Facebook、「広告アーカイブレポート」で政治広告費ランキングを公表

明白な理由により、Facebookは中間選挙を前に政治広告の透明性を高めようとしている。去る5月、同ソーシャルネットワークは米国内の政治広告を検索できるデータベース、Ad Archiveを導入した。このほど新たに政治広告費用を週例報告するAd Archive Report機能を追加した。

レポートはキャンペーン別のトップ広告利用者を利用額および広告掲載数と共に公開している。最初のレポートは、FacebookとInstagramで5月から10月20日の期間に掲載された広告が対象で、総額2.56億ドルが160万件の広告に消費された。

この数字にはFacebook自身による選挙の公正化および投票推進運動に関連する広告も含まれている。それ以外ではあらゆる手を尽くして戦っているテキサス州のベト・オルーク下院議員がリードしているのは驚きではないだろう。”Beto for Texas” キャンペーンはこの期間約6000件の広告に530万ドルを使った。

ドナルド・トランプの “The Trump Make America Graeat Again Committee”[トランプがアメリカを再び偉大にする委員会]が190万ドルで2位。ちなみに “Donald J. Trump for President, Inc.” [ドナルド・トランプを大統領に株式会社] は160万ドルで8位だった。これは170万ドルを使ったトム・ステイヤーの”Need to Impeach”[弾劾せよ]のすぐ下だ。こうしたキャンペーンが2020年に向けて膨れ上がっていくことは間違いない。

アーカイブには、7年前まで遡って広告が収納されている。また同サイトでは、データをアクセスするためのリサーチャー向けのAPIも提供している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、暗号通貨広告の全面禁止は来月で終了

Googleは暗号通貨広告の禁止を解除する——今年夏にFacebookが 同様の決定をしたことに続くものだ。CNBCが報じた。Googleは今年3月、主要プラットフォームの先陣を切って暗号通貨広告の掲載中止を発表した。消費者に与える悪影響の可能性が大きいという声が業界で高まったためだ。

FacebookTwitter、さらにはSnapchatさえも、同様の理由により暗号通貨広告を禁止した。

しかしFacebookは 今年6月に暗号通貨広告の全面禁止を撤回し、暗号通貨広告を「すべて」禁止するのではなく、「事前承認を受けた広告主」によるものは許可すると発表した。ただし、バイナリーオプションおよびICO(暗号通貨のIPO)を宣伝する広告は禁止される。

このたびGoogleは、同社のポリシー変更によってあとに続いた。この変更は本日発表されたことを確認した。

CNBCの報道によると、Googleのポリシーは依然としてICO、ウォレット、および取引アドバイスの広告を禁止しており、Googleの改定されたポリシーページには、禁止されている広告商品のリストがリンクされている。

しかし2018年10月のポリシー改訂には「規制に沿った暗号通貨取引」の広告は米国と日本で許可されていると書かれている。

そのためには、広告主はまずGoogleから、広告を配信する国ごとの承認を受ける必要がある。この手続きは10月から始まる。新たなポリシーはこのタイプの金融商品を広告するアカウントすべてに適用される、とGoogleは言っている。

一部の主要プラットフォームで暗号通貨広告が禁止されることは、消費者保護にとって大きな一歩だ。業界では詐欺やスパムが増えているからだ。FTC(連邦取引委員会)によると、消費者は2018年の最初の2ヶ月間に、暗号通貨がらみの詐欺で5.32億ドルを失っている。また同委員会は、消費者は今年中に30億ドル以上を同じ問題によって失う可能性があると警告した

しかし、FacebookやGoogleのような広告依存のプラットフォームにとって、こうした広告で得られる利益はあまりにも大きい。これらの広告主の一部でも戻ってくるための方法を見つけたかったことは明らかだ。Googleの親会社であるAlphabetは、総収入の86%前後を広告で得ている、とCNBCは指摘する。今年前半の広告収入は540億ドルを超えた。

Googleは、本誌のコメント要求にまだ答えていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleがMastercardとパートナーしてユーザーのオフラインの買い物を追跡する

Bloombergの記事によると、GoogleはMastercardとの秘密契約により、クレジットカードの利用データから小売の売上を調べられることになった。このことは、Googleの本当の顧客が広告主であることの、また新たな証拠だ。

オンライン広告は今や、他のすべての広告媒体を抜き去った。企業は、テレビや新聞などよりも多くの広告費をネット広告に支出している。

オンライン広告に人気があるのは、広告キャンペーンの効果を調べやすいからだ。GoogleやFacebookに広告を出せば、そこから何人の顧客が自分のオンラインストアに来たか分かる。しかも、彼らが何を買ったかすら分かる。

でもテレビ受像機のオンライン広告を見た人が、お店に来てテレビを買った場合はどうか? テクノロジー企業はこれまで何年も、このような、オンライン広告とオフラインの売上とのギャップを填める努力をしてきた。たとえばGoogleは、ユーザーが位置履歴を無効にしていても、常時密かに位置を追跡している日本語関連記事〕。GoogleがMastercardとパートナーしたのも、そのためだ。

Bloombergによると、Mastercardのアメリカ国内のトランザクションデータはすべて、暗号化されてGoogleへ送られる。GoogleはMastercardに金を払い、おそらく他のカード会社からも、同じ方法で情報を得ようとしている。

Googleに個々のトランザクションは見えないが、その大量のデータから有意な情報を取り出すことはできる。たとえば同社は、オフラインの購入をユーザーのプロフィールとマッチングできる。そしてそのユーザーが、広告をクリックしたことも分かる。

広告主はメールのデータベースをアップロードして、オフラインの売上をGoogleのプロフィールと広告クリックにマッチできる。Googleは彼らに、すべてのオフライン売上のレポートを送る。すると広告主は、自分たちのオンライン広告キャンペーンの売上寄与効果が分かる。

それは広告の顧客に、彼らのキャンペーンに効果があったと説得するための、うまい方法だ。オンライン広告の売上効果を確信した彼らは、次の広告予算でGoogleへの配分をさらに大きくするだろう。

このやり方は、大規模な広告ビジネスを構築するためには、プライバシーをある程度、二の次にしなければならないことを、あらためて示している。しかしGoogleがMastercardとの今回の契約を公表しないことは、かなり気持ち悪いな。ユーザーには、(自分のデータの使われ方について)知る権利があるからね。

このMastercardの一件は、ユーザーのGoogleアカウントの“Web and App Activity”(Webとアプリのアクティビティ)でオプトアウトできるそうだが、その設定は見つけにくいし、大量のものをかき分けて探さなければならない。そもそも、オフラインの購入は、“Web”でも“アプリ”でもないけどね。〔訳注: 今はアメリカ限定だから日本語のGoogleアカウント設定にはない。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google、架空のチーズケーキのCMで効果を検証――これが6つのポイントだ

Googleのスキップ不可の動画広告チームはCMの効果を判定する説得力ある方法を実験した。GoogleはDoctor Forkという架空のチーズケーキのブランドを作り、ストック素材から33種類のCM動画を作成してYouTubeで表示し、2000万インプレッションを得た。

Unskippable Labsのクリエーティブ・ディレクター、Ben Jonesによると、CM業界で伝統的に「こうすべきだ」といわれてながら実際にテストされていない格言のようなものが多数あるという。たとえば「ものを食べている最中の人物をカメラ目線で撮ってはいけない」などがそれだという。

クリエーター全員がこれを金科玉条として絶対にCMでやらないなら、口をもぐもぐさせながらカメラを見るようなCMが本当に不可なのか実験されていないことになる。架空のケーキのブランドCMでJonesは「われわれのチームはまったく異なるアプローチで間違ったことでも自由にやってみた。「私が本物の広告では普段やらないようなことでもDoctor Forkは好きにやってしまう。架空のブランド広告なら間違っても構わないわけだ」と述べた。

Nestleとブリガム・ヤング大学でマーケティングを教えている准教授、Ryan Elderとの強力でこの実験が行われた。Doctor ForkのCMは2つの広い分野における疑問を解決しようとする試みだった。その一つは 感覚的刺激の効果(これはElder博士が専門に研究している分野)、もう一つは人間の存在の効果(つまり飲食物のCMにおける人間の露出量の適正値)を知ろうというものだ。

Googleは以下のように実験の結果を要約している。

1. 没入的かつ複数種類の感覚刺激は単一種類の感覚刺激より記憶されやすい
食べ物CMはlオーディオ、ビデオ、テキストなど可能なすべての手段を活用すべし。

2. ビジュアル情報とテキスト(音声、字幕双方)をずらした方が記憶、好感度ともにアップすさせる
ビデオ部分と音声、テキスト部分を別々に再生すべし。

3. 行動指示は記憶、好感度ともにアップさせる
食べ物広告では行動を促すことは効果がある

4. 食べ物は画面いっぱいに表示する
食べ物を売るにはスーパークローズアップは効果があり、想起率も高い。

5. 「食べてにっこり」だけがおいしさを表現する方法ではない
食べ物と人間の関係には無数のバリエーションがある。紋切り型にとらわれず自由な表現を試みるべし。

6. 一人称視点(POV)動画に対しては、若い世代の方が年長の世代より好意的反応を示す

Elder博士は「広告では大学における研究が現実に応用される例は少ないし、あってもたいていは遅すぎて大きなインパクトを生んでいない。逆にアカミズム関係者は理論的な面を重視して現実的な結果を考えない傾向があり、研究のインパクトを減少させている。今回のGoogleとの共同作業ではアカデミックな研究が実際の環境でテストされ、ただちに企業によって現実のビジネスに応用されたユニークな例だった」と書いている。【略】

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滑川海彦@Facebook Google+

iPhoneの新しいコマーシャルではゲームプレイの性能アップを誇示

最近は新しいMacBook Proのパフォーマンス問題が騒がれているが、一方、当のAppleは最新のテレビコマーシャルでA11 Bionicチップを推している。

‘Unleash’(解き放て)と題されたこの広告では、MobikeやOfoの自転車で填め尽くされた中国の都市の通りを若者が歩いている。彼はスマートフォンでゲームをしたり、テキストメッセージを受信したり、YouTube Gamingのライブストリーミングを見たりしている。

ゲームはたちまち、スマートフォンの画面サイズを超えて実物大にでっかくなる。彼は自分より大きなモンスターや仮想のキャラクターたちと現実世界で戦う。そこでナレーションが入る: “もっと強いあなたを解き放て”。

今日(米国時間7/25)App Storeを開いたら、TodayタブのところにVaingloryのプロモーションがある。なぜなら、このコマーシャルもVaingloryを借りているからだ。それはLeague of LegendsやDota 2的なマルチプレーヤーゲームだ。

Appleは性能アップのために、毎年、SoCをアップデートしている。しかしGPUをApple自身が設計したのはA11 Bionicが初めてだ。

AndroidスマートフォンのメーカーでGPUを独自設計しているところはないから、その点ではAppleは有利だ。今や明らかに、ベンチマークでもゲームプレイでも、その有利性が実証されている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

TwitterとFacebookが政治広告の透明性のためのサービス/ツールをローンチ、一般人がアクセス可

Twitterが、10月に発表したAds Transparency Center(広告透明性センター)をこのほど公開した。

これはTwitterなどのオンラインプラットホームが、とくに2016年のアメリカ大統領選挙において、誤った情報を散布することに彼らが果たしたかもしれない役割をめぐって、日増しに厳しく精査されたことへの、対応だ。

たとえば民主党の下院議員たちは、ロシアの資金で出稿されたFacebook上の何千もの政治的広告を公表したが、そのFacebookも今週、独自の広告透明性ツールをリリースするらしい。…実はこの記事を公開したあとぼくは、Facebookの広告透明性に関するプレスイベントを取材しなければならないのだ。

Twitterによると、同社の透明性ツールでは、Twitterのハンドルを検索すると、そのアカウントが過去7日以内に展開したすべての広告キャンペーンを見ることができる。アメリカ国内の政治的広告に関しては、その広告料金、広告支出総額、1ツイートあたりのインプレッション、ターゲットの層特性、などのデータも分かる。

Ads Transparency Centerにはログイン不要で誰もがアクセスできる。

Twitter political ads

先月Twitterは政治広告のガイドラインを発表したが、そこで同社は、ガイドラインの対象はアメリカの連邦選挙(国レベルの選挙)に関連していることが視覚的にも分かる広告、としている。そして今後の計画としては、候補者の宣伝ではなく、“政治的社会的諸問題”を扱った広告も対象にする。またさらに、政治広告に対するTwitterのこれらの方針を、国際的にも適用したい、と言っている。

TwitterのBruce Falckがブログにこう書いている: “これをきちんとやることはわれわれの義務であり、今後もアップデートしていきたい。この分野の仕事を絶えず真剣に改良に努めていかなければならないし、コミュニティにとって正しいことをしていきたい”。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、暗号通貨広告を部分的に解禁――ICO、バイナリーオプションは引き続き禁止

Facebookは暗号通貨関連広告を全面的に禁止する方針を撤回した。広告収入の可能性は無視し続けるには大きすぎたようだ。今日(米国時間6/26)、Facebookは暗号通貨の広告を禁止した約款を改正したことを発表した。新約款は直ちに実施された。

暗号通貨広告はすべてが解禁されたわけではない。Facebookによれば、広告主は事前に承認を受けた上で暗号通貨関連の出広が可能となる。ただしバイナリーオプションとICOのプロモーションは引き続き禁止される。

Facebookは今年1月に暗号通貨広告をすべて禁止した。Facebookはこの理由を、「現在この分野では不誠実な運営を行っている会社が多過ぎる」からだと説明していた。

Facebook自身、「暗号通貨関連の広告を全面的に禁止するのは影響の大きい方針転換」だと認めたものの、新方針は「Facebookの広告の「正当な運用とセキュリティーを改善し、Facebookを利用して悪事を企み利益を得ることを困難にする」ものだとしていた。

ただしFacebookでは、悪質な広告に対する防衛機能が改善されるに従ってこの方針は随時再検討されるとも述べていた。

その後6ヶ月経って、Facebookは暗号通貨広告の津波と戦う用意ができたようだ。

新しい手続きはこうだ。 広告主はまず出広の申し込みを行い、審査を受ける必要がある。広告主は、ライセンスの状態、上場企業か否か、など企業の現状について詳しく答えねばならない。

ただしこうして広告主から得られた情報についてFacebookがどの程度のファクトチェックを行うのかは現状では不明だ。

Facebookは他の広告同様、暗号通貨関連広告に関してもガイドライン違反を指摘する「この広告を通報」機能を用意すると述べている。つまり悪質な広告が多少は紛れこむことを予期しているのだろう。

Facebookでは新約款でも依然としてある種のプロダクトの広告が禁止されている点について注意を喚起すると同時に、今回の出広規則も暫定的なものだと強調している。Facebookのプロダクトマネジメント担当ディレクター、Rob Leathernは声明で以下のように述べている。

…新約款の有効性や影響についてわれわれはフィードバックを注意深く検討していく。〔暗号通貨〕テクノロジーについても引き続き研究を続け、必要に応じて約款を見直す。

Facebookが暗号通貨広告を禁止した後、3月にはGoogleもこれに続いた。このときGoogleはこの分野の広告は公的規制下になく投機的なものが多いからだと説明している。新しい規則は6月から有効となっている。TwitterとSnapも暗号通貨広告を制限する規則を制定している。Twitterの場合は上場企業による取引所とウォレットの広告のみ許可している。SnapはICOの広告を禁止しているが、それ以外の暗号通貨広告は許可される。

暗号通貨分野ではスカム(インチキなビジネス)が横行している。FacebookやGoogleのようなメジャーなプラットフォームはどんな広告が許されるのか、ルールを制定して規制を行う必要があるだろう。月曜にCoindesk が報じたところでは、FTC〔連邦取引委員会〕の調査で、暗号通貨に関連して、2018年の最初の2月だけで5億3200万ドルの詐欺があったことが判明したという。FTCでは「年末までに詐欺被害額は30億ドルに上る可能性がある」lと警告している。

画像:ryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


過去35年の秀逸なテック業界広告を振り返る

先週、 Association of Independent Commercial Producers(コマーシャル制作者協会)は今年の最優秀マーケティング動画を発表し、Appleの“Welcome Home”がコマーシャル部門で優秀広告賞に選ばれた。映画「Her」や「Being John Malkovich」を手がけたSpike Jonzeによるもので、このミュージカルショートフィルムは、若い女性FKA Twigsがタフな1日を終えて誰もいない家に帰ってくるところから始める。「何か(私が)好みの曲をかけて」とSiriにいうと、彼女のいる現実の空間が、 HomePodから流れるAnderson .Paakの曲““Til It’s Over””の世界へと変わっていく。

2月に発売された直後は賛否が渦巻いたHomePodだが、Jonzeは素晴らしいビジュアル(ほとんどがCGIではない)と魅力的な振り付けでこの製品に命を吹き込んだ。これを観ると、過去35年に注目を浴びたテック企業のコマーシャルはどんなのがあっただろうか、私たちのテクノロジーに対する考え方はどう変わったのか、と考えずにはいられない。我々のお気に入りを紹介しよう。

“1984” (“1984年”)

変化の激しいテック企業の広告について語るとき、これ抜きには始められない。1984年のスーパーボウルで流したこの広告はRidley Scott(1979年にAlien を監督)によるもので、Macintoshのパーソナルコンピューターを世界に初めて紹介した。この広告では、PCコンシューマリズムと、1980年から George Orwellが描いたディストピアの‘1984’にかけての無機質な企業のオフィスの関係を明らかに描いている。

コマーシャルでは、ビッグブラザー(編集部注:George Orwellの小説「1984年」に出てくる監視者のこと)が、誰とも区別がつかないような労働者の集団に催眠術のように話しかけているときに、手に槌を持った女性が光を伴いながら集団の中を駆け抜ける。そして女性は、スクリーンの中でパーソナルコンピューティングについて語っているビッグブラザーに向かってアスリートのように槌を投げる。そして最後はこう結ばれる。Macintoshの登場で1984年は“1984年”のようにはならないだろう。

“Dude, You’re Getting a Dell” (Dellのコンピューターはいかが?)

Macintoshの動画ほどコンセプトが詰まっているわけではないのは明らかだが、このコマーシャルキャペーンは2000年代初めに注目を集めた。Stevenという名前の登場人物ー典型的なお気楽ティーンエージャーが、家族のためにDellのコンピューターを買うよう、親子を巧みに誘惑するというものだ。このDellの人気CMにより主演のBen Curtisの評判も高まった。Curtisは最近だと2017年にオフブロードウェイの舞台The Crusade of Connor Stephensに出演している。

“Get a Mac” (Macを手に入れよう)

白状すると、私はこのコマーシャルが大好きだ。Appleのサイト閲覧にハマっている人と同じように。このキャンペーンは2006年から2009年までの4年間展開され、スーツを着たJohn HodgmanがPC役で、パーカを着たJustin LongがMac役だ。コマーシャルではこの2つのコンピューターが(文字通り)会話をするのだが、他のコンピューターにはないようなMacの特徴( iMovieや Time Machine、そしてWindowsも使えることなど)を際立たせる。

Macはリラックス、そしてクリエイティブに登場するのでーAppleが顧客に伝えるときには全てにおいてそうなのだが、その他のPCは弱点が明らかという状態となる。2010年にAdweekは21世紀初の10年ではこのキャンペーンが最高、と発表した。

“Can You Hear Me Now?” (いま聞こえてる?)

パソコン以外のコマーシャルでは、この有名なVerizonのキャンペーンも語らずにはいられない。2002年から2011年にかけて放映されたこのコマーシャルは、Verizonのジャケットを着て大きなメガネをかけたTest Manという人物が登場し、Verizonのネットワークの強度をテストするためにあちこちに足を運ぶという設定だ。コマーシャルではたえず携帯電話を片手に “can you hear me now?” (いま聞こえてる?)と言っている。2002年にTest ManはEntertainment Weeklyから“最もミステリアスなピッチマン”賞を受賞している。

このVerizonのキャンペーンは10年近く前に終了しているが、このキャラクターは最近復活した。Sprintのコマーシャルでだ。この裏切り行為には胸が痛む。

“Parisian Love”

次に紹介するコマーシャルでは、もしかしたらティッシュの用意が必要かもしれない。このミニマリストなコマーシャルは2010年のスーパーボウルで放映された。カップルのラブストーリーで、出会いや結婚、子どもの誕生などを描いているが、すべてGoogle検索のウィンドウで描写されている。このコマーシャルはスーパーボウルで放映されたコマーシャルで最も人気だったものの1つで“Google 5”として知られる何人かの広告デザインを学ぶ学生によってデザインされた。AdAgeによると、このコマーシャルのコンセプトは、Googleの任務内容にある“Google検索についてどんなところが好きか、人々に思い起こさせる”という記述や、GoogleクリエイティブラボVP、Robert Wongの“最も良い結果というのは、検索結果ではなく人生に現れる”という格言にインスピレーションを得ている。

テクノロジーに対する考えに変化をもたらした広告、何か抜けはないだろうか。コメントで教えてほしい。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookにスポンサードビデオがさらに必要な理由――Brand Collabsはブランドとクリエーターを仲介する検索エンジン

Facebookは、自分で手数料を取らずにブランドとビデオクリエーターを結びつけ、ビデオ広告やビデオ内プロダクト・プレースメントをさらに増やそうと努めている。今日(米国時間6/19、)われわれが5月にスクープした機能正式にスタートした。名称はBrand Collabs Managerだ。

このシステムはブランドが有力インフルエンサーをさまざまな条件で検索できるエンジンだ。オーディエンスのデモグラフィックや各種の属性、過去にスポンサードを受けたビデオのポートフォリオなどを簡単に検索することができる。簡単にいえば、3月に報じたとおり、FacebookはビデオコンテンツのマネタイズにあたってYouTubeとPatreonをコピーしようとしている。

一方、スポンサーを得たいクリエーターはBrand Collabsシステムに参加して自分のFacebookページについてのポートフォリオを作成することができる。ページの作成者はここで自分がブランドをいかにシームレスにビデオに埋め込めるかを示せる。ブランドはクリエーターのビデオの人気がどの国でもっとも多いか、オーディエンスの関心、性別、学歴、交際関係、重要なイベント、家の所有などをキーとした検索が可能だ。

今回、これ以外にもFacebookはクリエーターのマネタイズを助ける機能を多数発表している。

  • 昨年11月にiOS向けに発表されたFacebook Creator アプリAndroid版が世界的にローンチされた(Google Playへの登録が完了しだい有効となる)。 コンテンツ・クリエーターはCreatorアプリを利用することで、配信するライブ・ビデオにイントロ、アウトロ〔ビデオ末尾の定形部分〕を追加したり、TwitterやInstagramに簡単にクロス投稿したりできる。またFacebook本体とInstagramのコメント、Messengerでのチャットを一つのインボックスで処理できる。これによりファンとのコミュニケーションが大きく効率化される。

  • Ad Breaksはビデオの中間にCMを挿入する機能だ。現在一部のアメリカのクリエーター向けに公開されているが、この範囲がさらに拡大される。長期にわたってオリジナルのコンテンツを作成しており、熱心なファンが多数いることが条件だ。スポンサーが得られた場合、クリエーターは広告料金の55%を得る。
  • Patreon式有料視聴契約もさらに多くのクリエーターが利用できるようになった。クリエーターはあたり月額4.99ドルの料金を設定できる。契約者は有料コンテンツを見ることができるだけなく、会話の際にパトロン(契約者)であることを示すバッジが表示される。またゲームビデオのクリエーターはStarsと呼ばれるゲーム内通貨を利用したマイクロ支払いも受けられるようになった。

  • トップファン・バッジはクリエーターのいちばん熱心なファンをハイライトする機能で、3月からテストされていたが、さらに広い範囲から利用できるようになる。
  • Rights Managerを利用すると、クリエーターはFacebookにアップロードするビデオのフィンガープリントを取り、他人が同一のビデオをアップロードできないよう管理できる。従来パブリッシャーだけが利用できたがクリエーターも利用可能となった。.

今日のFacebookの発表には重要なインタラクティブ・ビデオ機能が多数含まれており、さっそくこの機能を用いたゲームショーも発表されている。クリエーターはユーザーがビデオ内で回答できるミニクイズ、アンケート、ゲーム化などさまざまな対話的機能を埋め込むことができる。
ユーザーは単に受け身でビデオを見るだけなく、積極的に参加することが可能だ。オリジナルビデオ向けのFacebook Watchハブもビデオショーのフォーマット、クリエーターの範囲が拡大された。

Facebookがスポンサードビデオをさらに必要とする理由

ユーザーのアテンションがYoutTube、Netflix、Twitchなどの流れることを防ぎたければ、Facebookはホットなオリジナルビデオを製作できるビデオクリエーターを多数必要とする。しかし優秀なクリエーターをつなぎとめて置くためには、Facebookのビデオプラットフォームで十分なマネタイズが可能でなければならない。しかし、たとえばAd Breaksのようなビデオ内CMを不用意に挿入するのは、特に短いビデオの場合、視聴者の反発を招くおそれがある。

しかしTwitterのVineビデオの実験で、短いビデオでも6秒あればマーケティングに十分効果があることが証明されている。Nicheというスタートアップはブランドとクリエーターを仲介するマーケットプレイスを作り、たとえばホンダ車の窓やドアから流れ出す曲を作れるミュージシャンやコカ・コーラについてジョークを飛ばすコメディアンを探したりできるようにした。結局TwitterはNicheを買収したが、価格は5000万ドルと報じられた。[情報開示:Nicheの共同ファウンダーのDarren Lachtmanは筆者の従兄弟]

Facebookと違ってVineはビデオクリエーターからすぐ人気を得た。YouTubeの広告収入は多額になり得るし、Patreonのサブスクリプションモデルも魅力的だ。Twitchはゲームファンの熱心な支持を受け、クリエーターはチップを稼いでいる。こうしたことがFacebookからビデオクリエーターを遠ざける結果となっていた。

FacebookがBrand Collabs Managerをリリースしたのは、ビデオ広告配信の条件を直接的に改善するよりも、クリエーターがブランドから広告収入を得られる道を整備する方法を選んだのだろう。

Niche、YouTube、Patreon、Twitchのものまね以上の仕組みを作るにはFacebookとしても相当の作業が必要だ。しかしFacebookとしてはプラットフォームの魅力を高めるためにクリエーターにポケットマネーを払うのに比べればずっと安上がりなはずだ。.

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Macの新しい広告キャンペーンでは最高にクリエイティブなアーチストもドングルを使用

Appleが、“behind the Mac”と名付けた、Macの新しい広告キャンペーンを開始した。このキャンペーンでは、仕事やクリエイティブなプロジェクトや障害などアクセシビリティの理由でMacを使っている人たちのストーリーをシェアしている。

Macは多芸なプラットホームだ。メールのチェックやWebの閲覧など、退屈な仕事のために使っている人もいるし、また数えきれないほどいろんなことに使ってる人もいる。Appleは、Macでは、WordやExcelを使うこと以外にこれも、これもできるよ、と訴求したいようだ。

Appleが今日(米国時間6/15)シェアしたビデオは4つだ。最初のは(下)、ほかの3つのまとめだ。ひとつひとつのビデオは、Macを毎日使っている誰かのポートレートだ。AppleのWebサイトを見ると、ポートレートは全部で12あることが分かる。

まず、Peter Kariuki(下)は、ルワンダの道路の安全性を改善するiPhoneアプリを作ったデベロッパーだ。

Bruce Hall(下)は、目の不自由なフォトグラファーで、写真を使って外界の細部を見ている。

そしてGrimes(下)は、今もっともおもしろい音楽アーチストのひとりだ。

三人ともラップトップを使っているが、たしかにMacBookはAppleのもっとも人気のあるコンピューターになった。Appleは、iMacやiMac Pro, Mac Mini, Mac Proを見捨てていないが、今では買う人がそんなに多くない。

また、これらのMacは最近の1年間アップデートされていない。Mac系の新機種も出ていない。だからそんなタイミングで広告キャンペーンを打つのは、ちょっと気になる。あと数か月は、Macのアップデートはないのだろう。

それに、最近のMacBookやMacBook Proを使っている人は、アクセサリーをUSB-CやThunderbolt 3のポートに挿入するために、あほらしいドングルを使っているかもしれない。でもGrimesでさえドングルを使わざるをえないのだから、しょうがないね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookのストーリーズ機能が1億5000万DAUを突破ーー広告の試験運用をスタート

ローンチから14か月が経ち、FacebookはSnapchat Storiesに酷似した同社のストーリーズ機能のDAU(デイリーアクティブユーザー数)がようやく1億5000万人に達したと発表した。そしてストーリーズから収益を生み出すための次のステップとして、同社はアメリカ・メキシコ・ブラジルの3か国で、現地時間の5月17日からストーリーズへの広告掲載をスタートさせた。

ストーリーズ広告は5〜15秒程度の動画で、ユーザーはスキップすることもできる。クリックスルーやコールトゥアクションは今のところ備わっていないが、Facebookは向こう数か月のうちにこういった機能も盛り込む計画だという。広告主はInstagramストーリーズに展開している広告を簡単にFacebookへと移植できる上、ニュースフィードの広告にマッチした枠と文章を追加して自動的にストーリーズ広告化することもできる。さらにFacebookはストーリーズ広告の費用対効果を示すため、今後さらなる指標を追加していく予定とのこと。

広告主はInstagramストーリーズに展開する広告を簡単にFacebookへと移植できる(上図左)上、ニュースフィードの広告に枠線と文章を追加して自動的にストーリーズ広告化することもできる(上図右)。

先月、Facebook CPOのChris Coxが2019年中にはストーリーズがフィードを追い抜き、Facebookの情報発信チャンネルとしては最大になると語っていたことから、同社は生き残りのためにもストーリーズ広告の価値を今後高めていかなければならない。CEOのマーク・ザッカーバーグも「ストーリーズ広告をニュースフィード広告と同じレベルにまで引き上げていかなければならない。情報共有の場がストーリーズへと移行するなか、これが上手くいかなければ、ビジネスに大きな影響が出るだろう」と自分たちへの警告ともとれる発言を残している。Facebookのストーリーズ機能については、Instagramのストーリーズ機能とオーバーラップしていることや、やたらと目立つ見た目から批判もあるが、Facebookはこの短時間で消える動画フォーマットからの撤退は考えていないようだ。また同社は膨大なユーザー情報を保有していることから、現在Snapchatに注ぎ込まれている広告主の予算が、今後Facebookへと流れていく可能性もある。

ストーリーテラーをめぐる戦い

筆者が最初に疑問に感じたのは、Facebookがどのようにストーリーズ機能のDAUを割り出しているかという点だ。その答えは、Facebookのアプリかサイトでストーリー動画を見たユーザーの数だった。つまりInstagramやFacebook Messengerのストーリー動画をFacebook上にクロス投稿したユーザーの数は含まれていないため、これは良心的な算出方法だと言える。さらにこの数字は、InstagramにはじまりFacebookにも導入され、ニュースフィードのトップに固定されることになったストーリー動画の力を物語っている(大きなプレビュータイルのテストもすでに始まっている)。

背景知識として、主要サービスにおける類似機能のデイリーユーザー数および月間ユーザー数は以下の通りだ(ユーザー数の多いものから順に掲載)。

  1. WhatsApp Status:月間ユーザー数15億人、デイリーユーザー数4億5000万人(2018年5月時点)
  2. Instagram Stories:月間ユーザー数8億人、デイリーユーザー数3億人(2017年11月時点)
  3. Snapchat(アプリ全体):デイリーユーザー数1億9100万人(2018年5月時点)
  4. Facebook Stories:月間ユーザー数22億人、デイリーユーザー数1億5000万人(2018年5月時点)
  5. Messenger Day/Stories:月間ユーザー数13億人、デイリーユーザー数7000万人(2017年9月時点)

Instagramでもストーリーズ機能のDAUが1億5000万人に達した段階で広告掲載がスタートしたが、Instagramはストーリーズ機能のローンチから5か月でこれだけユーザー数を伸ばしたのに対し、Facebookは同じレベルに達するまでに14か月かかった。

今後Facebookがさらにエンゲージメントを高めるためのカギは、ストーリーズ機能の海外展開だ。Snapchatは4年ものあいだ海外市場をないがしろにし続け、最近になってようやく本格的にAndroidアプリのテコ入れを開始した。他方WhatsAppは、Snapがアメリカのティーン層に注力するスキを狙い、世界中の若者にアピールした結果、ストーリーズ機能のユーザー数でトップに躍り出た。そしてFacebookは、母国語以外のキーボードを使うユーザーのための音声投稿機能や、スマートフォンの容量に限りがあるユーザーでも写真や動画を保管できるクラウドストレージ機能など、インドをはじめとする新興市場を想定してストーリーズ機能の開発を進めている。

Facebookストーリーズには、360度カメラがなくても360度写真が撮れる「paint with the lens(レンズでペイント)」インターフェースが搭載されている。

2017年1月のテスト、そして2017年3月のローンチ以後も、Facebookはストーリーズ機能に次々と手を加えながら、他サービスとの差別化やユーザーの取り込みを図ってきた。その結果、現在ユーザーはFacebookが提供するアプリからのクロス投稿デスクトップ向けのインターフェースBoomerangのような動画フォーマット、さらに3次元空間に落書きできる機能や、特定の場所でARコンテンツを呼び出すためのQRコードや画像といったAR機能も利用できる。

ちなみに公式にはアナウンスされていない隠れ機能がひとつある。Facebookストーリーズのカメラを使うと、360度カメラがなくても360度画像が撮影できるのだ。周囲の環境をカメラのレンズで”描く”ようなクールなインターフェースで、一回ですべてを上手く撮影しなければいけないパノラマ写真とは違い、撮り逃がしたスペースがあれば後からそこを埋めることもできる。

打倒Snapの次はマネタイズ

上記のようなFacebookの取り組みがようやく実を結び始めたようだ。2018年第1四半期のSnapchatのDAU伸び率は過去最低の2.13%に落ち込んだ一方、Facebookは3.42%伸び率を記録。さらに3月にはSnapchatのアクティブユーザー数は純減していた。

これはFacebookがストーリーズ機能に広告を掲載すべきだというサインなのかもしれない。実質的にSnapchatを打ち破り、競合と呼べるようなサービスが存在しないため、Facebookは余裕を持ってストーリーズ広告をローンチできるだろう。そして皮肉なことに、Snapchatは第1四半期の収益目標を達成できず、3億8500万ドルの赤字を記録して以降、広告売上の拡大にやっきになっている。

「Instagramのストーリー広告は顧客に大きな価値を提供しており、Facebookでも同じことができると考えている。とは言っても、私たちの最優先事項はユーザーエクスペリエンスを損なわないことだ」とFacebookのプロダクト・マネージャーZoheb Hajiyaniは言う。ストーリーズ広告のテストには何社もの企業(企業名は非公開)が参加するようだが、Facebook自体もOculusの広告をストーリー動画として展開するとのこと。

すでにFacebookやInstagramの広告サービスを利用している企業であれば、簡単にFacebookのストーリーズ広告へ移行できる上、リーチできるユーザーの総数も増えるため、ティーン層を狙わない限りはわざわざSnapchatで広告を打つインセンティブは生まれないかもしれない。そう考えると、すでにニュースフィードはいっぱいで、サイドバーへの広告掲載もとりやめたFacebookにしてみれば、ストーリー広告こそが広告スペースの問題への解決策となり得る。つまりストーリーズ機能が広告在庫の増加につながり、Facebook上でのマーケティング活動が促進される可能性もあるということだ。

ストーリーズ機能は避けて通れない道だった。2013年10月にSnapchatが初めて導入して以降、Facebookが同機能の脅威に気づくまでには約3年を要した。しかしFacebookはプライドを捨て、Instagramに導入した類似機能でSnapchatの後を追うことで、この新しいビジュアル・コミュニケーションのスタイルに順応していったのだ。デスクトップからモバイルへの変化で遅れをとったFacebookは、失敗から学びソーシャルメディア界における支配的な地位を維持したと見ることもできる。

ストーリーズ機能の詳細については、以下の記事を参照してほしい。

Stories are about to surpass feed sharing. Now what?

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

Googleの第1四半期は311.5億ドルの好成績――CPCは漸増だが売上、利益ともアナリスト予想を上回る

Googleの親会社、Alphabetが2018年最初の四半期決算(PDF)を発表したが、きわめて堅実な内容だった。事業が着実に拡大を続けているだけでなく、昨年に比べて成長速度はさらに加速している。

Googleによれば今年第1四半期の売上は対前年比で26%のアップで311.6億ドルとなった。昨年同期の売上は247.5億ドルだった。このときGoogleは第1四半期売上が対前年比22%アップしたと発表していたので今年はそれを上回ったことになる。

CPC(クリック単価)が引き続き低下傾向にあるにもかかわらずGoogleは売上を増加させてきた。CPCはあるサイトの価値を表すといってよいが、インターネット閲覧がますますモバイル・デバイスにシフトする中でここ数年低下を続けている。

またAlphabetが「それ以外の賭け」と呼ぶGoogle部門以外の他事業、自動運転車やインターネット・アクセスを提供する気球なども全体として売上が増加し赤字が減少している。Googleは広告収入に全面的に依存する現在の体質を改善する必要があるのでこれはよい兆候だ。しかし他事業の収入はGoogle全体でみればまだごく一部を占めるに過ぎない。今回はGoogleが自動運転車のノウハウをめぐってUberと和解した後の最初の決算となる。

スコアカードは以下のとおり。

  • 売上: 311.6億ドル(アナリスト予測は303.6億ドル)で対前年比26%アップ
  • 利益: 調整済1株あたり9.93ドル(アナリスト予測は9.28ドル)
  • Google内の他事業売上: 43.5億ドル、前年同期32.7億ドル
  • Googl外の事業売上:1.5億ドル(前年同期は1.32億ドル)
  • Google外の事業損失: 5.71億ドル(前年同期は7.03億ドル)
  • 売上TAC比(%) 24% 〔TAC=トラフィック獲得コスト〕
  • 実効税率: 11%(前年同期は20%)

この結果、Googleの株価は延長取引時間で2%アップした。時価総額世界最大の座をめぐってGoogleがMicrosoftやAmazonと並んでAppleを追う中で、Googleの時価総額に100億ドル以上を加えたことになる。

GoogleのTACは比較的安定しているようだ。Googleがトラフィックを得る代償としてアフィリエイト先や提携先から支払う金額はGoogleウォッチャーにとって重要な意味を持つ。これが上昇することはネットワーク企業の経営にネガティブを影響を与えるからで、ウェブ閲覧がモバイルにシフトするなかでここ数年GoogleのTACもわずかに増大していたのが懸念を呼んでいた。しかし今期は24%と安定した水準を保った。

Googleは本質的に広告企業であり、世界中の何十億ものユーザーからわずかずつ収益を上げている。しかしすべてがモバイルに移行する中で現在のような広告の価値は減少傾向だ。モバイルによるウェブブラウジングはデスクトップやノートなどのコンピューターを利用したブラウジングとは全く異なる消費者行動をもたらしているからだ。これまでGoogleはCPC(クリック単価)の減少をインプレッション(広告表示回数)の増大で相殺してきた。実際、今期の決算もそのとおりの傾向を示している。【略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

広告をブロックするブラウザーBraveがDow Jones Media Groupとパートナーしてブロックチェーンを実験

Mozillaの前のCEOだったBrendan Eichが始めた広告をブロックするWebブラウザーBraveに、少なくとも一社の、大手ニュース発行者が味方についたようだ。

Brave Softwareと、Dow Jonesのメディア部門Dow Jones Media Groupが今日発表したパートナーシップにより、Media Groupのコンテンツ、具体的にはBarrons.comや有料のニューズレターMarketWatchへのフルアクセスが、Braveブラウザーをダウンロードしたユーザーの一定数に、早いもの勝ちで提供される。

さらに、Barron’sとMarketWatchは、BraveのBasic Attention Token(BAT)プラットホーム上の公認パブリッシャーになる。それは、消費者と、最終的には広告主たちがパブリッシャーに支払うための、ブロックチェーンを使ったシステムだ(Braveは昨年、ICOで大成功を収めた)。

そして両社は、メディアや広告の業界におけるブロックチェーンのさまざまな有効利用について今後実験を重ねていく。

Barron’sのSVP Daniel Bernardが、発表声明で述べている: “グローバルなデジタルパブリッシャーとして弊社は、高品質な顧客体験の構築に利用できる新しいテクノロジーを継続的に探求していくことが重要、と信じている”。

なお、パートナーシップの相手はDow Jones Media Groupであり、The Wall Street Journalなどを発行しているより大きなDow Jones本体*ではない。また両社の発言からは、実験が今回のパートナーシップの主な目的であることが伺われる。〔*: さらにそのオーナー企業がNews Corp.〕

でも、パブリッシャーたちはこれまでもっぱら、ブラウザーの広告ブロック機能を痛烈に批判してきたのだから、今回の動きは劇的な変化だ。たとえば2年前には、WSJ紙を含む新聞発行者のグループが、Braveのビジネスは“われわれのコンテンツを盗んでWebサイト上に載せることと同じだ”、とする書簡を発表した

Braveはまた、最近発表したリフェラルプログラム(referral program, 紹介制度)により、ファンをBraveブラウザーに切り替えさせたクリエイターに報奨としてBATを提供している。その発表声明の中では、当ブラウザーの月間アクティブユーザーが200万、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アドフラウド対策ツール提供のPhybbitが6500万円を調達、検出を自動化し担当者の負担を削減

クリックやインストールを不正な方法で作り出し、広告収益を得るアドフラウド。人工的ないしbotを使って広告費を搾取するこの手法は「広告詐欺」などとも呼ばれ、広告主や広告配信事業者を悩ませている。

そのアドフラウド検出における業務を自動化・可視化することで、アドフラウド対策の敷居を下げる「SpiderAF」。同サービスを提供するPhybbitは4月17日、大和企業投資フリービットインベストメント、川田尚吾氏、佐伯嘉信氏を引受先とする第三者割当増資資により6500万円を調達したことを明らかにした。

調達した資金をもとにSpiderAFの営業やサポート体制の強化、マーケティングの強化を進める方針だ。

多様化するアドフラウド、近年はアプリ広告がターゲットに

冒頭でも触れたように、ネット広告の課題としてアドフラウドが取り上げられるシーンが増えてきた。Phybbit代表取締役の大月聡子氏によると、近年ではアプリ広告に対する不正行為が目立つという。

「アドフラウドの手法もどんどん多様化している。アプリ広告ではインストール単価が1000円を超えるものなどもあり高額。その一方で新しい手法ということもあり対策が十分に進んでいない」

「ばらつきはあるが、平均して(配信した広告のコンバージョンの)1〜2割はアドフラウド。条件によっても大分変わるが、海外でも2割くらいになっている」(大月氏)

広告配信事業者としては、月々数10~100TBを超える広告データを担当者が逐一分析するというのは難しい。加えて巧妙なアドフラウドに対応するには、相応のノウハウも必要になる。仮に不正なアカウントを発見できたとしても、アカウントを変えて再び不正を受ければ毎回同じ作業を続けなければならない。

このように担当者がアドフラウドに人力で対応するには、かなりの時間とナレッジが必要になりハードルが高かった。

アドフラウドの検出を自動化し対策にかかる負担を削減

SpiderAFはそんな業務を自動化し、非エンジニアでもアドフラウド対策をできるようにサポートするサービスだ。配信された広告のログを自動で収集、解析するとともに広告が配信されたサイトのコンテンツを監視する。これらを不審なIPなど独自のブラックリストと照合し、広告出稿先ごとにスコアを付与。この数値が高くなるほどアドフラウドの可能性が高くなる。

現在PhybbitではWeb広告用の「SpiderAF for web」とアプリ広告向けの「SpiderAF for app」を提供。たとえばSpiderAF for appではスコアの他にインストール件数、データセンター経由の有無、端末の種類なども確認できる。

「一定数のインストールがあっても、それが全てデータセンターからきていれば人間がインストールしていないことがわかる。ほかにも日本国内で販売されていない端末がインストールの大半を占めている場合、国内向けのアプリなのに言語設定が英語になっていたり文字化けしていたりする場合はアドフラウドのケースが多い」(大月氏)

この広告枠から発生しているインストールの端末言語設定では、多くが文字化けと英語で、日本語は1件だけ。これは海外のクリックファームによる不正の可能性がある。

SpiderAFではこれらの作業を自動化しつつ、スコアリングのブラッシュアップにはAIも活用。スコアが低い場合などは人間が目視で確認、フィードバックを重ねていくことで学習し、スコアリングの精度を向上させていく。

競合プロダクトにはリアルタイムでデータを解析するものもあるが、SpiderAFでは、蓄積されたデータを用いてアドフラウドを判定している。もちろんリアルタイムにアドフラウドを検出できるに越したことはない。だが、一定期間のデータをまとめて解析しないと検出しにくいアドフラウドがあるからだという。また、コスト面でもリアルタイム検出に比較して安価に提供できるとしている。

「広告をクリックしてからアプリストアに接続後、インストールして起動する。その間がわずか10秒しかかかっていない場合などもあるが、これは明らかにおかしい。最近では夜は寝ているかのように偽装したりなど、不正の手口が高度化していて判別が難しくなってきている。ただ1ヶ月など一定のスパンで解析してみると、実は5秒おきにクリックしていることがわかるなど、怪しい挙動を判別できる」(大月氏)

この広告枠の例では、6秒ごとにクリックが発生しているのを確認できる。このような周期的なパターンは、ボットなどによる不正なクリックだと考えられるという。

2018年内に50社、2019年内に200社の導入を目指す

今後の方向性としては特にSpiderAF for appの拡大に力を入れていく方針。これまでは広告配信事業者向けに提供を進めてきたが、これからは広告主向けのサービス展開も強化する。

Phybbitは2011年の設立。大学院で原子物理学の研究をしていた大月氏が卒業後に仲間とともに立ち上げたスタートアップだ。当初は受託開発に取り組んでいたが、アドテク企業のデータ解析や開発を引き受けていた際に、アドフラウドの課題を知ったそうだ。

それまで属人的に行っていた広告ログの解析、異常値の抽出作業をシステム化したところ、反響があったために製品化。2017年6月にSpiderAF(現在のSpiderAF for web)を、2018年2月にSpiderAF for appをリリースしている。Phybbitでは引き続きプロダクトの改良を重ねながら2018年内に50社、2019年内に200社の導入を目指すという。

検索直前の「アクションデータ」を武器にデジタル広告を革新、A1 Media Groupが4億円を調達

インターネット広告関連の事業を複数展開するA1 Media Group。同社は3月29日、Global Catalyst Partners JapanSBIインベストメントデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムなどを引受先とした第三者割当増資により、総額4億円を調達したことを明らかにした。

調達した資金をもとに、さらなる事業拡大に向けて開発・営業体制の強化を図る方針。合わせて今回のラウンドに参加するVCや事業会社とは、今後データ連携や広告商品の共同開発、海外市場での協業などを行っていく予定だという。

アクションデータを軸に、日韓で複数事業を展開

A1 Media Groupは日本に本社を置き、日韓でインターネット広告代理事業やプレミアム媒体社向け広告配信事業を行っているスタートアップだ。同社の特徴は「アクションデータ」と呼ばれるオーディエンスデータを保有していること。これはユーザーがコンテンツを閲覧した際に行った意図的なアクションを指し、URLやキーワードのコピー、文章のハイライト、SNSのシェア、読了率や閲覧時間といったコンテンツのViewデータなどが該当する。

韓国ではこのデータを軸にした特許をすでに3件取得。たとえば「アクションデータをベースに、広告主が指定したキーワードに興味を持つユーザーへターゲット広告を配信する技術」はそのひとつだ。ハイライトされた文章などをデータマイニングにかけて、ユーザーの意図に沿ったキーワードを抽出。そこから広告セグメントを作成することで、広告主は精度の高いターゲット広告を配信できるようになる。

そのほか保有するユーザーのプロファイルに合わせてカスタマイズ広告やコンテンツを配信する技術(広告配信前に、予算に応じて獲得できるリーチ数などを予測・プランニングできる)や、アクションデータに基づいた広告ランディングページの最適化技術(イメージとしてはA/Bテストに近いが、数百万個に及ぶ広告物とLPを一気に管理、最適化できるのが特徴)で特許を保有しているという。

ユニークな「アクションデータ」とそれを分析・活用する技術を通じて、広告主や媒体社向けに複数の事業を展開しているのがA1 Media Groupの現状だ。

媒体の広告収益最大化へ、毎日新聞と記事広告プロジェクト実施

現在A1 Media Groupが日本で進めている事業の1つが、アクションデータを用いた媒体社向けの広告商品の開発だ。たとえば直近では毎日新聞と共同で、タイアップ記事広告のプロジェクトを実施している。

「特にコンテンツを大事にしているメディアにとっては、記事広告は重要な収益源であり今後伸ばしていきたい広告商品だ。一方で費用が高いのにリーチできる人数が少ない、PVやクリックが効果測定の中心になっているという課題もある。ユーザーがコンテンツをどのように消化したのか、どの箇所に興味関心を示したのかを見える化して活用できれば、差別化された広告商品の開発にもつながる」(A1 Media Group代表取締役のジョン・ジェウ氏)

この事例では記事広告の作成と、ユーザーのアクションデータを分析したレポートを商品として提供。ハイライトや読了率などユーザーの行動やそれに至った意図、他のどんなコンテンツに関心をもっているかといった属性分析や潜在顧客の分析までをカバーする。

オプションとして記事広告で獲得したアクションデータをもとに、ネイティブ広告などを通じて外部から親和性の高いユーザーを誘導するパッケージも開発。このオプションを実施した結果、記事広告のPV数が2.4倍、アクション数が2.5倍に上昇した例もあるそうだ。

「『アクションデータを取得、分析できるようになりました』というだけで終わるのではなく、そのデータを活用することで、親和性の高いユーザーを抽出して誘導し、記事内でのアクションを増やすことまでできるという点で価値を感じてもらえている」(ジョン氏)

ジョン氏によるとアクションデータの活用はメディアに限った話ではなく、ECなどにも展開できるそうで、韓国では結果もでているという。すでにA1 Media Groupでは日本と韓国で70以上の媒体、ECサイトにおける匿名のユーザーアクションデータを分析済み。今後は記事広告を含めた関連広告商品の開発と広告代理事業に力を入れていく。

A1 Media Groupは2016年1月の設立。代表のジョン氏は1998年に24/7 Media Koreaを創業し、2004年に同社をNasdaq上場企業である24/7 Media(現WPPグループのXaxis)に売却。その後24/7 Media APACの社長を務めた経験を持つ起業家だ。

Facebook、Messenger Broadcastsのテスト開始――スモールビジネス向けチャット広告ツール

ユーザーにはありがたくない話かもしれないが、Facebookは独自のボットを作成するリソースがないスモールビジネスでもセルフサービスでメッセージ広告を送れるようになるシステムのテストを開始した。

昨年11月、TechCrunchは FacebookがMessengerで会話したことのある相手に対して企業が広告メッセージを送信できるMessenger Broadcastというシステムのプロトタイプを社内で開発したことを報じた。FacebookではいよいよMessenger Broadcast Composerと呼ばれるメッセージ作成ツールを社外でテストする準備が整ったようだ。当面このツールを利用できるのはアメリカ、メキシコ、タイの企業ページのごく一部となる。

現在ツールの利用は無料だが、FacebookのMessengerプロダクトの広報担当者に取材したところでは、無料利用は一定期間に限られるという。将来は企業向け有料サービスとなる。Messengerは企業によるスパムを防ぐため、投稿数に上限が設けられている。またすでに企業にメッセージを送って会話を開始した相手以外に無差別にメッセージを送信することは禁止されている。それでもテクノロジー面の能力に欠けたスモールビジネスが低品質のメッセージを大量に送信することがあり、これはユーザーをいらだたせることとなっている。

一方、Facebookは13億人のユーザーを抱えるまでに成長したMessengerを収入源の一つに育てる方策を探していた。もちろん企業がチャットを利用する場合でも合理的な使い方はある。カスタマーサポートの電話口で延々と待たされることはよくある。それよりMessengerですぐに回答がもらえるほうがずっとよい。しかしディスプレイ広告が表示され、大企業が広告メッセージを流せるようになったMessengerに今度はスモールビジネスまでがBroadcastsツールで参入する。運用をを誤ればFacebookのチャット・サービスは新たなスパムの温床とみなされかねない。

Messenger Broadcast Composerを利用するにはプログラミングの知識は一切必要ない。スモールビジネスはこれまでにメッセージを送ってきたユーザーのリストから条件に合った対象を選び、広告メッセージのタイトルと本文、画像を入力する。ユーザーに望むアクションに応じて、ウェブサイトに呼び込みたいのであれば、ボタンにURLを設定する。またユーザーが選択して回答できるように定形文を作成することもできる。

上のスクリーンショットはMessenger Broadcastのプロトタイプ。現在利用は無料だが、Facebookによれば将来は有料になるという。

利用者はメッセージを送ってきた消費者を「靴に興味あり」といった具合に手作業でタグづけして分類する必要がある。 靴の広告であればこのタグがついた相手を選んで送信することになる。無料試用期間の後、どういう料金体系になるかだが、おそらく広告を送信する相手に数に比例することになるだろう。プロトタイプの場合、一定数のユーザーへの送信は無料といいう条件がついているので将来は料金を支払えばもっと多くのユーザーにメッセージを送れるようになるに違いない。

Facebookの担当者によれば、消費者は店舗や商品に関する問い合わせやカスタマーサービスなどの必要がある場合にMessengerを使ってスモールビジネスと会話する傾向を強めているという。2017年には3億3000万人がMessengerからスモールビジネスにメッセージを送っているということだ。Facebookの担当者によれば「しかしフィードバックによれば、スモールビジネスにはMessenger Platformを利用して自動的に返信メッセージを送るボットを開発するリソースやノウハウがない場合が多く、そのため消費者からのメッセージのすべてに回答することが困難になっていた」という。

Facebookがボット開発プラットフォームを公開したのは2016年4月だが、これはいささか早まった決定で開発や運営に必要なツールの多くを欠いていた。Facebookでは現在もこうしたツールを開発中だ。たとえば、会話相手のユーザーの 連絡先を収集するツールが最近追加された。.しかしピザハウスや衣料品のブティックなど地域のスモールビジネスにとって独自のボット開発というのはハードルが高すぎた。消費者からのメッセージにはやむなく個別に手作業で返信していたという。

「われわれがBroadcast Composerを開発したのはそういう背景がある。消費者がFacebookページの運営者にメッセージを送ってきた場合、その全員あるいは一部に対してページのインボックスから即座に返信できるようにするのが狙いだ」という。

FacebookのニュースフィードもSnapchatも企業がセルフサービスで広告を出稿できるツールやAPIを整備してからビジネスが飛躍的に伸びた。有力ブランドは社内リソースや代理店を経由して大量の広告を掲出している。これに取り残されていたスモールビジネスはBroadcast Composerによってセルフサービス広告が出せるようになる。もともと消費者と親密な関係を築いていた近隣店舗などが大きな便益を得られるのは間違いない。ウォルマートやナイキからメッセージがくればどうせ広告だと考えてしまうが、通りの先の店からメッセージが来れば、広告である点は同じでもずっと親しみが持てるものになる。ただしそのためにはスモールビジネス側にカジュアルかつ対話的な態度が欠かせないだろう。

Facebookのチャットサービスの将来像に関しては、Bloated Facebook Messenger plans to simplify in 2018参照。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook

“商品サンプリング”の概念を変えるリアル版アドテク「aircatalog」、提供元が資金調達

街を歩いていると、女性に化粧品の試供品のようなものを配っている人の姿を見かけることがある。残念ながら僕自身はターゲット層ではないのか、無愛想に見えるのかティッシュくらいしか受け取ったことがないのだけれど。いわゆる「商品サンプリング」とよばれるものだ。

このサンプリングという仕組みには、まだまだ改善できる余地が残されている。今回紹介する「aircatalog(エアカタログ)」は、テクノロジーを活用することでサンプリングが抱える課題の解決を目指すサービスだ。

同サービスを提供するキャトルは2月28日、ハックベンチャーズ名古屋テレビ・ベンチャーズ、元スカイプジャパン代表取締役で現ATOMICOパートナーの岩田真一氏らを引受先とした第三者割当増資により、総額5250万円を調達したことを明らかにした。

合わせてアドテクノロジー開発やインターネットマーケティング支援を行うフルスピードと戦略的業務提携契約を締結したことも発表。デジタル広告と商品サンプリングを組み合わせた体験誘導型プロモーション「AD OFFICE(アドオフィス)」を3月から開始するという。

サンプリング商品と配布場所をマッチングするリアル版DSP

aircatalogはサンプリング商品を持つメーカーと、配布場所となる施設をマッチングするサービスだ。

化粧品や健康食品などを配りたいメーカーの担当者は、aircatalog上で年齢や性別、職業などターゲットの情報を登録する。一方で商品を配布したいホテルやフィットネスジムといった施設も同様に、サービス上に普段訪れる顧客の属性を入力。

これらのデータによる最適なマッチングを通じて、効果的なサンプリングの仕組みを実現するのがaircatalogの目的だ。

流れとしては登録したデータを基に、施設側へマッチしそうな商品がレコメンドされる。施設側の担当者は自分たちで配布したい商品を選び申請。メーカー側が承認した場合にはマッチング成立、商品が施設へ届きサンプリングが開始する。

「サンプリングの概念を変えたいという思いが強い。従来の仕組みでは、いわゆる『商品のばらまき』が発生したり、そもそもきちんと配られたのかがメーカー側からわかりづらかったりといろいろな課題があった。『先が見えない』という声も聞いたことがあり、(メーカーからは)あまりイメージが良くなかった」(キャトル代表取締役の横町享之氏)

横町氏の話では、街中でサンプリング商品をもらった女性の8~9割は試供品を捨てているそう。その一方で、まずは試供品を使って良かったら購入するという女性も多いという(これは同社が限定的な人数を対象に行った調査結果のため、あくまで参考程度ではあるが)。

このギャップを埋めることで、つまりサンプリングのミスマッチをなくし「商品体験をして欲しい人、したい人にきちんと商品が届く仕組み」を構築することで、サンプリングの可能性はもっと広がるのではないか。そんな思いから生まれたのがaircatalogだ。

それならばメーカーと商品を試したい個人を直接つないでしまう方が効率的なんじゃないだろうか、そう思って聞いてみると「個人を直接マッチングすると『サンプルゲッター』と呼ばれる、実際に商品を買う気はないけど試供品だけ試したい人たちが群がってきてしまう。最近では集めてきた試供品をフリマサイトなどで売る人もでてきているほど」(横町氏)だという。

この「サンプルゲッター問題」をなくすためにも、直接個人へ商品を送るのではなく、施設を間に挟むのがポイントなのだそうだ。

顧客の満足度向上や社員の福利厚生に活用

サービスのリリースは2017年7月。まだ開始から半年ほどではあるが、すでに15000の施設・店舗が配布先として登録。マッチングの数も増えてきているという。

たとえば美容家電メーカーとホテルの事例だ。両社がタッグを組み、ホテルの宿泊客が人気美顔器を体験できるレディースプランを設計。メーカーとしては使って欲しい層のユーザーに美顔器を試してもらうことができ、ホテルとしても宿泊客の満足度向上に活かせる。

「施設側の担当者も、サンプリングと聞くと面倒なイメージを持つ人が多い。ただ新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の満足度を上げる目的でも活用できる『販促ツール』ならば、積極的に試したいという声がほとんど。それが結果的にメーカーの要望を満たすことにも繋がる」(横町氏)

ユニークなものだと、新聞配達所や一般企業が施設としてメーカーとマッチングが生まれている。たとえば主婦層に商品を試してもらいたい飲料メーカーと新聞配達所をマッチング。メーカーが自分たちでリーチするのが難しい層に対してアプローチする手段となる。

企業の場合も同様だ。ビジネスマンをターゲットにしたコーヒーやビール、エナジードリングを企業に試供品として提供する。企業側にとっては無料の福利厚生ツールとして活用できるため、評判も良いという。

顧客の満足度向上や社員の福利厚生に活用

企業向けにサンプリング商品を提供するという点に関しては、より一歩進んだプラン「AD OFFICE(アドオフィス)」を3月から始める予定だ。

これはIPアドレスを活用して特定の企業にディスプレイ広告を配信(オフィスターゲティング)する技術を持つ、フルスピードとタッグを組んで行うもの。サンプリング商品を提供した企業に対して、その商品のディスプレイ広告を配信することで商品の認知や購買を訴求する。

対象となる企業の社員からすると、今しがた飲んでいたコーヒーの広告がピンポイントで表示されるようなものだから、少しビックリするかもしれない。とはいえ従来のサンプリングの仕組みではできなかった新しい取り組みだ。

キャトル代表取締役の横町享之氏

横町氏は美容師としてキャリアをスタートした後、ぐるなびやアイスタイルで広告に携わり、2014年に起業したというユニークな経歴の持ち主。

前職でサンプリングに関わることもあり、その際にさまざまな課題に直面したことがaircatalogにつながっているそうだ。

テクノロジーによって日々進化し続けているデジタル広告のように「リアルプロモーションももっと科学的にやれる部分や、可視化できる部分は多い。『リアルDSP』のような形で、サンプリングももっと進化できる」と横町氏は話す。

同社では今回調達した資金を元に組織体制を強化。施設データベースの拡充やマッチングアルゴリズムの改善などを通じて、サービスの拡大を目指すという。

大統領選に干渉したロシアのボットファームがMueller特別検察官により訴追

昨年の大統領選挙のときの、ロシアの行動を調べている特別検察官Robert Muellerが今日(米国時間2/16)、13名のロシア人と3つのロシア企業に対し、彼らの2014年までさかのぼる行為により、アメリカの大統領選挙を妨害した廉(かど)で起訴状を発行した。

起訴状は、アメリカ社会に分裂を作り出すための、偽(にせ)のアカウントの出所(でどころ)の一つとして、サンクトペテルブルグのボットファームで偽情報の〔載っている広告の〕散布も行っているInternet Research Agencyを指名している。それらのアカウントは当時、Facebook, Twitter, およびInstagram上でアクティブであり、起訴状は、これらのテクノロジー企業が議会に提出した内部レビューの具体的な例も引用している。

議会はこれらの広告とにその散布に関わった企業に強い関心を持ち、10月にはFacebookとGoogleとTwitterのトップを上院の司法委員会に喚(よ)んで証言をさせた。選挙妨害についてそれぞれ独自の捜査をしている下院と上院の諜報委員会は、これらの偽アカウントの中身と、それらの拡散に至った状況について調査した。

Muellerは、2016年のアメリカ大統領選挙を現在、広範囲に調べている。これら早期の訴追はロシア国民を対象としているが、Muellerはトランプの選挙運動に加わったメンバーにも関心を持っている。今マネーロンダリングで起訴されているかつての選挙参謀Paul Manafortも、その一人だ。

今回の起訴は、彼らが、外国の個人や法人がアメリカの連邦選挙に影響を与えるために金を拠出してはならない、というアメリカの法律に違反している嫌疑が中心だ。その訴追案件は複数にわたり、アメリカに対する詐欺行為の陰謀や、通信と銀行に関わる詐欺、6件の加重的本人性窃盗〔いわゆる‘なりすまし’〕、などが含まれている。

訴状の原文を、ここに転載しよう:

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Chromeの広告ブロッカーはこう作動する――いよいよ明日からビルトインされる

Chromeのビルトイン広告ブロッカーはいよいよ明日から作動し始める。 GoogleがChromeに内蔵で自動的に作動する広告ブロッカーを導入するのはこれが始めてだ。一部のオンライン・パブリッシャーや広告主には恐慌を来しているものもいるが、ほとんどのユーザーはそもそも新機能に気づかなかい可能性が高い。

まず重要なのは、ビルトイン広告ブロッカーはAdBlock PlusuBlock Originのようなアドオンの代わりになるものではないという点だ。これはChromeからもっとも目障りな広告を除去しようとするGoogleの努力の一環だ。つまりすべての広告をブロックするのではなく、オンライン広告の改善を目指す業界団体、Coalition for Better Adsのガイドラインに従わない広告をブロックする。

また、あるサイトがガイドラインに反する広告を掲載しているとGoogleが判断した場合、そのサイトでは問題の広告だけでなくすべての広告がブロックされ、表示されなくなる。たとえば、コンテンツを表示する前に掲出されるカウントダウン表示つきプレスティシャル広告音が出るビデオを自動再生する広告などの不快な広告がターゲットとなる。

以下はChromeの新しい広告ブロッカーの対象になる可能性がある広告の例だ。

訪問したサイトでChromeが広告をブロックした場合、小さいポップアップが現れる(ポップアップ広告をブロックしたことを知らせるためにポップアップが現れるというのは…?)。このときユーザーは広告ブロックを解除して広告を見ることもできる

この広告ブロッカーにはコミュニティーによってキュレーションされるEasyListフィルターのルールが用いられている。Googleはこのリストに多少の変更を加えているが、自社の広告ネットワークからの広告を除外していない。つまりAdSenseとDoubleClickからの広告であっても、ルールに反している場合はブロックされる。

広告ブロックによって表示のパフォーマンスは若干アップするかもしれない。もちろんこれは広告ブロックの目的ではないが、Googleによれば副次的にそういう効果もあるかもしれないという。初期の広告ブロッカーの中にはメモリー消費量が大きくパフォーマンスを低下させるケースがあった。Googleによれば「広告ブロックのリストを保持するために多少のメモリーを使用するが、たとえモバイル・デバイス上のChormeであっても影響は無視できる程度だ」という。

ただしCoalition for Better Adsが主として対象とするのは北米と西欧のサイトだ。またChromeに広告ブロッカーが最初に導入されるのもこれらの地域だという。ただし Googleでは個々のユーザーの居住地によってサイトの広告表示を変えることはしないという。たとえば、インドのサイトではまだ広告ブロックが実施されていなくても、インドのユーザーがドイツのサイトを訪問した場合、そのサイトの広告がガイドラインに違反していれば、広告はブロックされる。

GoogleのChromeウェブプラットフォーム担当プロダクト・マネージャーのRyan Schoenが私に語ったところでは、ガイドラインに違反していたパブリッシャーの42%はすでに広告手法を変更したという。しかしもちろん残りの58%はGoogleの警告にもかかわらず何の対策も講じていないということでもある。しかしSchoenは「ひとたび〔広告ブロックが実施されて〕その影響が明らかになれば、彼らも広告手法を変えるだろう」と述べた。広告ブロッカーというのはブラウザーの拡張機能の中でももっとも人気があるジャンルだが、ブラウザーそのものにはプレインストールはされていなかった。今回Googleが有無を言わさずすべての違反広告をブロックすることになるのは相当のインパクトをもたらすだろう。

すべての違反広告だけでなく、サイトの広告すべてをブロックするのは厳しすぎるという議論もある。しかしSchoenは「現実的に効果のある方法はこれしかない」という。Googleはパブリッシャーに表示する広告に責任をもたせ、適切に管理させようとしている。Googleでは最終的に重要なのはサイトを訪れて広告に反応するユーザーであり、サイトのオーナーはこの関係に責任を持つべきだと考えている。

現在予想されるところでは、新しい広告ブロッカーによってブロックされるのは全広告の1%以下のようだ。安堵のため息をつくパブリッシャーもいるだろうし、右往左往するものもいるだろう、しかし長期的にみて、この動きはユーザーにとっては朗報というしかない。

画像: Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

中小企業や商店にAI利用のターゲットマーケティングをお安く提供するClearBrain

ClearBrainの目標は大きい: “われわれのミッションはAIをマーケターのために民主化することだ”。

とCEOのBilal Mahmoodは言うのだが、しかしOptimizelyのプロダクトマネージャーだったMahmoodと彼の協同ファウンダー、Googleの広告部門の技術者だったEric Pollmannは、すべての民主化が一度で実現するとは考えていない。具体的な課題を一つ一つ解決していくことが必要だ…まず第一にそれは、広告をもっと有望性の高いユーザーにターゲットすること。言い換えると、ターゲティングの打率を上げることだ。

Mahmoodによると、そのようなターゲティングは大企業がすでに行っているが、中小企業や一般商店などにとっては、買うにしても作るにしても費用が高すぎる。しかしClearBrainに頼めば、月額499ドルからですべてをやってくれる。それだけ安上がりにできるのは、Segment, Optimizely, Heapなど既存のさまざまなツールのAPIを組み合わせて使っているからだ。それにより、さまざまなデータの有効利用ができる、とMahmoodは言う。

“それらのデータレイヤの上にインテリジェンスレイヤ(AI層)を置くことができる”、と彼は語る。

つまりClearBrainは、企業がすでに使っているツールからデータを取り出して、その上に人工知能を適用して分析し、ユーザーを特性別にグループ化する。そしてClearBrainの顧客企業は、それに基づいて、Facebookの広告や、メールマーケティングや、そのほかのメッセージング提供をターゲティングする。

clearbrain screenshot

“うちはAIのスイス(中立国)みたいなもんだ”、とMahmoodは言う。ClearBrainはデータレイヤとアクションレイヤ(消費者のアクション)の両者間を中立的に調停して、企業が利用できるようにする。今後もっと機能を増やして、“企業のマーケティングチームのための中枢神経系”になりたい、と彼は語る。

今の顧客には、InVisionやtheSkimmなどがいる。一方はデザイン用のソフトウェアのメーカーだし、後者はニューズレター専門のメディア企業だ。この、一見性格の異なる二社にClearBrainのツールが有益なのは、どちらもユーザーが会員制(サブスクリプション型)で、特性などが明確で分かりやすいユーザーデータがあるからだ。つまり、AI利用による効果の高いターゲティングをやりやすい。

ClearBrainは、Y Combinatorの現在のクラスの生徒でもある。そしてすでに120万ドルの資金を、YC, Pear VC, Industry Ventures, Dan Hua Capital, OptimizelyのファウンダーDan SirokerとPete Koomenから調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa