砂嵐の中で行われたWaymo自動運転車のセンサーテスト

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転車会社であるWaymo(ウェイモ)は、ここ数年に渡ってフェニックス郊外でのテストを続けている。天気のいい大都市は、自動運転車の技術をテストするのに理想的で簡便な場所のように思えるかもしれない。しかし時には、砂漠があらゆるドライバーにとって危険な場所になることもある 。それが人間であろうとコンピューターであろうと。

この砂漠地域における2つの大きな安全上の懸念は、鉄砲水を引き起こす突然の土砂降りと、砂塵の壁が1500〜3000フィート(約457〜914m)の高さに達し、多いときには100平方マイル(約259平方km)の地域を覆う砂嵐である。2011年7月に起きた記録的な規模の砂嵐は、517平方マイル(約1339平方km)以上におよぶフェニックス渓谷全体を覆い尽くした。

8月23日にWaymoは、フェニックスの砂嵐やサンフランシスコの霧の中を進む自動運転車に搭載されたセンサーが、オブジェクトを検出および認識する方法を示す2つのビデオを含む、ブログ記事を投稿した。フェニックスの車両は手動運転されていたが、サンフランシスコの霧のビデオは自律運転モードで行われた。

Waymoが言うように、このビデオのポイントは、このような非常に視認性が低い瞬間に、車両が物体をどのように認識するのか、そもそも認識できるのかを示すことだ。そして彼らはそれを示した。砂嵐のビデオは、センサーがどのように作動して、ほとんどまたはまったく見ることができない、横断する歩行者を識別するのかを示している。

 

Waymoは、Lidar(ライダー)、radar(レーダー)、そしてカメラの組み合わせを使用してオブジェクトを検出し識別する。霧、雨、あるいは砂埃は、そうしたセンサーたちの可視性を制限してしまう可能性がある。

Waymoは、特定の気象現象の影響を受けたセンサーを切り離すわけではない。その代わりに、霧や砂塵の中であまりうまく機能してないとしても、すべてのセンサーからデータを取り込み続けて、その総合情報を利用して対象物をより適切に識別する。

 

Waymoの最高安全責任者であるDebbie Hersman(デビー・ハースマン)氏はブログ投稿の中で、これは、自動運転車にとっての視界(人間のパフォーマンス上の最大の限界の1つ)を改善する可能性があると書いている。Waymoやその他の自動運転車企業がこの技術で成功することができれば、衝突事故の主要な原因の1つを減らすことになるだろう。米国運輸省は、米国で1年に起きる衝突事故の21%が、天候による影響を受けていると推定している。

それでも、自動運転車でさえ手に余る道路状況が発生することもある。自動運転車の展開を計画している企業にとって、状況が悪化した場合に、その状況を特定するだけでなく、最も安全な措置を取ることができるシステムを持つことが重要なのだ。

ハースマン氏によれば、Waymoの車両は、人間もしくは自動運転車が安全に運転する能力に影響を与える可能性がある、吹雪などの突然の極端な天候の変化を自動的に検出するように設計されている。

問題は次にどうすべきかだ。人間なら、砂嵐の間道路の脇に停車し、車のエンジンを切るだろう。濃霧に遭遇した場合も同様だ。気象条件が悪化して、自動車の安全な運転に影響を及ぼすと同社が考えているレベルに達した場合には、Waymoの自動運転車も同じことをする、とハースマンは書いている。

このビデオとブログ投稿は、テストの方法と場所を紹介するための、Waymoによる最新の取り組みだ。同社は8月20日に、フロリダの豪雨を同社のセンサーが取り扱う方法のテストを始めたことを公表した。フロリダでのテスト実施はデータ収集とセンサーのテストに焦点を当てていて、車両は今のところマニュアルで運転されることになる。

また、Waymoは、カリフォルニア州マウンテンビュー、ミシガン州ノービ、ワシントン州カークランド、およびサンフランシスコでも、その技術をテストしている(してきた)。同社の活動の大部分は、フェニックス郊外と、マウンテンビュー周辺で行われている。

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(翻訳:sako)