Android 13ではプッシュ通知がオプトインに、グーグルが開発者プレビュー第2弾を公開

最近のAndroid開発は月単位で行われているため、Google(グーグル)がAndroid 13の最初の開発者プレビュー(コードネーム「Tiramisu」と開発者向けドキュメントでは時折呼ばれている)を発表してから約1カ月後に、開発者向けプレビュー第2弾をリリースしたのは驚くことではない。

これらのプレビューは通常まだ多くの粗削りな部分を持ち、開発者向けであるため、最初のプレビューと同様に、無線インストールオプションはない(ただし、最初のプレビューをインストールした場合は、無線アップデートとして2番目のプレビューを入手することができる)。Googleは、Pixel 6 Pro、Pixel 6、Pixel 5a 5G、Pixel 5、Pixel 4a(5G)、Pixel 4a、Pixel 4 XL、Pixel 4と、Android Emulator向けにシステムイメージを公開した。

最初のプレビューではAndroid 13でのユーザーエクスペリエンスを少し垣間見ることができたが、米国時間3月17日のアップデートは、開発者向けの機能が中心となっている。

画像クレジット:Google

その中でユーザーが気づくであろう例外は、アプリが通知を送信する許可を求めなければならなくなったことだ(ただし、Googleは今日これを強調しているが、以前からAndroid 13の機能として知られていたものだ)。他のパーミッションと同様に、アプリは通知を送信できるかどうかをユーザーに尋ねる必要があり、これはオプトインプロセスだ。もしあなたが今までアプリをインストールして、そのアプリがすぐに大量の通知を送ってきた経験があったら、これを気に入ることだろう。一方、開発者は、オプトインしてもらうために、ユーザーに対して十分なコントロールとコンテクストを提供する必要がある。

パーミッションに関しては、開発者はアプリのパーミッションが不要になった場合、ダウングレードすることもできるようになった。Android 13には、これを簡単に実行できる新しいAPIが搭載される予定だ。

また、新バージョンのOSでは、開発者が明確に望んでいない限り、アプリが他のアプリからメッセージを受信できないようにする新機能が導入される。

今回のプレビューでは、MIDI 2.0規格のサポート(ミュージシャンにはうれしい)により、MIDI 2.0ハードウェアをUSB経由でAndroidデバイスに接続できるようになる。さらに、Bluetooth LE Audioのサポートにより、オーディオの共有や放送、情報およびアクセシビリティのための公共放送へのサブスクリプションといった機能がもたらされる。そしてその名の通り、消費電力が少なくなる(LE=Low Energy)。

Android 13は、COLRv1フォーマットに準拠したベクターフォントもサポートし、Googleはシステム絵文字もこのフォーマットに移行する予定だ。これらはベクターであるため、ファイルサイズがより小さく、どのようなサイズでもピクセル化されることなくレンダリングできる。

COLRv1ベクター絵文字(左)とビットマップ絵文字(画像クレジット:Google)

非ラテン文字を使用する人のために、Android 13ではタミル語、ビルマ語、テルグ語、チベット語などの言語の表示を改善し、各言語の行の高さを適応してクリッピングを防止するようにしてある。また、日本語や中国語などの表音文字の入力メソッドを使用するユーザーのために、Android 13では新しいテキスト変換APIが導入され、日本語ユーザーはひらがなを入力するとすぐに漢字の検索結果が表示されるようになり、現在のような複雑な4ステップのプロセスを省略することができる。

画像クレジット:Wanwisa Hernandez / EyeEm / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Den Nakano)

AIを使ってより優れた文章を書く、Grammarlyが約1.4兆円の評価額で約228億円調達

文章の自動編集ツールとして人気のGrammarly(グラマリー)は、Baillie Gifford(バイリー・ギフォード)やBlackRock(ブラックロック)が運用するファンドアカウントなどの新規投資家から、評価額130億ドル(約1兆4800億円)で2億ドル(約228億円)の資金を調達した。同社は今回の投資を、製品のイノベーションとチームの成長を加速させるために使用する予定だ。

「今回の資金調達は、私たちのビジネスの強さを証明するものだと考えています」と、Grammarlyの製品担当グローバル代表であるRahul Roy-Chaudhury(ラフル・ロイ=チョードリー)氏は、TechCrunchのインタビューに答えている。「当社は設立当初からキャッシュフローが黒字でした。今回のラウンドは、コミュニケーションの改善を通じて生活を向上させるという当社のミッションの強さを証明するものでもあります。今回の資金調達は、製品のイノベーションと製品のスケーリングという観点から行われました」。

ラフル・ロイ=チョードリー氏によると、Grammarlyは今回の資金調達を利用して、AI技術への投資を継続する予定だ。自然言語処理と機械学習の技術を進化させて、ユーザーにパーソナライズされたコミュニケーションのフィードバックも提供していく。また、同氏は、Grammarlyがユーザーの信頼を獲得し、強化するための追加投資を行う予定であるとも述べている。

「今後のことを考えると、私は多くの可能性を感じています。なぜなら、最終的にはいつもコミュニケーションの改善という私たちのミッションに立ち返ることになるからです。遠隔地にいる世界中のチームが協力して仕事をするようになり、仕事の進め方が大きく変わりました。私たちは、このような変化の中で、人々がより効果的にコミュニケーションを図れるよう支援することが大きなチャンスだと考えています。今回の新たな資金調達は、そのための取り組みを加速させるためのものです」と述べている。

サービスの将来像について、ロイ=チョードリー氏は、Grammarlyは単に簡潔さ、一貫性、正確さを重視するだけのものではなくなると述べている。今後は、改善提案の対象となるカテゴリーを増やすとともに、ユビキタス化を進めていく予定だ。

今週初めには、Grammarly for MacとWindowsがリリースされ、Grammarlyはすでに製品の規模を拡大し、ユビキタス化の目標を達成している。この新しいデスクトップアプリケーションは、Microsoft Office、Slack、Discord、Jiraなどのアプリで使用することができる。ロイ=チョードリー氏によると、この新しいデスクトップアプリケーションは、ブラウザの拡張機能に関連する技術的な障壁を取り除くことができるようになったため、ユーザーがどこで文字を入力しようとも常にいつでも使えるライティングツールになることを目指しているとのことだ。

画像クレジット:Grammarly

「Mac版とWindows版のGrammarlyによって、私たちはすべてを結びつけ、ユーザーのコミュニケーションフロー全体をサポートすることができます。これにより、私たちはみなさんのコミュニケーションのあらゆる場所に存在し、求めている成果をより効果的に達成する手助けをすることができます」とロイ=チョードリー氏は述べている。

また、Grammarlyは先日、プログラマーがあらゆるウェブアプリケーションにGrammarlyのテキスト編集機能を組み込むことを可能にするテキストエディターSDK(ソフトウェア開発キット)を展開し「Grammarly for Developers」を発表した。このSDKのベータ版のリリースにより、開発者は数行のコードでGrammarlyの自動編集機能のフルパワーを利用できるようになった。対象となるアプリケーションのユーザーは、Grammarlyの顧客である必要はないが、もし顧客であった場合は、Grammarlyのアカウントにログインして、それに付随するすべての機能にアクセスすることができる。

今回の資金調達は、Grammarlyが2019年10月に行った前回の資金調達に続くもので、10億ドル(約1141億円)を超える評価額で9000万ドル(約102億円)を調達した。今回のラウンドは、2017年5月に1億1000万ドル(約125億円)で行われた同社の唯一のラウンドのリードにも貢献していたGeneral Catalyst(ジェネラル・カタリスト)がリードし、前回の投資家であるIVPやその他の無名の支援者が参加した。

現在、Grammarlyは、メールクライアント、企業向けソフトウェア、ワープロなど、50万以上のアプリケーションやウェブサイトで動作している。同社は、より多くの人々がより多くのオンラインプラットフォームでつながるようになった今、個人やビジネスの目標を達成するためには、コミュニケーションを正しく取ることが重要であり、それがユーザーの目標達成を支援することにつながるとしている。

Baillie Gifford(バイリー・ギフォード)の民間企業部門の責任者であるPeter Singlehurst(ピーター・シングルハースト)氏は、声明の中で「世界がデジタル化したことで、人々はこれまで以上にコミュニケーションをとるようになりました。Grammarlyは、この問題を解決することに焦点を当てた、世界でも数少ないビジネスの1つです。私たちが惹かれたのは、会社のビジョンと、より多くの環境でより多くの人がより良いコミュニケーションをとれるように製品を推進するチームの能力です。また、Grammarlyの長期的かつ野心的なアプローチは、我々の投資に対するアプローチと一致しています」と述べている。

Grammarlyはフリーミアムモデルで運営されており、有料会員になると、文法やスペルチェックだけでなく、言葉の選択、文章のリライト、トーンの調整、流暢さ、フォーマル度、盗作の検出など、より多くのツールを利用できるようになる。有料会員の価格は月額12ドル(約1370円)、20ドル(約2280円)、30ドル(約3420円)だ。

画像クレジット:Grammarly

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

iPadで視線によるタイピング、会話、アプリ操作が可能になるケース「TD Pilot」をTobiiが発売

アイトラッキング(視線計測)技術を手がけるスウェーデンのTobii(トビー)は、その技術をApple(アップル)製のタブレットに導入し、iPadを身体障がい者のための強力なオールインワンツールにするためのケース「TD Pilot」を発表した。iPadにTD Pilotを装着したユーザーは、視線だけでアプリを起動したり、すばやくタイピングしたり、合成音声で話したりすることができる。

iPadOS 15では、iPadにアイトラッキング用ハードウェアをネイティブに統合することが可能になったが、Tobiiはおそらく、その分野で最も知られた名前だろう。

筆者はオールインワンのスクリーン型アイトラッカーや、独立型のPC用周辺機器など、同社の製品を数多くチェックしてきたが、いずれも非常にうまく機能した。しかし、Apple側の制限があったせいで、アイトラッキングは主にWindowsマシンで行われてきた。筆者は個人的には気にならないものの、iOSを好む人もいるだろう。今後はiOSでも同じようにアイトラッキングが利用できるようになる。

画像クレジット:Tobii

TD PilotはiPadに装着する大型のケースで、前面にはアイトラッキング装置(実際には驚くほど小さく、カメラが内蔵された小さな帯状のもの)、背面にはステレオスピーカーに加えて、テキストを表示するための小さなスクリーンが備わる。このデバイスのユーザーは、Tobii独自のテキスト音声変換アプリ「TD Talk(TDトーク)」または他の任意のアプリを使って、テキストまたは音声でコミュニケーションをとることができる(単に話すだけではなく、その気になればDJにだってなれる)。

このデバイスは、設定や記号コミュニケーションなど、Tobiiが用意する他の小さなアプリ群も利用できる。

「医学的にも認証されており、Appleの性能基準を満たしていると認定されています」と、Tobii Dynavox(トビー・ダイナヴォックス)のFredrik Ruben(フレドリック・ルーベン)CEOは述べている。「これにより、ユーザーは市場をリードするこの技術にアップデートとサポートが継続されると知ることができ、信頼して使うことができます。また、人気のある技術に向けて開発される可能性がある、安全ではない『ワンタイムハック』を避けることができます」。この発言は間違いなく、アイトラッキングをネイティブにサポートしていない以前のバージョンのOS用に作られた他社のソリューションを暗に示しているのだろう。

Tobiiのアイトラッキングデバイスは誰でも購入することができるが、同社の説明によると、個人のニーズに合わせたソリューション提供の一環として、医師やセラピストから指示されるケースが多いという。その場合は保険でカバーされるが、当然ながら個人によって異なる。筆者は具体的なコストを尋ねたが、Tobiiは回答を避けた。

願わくは、アイトラッキングソリューションによって最も力を得られる人たちが、保険やその他の方法でこの便利なガジェットを簡単に手に入れることができるようになって欲しいものだ。この製品はすでに出荷が始まっているので、発売を待つ必要はない。下の動画で、実際に使用している様子を見ることができる。

画像クレジット:Tobii

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)