オンライン完結型紛争解決「Teuchi」のミドルマンが5000万円調達、新日本法規出版と業務提携に向け基本合意

オンライン完結型紛争解決サービス「Teuchi」のミドルマンが5000万円調達、新日本法規出版と業務提携に向け基本合意オンライン完結型紛争解決(ODR。Online Dispute Resolution)サービス「Teuchi」を開発・提供するミドルマンは8月23日、新日本法規出版との業務提携に先んじて8月18日に投資契約を締結し、新日本法規出版を引受先とするJ-KISS型新株予約権による資金調達を実施したと発表した。同資金調達はプレシリーズAラウンドに位置付けられるもので、シードラウンドからの累計調達金額は8000万円となった。

同基本合意は、ODR領域における業務提携に向けた検討を進めるためのもので、両社の知見とネットワークを最大限に活かせるODR関連サービスの開発に共同で取り組む予定。調達した資金により、ユーザーの利便性向上に向けTeuchiの機能強化、新たな対象領域向けサービスのための開発・マーケティング体制を強化を行う。あわせて、エンジン開発ためのR&D部門を立ち上げる。

またミドルマンはADR認証取得を予定という。現在、法務省による最終審査を受けており、今後シリーズA調達に向けた準備を開始する予定。

オンライン完結型紛争解決サービス「Teuchi」のミドルマンが5000万円調達、新日本法規出版と業務提携に向け基本合意

近年のDX推進は司法分野も例外ではなく、「2割司法」という言葉で揶揄されるほどリーガルアクセスが確保されていない現状を改善するため、民事裁判手続きのIT化を政府が推進しているという。ただその完成は早くても2025年とされている。

一方政府は、裁判外紛争解決手続き(ADR。Alternative Dispute Resolution)のオンライン化(ODR)にスタートアップの参入を促すことでリーガルアクセス改善に弾みをつけるため、2019年度以来3年連続で「成長戦略フォローアップ」の重要施策としてODRを位置づけ、現在は法務省に設置された「ODR推進検討会」において、広くODRを社会実装するための政策について議論が交わされている。

このような背景のもと、ミドルマンはユーザー本位の視点から法的紛争解決のあり方をリデザインし、ユーザビリティの高いリーガルサービスを提供するため、国内初となるチャットによるODRシステム「Teuchi」を開発。紛争ジャンルごとに解決プロセスをパターン化(類型化)したうえで、合理化された交渉から調停人とのマッチング、合意書の締結までをオンラインで完結させる仕組みを提供している。

2020年1月からシェアリングエコノミー領域で実証実験を開始しており、2020年9月には「Teuchi for 敷金」、2020年12月には「Teuchi for 離婚」をリリースした。

ミドルマンは、2020年3月にシードラウンドでの資金調達を実施。新型コロナウイルスと社会との調和にはもう少し時間がかかるとみられる状況はODRの社会実装をもう一段加速させるための千載一遇のチャンスであり、ここでアクセルを踏み込んで事業を推進するためにはさらなる資金調達が必要との経営判断に至ったとしている。