Google、教師向け教室管理ツール、Classroomを一般公開

さる5月、GoolgeはClassroomの限定プレビュー版を発表した。これは宿題を課し、提出させるなどの教室で教師が生徒とやりとりするのを助けるツールだ。Googleによれば、現在、45か国の10万人以上の教師がClassroomに登録しているという。今日(米国時間8/12)、GoogleはClassroomを正式に一般公開し、Google Apps for Educationのアカウントを持つユーザーなら誰でもClassroomが利用可能となった。

Classroomは現在42か国語が利用可能で、教師に対して宿題のコンテンツ・マネジメントを提供する。教師は宿題を課し、提出された宿題を採点したり、生徒を追加、削除したりできる。このサービスはGoogleドライブのプラットフォームの上に成立しており、当然ながらGoogleドキュメントのワープロやSlideなど各種生産性ツールが利用できる。Google Apps for Educationの一環として利用は無料だ。

Googleが提供している学校向けサービスはもちろんClassroomだけではない(AppleやMicrosoftにも数多くの学校向けサービスがある)。Googleは学校をChromebookのためのニッチ市場としても重視している。またGoogle Play for Educationは学校や教師がAndroidアプリを購入するのを手助けすると同時に、もっと重要な点だが、教師が独自のアプリを生徒に配布するための場を提供している。

Classroomの一般公開で、Googleの教育向けサービスのラインナップが整った。生徒はGoogleのChromebookノートパソコンを利用し、Googleドキュメントのワープロで宿題を書き、Classroomを通じて教師に提出できるようになった。Googleに教育の重要部分を委ねるのが適当かどうかは学校と保護者が考慮すべき点だが、使い勝手からいえば、いくつものシステムをつぎはぎして利用するより、単一のエコシステム内ですべてがすめばたしかに簡単ではある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Chromebookの販売が好調。ただし未だに大海の一滴

Chromebookの販売が好調だ。主に北米の教育市場に支えられて売上を伸ばしているが、それでもGoogle OSベースのノートPCは今後5年間、ニッチ商品であり続けるだろうと、Gartnerのアナリストは言っている。

アナリストは、同機が成功する鍵は、クラウドベースのアーキテクチャーが、常にオンラインであることを前提としない他のノートPCに対して何が有利なのかを、ベンダーラがユーザーに提示できるかどうかにかかっている、と言う。つまり、Chromebookはにはその価値を証明して見せるためのキラーアプリが必要だ ― マウンテンビューの広告端末として以上の。

Gartnerは、最新のChromebook予測レポート、Competitive Landscape: Chromebooks, Worldwideで、今年のChrome OS塔載インターネット接続ノートPCの販売台数を、520万台と予測した ― 前年の79%増だ。しかし、2017年の予測販売台数は、ほぼ3倍の1440万台だ。
これと関連して、先月Gartnerは、今年のパソコン出荷台数(ノート、デスクトップ、ウルトラモバイル、ハイブリッドを含む)を計3.08億台、タブレットは2.56億台と予測した。これを見ると、Chromebookは未だにデバイスの大海の一滴にすぎない。

Chromebook成長の理由は、停滞気味のパソコン市場の先に、Chromebookの成長チャンスを見出したメーカーが増えているからだとGartnerは言う。今年、8機種のChromebookが市場に出ているとアナリストは書いている。

Chromebookの初期参入者だったSamsungとAcerは、2013年の二大勢力として、Samsungが170万台を出荷して64.9%の市場シェアを獲得し、Acerは21.4%を占めた(そしてつい先ほど新機種を発表した)。残りを、HP(6.8%)、Lenovo (6.7%)、およびDell (0.3%)が分けあった。

需要面から見ると、2013年には教育市場がChromebook売上の85%を占めた。地域別では、北米が大部分を占め、2013年の総販売台数、290万台のうち82%が同地域で販売された。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


中学生たちが夏休みにスタートアップ起業体験…自作アプリがApple/Googleのストアに並ぶまで

テクノロジの世界には、Mark ZuckerbergEvan Spiegelをはじめとして、若い起業家がありふれている。でも、ここまで若くはない。

カリフォルニア州Torranceの四人の中学生(上図)が、夏休みを利用して、Flappy Birdからヒントを得たBankItというシンプルなゲームを作った。親たちは、ただゲームを作るだけじゃなくて、アプリの設計やデザインにはじまり、その開発、そしてマーケティングという、スタートアップの全過程を経験してほしい、と望んだ。

そこで四人はまず、それぞれの役割を決め、彼らのイニシャルを取ったSKYS Studiosという名前の会社を作った。Seia Watanbe14歳がアプリのデザイナー、Yua Watanabe12歳がプロダクトマネージャ、Kai Mackenzie11歳がプログラマ、そしてSho Mackenzie13歳がマーケティングプランを指揮し、勇敢にも本誌TechCrunchにメールした。

BankItはAppleGoogleのアプリストアでダウンロードできるが、そんなに難しくないゲームだ。画面に現れるボールを上へスワイプして上辺に当て、それが下辺のゴールに入れば得点になる。バスケの、いわゆるバンクショットをやるので、BankItという名前になっている。これまでの最高得点が記録されるが、自分自身のそれに挑戦するだけでも、けっこう、はまってしまう。

でもSKYS Studiosのキモは、ゲームそのものではない。子どもたちの心に、テクノロジの世界への関心を芽生えさせたことが重要だ。

最近は、あそこここもと、ダイバーシティレポート(diversity report)*を発表することがテク界隈で流行っている。女性やマイノリティの人たちにもっとコンピュータ科学を勉強してもらって、テクノロジの世界に就職してもらわんと困る、というわけだ。Girls Who Codeなどの、女性や子どもたちのためのプログラミング教育サービスの役割も、きわめて重要だ。でもテクノロジの世界の仕事はプログラミングを書くだけでは終わらないから、SKYSのような総合的な取り組みを、軽く見て忘れ去るべきではない。〔*: diversity report, 多様性報告書、社員構成の性的人種的多様性を示す報告書。日本の主要企業・銀行などのダイバーシティレポートもネット上で公開されている。〕

Mackenzie兄弟の父親Harold Mackenzieが、本誌宛てのメールでこう言っている: “このスタートアップ体験で子どもたちに言ったのは、失敗してもいいから、何か自分たちが誇れるものを作ること、その一部始終を自分で経験することに、すごい価値がある、ということだ。みんなが、私の言うことをわかってくれたのが、とても嬉しい。しかも、失敗どころかアプリが実際にAppleやGoogleのストアにまで行ったんだからね”。

ぼくはSKYSの若き起業家たちにインタビューすることができたが、みんな、ちょっぴりシャイな子たちだ。でもぼくがSkypeする数秒前にはHarold Mackenzieが、今連中は互いに物を投げ合って遊んでいる、と言っていたのだ。

未来のシリコンバレーのスポークスマンSho Mackenzieは、このプロジェクトでいちばんおもしろかったのは、設定をいろいろ変えてテストをしたとき、と言った。ボールの数とか、いろんなパラメータの値を、変えてテストを行ったのだ。

アプリは完成したけど、子どもたちの仕事はまだある。数週間後に始まる新学期のための、マーケティングの計画を作らなければならない。Instagramを利用してクラスメートたちにアプリの宣伝をするのだ。

SKYS Studiosの今後は? 四人とも、またアプリを作りたい!と興奮している。大人になったら何になりたいか、という質問への明確な答はなかった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「既存プレイヤーをひっくり返す」オンライン学習塾のアオイゼミが1.2億円調達

中高校生向けオンライン学習塾「アオイゼミ」を運営する葵が4日、ジャフコから1億2000万円の第三者割当増資を実施した。オンライン学習塾は教室のテナント代を抑えることで、生徒の教育コストを下げられるのが特徴。一般の学習塾もネット化を進めれば良さそうだが、オンライン学習塾の月額料金は高くても数千円程度。その倍以上の授業料を取る学習塾からしてみれば、既存の事業をカニバリズムで破壊してしまうことになりかねないのでアクセルを踏み込めないのだと、葵代表取締役の石井貴基氏は話す。7月に福岡で開かれたイベント「B Dash Camp」で「既存プレイヤーを一気にひっくり返したい」と意気込んでいたのが印象的だった。

アオイゼミは一般の学習塾のような教室ではなく、都内にある小さなスタジオで毎週月曜日から木曜にかけてライブ授業を配信している。中学生向けには日替わりで数学、社会、理科、英語の授業があり、金曜日は特別授業や再配信を行っている(国語は不定期)。会員登録をすれば、PCやスマホアプリから無料でライブ授業を受講でき、現在は3000人以上のユーザーがリアルタイムで視聴している。

有料会員になれば、過去に配信された3000件以上の授業がいつでも見られるほか、授業後の講師への個別質問が可能となる。月額料金は1教科2000円、2教科3500円、3教科4500円、4教科5000円。プレミアム会員には、成績が上がらなかった場合に全額返金するプログラムも用意している。

講師は社会を担当する石井氏のほか、有名予備校で教えた経験がある専属スタッフや現役大学生が担当。学習塾や通信教育でよくある「第一志望合格率」は86.3%を謳っている。今回調達した資金では、高校生向けの教材コンテンツを増やすとともに、システム開発を強化するためにエンジニア採用に注力する。9月上旬には、生徒の学習時間を把握できる保護者向けのアプリをリリースする予定だ。

生徒の心が折れないコミュニティを育成する


オンライン学習はやる気が続くかどうかが懸念されるところでもあるが、アオイゼミはユーザーが自主的に参加したくなる仕組みづくりで継続率を上げようとしている。例えば、ライブ授業中にはコメント欄を通じて講師にリアルタイムに質問できるほか、「なるほど!」や「わからないー」といった感情を表すスタンプが飛び交う。動画プレイヤーにテキストが表示されないニコニコ動画のような感じのインターフェイスは「みんなで勉強している一体感」を生み出し、生徒のやる気を刺激するのだという。

生徒同士が交流するSNSでは、勉強だけでなく遊びや恋愛に関する話題も投稿されるが、「学校の放課後感があっても構わない」と石井氏。「またアオイゼミでみんなと一緒に勉強しようか」と思ってもらうためのコミュニティ育成を重視しているのだという。「勉強だけが目的だと、どうしても途中で心が折れてしまいがち。この辺は実際の学習塾のマネジメントと変わりません」。志望校ベースのSNSでは生徒同士が励まし合ったり、切磋琢磨していて、実際に継続率向上につながっているそうだ。

既存のプレイヤーをひっくり返したいうアオイゼミだが、オンライン学習塾の競合も少なくない。例えば、リクルートの大学受験生向けサービス「受験サプリ」は、無料で大学入試の過去問をダウンロードしたり、大学入試センター試験の模擬テストを受けられる。月額980円を払えば大手予備校講師による動画を視聴可能で、無料ユーザーを含めて累計利用者は108万人に上る。教育専門出版社の旺文社は月額980円で600本以上の動画授業が見放題の「大学受験まなぞう」、個人情報の大量漏えいが話題となっているベネッセもライブ授業サービスを手がけているほか、現役大学生のボランティアが講師を務め、誰でも無料で授業を受けられる「manavee(マナビー)」などもある。


ウェアラブルでファッショナブルな電脳玩具Linkitzがプログラミングを愛する女の子を育てる

MITの博士であるLyssa Neelは、子どもたちの社交性やアクセサリ好きという特徴を生かして、とくに女の子たちにプログラミングへの関心を持たせようとしている。 Neel が発明したLinkitzはウェアラブルな電子玩具で、子どもたちが電子回路のブロックを、並べてくっつけたり、並べ方を変えたり、どれかを外したり、またつないだりしていると、ライトの点滅、ブザー音が鳴るなど、いろんな振る舞いをする。それによって、プログラミングの概念を楽しく学習できる、とNeelは述べる。

女の子だけでなく、男の子もLinkitzで遊べるが、MITのコンピュータ科学で10人目の女性の博士であるNeelがコンピュータのプログラミングを好きになったのは小学6年生のときで、自分の3人の娘を見ていてLinkitzを発想した。

Neelは、こう言うr: “彼女たちが小学生のころ、いろんないわゆる‘組み立て玩具’( ‘engineering toys’ )を買ってあげたけど、どれも一人っきりで遊ぶ積み木的なのばかりで、うちの子たちはあまり遊びたがらなかった。子どもたちはとても社交的で、友だちと遊ぶのが好きで、いろんなことを友だちと一緒にしたいのよ。そこで私は、よーし、この子たちが気に入るものを作ってやろう、と決心して、テクノロジの要素のあるゲームを作り始めた。女の子たちの関心が、中学まで持続することを期待している。中学生になると、数学と科学がつまんない、と言い出す女の子がとっても多いから”。

Linkitzのチームは、Neelと協同ファウンダのDrew MacraeとChris Wallaceの3名で、最近カナダのオンタリオ州のCoburgで行われた2014 N100 Startup Competition(N100スタートアップコンペ)で優勝した。‘賞品’の一部が、アクセラレータHAXLR8Rのプログラムによる中国深圳への旅行で、チームは今そこで、Linkitzの玩具としての大量生産のやり方などを勉強している。また製品の最終的な完成と試験とマーケティングのための資金として、Northumberland CFDCから10万ドルを獲得した。

Linkitzは本社をCoburgに置くことにして、すでに地元の技術者たちとプロトタイプ作りに取り組んでいる。子どもたちにプロトタイプで遊んでもらってテストを開始するのは、もうすぐだそうだ。


“今の子たちにとってウェアラブルは、ナウくって、とっても欲しいものなのだ。Linkitzはしかも、点滅したり音が出たりする組み合わせタイプで、子どもたちがプログラミングに慣れ親しむこともできる”、とMacraeは説明する。

N100は毎年Northumberland CFDCが主催するスタートアップコンペだ。賞金は初期投資としての10万ドル。昨年優勝した“ユビキタスコンピュータ”Ubiは、その後63万5000ドルのエンジェル資金を獲得した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


コンピュータ科学(CS)の教育にも現代化が必要だ

[筆者: Jay Borenstein]

編集者注記: Jay Borensteinスタンフォード大学のコンピュータ科学の講師で、FacebookのOpen Academyのファウンダ。

このところ、大学で十分な数の技術者が生産されない、と嘆く声が多い。シリコンバレーではとくにそうだ。合衆国労働省の予想では、2020年にはコンピュータ科学(computer science, CS)を専攻した学卒者への新規求人が140万口あり、しかし実際の卒業者はその30%しかいない、という。しかし実は、それよりももっと問題なのは、CSを専攻して卒業した者の多くに、企業ですぐに役に立つ実践的なスキルがないことだ。つまり、CSの学士や修士と、実際のソフトウェアエンジニアは、まったく違う物、なのだ。

大学のCSの課程には、ソフトウェア開発の実習もある。しかしそれはあくまでも教材の一環だから、職業としてのソフトウェア開発のいろんな側面は学生たちに伝わらない。まず、実際のソフトウェア開発のプロジェクトは、クラスの実習よりも大規模で時間も長い。現実のソフトウェア開発では、相当量の既存のコードも理解して使いこなせなければならない。さらに現実の世界では、プロジェクト管理や人間関係の要素がソフトウェア開発にも影響を及ぼす。そしてシステムは、技術を評価する先生ではなく、ユーザの満足度で評価が決まる。

この問題に対するベストソリューションは、学生をオープンソースのコミュニティに触れさせることによって、重要な基礎を与える大学のCS教育と、本物の仕事や作品が備える実践性とを結びつけることだ。

CSの学生たちをオープンソースに触れさせることは、彼らをソフトウェア産業の、どくどくと脈打つ心臓の部分に放り込むことになる。オープンソースの世界では誰もが開発に参加して新しいインフラや設計を一から作っていく。しかも、誰からも強制されずに自発的に。また大学での実習と違ってオープンソースの世界では、自分が行う寄与貢献(コントリビューション)が各エコシステムに直接の影響を与える。

学生たちをオープンソースの世界に慣れさせて、活発にコントリビューションをやらせることによって、CSの課程が実践的な職業教育にもなり、自分が勉強していることや書いているコードなどに、学生自身が現実感を持てるようになる。

学生たちをオープンソースの世界に触れさせるとは、単にそういう話をして、リンクを紹介して、「やってみたら」と言うことではない。ちゃんと、正規のカリキュラムを確立して、教師の役割、学生のやるべきこと、そしてアシスタントのベテランオープンソーサーにやってほしいことを、シナリオとして具体化しなければならない。アシスタントは、人気の高いオープンソースプロジェクト、MongoDBMozilla、Open Badge、Ruby on Rails、SocketIOなどのメンテナを実際にやっている人がよい。このやり方は、今ぼくがここで思いつきを書いているのではなくて、いくつかの大学がすでに実践しており、以下のような成果を上げている:

  • 教育現場にエキスパートがいる: 大学のCSの先生が(ぼくもそうだが)同時にオープンソースプロジェクトのエキスパートであることは稀だ。だからアシスタントの形でプロジェクトのエキスパートを教育現場に連れてくれば、学生たちが得るものも大きく、しかも勉強に対して現実味のあるフィードバックが得られる。たとえばほとんどのオープンソースプロジェクトでは、残っているバグは難しいのばかりだ。そんな難関のバグを学生とエキスパートが一緒になって解決努力に取り組めば、ものすごく貴重でしかも現実性の高い学習経験になる。
  • チームワークを体験: 学生たちを、個人ではなく数名ずつのチームに編成してオープンソースプロジェクトへのコントリビューションにあたらせる。その過程をエキスパートがガイドする。ふつうの大学のふつうのカリキュラムには、(成績評価が難しいので)チームワークが完全に抜け落ちていることが多い。だからこそ、この新しいオープンソース体験は重要な…現実世界への応用性も高い…学習体験となる。
  • 達成感が得られる: オープンソースをカリキュラムに含めると、学生たちにソフトウェア開発の現実を体験させ、また自分たちのコントリビューションでそのプロジェクトのステートが実際に変わった(前進した)ことを体感できる。
  • 集中力が育つ: たぶんいちばん重要なのは、学生たちが具体的なプロジェクトに集中して自己のスキルを構築し、しかもそれが、卒業後にはすぐに会社などで役に立つことだ。医学部の学生にはインターンのあとに臨床実習が義務付けられているが、それとほぼ同じ現実的な過程をCSの学生たちが体得できる。その現実体験の記憶は、会社の業務の理解も早める。

大学のカリキュラムにオープンソースを導入することには、教育以外のメリットもある。それは、オープンソースの精神に中毒性(やみつきになること)があることだ。人間は集団的な生物なので、オープンソースにおける国境なき大規模なコラボレーションと、何かを変えようとする集団的意思力は、学生たちを明るく元気にする。未来のCS教育は壁のない教室で行われるようになり、卒業したその日から仕事ができる人材を数多く育てる、とぼくは信じてやまない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


オンライン語学学習のDuolingoがTOEFLに代わる英語検定をローンチ

今日(米国時間7/22)、無料のオンライン語学学習サービスのDuolingoは、語学能力の検定を行うTest Centerをスタートさせた。 ここで実施される英語運用能力試験(English Proficiency Exam)は受験者の能力を10段階で評価する。同センターは今後、英語以外の言語についても試験を拡張していく。

当面この試験は無料だが、試験結果を多くの企業が求人の際の資格として認定するようになれば、20ドルの受験料を課す計画だ。

TOEFL(Test of English as a Foreign Language)のような英語能力検定はアメリカに留学を希望する学生のほとんど全員が受験しなければならないので、巨大な独占企業と化している。Duolingoは、この独占的な英語検定ビジネスに直接戦いを挑む最初のスタートアップだろう。

TOEFLのような語学検定を受験するのは金がかかり、また時間を食う。私は今週、Duolingoのファウンダー、Luis von Ahnにインタビューしたが、「〔TOEFLなどの〕受験者の多くは遠く離れた開催都市まで旅行しなければならない。〔グアテマラ生まれの〕私自身、アメリカに留学する際に、TOEFLを受験するために別の国に行かねばならなかった」という。

TOEFLの受験を必要とするのは留学生ばかりではない。多くの大企業が就労ビザの保証人となる前にTOEFLで所定の成績を収めることを要求している。

こうしたTOEFLなどの独占を打ち破るのがDuolingoの目標だ。当初、Duolingoはこうした事業を計画していたわけではなかったが、「自分たちが本当に語学を身につけたことを証明して欲しい」と訴えるDuolingoのユーザーがますます増えてきたのだという。「そこでわれわれは語学検定ビジネスについて調査を始めた。すると現在のプロセスには非常に多くの問題があることがわかった。TOEFLのようなテストを実施するコストはほんのわずかなはずなのに、事実上独占事業であるために巨額の利益が上乗せされている。もちろんそれが独占というものだ」とvon Ahnは語った。

現在の語学検定では不正行為もまた深刻な問題だ。往々にして受験者は見た目が多少似ている替え玉を頼む。また試験監督員が賄賂を受け取って不正を行うこともある。不正防止はDuolingoが検定試験を開発する際にもっとも重視した点の一つだ。Duolongの検定ではパソコンないしスマートフォンのマイクとカメラを通じて音声と映像で受験者を逐一記録する。受験終了後に、Duolingoの監督員が不正がなかったかこの記録をチェックする。このビデオは受験者のデジタル身元証明としても用いられるので、替え玉受験が行われた場合、大学当局は簡単に見破れるわけだ。

この労働集約的な不正防止策がDuolingoの検定ビジネス参入にあたっての最大のコスト要因だった。しかしDuolingoでは、多大の出費となることは覚悟で、試験を無料で実施することにした。この間、Duoling検定の普及と、これを資格要件として採用する大学、企業などのパートナーの獲得に務めるという。

現在、Ahnが准教授を務めるCarnegie Mellon大学が、Duolingoと協力して語学能力の検証手法の改良について研究を行っている。AUniversity of Pittsburghの研究によると、Duolingoのテストの成績はTOEFLの成績ときわめて高い相関を示しているという。しかしDuolingo検定の有効性が多くの大学に認められるようになるまでにはまだ少々時間がかかるだろう。

Duolingoはまたオンラインの請負業務仲介サービス、oDeskと提携し、求職者のプロフィールにテスト成績を表示している。またLinkedInも、Duolingのテスト成績を詳細プロフィールに表示することに協力している。

テスト受験のためのモバイル・アプリは、現在Android版ウェブ版のみだが、iOS版も開発中で、Ahnによれば9月には公開される予定だという。

〔日本語版〕 この4月にイギリスでTOEFL試験での組織的不正が発覚し、TOEICでのイギリスビザ、取得不可に TOEFLもダメになるという事件があった。この記事にあるように個別にビデオ記録が残るオンライン試験の方が不正が困難となるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google Chromebook、四半期で100万台を売り教育市場向けに躍進中

先日行われた収支報告の席にて、Google、およびそのパートナーはこの四半期で教育機関向けに100万台のChromebooksを販売した旨を発表した。同四半期における世界中でのPC販売台数が7600万台であった(Gartnerレポートによる)ことを考えれば、教育機関限定とした場合での100万台はなかなかの数字だということができよう。

Chrome OSはその登場当初、多くの人が失敗するに違いないと考えていた。ブラウザしか動作しないデバイスを誰が欲しがるだろうか、と言われたものだった。しかし十分な収入を他から得ていたGoogleは、このプロダクトへの予算投入を全く躊躇わなかった。ダメだと言われる時代にも、あくまでもChrome OSプロダクトにこだわっていたのだ。そうこうするうちにウェブアプリケーションでできることは増え続け、Chromebookの使い道も増えていった。今日にいたっては、ほぼすべてのことをウェブアプリケーションで実行することができるようになっている(もちろんPhotoshopなど、従来型のアプリケーションを必要とするものも少なくはない)。「ウェブしか使えない」という制限も、さほど大きな欠点とはみなされなくなってきているのだ。

これまでは、多くの教育機関がiPadを購入してきたし、また生徒たちもChromebookよりもiPadに興味を示すことが多いだろう。しかしChromebookに比較すればiPadの値段は高価であり、管理も難しいとい面もある。Googleは多数のChromebookを一括管理する方法も構築している。少なくともこの面に関していえば、Appleが遅れを取っているといっても過言ではあるまい。

先月のI/Oデベロッパー・カンファレンスでもGoogleは、Google Play for Educationアプリケーションや電子書籍をAndroidタブレットのみならず、Chromebookからも利用できるようにするとアナウンスしていた。これに注目した人は意外に少なかったようだが、Googleの教育分野への本気度を示す発表であったと受け取るべきだろう。Googleは教育機関を、そのエコシステムのひとつとして取り込むことを決意したのだ。

Google Play for Educationのプロダクトマネージャーを務めるRick Borovoyは、カンファレンスの席上で、タブレットとChromebookの双方を用意する学校が多いのだとも話していた。

教育関連マーケットではこれまで、Appleがその強さを発揮していた。しかしハードウェア的な優位性はAppleにあるものの、価格面では他デバイスに軍配が上がっていたことは事実だ。iPadを導入するためには、教育機関としても必死の予算獲得戦略を練る必要があった。しかし200ドル程度のChromebookであれば、はるかに容易に導入できるわけだ。

ちなみにAppleのみならずMicrosoftもGoogleの教育分野への進出意図をうけて対策を練ろうとしていた。Chromebookの悪口を伝えようと努力していて(Pawn Stars広告を打っていた)が、それは結局将来性豊かな教育市場をGoogleに荒らされることを危惧していたわけだ。さらにMicrosoftは、Chromebookへのカウンターとしてローエンドかつロープライスなノートブックを市場に送り出そうとしている。しかし、Chrmebookがアピールする「エコシステム」は、「価格」以上の重要なポイントであり、これが教育機関におけるChromebookの存在感を増すことにつながったものと思われる。Microsoftも教育機関向けの教材アプリケーションを提供しようとしているものの、GoogleはGoogle Play内に教育専門の猟奇を設ける等、教員ないし生徒に対しても、アプリケーションや書籍の充実ぶりをアピールし続けている。

MicrosoftおよびAppleの双方ともに、Googleの教育分野での成長ぶりを意識していることは間違いない。このままGoogleが教育分野における存在感をましていけば、Googleの利用を第一に考える成人の比率をあげることにつながってしまう。AppleやMicrosoftはそうした面での意識は十分に備えていて、これまでは教育機関向けの割引などをいろいろと用意して対処してきていた。しかしどうやらGoogleはAppleやMicrosoftのやり方に学び、本気で両者に対抗しようとする意志を固めたのだというようにも見える。

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(翻訳:Maeda, H


GoogleがAndroidソフトウェア開発の無料学習コースを提供、Udacityから

Googleがオンライン学習のUdacityと提携して、無料のAndroidソフトウェア開発コースを提供する。ビデオのほかに、小テストや教材、それにフォーラムも提供される。このコースは”Developing Android Apps: Android Fundamentals”(Androidのアプリ開発: Androidの基礎)と呼ばれ、Androidアプリを作るために必要なもののすべてを、一歩ずつ教えていく。ただし学習者は、プログラミングに関する基礎的な理解をすでに持っている必要がある。

このAndroidコースは、GoogleのDeveloper Advocates〔仮訳: デベロッパヘルパー〕 Reto Meier、Dan Galpin、およびKatherine Kuanが担当し、またフィードバックへの個人的な対応や直接指導が、Udacityの有料コースをすでに受講している先生生徒間で行われる。この事業の目的はまず、Androidの歴史や成り立ちを学んでAndroidをよく知ること、そして過去のプログラミング経験等ではなく、Androidの具体的な知識をベースとしてプログラミングを発想/書けることを目的として、Androidソフトウェアの作り方を教える。

Googleの当然のねらいは、Androidのソフトウェアを作るデベロッパの増員だ。先月行われたGoogle I/Oでの発表が正しければ、今やAndroidはありとあらゆるものを動かすOSになりつつある。だから、Androidで考え、Androidで書くことのできるデベロッパを増やすことは、今後のAndroidの、自動車、テレビ、ウェアラブルなどへの実装が、広い消費者層に普及していくために欠かせない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


インターネットを高速/低速レーンに分けるFCCのアイデアにCodecademyなど教育スタートアップたちが反対陳情

連邦通信委員会(Federal Communications Commission, FCC)が今日(米国時間7/1)、インターネット上の教育スタートアップたちからきついお小言を食らった。General AssemblyCodecademyCodeCombatOpenCurriculumの計4社はFCCに対する書面による陳情で、FCCが設けようとしているインターネットの高速レーンは、“低料金や無料の教育へのアクセスを妨げ、21世紀の経済が必要とする、大量の人口にわたる職業技能の取得を不可能にする”、と述べている。

Net Neutrality(インターネットの中立性)に関してFCCが最近提案した新しいルールは、インターネット企業の参入条件を不公平にし、でっかい財布を持つ既存の大きな大学を優遇する、と4社は主張している。

General AssemblyのCEO Jake SchwartzはFCCに、こんなルールが前からあったらわが社はネット上に存在することすら不可能だっただろう、と言う:

私と協同ファウンダたちが2011年にGeneral Assemblyを始めたときには、オンラインにもオフラインにも既存の競合他社がすでにたくさんいました。その多くは豊富な資金に支えられ、General Assemblyのような新規参入企業を教育市場から締め出そうと躍起になっていました。わが社が創設された当時、FCCのこの新しいルールが存在していれば、BradとMattとAdamと私にとって、General Assemblyを創業して成長させることが、はるかに困難だったでしょう。教育にかぎらず、重要なことのためにビジネスを始め、リソースを見つけることは、今でも十分に困難です。わが社の場合それは、新しいより良いコースを作って生徒を見つけ、そして卒業者たちを支援することでした。それは、インターネットサービスプロバイダに資金の多くを奪われることがなく、資金量の豊富な既存の競合他社たちと平等互角にサービスを享受できたからこそ、可能だったのです。

FCCのTom Wheeler委員長が今年の初めに提案した新たなインターネット中立性規則では、インターネットの回線を費用の高い高速レーンと、それよりも遅い従来どおりのレーンの二本立てにすることになっている。しかしそうすると、ComcastやVerizonなどの巨大コンテンツプロバイダ企業が優遇され、一般大衆は低速レーンに甘んじることになるので、この提案は大反撃を食らった。GoogleやFacebookなども含む100あまりのインターネット企業が、それぞれ独自にFCCに書簡を送って、その新しい提案はコンテンツを差別する先例を作り出す、と述べ、二本立て案の撤回を迫った。

今日陳情書を提出した4社のインターネット教育スタートアップは、インターネットのオープン性が堅固に守られない場合には、インターネット産業そのもののイノベーションと成長の首を絞めることにつながる、と主張している。彼らは、次のような4つの項目を挙げている:

  • 低速レーンはユーザの関心の持続を損なう
  • 有料化は費用構造を劣化させリソースの確保を困難にする
  • 業界の成長はイノベーションの費用が安いことに依存している
  • 教育の選択肢の減少はクリエイターや起業家や十分に教育されたその卵たちの減少を招く

New America Foundationは今朝、教育長官Arne Duncanに書簡を送って、フリーでオープンなインターネットの教育にとっての重要性に関し、議論を喚起せよ、と迫っている。

各社の陳情書は、以下をクリックすると見られる:

CodeCombat

General Assembly

Codeacademy

OpenCurriculum

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


CodecademyとGoogleが女子コンピュータ教育の振興を目指すDonorsChooseのチャリティを推進

今やプログラミング教育の世界的なリーダー格となったCodecademyが、“コンピュータ科学を勉強する女子高生の数を今の倍にする”を目標とする新たな企画を立ちあげた。

協同ファウンダでCEOのZach Sims(上図)によると、Codecademyにとってこれほど大規模な事業企画は初めてだそうだ。

Googleのチャリティ部門Google.orgが、100万ドルを出してこの企画を賛助する。そのお金は教育チャリティ専門のDonorsChoose.orgを通じて学習者のクラスへの褒賞金になる。Codecademyがこの企画のために特別に作ったコースを女子生徒が終了すると、ご褒美として125ドルをDonorsChooseからもらえる。4人の生徒に1人の教師が付き添ってコースを完了すると、さらに500ドルを教師がもらえる*。〔*: いずれも個人のお金になるのではない…後述〕。

この企画では、コンピュータ科学を学ぶことで生徒や教師にインセンティブを与えるだけでなく、Codecademyのブログによるとそのほかのメリットもある:

DonorsChoose.orgと協働することによって、生徒や教師に支払われる100万ドルの報奨金が、テクノロジと各種教材へのアクセスを良くすることに確実に寄与する。生徒がCodecademyのコースを終了すると、生徒たちの教室にタブレット型PCやプログラミングとコンピュータ科学の教科書などが置かれることになる。つまりこの企画は、生徒個人々々を強化するだけでなく、コンピュータの学習に向けての教室の状態を向上させる。*

〔*: 形としてはDonorsChooseが行う教育チャリティ事業(クラスのコンピュータ教育環境の充実整備)にGoogle.orgが資金を提供し、その事業の実施(技術面)をCodecademyが担当する。〕

女子のテクノロジ人口を増やそうとするそのほかの取り組みとして、Girls Who CodeBlack Girls CodeCodeNowなどがある。CodeNowは最近、Y Combinatorが支援する数少ない非営利組織のひとつとなった。

[画像: Flickr/LeWeb]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


バングラデシュの貧困を打破するプログラミング教育–ノーベル平和賞のユヌス博士も支援

第三世界の人たちにプログラミングを教えることが今、トレンドになりつつあり、それはもしかして、全世界的な貧困の悪循環を断ち切ることに貢献するかもしれない。デンマークのマイクロファイナンス(小額融資)企業CodersTrustも、バングラデシュの100名のグループを対象に、それをテストしようとしている。

CodersTrustの協同ファウンダFerdinand Kjaerulffはこう言う: “oDeskみたいなサイトで見つかるプログラマは、10人中9人ぐらいはひどいからね”。彼と、協同ファウンダでSkypeのエンジェル投資家Morten Lundは、アウトソーシングが今抱えるこのような問題を、これから作る第三世界のプログラマネットワークで解決したい、と考えている。第三世界にはプログラマを育てる大きな機会がある、と考えた彼らは、まずマイクロファイナンシングの企業を作り、その資金により、貧困ラインの下の方の人たちに良い教育の機会を与えたい。そしてそのビジョンの実現への取り組みを、バングラデシュからスタートするのだ。

CodersTrustはまず、oDeskでまじめそうな人を見つける。その人たちにアプローチして同社の事業への参加を勧誘し、2000ドルのマイクロローンを提供する。融資額は、その人の進歩とともに増額される。たとえばCode Academyのいろんなクラスを合格卒業するたびに、お金をもらえる。そうやって一人前に育ったプログラマは、さらにスキルの向上に努め、仕事を得て収入が得られるたびに少しずつローンを返済していく。

CodersTrustを、ノーベル平和賞の受賞者Muhammad Yunus博士のGrameen Bankが支え、バングラデシュでのプログラミング教育のための資金を援助している。

“貧困ラインよりも下の人たちは、その日食べることにも困っている人たちだから、教育どころではない。そんな人たちが相手だから、時間のかかる事業だ”、とLundは語る。

バングラデシュでは4人に一人が一日2ドル足らずで生活している。したがって、毎日々々が貧困ライン以下である人たちは、バングラデシュに4000万近くいる。そんな状況を彼らが打破するためには、ラップトップを持ち英語が分かるようになることがまず必要、とKjaerulffは言う。

Kjaerulffは、ソフトウェア開発のスタートアップをやっていたときにCodersTrustのアイデアがひらめいた。その前の彼は、イラク派兵部隊の士官として、現地の人びとにインターネットと教育を提供していたので、第三世界の人びとの教育のニーズが大きいことをよく理解していた。

oDeskは昨年Elanceと合併して、デジタルの一時雇用市場の最大手になった。その市場規模は、今年で27億ドルと言われている。同サービスはスキルのテストはするが、基本的には労働者を提供するだけで教育訓練はいっさい提供しない。ここにバングラデシュの人びとが50万人登録しているが、彼らへの支援は何もない。ほったらかしだから、スキルも向上しない。

Grameenは2400万人のバングラデシュの女性に、羊の購入とか、小企業の立ちあげなどのためのマイクロファイナンスを提供している。CodersTrustと提携したことによって、今度からはお金だけでなく、プログラミングという職業技能を提供できる。Lundは曰く、このようにして、一日の生活費2ドルのバングラデシュの人たちを、一時間10ドルの収入へと向かわせることができる。

今回はまだテストプログラムだが、ゆくゆくは対象者を10万名に増やし、さらにまた、2年後には中東諸国にも事業を拡大したい、とLundとKjaerulffは考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


オバマ大統領、Tumblrで若者と語る

オバマ大統領は今日(米国時間6/10)Tumblrに登場し、教育に関する話題についてユーザーの質問に答えた。

これもまた、大統領が若きアメリカ人の注目を引くために新しいメディアを使った一例だ。特に、一部で不評ながら、オバマ大統領がコメディー番組 “Between Two Ferns” でザック・ガリフィアナキスと共演し、Healthcare.govを宣伝したことは有名だ。その努力の甲斐あって、同ウェブサイトのトラフィックは急増した

大統領のTumblrへのデジタル旅行(物理的にはワシントンDCで行われたが)は、ユーモアも少なくなかった。上の「フィストバンプ」GIF動画は序の口だった。Tumblrユーザー、’HaikuMoon‘の質問への答えは爆笑を呼び、こう続いた


[私の質問が採用されたのはいいけど、大統領が私のユーザー名はクールって]

そして:


[大統領は君のURLがヘンテコでクールだけど、要するに不気味だと言っただけ]

これぞ2014年。

大統領は、Tumblrのファウンダー、David KarpをNBAのスーパースター、レブロン・ジェームズと比べ、傑出した成功をおさめる人 ― ビル・ゲーツとMark Zuckerbergを例に挙げた ― は稀であると言った。もちろんKarpは、Tumblrを10億ドル以上でYahooに売った人物だ。

今回のTumblr出演の効果を、「Two Ferns」の時と比べるのは難しい。後者にはウェブトラフィックを増やすという単純の目標があり、明確に測定できた。学費ローン救済に関する情報を広めることについては、やや評価が難しい。

世界で最も力を持つ人物が、コメディー番組やおかしなGIFで知られるマイクロブロギングサービスに出演することは、少々奇異ではあるものの理にかなってはいる。夜の伝統的全国放送ニュース番組でリーチできる人数は減少している。そして、特定の年齢層にリーチする必要がある時は、彼らが集まっているところに出て行くべきだ。

また大統領は、学校内における銃暴力の蔓延に、対処できていない政府の政治風土を非難した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


子どもたちが怪獣などのキャラクターをデザインして3DプリントできるアプリModio

子ども向けと称するデザインツールはたくさん見てきたが、Modioほどクールなのは、なかった。アイスランドの起業家Hilmar Gunnarssonが作ったこのiPadアプリは、画面上でLogoみたいな素材を組み合わせてキャラクターを作り、それをいろんなサイズや色やテクスチャで3Dプリントできる。各部分の色を変えられるし、また全体を一つの色にもできる。ひとつの作品の、いろんな色やサイズのバージョンを3Dプリントできる。とてもクールだ。

Gunnarssonは自己資金だけでこのプロジェクトを作り、キャラクター(モンスターなど)の3Dプリントデータを有料でダウンロードさせることを収益源にするつもりだ。ユーザが自分の改造バージョンを共有したり売ったりしてもよい。

“App Storeに載ったのはほんの数週間前だけど、メーカーコミュニティの反応は相当すごい”、とGunnarssonは言ってる。“まだ始まったばかりだけどね”。

“5歳の子でも使えるぐらいやさしい、そして同時に、大人でも十分に楽しめるほど強力、を目標に作った。Modioを使うと誰でも、姿勢可変のすばらしいモデルを作り、それを簡単に3Dプリントできる。ユーザインタフェイスも単純で、iPadなどのタッチデバイスで使える。既製のパーツをドラッグ&ドロップするだけで、キャラクターができてしまうのだ。パーツの組み合わせ方はLegoなどと同じだが、アプリの中でそのモデルと遊んだり、各部(腕など)を自由に曲げられる。アプリはマルチタッチに対応しているから、複数のパーツを同時に動かせるし、同時に複数のユーザが創作に参加できる”。

プリントはいろんなサイズでできるし、どのピースも床に平らに乗る。パーツを加えるとき、ジョイントは指定サイズに合わせて自動的にサイズを変える。フィラメントの所要量やプリントにかかる時間も、アプリが計算してくれる。おもちゃというより、子どもも大人も楽しめるおもちゃ作りシステムだ。

“3Dプリントには前から憧れていた”、とGunnarssonは語る。“でも3Dプリントは、それ用のコンテンツが豊富に出まわらないと普及しない。今はむしろ、コンテンツよりもプリンタの方が多いのではないか。だから一般消費者は、なかなか魅力を感じない。それに子どもたちも、ゲームにのめり込んで、自分から何かを作る/創ることがお留守になっている。子どもたちには、クールなものを自分で作るのが楽しいことを、体験させ理解させなければならない”。

このシステムで作ったものをいろいろ見たが、どれも意外なほどクールだ。LegoのHero Factoryシリーズを、思い出してしまう。ただしこっちはサイズ可変だから、小さなインセクトイド(昆虫型怪獣)でも、巨大なメカモンスターでも作れる。だから、とてもおもしろい。ファウンダの3人の息子たちも、学校の友だちと夢中になって、こいつで遊ぶそうだ。みんな、MinecraftよりもModioの方がおもしろいらしく、何時間でも遊んでいる。

次の日、父親がそのアプリで遊ぶのを見て、Gunnarssonの息子は動転したそうだ。

〔ここにスライドが表示されないときは、原文を見てください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


孤児大国カンボジアの子たちにプログラミングを教えるKhodeUp事業、Indiegogoで資金募集中

カンボジアには今、およそ500の孤児院があり、その数は最近の10年間で倍増した。この国では多くの人が、子どもを孤児院へ送れば国の費用で教育が受けられ、良い生活ができる、と信じている。しかし2011年のUNICEFの調査によると、子どもたちの多くが良い生活や教育を得られず、ひたすら搾取されている。

16歳の、賢いけどはにかみ屋の少女Ming Hornは、幼稚園のころからプログラミングを学んできた。Mingは赤ちゃんのとき養子として中国から合衆国に渡り、その里親家庭にはカンボジアからやはり養子で来た弟がいた。彼女がカンボジアの孤児たちの苛酷な経済状態や、一家の一か月の生活費が平均約80ドルという貧困を知ったとき、自分にもなにかができるはずだ、と考えた。“孤児たちがスキルを持ち、Webサイトを作れれば、200ドルぐらい楽に稼げるはず。そうなれば、今とは大きな違いだ”。

Mingは、Girls Who CodeのイベントでSheryl Sandbergに会ったとき、そのアイデアがひらめき、孤児たちのために自分もlean inしようと決意した。Mingは、カンボジアでここ数年スマートフォンの普及が急速に進んでいることと、クメール人のためにクメール人が作ったWebサイトが、まだほとんどないことを知った。

プログラミングは、子どもたちに希望を与えることができる、とMingは語る。“大きくなったらウェイターになることしか考えていない子が多い。それよりももっと良いオプションを持ってほしい”。Mingは非営利のプロジェクトKhodeUpを作り、近くカンボジアに渡って子どもたちが良い生活を得られるための事業を開始したいと考えている。

彼女は今、Indiegogoでプロジェクトの資金を募集しており、支援者の各レベルには、”Honey Boo Boo”、”Lol Cats”、”Ermagherd”など、人気テレビ番組や人気Webサイトなどから借りた可愛い名前をつけている。

Mingがプノンペン郊外の孤児院Future Light Orphanageを拠点としてKhodeUpの事業を始めるために15000ドルが必要だ。私が本稿を書いている時点では、その2/3が集まっているようだ。Mingの計画では、20名から40名ぐらいの10代の子たちにHTMLとCSS、それにJavaScriptの基礎、そしてWebサイトのデザインを、4週間の集中的授業で教える。生徒数は、集まったお金の高で決まる。生徒一人々々に、今後も勉強を続けられるためにラップトップも与えなければならない。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


15万ドルのKickstarterプロジェクトからビッグビジネスに育ったSwivl–思い切った方向転換が成功の鍵


[Swivlはターゲットを教師やプレゼンテーションに変えた]

Brian LambがSwivlを始めたときは、ビデオアーチストやプレゼンターなどが自分のライブの姿を容易に記録に残せるようにしたい、と考えていた。小さな賢いドックがBluetoothでリモコンされてパンする装置Swivlは、Kickstarterで15万7000ドルを集め、2012年に発売された。

最初の盛り上がりがおさまったころから、奇妙な電話がかかってくるようになった。教師たちが、この製品を使って自分の授業や講義を自分で記録したい、というのだ。しかし彼らが自分の携帯で長時間の撮影をするのは、共有や電池寿命の点でも難しい。そこで、教育用の製品に改造してくれ、という電話がますます多くなった。

という次第で、Swivlはピボットした(pivot, 方向転換)。

今同社の主なお客は、講師、教師、プレゼンターなどで、新たに作ったアプリを使うと、誰もがiPhoneを数回クリックするだけで、講義の記録とストリーミングと共有ができる。スケートボーダーたちが自分の絶妙のオーリーを記録するツールではなく、教師たちの必需品になった。

ハードウェアは大幅にアップグレードした。今では学校への営業に力を入れている。今のLambは、教師が気に入るのも当然だな、と思っている。“先進国ではすべての教室にSwivlのような装置があるようになるだろう”、と彼は展望している。

Lambにインタビューして、プロジェクトの現状や、大きな方向転換をしたことへの感想、わずか数年でクラウドファンディングのプロジェクトがビッグビジネスに育ってしまうってどんな感じ?、などなどを聞いてみた。詳しくは、上のビデオを。

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女子生徒のグループが視覚障害者向けAndroidアプリを開発、Verizonのコンテンストで優秀賞に

テキサス州フレズノのResaca中学校1年生の女子生徒たちのグループが視覚障害のある同級生を手助けしようと思いたち、視覚障害者向けアプリを開発した。

Hello Naviと呼ばれるアプリは、このグループのGrecia Canoという少女が同じ学校に通う視覚障害のある生徒たちが日ごろ校内を移動するのに苦労しているのを見て心を痛めたことが誕生のきっかけだった。

理科の教師、Maggie BoladoはVerizonが中高校生向けに開催しているInnovative App Challengeコンテストについてのツイートを読んで、生徒たちに興味があるかと尋ねた。すると6人のグループが興味があると答えた。

このコンテストには1200グループが応募したが、視覚障害者向け移動援助アプリのアイディアは高く評価された。Verizon challengeの中学校部門で優秀賞を受賞し、オバマ大統領と会ったり、サイエンス・ガイとして有名なビル・ナイや「怪しい伝説」のキャリー・バイロンにこのアプリを説明する機会に恵まれた。

グループのメンバーは誰もプログラミングの経験がなかったので、MITメディア・ラボの専門家グループがプログラミングの手助けをすると同時にプログラミングの基礎を教えた。.

メンバーの一人、Sandra Baqueroは「プログラミングするのが好きになりました。プロジェクトに加わる前はプログラミングって何をすることなのか全然知りませんでした。何か面白そうだったので参加したのです」と語った。

指導した教師によると、グループは視覚障害者の同級生の一人と移動技術の指導者に協力してもらい、どんな困難があるのかを集中的に調査したという。そのデータを元に視覚障害者の移動を効果的に手助けするアプリがデザインされた。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


学校が”教える/教わる場”から”創りながら学ぶ場”に変わるとどうなるか–MIT出身者たちによるNuVu Studio

マサチューセッツ州ケンブリッジの中高生たちが、実験的な教育事業の一環として、3DプリンタとArduinoとグループのコラボレーションによって現実世界の問題を解決する、という課題に取り組んでいる。

この教育実験が行われているNuVu Studioは、 Saeed AridaとDavid WangとSaba Gholeの三名が、学位論文にしたいと考えている理論を実証するために作った、新しい形の学校的施設だ。その理論は、これまで修士課程レベルとされていた設計や生産技術のプロジェクトを13歳ぐらいの子どもでもできる、と主張している。

実際にいくつかのプロジェクトを見てみると(医療器具、減量を助けるゲーム、リモートコントロールできるモジュール構造のテレプレゼンスロボット、など)、その理論は正しいと思える。

この事業はエンジニアリングやデザイン〜設計に関する既存の原理原則もいくつか取り入れている。しかしAridaによると、その授業を単なる工学と数学の教科としてでなく、クリエイティブな学習過程として生徒候補たちにプレゼンしたところ、彼ら全員がエキサイトしたそうだ。

“エンジニアリングの側面は、あまり強調しなかった。生徒たちには、クリエイティブなやりかたをきみたちに教えたい、そして、きみたちがプロジェクトを自分でクリエイトしたい、と思って取り組んだときに、そのための道具としてたくさんのエンジニアリングが必要になるんだ、と教えた”、とAridaは言う。

[生徒たちは錯視を作り出すデバイスを作ってモアレ効果を試している。]

この事業は子どもたちに3Dプリントや、デザインとエンジニアリングの原則を教えることだけが目的ではないが、しかし結果的に、Arduinoはどのプロジェクトでも使われている。

“今とは違う学校、未来の学校を、実際に目に見える形にしたいんだ”、と語るAridaのMITの学位論文は、K-12におけるクリエイティブな問題解決とコラボレーションがテーマだった。

NuVuの生徒たちは3か月から9か月ぐらいこの事業に参加して、いくつかのクリエイティブなプロジェクトでコラボレーションする。生徒のSam DiatzmanとChristopher Smithがボストンマラソンのテロ事件のあとにプロデュースしたセキュリティ関連の映画制作では、脚本の書き方や映画製作者の仕事についても学んだ。

この事業が地元の私立校でスタートした4年前には、ほんの数名の子どもたちが参加しただけだった。今では子どもたちのグループも複数になり、私立公立が入り乱れている。今年のクラスでは28グループ、そのうち20が地元の公立校(やチャータースクール)の生徒たちだ。ここでは、工学==男子という先入観は誰にもなく、男女ほぼ同数だ。

Aridaによると、このクラスを経験した子の多くがハーバードやMITやスタンフォードに進学している。ただしみんな理工系に進んだのかというと、そうではない。“NuVuでやったようなことを、大学では修士課程にならないとできないことを知って、みんなびっくりしていた。大学の課程は、彼らを欲求不満にするだろう”。

AridaとNuVuの協同ファウンダたちは、学校を変えたい、もっと多くの子が、NuVuのようなクリエイティブラーニングで勉強していけるようにしたい、と願っている。全国展開も考えてはいるが、それには時間がかかりそうだ。これまで10校が、NuVu Studioのプロジェクトを採用している。

要件は、子どもたちがこの事業に前向きの関心を持つことだけで、そのほかの要件はない。学習に必要なものは、本人の意志だけなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Popcorn Timeのコンテンツをストリーミングしながら英語を学ぶFleex

オープンソースのすばらしさを、またまた痛感。Fleexは、映画やテレビ番組やTEDの講演ビデオなどを見ながら英語を学ぶフランスのスタートアップだが、教材としてなるべくおもしろいコンテンツを使うために、無料でコンテンツをストリーミングするオープンソースのPopcorn Timeを利用する。

ぼくも英語は母国語でないから、この問題は体験的によく知っている。最初のころは、映画やテレビ番組をもっぱら利用した。最初はフランス語の字幕入り、次は英語の字幕入り、そして最後は字幕なしで。でも自分の好きなように設定することはできなかったし、英語字幕ありから字幕なしへの移行は、かなりの努力を要した。

Fleexはそんな過程をもっと段階的(==レベルあり)かつシームレスにする。ユーザは、レベル1からスタートする。たとえばあなたがドイツ人なら、ドイツ語と英語の字幕が出る。だんだん、英語の字幕だけになっていく。でも難しい部分では母国語の字幕がまた出る。

上達すると、字幕はまったく出なくなる。いつでも、ビデオをポーズして翻訳を見たり、単語の意味を調べたりできる。イディオムや表現(変わった言い回し)は高輝度表示される。単語を保存して、あとで見ることもできる。

Fleexは月額4.90ユーロの有料サービスだが、29の言語で利用できる。

これまではYouTubeのビデオ(TEDの講演など)をFleexのプレイヤーやデスクトップアプリケーションから利用でき、デスクトップアプリケーションではムービーのファイルから自動的に字幕トラックを見つけることもできた。

しかしPopcorn Timeをフォークしたこれからは、Popcorn Timeのアプリケーションとして映画やTV番組を検索し、即座にストリーミングできる。そのときFleexは字幕トラックを見つけ、ユーザの今のレベルに合わせた学習展開をする。Popcorn Timeは完全に合法的とは言えないけど、NetflixやHuluなどは、Fleexで利用したくても利用できない国がほとんどなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Codecademyが本格的な国際展開へ: イギリス、アルゼンチンなどでは学校教育へのプログラミングの導入を支援

オンラインのプログラミング教育プラットホームCodecademyは、2年前の2012年に1000万ドルを調達したとき、その資金を国際展開に充てる、と述べた。そして2年後の今日やっと、その実現に着手した。ロンドンに初の海外オフィスを開設し、イギリス、フランス、ブラジル、エストニア、アルゼンチンの5か国で、政府や民間の教育団体との提携により、サービスの本格的なローカライゼーションに取り組むことになった。

それらの提携事業の中には、各ローカル固有の企画や、コンテンツの多言語化、既存のチュートリアルの翻訳作業の拡大、などが含まれる。

CEOで協同ファウンダのZach Simsによると、Codecademy上ではすでに、同社のコース作成ツールを使って10万近いコースが作られており、ユーザの70%は合衆国以外の人びとであり、すでに英語以外のコンテンツも少なくない。しかし今回の取り組みは、“初めての正式かつ本格的な国際化努力である”、と彼は語った。

まずフランスでは、Libraries Without Borders(Bibliotheques sans Frontieres)(国境なき図書館)の協力により、Codecademyをフランス語に翻訳する。これにより、フランス国内だけでなく、旧植民地などを含むフランス語を公用語とするそのほかの国々でもCodecademyでプログラミングを学べるようになる。

ブラジルでは、Codecademyはブラジルの教育財団Lemann Foundation(レマン財団)と協力してコンテンツをポルトガル語に翻訳する。そしてそのコンテンツを利用する教育パイロット事業が近くローンチする予定だ。

アルゼンチンでは、ブエノスアイレス市と協力して、同市のすべての学校でプログラミングを教えるイニシアチブを立ち上げる。フランス語への翻訳の場合と同じく、アルゼンチンで作られるスペイン語への翻訳は、一国を超えた巨大な市場へのアクセスをCodecademyに与える。

エストニアは、言語の側面では上記の各国ほど大きなインパクトを持たないが、IT教育への公金の投入という点では重要な先例になるだろう。同国ではK-12教育にプログラミングが正式に取り入れられ、それを担う外郭団体Tiger Leapが、メインの教材としてCodecademyを使用する。

Simsによると、上記はいずれも、商用事業ではないが、Codecademy自身はサービスの収益化に近く本格的に取り組む予定だ。

“しかしコースに課金するつもりはない。そうしなければならないほどのプレッシャーは存在しない”、と彼は述べた。

今ある一般的な課程には課金しないが、今後は特殊な有料コースや有料サービスを開設して、同社やコース作成者が収益を得ていく、というシナリオを彼は構想しているようだ。有料サービスの例としては、求人企業に対する人材紹介などが考えられる。

“求人のリクエストは今すでにとても多い”、と彼は言う。“しかも、求められている人材の種類がきわめて多様だ”。サイトは最近デザインを一新して、単なるプログラミング学習だけでなく、いろんな側面を持てるようになったから、各種有料サービスの立ち上げも比較的簡単にできるだろう。

今回の本格的な国際展開は、Codecademyにとって自然な、あるいは必然的な流れだ。すでに2400万人のユーザの70%が合衆国以外からだし、その国籍は190か国にも及ぶ。2012年には、合衆国以外のユーザは50%だった。

ニューヨークの同社がロンドンを初の海外オフィスの場所として選んだ理由は二つある。まず、合衆国以外の国ではユーザ数が一番多いこと(約200万)。

第二の理由は、イギリスはすでに公立学校でプログラミング教育を義務化していること。Codecademyは今、学校教育にコンピュータ科学を取り入れていない国の団体と協力して、具体的な支援の方法を検討しているが、イギリスに関しては放課後のプログラミング学習事業Code Clubや、今約1000校で展開しているComputing at Schoolに、コースや教材面で協力している。

イギリスでの先例を踏まえて、今後結果的にCodecademyが一種のグローバルな標準教材のような位置づけを得てしまうと、そのほかの国でも、学校教育へのプログラミング教育の導入が比較的容易に行えるようになる。しかし現時点では、最大のイニシアチブがイギリスであり、ヨーロッパ全体の中でも初めての取り組みだ。だからイギリスでの成功は、そのほかの国での今後の取り組みのためのテンプレートになるという意味でも、とても重要だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))