。成果重視のユニークなプログラムは現代の子どもたちに強くアピールしています。我々はKodlandのジャーニーを支援できることをたいへん喜んでいます」。

補足資料の中でFlyer One VenturesゼネラルパートナーのVital Laptenok(バイタル・ラプテノク)氏は次のように述べた。「教育分野には現在、独占的な存在がありません。そのため多くのプレイヤーが市場に参入し、増加する教育サービスの需要に応えようとしています。顧客のリアルなニーズを理解しているプレイヤーが成長し、市場の流れを決めるでしょう。Kodlandのチームは子どもたちにとって実用的な知識と機会にしっかりと的を絞り、インタラクティブな職業教育をしています」。

画像クレジット:Kodland

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Kaori Koyama)

子どもを車内に置き去りにした親に警告を出すチャイルドシート用クッション「Tata Pad」

イタリアのスタートアップ企業であるFilo(フィーロ)は、欧州ではTile(タイル)のようなBluetoothトラッキングデバイスでよく知られている。その新製品である「Tata Pad(タタ・パッド)」は、チャイルドシートの上に置くクッションで、あなたがショッピングモールの涼しく爽やかなエアコンの風の中をのんびり歩いているときに、大事な赤ちゃんがクルマの後部座席に縛り付けられたままになっていると通知してくれるというものだ。イタリアではすでに発売されているが、今週ラスベガスで開催されているCESで米国での発売が発表された。

筆者のように親ではない者にとって、このTata Padは一見すると、まったくばかばかしい製品のように思われる。後部座席に自分の子どもがいることを忘れる親なんて、一体どのくらいいるというのだろうか?同社の説明によると、1990年代後半以降、暑くなった車内に置き去りにされた子どもが900人以上(年間平均38人)死亡していることを受けて、米国では車内に置き去りにされた子どもやペットに対して何らかの安全警告を必須とするための法律が制定されようとしているほど、この問題は深刻であるという。置き去りにされた子どもは「1人でも多すぎる」という標語のもと、同社は忘れっぽい親にテクノロジーによる解決策を提案している。

この製品は、基本的にTileのようなデバイスと同様に機能するクッションであり、子どもがクッションの上に座るとデバイスが起動する。そして親が3分以上その場を離れると、Tata Padは大切なものを置き忘れているという通知をスマートフォンに出す。それでもクルマに戻る気にならなかったら、電話をかけてきて「本気になって、子どもを連れてきなさい」と親切に注意を促す。さらにこの電話を無視すると、Tata Padはさらにエスカレートして、緊急連絡先に電話やSMSを発信し、子どもの居場所を知らせ、救助活動を開始できるようにする。

Tata Padは1つにつき最大2台の携帯電話を接続することができ、2個の交換可能なコイン電池で駆動する。電池の持続時間についてメーカーはコメントしていない。Filoでは、最初の4年間はメッセージと電話の発信を無料で提供することを約束しており、その後も延長サービスを購入すれば警告機能を使い続けることができる。

FiloのTata Padは、チャイルドシートに追加するクッションで、クルマから離れる際に大切な子どもを置いてきたことを通知する機能を備えている(画像クレジット:Filo)

Filoは、米国での販売が完全に認証されていることを示唆しており、CESで発表した後にプレオーダーの受付を開始している。CEOのGiorgio Sadolfo(ジョルジオ・サドルフォ)氏によると、同社では現在、米国市場で大きな成功を収めるために、パートナーや販売代理店を探しているとのこと。欧州では60ユーロ(約7850円)で販売されており、米国でも同程度の価格設定となるようだ。

画像クレジット:Filo

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

子供がディズニーに夢中になれる「おはなしヘッドフォン」

本を読んでもらったことや、本に夢中になるために自分で読むことを覚えたことは、子どもの頃の大好きな思い出だ。ここで老人の愚痴をひと言叫ぶことを許して欲しい。「今や多くの子どもたちがこんなにもスクリーンに囲まれてしまって、昔のような体験をすることが難しくなっているのは残念だ!」。そんな中、2022年のCESでONANOFF(オラノフ)がStoryPhones(ストーリーフォーンズ)という製品を発表したのはうれしいニュースだった。このヘッドフォンは、オーディオ再生のために他の機器に接続することとは別に、ヘッドフォン自身の中にたくさんのオーディオコンテンツを保存することができる。妖精や魔法の迷宮に入り込むのに最適だ。

同社は、発売にあたり、ディズニーとのコンテンツコラボレーションが行われることも発表した。子ども向けのストーリーコレクションでは、子どもたちが大小のスクリーンで知っているようなキャラクターの話を耳にすることができる。ヘッドフォンは、ミッキーマウス、ミニーマウス、リトルマーメイド、アナと雪の女王、ライオンキング、トイストーリー、Mr.インクレディブル、モンスターズ・インクなど、ディズニーの代表的なキャラクターやストーリーを収録して出荷される。同社は、3歳以上の子どもたちに適した厳選コンテンツのライブラリーを持っていると述べている。

録音されたコンテンツに加えて、同社が「PlayShield(プレイシールド)」と呼ぶものにも対応している、これは親が自分で物語をモバイルアプリで録音し、それをヘッドフォンにロードして再生できるようにするものだ。同社は、祖父母や遠く離れた家族とつながり、ストーリーテリングを通して家族全員を近づける方法を提案している。

そして、本製品にはZenShield(ゼンシールド)という機能がある。これは「リラックスできる音声コンテンツが含まれていて、興奮し過ぎた子どもたちが落ち着き、リラックスし、さらには眠ることができる」というものだ。騒がしい子どもたちのための一時停止ボタンだと思えばいいのではないだろうか。含まれるサウンドは、ピアノ音楽、海の波、雨粒の音などだ。

このヘッドフォンには、敏感な小さな子どもの耳にダメージを与えないように音量を抑えるSafeAudio(セーフオーディオ)機能が内蔵されている、その結果、CES2022のイノベーションアワードの「Headphones & Personal Audio」(ヘッドフォン&パーソナルオーディオ)モンスターズインク部門と「Health & Wellness(ヘルス&ウェルネス)モンスターズインク部門の2つの賞を受賞した。

4GBのSDカードが4ドル(約460円)で手に入る時代に、このヘッドフォンは90分ほどのコンテンツをそのショボい64MBのストレージに保存することができる。なぜユーザーがアクセスできるストレージがこれほど少ないのかに私は当惑している。まあおそらく将来のヘッドフォンでは再考されるだろう。

まずはイタリア、スペイン、オーストリア、スイス、ドイツ、イギリス、フランスのヨーロッパ全域で、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、英語の5言語で発売される。欧州での推奨小売価格は84.99ポンド(約1万3000円)だ。また米国では、ヘッドフォンとミッキーまたはミニーのStoryShield(ストーリーシールド)がセットになったStoryPhonesバンドルが99.90ドル(約1万1600円)となる。StoryShieldsは単品でも購入可能で、価格は7.99ドル(約930円)から14.99ドル(約1740円)である。

画像クレジット:Oranoff

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:sako)

【レビュー】Amazon Glow、本当に会話相手の存在を感じる小型プロジェクターは楽しいがまだ粗削り

私が困っているのは、テーブルの上のその黒い魔法の箱がときどき私の手を見失うことだ。

しかし、うちの三歳児はまったく平気だ。彼は、300km先にいる祖母がテーブルに置いた恐竜を何度も掃除機で吸い上げながら、息ができなくなるほど激しく笑い転げている。

とい何のことだかわからないだろうから、初めからお話しよう。

私たちは今、Amazon Glowで遊んでいる。新しいやつだ。わずか2年前にAmazon(アマゾン)が「Glow」と名づけたあれではない。

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タッチスクリーンが自立し、それにプロジェクターをくっつけた。それが乗るテーブルに、画像が投射される。カメラは2つ搭載され、1つは目の前にいる人を写し、もう1つはテーブルにあるその人の手の位置を追う。これにより、テーブルに投射される画像がタッチスクリーンになる。これがGlowだ。

画像クレジット:Amazon

Glowは子どもたちを遊ばせ、絵本を読ませ、遠くの家族や友だちなど限られた人たちとビデオチャットをさせるものだ。その際、スクリーンにはチャット相手が映っている。祖母などは、テーブル上の画像を自分のタブレットでそれを見る。祖母が彼女の本のページをめくると、子どもの本のページもめくられる。一方が何かを描くと、相手もそれが見られる。なお、Amazonは推奨年齢を「3歳以上」としているが、今の状態であれば、私なら「3歳から8歳まで」というだろう。

すべてが、Amazon Kids+を軸に構成されている。それはプライムとは別の有料サブスクリプションで、子どもの本やゲーム、映画、テレビ番組などを収集している。ただしGlowで観られる / 遊べるのは本と一部のゲームだけだ。それは正解だろう。動画を観ることができたら、うちの子は1日中BlippiのYouTubeを観ているだろう。Glowを買うと1年間Kids+が無料になる。その後はプライム会員なら月額3ドル(約340円)もしくは5ドル(約570円)となる。

本のチョイスはいい感じで、特に幼児向けが充実している。ゲームは神経衰弱やチェス、卓球ゲームのポンといったアーケードゲームなど、いずれも簡単な複数プレイができるものだ、お絵描きアプリは、自分が父のコンピューターの前に長時間座ってKid Pixで絵を描いていた頃のことを、強烈に思い出させる。今回それはディスプレイではなくテーブル上だが、我が子は遠く離れた州にいる祖母と一緒に絵を描いている。祖母が恐竜のステッカーをスクリーンに置くと、子どもは掃除機ツール(消しゴム)でそれを飲み込む。そして2人が笑う。そうやってスクリーンの掃除を100万回繰り返す。

子どもが話せる相手は、完全に親が決める。親もAmazonのアカウントが必要だ。そのセットアップには、相手によっては時間がかかるかもしれない。しかし、一度行えば二度やる必要はない。このような、ホワイトリスト方式は良いものだ。子どもが偶然、知らない人と話をすることがない。

確かにGlowは、パンデミックの申し子のようなデバイスだ。家族と直接会えないことが購入動機になるだろう。特に高齢者にとっては、人とリアルに会うことが今や自分の生死に関わることもある。

「でも、おばあちゃんとリモートで話したいだけなら読書アプリとFaceTimeで十分では?」と、思うかもしれない。

もちろん、そうだけど、しかしそれでも……。

Glowには、少々異なるとことがある。うちの子にとってそれは、FaceTimeやZoomなどとはまったく違うものだった。私も、そう感じる。

像クレジット:Greg Kumparak

その違いが、会話している相手の存在感を生み出しているのだろうか。Glowは通話中に、デバイス本体をあちこち動かさないためバッテリーがなく、壁からプラグを抜けば電源はオフになる。同じテーブルに座ってる誰かと話をしていて、ふと顔を上げると目の前にその人がスクリーンに映っている。お互いに相手の目と目、顔と顔を合わせているような感覚がある。コンピューターのディスプレイを見つめている感覚ではなく、むしろテーブルに座って一緒にボードゲームをしているような感じだ。

いずれにせよ、不思議なほど効果的だ。うちの子は通常、FaceTimeを使って5分ほど祖母と過ごす。自分のおもちゃを披露したりするが、急に違うことを始めたりする。今では、祖母と話したいかいと尋ねると彼は明確に「Glowしたい」という。「glow」を動詞として使う。彼は自ら喜んでGlowの前に座り、たっぷり1時間祖母と遊んだり本を読んだりする。バグなんか、気にしない。

そう。問題はバグだ。

Glowは、発売されたような、されてないような、ちょっと不思議な製品だ。Glowは、Amazonの「Day 1 Editions」プログラムの一部で、「まだベータ版のときに買うプロダクト」という意味の、より市場性の高い言い回しになっている。「invite(招待)」を申し込むと、Amazonはそれを購入する人を選び、選ばれた人は、Amazonが調整している間、少し早く使うことができる。Day 1プログラムの一環として購入する場合は250ドル(約2万8600円)で、それ以降は299ドル(約3万4200円)だ。

このような事業では、バグも主役だ。そして2021年末現在のGlowにも、バグはある。タッチが検出されないいことが頻繁にある。子どもが長袖を着ていると、余計ひどいようだ。混乱すると「KLONK」という音がしてエラーを吐く。誰に対しても! 本やゲームはロードできないことがときどきある。ランダムにリセットが起きる。

このようなプログラムでは、バグはつきものだ。2021年末に発売される「Glow」にも、そのようなバグがある。タッチの検出に失敗することがやや多く(子供が長袖を着ているときは特に)、混乱すると「KLONK」という音を出してエラーになる(どちらのユーザーも!)。本やゲームの読み込みに失敗することもある。そしてときどきランダムにリセットされる。

また、バグというよりもただ粗削りな部分もある。例えば、こんな感じだ。

  • Glowのスクリーンに映る通話相手は、なぜか上の写真のように顔半分が切れてしまうことが多い。これは、グローの画面がポートレート(縦長)モードであるのに対し、通話相手は一般的にランドスケープ(横長)モードであるためと思われる。一方、通話をしてきた人は、自分の顔はほとんど見えず、子供の顔と、子供が見ているものが映し出されるだけなので、それが起きていることに気づかない。最初は、その人がタブレットの置き方を知らないだけだと思っていた。その後、別の人でも同じことが起こった。別の部屋から子供をGlowで呼び出したら、3分くらいで顔が切れてしまって、妻に笑われてしまった。Amazonは、このような事態を想定して、「センターフレーム」のような顔追従機能を組み込むべきだろう。
  • Amazon Kid’sのライブラリーには、文字が小さすぎて読みにくい本がたくさんある。Bubble(バブル)モードというのがあり、これは自動的に文字を拡大して読みやすくしようとするが、邪魔になることも多い。また、このモードが勝手に切り替わることもあり、初めて目にしたユーザーはとまどってしまうだろう。
  • UIは全体的に遅かったり、フォーマットがおかしい。。

いずれも簡単に修正できそうなものなので、Amazonには期待したい。もっとブラッシュアップして、今後コンテンツが増えれば、Glowは本当にすてきでかわいいデバイスだ。しかし現状では、どれだけ愛されるだろうか。我が家で数週間使ってみたが、その間にパッチはあったのだろうか。よくわからない。

しかしそれでも、愛すべき点は多い。プロジェクターでテーブルに映し出されるスクリーンは明るくてきれいだ。白いマットが巻かれた状態で同梱されており、それを使うと明るさと手触りがさらに良くなる。これを使うために部屋の灯りを調節したことはない。セットアップはとても早くすぐに使えるし、手早くしまえる。箱は、良くできた耐久性の高いケースにもなる。Amazonはこういったポイントもしっかり考えたのだろう。未使用時のための、プライバシー保護用の物理的なカメラカバーもある。壊れたときの修理は最初の2年間無料だ。子どもはモノを壊す動物だから、このポリシーもいい。

しかし、これらはどれも子どもには関係ないことだ。彼らは掃除機でもっとたくさんの恐竜を吸い込みたいだけだ。

私のこのレビューを、簡単な問いで終えよう。このレビュー機をAmazonに返却後、果たして私はGlowを買うだろうか?今回の場合、すでに買ってしまった(詳しくいうと、購入の招待状をリクエストした)。「おばあちゃんとglowできなくなる」と子どもはすごく落ち込むだろう。そして、彼が祖父母と話をしているときの、Glow独特の話し相手の「存在感」が気に入った。

あなたはどうだろう?あなたの子どもがすでに祖父母とのFaceTimeで満足しているなら、買わなくてもよいかもしれない。本やお絵描きや簡単なゲームに関心を示さないなら、やはりいらないだろう。この製品の、そしてAmazonの製品開発努力を手伝い、いくつかのバグを我慢する気がないのであればやはり難しいだろう。しかしAmazon Glowは、おもしろそう、良さそうと感じた人にとっては、とても楽しい製品だ。

画像クレジット:Amazon

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アドエクスチェンジのOpenX、子どもの位置情報収集で連邦取引委員会が罰金

広告テクノロジー企業のOpenX(オープンX)は、同社が米国の児童プライバシー法に違反したという疑惑を解決をするため、連邦取引委員会に200万ドル(約2億3000万円)を支払うことになった。

連邦取引委員会は、カリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所に提出した訴状において、OpenXが親の同意を得ずに13歳未満の子どもから個人情報を収集したことにより、児童オンライン・プライバシー保護法(COPPA)に違反したと主張している。

カリフォルニア州に本社を置くこの企業は、子どもや幼児、就学前児童の学習用に販売されている数百ものアプリから故意に情報を収集し、このデータ(詳細な位置情報、IPアドレス、デバイスの固有識別子など)を、ターゲット広告に使用する第三者に渡したとしても告発されている。

「OpenXは、子ども向けアプリから直接または間接的に数百万から数億のアドリクエストを受信し、子どもの個人情報を含む数百万から数億のビッドリクエストを送信した」と、訴状には書かれている。

連邦取引委員会の訴状では、OpenXはCOPPAに違反したことに加え、データ収集をオプトアウトしたユーザーから詳細な位置情報を収集していないと偽り、連邦取引委員会法に違反したと主張している。連邦取引委員会によると、OpenXは、一部のAndroidユーザーが位置情報の収集を「許可しない」を選択した後も、位置情報の収集を続けていたとのことだ。

「OpenXは、位置情報を密かに収集し、子どもを含む大規模なプライバシー侵害の扉を開きました」と、連邦取引委員会の消費者保護局で局長を務めるSamuel Levine(サミュエル・レビン)氏は述べている。「デジタル広告のゲートキーパーは、舞台裏で活動していても、法を免れることはできません」。

連邦取引委員会の理事を務めるNoah Joshua Phillips(ノア・ジョシュア・フィリップス)氏は、別の声明の中で、この命令は当初、OpenXに対して750万ドル(約8億5000万円)の罰金を求めていたが、同社の支払い能力が不十分であったため、罰金を200万ドルに減額したと述べている。また、この和解案では、同社がターゲット広告を配信するために収集したアドリクエストのデータをすべて削除し、COPPAを完全に遵守するための包括的なプライバシープログラムを実施することが求められている。

OpenXはTechCrunchのコメント要請にすぐには応じなかったものの、和解案に言及したブログ記事の中で、データ収集は「意図しないミス」であるとし、内部検査の結果「99%以上のドメインとアプリは適切に分類されていた」と述べている。

「当社は、COPPAを完全に遵守するために、ポリシーや手順の見直しと強化に取り組んでいます。また、質的および量的属性の厳格な基準に引き続き従い、サイトやアプリが当社のエクスチェンジに含まれるのに適しているかどうかを判断していきます」と同社は述べている。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

妊娠中・授乳中に安全な薬の情報を検索、産婦人科医開発「妊娠と授乳のくすり案内ボット(くすりぼ)」を相生市が提供

インターネットを通じて子どもの健康や子育てに寄り添う事業を展開するKids Public(キッズパブリック)は、妊娠中から授乳中のお母さんがいつでも気軽に薬の情報を検索できるチャットボット「くすりぼ」を開発。兵庫県相生市が住民向けサービスとして12月13日より提供を開始した。相生市の住民は、無料で利用できる。

Kids Publicは、産婦人科医や小児科医にスマートフォンから気軽に相談ができる遠隔健康医療相談サービスとして「産婦人科オンライン」と「小児科オンライン」を展開している。

くすりぼは、これらサービスに寄せられた、妊娠中から授乳中の8万件以上の相談データをもとに開発されている。様々な事情ですぐに病院にかかれない妊婦や授乳中のお母さんの、いろいろな体の症状に対して、妊娠週数、合併症、持病、産後月数、授乳状況といった本人の状況に合わせて、安心できる薬の情報が提供される。

またそれぞれの薬に関する情報は、2名以上の産婦人科専門医が作成・監修している。産婦人科専門医が文献をもとに臨床現場での知見も踏まえて作成した内容を、別の産婦人科専門医がチェックしているほか、回答文のパターンは2000種類以上にも及び、過去に例のない情報量だという。

さらに薬の情報に加えて、「セルフケアの方法」「事故判断すべきでない状況」「早期に受診したほうが良い状況」なども記載することで、安全性にも配慮している。

これらサービスは、自治体・法人・医療機関に販売されるもので、それら団体から一般にサービスが提供される形となっている。2021年6月1日から子育て支援策として産婦人科オンラインと小児科オンラインを導入している兵庫県相生市は、12月13日よりくすりぼの提供を開始した。

Instagramトップ、2022年初めに時系列順のフィードオプションを復活させ提供と発言

Instagram(インスタグラム)が時系列順のフィードを復活させる。これは、同アプリを使用している若者への害について開催される上院パネルの前に、InstagramトップのAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏が行った証言の中で明らかになった。消費者が「アルゴリズムに操作される」ことなくInstagramアプリを使用できるべきだと考えるかと質問されたモセリ氏は、ユーザーに対して時系列順フィードのオプションを提供することを支持すると語った。そして実際、同社は現在そのオプションを開発している最中だと付け加えた。

「透明性を高めることや説明責任を増やせることが良いことだと信じていますし、より細かいコントロールができることも良いことだと信じています。それが、2022年に提供する予定の時系列順フィードのバージョンに取り組んでいる理由なのです」とモセリ氏はいう。

この面での同社の計画の詳細を求められたモセリ氏は、Instagramがこの数年間、ユーザーが自分の体験をより細かく制御できるようにするためのさまざまな方法を試してきたと答えた。同社が公にテストしたアイデアの1つは「Favorits(お気に入り)」というもので、これはユーザーが自分のフィードのトップに表示したいアカウントを選択できるようにするものだ。モセリ氏によると、同社が取り組んできたもう1つのアイデアが、Instagramの時系列順バージョンだ。

この時系列順のオプションがいつ一般に公開されるかについてモセリ氏は「今すぐ具体的な提供月をお伝えできれば良いのですが、現時点での目標は来年の第1四半期です」と述べた。

2016年にInstagramが、アルゴリズムによるフィードに切り替えた決定は、物議を醸すこととになった。フィルタリングされたフィードそのものは、エンゲージメントメトリックを改善することから、当時のソーシャルメディア全体で標準になりつつあったが、多くのユーザーはその変更に不満を持っていた。Instagramは、新しいフィードがリリースされてから数年にわたり続いたユーザーの反発によって、アルゴリズムフィードに最近の投稿も追加することに同意さえするようになった。

2020年には、同社が「Latest Posts(最新の投稿)」機能の内部プロトタイプを構築していることが発見された。これにより、ユーザーはアプリの特別なセクションを通して最近の投稿を見ることができたが、それはFacebookが現在ニュースフィードのオプションとして提供しているもののような、完全な時系列順フィードへの回帰ではなかった。またこの機能は、Instagramのグローバルユーザーベースに公開されることもなかった。

現在モセリ氏は、ユーザーが本当に時系列順フィードオプションをもう一度手に入れることができることを約束している。しかし、ユーザーをアプリに引き付け続けるという点でアルゴリズムフィードがもたらす利点を考えると、Instagramがこれをデフォルト設定またはわかりやすい選択肢とする可能性はほとんどないだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)