保育園ソフトの開発・乳幼児のデータ収集・研究と保育所事業を展開するエデュホールディングスが資金調達

保育園ソフトの開発・乳幼児のデータ収集・研究と保育所事業を展開するエデュホールディングスが資金調達

保育園ソフトウェアの開発、乳幼児のデータ収集・研究とともに保育所事業を運営するエデュホールディングスは12月8日、資金調達を発表した。引受先はプロサッカー選手遠藤航氏、エンジェル投資家の有安伸宏氏をはじめとする複数の個人投資家。

今回の資金調達を通じて、スマートエデュラ保育園の設備投資、プロダクト開発、優秀な人材の採用を加速。保育現場も徐々にIT化の流れが進んでいる中で、同社は単に紙業務をデジタル化するのではなく、保育の質を高めるための課題解決に邁進していく。また同社保育所は、2022年までに15園ほどの新規開園を予定。

保育園ソフトの開発・乳幼児のデータ収集・研究と保育所事業を展開するエデュホールディングスが資金調達

エデュホールディングスは、「主体性を育む」ことをミッションに掲げ、子どもの可能性を最大化するための保育の提供と、その実現に向けた環境を構築。

主観や感覚頼りとなる「人」起点の保育ではなく、子どもの気質や発達に応じた「データ」起点の保育を提供すべく、保育園というハードウェアを根本から見直し、アップデート可能なソフトウェアという同社「スマートエデュラ」が稼働するための技術開発を行っている。

具体的には、以下3点が主な特徴としている。

  • 高いデザイン性と地域の独自性に根差した「世界にひとつだけの保育園創り」
  • 保育士の観察による定性データと、ICT技術を活用した定量データを掛け合わせることで、子どもの成長を見える化
  • 子どもたちひとりひとりの気質や発達に応じた、パーソナライズ保育の提供

乳幼児期における自己肯定感やメタ認知などの非認知能力は生涯に与える影響が大きいことが多くの研究で明らかにされているという。また、乳幼児期(0~5歳)のひとりひとりの発達の違いは、20歳~25歳のような年齢差とは大きく異なる。そのため、子どもたちそれぞれを深く理解し、気質や発達状況に応じて保育を提供することが非常に重要としている。

しかし、多くの保育士さんが多大な努力によって子どもたちの成長を支えているにもかかわらず、経験や感覚に頼った主観的な保育による質のバラツキ、多忙な現場によって機能していない監査書類など、保育の本質ではない課題が山積しているという。

同社の「スマートエデュラ」は、保育にテクノロジーやデータサイエンスを活用することで、子どもたちの良質な活動データを取得し、その気質や発達に応じた良質な保育を提供するとしている。

これは、エデュホールディングスの完全子会社であるエデュラの技術や研究開発力、9園の保育園を運営するEduleadの実現環境と実行力により成り立っているという。

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カテゴリー:EdTech
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麻布大学が獣医学系で国内初のVR活用教育を開始、獣医外科学実習の授業に採用

麻布大学が獣医学系で国内初のVR活用教育を開始、獣医外科学実習の授業に採用

麻布大学は11月30日、獣医学系大学で初の仮想現実(VR)技術を採用した教育を開始したと発表した。同獣医学部獣医学科 小動物外科学研究室 高木哲准教授の開発によるシステムを利用。獣医外科学実習の授業において、360度カメラで撮影したVR動画をゴーグル型VRヘッドセットで視聴することで、高い臨場感をもって外科手術の基礎などを体験できる。

1890年創設の麻布大学は、今年2020年には学園創立130周年を迎え、獣医系大学としては2番目に長い歴史を持つ大学。獣医外科学実習は、外科手術に必要な器具・機材、減菌・消毒法の手技について基本的な技術を習得し、外科手術の基礎を学び、実践する授業という。VRを採用した教育は医学・医療系で利用されている例があるものの、獣医学系においては、国内でまだ例のない先進的な取り組みとしている。

開発したシステムは、VRヘッドセットにiPhoneを装着してVR動画を視聴するというもので、24セットを導入。360度カメラにより撮影した3D動画を同時に24名の学生が視聴可能で、学生はVR技術の特性を活かした没入感のある、高い臨場感の3D動画で手術や処置の手技を学べる。全学生がベストポジションで視聴できるため、実習に効果的な事前学習が行える。

またVRヘッドセットを装着し頭を上下・左右に向きを変えると、連動して動画の視点が変わるので、様々な角度の視点から手術の様子などを確認できる。そのため、手元だけでなく、全体の様子や雰囲気も把握でき、一般的な動画では実現できない教育効果を得られるとしている。

麻布大学が獣医学系で国内初のVR活用教育を開始、獣医外科学実習の授業に採用

同システムは、同時に多数の学生が視聴できるため、同学の獣医学科(定員120名)において、教育の効率と質の向上に役立つという。学生によるアンケ―ト結果も満足度が高く、教育効果の向上が期待できるとしている。さらに、動物を使用した手術(手技)などを何度も繰り返して実施する必要がないため、動物個体の負担を軽減できるとした。

麻布大学は、私立大学として動物学分野の研究に重点を置くトップクラスの実績を基盤に、新たな人材育成に積極的に取り組んでおり、今後は、これまでの経験を活かしてより質の高いVRコンテンツの制作を目指すとしている。なお、VRを活用した獣医学教育の整備の一部は、文部科学省科学研究費(JP18K19256)の助成を受けて実施しているという。

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ユダシティがデットファイナンスで78億円を調達、技術系教育ビジネスが好調

新型コロナウイルス感染症の世界的流行により仕事と学習のあり方が大きな変革を迫られている中、オンライン教育ツールに対する関心が高まり続けている。米国時間11月3日、オンライン教育ツールの老舗企業の1つであるUdacity(ユダシティ)が、法人向けサービスへと方向転換して黒字化を図るべく、資金調達を発表した。同社が展開するのは、社員や公務員のスキルアップを図って最新の需要に対応できる技術的専門知識を身につけてもらおうとする企業や政府機関向けのサービスだ。

ユダシティは、人工知能、プログラミング、自動運転、クラウドコンピューティングといった技術関連の分野でオンライン講座を開催しており、「ナノディグリー」という概念を広く普及させてきた会社だ。今回の資金調達では、デットファイナンスという形で7500万ドル(約78億円)を調達した。この資金は、同社のプラットフォームを法人向けサービス中心に展開していくために使用される。

ユダシティによると、法人向けサービスは急速に成長しており、第3四半期の予約数は前年比120%増となっており、2020年前期の平均ランレート(予測年間売上)は前年比260%増となっている。

ユダシティによると、同社の法人顧客には、「世界の航空宇宙会社の上位7社のうち5社、プロフェッショナルサービスの大手4社のうち3社、世界トップの製薬会社、エジプト情報技術産業開発庁、米国国防総省の4部門のうち3部門」が含まれている。こうした企業や政府機関は、ユダシティが提供している既製コンテンツを利用するだけでなく、個々のニーズに応じたカスタム講座をユダシティと協力して構築している。

また、ユダシティは、企業の社会貢献活動の一環として、いくつかの企業と協力してプログラムを構築しており、マイクロソフトなどの技術系企業と提携して、それらの企業が提供するツールの利用を促進するための開発者向けプログラムも構築している。

2019年からユダシティでCEOを務めるGabe Dalporto(ゲイブ・ダルポルト)氏は、次のように語っている。「企業や政府機関で膨大な需要が発生している。しかし、これまで法人からの需要の大半はインバウンドであり、 Fortune 500企業や政府機関から提携を申し込まれた形だった。今こそ、こうした企業に売り込みをかける営業チームを構成する時だ」

ユダシティは長年、収益の上がるビジネスモデルの構築に苦戦しており、どちらかというと芳しくない理由で注目されてきたが、今回の資金調達のニュースは同社によって歓迎すべき展開だ。

ユダシティは、10年前に、当時スタンフォード大学の教授で、グーグルの自動運転車やその他の大規模なムーンショット型プログラムの構築と運用に携わっていたSebastian Thrun(セバスチアン・スラン)氏を含む3名のロボット専門家によって創業された企業で、当初は複数の大学と提携して技術系のオンライン講座を開設する予定だった(スラン氏の学術的地位とMOOCの流行があいまって、この戦略が推進されたと考えられる)。

しかし、この戦略が極めて困難でコストも高くつくことが判明すると、ユダシティは方向転換して社会人向けの職業訓練学習プロバイダーとなり、特に勉強に専念するための時間的・金銭的な余裕はないが、条件の良い仕事に就くために技術スキルを学びたいという人を対象にサービスを提供するようになった。

その結果、ユーザー数は大幅に増加したものの、利益が出るまでには至らなかった。その後、組織再編の一環として何度かレイオフを実施し、現在の形態へと近づいていった。

現在、同社は個人学習者向けの講座も引き続き提供してはいるが、ダルポルト氏によると、間もなく法人や政府機関の顧客が8割程度を占めるようになるだろうということだ。

ユダシティは、前回のラウンドで、 Andreessen Horowitz(アンダーセンホロビッツ)、Ballie Gifford(ベイリーギフォード)、CRV、Emerson Collective(エマーソン・コレクティブ)などの有名な投資グループから1億7000万ドル(約177億円)近くを調達した。今回の出資者はHercules Capital(ハーキュリーズ・キャピタル)1社のみで、デットファイナンスという形をとっている。

ダルポルト氏によると、当初、エクイティファイナンスのための条件規定書がいくつか送られてきたが、結局、デットファイナンスで調達することにしたという。

「エクイティファイナンスの条件規定書が複数送られてきたが、その後、依頼したわけではないのにデットファイナンスの条件規定書が1通送られてきた」そうだ。それで、資本調達コストと希薄化をいろいろと検討した結果、「デットファイナンスのほうが良いという結論に達した」らしい。同氏は、現時点ではエクイティファイナンスは考えていないが、上場する段階になったら再検討するかもしれないと付け加え、次のように語っている。「当面の間はキャッシュフローがプラスなのでエクイティファイナンスをすぐに行う必要はないが、IPOのようなことを実施する可能性もある」。

今回の資金調達はデットファイナンスで行われるため、ユダシティの時価総額の見直しは行われない。5年前の時点で同社の時価総額は10億ドル(約1000億円)だったが、今回未実施となったエクイティファイナンスの条件規定書に記載されていた時価総額について、ダルポルト氏は言及を避けた。

企業でも高まる教育意識

ユダシティという会社に対する関心、および同社に対する投資家からの関心の高まりの背景には、昨年からオンライン教育企業が注目されるようになってきたという経緯もある。K-12(幼稚園から高校)および大学教育では、学校、地域、政府機関、公衆衛生の担当職員が新型コロナウイルス感染症の拡散防止のためソーシャルディスタンスを実践する中、通常の授業が行えない状況でも生徒が学習を継続できるよう支援するための優れた技術やコンテンツの構築に注目が集まっている。

しかし、オンライン教育が注目されているのは、学校だけではない。ビジネスの世界でも、パンデミックのためリモートワークを余儀なくされた組織がさまざまな課題に直面している。互いに直接顔を合わせて働くことがなくなった状態で、従業員の生産性と帰属意識をどのように維持できるのか。こうした新しい環境で働くために必要なスキルを従業員にどのように習得させればよいのか。コロナ時代の働き方において、しかるべき技術とその技術を活用する専門知識を持つ人材が自社に備わっているのか。政府は、パンデミックのせいで経済が崩壊しないようにどのような対応を行うべきか。

オンライン教育はこうした問題すべてを解決する万能薬と見なされており、オンライン学習ツールやその他のインフラストラクチャーを構築する技術系企業に数多くのビジネスチャンスがもたらされてきた。そのような企業には、従業員向けの技術関連講座と学習プラットフォームの分野で事業を展開するCoursera(コルセラ)、LinkedIn(リンクトイン)、Pluralsight(プルーラルサイト)、Treehouse(ツリーハウス)、Springboard(スプリングボード)などが含まれる。

eコマースなどの市場分野と同様、こうした状況については、トレンドが突然に出現したというよりも、周囲の予測を大きく上回ってトレンドが加速しているという見方のほうが正しい。

ハーキュリーズ・キャピタルの専務取締役兼技術部長のSteve Kuo(スティーブ・クオ)氏は、「ユダシティの成長、持続可能なビジネス手法への注力、複数の業界にまたがるリーチの拡大などを考慮すると、今回の出資にはとても期待している。ユダシティと協力して、同社のグローバル市場での急速な成長を維持し、利用者のスキル向上と再教育の分野で革新を進めていくことを楽しみにしている」と述べている。

ダルポルト氏は、法人と政府機関の領域でユダシティがすでに実績を挙げている事例をいくつか取り上げ、同社が提供しているような職業訓練学習プログラムが受け入れられるのは不思議なことではないと説明する。

たとえば、エネルギー企業のShell(シェル)では、「数学のスキルは高いが機械学習の専門知識がない」構造エンジニアや地質学エンジニアを再教育して、データサイエンスの分野に配属できるようにしている。データサイエンスは、事業運営のオートメーション化を推進し、新しいエネルギー技術の分野に進出するために必要となるからだ。

また、エジプトを始めとする国々では、インドの成功例に倣い、国内の居住者に技術専門知識の教育を提供し、「アウトソーシング経済」で仕事を見つけられるように支援している。エジプトで提供しているプログラムの修了率は80%に達しており、70%が「良い結果を残している」(就職に成功している)という。

ダルポルト氏は、「AIと機械学習の分野だけでも、これらのスキルに対する需要は前年比で70%増加しているが、その需要に対応できる人材が不足している状態だ」と述べている。

少なくとも、あと半年から1年くらいは買収は考えていない、と同氏は付け加え、こう語っている。「需要は多く、社内でやるべき仕事が山積みになっているため、今すぐ買収を考える理由がないからだ。いつかは買収を検討することになると思うが、それは当社の戦略次第だ」。

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カテゴリー:EdTech

タグ:Udacity 教育

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(翻訳:Dragonfly)

学校向けのZoomアドオンに数億円を賭けるZoom創生期の投資家たち

Zoomは消費者向けに開発された製品ではない。それにもかかわらず、このビデオ会議システムの使い勝手の良さは、飲み会から会議まで、パンデミックによって脅かされるあらゆる社会的状況への解を示した。

数か月が経ち、ソーシャルエクスペリエンスを1つの企業向けソフトウェア会社に委ねることは完全なソリューションではないことがわかってきた。Zoom School(ズーム・スクール)は、何が上手くいっていないかを示す良い例だ。リモート教育は、学生、教師、保護者にとって非常に厄介な問題となっている。かつては、板書、グループ発表、1対1の対話を通じて授業を行っていた教師が、今は1つの画面しか使うことができない。

グローバルパンデミックに突入してから6か月以上経ち、Blackboard(ブラックボード)の元CEOでありPrecisionHawk(プレシジョンホーク)の元CEOでもあるMichael Chasen(マイケル・チェイスン)氏は、大胆にも次のような構想を描いている。Zoomは学校教育にとって一時しのぎの対策ではない、と考えるとどうなるだろうか。単に販売されたものを使うのではなく、教育用に開発されたZoomエクスペリエンスを創り出せたらどうなるだろうか。

「今行われているオンライン授業では、教師が、出欠を取ったり、宿題を配ったり、テストやクイズをしたり、採点したり、生徒と1対1で話したりすることができていない場合がほとんどです。そんな状態では教えたり学んだりできないですよね」とチェイスン氏はTechCrunchに語る。

そこでチェイスン氏は現在、ClassEDUという新会社の起業に取り組んでいる。同社の最初の製品は、率直に大望を示す、その名も「Class for Zoom」だ。この名称からもわかるように、Zoomへのサードパーティーのアドオンだが、完全に独立した会社だ。さらに、このアドオンは、生徒たちが参加しやすくリアルタイムで同期される授業を行いたい教師のために開発されている。

教師がZoomミーティングにログインすると、次のような画面が表示される。

Image Credits: ClassEDU

ご覧のとおり、教室、課題、テストやクイズ、またはホワイトボードを切り替えることができる。教師は、整理されていないタブで時間を浪費する代わりに、CMS(コース・マネジメント・システム)内の資料との同期や、生徒に意見を求めること、リアルタイムのクイズの答え合わせまで、授業全体のワンストップショップとしてこのビデオミーティングを利用できる。これはフルスイートのソリューションであり、非常に意欲的な取り組みだ。

Class for Zoomの機能は、指導ツールと管理ツールの2つに分けて考えるとわかりやすい。

指導ツールは、Class for Zoomは教師がライブの課題、クイズ、およびテストを行うことを支援するものだ。生徒は、これらにリアルタイムで答えることができる。生徒の積極的な参加を促すのに役立つフィードバックの機能もある。教師には適宜、クラスのミュートやミュートの解除を行う権限を付与できる。

Image Credits: ClassEDU

指導ツールの重要な特徴は、質問したいときに生徒が教師と個別に話せることだ。このとき、Zoomミーティングから抜ける必要はない。これは、クラスの皆の前で話すことが苦手だったチェイスン氏の娘からインスピレーションを得たものだが、人前で発言するのが不得手で内気な生徒にとっては、ありがたい機能だ。

Image Credits: ClassEDU

管理ツールには、出欠のトラッキングから生徒のアクティビティ参加時間を確認する機能まで、教師用のさまざまなツールが含まれている。大学時代にブラックボードを設立したチェイスン氏は、同社が開発したCMSを教師がZoomクラスルームに直接統合できるようにし、以前に創業した企業の実績を評価した。

一方、チェイスン氏が「Class for Zoomの不人気な機能」と冗談交じりに語るのは、生徒が画面上でZoomをメインアプリとして使用しているかどうかを教師に情報を提供する機能だ。注意トラッキング機能は目新しいものではないが、一部の人はこのような監視を受け入れられないと感じるかもしれない。注意トラッキング機能を生徒が無効に設定することも可能だが、管理者はこの機能の使用を生徒に義務付けることができる。また、このプラットフォームを使用すれば、教師は試験中に生徒のデスクトップを監視して、不正行為を制限することも可能だ。

Class for Zoomが生徒のパソコンにアクセスできると聞いて、一部のユーザーは不快に思うかもしれない。Zoomは一部の学区でオンライン授業での使用を禁止されている。セキュリティ上の懸念があり、悪質な侵入者がミーティングをハッキングし不適切または不快なコンテンツをストリーミングする、いわゆるZoom爆撃が相次いだためだ。これを受けてZoomでは検証ツールや待合室などのセキュリティ対策を講じている。

チェイスン氏によると、Class for Zoomでは、生徒にトラッキング機能の使用を強制するのではなく、選択できるようにすることによって、情報へのアクセスのバランスを取っているという。

Zoomをより良いエクスペリエンスにしようとしているスタートアップは、Class for Zoomだけではない。ZoomのSDKが無料であることも手伝って、ここ数か月の間に、Zoom上で動くように開発された多くのツールがリリースされた。Macroは、430万ドル(約4億5300万円)を調達し、参加者の発言時間などのメトリックスをトラッキングするインターフェイスやメモ機能を追加し、Zoomでの通話に深みや分析機能を加えた。そのユーザーは、2万5000人を超える。Mmhmmは7月に、ユーザーの好きなビデオ会議プラットフォーム上で放送スタイルのビデオ会議エクスペリエンスを作成できるクリエイティブなデモを発表して話題になった。

ある程度予想されたことだが、ZoomはMmhmmと競合する機能を発表した。このことは、既存の企業の上で成り立つスタートアップ企業は本格的なプラットフォームではなく、付加機能のように見えるのではないかという疑問を感じさせる。

当然、これらの製品に対する脅威の1つは、Zoomの気分次第で状況が一変するということだ。Zoomは、SDKとAPIのポリシーを少しいじるだけで、Class for Zoomを消し去ることもできる。しかし、チェイスン氏には、そうはならないだろうと楽観的になれる理由がある。

Class for Zoomは本日、GSV Ventures(GSVベンチャーズ)のDeborah Quazzo(デボラ・クアッツォ)氏とEmergence CapitalのSanti Subotovsky(サンティ・スボトフスキー)氏、およびZoomの現役員が共同でリードするシードラウンドで、プレローンチ段階(サービス開始前)に1600万ドル(約17億円)を調達したことを発表した。他の投資家には、Zoomの初期投資家であるMaven Partners(メイヴェン・パートナーズ)のJim Scheinman(ジム・シャインマン)氏、Zoomの名付け親として有名なBill Tai(ビル・タイ)氏、Zoomへの支援を最初に表明したAOLの共同創設者であり、Revolution(レボリューション)のCEOであるSteve Case(スティーブ・ケース)氏が含まれる。

Zoom投資家の関与がスタートアップを保護するための「保険」として機能するかと尋ねると、チェイスン氏はそのようには考えていない、と答えた。むしろ、Zoomは専門的に掘り下げていくよりもスケールの拡大に重点を置いている、と同氏は考えている。言い換えれば、ZoomはTwitterのような機能を組み込むつもりはなく、プラットフォームが開発者に親しみやすいという点で、多数のツールがその上で構築されているSalesforceに似ているということだ。第2に、Class for Zoomは、Zoomの認定再販業者であり、行政区にZoomを販売すると、手数料から収益を得られる。非公式および公式のパートナーシップは、チェイスン氏が安定性に賭けるのに十分な接着剤として機能しているようだ。

Class for Zoomのテクノロジーが今後もZoom専用のままであるかどうかについてチェイスン氏は、Zoomは「教育における事実上の業界標準」であるため、今後もZoomを主な焦点にしていくと語る。また、他のプラットフォームが追いついてきた場合は、さまざまなソフトウェアを試す用意はある、と同氏は言う。

チェイスン氏は、価格に関する正確な数値の共有は避けたが、行政区が許容できる価格設定に落ち着かせる作業は進行中であると述べた。同社がユーザー単位で請求するかどうかは不明だが、ある種のサブスクリプションサービス料金を請求するだろう、と同氏は言う。

EdTechソリューションのアクセシビリティは、多くの場合、テクノロジーと教育を提供するための媒体手段に依存している。例えば、無料で使用できる製品であっても、動作させるために高速インターネットとMacが必要であれば、アメリカの平均的な家庭では使えない可能性がある。低所得世帯の生徒、教師、学区が使用している低コストのコンピューターChromebookで製品の使いやすさをテストすることが多いのは、このデジタル格差を意識してのことだ。

Class for Zoomのケースでは、Macintoshコンピューターを使用する教師向けに第1イテレーションの製品がロールアウトされているが、費用が原因で一部の主要な所得層が漏れた可能性がある。生徒はソフトウェアなしでClass for Zoomで行われる授業を視聴することはできるが、ビュー、トラッキング、およびアクティビティ参加のための機能は使えないため、注意が必要だ。

ありがたいことに、今回新たに調達された資金は、ClassEDUがWindows、Android、iPhoneだけでなく、Chromebookなどの低コストのコンピューターで使用できるソフトウェアを構築するのに使用される。そうなると、教師と生徒の両方が、より機能的なビューを利用できるようになる。

チェイスン氏は、自分の3人の子どもたちが在宅学習を始めた隔離期間に入ってほんの数週間のころから、このスタートアップのアイデアを練り始めたという。数か月が経ってついにClass for Zoomがベータ版をリリースする準備が整い、本日、ウェイティングリストへの受付が始まる。チェイスン氏は1月までに、希望するすべての学校がアクセスできるようにしたいと考えている。

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(翻訳:Dragonfly)

新たな学校

編集部注:本稿を執筆したJoe Apprendi(ジョー・アプレンディ)氏はRevel Partners(レベルパートナーズ)の創設者兼ジェネラル・パートナーである。

COVID-19により高等教育に変化が起きている。しかし、これはCOVID-19に対処するための大学による単なる「遠隔授業への移行」にとどまらない。今起こっている変化は全体的、かつ変革的で、長い間待たれていたことである。これらの変化は採用、訓練、そして最終的には雇用者が企業のための人材をどう見い出すかにも及ぶだろう。この変化は高等教育の性質そのものをも変容させると考えられる。

職を得ようとする場合、COVID-19以前には、伝統的な教育ルートを経るのが普通だった。高校から大学へ、そして時には大学院へと進む。これらのほとんどがキャンパス環境で行われ、そこで学生は自分が誰であるかだけでなく、何をしたいのか、誰としたいのかを模索した。このルートの存在により、企業は特定の技能や文化的適合性など、将来の従業員となるべき人物にどのように手をかけ訓練するかを決定する確立された教育モデルに対応する必要があり、すべてを適正な人材を判断する取り組みの中で行う必要があった。

このモデルは年月の経過とともに肥大化し、それを支える教育業界は、2030年までに世界で10兆ドル(約1070兆円)規模になると予測されているが、この10年間でテクノロジー主導の変化に対しますます脆弱になっている。この変化が古い体制の教育業界を小売から物流、不動産に至るまで全般的に混乱させているのだ。

ニューヨーク大学スターンビジネススクールでマーケティングの教授を務めるScott Galloway(スコット・ギャロウェイ)氏は5月下旬CNNに対し「大学は報いを受けています」と語った。「私たちは1400%の値上げをしてきましたが、イノベーションを見れば…今の教室に入ってみればおわかりいただけると思いますが、その見た目や雰囲気、印象は40年前と大きく変化していないのです」。

ギャロウェイ氏はさらに4月に投稿したブログ記事の中で、COVID-19により大学間で淘汰が起こると予測した。小売業界における撤退は2019年には9500件であったが、2020年には1万5000件以上と大幅に増加した。これと同様、コロナウイルスの影響から立ち直ることができない大学が、数百とはいかないまでも数十の規模で出る可能性が高い。彼はまた過去数十年で初めて四年制大学への願書数が減少し始めその傾向は続くだろうと予測した。

ライブビデオコースマーケットプレイスのJolt Inc.(ジョルト)の共同創設者兼CEOであるRoei Deutsch(ロエイ・ドイチュ)氏はポッドキャスト「Coffee Break」での講演中に「高等教育世界への打撃は必然的に起こりました」と語った。「学生が得るものと支払うコストが釣り合わない、高等教育バブルが起きています。コロナウイルス禍でこのバブルの崩壊が始まっているのです」。

ウイルスは高等教育に必要とされていた変革を早める可能性がある一方、従来の高等教育に代わる別の選択肢を生み出すスタートアップにもチャンスを生み出すだろう。ただし、多くの他の分野でそうであるように、主にグローバル企業内でCOVID-19は急進的な変化を引き起こす力としてよりも、舞台裏で既に起きていた動きを加速する形で作用している。

過去10年に渡り大企業に様々なテクノロジーが急速に普及するにつれ、企業の人材開発(L&D)の重要性が増してきている。グローバル企業のeラーニング市場は、2022年までに年間平均13%の成長率で300億ドル(約3兆2000億円)まで成長すると推定されている。この成長の大部分は、実際に必要な技能と労働者の能力とを一致させる重要性が増したことによるものである。

人材開発で企業に主に利用されている製品は、学習体験プラットフォーム(LXP)や学習管理システム (LMS)である。これらは、従業員の学習活動を監視、追跡、管理するのに使用され、通常は、デジタル化されたオンラインカタログの形でサービスが提供される。学習用ソフトウェアは主に、よりパーソナライズされた学習体験を提供し、様々なソースから学習内容を組み合わせることでユーザーが新しい学習機会を発見できるように設計されている。またAIを使ってデスクトップアプリ、モバイル学習アプリなど、複数のデジタルタッチポイントに学習コンテンツを推奨および配信している。

重要なのは、まさにこれらのオンライン教育ツールが、COVID-19への対処法を探す多くの大学に採用され始めていることである。この事実がこれらのアプリ、ツール、プラットフォームへの考え方を変革するのに役立つだろう。これらのツールを既に採用していた企業は今、その可能性を再考しているところである。この先どうなるかを見通すのに多くの想像力は必要ない。

組織内の新しい、あるいは拡大された役割にふさわしい人材を継続的に育てるために訓練学校やLMSシステムを構築する代わりに、企業は今、採用プロセス(ファネル)の初期段階、つまり高等教育が始まる時点にターゲットを絞っている。COVID-19により大学生活が変容したことで、企業がそのファネルへどのように参加するかを再評価する可能性が開かれたのだ。グローバル企業が大学に匹敵する体験を提供する可能性が突然現実的なものになっている。

これらの既存の教育およびトレーニングプラットフォームを活用して、企業に特化したカリキュラムを作成することを想像してみよう。大学の閉鎖で職を離れた教授たちが、ギグワーク的な形でオンラインで授業を行うことができるだろう。彼らは企業のニーズに特化したカリキュラムをデザインする。

これらの企業主導の新たなオンライン大学システムは人々を学業成績や文化的調和の観点から精査し、誰を教育するか、そして究極的には誰を採用するかを決定する。そして、そのすべてで学生を直接彼ら自身のシステムで受け入れる。現在もこうした大学システムは存在している。例えば米国のNaval Academy (海軍士官学校)のようなシステムである。このシステムでは授業料が無料であるかわりに、学生は卒業後一定期間海軍で勤務する義務を負う。大学とグローバル企業が融合した一種の営利型ハイブリッドモデルが現れるかもしれないと考える人もいる。

ギャロウェイ氏は提案する。「MITとGoogleが共同でSTEMの2年間の学位を提供するということもありえます。10万人の学生が授業料10万ドル(約1070万円)(特別価格である)でMIT/Googleのコースを取れば、年間50億ドル(約5300億円)(2年のプログラムである)がもたらされます… これはMITとGoogleに匹敵するマージンです。Bocconi/Apple、Carnegie Mellon/Amazon、UCLA/Netflix、Berkeley/Microsoftなど…いろいろな組み合わせが考えられます」。

抜本的変革への準備が整っているのは高等教育だけではない。新型コロナウイルスの大流行でその全体規模が21%低減すると予測されている米国の人材派遣およびリクルート市場は、 運営方法の面で変化する可能性がある。企業はこれまでのように大学で採用活動を行ったり、これらの旧式なシステムから新入社員を特定するために必要なツールやプラットフォーム、そしてリソースを使用する必要がなくなるだろう。こうして彼らは自社のニーズを完璧に満たすよう教育された社員へのダイレクトなファネルを持つことになるのだ。これにより企業は社内で新たな利益を生み出すことができるだけでなく、費用のかさむ非効率的な社員探しのプロセス(今日の採用モデルのほとんどがそうである)を回避することができる。費用の節減もわずかなものではない。

米国労働省によると、採用に失敗した場合にかかるコストは、その従業員の初年度の収入の最大30%に達する可能性がある。Undercover Recruiter(アンダーカバー・リクルーター)は採用に失敗した場合、企業は、採用、報酬、保持に関連した費用24万ドル(約2570万円)を支払うことになると見ている。CareerBuilder(キャリア・ビルダー)によると、ある調査で、不適切な人物を採用したと認めた企業の74%が個々の採用の失敗に対し平均1万4900ドル(約1600万円)の損失を出していることが明らかになった。

また学生側には付随的なメリットがある。高等教育にかかる費用はここ何十年にも渡って急騰しており、学生の負債は許容できないレベルに達しているにもかかわらず、学位をとったことで得られる収入は減少しているのだ。転換点は間近に迫っている:ある研究では、卒業生数が増えるにつれて、大学の学位の価値が下がっていることが示された。サハラ以南のアフリカ (ここでは学位は比較的希少である) では、学位を取ることで収入が20%増加する。スカンジナビア (成人の40%が学位を持つ) では、このパーセンテージは9%まで低下する。

これらの新たな企業固有の大学システムであれば、教育へ投じたすべての資金が実際に活かされ目に見えるROIが得られる。不安定な経済状況においては、卒業と同時によい収入が得られる特定の仕事が保証されていることは、極めて重要である。大学の授業料が法外なものになるに連れ、大学側はその額を正当化するのが難しくなるだろう。Google、Twitter、Microsoftへ直接人材を送り込むオンライン教育システムが併存する場合は特にである。そうしたオンライン教育が、多くの学生にとって魅力的であることが証明される可能性が高い。

COVID-19の高等教育に関連した二次的影響はまだはっきりしていないが、こうではないかと想定される状況が現れ始めている。誰を対象にいつどのように採用活動を行うのか、変革が必要な可能性がある。企業からのデジタル教育やデジタルトレーニングの要求が着実に増加する中、これらの要求をサポートしてきた急成長中の業界が、一夜にして変化を遂げ飛躍的に成長する可能性がある。学生は負債を半額に抑え、雇用に向けた明確な道筋を持てるようになる。最終的にどうなるにしても、待ち構えている変化は大学側にとって決して愉快なものではない。

「私は、大学は大変な危険にさらされており、COVID-19による打撃を受けると考えています」とギャロウェイ氏はCNNに対し語った。「10万ドル(約1070万円)を請求し90ポイント以上のマージンを取っている業界が他にあるか考えてみてください。希少な癌の治療薬を扱う製薬会社以外に、それほどのマージンが得られる製品が他にあるでしょうか?率直に言って、私たちはこれをやってきました」。

ある種の変化が起こるのは確実と思われるが、教育におけるパラダイムがシフトすることが良いことかどうかはそれほど確実ではない。ソフトウェアやテクノロジーによって破壊された業界の多くと同じく、テクノロジーによって市場効率が促進される中、莫大な価値が何百万という消費者に流れ込むだろう。消滅、あるいは変容する仕事がある一方、物事を進めていくための新しいやり方に適った仕事が新たに生み出されるだろう。より多くの富と力がFAANGの元に流れ込む状況で、主要なグローバル企業およびテクノロジー企業はこの変革から最大の利益を得る立場にある。

キャンパスベースの教養教育の特徴である知的発見、文化的評価、個人の成長といったものが、狭く定義された職業技能や企業効率の追求に置き換わるに連れ、高等教育における優先順位も再形成される。グローバル企業の高等教育への進出は、我々の人々に対する教育、採用、訓練の仕方を変えるだけでなく、高等教育についての根本的な捉え方や評価の仕方も変えることになるだろう。

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カテゴリー:EdTech

タグ:コラム 教育

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(翻訳:Dragonfly)

ITエンジニア向け求職・学習サービス「paiza」が登録者数35万人突破

paiza パイザ

ITエンジニア向け総合求職・学習プラットフォーム「paiza」(パイザ)は7月20日、2020年7月に登録者数が35万人を突破したと発表した。

2013年のサービス開始以来、2019年1月に登録者数が20万人に到達。その後も月8000人を超えるペースで登録者数を伸ばし、今年7月に35万人を突破したという。求職サービスの利用企業数は、現在2164社に上る。

paizaの特徴は、登録者がいつでも受験可能な「スキルチェック」。アルゴリズムの理解度やコーディング能力などをプログラミング問題を使って判定し、ITエンジニアやITエンジニア志望者のスキルを6段階(paizaランク)で可視化している。またpaizaランクを利用し、求職者と企業をミスマッチなくつなげる「paiza転職」「paiza新卒」、第2新卒向け「EN:TRY」を提供している。

paiza パイザ

学習サービスとしては、ITエンジニアや志望者が自身のレベルを把握した上で、楽しみながらスキルアップを目指せる動画プログラミング学習サービス「paizaラーニング」を提供。企業向け「paizaラーニング for TEAM」、学校向け「paizaラーニング 学校フリーパス」も展開。

従来ITエンジニアの採用は、スキルが不明確なまま行われることが多く、求職者と企業の間でミスマッチが起きていたという。paizaはそうした課題解決を図るサービスとして、求職者・企業双方から支持を得ているという。またプログラミングスキルを可視化して、求職者と企業のマッチングを行う仕組みについては、特許番号:第5649148号「プログラミングスキル評価装置、プログラミングスキルの評価方法、求人情報選択装置及び求人情報の選択方法」として特許を取得している。

ユーザーの内訳を見ると、近年、特に「paizaランク」B以上(中・上位レベル)が増えているという。世代別では、20代前半のユーザーが半数を占める一方、30代以上も4割を超えており、現役エンジニアの登録が増加傾向にあるとした。

paiza パイザ

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プログラミング学習サービスのProgateが世界登録ユーザー数150万人突破

Progate プロゲート プログラミング学習

Progate(プロゲート)は7月10日、オンラインプログラミング学習サービス「Progate」、同名スマホアプリ(Android版/iOS版)の合計登録ユーザー数が全世界で150万人を突破したと発表した。

Progateによると、2019年10月に登録ユーザー数100万人を突破、その8ヵ月後に150万人に到達したことになるという。背景にはステイホーム期間におけるユーザー登録数の増加があるとした。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19))による外出自粛要請を受けて自宅で過ごす時間が増えた多くの方に、オンラインプログラミング学習サービスを提供できたという。

Progateは、実際にプロダクトを作りながらコードを書く練習をすることで、初心者でもプログラミングを学べるというオンライン学習サービス。一般的なプログラミング学習には「環境構築」と呼ばれる開発を始めるための準備が必要だが、Progateでは、Webブラウザーやアプリのみで学習を始められる。

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勃興するEdTech

他のほとんどの分野とは異なり、EdTech(エドテック)はここ数か月間、急速に成長している。フラッシュカードを専門とするQuizlet(クイズレット)が既にユニコーン企業になっており、デジタルテキスト企業のTop Hat(トップハット)のユーザー数がこれまでにない伸びを見せ、学生の成功を支援するEdsights(エドサイツ)は一流の投資家から200万ドルにおよぶ資金を集めている。これらすべては業界内で興味が高まった結果である。投資家は自宅学習が流行すると確信しているため、つい最近、「フルスタックのインフラ」を提供し、親たちが自宅教育を開始しやすくするPrimer(プライマー)へ370万ドルを投資した

しかし、保護者が仕事、家庭、理性のすべてに対し毎日、またはほとんどの日で向き合う一方で、エドテックは現在の学習環境の課題をすべて解決するわけではない、と言われている。

収入の大小に関係なく、どの保護者も自宅学習に困難を感じている

Fuze(フューズ)でブランドおよび企業マーケティングのバイスプレジデントを務めるLisa Walker(リサ・ウォーカー)はこう語る。「精神状態の上がり下がりはまるでモグラ叩きのようだ。」ウォーカーはボストン在住だが、パンデミックのためバーモント州へ引っ越している。彼女は10歳と13歳の子供を2人抱えている。「一人が機嫌よくしている日に、もう一人は機嫌悪く、いつも家族の誰かをケアしなければいけない。」

社会経済的に困難を抱えている家族は頼れるものがなく、両親は生活を維持するために複数の仕事を掛け持ちしなければならないため、さらに深刻な状況にある。

保護者にとって大きな問題のひとつに、「自分のペース」で学習する量の増えるにつれ、ライブ授業が減っているため、バランスをとりにくい点が挙げられる。

ウォーカーは、10歳の子供が毎日教師やクラスメートと直接やりとりする時間が少ないことに不満を感じている。1時間のライブ授業が終了すれば、子供は残りの1日中、コンピューターの前で座っているだけになる。録画済みのビデオとオンラインのクイズをこなしたら、Google ドキュメントで宿題を済ませて終了となる。

非同期型の学習はインタラクティブ性に欠けるが、どんな社会経済的な背景の生徒も対象にできるため、一概に良し悪し判定できない、とウォーカーは述べる。教材がすべて録画済みであれば、コンピューターよりも子供の数が多い家庭の場合、午前8時の科学の授業に間に合わせる手間が省け、交代で授業を受けられる。

ウォーカーはこう述べる。「多くの子供たちがビデオ接触に疲労を感じるのはわかっているが、それでもライブ授業をもっと多くしてほしいと感じている。テクノロジーは問題を解決してくれるが、問題を増やす原因でもある」。

PWC(プライス・ウォーターハウス・クーパース)のシニア税務マネージャーとしてフルタイム勤務し、アトランタに住むシングルマザーのTraLiza King(トラリザ・キング)は、小さな子供を相手にする場合、ライブのビデオ授業が欠点となることを指摘する。

難題の一つは、4歳の娘のZoom(ズーム)通話を見守ることである。ズームは小さな子供が直感的に扱えるプラットフォームではないため、キングはその場で娘を助けなければならない。彼女は娘のゾーイがログオン・ログオフに手伝い、皮肉なことに、授業を中断なく進められるよう必要な場合にミュートする。

大学1年生になる彼女のもう一人の子供は4歳児の面倒を見れるはずだが、キングは長女に教育の責任を負わせたくないと考えている。つまり、キングは母親とフルタイムの従業員に加え、ズームの技術サポートと教師の役割も演じなければならないことになる。

彼女はこう述べる。「現在の状況は良い面と悪い面が両方あります。娘たちが何を学んでいるかを見て、生活を共有できるのは素晴らしいと思っているが、私は幼稚園の先生ではないのだ」。

保護者の中には、これまでと同じように対処すると決めて、そしてうまくやり過ごしている人々もいる。ロサンゼルスに拠点を置くRythm Labs(リズム・ラブズ)の創立者、Roger Roman(ラジャー・ローマン)と彼の妻は、シャットダウンを目の当たりにした直後、子供たちのスケジュールを大急ぎで組み立てた。午前6時に朝食、その直後に体育、続いてワークブックと宿題の時間が並ぶ。彼らの5歳の子供がすべてをこなせば、電子機器で遊ぶ時間を30分間だけ「勝ち取る」。

テクノロジーは間違いなく役に立つ。ローマンは、Khan Academy Kids(カーン・アカデミー・キッズ)やLeapfrog(リープフロッグ)など数種類のアプリを活用して、仕事の電話やミーティングの時間を確保している。しかし、こうした対策は解決策というよりは一時しのぎのようなものだ、と彼は言う。彼によると、本当に役に立ったのは、あまりハイテクとは言えないものだった。

「プリンターで本当に救われました」と彼は言う。

子供たちが自宅にいることで、ローマン一家はアメリカを覆う人種差別に起因する暴力や警察による強権の行使について話し合う機会が得られている。歴史に関する既存の教材は、黒人のリーダーや奴隷制度をあまり正確に、詳細に扱っていなかったため、現在審査が入っている。両親が家にいる現在、こうした現実との乖離はますます明白になっている。各家庭に応じて、奴隷制度に関する教育が欠如していることは、アメリカでの差別制度に関する難しい話し合いを始めさせたり、学校が再開された際の議題として置かれたりしている。

ローマンによると、彼は人種差別や不正に気付かされなかったことは人生で一度もなく、彼の子供たちも同様のはずだと考えている。

「Ahmaud(アマド)、Breonna(ブレオナ)、George(ジョージ)の殺害事件を通じて、私と妻はアメリカに横たわる白人優位主義と人種差別の長い暗黒の歴史を真剣に捉えなければならなかった。子供とそうした会話をこれほど早く行うことになるとは思ってなかったが、彼は目にする映像についてたくさんの疑問を抱えており、私たちはそうした質問を正面から受け止めている」。
ローマンは本を通じて息子たちへ人種差別を説明している。エドテックプラットフォームのほどんどは人種差別撤廃をどう扱うかについて沈黙を保ってきたが、クイズレットでは「真のインパクトを与えるためにプログラミングを結集している」と語る。

遠隔学習の将来

現行のオンライン学習ツールは若い学習者に刺激を与えられないため、保護者や教育者は苦慮している。それに対応するため、新たなエドテックのスタートアップは遠隔学習の将来を描き出そうとしている。

Zigazoo(ジガズー)の共同創立者、Zak Ringelstein(ザック・リングルスタイン)は、彼が「子供向けのTikTok(ティックトック)」と呼ぶプラットフォームを立ち上げている。このアプリは幼稚園から中学校までの子供を対象にしており、ユーザーはプロジェクトごとのプロンプトに応じて短い動画を投稿できる。課題は、ナトリウム化合物を用いた火山を噴火させたり、日用品を使用して太陽系を構築するなど、科学実験のようなもので、また保護者はアプリを管理できるようになっている。

最初のユーザーは、リングルスタインの子供たちである。子供たちは画面を眺めるだけでは学習に集中しなかったため、双方向のやりとりが鍵を握るとの結論に至ったと彼は語る。将来的に、キャラクターが「ブランドアンバサダー」として振る舞い、短いビデオコンテンツに登場できるよう、ジガズーはエンターテイメント企業との提携を予定している。例えば、光合成について子供たちが学べるように、「セサミストリート」のキャラクターがティックトックのトレンドに現れるのを想像してみてください。

「子供向けのティックトック」を目標としたジガズーのプレビューとビデオベースのプロンプトを通じ、彼は「教育者として、エンターテイメント性を持つだけでなく、学習効果も高いコンテンツがあまりにも保護者へ提供されていないことに驚きました」と言う。

Lingumi(リングミ)は、例えば英語学習などの重要なスキルを幼児が学習できるプラットフォームである。同社が設立された理由は、幼稚園のクラスで生徒が多すぎで、子供が「スポンジのように知識を吸収する時期」に教師が十分な1対1の時間を提供できなかったことにある。リングミは別のスタートアップ企業であるSoapBox(ソープボックス)と同社の音声技術を使用して、子供たちの声を聴き取って理解し、彼らが言葉を発音する様子を評価して、流ちょう度を判定している。

ソープボックスのCEO、Patricia Scanlon(パトリシア・スカンロン)博士はこう述べる。「エドテック製品は教室で機能するよう設計されており、どこかで教師が介在しなければならない。現在、教師は子供たちと個別に交流できないため、この技術を使用すれば子供の進捗度を把握できる」。

もう一つのアプリ、Marcus Blackwell(マルクス・ブラックウェル)が作成したMake Music Count(メイク・ミュージック・カウント)は、生徒がデジタルのキーボードを使用して数式を解けるようにしている。200を超える学校で5万人の生徒が使用しており、最近ではCartoon Network(カートゥーン ネットワーク)とMotown Records(モータウン)と提携し、両社のコンテンツをレッスンとしてフォロワーが利用できるようにしている。アプリへログインすれば数学の問題が提示され、解決すればどのキーを弾くかが示される。セット内の数式をすべて解けば、弾いたキーが並んで、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)やRihanna(リアーナ)などのアーティストの人気曲が流れる。

このアプリはゲーミフィケーションと呼ばれる有名な戦略を使用して、若年層のユーザーを引き付けている。学習のゲーミフィケーションは、特に若年層に対し、生徒の興味を持続させ、学習を体系化させるための効果が長い間実証されてきた。歌や最終製品などで達成感が得られれば、ポジティブなフィードバックを求めている子供たちが満足する。この戦略は、クイズレットDuolingo(デュオリンゴ)など、今日最も成功した教育企業の一部が基本原則として採用している。

しかしメイク・ミュージック・カウントの場合、ゲーミフィケーションで通常用いられるポイントやバッジ、その他のアプリ内の報酬を採用せず、仮想的なアイテムよりもずっと楽しいものーー子供たちが楽しみ、自分で探すことも多い音楽を提供している。

テクノロジーと同様に、ゲーミフィケーションは学校で得られる個人的で実践的な体験をすべて賄えるわけではない。しかし、それこそが保護者が現在求めているものなのである。私たちは、遠隔学習しか選択肢がない場合だからこそ、テクノロジーがこんなに役に立てることと、教育は単なる知識の理解やテストにとどまらない豊かさを常に提供してきた事実を痛感した。

エドテックに欠けている要素:学校は学ぶだけの場所ではなく、子供をケアする場所である

結局、仕事が将来的にリモート化するのであれば、保護者たちが子供のケアをするためにより多くのサポートを必要としている。それを目指すスタートアップの1社にCleo(クレオ)が挙げられる。同社は子育てをサポートするスタートアップであり、最近、オンデマンドの保育サービスを提供するUrbanSitter(アーバンシッター)提携した

CleoのCEO、Sarahjane Sacchetti(サラジェーン・サッケッティ)は5月にTechCrunchに対してこう答えている。「保護者が危機に直面している今、仕事を持つ母親はソリューションを熱望している。当社は単に会員や企業の顧客が利用できるだけでなく、私たち自身でも使用しようと思うソリューションの開発を目指した。仮想ケアからスケジュール調整や新たな保育士探しまで、私たち自身ですべてを試して実験した結果、家庭の手助けになる唯一のソリューションには、新型コロナウイルスがもたらした独自の問題を解決するために構築された新たな保育モデルが必要であると判明した。」

保育のマーケットプレイスであるWinnie(ウィニー)の共同創立者、Sara Mauskopf(サラ・マウスコプフ)は、遠隔学習の支援を試みるテック企業は、「解決するのは教育面の問題だけではない」ことを念頭に置かなければならない、と言う。

彼女はこう述べている。「学校は保育の一形態だ。一番私の気に障るのは、『これまで以上に多くの人が自宅学習に切り替える』というツイートが氾濫しているのを見ることだ。だからといって誰も、私の赤ん坊へマカロニチーズを食べさせたり、おむつを替えてくれないじゃない」。

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Category:EdTech

Tag:教育 コラム

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(翻訳:Dragonfly)