中国のEVスタートアップたちが投資ゲームに参戦

中国で繰り広げられている自動車関連スタートアップを対象とした投資ゲームは、既存のベンチャーキャピタル会社だけでなく業界のベテランも参加し、競争が激化している。最近、新規ラウンドを完了したモビリティに特化した2つのファンドには、中国を代表する新参の電気自動車メーカーが参加している。

ベンチャーとグロースステージ向けの新しい投資ビークルのRockets Capital(ロケッツ・キャピタル)は、3月初めに2億ドル(約240億円)の初のファンドのクローズを発表し、電気自動車メーカーのXpengがアンカーインベスターを務めた。他の投資家はIDG Capital、Sequoia China、GGV Capital、5Y Capital、eGardenなど中国の大手機関投資家だ。このファンドは、自動車産業のバリューチェーン、クリーンエネルギー、その他の「フロンティアテクノロジー」分野でのビジネスチャンスを探している。

もう1つの大きなクローズは、Nio Capital(ニオ・キャピタル)の申し込み超過となった4億ドル(約480億円)の2回目の米ドル建てファンド「Eve ONE Fund II」だ。投資家は政府系ファンド、保険会社、多国籍金融機関、ファンド・オブ・ファンズ、ファミリーオフィス、年金基金、財団など世界各国から集まっている。

Nio Capitalは、ファンドの名前にもなっているが、XpengのライバルであるNioの創業者William Li(ウィリアム・リ)氏が立ち上げた会社だが、この投資機関はNio自体とは直接の関係はない。人民元建てファンドを米ドル建てファンドとともに運用し、自動車、テクノロジー、エネルギー分野に特化している。

Rockets Capitalは、EV投資家との関係をより公にしている。独立した投資会社として活動する一方で、Xpengの「業界の専門知識とリソース」を活用し「技術革新のインキュベーション」を行う。明言されているミッションを考えると、Rocketsの将来の投資先にもXpengと取引や提携をする企業があってもおかしくはないだろう。

2016年に設立されたNio Capitalは、投資分野では先行している。中国における同社の注目すべき取引には、Bosch(ボッシュ)が支援するMomenta(モメンタ)トヨタが支援するPony.ai(ポニーエーアイ)という2つの大手ロボタクシー企業、それからTemasek(テマセク)が支援するライダーメーカーInnovusion(イノビュージョン、Nioのサプライヤーの1社でもある)、BPが支援するバッテリー交換のAulton(オールトン)、自動車チップメーカーBlack Sesame(ブラックセサミ)などがある。

過去数年間、Nio Capitalは中国の自動車産業における新進気鋭のプレイヤーたちとともに、自らの周りに要塞を築いてきた。Rockets Capitalとその後援者XpengがどのようにNio Capitalに追いつき、市場を再構築するためにどのような提携を結ぶことができるか、注目だ。

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

Ecosiaが検索による広告収益をグリーンエネルギーに投資

非営利的な検索エンジンであるEcosia(エコシア)は、ユーザーの検索結果に対して得られる広告収入の一部を、再生可能エネルギー分野のスタートアップ企業に提供することを始めた。

これは、Ecosiaが気候変動に注力するスタートアップ企業を支援するために、2021年立ち上げた3億5千万ユーロ(約456億円)の「WorldFund(ワールドファンド)」に追加されるものだ。

Ecosiaは、検索による広告収益で植林のための資金を寄付する活動も続けている(この活動は、Ecosiaの活動として最もよく知られている)。しかし、ベルリンを拠点とするこの検索エンジンは、ロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされたエネルギー危機を受け、グリーンエネルギーへの投資に「継続的に取り組む」ことにしたと語っている。

その最初の投資対象はドイツに焦点を当てている。特にロシアからのガス購入に依存しているドイツは、その経済がウクライナ危機の影響を大きく受けていることを意味する。

この戦争はすでに、世界に化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を加速させる新たな原動力を生み出している。気候危機に経済危機が重なったことで、再生可能エネルギーへの需要が急増する可能性がある。

しかし、化石燃料の利権者たちは、グリーンエネルギーへの急速な移行を阻止するため、すぐに反論を展開し、西側諸国が石油やガスの利用を進め、地球上の生命をより早く焼き尽くしてしまうように、ロビー活動を行っている。つまり、投資家が再生可能エネルギーに小切手を切ることに急ぐ理由には事欠かないというわけだ。

Ecosiaは、スタートアップ企業や自然エネルギーの取り組みに資金を提供するため、まずは2700万ユーロ(約35億円)を用意したという。その初期の投資の対象となるのは、ベルリンのスタートアップ企業であるZolar(ゾーラー)の供給ネットワークだ。Zolarは太陽光発電システムの設置を希望する顧客と、地域の計画・設置事業者を結びつけるプラットフォームで、ドイツ中の家庭へグリーンエネルギーを普及させることに貢献している。

Ecosiaは、Zolarの地域ソーラー販売ネットワークを通じて、小型ソーラーシステムにすでに2000万ユーロ(約26億円)を投資したと述べている。同時に、ドイツ全域でその他の再生可能エネルギープロジェクトにも投資を行っているという。

「現時点では、我々はドイツ全域の再生可能エネルギープロジェクトを支援しています。再生可能エネルギーへのさらなる投資は、Ecosiaが地域自然エネルギープロジェクトや起業家からの提案を評価した上で、他の国でも行われる可能性があります」と、広報担当者は筆者に語った。

Ecosiaのグリーンエネルギー投資の目標は、より多くの企業が再生可能エネルギーに投資することを促し、化石燃料を地中に埋めたままにしておくことがかつてないほど急務となっている今、再生可能エネルギーへの移行を加速させることであると、広報担当者は付け加えた。

Ecosiaの広報担当者は「再生可能エネルギーへの投資を、気候変動に留まらない規模に拡大したいと考え、助言を求めている企業や、欧州の化石燃料への依存度を下げるという意味で変化をもたらすグリーンエネルギーのアイデアを持つ起業家やコミュニティのプロジェクトリーダーは、当社のエネルギーチームに連絡してください」と述べ、最高執行責任者のWolfgang Oels(ウルフガング・オールズ)氏がこの取り組みを指揮していることを強調した。

Ecosiaは、検索による広告収入の投資先をさらに多様化し、将来的には再生可能農業も視野に入れることを示唆している。ただし、現時点では、グリーンエネルギープロジェクトに重点を置いていることは変わらない。

植林と再生可能エネルギーへの投資をどのように分配するかという質問に対して、Ecosiaは、エネルギー資金は応募者の能力次第であるため、正式な分配は行わない、つまり収益の分配は毎月ケースバイケースで決定されると答えた。

広報担当者によれば、Ecosiaは月次の財務報告書で「いつ、どのように」投資を行うか、利益の分配を公表するという(これは従来からの植林への寄付も同じだ)。

幅広い気候変動技術に注力し、資金調達を希望するスタートアップ企業は、Ecosiaの創業者であるChristian Kroll(クリスチャン・クロール)氏がベンチャー・パートナーを務めるWorldFundに売り込むことをお勧めしたい。これまでWorldFundは、植物由来ステーキをてがけるスタートアップ企業のJuicy Marbles(ジューシー・マーブルズ)や、植林のためのフィンテック企業であるTreeCard(ツリーカード)、カカオを使わないチョコレート代替品を作るQoa(コア)などに出資してきた。

画像クレジット:Ecosia

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

会社がなくても問題……ない?激化するスタートアップ企業への投資とVCのアイデア

これまで好調だった伝統的なベンチャー業界は転換期を迎えているのではないか、と思える理由はいくつもある。最も明白な兆候は、ここ数年、上場前に投資したVCが得た利益が非常に大きい一方で、公募された株式ではそれほど上手くいっていないということにある。2月1日に発表されたWSJのデータによると、過去13カ月間に上場したベンチャー企業の最有力候補たちの株価は初日の終値を下回り、DoorDash(ドアダッシュ、-40%)、Oscar(オスカー、-81%)、UiPath(ユーアイパス、-47%)、Compass(コンパス、-56%)、Robinhood(ロビンフッド、-59%)、Coupang(クーパン、-28%)となっている。

上場前の投資の方も、状況はそれほど健全ではない。1月27日の記事でTechCrunchが指摘したように、シード、シリーズA、シリーズBの各ステージにある企業の収益は、この数四半期は過去数年に比べてはるかに少ない。おそらく、スタートアップ企業の資金調達のペースが格段に速くなっていることが原因だろう(数カ月ではたいして進展することはできない)。一方で、投資家の姿勢も今まで以上に緩く、進展がなくてもそれほど問題ではない、と考えているように見える。「創業者に賭ける」ことが重要なのだ。

VCにリセットが必要かもしれないことを示す最も強力な指標は、まだ起業していない人に投資しようとするVCの熱意である。General Catalyst(ジェネラルカタリスト)のマネージングディレクター、Niko Bonatsos(ニコ・ボナツォス)氏は、これは新しいトレンドではない、としながら次のように続ける。「プレシードやシードが急増したことで、(トレンドは)より顕著になっています」「膨大な数のジェネラルパートナー、ファンドの大型化、ディールの増加、そして私たちは資本を投資することで報酬を得るのですから」。

Upfront Ventures(アップフロント・ベンチャーズ)のMark Suster(マーク・サスター)氏は、それを実行している。2021年秋、同氏は次のように発言している。「例えば、Riot Games(ライアットゲームズ)、Snapchat(スナップチャット)、Facebook(フェイスブック)、Stripe(ストライプ)やPayPal(ペイパル)で仕事をするあなたを知っていたとしたら、私たちは起業時、つまり設計時からあなたを支援します」。

Foundation Capital(ファウンデーションキャピタル)のマネージングディレクター、Ashu Garg(アシュ・ガーグ)氏も、1月20日(日本版は1月25日)のTechCrunchの記事で同じような戦略を話している。「誰かがまだ会社を立ち上げる準備をしているときに、その人とコンタクトをとるというのが私たちの目標で、それが私たちのビジネスのやり方です。まだ会社が創業されてなくても、これこそが私たちのビジネスモデルなのです」。

他の多くのVCも同じ意見のはずだ。

2013年に「SignalFire(シグナルファイヤ)」というVCを設立したChris Farmer(クリス・ファーマー)氏は「定量的」なベンチャー投資を最も早くから提唱し、広く知らしめた人物の1人だ。同氏はSignalFireのプラットフォームであるBeaconを利用し、特許、学術論文、オープンソースへの貢献、財務申告など、200万ものデータソースから得られた5兆以上のデータポイントを追跡し、エンジニアリングの人材の動向を把握しようとしていた。

その当時、このデータをマーケティングツールとして利用していたのはファーマー氏だけだったが、その後、多くの企業が(Beaconほど強力ではないとはいえ)同様のシステムを採用し、公的、私的なデータを使って、仕事を続けている個人、仕事を辞めたものの計画を発表していない個人、あるいは最初のステップとして会社の登記だけを行った個人を追跡している。

中には非常に簡単なデータ収集方法もあり、ボナツォス氏はそれについて次のように話す。「データの中には、何年も追跡できるものもあります」「誰かがTwitterやLinkedInで経歴を変更したら、それは人材を探している人たちに『私は何か新しいことをしています』というシグナルを送っていることになります」。

大手のVCでアナリスト数人といくつかの基本的なスクリプトがあれば、カリフォルニア州などで興味を持ちそうな企業にフラグを立てることが比較的容易になっている。「主要な同業者のうち、少なくとも6社は同じことをしています」「創業者にメールを送ると、時々『おかしいな、今日は何社もメールもくれたよ』と言われます」とボナツォス氏。

実際、今はVCが才能ある個人をストーキングする方法が数多くある。資金を調達し、会社を創業し、それを売却したことでVCの目に留まる人もいる(創業者や初期の従業員はすぐに別の会社を立ち上げようとするだろう、というのがVCの考え方だ)。

エンタープライズ製品の開発経験者は特に狙われやすい。GitHubのようなコード共有プラットフォームを見れば、開発者コミュニティでどのようなプロジェクトが人気かを、投資活動に先駆けて知ることができるからだ。

スカウトプログラムの増加もこの傾向に関連している。VCはディールフローを改善するために、事業会社の幹部やスタートアップの創業者との関係を構築するが、これには、スカウトの対象者が自身のスタートアップを立ち上げた際、最初に連絡して欲しいという期待も存在する。

もちろん、このような方法に意味があるかどうかには疑問が残るし、イノベーションや特定の洞察力(あるいは腹いせ)といった有機的な方法でビジネスを立ち上げた人よりも、VCに起業をすすめられた個人が優れているかどうかは、まだ十分なデータがない。

それでも資本力が大きいVCはこの戦略を続けている。

ボナツォス氏は、人材を探す際「会社を売却するなどして財を成した人が、まだハングリー精神を持っているかどうか」を考え、その人材の考え方が「本当に斬新なのか、それとも焼き直しなのか。過去にやったことをもう一度やろうとしているのか」を見極めようとしている。さらに同氏は「再チャレンジする人材は見つけやすいが、その分立ち上がるまでのコストが余計にかかる」と指摘する。

一方ファーマー氏は、できるだけ早い段階で創業希望者にアプローチすることも続けていて「資金調達市場が活発化している現在は、これまで以上にその必要性が高まっている」と指摘する。

ファーマー氏の説明によると、創業間もないスタートアップへの「参入コスト」は、この2年間で200%高くなっているという。「つまり、オーナーシップを得るためには、より高い評価額でより大きな小切手を切る必要がありますが、逆張りをするなら、超初期段階のリスクを取る方が理にかなっています。なぜなら投資家のリスクは時期が早ければ早いほど少なく、投資はプレミアム付きで戻ってくるからです」。

これは単純な計算だ、とファーマー氏は続ける。「同じ資産に3年前の3倍の価格を支払っているなら、リターンは3倍低くなる可能性があります。もし、ほとんど実績のないスタートアップアクセラレーターの卒業生に2000万ドル(約23億円)を払うのであれば、(創業者の)アイデアがまとまっていなくても、もっと早い段階の創業者を探した方が割に合います」。

多少おかしな話に聞こえるかもしれないが「本当におかしい」のは「投入されるお金の量」だとファーマー氏は観ている。同氏は、いずれにしても、SignalFireはこの方法で資金を投入して企業を存続することができる、と示唆し「いったん成功のシグナルが出てしまえば、(VC同士の)激しい競争に晒されることになる」と話す。

「競争はまさしく血みどろの戦いです」。

画像クレジット:Liyao Xie / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

韓国NAVER Zがメタバースクリエイター向けの約115億円ファンドを設立

韓国のインターネット複合企業NAVER Group(ネイバーグループ)は、若いユーザーをターゲットにした最もホットなインターネットトレンドに乗り続けている。メッセージサービス大手のLINE人気の自撮りアプリSnowを手がけたのも同社だ。そして今、RobloxやEpic Gamesなどの大手ゲーム会社で話題になっているメタバースという最新のコンセプトに向かっている。

3DアバターアプリZepetoを運営するNAVERの子会社であるNAVER Zは、クリエイターがスマートフォン、PC、VR機器向けに2Dおよび3Dコンテンツを開発できるプラットフォームUnityを搭載した新開発のプラグインを宣伝するため、今後数カ月内に1億ドル(約115億円)のファンドを設立する。

リリースから4年となるZepetoは、エンターテインメント、ゲーム、ソーシャルネットワーキングを融合させた体験を提供している。ユーザーは、自撮りした写真を3Dアバターに変換したり、デジタル空間をデザインしたり、他のユーザーと交流したりすることができる。NAVER Zの最高戦略責任者であるRudy Lee(ルディ・リー)氏はTechCrunchに、Zepetoの月間アクティブユーザー数は2020年5月の1000万人から1月時点で2000万人に増加したと語った。

同アプリの登録ユーザーは1年半前からほぼ倍増して2億9000万人となり「ワールド」という、Robloxの「エクスペリエンス」に相当するユーザー生成型の仮想空間での平均セッション時間は30分だという。

Zepetoは世界中にユーザーを抱えているが、特に韓国と中国の10代から20代前半の女性に人気がある。ターゲット層を考えれば、GucciRalph Laurenなどのデザイナーブランドや、BlackpinkやSelena Gomezといったセレブが、Zepetoを使って自社ブランドのデジタル体験を構築しているのは当然だろう。現実の世界ではほとんどの人にとって法外に高価なデザイナーズアクセサリーが、Zepetoの仮想世界では突然手ごろな値段になる。

1億ドルのクリエイターファンドは、Zepetoがサポートする「メタバース」体験を多様にすることを可能にする。NAVER Zは、Zepeto上で3D体験を生成するUnityプラグインを使用する有望なスタジオに出資する予定だ。また、プラグインを使用するZepetoの非常に有望なクリエイターには、再生、訪問、アクティブユーザーなどのパフォーマンス指標に基づいて、現金報酬を提供する。

この取り組みは、ソフトバンクビジョンファンド IIが主導し、Mirae Asset、大手のKポップタレント事務所、およびその他の投資会社が参加した、Naver Zの2021年の1億9000万ドル(約219億円)という大型のシリーズBラウンドのおかげだ。

多くのバーチャルエンターテインメントプラットフォームと同様、Zepetoは収益化をアイテム販売に頼っている。2018年の立ち上げ以来、20億個のアイテムを販売し、2020年半ばの販売数は6億個だった。売上最多のクリエイターの2021年の粗利益は50万ドル(約5800万円)だった。

画像クレジット:Zepeto

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

シェルが設立したスタートアップファンド「EEGF」、太陽光発電を提供しアフリカでクリーンエネルギーを促進

FinDev Canadaは、サハラ以南アフリカにおける初期および成長段階のエネルギー関連スタートアップに投資するファンドEnergy Entrepreneurs Growth Fund(EEGF)に1300万ドル(約14億8500万円)を出資した。資金の一部は、同地域のオフグリッド世帯や企業のクリーンエネルギーへのアクセス向上に役立てられる。

1億2000万ドル(約137億円)のEEGFは、2019年にShell Foundation(シェル財団)と英国のUKaid、そしてオランダのEntrepreneurial Development Bank FMOが共同で設立したファンドで、エネルギー分野の企業に対し、デット(触媒 / メザニン)または株式の形で融資を行っている。EEGFは、インパクト投資マネージャーであるTriple Jumpと、気候変動対策ベンチャーを支援する企業であるPersistentが運営している。

FinDev Canadaは、サハラ以南アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海地域の低所得者や十分な支援が行き届いていない層の経済的エンパワーメントを促進するインパクト金融ファシリティである2X Canadaを通して資金調達に参加した。

FinDev CanadaのVP兼最高投資責任者であるPaulo Martelli(パウロ・マルテリ)氏は、今回の資金提供は、新型コロナウイルスによる減速の後、クリーンエネルギー産業のイノベーションを加速するのに役立つと声明で述べている。

「パンデミックの影響で、健康危機以前から遅れていたアフリカの電化推進が遅れています。EEGFのこの分野への投資能力を高めることで、FinDev Canadaとその2X Canadaファシリティは、アフリカの家庭や企業においてクリーンで信頼できるエネルギーへのアクセスを拡大し、包括的で持続可能な成長と何百万人もの人々の生活の向上に貢献するエネルギー企業を支援します」と同氏は述べた。

このファンドの投資先は少なくとも半数が、アフリカの女性消費者や起業家のエネルギーニーズに明確に対応している企業、および企業や家庭に再生可能エネルギーのソリューションを提供している企業だ。サハラ以南アフリカは、電気を利用できない世界人口の75%を占めると言われており、そのギャップを埋めていく過程で再生可能エネルギーによるソリューションを採用できる可能性がある。

Shell FoundationのオペレーションディレクターであるGareth Zahir-Bill(ガレス・ザヒル・ビル)氏はこう述べている。「エネルギー貧困を緩和し、気候変動を軽減する、公正かつ包摂的なエネルギーシフトには、世界のエネルギーアクセス目標を達成するために頼りにされている起業家の資金ニーズを理解する必要があります」。

「FinDev Canadaによるファンドへの投資は、起業家への柔軟な融資ソリューションの提供を拡大し、アフリカの何百万人もの人々にとってクリーンで信頼できるエネルギーへのアクセスを加速するのに役立ちます」とも。

EEGFは2021年、時間をかけて支払うことが可能な太陽光発電ソリューションを提供するBaobab+とYellow、企業向けにモバイルソーラーファームの設計・設置を行うRedaviaに投資した。

ガーナ、ケニア、タンザニアに顧客を持つRedaviaは、このファンドから370万ドル(約4億2000万円)のメザニン投資を受けた。同社は、アフリカ大陸で85MWp以上の太陽光発電の設置を目標としている。2021年9月までに「90台近いソーラーユニットを設置し、7MWpのソーラー容量を確保した」とのこと。

マラウイとウガンダで事業を展開し、一般家庭や中小企業が分割払いでソーラーシステムを購入できるYellowは400万ドル(約4億5700万円)、一方Baobab+は230万ドル(約2億6300万円)を獲得した。Baobab+は、マリ、セネガル、マダガスカル、コートジボワールで事業を展開しており、ナイジェリアとコンゴ民主共和国の市場への参入を計画している。

画像クレジット:Pramote Polyamate / Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Aya Nakazato)

「暗号資産の未来」への投資競争には確実に金がかかる

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ!

先週もなんとか乗り切れた。電話やTwitter(ツイッター)ではみんな疲れた姿を見せていたが、なんとかなったようだ。なんとか平日を乗り切って、週末にしばし休息は得られたろうか。そう、今日は暗号資産の話だ。楽しもう。

私は、Coinbase(コインベース)がより大きなブロックチェーン市場の他の企業に資本を投入するペースに感銘を受けている。米国の上場企業は比較的少額(売上と比べての場合だが)を支払うことで、スタートアップの所有権と情報アクセス権の両方を買うことができ、何が起きているかの早期警告データを得ることができるので、これは賢明な動きだ。Coinbaseが、暗号資産市場における明らかな既存大手であり、ある意味門番のようなものであることを考えると、その投資は理に適っている。

しかし、他にもあちらでも投資、こちらでも投資が続いている。今回発表されたFTXファンドは、かなり速いペースで取引されているにも関わらず、これまでCoinbaseが行ってきた取引よりもさらに積極的なものになっているようだ。

FTXの暗号資産ファンドの総額は約20億ドル(約2276億8000万円)で、インタビューによると2022年中に投資されるだろうという。これは、ワイルドな投資ペースだが、おそらくa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)が最近22億ドル(約2504億5000万円)の暗号資産ファンドを立ち上げたことを思い出す人もいるだろう。

いくつか疑問がある。

  1. インターネットに比べてはるかにユーザー数が少ない暗号資産市場に、なぜこれほどまでの資金が必要なのか?
  2. なぜ私たちは、暗号資産に資金を供給するために、これほど多くの決断を下してしているのだろうか?

これらは相互に関連した疑問だ。結局これらは、なぜ暗号資産市場で有用なものを作るのは難しいのか、という私の素朴な疑問に対応している。CoinbaseとFTXは、暗号資産の世界の端に存在し、従来の経済とその未来になりうるものとの間でお金を行き来させている。彼らが投資するのは賢明なことだが、彼らが投資しようとしている金額と、従来のベンチャーキャピタルがブロックチェーンスタートアップに投じている金額とを比較すると、私はやや混乱する。一体資産は何に使われているのか?

2つの主要なブロックチェーンは確立されており、もはや新しいものではない(Ethereum[イーサリアム]は2013年に案出され2015年にローンチされたし、Bitcoin[ビットコイン]のホワイトペーパーは2008年に発表された)。多くのステーブルコインが存在し、多くの安定したプレイヤーがいて、膨大な資金がNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスやいくつかの暗号資産ゲームへ流れ込んでいる。その中には、そこそこの利用者ベースを築いているものもある。しかし、スペースに流れ込むお金の量と、利用可能な結果として見えてくるものを比較すると、やや凝縮されすぎているような気がする。

Institutional Investor(インスティテューショナルインベスター)のレポートによると、2021年は総額328億ドル(約3兆7340億円)が「暗号資産やブロックチェーン技術事業」に投資されたという。おそらく、そのお金で作られた多くのものが今にも出てきて、私たちをびっくりさせるのかもしれないが、Bitcoinが誕生して10年以上経った今でも、私はブロックチェーンで動くアプリやサービスを日々使ってはいない。もちろん、研究目的で暗号資産の世界の一部をあれこれこねくりまわしているのなら別だが。

すでに私は認めたくないほど多くの時間をオンラインで過ごしているのだ!おそらく新しいFTXファンドは、単なる投機の手段ではない、大衆向けのブロックチェーン製品を市場にもたらすだろう。何が登場するか待ってみようと思う。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

高度なエンタープライズテクノロジーを支援するArray Ventures、約64億円の新ファンドをクローズ

Shruti Gandhi(シュルティ・ガンディー)氏は、ファーストチェックの資金調達における誤解を解きたいと考えている。すべての創業者がアーリーステージの投資家に肩代わりしてもらう必要があるわけではなく、投資家に他の人とは違う方法で自分のビジネスを理解してもらうことが必要だということだ。

5年前に彼女がエンタープライズ企業を支援するために設立したファンド「Array Ventures(アレイ・ベンチャーズ)」のポートフォリオにある起業家のほとんどは、10年近い経験を持つリピート創業者たちだ。

「私たちが投資する対象は、多くの業界経験と顧客経験を必要とします」と、ガンディー氏はいう。「それは大学を中退して一夜で手に入れられるわけではありません。私たちが投資している分野は、1年の実務経験で夢見るようなものではありません」。率直なガンディー氏は、彼女が「ハードエンタープライズ」と呼ぶ分野に投資するために、数千万ドル(数十億円)の資金を集めた。

先に5610万ドル(約64億円)でクローズしたArray Venturesの新ファンドは、技術的にバックボーンとなるエンタープライズテクノロジーに取り組む30社のスタートアップ企業に投資する予定だ。Array Venturesはそのデビューファンド以来、チェックサイズを15万ドル(約1700万円)から120万ドル(約1億4000万円)、150万ドル(約1億7000万円)へと拡大してきた。ガンディー氏によると、2回目のファンドでは10%だった各案件のオーナーシップを、今後は15%にすることが目標だという。

「大部分のファームがエンタープライズテクノロジーに投資したと主張していますが、特にファーストチェックの段階では、そのほとんどがボトムアップのSaaS企業に焦点を当てています」と、ガンディー氏はいう。「新時代の企業のバックボーンとなるエンタープライズ・テクノロジーに投資できるほど専門的なファームはほとんどありません」。Array Venturesは垂直型のSaaS製品を支援しないと言っているわけではないが(実際には支援している)「高度に差別化された」バックボーンとなる基礎を持つ企業を探している。

しかし、それは実際には何を意味するのだろうか? ガンディー氏は次のように述べている。現在、フロントエンドで見られるものはすべて、ビッグデータを処理し、ユーザーの安全性を高め、クラウドに移行できる、より強力なバックボーン技術を必要としている。ゆえにArrayは、アプリケーションのレベルを超えて、セキュリティ、データ、クラウド・インフラストラクチャに焦点を当てて取り組んでいるスタートアップ企業に投資するということだ。つまり、Dropbox(ドロップボックス)やSalesforce(セールスフォース)ではなく、Snowflake(スノーフレーク)、Okta(オクタ)、Twilio(トゥイリオ)、Databricks(データブリックス)のような企業を思い浮かべて欲しい。

このような新しい技術スタックにArrayは資金を投入している。それは、脅威の検知と対応の自動化、データのオーケストレーション、メディアの発見とライセンス供与などの課題に取り組むスタートアップ企業だ。

Work-Bench(ワークベンチ)のレポートによると、ベンチャー投資のうち女性創業者への投資はわずか1.9%であるという。それを考えると、ガンディー氏の焦点は明らかに特異だ。Arrayのポートフォリオの3分の1以上は女性創業者が占めている。この投資家は、自分のポートフォリオが、技術分野の女性が受けがちな偏見とは対照的であると述べている。

関連記事:女性が起こしたソフトウェア企業へのベンチャー投資は全体のわずか1.9%:Work-Benchレポート

「女性が会社を設立するとき、人々は消費者向けの会社を設立するものだと考えます。これは市場にある偏見です」と、ガンディー氏はいう。「そしてそれは、企業向けファンドを運営している私にも当てはまります」。

ガンディー氏は、あまり話題になっていないニッチな分野に力を注いでいるため、現代のトップアクセラレーターからの投資機会の流れをつかむことはできないかもしれないが、ハードエンタープライズのコミュニティとのつながりは深いようだ。ガンディー氏のポートフォリオの創業者の半数以上が、彼女のすべてのファンドに出資している。その中には、MozartData(モーツァルトデータ)のPeter Fishman(ピーター・フィッシュマン)氏、Placer.ai(プレーサー・ドット・エーアイ)のNoam Ben-Zvi(ノーム・ベン・ズヴィ)氏、Catch&Release(キャッチ&リリース)のAnalisa Goodin(アナリサ・グッディン)氏、Hermis(ハーミス)のMadhu Mathihalli(マドゥ・マティハリ)とMohan Gummalam(モハン・グマラム)氏が含まれている。

Array Venturesのその他のリミテッドパートナーには、Data Robot(データ・ロボット)Dan Wright(ダン・ライト)氏、Drift(ドリフト)のElias Torres(エリアス・トーレス)氏、Polygon(ポリゴン)のJaynti Kanani(ジェインティ・カナニ)氏、Vanderbilt University(ヴァンダービルト大学)、MPowered Capital(Mパワード・キャピタル)、NSV Wolf(MSVウルフ)などが名を連ねている。

画像クレジット:ivanastar / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

勢いを増すフェイスブックやDropboxの初期エンジニアが設立したアンチインキュベーター「SPC」

サンフランシスコのサウスパーク地区に数十人のエンジニアが集まるコミュニティ「サウスパークコモンズ(SPC)」ができたとき、結成から1年後の2017年にニューヨーク・タイムズ紙が紹介した以外は、ほとんど公に知られることはなかった。

SPCはFacebook(フェイスブック)初の女性エンジニアであるRuchi Sanghvi(ルチ・サングヴィ)氏が設立した。同氏は当時、SPCの野望はブルームズベリーセット(20世紀前半の英国の芸術家・学者グループ)やBenjamin Franklin(ベンジャミン・フランクリン)のジュントクラブ(フランクリンが創設した切磋琢磨のためのグループ)のようなものを、テック界にもつくることだと説明した。そこで人々は、個々人の、あるいは共通の経験を語り合い、その過程で新しいアイデアを形成するのだ。

早い話、SPCによると、この試みはうまくいっているという。2018年に5500万ドル(約62億円)のベンチャーファンドを立ち上げ、コミュニティのメンバーから生まれた複数のプロジェクトに投資した。現在、ベイエリアと世界各地に450人のメンバーがいる。テック界の著名人や機関投資家からの資金で、新たに1億5000万ドル(約170億円)のファンド組成を完了したばかりだ。

また、SPCは非常に価値の高いポートフォリオを有しているという。サングヴィ氏によれば、SPCのデビューファンドは、すでに投資家に対し、資本にいくらかの果実をつけて返還している。これは、分散型融資のためのオープンソースプラットフォームであるCompound Labsのおかげであり、そのトークンを初期の株主に一部分配した。同氏によると、SPCは他にも10~12社のいわゆるユニコーンをポートフォリオに抱えている。

TechCrunchは米国時間12月17日、サングヴィ氏とその夫でビジネスパートナーのAditya Agarwal(アディティア・アガーワル)氏と話した。アガーワル氏は、Facebookで初期のエンジニアとして活躍した後、サングヴィ氏と共同でスタートアップを設立した。同社は2012年にDropbox(ドロップボックス)に売却された。これは人材獲得を目的とした買収だったといわれている。(サングヴィ氏はDropboxにオペレーション担当VPとして2年勤めた。Dropboxのエンジニアリング担当VPとして入社したアガーワル氏は2016年にCTOに昇進し、2018年に退職、SPCのサングヴィ氏に合流した)。

ここまで、SPCのコミュニティの進化について少し長く触れた。元々は物理的な場所として始まり、パンデミック後は高度に構造化された仮想社会となった。だが、SPCは依然として、現実の世界で人々を結びつけることに重点を置く。

実際、サングヴィ氏とアガーワル氏はオフラインでの交流の力を強く信じている。そのため、サンフランシスコに加え、ニューヨークも拠点として現在計画中で、シアトルや東南アジアなど、他の拠点も続く可能性があると話す。

SPCのメンバーの約70%は「技術系」だが、残りの30%は「特定領域の専門家またはオペレーションの知見がある人、あるいは学者」だとサングヴィ氏はいう。この構成は意図的なものだ。「おもしろいのは、優秀な起業家と話すときに、他の起業家と知り合いになりたいかと尋ねると、答えはいつも『ノー』なんです」と同氏は笑いながら語る。「彼らは、AIアルゴリズムでスタンフォード大学のチームを打ち負かした専門家とは知り合いになりたいのです。だから、そうしたオペレーションの専門家がコミュニティに混ざっていることは、非常に価値があります」。

そうしたつながりは、友情と新鮮なアイデア以上のものをもたらしているようだ。アガーワル氏によると、この組織のメンバーの50%以上は、共同創業者や創業時の従業員をコミュニティ内で見つけたそうだ。SPCは、新進気鋭のチームと接触するY Combinatorや、大企業の経営幹部に目をつけているVCとは異なる。SPCが捕まえようとしているのは、明らかに才能があり、おそらく多くの需要があるにもかかわらず、最後の仕事を終えたあと、次に何をするかまだ決めておらず、それについて考えるために少し時間が欲しい、といった人だ。

ふわっとしているかもしれないが、SPCが見つけたいのは、次にしたいのは単にアイデアを自由に探ること、といった人たちだ。アガーワル氏は「私たちは『マイナス1からゼロの段階』にある人々が、会社を始めることを可能にするなるための学習コミュニティのようなものです」と言い「その過程でスタートアップが生まれれば、ファンドから投資します」。

その他に知っておくべき点として、メンバーは「卒業」するまでの9カ月間、コミュニティ内で密接に働く傾向があるということがある。卒業とはつまり、新しいスタートアップのコンセプトに対し100万ドル(約1億1300万円)以上の資金を調達するか、4人以上のフルタイム従業員を抱えるか、仕事を得るかである(アイデアの探求が、必ずしも起業につながるとは限らない)。

コミュニティメンバーが資金調達の段階に達した場合、早い段階で合意されるのが、SPCに投資の先買権を与えることである。各メンバーはSPCのファンドへの投資に招待され、多くのメンバーがこの申し出に応じる。サングヴィ氏によれば、SPCの1億5千万ドル(約170億円)の新ファンドには、100人の会員が投資家として名を連ねている。

投資の形態はといえば、ごく一般的なものである。アガーワル氏によれば、SPCは通常、70万〜200万ドル(約7900万〜2億2600万円)の範囲で、会社の7〜10%に投資する。また、SPCのネットワークが非常に貴重であるため、その後、投資に参加するベンチャーキャピタルは、自分たちの短期的な利益のためにSPCの持ち分を希薄化するのではなく、SPCが出資比率を維持できるようにするのが一般的であるという。

確かに、この方式は今、うまくいっているように見える。SPCの物理的および仮想的「廊下」を通過する企業には、Compound Labsに加え、ブロックチェーンのデータを整理するためのインデックスプロトコルであり、イーサリアム創設者のVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏から公に支持を得ているThe Graph、Sequoia CapitalとIndex Venturesが投資し、12億ドル(約1360億円)の評価額がついている会計ソフトウェアメーカーのPilot、法人向け不正行為監視ノーコードソフトウェアのスタートアップで、7月にTiger GlobalがリードしたシリーズBで3400万ドル(約38億円)を集めたUnit21などがある。

SPCは、サングヴィ氏とアガーワル氏の2人のゼネラルパートナーに加え、Dropboxで売上分析と国際展開を担当したMitra Lohrasbpour(ミトラ・ローラスブール)氏と、サングヴィ氏のチーフスタッフとして2年を過ごしたFinn Meeks(フィン・ミークス)氏を投資家に数える。

参考までに、SPCの新ファンドは前回の3倍の規模だが、アガーワル氏は、これ以上積極的に投資することはないと話す。

「私たちは量より質に重きを置いています」と同氏はいう。「質がすぐに向上するなら、それはそれですばらしいことですが、そうなるとは思っていません」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

女性が起こしたソフトウェア企業へのベンチャー投資は全体のわずか1.9%:Work-Benchレポート

アーリーステージのベンチャーキャピタルファームWork-Bench(ワークベンチ)が発表した新しいレポートによると、みなさんがすでにご存知の通り、女性が創業したスタートアップは、資金調達のパイ全体の中でほんのひと握りしか得られていない。しかも、Work-Benchが投資を行うことが多い企業では、その割合ははるかに悪いものとなっている。

PitchBookやCrunchbaseのデータ、そしてWork-Benchの調査によると、資金提供を受けているスタートアップの25%以上に少なくとも1人の女性創業者が含まれていたが、法人向けソフトウェア企業に限ってみると、その数は1.9%にまで激減する。

実は、この数字がほとんど意味をなさないことは、調査によって証明されている。報告書の著者は「女性が率いるチームは、男性が率いるチームに比べて、35%高い投資利益率を生み出すことが研究で示されている」と述べている。

しかし、格差はまだ続いている。

Work-Benchの共同創業者でゼネラルパートナーのJessica Lin(ジェシカ・リン)氏は、会社を設立した動機の1つとして、企業レベル、スタートアップの創業者、そして特に財布の紐を握っているVC企業において、女性の代表が根強く不足していることを挙げている。

Work-Benchはまず、女性創業者のデータベースを構築することから始めた。4年かけて作成し、定期的に更新している。このデータベースは一般公開されている。「行動を変えるにはデータも必要だと私はいつも言っています」とリン氏は筆者に語った。

今回のレポートは、そのデータを活用して、投資家に問題の深刻さを示し、時系列で進捗状況を追跡することを目的としている。その中でも同氏は特にWork-Benchが事業を展開している企業にフォーカスしたかった。というのも、その分野のデータが明らかに不足していたからだ。

「私たちが『レポートにまとめよう』と言ったのは今回が初めてです。ですから、1年後には2%以下だった数字が3%になっていることをお伝えしたいですね。しかし、どこかに基準を設けなければなりませんでした」とリン氏は話す。

数字は小さいが、資金提供を受けたスタートアップ企業に女性がより多く参加している分野がいくつかある。圧倒的に多いのは「HR/未来の仕事」で35.1%、次いで「データ/AI/機械学習」が19.8%「営業・マーケティング」が12.2%となっている。

画像クレジット:Work-Bench

女性はさまざまな課題に直面している。まず第一に、大手テック企業でリーダーシップを発揮する女性がまだ少ないことだ。より多くの女性がより高い給料の仕事に就けば、メンターとしての役割を果たすだけでなく、エンジェルラウンドに参加して、女性主導のスタートアップを増やすことができるかもしれない。

Idit Levine(アイディット・レヴィーン)氏は、クラウドネイティブソフトウェアを提供するスタートアップSolo.ioを経営している。同社は最近、10億ドル(約1133億円)の評価額で1億3500万ドル(約153億円)のシリーズC資金を獲得した。資金調達の際にレヴィーン氏が筆者に語ったように、同氏はテック業界の形骸化に不満を抱いている。

私は女性だからといって、このような割引をして欲しいと頼んだことはありません。実際、それが苛立たしいこともありました。あなたが女性だから、話をしたい。むかつきました。私が優秀だからこそ、私に話をしたいのです。

しかし、多くの女性にはレヴィーン氏のような自信はない。New StackはKubeConで行われた最近のパネルについて報じていて、パネルでは女性グループがクラウドネイティブテクノロジーの分野で過小評価されているグループとして直面する障壁について語った。パネリストの多くは、明らかにスキルや能力を持っているにもかかわらず、自分の居場所がないように感じてしまう「インポスター症候群」という、過小評価されているグループに共通する感情を明らかにした。

コロンビア州ボゴタにあるADL Digital LabsのSREテクニカルプログラムマネージャーであるYury Roa(ユリー・ロア)氏は、6月にTechCrunchに掲載された4人の女性エンジニアの体験談の中で、インポスター症候群が技術分野の女性にとって真の障害になり得ると語っている。

部屋の中で唯一の女性であることに関連する私たちの障壁の1つは、インポスター症候群(につながる可能性があること)です。なぜなら、同症候群は唯一の女性や少数の女性の1人であるとよくあることで、私たちにとっては本当に難しいことです。このような場合には、女性を含むロールモデルやリーダーシップを持つことが非常に重要になります。

関連記事:職場でのハラスメントと孤立感、不屈の精神について4人の女性エンジニアに聞く

Work-Benchは、システムにおける不公平さを示すデータを提供することで、大きなインパクトを与えようとしている小さな会社だ。リン氏がいうように、データは変化をもたらすものだが、この数字を動かすためには、本格的なシステムの変革が必要だ。そのためには、より多くの女性が幹部として昇進し、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルとして投資を行う必要がある。

そうして初めて、真の意味で針を動かすことができる。なぜなら、1.9%では十分ではないからだ。まったく十分ではない。

画像クレジット:Klaus Vedfelt / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twilioが次世代アプリ開発を支援する約57億円のファンドを設立

Twilio(トゥイリオ)は開発者と直接仕事をする企業であり、Twilioを利用して企業を設立する開発者を支援する社内投資部門を持つことは非常に理に適っている。通信API企業であるTwilioは米国時間12月8日、同社を利用している企業や、革新的なアイデアに取り組んでいる企業への投資を目的とした5000万ドル(約57億円)のファンド、Twilio Venturesの設立を発表した。

この新しい投資部門の責任者である経営企画担当上級副社長Bryan Vaniman(ブライアン・ヴァニマン)氏は、ファンドを設立して投資を開始するというミッションを持って、3月にAdobe(アドビ)から移ってきた。多くの企業のように資金調達の仕組みを持つことは、アプリケーションをより早く構築するためのツールを開発者に提供するというTwilioのミッションの自然な延長線上にあるものだとヴァニマン氏は話す。

「このファンドは、次世代のカスタマーエンゲージメントアプリケーションを構築する開発者やスタートアップを支援するためのものです。当初から開発者を第一に考えていた当社にとって、これは自然な流れだと思います」と述べた。

同社は2020年、32億ドル(約3640億円)を投じてSegment(セグメント)を買収したが、Twilio Venturesが出資する企業を探す際には、顧客エクスペリエンスが大きな焦点となっている。

「何よりもまず、開発者と顧客エンゲージメントアプリケーションのための次世代機能を構築しているエキサイティングな企業を支援することで、そのエコシステム内での当社のリーチと影響力を拡大する機会だと考えています」とヴァニマン氏は話した。

同氏によると、Twilio Venturesは多くの場合、シリーズAラウンドに投資するが、企業との相性が良ければそれ以降、またはそれ以前にも投資する。通常、出資額は100万ドルから300万ドル(約1億1000万〜3億4000万円)の範囲となる。

画像クレジット:Twilio

予想通り、Twilio VenturesはすでにTwilioと共通点の多い企業数社に投資している。「当社が行なったいくつかの投資をみると、Algolia(アルゴリア)は我々と非常によく似た開発者の精神を共有する企業の好例です。Algoliaは、開発者がすばらしい検索推薦体験を構築できるようなAPIを開発しました」とヴァニマン氏は述べた。

これらの企業への正確な投資額は明かさないが、セカンダリーの戦略的投資家だと同氏は話す。これらの企業に対しては、社内リソースへのアクセスを提供したり、営業やマーケティングを支援したりするなど、有用なパートナーとしての役割を果たすことを計画しているが、ほとんどの場合、取締役会に役員を送らない。

投資先の企業を買収することも考えられるが、それはこのファンドの主要な目的ではない。「それは、どちらかというと副次的な利益でしょう。このプログラムの本義ではなく、投資をして企業に近づき、関係を築くことで、将来的にはより深い関係につながる可能性があるというメリットがありますが、それが主な目的ではありません」と述べた。

Salesforce(セールスフォース)、Zoom(ズーム)、Hubspot(ハブスポット)、Workday(ワークデイ)、Okta(オクタ)など他のSaaS企業も投資部門の設立という同様のアプローチを取っている。

画像クレジット:Robert Alexander/Getty Images / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

自閉症コミニュティの「投資・イノベーション部門」を目指すベンチャーファンド「AIF」

2018年、Christopher Male(クリストファー・メイル)氏の息子が自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断された時、長年の投資家は自分が見知らぬ領域に置かれたことを知った。

「あの時、私は『自閉症』という言葉も、それが何であるかも、文字どおり初めて知りました」と同氏は回想した。

息子の力になるために、メイル氏はこの話題に没頭し「驚くほど断片化、両極化したコミュニティと、不適切で旧態依然の解決方法が法外な価格と長い待ち行列で提供されているマーケットプレイス」と同氏が評する状況を認識した。

同氏は「このマーケットプレイスで起きていることに関する科学的理解は存在しない」と結論づけた。部分的には資本主義から、しかしほとんどが、自分の子どもや同じような境遇の子どもたちを助けたいという動機から、メイル氏は決断し、Brian O’Callaghan(ブライアン・オカラハン)氏とともにAutism Impact Fund(AIF、自閉症インパクトファンド)を2021年立ち上げた。ファンドのミッションは「ベンチャーキャピタルモデルを通じて、自閉症の診断、治療、および自閉症とともに生きていくための現状に革命を起こす」ことだ。これまでにAIFはアーリーステージの企業、7社に投資してきた。

AIFは、GlaxoSmithKline(GSK、グラクソ・スミスクライン)からRob Saarazin(ロブ・サラジン)氏を最高投資責任者兼マネージングパートナーとして迎えた。メイル氏とサラジン氏は、ファンドの日常業務を管理している。

ニーズは存在している。自閉症スペクトラム障害(ASD)は子どもの54人に1人が診断され、世界で数百万の家族に影響を与えているとCDCの調査結果が報告している。

「私たちは自閉症インパクトファンドを、自閉症コミュニティの投資・イノベーション部門になるという野心をもって設立しました」とメイル氏は語った。「これはシステムが完全に崩壊している巨大な社会問題であり、私たちのゴールはそのシステムを変えることです」。

10年近くにわたり、メイル氏は家族の投資事務所を運営していた。その後、自らベンチャーファンドを立ち上げた。そして彼は、人生で現在の自分の役割以上に重要なものはなかったと打ち明ける。

AIFには著名なアドバイザー、Uber(ウーバー)CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏、バンダービルト大学、Frist Center for Autism & InnovationのJennifer Frist(ジェニファー・フリスト)氏、ARCH Venture Partnersの共同ファウンダー、Bob Nelsen(ボブ・ネルセン)氏らが名を連ねる。

メイル氏はAIFの損益を明らかにしなかったが、富裕層の組織やファミリーオフィスが参加していると語った。ファンドは現在積極的に資金調達を行っているところなので、一連の計画についてメイル氏は順調に進んでいるという以上のコメントはできなかった。

「市場は私たちにとってかなりポジティブで順調なので、思っていたよりかなり先へ進んでいます」と彼は言った。

AIFは、生物学、環境と行動など広い分野にわたって、さまざまなステージの会社に直接投資を行っている。同ファンドは意図的に営利企業に焦点を当てており、非営利との重複を避けている。

これは単なる個人の集まりではありません。私たちはプロフェッショナルな投資家です」とメイル氏は言った。「そして学界、政府機関、非営利団体、財団などを通じて複数のコミニュティーをまとめています」。

画像クレジット:Autism Impact Fund

投資先企業には、自閉症の主要症状を治療するための腸内制限小分子物質を開発しているAxial(アクシアル)、自閉症のためのバイオマーカーを開発しているBioROSA(バイオロサ)、AI駆動バーチャルリアリティープラットフォームを通してさまざまな治療法を提供するFloreo(フローレオ)、および特別な支援を必要としている人のためのデジタルケアプラットフォーム、Joshin(ジョーシン)がある。Joshinについては最近TechCrunchが資金調達について報じた

John Slattery(ジョン・スラッタリー)氏とMarie Causey(マリー・コーシー)氏はボストン地区のスタートアップBioROSAを2018年に立ち上げ、生後18カ月から幼児のASDを検出するバイオマーカーを開発している。

「これは、現在4歳以上である平均診断年齢を引き下げるものです。この障害は、うまく対応できない社会的少数者や低所得層に大きく偏っています」。

BioROSAは、これまでに300万ドル(約3億4000万円)を少し超える資金を調達しており、AIFが7月に参加したラウンドも含まれている。

「この会社の基礎をなつ理論には、支持している強力な学術研究があります」とスラッタリー氏は言った。「私たちのゴールは、早期発見を可能にして、介入の診断基準を変えることです」。

自閉症者のいる家族にとって、AIFが行った投資は生活を変える可能性がある。そして、それ以上に大きな意味のあるものはない。

画像クレジット:wildpixel / Getty Images under a iStock/Getty Images Plus license

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドネシアのVC、Alpha JWCが490億円の第3号ファンドを組成、東南アジア最大のアーリーステージ対象のVCファンドに

Alpha JWC共同創業者のジェフリー・ジョー氏とチャンドラ・チャン氏(画像クレジット:Alpha JWC)

ジャカルタに拠点を置くベンチャーキャピタルAlpha JWCは、第3号ファンドを4億3300万ドル(約489億円)で組成したことを発表した。同社によれば、当初の目標額だった2億5000万〜3億ドル(約283億〜339億円)を上回る応募があり、結果としてアーリーステージのスタートアップを対象とした東南アジア最大のVCファンドとなったという。この3つ目のファンドの出資者には、世界銀行の国際金融公社(IFC)が含まれている。また、Alpha JWCの最初の2つのファンドのパートナーの大半が出資をしている。

共同創業者でゼネラルパートナーのJefrey Joe(ジェフリー・ジョー)氏は、Bukalapak(ブカラパック)やSea Group(シー・グループ)のIPOのような注目を集めたイグジットのおかげで、グローバルな投資家から東南アジアへの関心が高まり始めていると述べている。

そしてTechCrunchに「米国のような先進国の市場に比べても、十分な価値を生み出すことができることを示しています」と語る。また彼は、Alpha JWCのポートフォリオ企業であるAjaib(アジャイブ)、Kredivo(クレディボ)、Carro(キャロ)を含む多くのスタートアップが、比較的短期間でユニコーンの地位を獲得したことから(投資アプリのAjaibは、ローンチから2年半でユニコーンとなった)、投資家の新たな関心の波が2020年から始まっていると付け加えた。Alpha JWCは、上記3つのスタートアップの最初の機関投資家だったのだ。

関連記事:インドネシアのミレニアル世代を対象にする投資アプリAjaibがシリーズAで約71億円を調達

Alpha JWCは現在、3つのファンドで合計約6億3000万ドル(約712億円)の資産を運用している。この1年間で、投資先企業はこれまでに合わせて10億ドル(約1130億円)以上の資金を調達しており、大部分がアルファJWCの最初の投資から1年以内に追加の資金調達を行っているという。

同社は、アーリーステージ(プレシード、シード、プレシリーズA)への投資を行っており、スタートアップの資本政策表上で最初の機関投資家となることが多い。ジョー氏によれば、Alpha JWCのパートナーたちは、米国の投資家を紹介したり、経営陣の育成を支援するなど、ポートフォリオ企業が後期段階に入ってからも緊密に連携している。

Alpha JWCは、2016年に第1号ファンドを5000万ドル(約56億5000万円)で立ち上げ、23社に投資した。その第2号ファンドは2019年に1億4300万ドル(約161億5000万円)で組成され、30社の支援に使われた。同社によると、第1号ファンドのTVPI(Total Value-to-Payed-In、投資倍率)は3.72倍に達し、IRR(Internal Rate of Return、内部収益率)は約37%となっている。その第2号ファンドのパフォーマンス指標はさらに高く、TVPIは3.45倍、IRRは87%となっている。

第3号ファンドの大半はインドネシアのスタートアップ企業に充てられるが、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、フィリピンなど他の東南アジア市場でも、インドネシアへの進出を目指す企業を中心に投資が行われる。投資額は、数十万ドル(数千万円)から複数のステージで構成される最大6000万ドル(約67億8000万円)までの範囲となる。Alpha JWCの第1号ファンドと同様に、第3号ファンドでも25~30社程度のアーリーステージのスタートアップ企業を対象とし、セクターを問わないアプローチをとる。

共同創業者でゼネラルパートナーのChandra Tjan(チャンドラ・チャン)氏は「現時点では、セクターに特化する必要はないと考えています」と語る。「市場はまだ若く、非常に高い可能性を秘めており、私たちが地元のチャンピオンを獲得できる産業はたくさんあります。とはいえ、私たちが本当に好んでいる分野は、ソフトウェアサービス、フィンテック、O2Oモデル、ソーシャルコマースです」。

Alpha JWCによると、コーヒーチェーンのKopi Kenangan(コピ・ケナガン)、B2BマーケットプレイスのGudangAda(グダガダ)、消費財メーカーのLemonilo(レモニロ)、中小企業向けデジタルファイナンスプラットフォームのFunding Societies(ファンディング・ソサイエティ)など、少なくとも11社のポートフォリオ企業がユニコーンのポジションに近づいているという。

デジタル導入は、いまだにジャカルタなどの大きな都市が中心となっているものの、ジョー氏はインドネシアの小さな市や町が急速に追いついてきているという。「第2、第3レベルの都市たちが猛追しています。そうなれば私たちの潜在能力が発揮されて、デジタルエコシステムの超々大規模成長が見られることになるでしょう」。

ジョー氏は、Ajaibのようにより優れたマネタイズプランや戦略、より強力なファンダメンタルズを早い段階で示すスタートアップが現れ始めているという。これにより、イグジットが明確になり、より多くの投資家が地域に集まってくることになる。

チャン氏は「私たちはAjaibの最初の機関投資家でしたが、創業者たちは当初から、ユーザーを獲得するためにお金を使うだけではなく、非常に強いファンダメンタルズを打ち立てるために努力をしていました」という。

IFCの東アジア・太平洋地域担当ディレクターのKim-See Lim(キムシー・リム)氏は、Alpha JWCの第3号ファンドへのIFCの投資に関する声明の中で「IFCとAlpha JWC Venturesとのパートナーシップは、インドネシアの経済発展とデジタルトランスフォーメーションに対する我々の長期的なコミットメントを明確にするものです」と述べている。

関連記事:Predicting the next wave of Southeast Asia tech giants

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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)

科学者である創業者たちに議決権を譲渡するアクセラレーターかつファンドのSciFounders

2021年1月に600万ドル(約6億8000万円)の支援を受けて設立された、アクセラレータープログラムかつファンドのSciFounders(サイファウンダーズ)が、科学者である創業者たちが自分の会社を経営することを支援する新しい提案をしている。通常は投資にともなって得られる議決権を、投資対象の一部のチームに与える計画を立てているという。

なぜそれが重要なのだろうか?まあ、いろいろな意味で時代の流れを感じる。ベンチャーキャピタルは創業者に多くの要求をすることで知られてきたが、その一方でここ数年はトップの座を維持するためにあらゆる努力をしている。新しいオフィスを開設したり、独自の編集部門を設けたり、記録的な速さでタームシートを提供したり、資金調達を完了した直後の創業者への各種チェックを免除したりという具合だ。このため創業者は運転席に悠々と座ってきた。

しかし、SciFoundersの共同創業者であるMatt Krisiloff(マット・クリシロフ)氏は、SciFoundersの考えにはそれ以上のものがあるという。SciFoundersは、学界で満足できるポジションを得られない博士号取得者の増加に対応するために2021年設立された組織だ。

クリシロフ氏自身も、幹細胞を人間の卵子に変換するバイオテック企業Conception(コンセプション)を創業者として経営を行っているが、特にバイオテック企業の創業者たちが会社をコントロールできなくなるのを見るのはうんざりだと語る。

クリシロフ氏は「こうしたスタートアップ企業は、非常に多くの資本を必要とするため、このようなことが頻発するのです」と指摘する。「ソフトウェア企業なら数千ドル(数十万円)のプレシード資金でを立ち上げることができますが、ライフサイエンス企業の場合はおそらく数百万ドル(数億円)の資金が必要です」。このため創業者にとっての状況はいとも簡単に変わってしまい、所有権も発言権も弱められてしまうのだ。

彼の組織が望んでいるのは、科学者たちがより多くの力を発揮できるようにすることであり、それがSciFoundersから提供できるなら望むところだ。クリシロフ氏は「ソフトウェアの世界でStripe(ストライプ)のCollison(コリソン)兄弟やAirbnb(エアービーアンドビー)の創業者が自分の会社を取り仕切っているように、科学者が『私たちがすべてを担当する一級市民です』と言えることは、長期的にはすばらしいことだと考えています。私たちは、科学者の創業者の世界にも、そのようなことが広く行われるようにしたいと考えているのです」と語る。

SciFoundersは、これまでに7社に40万ドル(約4550万円)を提供し。10%の株式と引き換えにメンターシップを提供してきたが、この規模の企業が与えられる影響は限られている。

会社の課題について少なくとも発言権を持つことができる、議決権という現在のリミテッドパートナーが自由に使える数少ない手段を手放すようなVCに、賛同するパートナーはあまりいないだろうと私たちが言っても、クリシロフ氏がたじろぐ様子はなかった。

その動きをどこかで始めなければならないと彼は考えているのだ。さらに、SciFoundersは、学術関係者がこれまで受けてきたよりも多くの助言を行うことで、すでに神経を逆なでしていると考えている。クリシロフ氏によると、現在SciFoundersが支援しているのは7つのチームだが「イテレーションサイクルには非常に長い時間がかかる」ため、アクティブな支援は最長で1年間を予定している。その一方で、現在1000件以上の応募を抱えているが、その多くはツイッターでSciFoundersのローンチを告知した後に到着したものだ。

SciFoundersは、Y Combinator(Yコンビネーター)と提携して研究プロジェクトのポートフォリオを運営していたクリシロフ氏に加えて、分子生物学者でGenentech(ジェネンテック)の博士研究員だったAlexander Schubert(アレクサンダー・シューベルト)氏と、Mammoth Biosciences(マンモス・バイオサイエンス)の共同創業者で最高科学責任者のLucas Harrington(ルーカス・ハリントン)氏が共同で設立した。

ハリントン氏とMammoth Biosciencesを創業した、他の3人の共同創業者の中には、CRISPR-Cas(クリスパー・キャス)ゲノム編集技術の発明者であるJennifer Doudna(ジェニファー・ダウドナ)氏がいる。ダウドナ氏は長年の共同研究者であるEmmanuelle Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)氏とともに2020年ノーベル化学賞を受賞した。

画像クレジット:Andrew Brookes/Cultura/Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:sako)

Walden Catalystがディープテック系スタートアップに投資する約628億円のファンドを設立

Walden Catalystの創業者(左)リップ・ブー・タン氏と(右)ヨン・ソーン氏。

過去20年間、ディープテック(世界を変えるようなビジネスを構築するための科学技術関連のブレークスルー)からの資本の逃避が続いていると、Walden Catalyst(ウォールデン・カタリスト)は述べている。このベンチャーキャピタル(VC)は、データを「燃料」、AIを「エンジン」として、それらが人々の生活、仕事、遊び方を変革する能力を信じている。

Lip-Bu Tan(リップ・ブー・タン)氏とYoung Sohn(ヨン・ソーン)氏は、アーリーステージのディープテック企業、具体的にはビッグデータ、AI、半導体、クラウド、デジタルバイオロジーなどに投資するためにこのファンドを設立したと、Walden Catalystのマネージングパートナーであるソーン氏はTechCrunchに語っている。

サンフランシスコを拠点とするこのVCは、米国時間11月1日、申し込み過多となった5億5000万ドル(約628億円)のファンドのクロージングを発表した。同VCは、リミテッドパートナーの名前を公表していない。

半導体、クラウド、エレクトロニクス業界全体で実績のあるソーン氏とタン氏は、Zoom(ズーム)、Inphi(インフィ)、Berkeley Lights(バークレーライト)、Habana(ハバナ)、Nuvia(ヌビア)など、多くのテック企業に初期投資を行ってきた。

「Walden Catalystは、2021年初頭に設立された新しいファンドですが、Walden International(ウォールデン・インターナショナル)やSamsung Catalyst Fund(サムスン・カタリスト・ファンド)からの強力な遺伝子があります」。と語るのは、以前、Samsung Electronicsでコーポレート・プレジデント兼チーフ・ストラテジー・オフィサーの役職に就いていたソーン氏だ。タン氏は、Walden Internationalの創業者兼会長でもある。

Walden Catalystは、米国、欧州、イスラエルに焦点を当てている。これは、これらの3つの地域から、関心のあるディープテック分野で一貫したブレークスルーが見られるからだとヨン氏はいう。また、Walden Catalystのパートナーは、過去数十年にわたってディープテック産業に投資してきたことで、これらの国に深いネットワークを持っており、Waldenがトップの起業家を惹きつける画期的なアイデアを見つけるのに役立っているとヨン氏は付け加えた。

現在までに、Walden Catalystは、米国で3社、イスラエルで2社、EUで1社の計6社のディープテック関連のスタートアップ企業に投資している、とヨン氏は続けた。Walden Catalystのポートフォリオ企業には、Speedata(スピーダータ)、MindsDB(マインズDB)、AI21 Labs(AI21ラボ)の他、現在ステルスモードの他3社が含まれていると述べている。同社の最初のチケットサイズは、1ラウンドで数百万ドル(数億円)から2500万ドル(約28億5000万円)までとなっているとヨン氏は語った。

「データは絵を描きます。それは、情報を提供し、啓発するストーリーを語るものです。世界のデータ量は2年ごとに倍増し続けていますが、分析されているのは全データの約2%に過ぎず、意味のある洞察を集めるためにできることはたくさんあります。データの爆発的な増加を捉え、最終的に世界を変えるであろう、米国、欧州、イスラエルの次世代のディープテック起業家たちと協力できることに、私たちは興奮し、光栄に思います」。とソーン氏は述べている。

Shankar Chandran(シャンカール・チャンドラン)氏、Roni Hefetz(ロニ・ヘフェッツ)氏、Francis Ho(フランシス・ホー)氏、Andrew Kau(アンドリュー・カウ)氏の4人の追加パートナーによるチームは、ディープテック分野での投資やエグジットに関して数十年の経験を有している。

Walden Catalystは、事業運営と投資の経験を活かして、初期段階の起業家が次世代のビジネスを構築する際に、迅速なスケールアップとイノベーションを支援することを目指している。同社は、起業家こそが経済成長とイノベーションの中心であると考えている。

「私たちは、業界の次の波を担う夢想家たちと協力して、彼ら(起業家)がイノベーションを起こし、成長を加速するのを支援できることを楽しみにしています。起業家は我々の未来のエンジンであり、Walden Catalystはその旅を共有し、まだ到来していない多くの驚くべきブレイクスルーを支援するために設立されました」とタン氏は述べている。

Walden Catalyst は、国連の持続可能な開発目標に沿ったグローバルな課題に取り組む起業家を対象としたスタートアップコンテストであるエクストリーム・テック・チャレンジ(XTC)と密接な関係にある。Walden Catalystは、地球に意味のある影響を与えながら大規模なスケールに到達できる、次のすばらしい破壊的スタートアップ企業を見つけるというXTCのミッションを共有している。

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇12月2、3日にオンラインで開催される「TechCrunch Tokyo 2021」。本年度は、期間中、7つのテーマで国内・海外のスピーカーを招いたセッションが行われる。

そのうち「国内VCトレンド解説」をテーマにしたセッションでは、エイトローズ・ベンチャーズ・ジャパンのDavid Milstein氏、インキュベイトファンドの村田祐介氏、グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一氏の3名が登壇する。

David Milstein氏(エイトローズ・ベンチャーズ・ジャパン Managing Partner/Head of Japan)

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇

David Milstein氏(エイトローズ・ベンチャーズ・ジャパン Managing Partner/Head of Japan)

エイトローズ・ベンチャーズ・ジャパンは、アジア、ヨーロッパ、イスラエル、米国などに投資するチームを抱えるエイトローズ・ベンチャーズの日本法人。同社では、テクノロジー、フィンテック、ヘルスケア、最先端技術の4つの投資領域で、日本の野心的な創業者への投資を実施している。

Managing Partner/Head of JapanのDavid Milstein氏は、1995年よりM&Aコンサルティング会社を起業し、テクノロジー、金融系企業の買収のアドバイザリを行う。2000年、フィデリティ・ベンチャーズ日本オフィス代表として主に国内IT企業のベンチャーキャピタル投資と海外投資先企業の日本市場へのエントリ支援を行う。

2003年から、ウォルト・ディズニー・ジャパンの日本・アジアパシフィックにおける事業開発のコンサルティングに従事。2005年ウォルト・ディズニー・ジャパン入社。ディズニー・モバイルの携帯電話サービスを開始の責任者として事業計画からオペレーションを統括。2010年、ディズニー・インタラクティブ・メディア・グループ ゼネラルマネージャーに就任。

2012年4月よりフィデリティ・キャピタル・マネジメント日本支店(現Eight Roads Ventures Japan)の代表を務める。米国ペンシルバニア大学卒業。ハーバードビジネススクールにてMBA取得。

村田祐介氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇

村田祐介氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)

インキュベイトファンドは、創業来総額620億円以上の資金を運用し、関連ファンドを通じて400社以上のスタートアップへ投資活動を行うなど、プレシードおよびシードステージといった創業初期への投資に特化したベンチャーキャピタル。また、より創業期に近い起業家との接点として、2010年からシードアクセラレーションプログラム「Incubate Camp」を運営している。

代表パートナーの村田祐介氏は、2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ(現:大和企業投資)へ入社。2008年より同社ネット系スタートアップの投資責任者を務めた後、2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。2015年より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)企画部長を兼務、その他ファンドエコシステム委員会委員長やLPリレーション部会部会長などを歴任している。

高宮慎一氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇

高宮慎一氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)

グロービス・キャピタル・パートナーズは、創業段階および成長段階の起業家・スタートアップ企業に、事業資金の提供のみならず、企業成長のために必要となる「ヒト(人材)」「カネ(資金)」「チエ(経営ノウハウ)」 を総合的に支援する日本初の本格的ハンズオン型ベンチャーキャピタルとして1996年に設立。

代表パートナーの高宮慎一氏は、Forbesベンチャー投資家ランキングにおいて2018年1位、2015年7位、2020年10位を受賞。投資先に社外取締役として参画し、ハンズオンで事業成長を支援。アーサー・D・リトル、ハーバードMBAを経てGCPに参画。東京大学経済学部卒。

投資先実績は、IPOではアイスタイル、オークファン、カヤック、ピクスタ、メルカリ、ランサーズなど。M&Aについてはしまうまプリントシステム、ナナピ、クービックなどがある。アクティブな投資先は、ビーバー、タイマーズ、ミラティブ、ファストドクター、グラシア、アル、MyDearestなど。

「TechCrunch Tokyo 2021」は、すでに参加者チケットを発売中だ。参加者チケットは2日間の通し券で、他の講演はもちろん新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」もオンラインで楽しむことができる。本講演は英語でのセッションとなるが、日本語の字幕が入る。

チケット購入

本記事執筆時点では「早割チケット」は税込3500円、2021年12月31日までアーカイブ配信も視聴できる「早割チケット プレミアム」は税込3500円となっている。また、スタートアップ向けのチケット(バーチャルブース+チケット4枚セット)は後日販売予定だ。

オンラインでの開催で場所を問わず参加できるため、気になる基調講演を選んで視聴することもしやすいはず。奮ってご参加いただければ幸いだ。

ファンド組成に必要な文書のための無料テンプレートをVC Labが提供

昨今、資金豊富なスタートアップが少なくないのかもしれない。しかし、多くの企業はそうではないというだろう。ベンチャーキャピタルのためのアクセラレーターであるVC Labは、世界中に投資する投資家を生み出したいと考えている。

この目標達成の前に立ちはだかる初歩的なハードルは、新ファンド設立に必要となる標準的なペーパーワークだ。現状では、専門の弁護士が必要で、それにかかる時間は金額にして、ファンド設立ごとに10万ドル(約1140万円)以上かかることもある。

VC Labは無料で使えるテンプレートを提供している。プロセスを合理化して時間と費用を節約し、ファンドというガバナンス構造をより身近なものにすることを目的としている。

「VC Labでは、世界中のジェネラルパートナーがファンドを立ち上げています」と共同創業者のAdeo Ressi(アデオ・レシ)氏は説明する。「直近のコホートには中央アジア、アフリカ、その他想像できるあらゆる場所を含む62カ国のベンチャー投資家が参加しました」。

投資家はリーガルコストを最小限にしたい。

「ベンチャーキャピタルに入る新しいマネージャーは、変革への情熱を持っています。新しいファンドは非常に焦点を絞ったテーマを持っていることが多く、通常、規模も小さい。彼らは、自分たちが関わる企業を何としても成功させたいと考えます。小さな意思決定のたびに、200~400ページもの契約書は要りません。彼らが必要としているのは、無駄のない、軽い、使いやすい契約書なのです」。

VC LabがCornerstoneと呼ぶこのパッケージは、タームシート、出資契約、LPA(およびユーザーガイド)を含む33ページの短いものだ。似たようなファンド組成文書は、通常、数百ページにも及ぶ。

「ファンド組成文書はバカバカしいほど複雑であり、見直しが必要であるという認識が広まっています」と新パッケージの共同執筆者であるHans Kim(ハンス・キム)氏はいう。同氏はシリコンバレーで長年、スタートアップ専門の弁護士を務めた。「私のクライアントの中には、お金を稼いだら、その資金を投資に使いたいと考えている創業者がたくさんいます。個人で行うエンジェル投資よりも真剣に考えるようになると、ファンド組成の弁護士を紹介されます。ただし、料金を見ると考え直さざるを得ません」。

共同執筆者であるGora LLCのRich Gora(リッチ・ゴラ)氏によると、定義リストの簡素化、管理費に関するセクションの簡素化、リミテッドオペレーターモードのトリガーなどの改善がなされた。現行の文書は、米国でのファンド設立に関して詳細を定めるが、カナダ、オランダ、シンガポールなど、需要がある他国版も予定されている。

ゴラ氏は、さまざまな投資家と仕事をする機会があるファンド設立弁護士として、ビジネスに関わる人がビジネス上の問題を平易な言葉で解決できるようにすることが目的だという。双方が合意したい内容を話し合った後、同氏のような専門家に文書を持ち込めば最終化してもらえる。

「この10カ月の間に、私たちはあらゆる業界のLP契約を見て回りました。20行にもなるコンセプトを3行にまとめました。コンセプトはそのままに、弁護士独特の言葉を排除しました」。

レシ氏は、この新しい文書によって、導入するLPの数などにもよるが、リーガルコストを半分以上カットできると見積もる。また、ファンド組成の専門知識を持つ弁護士が不足しているとも指摘する。標準的な文書を提供することで、プロセスをスピードアップし、世界のベンチャーキャピタルのエコシステムをより早く発展させることができる。

VC Labは、世界的なスタートアップアクセラレーターであるFounder Institute内に設立され、すでにスタートアップのエコシステムにこの分野で貢献している。約9年前には、コンバーチブルノートから負債の要素を取り除いた、SAFEノートの先駆けとなるコンバーチブルエクイティという概念の開発を支援した。

「私たちは、すべてのボトルネックを取り除く必要があると考えています」とレシ氏はスタートアップ投資について話した。「そうすれば、世界中で新しいVCや新しいLPが爆発的に増え、このアセットクラスに参入してくるでしょう。世界のどこにいても、世界をより良くするためのアイデアを追求し、それを実現するために必要なリソースを見つけることができれば、人類にとって本当の意味でのポジティブな変化が生まれるでしょう。残念ながら、今はそうなっていません」。

画像クレジット:Nattawat-Nat / Getty Images under a license.

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(文:Eric Eldon、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクグループが中南米で投資を拡大、約3290億円のファンド第2弾を発表

ソフトバンクグループは中南米への投資を拡大する。

日本の投資コングロマリットであるソフトバンクグループは9月14日、中南米のテック企業に照準を当てた2つめのプライベート投資ファンドSoftBank Latin America Fund II(ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドII)を発表した。さしあたり30億ドル(約3290億円)のファンドを新たに立ち上げる。

「ファンドIIは追加の資金調達も検討します」と同社は声明で述べている。

新たなファンドは、2019年3月に発表された50億ドル(約5480億円)のラテンアメリカ・ファンドに続くものだ。この第1号ファンドの初期規模は20億ドル(約2190億円)で、当初はInnovation Fund(イノベーション・ファンド)と呼ばれていた。

ソフトバンクによると、第1号ファンドでは6月30日時点で69億ドル(約7565億円)の価値がある計48の企業に35億ドル(約3840億円)を投資し、正味IRR(内部収益率)は85%となった。同社はこのファンドからユニコーン企業15社に投資した。ここには不動産テックスタートアップのQuintoAndarRappiMercado BitcoinGympassMadeiraMadeiraなどが含まれる。直近ではアルゼンチンの個人ファイナンス管理アプリUaláの3億5000万ドル(約380億円)のシリーズDを共同でリードした。

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ソフトバンクはまた、ポートフォリオ企業の「かなりの価値の上昇」に接したとも語る。例えばKavakとVTEXの価値は4.4倍に、QuintoAndarは2.6倍に、Banco Interは3.5倍になった(いずれも6月30日時点)。

ソフトバンクはブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア、アルゼンチン、エクアドルなど中南米全域の企業に投資してきた。

ソフトバンクグループの副社長執行役員でCOOのMarcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏がソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドを率い、マネージングパートナーのShu Nyatta(シュー・ニアッタ)氏とPaulo Passoni(パウロ・パッソーニ)氏が同地域の投資チームをまとめている。オペレーティング・パートナーでソフトバンク・ブラジルのトップ、Alex Szapiro(アレックス・シャピロ)氏がファンドの運用チームを率いる。

投資と運用のチームは計60人を超え、マイアミ、サンパウロ、メキシコシティに散らばっている。

ファンドIIはテクノロジーを活用している同地域のあらゆる産業の企業に投資する。シードから公開までさまざまなステージの企業を対象とし、中でもeコマース、デジタル金融サービス、ヘルスケア、教育、ブロックチェーン、法人ソフトウェアなどの分野にフォーカスする。

声明文の中でソフトバンクの代表取締役会長兼CEOの孫正義氏は、中南米を「世界で最も重要な経済地域の1つ」と表現した。

「ソフトバンクは、中南米の何億もの人々の益となるテクノロジーの浸透を引き続き推進します」と孫氏は述べた。「中南米ではかなりのイノベーションとディスラプションが起こっており、中南米におけるビジネスの機運はこれまでになく高まっていると確信しています。中南米は当社の戦略で重要な部分を占めます。だからこそプレゼンスを広げ、マルセロの指揮のもとに投資規模を拡大します」。

クラウレ氏は、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの成功とリターンが同社の予想を「はるかに超えた」と述べた。今後の展望として、2022年は中南米の歴史の中で「最大のIPOイヤー」になる、と同氏は予想している。

TechCrunchは2021年初め、なぜグローバルの投資家が中南米に押し寄せているのかについて取り上げた。当時、ニアッタ氏は中南米のテクノロジーはどちらかというとディスラプションではなくインクルージョンだと筆者に語った。

「人口の大多数は消費のほぼ全部門で十分なサービスを受けられていません。同様に、ほとんどの企業が現代のソフトウェアソリューションのサービスを十分に提供されていません」とニアッタ氏は説明した。「多くの人、企業のために構築する余地がかなりあります。サンフランシスコではベンチャーエコシステムはすでに未来に住んでいる個人や企業のためにほんの少し暮らしを良いものにします。中南米では、テック起業家はあらゆる人の未来を構築しているのです」。

画像クレジット:abzee / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

プラットフォーム化を目指すZoomが約110億円の同社ファンドから資金を受けるスタートアップを発表

1年以上前からZoom(ズーム)は、アプリケーションからプラットフォームへの転換をミッションとしてきた。そのために同社は、この1年間で3つの発表を行った。Zoom Apps(ズーム・アプス)開発ツールZoom App Marketplace(ズーム・アップ・マーケットプレイス)、そして、Zoomのプラットフォーム上でツールを開発する有望なスタートアップ企業に投資する1億ドル(約110億円)の開発ファンドだ。米国時間8月30日、同社は第1回目の投資を締め切ったことを発表した。

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Zoom Appsとその統合における製品責任者を務めるRoss Mayfield(ロス・メイフィールド)氏は、今回の投資ラウンドについて、TechCrunchに次のように述べている。「私たちはこのエコシステムを構築している過程にあります。このプラットフォーム上で優れたものを作り出すためには、起業家と協力してシードステージやAステージの企業に特に注力することが重要だと考えています。今回の第1回目となる十数件の投資は、今後も継続して行われる重要な事業を代表するものだと、私は考えています」と、同氏は説明した。

メイフィールド氏によれば、同社は正確な投資額は公表していないものの、各企業には25万ドル(約2750万円)から250万ドル(約2億7500万円)程度の小切手を振り出しているとのこと。Zoomは投資ラウンドを主導するわけではなく、他の投資パートナーとチームを組んでいる。しかし、これらのスタートアップ企業に協力していないわけではなく、資金以外にも社内のリソースを活用したアドバイスや、経営陣のバックアップを提供している。

「これらの投資先には必ず、その企業の役員やシニアスポンサーがついています。つまり、その土地のことをよく知っていて、彼らの成長を助け、個人的な時間を過ごせる人が社内にいるのです」と、メイフィールド氏はいう。

同社はまた、投資を受けたスタートアップが、お互いの企業やZoom Appsチームから学ぶために、いくつかのZoomチャットチャンネルを運営している。「スタートアップと私のチームの間で、共有のチャットチャンネルを設けています。アナウンスメントというチャンネル、ヘルプというチャンネル、そしてスタートアップ企業が作ったコミュニティというチャンネルもあります」と、メイフィールド氏は述べている。

彼らは毎週、これらのチャンネルを使って、開発者オフィスアワー、ビジネスオフィスアワー(メイフィールドが運営)、コミュニティアワーを開催し、スタートアップ企業が集まって好きなことを話し合えるようにしている。

投資を行う具体的なカテゴリーとしては「コラボレーションと生産性」「コミュニティとチャリティ」「DE&IとPeopleOps」「ゲームとエンターテインメント」がある。「コラボレーションと生産性」カテゴリーのWarmly(ウォームリー)は、会議に参加する各人の背景や情報を事前に提供したり、会議の主催者がイベントごとにカスタマイズしたZoom背景を作成できる営業ツールだ。

そしてFathom(ファゾム)は、ZOOM会議中にメモを取る必要性を減らすものだが、単なる録音や文字起こしをするツールではない。「Fathomは、シンプルなインターフェースで、会議中のある瞬間にタグ付けすることができます。その結果、録画された動画の議事録ができあがります。タグ付けされた瞬間をクリックすると、それがハイライトとして表示され、会議のハイライトのクリップを、Salesforce(セールスフォース)やSlack(スラック)などで共有することが可能です」と、メイフィールドは説明する。

Pledge(プレッジ)は、個人や組織がZoomミーティング内で即座に寄付を依頼し、集めることを可能にする。Canvas(キャンバス)は、企業がDEI目標を設定・達成するためのデータに則り、多様なチーム作りを支援する採用・面接ツールだ。

このファンドの第一次投資の対象となったのは、これらのような企業だ。メイフィールド氏は、今後もZoomプラットフォームを利用するスタートアップを探して、自社のスタートアップを構築したり、Zoomとの統合を進めていくと述べている。

どんな会社も、まずは機能から始まり、そして製品になり、やがて製品のラインアップを目指すと、メイフィールド氏はいう。成功の秘訣は、それを着実に進めていくことだ。この投資プログラムやZoom Appsのツール群の目的は、こうした企業が最初の一歩を踏み出す手助けをすることにある。

「起業家としての技術とは、リソースがない中でそのリスクに対処し、自分の知っていることの最前線を突き進むことです」。Zoomはその旅におけるロールモデルであり、メンターであり、投資家でありたいと考えている。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クリス・サッカ氏の気候変動対策ファンド「Lowercarbon Capital」が880億円を集める

クライメートテックに特化するファンドのLowercarbon Capital(ローワーカーボンキャピタル)が8億ドル(約880億円)の調達を完了したと8月13日にサイト上で発表した。同ファンドは、長年の投資家であるChris Sacca(クリス・サッカ)氏とその妻Crystal Sacca(クリスタル・サッカ)氏が設立した。

サッカ氏によると、資金調達は非常に早く、「わずか数日」で完了した。「未曾有の熱波の中で、そして火事の煙が立ち込める中で、気候変動対策ファンドの募集を行ったことは、おそらく悪いことではなかったと思います。それどころか、そうした全ての汚染は、私たちのズームコールに温かく美しいもやを運んだのかもしれません。Incendiary Doom Glowインスタフィルターのように」

関心が寄せられていることは驚くべきことではない。気温の上昇により、人類の生命が危機に瀕していることを示す、かなり明白な証拠が積み重なっているからだ。西ドイツと中国の洪水、ギリシャとカリフォルニアの山火事、そして太平洋岸北西部の人々が現在備える更なる熱波に先立ち、国連の気候科学研究グループが8月9日に発表した新しい報告書は、現状を明確に示し、「人類にとっての非常事態」を宣言した。

確かに、Lowercarbonの投資家の中には、こうした傾向を少しでも変えようとする技術に興味を持っている人もいるだろう。しかし、サッカ氏が言うように、彼らが注目しているものが、気候変動に取り組む技術がもたらす金銭的な報酬であって構わないだろう。

「私たちは、多くの投資家が気候危機の緊急性を理解し、真の解決策のために資金だけでなく時間も捧げていることに感激しています」とサッカ氏は投稿で語っている。「しかし、率直に言うと、実際には地球のことをそれほど気にせず、金銭的なリターンだけを追い求めている投資家の方々にも心を動かされました」

Lowercarbonが掲げる仮説は、「大規模な変化が起こるのは、ビジネス上の理由だけでそうした投資が回収されるから」というものだと同氏は付け加えている。

サッカ夫妻に加えて、Lowercarbonを運営するのは、ニューヨーク州ブルックリンを拠点とするパートナーのClay Dumas(クレイ・デュマス)氏だ。ファンドは同氏をLowercarbonの中で最も積極的な投資家だと説明している。ハーバード大学を卒業した同氏は、ベンチャーの世界に長く身を置いていたわけではない。2017年にサッカ氏と合流し、サッカ氏の前のファンドであるLowercase Capital(ローワーケースキャピタル)にパートナーとして参加したのが最初だった。デュマス氏は「伝統的」なVCとは異なり政治の世界を理解している。

2008年にBarack Obama(バラク・オバマ)氏の選挙運動のために現場事務所を開設した後、ホワイトハウスで当時の副参謀長の補佐官を務め、その後(再びホワイトハウスの)デジタル戦略室で勤務した。

Lowercarbonがこれまでに行った数十件の投資には、Heart Aerospace(スウェーデン・ヨーテボリを拠点とし、地域間輸送電気旅客機の開発に取り組む創業3年目のスタートアップで、Lowercarbonがシート資金を投資し、最近では追加投資も行った)、Holy Grail(米国カリフォルニア州マウンテンビューを拠点とし、大気から二酸化炭素を取り込む小型でモジュール式の機器の試作品開発に取り組む創業2年目のスタートアップで、6月にシードラウンドを発表した)、Cervest(ロンドンを拠点とする創業6年目の気候リスクプラットフォームで、事業会社と政府機関に対し、複合的な気象リスクが所有資産に与える影響について、現在や過去の、さらに予測的な見解を提供していおり、直近では5月に3000万ドル=約33億円=を調達した)などがある。

サッカ氏は、Twitter(ツイッター)やUber(ウーバー)への初期の巨額投資で有名になった。人気テレビ番組「Shark Tank」の審査員を数シーズン務めたが、2017年に番組を、そしてベンチャーキャピタルを辞め、「40歳で引退するつもりだった」と語った。当時、彼は42歳だった。

サッカ氏は、気候変動への関心が高まり、政治家が気候変動を食い止められるという確信が持てなくなったため、自身の決断を見直すことにした。3月、同氏はフォーブス誌にこう語った。「私たちは、市場が地球を救う鍵を握っているのではないかと考えています」

昨年6月のAxiosの報道によると、Lowercarbonは当初、数千万ドル(数十億円)の資金を投入するファミリーオフィスとして設立された。昨年半ばの時点で外部から受け入れてた資金は「サッカ氏が以前に運営していたファンドの機関投資家といくつかの特別目的会社」だけだったという。

新たに得た8億ドル(約880億円)の投資資金を4つのファンドに分け、Sacca & Co.は完全に仕事を再開したようだ。来月開催のTechCrunch Disruptで実際にサッカ氏に話を聞く予定だ。

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画像クレジット:Chris Sacca

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

BMW i Venturesが持続可能な技術への投資を目的とした約336億円の新ファンドを発表

BMWグループのベンチャーキャピタル部門であるBMW i Venturesは、輸送、製造、サプライチェーンをより持続可能にする技術への投資を促進するため、新たに3億ドル(約336億円)のファンドを設立するとを発表した。

このファンドは、従来のコーポレートベンチャーキャピタルとしては運営されておらず、ドイツの自動車メーカーであるBMWの全面的な支援を受けながら、BMWから独立して活動している。2016年のシリコンバレー移転時に発表した1つ前の5億ユーロ(約660億円)のファンドは、新規投資の期間が終了した。今後、新規投資はファンドIIから行われる。

ファンドIでは、自律走行車やデジタル車両技術、カスタマーエクスペリエンス、先進的な生産に重点を置いていた。例えば、先週、BMW i Venturesからの投資を発表した自律走行トラックのKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)は、このファンドの投資先だった。ファンドIIでは、自動車のコア技術に特化して投資するのではなく、自動車の設計、製造、製造に至るすべての分野で、持続可能性とゼロエミッションをさらに重視していく。

「持続可能なサプライチェーンは、我々が今、本当に関心を寄せていることの1つです」と、BMW i VenturesのマネージングパートナーであるMarcus Behrendt(マーカス・ベーレント)氏はTechCrunchに話した。「BMWは二酸化炭素排出量を大幅に削減したいと発表しました。そのため、自動車からの排出だけでなく、自動車の製造や開発の際に発生する排出も含めて、あらゆる形態の二酸化炭素排出を視野に検討しています」。

BMW i Venturesは、2019年末にこうした持続可能な投資に足を踏み入れ始め、スマートな電気モーターシステムを開発しているTurntide Technologies、固体電池技術のSolid Power、金属産業の脱炭素化を目指すBoston Metalに投資した。ベーレント氏によれば、最近の投資はファンドIIがもたらすものを示唆している。新ファンドの最初の投資先は、英国の中古車販売会社であるMotorwayだ。

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「我々には今、2つの目標があります。第1は財務的な目標で、これは我々の最も重要な原動力です」と、BMW i VenturesのマネージングパートナーであるKasper Sage(カスパー・セイジ)氏はTechCrunchに語った。「世の中のコーポレートベンチャーキャピタルには、投資収益率を気にせず、投資にともなう事業上の取引から利益を得ようとするところもありますが、それは実際には投資先のビジネスを傷つける可能性があります。我々の目標は、その会社をできる限り成功させることです」。

第2の目標は「母艦」であるミュンヘンのBMWグループに戦略的価値を提供することだ。主にアーリーステージの企業に投資することで、早期に市場のシグナルをつかみ、それをBMWに伝えることができる。

「場合によっては、こういう新しい技術が存在し、あなたにも関係のあることかもしれないということを認識してもらうだけです」とセイジ氏はいう。「例えば、当社はLimeに投資しましたが、これはマイクロモビリティであり、自動車との接点はありません。しかし、これは人々がAからBへ移動する方法に関する未来の一部であることを理解することが重要です」。

ベーレント氏とセージ氏はいずれも、BMW i Venturesは投資先を買収する意図はなく、将来的にBMWや他の業界と協力できる可能性の高い企業を見つけるために最前線に立っていたいと話した。

セイジ氏によると、同社はこれまでに12社のイグジットを行い、加えて現時点で6社の上場企業と、最近S-1を申請し、間もなく上場する予定の1社に投資しているという。

「投資をするのに会社の賛同は必要ありません」とベーレント氏はいう。「デューデリジェンスのためにエンジニアに相談したり、他のスタートアップとつながりを持ったりしています。我々は両方の良いところを組み合わせようとしています。つまり、当社はファイナンシャルVCのように行動し、取締役会に席を確保し、ラウンドをリードし、迅速な決断を下すことができます。また、当社は組織内のあらゆるコネクションを企業に提供しています」。

BMW i Venturesが投資するスタートアップ企業は、BMWのエンジニアや社員とのネットワークを築くことができ、また、自動車のエコシステムがどのように機能するかをレガシー企業から学ぶことができるというメリットがある。ベーレント氏によると、Solid Powerのように技術の確立がさらに4、5年先になる企業の場合、BMWの事業部門との間に、そうした企業の成長を支援する強い協力関係があるという。

「これはWin-Winの状況です」とベーレント氏は話す。「当社は彼らを紹介し、会社に連れて行きます。彼らは適切なエンジニアと話をすることになります。契約を獲得できるという保証はありませんが、一緒に仕事をして、模索して、サポートを得て、もしかしたらすばやい解決策で助けてくれるかもしれません」。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:BMW持続可能性二酸化炭素排出量二酸化炭素投資ファンド

画像クレジット:MW i Ventures

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi