アプリの定期購読申し込みをしつこく確認するアップルのiOS

Apple(アップル)は、操作に1ステップを追加して、ユーザーが誤ってiOSアプリのサブスクリプションにサインアップすることを防ぐようにした。これは、ルールに反して定期購読に誘い込む詐欺まがいのアプリへの対策になる。そのために導入したのは、サブスクリプションを確認するダイアログボックスだ。定期購読を申し込む意思があることを確かめるため、操作の最終ステップに表示される。

このiOSの変更は、最初にアプリ開発者David Barnard氏によって発見され、ツイートされた。そしてAppleのニュースサイト、9to5Macによってもレポートされた。

このような新しい確認ダイアログは歓迎すべきもの。自分の意思に反して定期購読を申し込んでしまうユーザーが増えているからだ。特にTouch ID付きのiPhoneが危ない。ホーム画面に戻ろうとしてホームボタンを押すと、Touch IDによる定期購読の確認とみなされてしまうことがある。Touch IDによって定期購読の承認とみなすよう、アプリが作られているのだ。

今回のアップデートの前にも、詐欺まがいの定期購読の問題に対処するため、ここ数ヶ月にわたってAppleはさまざまな対策を施してきた。

特にユーティリティ系のアプリを中心として、かなりの数のデベロッパーが、卑劣なトリックを使って定期購読のユーザーを増やし、年間数千ドル(約数十万円)、場合によっては数百万ドル(約億円)ものお金を荒稼ぎしていた。中には、意図的にユーザーを混乱させるようなデザインを採用したり、わずか数日しかない「無料のお試し」期間で釣ったり、その他誤解を与えるような策略によって、ユーザーを定期購読に引き込むアプリもあった。

こうして多くの消費者がカモにされ、購読料金を払わされることになった。それは怒りに満ちたApp Storeのレビューを大量に生みだした。このような詐欺行為の横行は、定期購読という仕組みそのものに広範囲の悪影響を与えることにもなりかねなかった。Appleが手をこまねいて野放しにしておけば、消費者はどんなアプリの定期購読を申し込むのも警戒するようになっていただろう。

もうしそうなってしまったら大問題だ。今や、定期購読はApp Storeにとって大きなビジネスに成長しているからだ。実際、ある予測によれば、2022年までに757億ドル(8兆3000億円)の市場規模まで成長するものと見込まれている。

そこでAppleは、行儀の悪いアプリの取り締まりに乗り出しつつ、iOSのユーザーが自ら定期購読を管理しやすくなるように対策してきた。

この1月には、デベロッパー向けの新たなガイドラインを提示し、許可されることと許可されないことを明確に定義した。さらに2月には、iOSをアップデートして、ユーザーが定期購読の設定に到達するまでのステップを少なくした。もちろん、素早く簡単にキャンセルできるようにするためだ。

新しいダイアログボックスは、以下のようなメッセージを表示して、有料の定期購読を申し込もうとしていることをユーザーが理解しているかどうか確認する。

「定期購読の確認:少なくとも購読期間が終了する1日前までに、設定によってキャンセルしない限り、定期購読は継続します。」

Appleは、この変更を公式には発表していないが、報告によれば、先週あたりから有効になっているようだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iOSアプリのサブスクは間もなく最大10種類の割引を提供できるようになる

モバイルアプリ開発者にとって、定期購読(サブスクリプション)がかなりの収入源に成長し続けている。このためここ数週間のAppleは、そのガイドライン、規則、そして定期購読管理のためのツールまでをも見直す必要に迫られていた。Appleは定期購読が消費者に提示される方法に対するより厳しいガイドラインを発行し、既存の定期購読をキャンセルする方法をより簡単なものにした。今回Appleは、開発者のための新しいツールの提供を開始した。このツールは既存の顧客を維持し、退会してしまった定期購読客を取り戻す役にたつものだ。

同社は金曜日に、定期購読を自動更新するアプリがほどなく、顧客ベースを拡大/維持するために、特定の期間、定期購読をディスカウント価格で提供できるようになることを発表した。これにより、開発者はこれまでよりも、定期購読価格を細かく制御することが可能になる。

今回の変更が行われるまでは、開発者は消費者の気を引くために、最初の登録時だけに使える初回特別価格(introductory offer)を提供することしかできなかった。たとえば開発者は、満額の定期購読価格を課金する前に、消費者に1回限りの初回特別価格や無料試用版、あるいは一定期間のディスカウントを提供して気を引くことができたのだ。

しかし、こうした特別価格はいずれも、初めての顧客に対してのみ適用可能だった。だが新しい定期購読方式の提供により、開発者は既存の顧客にも似たようなディスカウントを提供したり、一度は定期購読を行っていたものの、その後キャンセルしてしまった顧客を取り戻したりすることが可能になる。

この新しい販促特別価格では、初回特別価格と同じ種類のディスカウントが可能だが、その使われ方の点で、より柔軟である。

これまでの初回特別価格は、開発者は地域ごとに1つの定期購読に対して1回だけの特別価格を与えることを許可されていた。新しい販促特別価格を使用することで、開発者は1定期購読あたり最大10種類の特別価格をアクティブにすることができる。これにより、どれか1つだけを選ぶのではなく、どの特別価格が顧客にとって一番訴求するのかをテストすることができる。

また開発者は、ある特別価格が、顧客に表示される時期、表示される地域、そして1人の顧客が申し込むことができる回数の上限などを制御することができる。

なお、初回特別価格は指定したときにApp Storeに表示されるが、今回の新しい販促特別価格はApp Store上には表示されない。すなわち開発者はビジネスロジックを用いて、もっとも価値ある顧客を取り戻すために、他の顧客に提示されているものよりも、良い価格を個別にこっそり表示することができるということだ。また、既存の顧客を維持するためのプロモーションとは異なるサービスとして、一度退会してしまった顧客に対しては、よりディスカウントされた定期購読などのお得価格を提供することができる。

開発者はレシート確認ツールを使用して、自動更新をオフにした顧客を見つけることもできるため、現在の定期購読が期限切れになる前に、新しい特別価格を提示することができる。また、一定期間定期購読を行ってからキャンセルした人ではなく、無料の試用期間中にキャンセル人に対象を絞りこむことなどもできる。

今回の変更を受けて、お金を節約したいエンドユーザーとしては、ときどき定期購読をオフにして、再定期購読のために有利な価格が提供されるかどうかをみてもいいかもしれない。

開発者たちは新機能についての予告を先週受けているが、一般への特別価格提供はまだ行われていない。

特別価格提供を行うためには、開発者は最新のXcode 10.2ベータ版をダウンロードする必要があり、新しいStoreKit APIで実装する必要がある。その後、iOS 12.2、macOS 10.14.4、およびtvOS 12.2の最新のベータ版でその特別価格をテストすることが可能だ。Appleは販売特別価格提供機能は「すぐに」一般に開放されると語っている。

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(翻訳:sako)