Agilityが業務用二足歩行ロボットDigitを市場投入、最初の顧客はフォード

Agility Robotics(アジリティー・ロボティクス)は、40ポンド(約18kg)の荷物を持ち運べる二足歩行ロボットDigit(ディジット)を市場に投入した。最初の顧客はフォード・モーターだ。

生産ラインで製造された最初の2台を手に入れることになっているフォードがCES 2020に先立って1月5日の日曜夜にラスベガスでの語った内容によれば、同社は2019年からこのロボティクスのスタートアップとの共同研究開発に参加していたとのこと。フォードは、Digitと自動運転車をどのように使えば、同社CTOのKen Washington(ケン・ワシントン)氏がいう「ラスト50フィート問題」、つまり縁石から玄関までの運搬に対処できるかを研究してきた。

Digitの販売価格は、まだどちらの企業も決めていない。

フォードはスタートアップ、Agility Roboticsと提携して二足歩行ロボットDigitの研究とテストを行っている。

Digitの販売開始は、Agilityにとってひとつの節目となる。2015年末にオレゴン州立大学ダイナミック・ロボティクス研究所からスピンアウトして設立された同社は、二足歩行ロボットの商品化を目指してきた。Agilityは、2017年、ダチョウからヒントを得た二足歩行研究プラットフォームCassie(キャシー)を発表した。DigitはCassyに上半身と腕、センサーを取り付け、コンピューター能力を強化したモデルとして2019年の春に発表された。そこからAgilityは、片足でもバランスを取ることが可能になり、障害物を安全に回避できるように改良を加え、ナビゲーションのために周囲を知覚しマッピングを行う新しいセンサーも追加した。

「インターネットでの小売り業が成長を続ける中、ロボットが、あらゆる人のための配達の効率化と低コスト化を実現し、私たちの法人顧客のビジネスを強化するものと信じています」とワシントン氏は声明の中で述べている。「私たちはこの1年、Agilityと多くのことを学びました。これで私たちは、商用Digitロボットとともに探索的研究をさらに加速させることができます」

フォードは、Digitが自動運転車をサポートして商品を人々に配達する方法を模索しているが、このロボットには、倉庫や会社内での用途もあると、同社は話している。

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(翻訳:金井哲夫)

AlphabetグループのWingがドローン宅配に初成功

 Google(グーグル)の親会社のAlphabet(アルファベット)からスピンアウトしたドローンのスタートアップであるWingが初の空からの宅配を実施した。Wingは今年初めにアメリカの連邦航空局からドローンによる商用配送のパイロット・プログラムを実施する承認を得ており、FedExと大手薬局チェーンのWalgreensと協力して準備を進めていた。

届け先はバージニア州のコリバー家で商品は「咳止め風邪パック」だった。これにはアセトアミノフェン製剤のタイレノール、咳止めドロップ、ビタミンC製剤、飲用水ボトルが入っていた(なぜ水まで入れてあるのかよくわからないが)。

WingとWalgreensがドローン配送のパイロットプログラムを実施する地区として選んだのが顧客のコリバー家が所在するクリスチャンバーグだった。Walgreensはドローンで商品の戸口配送を行った最初の米国企業となり、FedExもそのロジスティクスを担当したことで、両社とも宣伝効果も含めて大きな成果を挙げたといっていいだろう。

Wingはロジスティクスの中でもっとも困難なラストワンマイルと呼ばれる顧客の戸口までの配送のドローン化を図ろうとしており、同じくバージニア州でSugar Magnoliaと協力している。これは地元のギフトとステーショナリーの専門店で、顧客が注文するのはギフトカードやチョコレートなど比較的小型軽量の商品が多く、ドローン配送の可能性の検証に適している。

Wing drone delivery 3

米連邦航空局(FAA)がWingに交付した航空事業者適格証明(Air Carrier Certificate)はパイロットがリモートで同時に複数のドローンを商用目的で操縦することを認めている。

これは米国におけるドローン配送にとって大きな一歩だった。消費者は今後ますます多くの商品がドローンで宅配されるようになると期待できる。今月初めに宅配便大手のUPSもFAAからドローン宅配サービスの実験の承認を得ている。Wingが成功したことでUPSのテストも大幅に加速されるだろう。パイロットプログラムではない日常の宅配サービスとなるとドローンの利用はしばらく先のことになるだろうが、立法、行政、民間事業者ともこの実験の結果から学ぶことは多いはずだ。

【Japan編集部追記】Wing製作のプロモーションビデオには「サイクリング中に山中でケガをした、子供のバースデーケーキを焦がしてしまった、馬に乗ろうしたら金具が壊れた」などの緊急事態にドローン宅配が対応するようすが描写されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ドミノピザが20分以内の宅配サービスを開始、ただしシステムがいけると判断した場合のみ

空腹のせいなのか、ワクワクが抑えきれないのか。ピザのデリバリーを待つ時間は、やけに長く感じる。

そりゃ少しでも早く届けてくれるに越したことはないけれど、そんなことを保証してしまっても大丈夫なのだろうか。ドミノピザが本日から始めた「ミッション20ミニッツ」には、ついついそんなコメントを残したくなってしまう。

ネーミングが全てを物語っているが、これは「注文からデリバリーまでを、たった20分で完了させる」という取り組みだ。

創業時から焼き立てのピザを30分で届けることを目指してきたドミノピザ。それでもアツアツの感動を届けるためには30分では物足りない、ということなのだろうか。“デリバリーは時間がかかる”という業界の常識を打ち破る挑戦を始める。

ミッション20ミニッツではピザの料金にプラス200円(税抜き)で20分以内、プラス300円(税抜き)で15分以内の注文を保証する。もちろん「いつでもどこでも」ということはない。

ウェブサイトでピザの注文を受け付つける際に、独自の計測システムで配達予測時間を導き出す。住所や混雑状況、交通状況をもとにシステムが「これはいける!」と思ったときにだけ、サービスを利用できるというわけだ。

注文後はピザトラッカー画面で、ミッションの進行状況を確認できるようになっている。もし時間内にピザを届けることができなかったら、次回使えるMサイズピザの無料クーポンをプレゼントするそうだ。

そういえば僕自身は体験したことがないけれど、かつては30分以内に宅配できなければピザを無料にするという取り組みもしていたと耳にした。交通事故やスピード違反の原因にもなりえるため現在は実施していないようだが、確かにリスクもありそうだ。

この点について、今回のサービスでは独自の技術で開発した3分オーブン、磨き上げてきたピザメイクの技術、ドライバーの運転速度や配送ルートを管理できるデリバリーテクノロジーを結集することで可能になったという。

ネット注文限定で本日より利用できるので(一部店舗では利用できないとのこと)、まずは一度試してみたいところだ。

オンライン小売業のJetが、ニューヨークのアパート1000棟にスマートアクセスシステムのLatchを設置する

昨年Walmartが買収したオンライン小売業者Jetは、都市部での顧客へ配達を容易にすることを狙って、スマートアクセス提供業者のLatchと契約を結んだ。

このことにより1000棟のアパートに住む、10万人以上の住民たちは、建物の外部ドアに設置されるLatchの住居用”R”システムに、自由にアクセスできるようになる。設置費用はJetとLatchの「共同出資」によって賄われる。

このことにより、住人たちは自分の携帯電話を建物に入るキーとして使うことができるようになり、階下に降りていかずとも訪問者のアクセスを許し、そしてもちろん留守中に安全に小包を受け取ることができる。ビル管理者たちは、Latchのシステムを使用して、USPSのような信頼できる配送業者へのアクセスを許諾することもできるが、これらの1000台のユニットは既にJetの配送パートナーからアクセスできるように設定されている。

はっきりさせておくが、これはマーケティングパートナーシップであって、運用上のパートナーシップではない。Jetのバックエンドとの統合は特に行われないが、一方JetはユーザーがLatchの設置された建物に済んでいることを認識して、通常はドアマンやスマートアクセスシステムを必要とする生鮮食品などの注文を行なうことができるというメリットを、ユーザーに対してプロモーションする。

少なくともこれは、多くのニューヨーカーにとって目に見えるメリットをもたらすマーケティングパートナーシップだ。

このパートナーシップはまた、Jetが都市圏に真剣に取り組んでいることを示す証でもある。Walmartが農村地域での小売りを伸ばすことに成功するなら、Jetはその大きな兄弟に対して、大都市でも同じことができることを示して印象付けようとしている。

都市に住む人なら誰でも知っているように、もしドアマンがいなかったりスマートアクセスシステムが無い場合には、自宅で荷物を受け取ることは基本的に不可能だ。

なので、この1000棟の建物への設置は、都市の買い物客がより多くの注文をするようになるためには、一体何を必要としているかを知るための良いテストになる筈だ。もしそれで、利用者が仕事で留守にしている間に、自宅の建物で荷物を受け取ることができる、Latchのようなシステムがあれば良い、ということがはっきりするなら素晴らしいことだ。しかしJetは(少なくとも内部的には)都市部の配達問題を解決する別のソリューションも追求している。オンデマンド注文で短時間配送を行なったり、Amazon Locker(注文した荷物を受け取れる専用ロッカー)のような、市街地の中に設置されるストレージを利用する方法だ。

Jetがこのプログラムから何を学ぶかにはかかわらず、無償でLatchがインストールされる建物の住民たちはおそらく皆とても嬉しい筈だ。

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(翻訳:Sako)

DoorDasyのCEOがオンデマンド食品配達の未来を語る

今週私はDoorDashのCEO、Tony Xuにインタビューし、オンデマンド食品配送について話を聞いた。記憶している読者もいると思うが、この1月、DoorDashはStarship Technologiesと協力して食品のロボット配送を実験している。

上のビデオでXuと私は食品宅配について課題、収益性、今後の予測など話し合った。

その中でXuはロボット配送について「この分野では変化は急激はさほど急激には起きないだろう」と述べた。Xuは「食品配送の分野では、われわれDoorDashがそうだが、テクノロジーと人間は互いに補完し合うと考えている」といいう。

2015年にアメリカでは2100億ドル分の食品、料理が宅配ないしテイクアウトされた。しかしBusiness Insider Intelligenceによれば、この分野の2大プレイヤー、GrubHub/SeamlessとEat24は両者合せてわずか26億ドル分の売上にしか寄与していない。

つまりこの分野にはきわめて大勢のライバルがいる。同時におそらく食品が宅配される方法もさまざまなのだろう。レストランから料理を引き取って配達する場合もあるだろうし、料理を作る店が出前をすることもあるだろう。それともわれわれが思いつかないだけでまったく別の宅配パターンがあるのかもしれない。

上のビデオでわれわれは広い範囲にわたって議論している。

〔日本版〕ビデオでは0:37あたりから6輪の地上走行ドローンが活躍することろが見られる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazonがドローン宅配をイギリスで検証開始、13分で初配送を完了

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Amazonは本日イギリスで、個人へのドローン配送の小規模な検証を開始したと発表した。今のところ、Amazonと協力する2人のカスタマーしかドローン配送での注文はできない。けれど、ゆくゆくは対象となるカスタマーを数十人、その後はさらに数百人規模まで拡大する計画だという。イギリス、ケンブリッジにある初のPrime Air配送センターから数マイル内に住むカスタマーが対象となる。

最初の配送は12月7日に実施し、配送距離はそう遠くなかった。それでもPrime Airにとってこれは大きな一歩だ。Amazonが初めてこのプロジェクトを発表した時、ドローン配送は少し早めのエイプリルフールネタに見えた。配送センターで荷物がドローンに積み込まれ、ドローンはレールに乗って外に移動し、そこから離陸する。着陸を含め、飛行はすべて自動だ。30分内に配送を完了するのがPrime Airの目標だ。

このドローンが初めて配送した荷物はAmazon Fire TVとポップコーンの袋だった。カスタマーが注文してから商品が届くまでの時間は13分だった。ドローンは5ポンド(約2.3kg)までの荷物を運ぶことができるという。

現在、対象となっているカスタマーはどの曜日にでもPrime Airで注文ができるが、日中で、飛行できる天候に限るとAmazonは言う。

本日Amazonが投稿した動画を見る限り、カスタマーはドローンが認識して着陸できるマットを裏庭に設置する必要があるようだ。

この検証でAmazonが使用しているドローンは、以前発表したものと違う。従来のクワッドコプター型のドローンで、昨年Amazonが見せた固定翼とクワッドコプターのハイブリッド型ではない。Amazonが長期的に見て必要と考える機能が揃っていないのかもしれない。だが、クワッドコプターはすでに使用したことがあり、検証済みのデザインだ。Amazonは常に、いくつか異なる種類のドローンを試していると伝えてきた。

Prime Airは世界中の拠点でドローンの検証を行っている。Amazonは最近、オーストリアにラボを設立し、何十人ものコンピューターサイエンティストがドローンが周囲を検知して避けるコンピュータービジョンの技術を開発している。

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これまでPrime Airは、アメリカでサンクスギビングの時期に何かしら大きな発表を行ってきた。これは2013年から始まったことだ。AmazonはCBSの60 Minutesの番組で、ドローン配送をメインストリームに持っていくというアイデアを披露した。昨年、Prime Airは最新のハイブリッドモデルのドローンをトップギアやGround Tourの司会者、ジュレミー・クラークソンの力も借りて、披露した。ただ、今年のサンクスギビングの時期は静かだった(AmazonはGrand Tourのローンチに人々の注目を集めたかったからではないかと私は推測している)。

今回の検証は本当に小規模で、ベータテスターは片手で数えるほどしかいない。それでもAmazonがこのプロジェクトにいかに真剣に取り組んでいるかが分かる。数ヶ月後にはケンブリッジ周辺に住む多くの人たちがPrime Airで紅茶とビスケットを注文できるようになりそうだ。しかし、近いうちにアメリカで同様のサービスを始めることは難しいだろう。Amazonがイギリスでドローン配送を実施できるのは、7月に視野外でのドローン飛行の認可を得たからだ。認可を得るには、ドローンは多岐にわたる安全テストをクリアしなければならない。また、Amazonが現在検証を行っている郊外の環境から他の地域に拡張するにもまだしばらく時間がかかるだろう。都市部でのドローン配送は、郊外の家の大きな庭へと配送するより遥かに難しい。Amazonはその問題についても現在解決策を見つけ出そうとしているところだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website