ISA採用プログラミングスクール運営のLABOT、教育機関の「学費の出世払い」導入を支援するISAプロバイダー事業発表

ISA採用プログラミングスクール運営のLABOT、教育機関の「学費の出世払い」導入を支援する「ISAプロバイダー事業」発表ISA(Income Share Agreement・所得分配契約)を支払いモデルとして採用するプログラミングスクール「CODEGYM」(コードジム)などを運営するLABOT(ラボット)は3月25日、自社スクール以外の教育機関におけるISA導入を支援する「ISAのプラットフォーム構想」(ISAプロバイダー事業)を発表した。今後のコーポレート・ファイナンスを経て、中長期的な経営構想として金融分野への参入、アジア市場展開を行う。2022年度中に実証実験を行うにあたり、ISA参画に関心のある教育機関との連携を模索するという。

ISAは、教材や学習機材など一部の実費を除き、在学中に学費や入学金などの初期費用負担が発生しない代わりに、卒業後の年収に応じて支払金額を決定する支払いモデル。入学金や学費の前払いが一切ない代わりに、卒業後に希望する職種への就労が実現した後、一定期間(CODEGYMの場合は30カ月間)、月額給与の一定割合(CODEGYMの場合は10%)を支払う義務が発生する。このモデルは「出世払い」とも呼ばれ、所得による教育格差を是正する方法として、米国を中心に世界各地の教育機関やブートキャンプに採用されているという。

また、学習を始めた初期に挫折してしまったり、就職に成功しない場合には学費の支払い義務が発生しないほか、就職後でもISA規定が定める年収ラインを下回る期間、病気や怪我、介護、育児などの事情で給与を得られない期間がある場合、ISAにおける支払いは猶予され金利は発生しない。

一方ISAによる支払手段を教育機関が採用するには、法務(受講契約書や支払いに関する約款など)や会計、税務面での煩雑な手続きが必要になるほか、何よりスクールを卒業後、2年〜3年といった長期間にわたって学費の支払いを受けるため、提供企業・教育機関側としては財務キャッシュフローの問題が最も懸念される。これらのことから、ISAには非常に高い参入障壁があり、国内では、継続的に投資家の出資を受けて行われる法人でのISAの参入例は、LABOTを含め2例しか確認できていないという。

今回発表のISAプロバイダー事業では、日本およびアジア圏の教育機関に対し、ISAの運営ノウハウをSaaSとして提供するとともに、将来的にはISAの教育ファンド(現在構想中、順次必要なライセンス取得予定)を通じた資金繰りを支援する金融分野への参入を目指す。

またLABOTは、ISA産業の立ち上げを目指す業界団体の発足に向け、社内に準備委員会を設置。消費者保護を第一とする共通ガイドラインの策定、長期的な視点での関連省庁や政府両党との意見交換、法務・税務の観点の整理、海外動向のリサーチとケーススタディ、学術的研究などを行なう予定。さらに、ISA産業に関する媒体「ISA研究会マガジン」を開設。ISAの国内外情勢の最新ニュース、考察、事例研究、投資・スタートアップ動向などを情報発信している。LABOTは、今後はテクノロジー領域にかぎらず、様々な分野の教育機関でISAが選択できることで、より多くの人々が平等な教育機会を得られる社会の実現に貢献したいという。

LABOTは「人の可能性に投資する」をビジョンを掲げ、2019年7月に設立。ISAを採用したエンジニア養成スクールのCODEGYM、就職活動を控えた学生の新卒エンジニア就職を支援するCODEGYM Academyを運営しており、2021年度の春・秋に合わせて638名が入校している。

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」のWorXが約4000万円調達、10月開校予定

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」のWorXが約4000万円調達、2021年10月開講予定

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」を2021年10月開校予定とするWorXは7月29日、第三者割当増資および金融機関からのデットファイナンスを合わせ総額約4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、日本スタートアップ支援協会、事業会社、エンジェル投資家など。調達した資金は、プロダクト開発および採用・組織構築、マーケティング強化にあてる予定。学びを促進するプロダクト・コンテンツ開発・ラーニング環境を構築し、受講者のキャリアの選択肢を増やし、人生の可能性を広げる支援を行う。

TECH SALES CAMPは、コロナ禍に影響を受けた販売・サービス業従事者を中心に、業界・職種未経験から成長産業の営業関連職へのキャリアチェンジを実現するためのテックセールス養成スクール。テックセールスとは、最先端のB2Bセールスのナレッジ・オペレーションを駆使し、テクノロジーの力を用いて営業活動の効率化や業績向上を実現する次世代セールスパーソンを指すとしている。長期的な成長が見込めるIT・SaaS領域を含む成長産業へのキャリアの選択肢を提供することで、人生の可能性を広げる機会を提供するという。

受講者の対象イメージ

  • コロナ禍で、キャリアチェンジを余儀なくされた販売・サービス業従事者
  • 成長産業(特にIT・SaaS領域)における営業関連職種への就職を目指す方
  • リモートワークなど、地方や遠隔地からキャリアの選択肢を広げたい方
  • 金銭的な理由で、キャリアチェンジのスクールに通うことができなかった方
  • 出産や介護などの理由により、キャリアの再出発を目指す方

学習カリキュラムとしては、営業未経験から、テックセールスになるための網羅的なカリキュラムを用意。学習期間は約3カ月で、累計200時間のカリキュラムを構築しているという。B2Bセールスの基礎・インサイドセールスの実践的なスキルアップに向けた、約60講座のカリキュラムをオンライン完結で提供(Zoomおよびeラーニング活用)。成長産業のセールスには欠かせないSFA・CRMなどのセールステックのデモ利用や、実際に企業に営業活動を実践できる環境を構築する。

同社が採用している出世払い型支払いとは「ISA」(Income Share Agreement)と呼ばれるモデル。教材購入など一部を除き、在学中の学費や入学金などの初期費用負担が一切発生しない代わりに、卒業後に就職した企業の年収に応じて支払金額を決定するというもの。米国では学生が多額の学費ローンを抱えることが社会問題となっており、ISAはそれに変わる新しいモデルとして注目を集めている。

TECH SALES CAMPの場合は、希望の会社・職種での就職決定後に理論月収の10%を一定期間(24カ月)支払う義務が発生する。ISA導入により多くの方に教育機会を提供すると同時に、卒業生および入社後の定着・将来的な活躍に伴走することが可能となるとしている。同社は、本質的なキャリアチェンジの成功を実現する教育機関を目指すという。

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オンライン・プログラミング学習サービスCODEGYM(コードジム)を運営するLABOT(ラボット)は5月19日、3億1000万円の第三者割当増額を発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、Mistletoe Japan、​PERSOL INNOVATION FUND、NOW、F ventures、新生企業投資が運営・関与するファンド、その他の個人投資家。このラウンドには、2021年4月のプレシリーズAラウンドに伴う、第1回J-KISS型新株予約権、第2回J-KISS型新株予約権の転換が含まれる。

CODEGYMは、2020年1月に設立されたコンピューターサイエンスとプログラミングの学校。日本で初めてISA(Income Share Agreement)を採用した。ISAとは、学資ローンに代わるシステムとして登場した所得分配契約のこと。在学中、学生は入学金や授業料の支払いが免除され、就職後に年収に応じた額を支払うという制度で、日本では、CODEGYM以前にこれを導入した教育機関はなかった。「これまでの家庭環境や学歴・年収などによらず、誰もが平等に挑戦できる教育機会の提供、社会の実現を目指し事業を展開しています」とLABOTは述べている。

2021年5月からは、新型コロナ禍で家計や進路に問題が生じた10代の若者に対して、NPO法人CLACKと共同で「CODEGYM Academy 2021年コロナ学生緊急支援」を実施し、503人の高校生、大学生を入学させた。毎週土曜日のプログラミング教育の講義が半年間続くが、40社以上のIT企業を中心とするスポンサー企業からの協賛金とクラウドファンディングによる100人を超える支援者からの寄付によって、学費はかからない。

創設者の鶴田浩之氏は、大学在学中に起業し、大学生向けスケジュール管理サービス「すごい時間割」を開発したという経歴の持ち主。

同氏は、日本は国民皆保険や生活保護など諸外国と比べても社会保障が充実しているものの、介護・育児などで一度でも職歴にブランクが出たり大学を中途退学したりしてしまうと、独力では正社員としてキャリアアップすることが難しいと話す。そこで「リカレント教育と転職支援をセットにし、初期費用がかからず誰もが平等に挑戦できるISA は、今の日本社会にとって必要不可欠な産業になると考えています」とリリースで述べている。

画像クレジット:LABOT

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