南紀白浜空港でHoloLens 2利用のスマートメンテナンスや複数ロボットの協調制御による来訪者案内などローカル5G活用実証

南紀白浜エアポート日本電気(NEC)、THKオリエンタルコンサルタンツは3月14日、和歌山県南紀白浜空港においてローカル5Gなどのテクノロジーを活用し様々な課題解決を図る実証実験を実施すると発表した。

また、日本マイクロソフト凸版印刷が協力し、MR(複合現実。Mixed Reality)やロボットによる新技術・新サービスを試行する。今回の実証実験により、地方の業務環境創出と来訪者増大を目指す。実証期間は2023年3月31日まで。

実験は3種類あり、南紀白浜空港の空港ターミナル内と航空機の駐機場所(エプロン)、滑走路周りの場周道路を対象に行われる。これらの場所において、4.8~4.9GHzを利用する固定型と可搬型のローカル5G基地局を活用し、高速大容量・低遅延なローカル5Gネットワークを構築する。

HoloLens 2を利用したスマートメンテナンス

Microsoft HoloLens 2、NECの点群データ活用侵入検知技術、ローカル5Gの大容量通信を組み合わせて制限表面を樹木などが超えていないか分析・検知し、点検者のHoloLens 2に表示を行い点検時の見落としを防ぐ。制限表面とは、航空機の安全な航行を目的として飛行場の周辺空間に設定される面のこと。また路面劣化などの点検時は、HoloLens 2上で現実空間に過去の点検記録を重ね合わせて表示し、目視よりも作業時間を短縮し確認の効率化を目指す。熟練労働者の技術力継承の一助とし、生産性が高い業務環境創出を実現する。

制限表面を超えた樹木を検知した際のHoloLens 2の映像

制限表面を超えた樹木を検知した際のHoloLens 2の映像

複数ロボット協調制御による来訪者案内・デジタルサイネージ広告

THKのサイネージロボットとNECの複数ロボット協調制御技術を活用し、空港内を2台のロボットが協調連携しながら分担して来訪者を目的地まで案内する。案内後は移動型デジタルサイネージによる宣伝広告に切り替わる。加えて、ローカル5Gネットワークを利用しロボット搭載カメラから映像を取得することで、オペレーターが遠隔地からロボットを操作し案内することも可能。これにより、案内スタッフのテレワークの実現と、省人化・無人化されたサービスや業務の柔軟かつスピーディーな開発・社会実装に大きな役割を果たすとのこと。

1台目のロボットから2台目のロボットに案内を引き継ぐ様子

1台目のロボットから2台目のロボットに案内を引き継ぐ様子

MR空間でペイントしたオリジナル飛行機の着陸見学

南紀白浜空港では、バックヤードツアーとして、滑走路の間近からの航空機の離発着見学など普段は立ち入ることのできない空港の裏側を巡る体験ツアーを実施している。このツアーのコンテンツ拡充を見据え、ローカル5Gの低遅延・リアルタイム伝送という特徴とMR技術とを活用し、新たな観光体験を提供する新サービスの実証を行う。

6社は、将来的にHoloLens 2などMRデバイスにおける現実空間とデジタル空間の位置を調整する方法の高度化や、複数ロボットの協調制御機能を空港・他業種のソリューションに応用するなど、今後もローカル5Gを活用し南紀白浜空港の魅力を向上させ、生産性が高く働きがいのある業務環境の創出、来訪者の増加という課題解決を目指す。

インターステラテクノロジズと日本旅行、宇宙開発の現場を活かした観光と教育事業でパートナーシップ協定を締結

インターステラテクノロジズと日本旅行が宇宙開発の現場を活かした観光と教育事業でパートナーシップ協定を締結

北海道広尾郡大樹町を拠点にロケット打ち上げ事業を展開するインターステラテクノロジズは3月14日、ロケットの開発と製造という「圧倒的現場感のあるコンテンツ」を軸とした観光と教育の新事業創出を目指し、日本旅行と新たなパートナーシップを締結したと発表した。

インターステラテクノロジズは、観測ロケット「MOMO」、2023年度の初号機打上げを目指す超小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」の開発、製造、打ち上げを行う宇宙スタートアップ。技術開発から打ち上げまでを1社で行うことを特徴とし、国内で初めて、民間企業単独開発でロケットを高度100キロの宇宙空間に飛ばした実績を持つ。また、「みんなのロケット」という価値観を重視し、オープンなロケット開発を志向している。一方、日本旅行は、宇宙開発に関連する観光事業や宇宙を通じた学びができる学校向け探求体験プログラム「ミライ塾」など、宇宙利用のための専門部署を構え、「旅行会社という概念にとらわれない試み」で新たな価値の提供を目指している。

インターステラテクノロジズと日本旅行が宇宙開発の現場を活かした観光と教育事業でパートナーシップ協定を締結

この2社は、2018年にもロケットの打ち上げに関連した旅行商品の提供やイベント開催などを共同で行っているが、今回は宇宙開発を間近で見られるコンテンツや、ロケット工場や射場を活かした観光、教育、地方創生関連事業を共創し、さらなる事業展開を図るためのパートナーシップを結んだ。

観光では、インターステラテクノロジズのロケット開発や製造の現場を中心に、航空宇宙、星空、地域資源を使った観光コンテンツを企画開発し、販売する。開発したコンテンツは、ツアー主催会社など旅行会社に販売し、事業化することを目指す。

教育では、ロケットの開発と製造の現場を体感するほか、牛の糞尿由来のメタンガスから製造した液体バイオメタンをロケット燃料に使うことで、宇宙開発と地球環境問題と地域課題解決とを考える取り組みを教育コンテンツ化して、日本旅行の「ミライ塾」に提供する。

地方創生では、打ち上げ見学場や観光施設で、国内外の観光客やビジネス関係者の受け入れ体制を整える。

インターステラテクノロジズと日本旅行が宇宙開発の現場を活かした観光と教育事業でパートナーシップ協定を締結

「宇宙のまちづくり」を推進する大樹町を起点に、両社は、大人のロマンを満たす観光コンテンツと、子どもが関心を持ち挑戦できる教育コンテンツの開発を進めるとしている。

海外旅行予約アプリ「NEWT」を運営する令和トラベル、旅行販売を行う「NEWTメタバース支店」を期間限定オープン

海外旅行予約アプリ「NEWT」(ニュート)を提供する海外旅行代理店の令和トラベルは3月10日、海外旅行をより身近に感じてもらうため同社初となる店舗「NEWTメタバース支店」をメタバース上に期間限定でオープンすることを発表した。会場は、バーチャルSNS「cluster」のクラスターが開催するゲームクリエイターフェス「ClusterGAMEJAM 2022 in SPRING」。

NEWTメタバース支店は、バーチャル空間でリアルの海外旅行を販売する「完全バーチャル旅行代理店」。店舗まで物理的な距離を移動することなく、全国どこからでも気軽に参加できる。

販売商品例としては、20万円から(大人/1名/諸税込)の「ホノルル5泊7日」、12万円から(大人/1名/諸税込)の「バンコク3泊5日」ほか、ユーザーの要望を受け店舗スタッフが最適なプランを作成するなどの対応も行う。

「NEWTメタバース支店」店舗情報

  • 店舗名:NEWT(ニュート)メタバース支店
  • 接客期間:
    3月11日20時~22時(最終受付21時30分)
    3月17日20時~22時(最終受付21時30分)
    店舗自体は、プレイベント期間を含め3月11日から27日まで設置される
  • 会場:ClusterGAMEJAM 2022 in SPRING

アクセスするには、まずclusterのアプリをダウンロード。インストールおよびアカウント作成後、ClusterGAMEJAM 2022 in SPRINGの会場となるワールドに移動する。

2021年4月設立の令和トラベルは、「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに掲げ、海外旅行における新しい体験・社会価値の提供を目指すデジタルトラベルエージェンシー。旅行業界における予約や管理業務のDXを最大化し、これまでになかった「かんたん・おトク・えらべる・あんしん」な海外旅行ツアーやアプリを提供する。

ドローンを使ったショーを手がける石川県拠点のドローンショーがエイチ・アイ・エスと全国自治体向け販売代理店契約

ドローンを使ったショーを手がける石川県拠点のドローンショーがエイチ・アイ・エスと全国自治体向け販売代理店契約

石川県金沢に拠点を置き、ドローンを使った企画・演出を手がけるドローンショーは2月22日、旅行業・ホテル事業のエイチ・アイ・エスと販売代理店契約を締結したことを発表した。今回の販売代理店契約の締結によって、各地の自治体・ホテル・旅館とのネットワークを持つエイチ・アイ・エスと連携し、今後は日本全国でのショーの展開を目指す。

ドローンショーは、LEDを搭載したドローンを複数上空に放ち、花や動物、企業ロゴなどを描画する演出を提供するスタートアップ企業。ショーで使用するドローンの機体開発やアニメーション制作、ファームウェア開発などを自社で手がけ、2020年8月には金沢港クルーズターミナルで、同年12月にはロッテアライリゾートでショーを実施している。また、衛星利用測位システム(GPS)を利用してドローンを操縦する屋外でのショーのみならず、GPSが効かない屋内でのショーも開発した。2021年7月には、「e-meese kanazawa 2021」において室内ドローンショーも開催している。

ドローンショーが開発したドローンショー用自作新機体「unika」。2022年夏までに240機を生産する予定。unikaという名称は、「唯一の」や「ひとつになる」といった意味を持つUni、同社の出発点である「金沢」(kanazawa)の頭2文字から採ったものという

ドローンショーが開発したドローンショー用自作新機体「unika」。2022年夏までに240機を生産する予定。unikaという名称は、「唯一の」や「ひとつになる」といった意味を持つUni、同社の出発点である「金沢」(kanazawa)の頭2文字から採ったものという

ドローンによるショーは、「カーボンニュートラル型の花火演出」という位置づけで、脱炭素化社会を目指す取り組みとしても期待されているそうだ。

 

中国の旅行最大手Trip.comがハイブリッドオフィスを採用

世界中で数多くのテック企業が過去2年間の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)期間中、リモートワークあるいは何らかのハイブリッドモデルに切り替えた。しかし中国では、ほとんどのテック企業が2020年夏以降オフィスに戻っている。国のゼロ・コロナ政策による感染者数減少のおかげだ。こうした通常生活の中、ある中国企業がリモートワークを続ける決断をした。

3月1日から、中国最大の航空券・ホテル予約プラットフォームTrip.com(トリップ・ドット・コム)は、従業員が許可を得れば週2日まで在宅勤務することを可能にすると2月15日に発表した。1999年に設立され、2019年にCtrip(シートリップ)からTrip.comにブランド変更した同社は、2021年6カ月間実施したリモートワークの試行に参加した従業員1600名の75%に「健康の改善」が見られたことを受け、今回の行動に至った。実験には技術、プロダクト、ビジネス、マーケティング各部門の中核スタッフおよび約400名の管理職が参加した、と広報担当者がTechCrunchに語っている。

参加者の93%が、自分の時間を「より有効に」使えたと感じ、社員の離脱率は、期間中約3分の1に減った。60%近くが、ハイブリッドワークを「強く」支持する、と試行終了後に答えた。

同社従業員は3月以降、自宅、喫茶店などあらゆる場所で働く申請ができる。各部門のマネージャーは、チームの目標、各個人の状況に基づいてリモートワークを認めるかどうかを判断する、と広報担当者はいう。またマネージャーは、自己判断で取り決めを調整することができる。

ハイブリッド方式はまずTrip.comの中国国内の事業所に適用され、海外の支店は「現地の状況と新型コロナ防衛措置に応じて」このモデルを適用する予定だ。

Trip.comは、NASDAQおよび香港証券取引所に上場しており、過去数年に海外競合他社を次々と買収して国際的に拡大している。2016年に17億400万ドルでスコットランドのSkyscanner(スカイスキャナー)を買収した。2019年には、インドのMakeMyTrip(メイクマイトリップ)の持ち株を半数近くへと増やした。そして2020年にはオランダの旅行会社グループ、Travix(トラビックス)を金額非公開で買収した。

2020年12月時点のTrip.comおよび関連会社の従業員数は約3万3400名で、うち約3万名が中国国内だ。

Trip.comの共同ファウンダー・会長のJames Liang(ジェームズ・リャン)氏は中国社会問題のコメンテーターとして頻繁に登場している。この柔軟な勤務体系を考えた際、コンピューター・サイエンティストで経済学者でもあるリャン氏は、中国の人口統計学上の課題も念頭に置いていたに違いない。

リャン氏は声明で、ハイブリッド勤務は「企業、従業員、地域社会すべてにとってのマルチ・ウインです。効率を犠牲にすることなく従業員の満足度を高めるだけでなく、交通渋滞を緩和し、環境保護にも役立ちます。住宅価格の高騰と地域格差を軽減し、家族や女性のキャリア育成と出産率の向上にも貢献します」と語った。

Trip.comによるハイブリッド・オフィス採用は、中国テック業界の過重労働カルチャーに対する懸念と批判が高まる中で生まれた。同社は、リモートワークが生産性を犠牲にしないことを示している。2021年の実験参加者の71.9%が、ハイブリッドワークは業績に影響を与えなかったと報告した。

関連記事:Bilibiliコンテンツモデレーター過労死疑惑で中国テック業界の長時間労働文化の議論が再燃

「ハイブリッドワークモデルが将来中国の主要企業全体に広まることを願っています。それは社会と経済に有益で広範囲にわたる影響を与えるでしょう」とリャン氏は語った。

画像クレジット:Olivier Douliery / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

コロナ禍と「リベンジ旅行」がバーチャル旅行スタートアップ「Heygo」の資金調達を後押し

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が最も深刻だった時期は、旅行に行ける人はほとんどいなかった。これに対し、2021年と2022年は「リベンジ旅行」の年になると予測されてきた。人々がもっと旅行に行く、あるいは少なくとももっと計画を立てる年になるという予測だ。

その背景として、人々が純粋な興味から、あるいは実際の旅行の計画を立てることを目的としてバーチャル旅行ができるサイトの存在がある。Heygoのライブツアーでは、ツアーガイドが90以上の国からライブストリーミングを実施している。「旅行版のTwitch」のようなものだ。

コロナ禍で多くの人がこのサイトを知り、有用であると理解したのは間違いない。HeygoがシリーズAで2000万ドル(約23億1600万円)を調達したのだから。このラウンドを主導したのはNorthzoneで、他にLightspeed Venture Partners、Point 9 Capital、TQ Ventures、Ascensionも参加した。

Heygoはある種のクリエイターエコノミーを活用している。ガイドはお気に入りの場所やテーマを自分のライブチャンネルで世界中の視聴者に共有し、チップで稼ぐ。同社は、2022年1月の予約件数は前年同月比の300%増で、最近200万件の予約を達成したと説明している。

共同創業者でCEOのJohn Tertan(ジョン・タータン)氏は筆者に対し次のように述べた。「マチュピチュを歩き回る、ハノイで料理教室をする、飛行機をレンタルして火山の上を飛ぶなど、あらゆるコンテンツがあります。現実の世界をストリーミングして、地元の人たちが熱心に取り組んでいることについて話をしたり、さまざまな場所にいる人たちのストーリーを共有したりする場です」。

同氏の説明によれば、視聴者は無料で参加し、ストリーミングをしているガイドに質問して、チップを送る。プラットフォームはチップに対してレベニューシェアをとるが、大半はガイドに渡される。Heygoは室内専用のストリーミングアプリもちょうどリリースするところで、これはコロナ禍で急速に広がったAirbnbやAmazonのバーチャル「体験」とは違うものになるようだ。

NorthzoneのパートナーでHeygoの取締役となったMichiel Kotting(ミシェル・コッティング)氏は「Heygoは常に存在すべきだと感じるサービスを作り上げた、たぐいまれなケースです。ガイド付きのインタラクティブなストリーミングは絶大な人気を誇る旅行番組やドキュメンタリーのジャンルにおけるTwitchに相当し、自宅から没入型の世界旅行ができる新しいカテゴリーを創出しています」と述べた。

このラウンドには、Checkout創業者のGuillaume Pousaz(ギヨーム・ポサーズ)氏、Tier創業者のLawrence Leuschner(ローレンス・ロイシュナー)氏、Postmates創業者のBastian Lehmann(バスティアン・レーマン)氏、Github創業者のScott Chacon(スコット・チャコン)氏(SCNE Ventures経由で)、Songkick創業者のIan Hogarth(イアン・ホガース)氏、GoCardlessとNested創業者のMatt Robinson(マット・ロビンソン)氏、Juro創業者のRichard Mabey(リチャード・メイビー)氏などのエンジェルも参加した。このラウンドの結果、コッティング氏、Paul Murphy(ポール・マーフィー)氏、Kolja Hebenstreit(コルヤ・ヒーベンシュトライト)氏がHeygoの取締役となった。

画像クレジット:gmstockstudio / Shutterstock

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

ブティックホテルテックプラットフォームNUMAがポストパンデミックでのノマドな労働力ニーズに応える約51.9億円調達

米国を拠点とするSonderは、テクノロジーを駆使したホスピタリティを提供する企業だ。同社は5億2960万ドル(約611億8500万円)を調達した。リモートワークにより人口の移動が圧倒的に多くなったポストパンデミックな世界で、このグローバルでノマドな労働力ニーズに応えるため、同様の事業者が資金調達を行っている。

私たちがNUMA Group(NUMAグループ、当時の社名はCosi)を取りあげたのは、2019年に同社がブティックホテルに代わる「フルスタック」のホスピタリティを提供するために500万ユーロ(約6億5800万円)を調達したときだった。その後、2000万ユーロ(約26億3400万円)を調達したときにも取り上げた。

今回、NUMA GroupはDN Capital Group(DNキャピタル・グループ)(以前はAuto1、HomeToGo、Shazamも支援していた)が主導するラウンドで成長資本として4500万ドル(約51億9800万円)を追加調達した。この投資の共同リードはHeadline(旧eventures)である。また、Cherry Ventures(チェリー・ベンチャーズ)、Soravia(ソラヴィア)、Kreos Capital(クレオス・キャピタル)、TruVenturo(トゥルーベンチュロ)、Scope Hanson(スコープ・ハンソン)が参加している。

NUMAはベルリン、ミュンヘン、ローマ、ミラノ、マドリッド、バルセロナ、ウィーンで約2500室のブティックホテルを提供。投資家、不動産所有者、デベロッパー、ホテル経営者と提携し、テクノロジーを駆使した部屋を構築している。このプラットフォームは、ビジネスプロセスの自動化、インテリジェントな価格設定、稼働率の向上を通じて、ホテル経営者の利益を増大させるように設計されている。ドイツに本拠を置くNUMAグループは、2021年にスペイン、イタリア、オーストリア、チェコ共和国に進出した。

NUMAグループのCEO、共同創業者であるChristian Gaiser(クリスチャン・ガイザー)は「私たちの明確な目標は、NUMAをヨーロッパのまったく新しいホテルの時代における、圧倒的なテクノロジーと創造的なソリューションのプロバイダーとして確立することです。NUMAは、パンデミックを利用して、ビジネスモデルの回復力を証明しました。NUMAのコンセプトと独自の技術を使って、新型コロナにもかかわらず500%の収益増と85%の予約占有率を達成したのです」と述べている。

NUMAがSonderと大きく異なる点は、宿泊客から見て、NUMAはより幅広い層を対象としていること(Sonderはより高い価格帯にフォーカス)だ。さらに「NUMA go」という「技術フランチャイズ」ソリューションを開始し、売上の一定割合を条件に、NUMAの技術スタックをサードパーティのホテル経営者に提供していることだ。

DN Capital Groupの創設者兼マネージングパートナーであるNenad Marovac(ネナド・マロヴァチ)氏は「我々はNUMAの戦略、業績そして非常に厳しい市場環境下での一貫した拡大に非常に感銘を受けています。NUMAを支えるチームは、新型コロナにもかかわらず、一貫して高い稼働率と部屋の持続的な収益性を達成しています。NUMAのビジネスモデルは、不動産パートナーやオペレーターにとって魅力的なリスクリワードプロファイルを提供し、そして最も重要なことは、現代の旅行者にまったく新しい旅行体験を提供することです」と述べている。

画像クレジット:NUMA Group

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

旅行体験アプリHeadoutがオミクロン株流行を乗り切り約34億円の追加資金を獲得

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、旅行予約スタートアップのHeadout(ヘッドアウト)のビジネスはほぼ壊滅状態に陥ったものの、ここ数カ月の国内旅行の回復にともない、同社は成長を取り戻している。消費者が世界中の都市でのツアーやイベント、その他の体験やアクティビティを予約できるこのサービスは、海外旅行ではなく国内旅行や地元の需要に応えることで、2021年1月以降800%の成長を実現した。7月までに同社はEBITDAで黒字化を達成した。2021年秋には1200万ドル(約14億円)のシリーズBラウンドを完了し、そして今、既存投資家たちはHeadoutの最新ラウンドにさらなる資本を追加するために戻ってきた。

Headoutの3000万ドル(約34億円)の新ラウンドは、Airbnb、Uber、Instacartといった他のマーケットプレイスを支援してきた先行投資家のGlade Brook Capitalがリードした。既存投資家であるNexus Venture Partners、FJ Labs、500 Startupsなども参加している。

Headoutの共同創業者でCEOのVarun Khona(ヴァルン・コナ)氏は「我々は積極的に資金調達をしていませんでした」と語る。「9月からの投資家であるGlade Brookは、当社の継続的な成長を見て、当社への投資を倍増させたかったのです」。その結果、Headoutはさらに数件のインバウンドリクエストも受け、追加資金を調達することを決めた。「提供された条件と、長期的なビジョンに対する彼らとの整合性が非常に良かったので、断るのは非常に難しかったのです」とコナ氏は付け加えた。

同社は、本来なら倒産しかねないような難局を乗り越えてきた。

シリーズBの最初のクローズ時にコナ氏が言ったように、パンデミックの初期にHeadoutの「事業は2億5000万ドル(約285億円)超からものの数週間で取るに足りない規模」になった。しかし、同社は店を閉める代わりに、国内旅行により重点を置き、自分の住む都市やその近辺を探索したい人々に対応する方針へと転換した。現在では、国内旅行が同社のビジネスの80%近くを占めており、パンデミック以前とは打って変わっている。

そして今、Headoutはオミクロン流行を見事に乗り切った。

画像クレジット:Headoutのユーザー

2021年11月までに、年初と比較して約10倍の成長を遂げたとコナ氏はTechCrunchに語った。しかし、オミクロン感染拡大にともない、12月と1月はその成長が鈍化した。しかし、この数週間、最新新型コロナウイルス変異種の感染がピークを迎え始めたことで、Headoutのビジネスはまたもや成長した。

おそらく直感に反しているが、パンデミックはもはや旅行体験の需要を完全に抑えないと、コナ氏は指摘する。時には、需要を刺激しさえする。

「人々は追加資金を手にしています。そして外国へ旅行することはできません。しかし、旅行したい、さまざまなものを見たい、いろいろなことをやってみたいという欲求は、これまでと同じように高いのです」と同氏は話す。「実際、ある意味では、お金や時間を使いたい、経験したいという消費者心理や欲求は、新型コロナ後さらに高まっています。私たちは今、大好きなものが奪われたらどんな生活になるのか、時間的にもアクセス的にも限界を感じているのです」。

Headoutは月間アクティブユーザー数、収益ランレート、評価額の詳細を明らかにしておらず、コナ氏は「数億」としか言わない。しかし、これまでに190カ国超から1000万人が同社のプラットフォームで体験を予約したと明らかにした。

現在、Headoutのマーケットプレイスは、世界50都市で旅行体験予約を提供している。提供する商品のデジタル化で現地のサービスプロバイダーと直接連携し、直前の予約にも対応し、ダイナミックに価格を設定することで収益を上げている。Headoutは、予約手数料を取るが、現在試験的にサブスクリプションにも挑戦している。

同社の顧客は、若いカップルや家族連れが多く、平均予約人数は2〜3人だ。また、都会に住んでいて、教養があり、そしてもちろん旅行好きの人が多い。

今回の追加資金で、同社は事業の急拡大を目指している。今後24カ月で500都市にサービスを拡大する予定だ。そして短期的にはすべての職務で採用し、今後数カ月で150人のチームをさらに200〜250人増やす計画だ。

コナ氏はまた、買収でチームを成長させる機会もあると考えており、パンデミックを生き残るための資本を持たないが、優れた才能を持つ旅行やエンターテインメントのスタートアップがたくさんあると指摘した。

「当社はそのような企業にも目を向けたいと考えており、すでに話を進めています」と同氏は仄めかした。

製品面では、パートナーと消費者の両方の経験を向上させるのに資金の一部を投入する予定だ。例えば、パートナー向けには、駆け込みサービスの一覧や、ツアーに遅れて参加したいという人のために、ガイドの現在のライブロケーションを表示できるツールなどを提供する方法に取り組んでいる。また、Headoutユーザー向けとしては、まだ詳細は詰まっていないが、ディスカバリーの改良に取り組んでいる。

今後数カ月間の成長が予定されているにもかかわらず、コナ氏は新資本があまり失われることはないと考えている。

「Headoutの取引はすべて利益になるので、取引が増えるたびに収益が改善されます。規模が大きくなればなるほど、収益も利益も大きくなります。火傷の心配はあまりしていません」と同氏は述べた。

画像クレジット:headout

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

リラックス効果を3倍にしてくれるガジェットMorphéeの「Zen」、約9250円

ジャーナリストであり投資家でもある筆者は、単一製品のみの超ニッチな企業には常に少々疑問を感じている。うまくいかないことがたくさんあるし、消費者直接取引ブランドがうまくいく方法の1つは、顧客にクロスセルする(関連製品を売り込める)力を持つことだからだ。

Morphée(モーフィー)はそんなブランドの1つだった。同社がはじめて発売したのは、率直にいって滑稽なほど過剰なデザインの(しかし驚くほど美しい)99ドル(約1万1500円)の非デジタルの睡眠・瞑想用製品だった。その後、子ども向けの製品を追加した同社は、さらに今回のCESで「Morphée Zen(モーフィー・ゼン)」と呼ばれる新製品を発表した。これは、小さな丸い石のような旅行向けのリラクゼーション機器だ。

同社が「リラクゼーション・ペブル」と表現するMorphée Zenは、まさに小石のように見える超ポータブルなデバイスで、心を落ち着かせる音や音楽、音声によるセラピーなど、メンタルウェルネスのトレーニングや睡眠のために特化したリラクゼーションセッションを受ける(聴く)ことができる。ダイナミックリラクゼーション、ディープリラクゼーションなど、6つのテーマに基づく72の音声セッションの中には、自然音やリラックスできる音楽の他、心拍数をより管理しやすい状態にするための2分間の「インスタント・リリーフ」セッションも用意されている。

もちろん、ここでの本当の問題は、Morphéeがブランドをほんの少しだけ拡大し過ぎているのではないかということだ。確かに「My Little Morphée(マイ・リトル・モーフィー)」を与えて子どもたちからスマートフォンを遠ざけることには意味があるかもしれないし、オリジナルのMorphéeは、瞑想装置であると同時に芸術品でもある。

しかし、年間69.99ドル(約8090円)で「Calm(カーム)」のような瞑想アプリを利用でき、Spotify(スポティファイ)やYouTube(ユーチューブ)など、想像できる限りのあらゆる場所で瞑想や睡眠導入音、集中力を高めるための音楽などが、ほぼ無限に提供されているこの世界では、Morphée Zenはあまり意味をなさないのではないかと私には思える。純粋なソフトウェアソリューションで基本的には同じことができるのに、遅かれ早かれどこかの埋め立て地に行き着くであろう製品を、我々は本当に必要としているだろうか?

この製品は2022年第3四半期に発売予定で、価格は79.99ドル(約9250円)となっている。


画像クレジット:Morphée

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【TC Tokyo 2021レポート】「自分の成長が止まることへの危機感」「巨大市場でド本命の事業を」―スマートバンク・堀井氏と令和トラベル・篠塚氏に聞く連続起業家

【TC Tokyo 2021レポート】「自分の成長が止まることへの危機感」「巨大市場でド本命の事業を」―スマートバンク・堀井氏と令和トラベル・篠塚氏に聞く「連続起業家」

12月2、3日にオンラインで開催された「TechCrunch Tokyo 2021」。そこで行われた「日本でも増える連続起業家」をテーマにしたセッションのレポートをお伝えする。登壇者は、日本を代表する連続起業家(シリアルアントレプレナー)であるスマートバンク代表取締役の堀井翔太氏と、令和トラベル代表取締役社長の篠塚孝哉氏。TechCrunch Japan編集部の安井克至が進行を務めた。このセッションでは日本を代表する連続起業家である2人に、再び起業を行うというのはどういった気持ちや目的からなのか、さらに2回目では以前の経験がどう活きたのかを聞いた。

堀井翔太氏(スマートバンク 代表取締役)

堀井氏はVOYAGE GROUPへ入社したのち、最年少で子会社社長へと就任。その後、日本初のフリマアプリである「FRIL」を運営するFablicを創業している。さらに2016年には同社を楽天に売却後、2018年まで代表取締役CEOを務めた。2019年にはVisaプリペイドカードと家計簿アプリがセットになった新しい支出管理サービス「B/43」(ビーヨンサン。iOS版)を開発・運営するスマートバンクを設立している。

堀井翔太氏(スマートバンク代表取締役)

堀井翔太氏(スマートバンク代表取締役)

【TC Tokyo 2021レポート】「自分の成長が止まることへの危機感」「巨大市場でド本命の事業を」―スマートバンク・堀井氏と令和トラベル・篠塚氏に聞く「連続起業家」

篠塚孝哉氏(令和トラベル 代表取締役社長)

篠塚氏は、2011年にLoco Partnersを創業し2013年に宿泊予約サービス「Relux」をスタート。2017年春にはKDDIグループにM&Aにて経営参画し、最年少(当時)となる子会社社長に就任。2020年にLoco Partnersの社長を退任した後、2021年4月に海外旅行のDTA(デジタルトラベルエージェンシー。オンラインのみの旅行代理店)として令和トラベルを創業。第一種旅行業免許(観光庁長官登録旅行業:第2123号)を取得した。旅行体験のアップデートを目指し、海外旅行予約アプリNEWT(ニュート)のティザーサイトを公開。優先登録の受付も開始した。

篠塚孝哉氏(令和トラベル代表取締役社長)

篠塚孝哉氏(令和トラベル代表取締役社長)

 

同世代がまだまだ活躍しており、自分自身の成長が止まってしまうことに危機感

まず2回目の起業を行った理由を堀井氏に伺うと、Fablicを起業し楽天傘下でのCEOを退任後、1カ月ほど休みを取っていたが、特にすることがなく飽きてしまったという。そんな中で、同世代の人間がまだまだ活躍しているという現状に触発されたほか、自分自身の成長が止まってしまうことへの危機感が強くなり、再び起業を行おうと思ったそうだ。

また何より、Fablicという、ユーザーや取り扱い規模の大きなサービスを経験したことから、もう1度ゼロから作り上げてみたいという気持ちが強くなったことが大きかったとしている。

さらに巨大なマーケットで「ド本命の事業をやってみたい」

国内旅行を事業とするLoco Partnersを起業した篠塚氏は、M&AによりKDDI子会社での社長を経て退任。その1年後ほどに海外旅行事業に取り組みたいと思い令和トラベルを創業した。ミッションとして「あたらしい旅行を、デザインする。」またビジョンとして「令和時代を代表する、デジタルエージェンシーを創る。」掲げている。

同氏は創業の理由として、「2回目の起業をするからには、もっと巨大なマーケットでチャレンジしたい」と考えたという。海国内旅行対象のオンライン旅行事業は4000億円ほどのマーケットだが、海外旅行市場はさらに巨大な4兆4000億円(コロナ禍前)規模のマーケットとなっており、ここで「ド本命の事業をやってみたい」ということで始めたそうだ。【TC Tokyo 2021レポート】「自分の成長が止まることへの危機感」「巨大市場でド本命の事業を」―スマートバンク・堀井氏と令和トラベル・篠塚氏に聞く「連続起業家」

またコロナ禍により、ホテルや航空会社の稼働率が低くなっており、ピーク時では仕入れが難しかった施設からも仕入れ可能で「ある種のボーナスタイム」であること、国内競合企業が財務体質を大幅に悪化させており、現在であれば財務優位が作れること、後発の新規参入者であるため身軽にすべてを実現できることを挙げた。海外旅行自由化以来の、1度あるかないかの参入チャンスであると捉えて起業したという。【TC Tokyo 2021レポート】「自分の成長が止まることへの危機感」「巨大市場でド本命の事業を」―スマートバンク・堀井氏と令和トラベル・篠塚氏に聞く「連続起業家」

「ヒト・モノ・カネ・管理の4区分について、社長の仕事において何に時間を使うべきなのか」を考えていた

一口に「連続起業」とはいっても、業種が変わった堀井氏と同業種である篠塚氏では考えが違うのではないか。また両名に2回目だからこそわかった・大変だったことについても尋ねていた。

篠塚氏は、過去に積み重ねてきた「信頼残高」をフルに使えた点が非常に有利だと感じたそうだ。具体的には、Relux運営時代のクライアント・株主・社員・会員に提供してきたものの実績が、資金調達や人材採用の面で影響したという。

また「ヒト・モノ・カネ・管理の4区分について、社長の仕事において何に時間を使うべきなのか」を考えていたことが役に立ったとも述べた。篠塚氏によると、多くの成長するユニコーンはモノに集中にしているものの、創業期は「ヒト・カネ・管理」に時間がかかるそうだ。そこで最初のうちに負荷をかけることにして、ヒトは人事のヘッドとしてCHRO(Chief Human Resource Officer)を採用しよう、カネは最初から22億円を資金調達しようと決めて実行したという。管理についても、この半年間として一気に投資して体制を構築してきたそうだ。これらにより結果としてモノに集中する時間を作れるとみているとした。

創業1年目から資金調達面でブーストできたが、異業種での起業ならではの苦労も

堀井氏は、サービスを作る原点として「課題を見つけて、その課題を解決するプロダクトを作る」ことを会社と個人のポリシーとしており、その内容が違っただけという認識だという。特に異業種だからどうこうといった感覚はないとしていた。

また信頼残高が使える点が大きかったという。プロダクトをまだリリースしていない時期でも、以前の実績から大きな金額を集めることが可能だった。1度目の際はそうした実績がなかったためヒトと資金調達に苦労したが、2回目は創業1年目から資金調達面でブーストできたことが大きいと語った。

またヒト・モノ集め、プロダクト作成のプロセスは、1回目と2回目の創業で踏襲できたものの、異業種であるため解決する課題が変わり、事業に対するアプローチや戦略が違うことから、その点は苦労したという。金融関連の免許を取得するために1年程度かかるなど金融関連の法律・規制に従う必要があり、どうしてもまったく知識がないものが出てきたそうだ。【TC Tokyo 2021レポート】「自分の成長が止まることへの危機感」「巨大市場でド本命の事業を」―スマートバンク・堀井氏と令和トラベル・篠塚氏に聞く「連続起業家」

連続起業と信頼残高

堀井氏と篠塚氏の両者とも、連続起業においては、信頼残高を積み重ねておくことが重要だと口にしている。いわゆる「チート」「ハック」のようなものはないという。「サービスを伸ばした」「M&Aなどの形で投資家にリターンを返した」「社員にもリターンが出た」など、結果による実績の積み上げでしか貯められないものだという点も共通だ。両名とも「起業家は、結果でお返しするしかない」「とにかく数字を出す」としていた。

もし、そうした信頼残高のない人が連続起業を行う場合のアドバイスとしては、堀井氏は、その本人の得意なやり方のうち、(他の人のなど)うまくいっている成功体験を試してほしいと語った。篠塚氏は、1回目の失敗を恥じることなく、何を学んだのかを確認すること、また大きく始めるのは難しいため小さな実績を積み上げていくしかないと指摘した。その積み上げを貯めて、次につなげることを繰り返すことを勧めていた。

また新たな起業を行うことあるのか

最後に「また新たな起業を行うことあるのか」と問うと、両名とも現在の会社を大きく成長させることしか考えていないと答えた。とはいえ、堀井氏は、将来現役でいたいと考えており、もし今後現在手がけている会社をリタイアしたらまた何かしたいと語った。篠塚氏は、他社との協力など今の会社・事業を伸ばすため何らかの新事業を行う機会があればぜひやりたいとしていた。

観光分野向け多言語AI顧客対応プラットフォームtalkappiを開発するアクティバリューズが1.5億円調達

観光分野向け多言語AI顧客対応プラットフォームtalkappiを開発するアクティバリューズが1.5億円を調達

AIを活用した観光分野向け顧客対応プラットフォーム「talkappi」(トーカッピ)を開発するアクティバリューズは12月20日、第三者割当増資による1億5620万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ジャフコ グループ運営の投資事業有限責任組合。累計調達額は2億2000万円となった。調達した資金は、talkappiの機能強化とエンジニアをはじめ人材採用にあてる。

talkappiは、旅マエ〜旅ナカ〜旅アトのあらゆるシーンで、24時間、質の高い顧客対応が可能な顧客対応SaaS。新規・リピーター客の獲得にも貢献するものとして、ホテル・旅館・観光自治体・商業施設など国内350施設以上に導入済みという。2022年春までに導入先は500施設に到達する見込みとしている。ホテルモントレグループ、ホテル京阪チェーン、東急ホテルズ、チョイスホテルズジャパン、クラブメッドなどの宿泊施設、また沖縄県、高知市、大阪観光局、奈良市観光協会、横浜観光コンベンション・ビューローなどの観光自治体が導入しているそうだ。観光分野向け多言語AI顧客対応プラットフォームtalkappiを開発するアクティバリューズが1.5億円を調達

ナビタイムがアニメなどに登場するスポット情報整備、全80の「聖地巡礼」ウォーキングコースとロケ地観光情報20本公開

ナビタイムジャパンは11月17日、アニメや漫画、ゲームに関するスポットデータを独自整備し、作品にゆかりのある場所を訪れる「聖地巡礼」オリジナルコースと紹介記事の提供を開始した。全80コースのウォーキングコースは、ウォーキングアプリ「ALKOO by NAVITIME」(Android版iOS版)、「ALKOO forスゴ得」(Android版)、「ALKOO for auスマートパス」(Android版)で、ロケ地の紹介やアクセス情報をまとめた全20本の記事は旅行予約サービス「NAVITIME Travel」で提供されている。

アニメや漫画、ゲーム関連の「聖地」情報は、建物や公園、駅などに加え、道路上の特定の場所(階段や坂道、交差点、マンホール、モニュメントなど)といったより細かなスポットを示す特徴がある。ナビタイムジャパンは、全国900万件以上の地点データを扱ってきたノウハウを活かし、各作品のスポットを確認しデータを拡充。今回、コア技術である経路探索技術をもとに、複数のスポットを徒歩60分間ほどで回るコースやアニメの登場順でめぐるコースを作成した。

アニメ・漫画の舞台となる場所を訪ねる「聖地巡礼」は、地域活性化を促進する観光資源として多くの自治体に取り入れられており、幅広い世代から人気が高い。ナビタイムジャパンは2019年1月より、NAVITIME Travelにて「アニメスポット特集」を公開し、アニメ関連の情報発信に力を入れてきた。

今後は、自転車や自動車向けのコースを拡充し、移動手段に合わせた「聖地巡礼」を楽しめるようサービスの向上に努めたいという。

ナビタイムがアニメ・漫画・ゲームに登場するスポット情報整備、全80の「聖地巡礼」ウォーキングコースとロケ地情報記事20本公開

「ALKOO by NAVITIME」で提供しているウォーキングコースは全80コース。対象作品はラブライブ!、呪術廻戦、ガールズ&パンツァー、恋は雨上がりのように、名探偵コナンなど

ナビタイムがアニメ・漫画・ゲームに登場するスポット情報整備、全80の「聖地巡礼」ウォーキングコースとロケ地情報記事20本公開

「NAVITIME Travel」で提供している記事は全20本。対象作品は鬼滅の刃、天気の子、あひるの空、ヒプノシスマイク、東京リベンジャーズなど

Airbnbはホスト保護を強化し、新型保険など多様な新機能を追加

Airbnb(エアビーアンドビー)のCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は、Twitter(ツイッター)で同社のデータから見えてきたことを伝えた。大まかな内容は、パンデミックの影響で仕事に柔軟性が出てきたことで、より多くの人が平日に旅行をしたり、さらには数カ月間旅行をしたりして、効果的にAirbnbで生活しているというものだった。

このような行動の変化に対応するため、Airbnbは米国時間11月9日、プラットフォームに多様な新機能をリリースする。

その内容を詳しくみてみよう。

旅行への新たな関心とともに、どこでもいいから長期間旅行したり住んだりしたいと思うようになったことの、おそらく最大の課題の1つは、供給が需要を満たさなければならないことだ。Airbnbは、カスタマーの需要の変化に対応できるだけの十分な数のホストを確保したいと考え、ホストの体験をより良いものにするための投資を行っている。ホストの保護を強化するために、AirbnbはAirCover(エアカバー)を導入する。

AirCoverは、家の上から下までをカバーするもので、現在、プラットフォーム上のすべてのホストに無料で提供されている。最大で100万ドル(約1億1290万円)の損害補償と100万ドル(約1億1290万円)の賠償責任補償がついている。また、所得損失保護、ペット損害保護、ディープクリーニング保護も含まれている。

この補償商品は、14日間の申請窓口を設けており、請求を行ったホストにはより迅速な払い戻しを約束し、スーパーホストにはさらに迅速な対応を行う。

Airbnbのホストプロテクションプランは、以前から、損害保護と賠償責任の両方で最大100万ドル(約1億1290万円)の補償を提供してきたが、その補償内容には多くのギャップがあった。例えば、プラットフォームを休む必要があるスーパーホストや、修理のために予約をキャンセルしたりする場合の収入減は補償されなかった。また、ペットによる損害も補償の対象外だった。

ペットによる損害の補償は、ホストにとってもゲストにとっても大きな変化になるだろう。パンデミックの影響で、多くの人々が毛で覆われた友人を手に入れ、今度はその人々が旅行をしたいと思うようになった。しかし、ホストは、ペットの持ち込みにはあまり積極的ではなく、需要と供給の間に大きなギャップが生じている。

ペットの損害補償は、自然とそのバランスが調整するはずだ。

AirCoverは、家の構造はカバーするが家の中の物はカバーしないというホストプロテクションを超えて、非常に大きな意味を持っている。AirCoverは、美術品、通貨、自動車、ボートやジェット機などの乗り物、武器、セキュリティカメラ、貴金属や宝石などのいくつかの除外項目を除き、家の中のほとんどの品物をカバーする。これらの除外項目があっても、家具の損傷や物品の盗難などをカバーしていなかったオリジナルの保険からは、大きな進歩が見られる。

除外項目の詳細はここで確認できる。

細かい詳細について言えば、AirbnbのAirCoverは、ほとんどの地域でZurich Insurance plc(チューリッヒ保険)が発行する保険で提供されている。Airbnbによると、規制により現地で発行された保険が必要な一部の地域では、Zurich Insurance plcのパートナー企業が補償を提供する場合がある。

画像クレジット:Airbnb

AirCoverに加えて、AirbnbはTranslation Engine(翻訳エンジン)を導入する。このエンジンは60以上の言語に対応しており、物件の説明やレビューをユーザーの選択した言語に自動的に翻訳することで「クリックして翻訳」ボタンを削除する。Translation Engineは、クリックして翻訳する必要性をなくすだけでなく、実際により良い翻訳をするとのことだ。

画像クレジット:Airbnb

Accessibility Review(アクセシビリティ・レビュー)とVerified Wifi(ヴェリファイドWiFi)は、正確さを追求した2つの新機能だ。リスティングでは、アクセシビリティの要件を満たしているや、超高速Wi-Fiを完備しているなどと書かれていても、実際には期待を裏切られることがよくある。

Accessibility Reviewでは、ホストがアクセシビリティ機能の写真を提出すると、実際の人間のチームが手動で審査する。このチームはこれまでに、世界中の2万5000軒の住宅で10万件のアクセシビリティ機能をレビューし、その正確性を確認してきた。

Verified Wifiでは、ホストがAirbnb自身から物件の接続をテストし、その速度を検証することができるため、そこで遊ぶだけでなく、仕事をするために訪れるゲストは、その接続を信頼することができる。

これらの新機能は、Airbnbが今回発表する最大のもののうちのいくつかだが、Airbnbはまた、非常に人気のあった製品をさらに強化している。

例えば「I’m Flexible(柔軟な検索)」は、2021年2月に公開されて以来、5億回以上も利用されている。柔軟な検索は、ゲストが行きたい場所や旅行の日程、さらには滞在したい住居のタイプなどを柔軟に選択することができる。

この柔軟な検索コンセプトに人々が惹かれたため、Airbnbは日付の範囲を拡大し、6カ月から12カ月先までの柔軟な検索を使用できるようになった。また、同社は「人里離れた暮らし」「スキーイン・スキーアウト」「Luxe」「風変わりな家」など、4つの独特なカテゴリーも追加した。

サービスの細かな調整に関しては、AirbnbはMy Tripsタブのデザインを一新し、予約のカウントダウンタイマー、チェックインの詳細、今後の予約リスト、パーソナライズされた経験の提案など、必要な情報を一か所にまとめた。

数時間後にチェスキー氏と話す機会があり、今回のニュースや、彼が見ている旅行分野のトレンドに基づいた会社の長期的なビジョンについて話を伺う予定だ。

画像クレジット:Phillip Faraone / Stringer / Getty Images

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(文:Jordan Crook、翻訳:Yuta Kaminishi)

旅行業界の再活性化に向け、ホスピタリティ管理ソフトウェアのCloudbedsにソフトバンクが投資

日程を決めずに宿泊チケットを買えるECサイトStay by Tripi運営のトリピが3800万円のシード調達

2021年夏、米国のホテル稼働率は新型コロナウイルス流行前の水準に達した。ホスピタリティ業界は、人々が旅行を再開することによる活動の活発化に備えているところだ。

このような状況には追い風も吹いている。「今後増える旅行者で最大の母集団は1979年以降に生まれた人々であり、この10年間により多くのお金を貯めたことで、自由裁量の支出が増え、それを旅行に使いたいと考えている」と、Cloudbeds(クラウドベッズ)の共同設立者兼CEOであるAdam Harris(アダム・ハリス)氏は述べている。

「新型コロナウイルス流行は誰もが歓迎しない状況でしたが、旅行業界は1兆ドル(約114兆円)規模の産業であり、世界でトップ5に入る規模です」と、同氏は付け加えた。「2019年にあった需要は、それから1年半も家に閉じ籠もらざるを得なかったことで、今はさらに強くなっています」。

Cloudbedsのプロダクト(画像クレジット:Cloudbeds)

ハリス氏と共同創業者のRichard Castle(リチャード・キャッスル)氏が、2012年にサンディエゴで設立したCloudbedsは、独立系ホテルからバケーションレンタル(民泊)まで、宿泊事業者向けのホスピタリティ管理ソフトウェアを提供している。このソフトウェアは、運営、収益、流通、グロースマーケティングなど、これまで別々に行われていたビジネスの機能を、1つのクラウドベースのツールに統合する。

人々の蓄積されてきたエネルギーにより、今までにない数の旅行が実施されるようになると、ハリス氏は確信している。このチャンスを活かすため、同社は新たな投資家であるSoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導した資金調達で、1億5000万ドル(約170億円)を確保した。

Cloudbedsとソフトバンクとの関係は2年前に始まったが、ハリス氏はこの投資会社が「世界で最も優れた旅行投資家の1つ」だと述べている。最近では、Yanolja(ヤノルジャ)、GetYourGuide(ゲットユアガイド)、Klook(クルック)などの旅行関連企業に、ソフトバンクは資金を提供している。

今日の市場では、ホテルが競争力を高めるためにテクノロジーを導入することが「重要」であり、世界的な新型コロナウイルス流行がその導入を加速させる要因になっていると、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のディレクターであるAndrew Zloto(アンドリュー・ズロト)氏はメールで述べている。

「Cloudbedsは、この機会を利用して、ホスピタリティ業界におけるテクノロジーの利用方法を根本的に変えたと、我々は確信しています」と、ズロト氏は語る。「これまでサイロ化され、複雑に絡み合っていたテクノロジーサービスを、Cloudbedsは単一のプラットフォームに統合し、あらゆる規模の宿泊施設に最適なソリューションを提供しています。重要なビジネスツールを統合して簡素化することによって、同社は独立系ホテル経営者が活躍できる場を広げ、絶えず進化する市場で成長するための支援を行っています」。

今回の投資ラウンドでは、ソフトバンクに加え、Echo Street(エコー・ストリート)とWalleye Capital(ウォールアイ・キャピタル)が新たな投資家として加わった。さらに既存投資家として、Viking Global Investors(バイキング・グローバル・インベスターズ)、PeakSpan Capital(ピークスパン・キャピタル)、Counterpart Ventures(カウンタパート・ベンチャーズ)も参加。これにより、Cloudbedsがこれまでに調達したベンチャー資金の総額は、2億5300万ドル(約287億円)となった。

この資金を武器に、Cloudbedsは研究開発の拡大、教育およびアドボカシー活動への投資、エンジニアリング、プロダクト、セールスの各チームの拡大を進めていく。さらにプレIPOに向けてチームを整えることに重点を置き、リーダーシップを強化していくと、キャッスル氏は述べている。

ハリス氏は成長指標を公表しようとはしなかったものの、Cloudbedsは2020年、新型コロナウイルス流行にもかかわらず成長を遂げた、ほんの一握りの企業の1つであると語っている。同社は現在、157カ国で2万2000人以上のグローバルな顧客にサービスを提供している。

「私たちは、この会社が200億ドル(約2兆3000億円)規模の企業になれると信じています」と、ハリス氏は付け加えた。「競合他社との競争を見れば、当社はリードしています。しかし、現金を投入する必要があり、そのために私たちは夜も眠れません。現在、当社のビジネスモデルには予測可能性があり、目標はIPO候補となり組織を成熟させることです」。

画像クレジット:num_skyman Shutterstock

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フラーが次世代の筑波山登山を体験できるアプリ「Mount Tsukuba」公開、茨城県・警察・消防・地元企業など協力

フラーが次世代の筑波山登山を体験できるアプリ「Mount Tsukuba」公開、茨城県・警察・消防・地元企業など協力
アプリやウェブの開発などデジタル支援を展開するフラーは11月1日、筑波山の登山がデジタルでもっと安全に楽しくなるアプリ「Mount Tsukuba」の開発を発表した。これは、茨城県「DXイノベーション推進プロジェクト」の一環として、警察・消防・地元企業・研究教育機関などの協力を得て作られた。11月1日よりApp Storeで公開されている(iOSのみ)。

Mount Tsukubaの主な機能は3つ。1つは、スマートフォンのカメラを通して、拡張現実でオリジナルデザインの旗(ARフラグ)を立てられるというもの。登頂時の記念撮影がより楽しくなる。2つ目は、登山届けがアプリから行えるというもの。山岳遭難時に重要となる登山届が、簡単に提出できる。そして3つ目は、ビーコンと連動した登山体験。登山道10コースと山頂2カ所に設置されているビーコンを検知すると、オリジナル缶バッジやアプリ内チケットがもらえるというもの。グッズの収集を楽しみに加えることで、登山者が分散しコースの混雑解消に役立つ上に、再来訪の動機にもなるということだ。このほか、アプリのダウンロードでオリジナルボトル水や温泉割引チケットなどのオマケももらえる。アプリの機能は、今後もアップデートで拡張するという。

このアプリ開発には、アプリとコンテンツの開発を行ったフラーのほか、プロジェクトの統括を行ったARC地域研究センター、アドバイシングとアートディレクションを行った筑波大学(原忠信准教授)、アプリと連動した筑波山のサインおよびトレイル整備を担当したつくばトレイルガーディアンズ、コンテンツ開発と実証実験、広報などを行ったタバーンが参加している。

日程を決めずに宿泊チケットを買えるECサイトStay by Tripi運営のトリピが3800万円のシード調達

宿泊日を決めずに宿泊チケットを購入できるECサイト「Stay by Tripi」を運営するトリピ(旧アリアン)は10月28日、J-KISS型新株予約権の発行および融資による総額3800万円の資金調達を発表した。引受先・融資元はSkyland Venturesとみずほ銀行。調達した資金は、プロダクト開発と改善、長期運転資金にあてられる。

Stay by Tripiは、ECにおける最重要要素のひとつとされる「欲しいと思ったときに即買える」を宿泊チケットにおいて実現したサービス。「いつでも泊まれる宿泊チケット」を販売することで、ユーザーの泊まりたいという気持ちを即時に購買行動へと変化させられるとしている。

また、購入後に宿泊日を決めるという特徴により、宿泊チケットをギフトとして活用することも可能。登録は無料で、チケット購入における支払いはクレジットカードのみ対応。

トリピは、2019年7月に設立された旅行系スタートアップ。Stay by Tripiの運用・開発のほか、SNSを中心としたマーケティング戦略立案・アカウントの運用サポートを行なうSNSマーケティング事業なども行なっている。

物流・輸送業向け「炭素測定・除去」APIを開発するPledgeが約5億円調達

気候変動の危機が迫る中、多くの企業が自らの役割を果たしたいと考えている。しかし、顧客に「今回の配送にともなうCO2排出量をオフセットしてください」とお願いするのは、たいていの場合、木の実を割るのにハンマーを使うようなものだ。カーボンオフセット関する透明性はほとんどない。さらに、中小企業は高品質のカーボンクレジットにアクセスしたいが、同時に製品、サービス、取引レベルでの影響も計算したい。そして、非常に不正確な「スキーム」ではなく、カーボンクレジットを小さい単位で購入できるといいと考えている。

Pledge(プレッジ)は、貨物輸送、配車サービス、旅行、ラストマイルデリバリーなどの業界を対象としたスタートアップで、顧客の取引に関わるカーボンオフセットを提示することができる。

Pledgeは、Visionaries Clubがリードするシードラウンドで450万ドル(約5億円1300万円)を調達した。Chris Sacca(クリス・サッカ)氏のLowercarbon CapitalとGuillaume Pousaz(ギヨーム・プサ氏、Checkout.comの創業者でCEO)の投資ビークルであるZinal Growthも参加した。Pledgeは、これまでクローズドベータ版として運営されてきた。

同社は、Revolut(レボリュート)の草創期の従業員であるDavid de Picciotto(デビッド・デ・ピチョット)氏とThomas Lucas(トーマス・ルーカス)氏、Freetradeの共同創業者で元CTOのAndré Mohamed(アンドレ・モハメド)氏が創業した。まず物流業と輸送業を対象にスタートする。同社によると、企業はPledge APIを組み込めば、カーボンニュートラル達成に向け、出荷、乗車、配送、旅行にともなう排出量を測定・軽減することができるようになるという。このプラットフォームは、分析や洞察に加え、時間をかけて排出量を削減するために推奨する方法を顧客に提示することを目指す。

Pledgeによると、同社の排出量計算方法は、GHGプロトコル、GLECフレームワーク、ICAOの手法などのグローバルスタンダードだけでなく、ISO基準にも準拠しているという。

重要な点として、Pledgeのプラットフォームでは、個人投資家が株式の一部を購入するように、企業は炭素クレジットの一部を購入することができ、また、ETFのように異なる方法論や地域を含むバランスのとれたポートフォリオにアクセスできる、と同社は話す。

Pledgeの共同創業者でCEOのデビッド・デ・ピチョット氏は次のように説明する。「現在、どのような規模の企業も利用できる、自社の排出量を把握・削減するための簡単で拡張可能な方法は存在しません。従来のCO2測定やオフセットのソリューションは、コストが高く、導入が難しいため、限られた大企業だけが利用できます。私たちがPledgeを立ち上げたのは、どのような企業でも、高品質で検証済みの気候変動対策製品を、可能な限り簡単かつ迅速に導入できるようにするためです」。

Visionaries Clubの共同創業者でパートナーのRobert Lacherは次のように語る。「Pledgeは、あらゆる企業が環境への影響を測定・軽減するためのアプリケーションを立ち上げる際に必要とする導管を開発しています。金融インフラプロバイダーが続々と登場し、あらゆる企業がフィンテックになれるようになったのと同様、Pledgeは関連するツールとその基盤となるソフトウェアインフラを提供し、気候変動対策を実現する会社となります」。

Lowercarbon CapitalのパートナーであるClay Dumas(クレイ・デュマ)氏はこう付け加える。「炭素除去の規模を拡大する際の最大のボトルネックは、供給と需要を結びつけることです。Pledgeのチームは、世界のトップレベルの金融商品開発で学んだことを応用し、ユーロやドル、ポンドを使って、空から炭素を吸い取ることに取り組んでいます」。

ピチョット氏は、大手プライベートエクイティファームでESGチームに所属していたとき、LP(主に年金基金)から、投資先企業のESG、特に気候に関するKPIの透明性や報告を求める声が増えるのを目の当たりにした。同氏は、報告・計算を合理化し、高品質のカーボンクレジットにアクセスして、社内外のステークホルダーにさらなる透明性とツールを提供する方法があるはずだと考えた。

「炭素市場が構築されたメカニズムを調べれば調べるほど、金融サービス業界との類似性が見えてきました。我々は、FreetradeやRevolutのような業界をリードする企業を設立や、設立支援の経験により、気候変動の流れを変えるユニークな切り口を提供できるのではないかと考え、調査を開始しました」とピチョット氏は述べた。

画像クレジット:Pledge / Pledge founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンク出資のトラベルテックYanoljaが韓国のeコマースInterparkを買収

韓国のトラベルテック企業Yanolja(ヤノルジャ)は、同国の電子商取引のパイオニアで上場企業のInterpark(インターパーク)の株式の70%を約2億5000万ドル(約285億円)で取得した。

Yanoljaは、今回の買収を機に、海外旅行業界へのさらなる進出を目指す。Interparkは、韓国語、英語、中国語、日本語を話す顧客を対象に、230カ国以上でオンライン旅行予約サービスや国際配送サービスを提供している。

海外旅行業界は、国外のトラベルテックプラットフォームが主流となっているが、Yanoljaは、ホテルや車両の予約、旅行関連のなどの現行のサービスに加え、Interparkが長年培ってきたライフスタイルサービスをより多く取り入れて「スーパーアプリ」を構築し、規模を拡大して対抗したいと考えている。Interparkのサービスは、ショッピング、レストランの予約、旅行チケット、アトラクション、ライブパフォーマンスなどをカバーしているとYanoljaの広報担当者はTechCrunchに語った。

Yanoljaは2021年7月にソフトバンク・ビジョン・ファンド2から17億ドル(約1938億円)を調達していた。Yanoljaへの投資は、ソフトバンクが韓国企業に投じた資金としてはCoupang(クーパン)への投資に次ぐ規模だった。Coupangは上場前にソフトバンクから約30億ドル(約3420億円)の出資を受けた。

Yanoljaのバリュエーションは10兆ウォン(約9576億円)以上と推定される。報道によると、2023年頃には米国と韓国での重複上場を目指す予定だという。この20カ月間、旅行・観光業界には大きな雲がかかっていたが、同社はしっかりと成長した。2019年、Yanoljaは1億8000万ドル(約205億円)のシリーズDラウンドを終え、10億ドル(約1140億円)以上の評価を受けた。同社は、評価額やIPOの計画についてのコメントを控えた。

韓国最大のトラベルテック・スタートアップであるYanoljaは、CEOのSuJin Lee(スジン・リー)氏が2005年に創業した。同氏は以前、モーテルのマネージャーだった。

Yanoljaは、直近の調達資金を利用し、グローバルトラベルプラットフォーム(GTP)への投資や、人工知能による自動化ソリューションの強化を行っており、ユーザーのためにパーソナライズされたソリューションを提供する技術の開発を目指しているという。

同社は7月、新機能であるB2Bオペレーションソリューション「Yanolja Cloud」の提供を開始した。パンデミックにより非接触サービスの需要が高まるなか、デジタルトランスフォーメーションを強化する。Yanolja Cloudは、オンラインおよびオフラインのオペレーションを自動化し、ホテル経営者が低コストでゲストにパーソナライズされたサービスを提供し、より多くの収益を上げることを支援する。同社は、東南アジアやアフリカ全域を含む170カ国、約3万社の顧客に、60種類の言語でYanolja Cloudを提供しているという。

同社は10月14日、Yanolja Cloudが9月時点で米国、インドネシア、フィリピン、インド、アフリカなどの海外市場で前年比170%の売上高を計上したと発表した。

同社は規模拡大のために他にも買収を行っている。2019年には韓国のDailyhotelとインドの宿泊管理プラットフォームeZee Technosysを、2018年には東南アジアを拠点とするホテルチェーンZen Roomsを買収した。

画像クレジット:Yanolja

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

万里の長城を歩くことができるグーグルの最新バーチャルツアー

Google(グーグル)のアート&カルチャーチームは本日、万里の長城をバーチャルで歩くことができる新しいオンライン体験を開始した。「Walk the Great Wall of China(ウォークザグレートウォールオブチャイナ)」は、万里の長城の中でも最も保存状態の良い場所の1つを360度のバーチャルツアーで見ることができ、万里の長城全体を撮影した370枚の画像と、万里の長城の建築的な詳細に迫る35のストーリーが含まれている。

「世界最大の人工建造物である万里の長城は、世界で最も象徴的で人気のある遺産の1つです。毎年1000万人以上の人々が訪れますが、誰もが万里の長城を直接見ることができるわけではありません」とGoogleアート&カルチャーチームのプログラムマネージャーのPierre Caessa(ピエール・カエッサ)氏はブログで述べている。「本日、Googleアート&カルチャーは、万里の長城の専門家であるDong Yaohui(ドン・ヤオホイ)氏と古北水鎮のキュレーターの協力を得て、万里の長城をバーチャルに訪れることができる新しいテーマページを発表しました」。

この体験により、ユーザーは万里の長城の歴史を知り、通常ではアクセスが困難な部分を体験することができる。また、万里の長城がどのように未来の世代のために保存されているかについて、ユーザーの理解を深めることも目的としている。

このバーチャル体験では、万里の長城の全景に加え、望楼や壁の各部分を360度見渡すことができる。また、万里の長城がいつ、どのようにして作られたのかを知ることもできる。

万里の長城の歴史をさらに深く知りたい人は、壁に沿って壁の詳細やレンガを解読することができる。例えば、レンガに刻まれた隠されたサインやスタンプ、神秘的な模様などをより詳しく見ることができる。

Googleは過去数年間に数多くの360度バーチャルツアーを発表し、その技術を活用し続けている。2016年には、ユーザーが米国の国立公園を探索できるバーチャル体験を展開した。それ以来、同社は同様のバーチャルツアーを展開しているが、バーチャルリアリティをさまざまな方法で利用することも検討している。例えば、Googleは2017年にバーチャルリアリティのアートギャラリーを立ち上げ、また、2018年には学生が独自のVRツアーを作成できる「Tour Creator(ツアークリエーター)」ツールをリリースした。

この新しい体験は、ウェブサイト「Walk the Great Wall of China」にアクセスするか、AndroidまたはiOS用のGoogle アート&カルチャーアプリをダウンロードすることで経験することができる。

画像クレジット:Google

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

AVA Intelligence(アバインテリジェンス)は10月7日、AIを活用した旅行サービス「AVA Travel」(アバトラベル)の正式版リリースを発表した。また、AVA Travelの旅行提案機能(レコメンドエンジン)のAPI提供事業にも挑戦すると明らかにした。希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

AVA Travelは、ユーザーの希望や条件を基にAIが適した旅行情報を提案するサービス。2019年8月にローンチしたβ版では、海外における約100都市からユーザーに合わせた旅行先の提案を行っていた。その後コロナ禍の影響もあり、国内旅行先の提案にも対応し、現在は国内外合わせ約400の旅行先から好みに合わせて提案するようにしたという。

また、広島県を舞台としたアクセラレーションプログラム「ひろしまサンドボックス『D-EGGS PROJECT』」(2021年4月採択)で実証開発を行い、正式版では現地での具体的な観光スポット・ホテル・体験・レストランまでユーザーごとにおすすめ順で提案可能となっているそうだ。特に、広島県尾道市周辺の観光情報は、現地の人のみぞ知るようなディープな情報も提案できるようにしており、自力で探していては出会いにくい、新たな発見を提供するという。

さらに同社によると、AVA Travelの裏側で動いている旅行提案機能について、APIとして利用希望先へ提供する事業を開始予定という(2022年に正式提供予定)。現在、同機能の正式提供に向け、実証開発に協力可能な企業を募集中だ。

同APIでは、旅行に関する希望・条件を送ると、それに応じた旅行先や、旅行先における観光スポット・ホテル・体験・レストランなどをおすすめ順で受け取れる。これにより同社レコメンドエンジン提供先では、まだ具体的な旅行プランの決まっていない検討ユーザーに対して瞬時に提案することが可能となり、ユーザー体験価値の向上が期待されるという。希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦