ナイジェリアのEdTechスタートアップTeesasがプレシードラウンドで約1.82億調達

自身の会社Imose Technologies(イモセ・テクノロジーズ)で7年間電子機器製造に携わった後、Osayi Izedonmwen(オサイ・イゼドンムウェン)氏は、以前から温めていたアイデアを実現するために休暇を取り、ナイジェリアでビデオ授業やその他のデジタル教材を提供するEdTechスタートアップ、Teesas(ティーサス)を立ち上げた。

立ち上げからまだ2カ月も経っていないTeesasは、160万ドル(約1億8200万円)のプレシード資金調達に成功したほど、急成長している。イゼドンムウェン氏は、この出資をもとに、新市場への進出を予定している。学習者と個人授業のチューターをつなぐマーケットプレイスの立ち上げ、製品ラインナップの拡充だ。

「2021年8月頃からベータテストを開始し、11月にAndroid版を本格的にローンチしました。すでにTeesasはGoogle Playストアで15万回以上ダウンロードされており、毎週少なくとも20%ずつ成長しています」とイゼドンムウェン氏はTechCrunchに語った。

Teesasのコンテンツはナイジェリアの国家カリキュラムに沿ったもので、月額6ドル(約680円)からのサブスクで、ライブと録画の両方の形式で学習者に配信されている。通常の学校の授業に加え、現地の言語クラスも提供している。

「ライブ授業では、学習者が苦手とする概念を扱います。学習者は10人、15人という少人数の遠隔授業で先生と一緒に授業を受けるので、個人的な取り組みができ、授業もより厳格になります」とイゼドンムウェン氏はいう。

近い将来、Teesasは12歳までの学習者向けにフルカリキュラムのモジュールを提供する予定だ。

「アプリで全カリキュラムをカバーし、中学受験の準備を整えることができるため、子どもたちが対面式の授業に出席する必要がなくなる未来を予見しています」と彼は述べた。

またTeesasは、2022年前半に学習者が自己発見するための準備をするライフスキルのクラスも導入する予定だ。これは、ナイジェリアではいじめが多発しており、死に至るケースもあることから、いじめ防止のための授業に加えられる。

Teesasは今後、チューターのマーケットプレイスを立ち上げ、フランス語圏、東アフリカ、南部アフリカの新市場への参入を計画している。

Teesasは今後、チューターのマーケットプレイスを立ち上げ、フランス語圏、東アフリカ、南部アフリカの新市場への参入を計画している(画像クレジット:Teesas)

製品開発

Teesasの開発は2020年3月に始まり、プラットフォームの設計と開発には、インドの同業他社のEdTechを大いに参考にし、コンテンツ構成やレッスン提供のベンチマークとした。

「インドに目をつけたのは、Byju(ビジュ)のような大企業がEdTech革命を起こしている先進的な国だからです。実際に現地に行き、時間をかけてモデルを理解し、彼らがやっていることを改善する機会も探しました。そして私たちは土着的適応を試みました」と彼はいう。

彼がここで触れた適応とは、その土地の芸術、食物、動物、文化的慣習、言語などを利用して、学習プロセスを補完することだ。

イゼドンムウェン氏は現在、TeesasのCEOを務める傍ら、携帯電話、タブレット端末、インターネットルーター、ノートパソコンなどの電子機器の製造・組み立てを行うラゴスのテック企業、Imose Technologiesの会長も続けている。

「Teesasは、アフリカの教育の未来に最も大きな影響を与えることになるでしょう。そして、その変革の先頭に立つために全力を尽くしたいと思っています。だからこそ、私はそれに完全に集中しています」と、イゼドンムウェン氏は述べ、次の計画の一部として、フランス語圏、東部および南部アフリカの新市場への参入を確認した。

Imose Technologiesを設立する以前、イゼドンムウェン氏はエンジニアとしての教育を受け、石油・ガス会社のExxonMobil(エクソンモービル)に15年間勤務し、出世し、ナイジェリアのオペレーション・マネージャーだった。

Teesasは、最近、新型コロナの追い風を受けて急成長しているアフリカの新興EdTech産業に賭けている投資家から資金を調達しているEdTechスタートアップの成長リストに加わった。

この分野では、ケニアのKidato(キダト)とCraydel(クレイデル)、ナイジェリアのEdukoya(エデュコヤ)とULesson(ユーレッスン)が新たなプレイヤーとして名を連ねている。

Teesasのラウンドは、Tolaram Group(トララム・グループ)のアフリカマネージングディレクターであるHaresh Aswani(ハレッシュ・アスワニ)氏が主導し、アフリカに特化したベンチャースタジオであるOlivegreen Advisory Partners(オリーブグリーン。アドバイサリー・パートナーズ)やその他のエンジェル投資家が参加している。

「私たちは、イゼドンムウェン氏とTeesasのチームが掲げているミッションを信じていますし、アフリカ全域で質の高い教育へのアクセスを向上させるためにテクノロジーを活用するという課題を解決するのに最も適していると確信しています」とアスワニ氏は述べている。

画像クレジット:Teesas founder and CEO Osayi Izedonmwen / Teesas

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(文:Annie Njanja、翻訳:Yuta Kaminishi)

シンガポールのエドテックDoyobiは教師を通じて子供たちのSTEM教育に貢献

EdTechブームは主に学生を対象としているが、教師も学ぶ者の1人だ。シンガポールを拠点とするプロフェッショナル開発プラットフォーム「Doyobi(ドヨービ)」は、教育者がSTEM科目(科学・技術・工学・数学)を教えるための新しい魅力的な方法を提供したいと考えている。このスタートアップ企業は米国時間10月21日、Monk’s Hill Ventures(モンクス・ヒル・ベンチャーズ)が主導したプレシリーズAの資金調達で、280万ドル(約3億2000万円)を調達したことを発表した。

今回のラウンドには、Tres Monos Capital(トレス・モノス・キャピタル)、Novus Paradigm Capital(ノーヴァス・パラダイム・キャピタル)、XA Network(XAネットワーク)の他、Carousell(カルーセル)の最高経営責任者であるQuek Siu Rui(クエック・シウ・ルイ)氏、Glints(グリンツ)の共同設立者であるOswald Yeo(オズワルド・ヨー)氏とSeah Ying Cong(シーア・イン・コン)氏、Grab Financial Group(グラブ・ファイナンシャル・グループ)の代表であるReuben Lai(リューベン・ライ)氏などのエンジェル投資家が参加した。

Doyobiのプラットフォームには、教師向けのトレーニングや生徒のためのインタラクティブなコンテンツが含まれており、現在は東南アジア、中東、アフリカの10カ国以上で約2000人の教師に利用されている。その中でも特に大きな市場は、インドネシアとフィリピンの2カ国だ。Doyobiは、教育プラットフォームであるLeap Surabaya(リープ・スラバヤ)やCoder Academy(コーダー・アカデミー)の他、HighScope Indonesia(ハイスコープ・インドネシア)、Mutiara Harapan Islamic School(ムティアラ・ハラパン・イスラミック・スクール)、Stella Gracia School(ステラ・グラシア・スクール)などの私立学校と提携している。

Doyobiは2020年、STEMに特化した教育プログラム「Saturday Kids(サタデー・キッズ)」からスピンオフして設立された。共同創業者兼CEOのJohn Tan(ジョン・タン)氏は、8年間運営してきたSaturday Kidsでは、世界中にSTEMスキルを学ぶ必要のある子どもが何百万人もいるにもかかわらず、年間数千人の生徒にしかリーチできていなかったと、TechCrunchに語った。

「学校で教えられていることと、子どもたちが将来の仕事に備えるために必要なこととの間には、大きなギャップがあります。好奇心、想像力、共感力は、読み書きや計算のスキルと同様に重要です」と、タン氏は述べている。「教師は学習成果を形成する上で非常に大きな役割を果たしているのに、ほとんどのEdTechイノベーションは教室にいる教師を完全に対象から外してしまっています」。

多くの政府が、経済成長におけるSTEMスキルの重要性を理解しているにもかかわらず、カリキュラムにSTEMスキルを組み込むことに苦労していると、同氏は付け加えた。Doyobiは教師を通して生徒にリーチすることで、この問題を解決したいと考えている。

Doyobiは、ライブビデオレッスンなどの教師向け啓発トレーニングに加えて、教育者が子どもたちと一緒に使える独自の仮想学習環境を構築した。これには、新しいスキルの実社会への応用、インタラクティブメディアの使用、Scratch(スクラッチ)を使ったコーディングプロジェクトなどが含まれており、生徒が授業で学んだことを強化することができる。DoyobiはTeachers As Humans(人間としての教師)というオンラインコミュニティも運営しており、そこでは教育者がピアサポート(同じ立場にいる人同士の相互サポート)を受けられる。

Doyobiは今回調達した資金を使って、教育者向けのコースを増やしたり、生徒向けのビデオ、クイズ、プロジェクトなどの教材をさらに充実させていく予定だ。

画像クレジット:Karl Tapales / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)