日本の民泊仲介サービスH2O Japanがサムスンなどから7億円超を調達

日本の旅行業は盛況だ。しかし宿泊先の不足という問題を抱えている。特に東京地域では、この夏のオリンピック開催を控えてホテル不足が深刻化している。

東京拠点のスタートアップであるH2O Japan が宿泊先仲介プラットフォームを立ち上げている。このサービスを利用して一般の不動産オーナーが部屋や家をバケーション向け滞在のために貸し出すことができる。米国時間2月3日、H2OはSamsung Ventures、Stonebridge Ventures、IMM Investment、Shinhan CapitalからシリーズBで700万ドル(約7億6000万円)のベンチャー資金を調達したことを発表した。これにより同社の資金調達総額は1800万ドル(約19億5500万円)となった。ちなみに同社は、エイチツーオー・ジャパンと読むが、同時にホスピタリティ2.0の意味にもかけてある。

H2Oは総合宿泊運営事業を手掛けており、各種の旅行サービスの宿泊先のチェックイン、チェックアウト、清掃、消耗品補給などの現場運営をオンラインプラットフォームで実実施している。同社が最近開始したのバケーション向けレンタル事業だ。これには人気の旅行スポットである大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの近隣のホテルなどが含まれている。

同社グループは2015年に韓国でWahomeとして出発した。これは宿泊施設の清掃、運営などのサービスだったが、その後何社かのトラベル・ホスピタリティサービスの企業を買収し、事業を日本に拡張した。現在H2Oのプラットフォームは25社のオンライン旅行サービスに対し5000室の運営を行っている。

創業者でCEOのWoong Hee(John)Lee(ウン・ヒ・ジョン・リー)氏によれば「2018年の第3四半期の創立以降、 四半期ごとに収入は倍増する急成長を続けている」ということだ。.

同氏はコーネル大学でホテル運営を学び、Morgan Stanley(モルガンスタンレー)では金融サービスに携わった。TechCrunchの取材に対しeメールで答えたところでは、日本におけるホスピタリティ事業が有望であると考えたのは次の3つのトレンドからだという。

  1. 旅行業自体が好調
  2. インバウンド客の増大
  3. 宿泊先不足が深刻

H20は当初、バケーション宿泊施設の現場管理を提供していたが、2018年に仲介、予約、支払いを含めた全面的なホスピタリティサービスに参入した。

リー氏は「ホスピタリティ産業の中心をなす価値は最終的には対象不動産の価値を高めるところにあると考える。施設後のハウスキーピング、つまりあるホテルが独自に予約、フロント、客室管理などの業務を実行するのは不動産の運用という観点からみて非効率極まりない」と述べる。

H2Oの宿泊施設管理システムは宿泊客、部屋、管理業務という3つの重要な要素を同期させるところに秘密があるという。つまり部屋の予約から部屋の消耗品補充、清掃、料金収納、不動産オーナーへの支払いなど一連の業務がオンラインプラットフォーム上でシンクロして連続的に実行されることで高い効率性が得られる。空室リスト作成から宿泊のスケジューリング、清掃までまでH2Oの高度なソフトウェアが処理するという。

このプラットフォームはまた不動産オーナーが多数の施設を持っていても予約から入退室管理まで同時に管理でき、またチャットベースで宿泊客のサポートも行う。

2019年6月に日本では民泊新法制定され、一般の民間不動産を利用して短期滞在客を宿泊させるAirBnbのようなサービスが公式に認められた。リー氏はすでに宿泊関係のサービスに関わっている不動産投資家多数が(新法により)民泊分野に参入することになるという見通しを述べている。H2Oはホテル、旅館、簡易宿泊所、住宅宿泊事業(民泊)それぞれの認可を得ているが、事業の大部分は民泊に分類され、B2B事業として成長が期待されている。

2019年にH2Oが取り扱った宿泊の料金は1泊あたり平均160ドル(約1万7400円)程度で、稼働率は平均87%だった。H2Oのユーザーの7割は不動産管理業者、2割が日本国内の不動産所有者、1割が海外の不動産ファンドだった。H2Oを利用したゲストの4割が国内の旅行者、6割が海外からのインバウンド旅行者だった。インバウンドの内訳は、4割が中国、4割が韓国、1割が他の東南アジア、1割がその他の国、地域となっている。

Samsung Venturesの上級投資マネージャーであるEric Kim(エリック・キム)氏は投資を発表した声明で「ホスピタリティ・サービスという日本における急成長市場でH2Oを支援できるのは喜ばしい。H2Oは日本においてプロダクトマーケットフィットが達成できたことをすでに証明している。 H2Oが今後日本の大都市圏の外にも拡大し、成長を続けていくものと確信している」と述べた。

画像:Getty Images

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Google CloudがルフトハンザとSabreを顧客に獲得、クラウドネットワーク構築に協力

Google Cloudのユーザー獲得戦略は、特定のエンタープライズ、ビジネス分野に集中するというものだ。ハードウェア、エネルギー、金融、小売業などがこれまで主要なターゲットで、ヘルスケアにも注力しているが最近やや足踏みしている印象だ。EpicはGoogle Cloudに移行する計画を進めないことを発表した

そんな中、Google Cloudは旅行業という新たなバーティカルで有力なクライアントを2社獲得したことを発表した。収益において世界最大の航空会社、ルフトハンザ・グループと航空会社、ホテル、旅行代理店などをネットワークしてサービスを提供するSabreがそれぞれGoogle Cloudに加わった。

Sabreと10年契約を結び、Google Cloud上にネットワークを構築することになった。 航空会社を始め旅行関係の多数の企業がSabreに参加しているが、これまで同社のネットワークはレガシーシステムだった。Sabreは情報インフラの現代化に取り組んでおり、Googleとの10年間の提携はこの努力の一環となる。GoogleとSabreは協力して「既存システムを改善し効率化するのと同時に新たなサービスを開発、追加する。参加航空会社、旅行代理店、旅行者に新しいマーケットプレイスを提供」していくという。AIをはじめとしたGoogle Cloundの最新テクノロジーを利用することでトラベル・ビジネスを一新するような各種ツールの利用が可能になるという。

「航空機のチケットが取れない」というシステム障害に見舞われることもあるが、ほとんどの場合、これはSabreのコンピューターがダウンしたためだ。「むやみにダウンしない」ようになるだけでも、われわれ消費者にとっては大きな改善だ。

GoogleのCEO、Sunder Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は「Googleはユーザーを支援するツールを開発している。我々のミッションはのほとんどは、ユーザーである企業がそれぞれの使命を果たせるようにすることだ。Sabreが旅行の未来を築くためにGoogleをパートナーに選んでくれたことは、非常にうれしい。旅行者は高い利便性、選択の自由、コストパフォーマンスを求めている。我々のクラウドとAIテクノロジーによるコンピューティングは、Sabreの価値実現を助けるものだ」と述べた。

広汎なサービスを提供するという点においては、Googleとルフトハンザドイツ航空との提携も同様だ。ルフトハンザはドイツのフラグキャリアだが、グループにはオーストリア航空、スイス航空、ユーロウイングスはじめ多数の子会社があり、他の航空会社に技術サービスを提供する企業も多数持っている。

【略】

ルフトハンザ・グループが戦略的パートナーにGoogleを選んだ目的は「オペレーションの最適化を図る」ためだという。Googleではルフトハンザ向け専任のチームを作ってこれを実現していく。Googlはルフトハンザの航空機運用のためのツールを開発し、クラウドで運用する。こうしたツールはビジネスを効率化するだけでなく、悪天候や空路の混雜、社員のストライキ(この頃多発しているようだ)などの障害が発生した場合、取るべき手段をAIテクノロジーが提案してくれるという。

画像:Sina Schuldt/picture alliance / Getty Images

また、デルタ航空もこれに似たAI利用の支援システムを開発し2020年のCESで発表した

[原文へ]

滑川海彦@Facebook

「AVA Travel」にAIホテルおすすめ機能追加、「エクスペディア」との連携で

AI旅行提案サービス「AVA Travel(アバトラベル)」を運営するAVA Intelligence(アバインテリジェンス)は12月26日、ホテル・航空券の予約サービス「エクスペディア」とシステムを連携し、AIによるホテルの個別提案を開始した。

2019年8月にベータ版としてリリースされたAVA Travelは、ユーザーへの質問をもとに、性格や旅行に求めることを判断。旅行先でのんびりしたいのか精力的に動きたいのか、計画的かそうでないか、旅行中は贅沢に過ごしたいのか安く済ませたいのか、行きたいのは買い物なのか博物館なのか、それともスポーツ観戦なのか、といった条件から、どの都市がおすすめかを提案する。

  1. avatravel_top

  2. avatravel_enquate

  3. avatravel_result_c

今回、エクスペディアとのシステム連携により、AVA Travelのサイト内で航空券やホテルの検索・閲覧が可能になった。また、エクスペディアが取り扱うホテルの中から、AIがユーザーごとのおすすめ順で一覧表示。ユーザーは自分に合ったホテルや航空券を、より短時間で、手間をかけずに見つけやすくなった。

実際にログインした状態で、ホテルの一覧表示を試してみたのだが、エクスペディアのサイトではホテルの数が多すぎて、予算やエリア、設備などの条件をかなり絞り込んで、ようやく選びやすくなるところが、AVA Travelでは都市を選び、宿泊日と宿泊人数だけ入力すれば、ほぼ「こういうところに泊まりたかった」という価格帯や雰囲気のホテルがリストアップされるので、かなり楽に選択できそうな印象を持った。毎回細かい条件まで自分で設定してホテルを選びたい人には、従来のエクスペディアのサイトの方が向いていると思うが、何となく自分に合った宿を手早く見つけたいなら、便利だと思えるのではないだろうか。

AVA Intelligence代表取締役の宮崎祐一氏は、今後、エクスペディア以外のサービスとの連携も順次進めていくと話している。海外の現地ツアーやテーマパークなどが申し込める、アクティビティ体験予約サイトとの連携も予定。また国内旅行の提案についても、来春以降展開できるよう、開発を進めているということだった。

ギフトガイド2019トップ10、旅行のお供にも好適なガジェット編

TechCrunchの年末恒例企画、ギフトガイドにようこそ!2019年も残りわずかとなってきたが、読者はクリスマスプレゼントになにかいいアイディアはないかとお悩みかもしれない。この際だから自分も何かいいものを買いたいと考えているかもしれない。そうしたプロダクトを今年一杯掲載していきたい。

今回は「旅行のお供に好適なガジェット」をまとめてみた。私自身、外国を含めていつも飛び回っているので、他のことはともかくトラベル関係のグッズなら知識も体験も豊富だ。

旅行には辛い部分がある。12時間も機内に缶詰にされたかと思えば、次には時差ボケを克服しなければならない。賢者によれば人生は目的より過程が大切だというのだが、人生の半分を出張で過ごす身になればそうは言っていられない。

旅行に持っていけば便利なガジェットはいくらでもあるが、ここでは旅を快適に、少なくとも耐えやすくするようなガジェットを集めてみた。もちろん以下のリストに挙げた以外にもOmniChargeのような外付けバッテリーやしっかりした車輪つきスーツケースが必須なのはもちろんだ。

Chromebookは駆動時間が長いという点だけでも旅行用に検討してみる価値がある。今月私はPixelbook Goを持って中国に行った。ギフトにはならないからリストアップしなかったがウェットティシューも非常に役に立つ。手を拭くだけでなく、私は手の脂がついたスマートフォンの画面を一日に何度も拭った。

Amazon Kindle Oasis

dscf3053毎年違ったアイテムを選ぶようにしているが、Oasisだけは入れざるを得ない。この電子書籍リーダーは旅行の必需品だ。OasisはE Inkリーダーの最新版で、ディスプレイのリフレッシュレートが速くなり、色調調整もできるようになった。オープンソースのCalibreも素晴らしい電子書籍管理ソフトだ。 私はe-pubなど各種のファイルをCalibreで変換してKindleで読んでいる(日本語にも対応)。

Anker PowerPort Atom

DSCF3791旅行に高品質のバッテリーパックを持って行くことの重要性は誰もが知っていることだろう。しかし充電器について考えたことはあるだろうか。 AnkerのPowerPort Atomは、13インチ以下のMacBook Proとの携行に便利だ。出力は30Wでコンパクト。飛行機の座席の下にある電源プラグは言うまでもなく、電源プラグに差し込んだ際にほかのアダプターの邪魔をしない。私はPixelbookの充電器として使いる。

Apple iPad Pro

3Q5A5611もちろんタブレットの標準的デバイスだ。しかしここにリストアップしたのはそれだけが理由ではない。MacOS CatalinaにSidecar機能が来たため、iPad ProはMacの絶好のセカンドスクリーンになる。外出中もディスプレイを2台を使えるのは作業効率を大きくアップさせる。MacBookを持っていなくてもiPadだけでかなりの作業ができる。

DJI Osmo Pocket

DSCF3479このジンバル付きミニカメラの素晴らしさは言葉にしにくい。単独でも使えるが、スマートフォンでテザリングして大きな画面で撮影すると特に便利だ(デバイスのディスプレイは切手くらいのサイズ)。最近のスマートフォンのカメラは大きく進歩したので、たいていのユーザーは旅行に専用ビデオカメラを持ち出さないだろうと思う。しかしOsmoはデイパックに放り込んでおいて気にならないサイズだ。もちろん撮影された動画は十分優秀だ。

Dreamlight Ease

easevideo白状すると、昔は気後れして機内で睡眠用のアイマスクをしなかった。しかし海外出張が重なるとそんなことは言っていられなくなり、今ではDreamlight Easeが手放せない。これまで使った中ではこれがいちばん快適だ。素材が柔軟なフォームラバーで、メーカーが「3D顔マッピング」と呼ぶテクノロジーで製作されており、顔の凹凸にフィットするため外光の遮断性が優れている。家でもときどき使うことがある。また側面にもパッドがはいっているので機内で窓や機体側面に頭をもたれさせて眠るときも快適だ(Amazon USから日本に発送可能、26ドル)。

LARQ Self Cleaning Water Bottle

Screen Shot 2019 10 30 at 1.36.26 PMペットボトルは環境に悪い。それに最近サンフランシスコ空港ではペットボトル水の販売を禁止している。旅行中の水分補給と廃棄物の減少にはLARQのウォーターボトルがいい。価格は100ドル近いので安くはないが、強力な紫外線LEDライトを使った除菌機能があることを考えれば納得だ(Amazon USから購入可能、85ドル)。

Nintendo Switch Lite/Switch Online

CMB 78833年前にオリジナルのSwitchがリリースされたときからずっと小型軽量版を待望していた。Switch Lightは旅行用に理想的だ。どちらもJoy-Conを失くす心配がない。機内でも一人寂しくホテルに泊まったときでも格好の相手になってくれる。バッテリーのもちはいまいちだが、ホテルなら問題ない。Switch Onlineの料金はとんでもなく安く、 NES(ファミコン)のタイトルが豊富に揃う。

WF-1000XM3

IMG 4496ワイヤレスイヤフォンとしては同価格帯のAirPods Proも優秀な製品だが、まだ自分自身で長時間テストしていなかったのでこちらを選んだ。 それでもソニーのノイズキャンセリングと音響テクノロジーには絶対的に信頼がおける。特にノイズキャンセリングは機内など騒音が続く環境ではなくてはならない機能だ。dr.dreのPowerbeats Proももちろん自信をもって推薦できる製品だ。 最近機内、車内のエンタテインメントシステムにミニジャックで接続するとBluetoothの電波を飛ばしてくれるAirFlyというトランスミッターが出ている(WF 1000XM3はAmazonで2万4714円)。

Timbuk2 Never Check Expandable Backpack

DSCF3052去年の今頃、東京出張でこのバックパックをテストしたが便利なのに驚いた。今でも驚いている。今まで使ったトラベルバックパックのベストだ。小物を分類して収納するのに便利なポケットが多数あり、本体容量は簡単に拡大、縮小できる。タフな素材で防水能力もあり、Timbuk2だけあってデザインもスマートで、スーツケースのお供に理想的だ。機内への持ち込みもできる。

Tripley Compression Packing Cubes

91e3kyx0BZL. SL1500これはハイテクガジェットではないからTechchCrunchでレビューされていない。それでもこの圧縮パッキングキューブは旅行に欠かせない小物だ。私は出張が多くなってパッキングキューブ(しわになりにくい)と圧縮バッグ(省スペース)の双方をいろいろ試してみた。Tripleyの圧縮キューブは双方のメリットを備えたスグレモノと思う。ただしジッパーを噛ませないようご注意(Amazon USで26ドル)。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

空出身の宮崎氏がAI旅行提案サービスをリリース、4000万円超の資金調達も

2018年、スタートアップが進出する領域としてトレンドのひとつになった旅行関連サービス。チャットでざっくり条件を伝えるだけで旅行プランの提案・予約ができる「ズボラ旅 by こころから」や後払いで旅行に行ける「TRAVEL Now」、LINEとTravel.jpとの提携でスタートした「LINEトラベル.jp」など、旅行領域への進出は盛んに行われていた。

大きな市場があり、ディスラプトする余地が残るジャンルとして、旅行カテゴリーはスタートアップや投資家にとって、まだまだ魅力的な開拓先のようだ。8月8日には、新たにAIを活用した旅行サービス「AVA Travel(アバトラベル)」のベータ版リリースが発表された。サービスを提供するのはAVA Intelligence(アバインテリジェンス)。創業者はホテルのプライシングサービス「MagicPrice」を提供、TechCrunch Tokyo 2017 スタートアップバトルで最優秀賞を獲得したで開発企画、マーケティング、広報PRを担当していた宮崎祐一氏だ。

メタサーチ+AIでスマートな旅選び体験を提供

AVA Intelligenceは2018年10月の設立。ユーザーデータをもとに、それぞれに合った選択肢や情報を提供するアバターAIを開発するスタートアップだ。今回リリースされたAVA Travelは、ユーザーの性格や旅行に関する条件をもとに、AIが適した旅行先を提案。旅行先情報の閲覧・保存から、航空券・ホテル検索までを1プロダクトでまかなえるサービスである。

宮崎氏は高校生の頃から起業すると決めていたそうだが、旅行サービスで創業しようと決意したのは、自身が約30カ国へ旅行した経験からだ。「予約サイトではサイトによって値段などが違い、情報の非対称性が大きい。また、それを解決するために価格比較サイトなどでよく使われている『メタサーチ』の手法では情報量が多くなりすぎて、逆にユーザーの選択が不自由になるという点に課題を感じた」と宮崎氏はいう。

AVA Travelでは、メタサーチによって旅行予約サイトや旅行情報サイトなど、複数サイトにある多くの情報を自動収集しながら、AIにより各ユーザーに合った情報だけを判断して提供。情報の非対称性は解消しつつ、自分に合った情報に絞って提案してくれる。

検索・提案の効率のほかに、既にある旅行提案アプリやサービスと違う点として宮崎氏が挙げるのは、「タビマエの提案サービスというだけでなく、タビナカ、タビアトといった旅行の一連のプロセスで一貫して使えるサービスを目指しているところ」だという。

「AVA Travelでは旅行先を決める際に必要なインスピレーションをAIが瞬時に与え、旅行先ではどんなことができるのかを詳しく見ることができる。これにより旅行メディアサイトを複数、自身で見に行く必要はなく、気に入った旅行先情報があれば、それをAVA Travelのユーザーページ内にストックできる。今回のリリースでは実装していないが、今後はこのストックした旅行先情報から簡単に旅行先スケジュールを生成する機能の実装も計画している。また、訪れた旅行先情報をまとめて管理したり、必要に応じて公開したりできる、タビアト機能も実装予定。タビログ管理ができることに加えて、このタビログ情報をもとにAIがよりユーザーの好みを理解し、学習するようになる予定だ」(宮崎氏)

今回のベータ版では、ユーザーはAIからの旅行提案を実際に受け、予約まで行える。AIの学習度や提案できる都市の数(現状では海外の100超程度の都市が対象)の関係でベータ版としてリリースしているが、今後AIの学習度を進め、日本国内の提案も可能として、正式版公開を目指すという。

「空での経験は実に多く生かせている」

宮崎氏は起業にあたり、「空での経験は実に多く生かせている」という。そもそもAIを活用してホテル料金の提案を行うMagicPriceとは「旅行×AI」という分野が同じ。それゆえ「旅行業界における知見や人脈、そしてAIの可能性、生かし方が感覚として身についている」と宮崎氏は述べている。

また「スタートアップでのサービスをグロースさせる経験ができたことも非常に良かった」と宮崎氏。空CEOの松村大貴氏は「起業家が日本にどんどん増えていってほしい」と語っており、その思いは宮崎氏も同じだという。「スタートアップで働く人がどんどん増え、またそこからさらに新しいスタートアップを創業する人が増えていって欲しいと思う」(宮崎氏)

今回、プロダクトリリースの発表と同時にAVA Intelligenceでは、サイバーエージェント・キャピタルインキュベイトファンドTRADコンサルティング汐留パートナーズを引受先としたJ-KISS型新株予約権方式による増資と、日本政策金融公庫、みずほ銀行からの融資による、総額4000万円超の資金調達実施を明らかにしている。調達資金は、さらなるプロダクト開発、採用とユーザーへのコミュニケーション強化などに充てるという。

写真左から2人目:AVA Intelligence代表取締役 宮崎祐一氏

フランス旅行ならCozycozyでAirbnbとホテルが同時に探せる

フランスのスタートアップ、Cozycozy.comは広い範囲の宿泊先検索サービスだ。もちろんこれまでもホテルの検索、予約サービスは各種存在しているし、これからも生まれてくるだろう。しかしCozycozyが探してくれるのはホテルだけではない。

何箇所かを回る旅行を計画している場合、それぞれの宿泊先を別々のサービスで探したり予約したりすることが多い。サービスごとに異なるタイプ、料金の部屋を扱わうので、Airbnb、ホテルの口コミ・サイト、ホテル予約サービスなどを同時に使わねばならない。この場合多数のタブやアプリを開くことになる。

こうしたサービスは無数に存在しているが、大部分の有力サービスは次の3グループのいずれかに属する。Booking Holdings はBooking.com、Priceline、Kayak、Agodaなどを、Expedia GroupはExpedia本体の他にHotels.com、HomeAway、Trivago等を、TripAdvisorはTripAdvisor、HouseTrip、Oysterなどを傘下に持っている。これらのグループが多数のサービスを運営しているのは旅行先、旅行の種類別に特化させてできるだけ多数の訪問者を得るためだ。

Cozycozy.comはこうしてフラグメンテーションが進んだサービスを統合し、一つのインターフェイスから利用できるようにしようとしている。つまりホテルに加えてAirbnbをカバーするだけでなく、レンタルのパワーボートやアパート、バケーションの時期に互いの家を交換して滞在するホーム・エクスチェンジも探せる。もちろん料金や宿泊先のタイプによってフィルターをすることができる。

ただし同社は直接各ホテルと契約しているわけではなく、予約は取り扱っていない。これはあくまでも広範囲の検索サービスで、適当な部屋がみつかったらCozycozyのページからAirbnbやBooking.comなどのサイトにジャンプして予約を完了する。

Cozycozyは先ごろ、Daphni、CapDecisif、Raiseなどから400万ユーロの資金を調達した。ラウンドにはXavier Niel氏、Thibaud Elzière氏、Eduardo Ronzano氏などのエンジェル投資家各氏が参加している。

Cozycozy.comの共同ファウンダー、会長のPierre Bonelli氏はLiligo.comの創業者だ。Liligoはフランスでもっとも人気ある航空チケットの比較サービスとなり2010年にSNCF(フランス国鉄)に買収された。同氏は2013年にはオンライン旅行代理店、eDreams ODIGEOを創業している。

cozycozy com page de resultats

(TechchCrunch Japan編集部追記) 上のスクリーンショットのとおり、言語は今のところフランス語のみサポートしているが宿泊先検索なのでGoogle翻訳などで十分内容を確認できる。またフランス国内でポピュラーな旅行サイトにジャンプできるため混雑した時期でも比較的容易に部屋を予約できる。

原文へ

滑川海彦@Facebook

Airbnb、「歩いてライオンに会いに行く」などの冒険ツアー事業をスタート

オンライン宿泊サービスのAirbnbが新しい旅行体験プログラムをスタートさせた。「Airbnbアドベンチャー(Adventures)」は、簡単にいえばAirbnbが提供する新しいツアーのコレクションだ。3日から1週間かけ、多くは徒歩で、ありきたりの観光スポット以外の興味深い場所を訪れる。

ケニヤのワイルドライフ・サファリがこうしたエキサイティングなツアーの一例だ。3日のコースのハイライトはナイロビ近郊の野生動物保護センターに泊まり、専門家のガイドで、徒歩で自然の環境で暮らすライオンに会いに行くのだという。キャンプファイヤーを囲んでブッシュティーを飲むなどのアトラクションも用意されている。ツアー料金500ドルには5回の食事、飲み物、テントでの2泊などが含まれている。

これまで提供してきた「体験(Experiences)」とは異なり、こうした冒険ツアーではAirbnbは大規模な旅行代理店ではなく、現地の専門家やツアーガイドと直接提携している。エキサイティングな要素を含むツアーの場合、旅行代理店を介在させることが保険その他事故責任に関して適当でないのだろう。またツアーの安全性を確保するため、Airbnbは第三者機関とも密接に協力しているという。

Airbnbのビジネスの中心はオンラインの短期宿泊先共有サービスだが、「体験(Experiences)」でツアー企画をデビューさせた。Airbnbアドベンチャーはツアー・ビジネスをさらに強化するものだ。ロイターによれば、Airbnbは5億人のユーザーベースを活かして動画ストリーミング事業に乗り出す計画で、サービスは年内にスタートするという。また同社は最近、ビジネス全体の黒字化を達成したと発表している。

原文へ

滑川海彦@Facebook

Uberの旅行コンシェルジュ版目指す「tabiko」が6000万円を調達

写真左からFAST JAPAN代表取締役の片野由勇岐氏、最高技術責任者のKrishna Prahasith氏

「目指しているのは旅行コンシェルジュ版のUberのようなサービス。数百万人がドライバーとしてUberに参加しているように、世界中からユニークなコンシェルジュが集まるプラットフォームを作っていきたい」

そう話すのは訪日観光客向けのチャットコンシェルジュアプリ「tabiko(タビコ)」を展開するFAST JAPAN代表取締役の片野由勇岐氏だ。

これまでは日本を訪れる観光客の悩みを、自社で採用したコンシェルジュがチャットを通じて解決していた同サービス。5月からはまさにUberやAirbnbのように、旅行情報を持つ人がコンシェルジュとして参画できる「コンシェルジュプログラム」をスタートする。

FAST JAPANは4月5日、同プログラムの基礎固めを含めてtabikoをより強化する目的で、複数の投資家より6000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。調達先はDGインキュベーションとキャナルベンチャーズ、そして既存投資先であるKLab Venture Partnersの3社だ。

訪日観光客の悩み事をチャット上のコンシェルジュが解決

2017年2月にローンチされたtabikoはチャット上で訪日観光客にコンシェルジュサービスを提供するアプリ。観光地や交通情報の案内、宿泊施設・レストランの予約を始め、旅行に詳しいコンシェルジュが様々な相談に乗ってくれる。

チャットボットなど機械ベースのものではなくあくまで人間のコンシェルジュが対応する仕組みなので、幅広い悩みやちょっとしたリクエストにも応じられるのがひとつのウリ。「タクシーで忘れ物をしてしまったのだけどどうすればいいか?」といった困り事が寄せられる場合もあれば、「日本で彼女にプロポーズをしたい」という男性ユーザーを手助けするといった場合もあるという。

「旅行に関するプロダクトは増えてきているが、その多くは“予約”という領域に着目したもの。旅行者にとって必要なのは予約だけではない。tabikoは旅の始まりから終わりまで全てのサポートを、コンシェルジュと共にデザインしていきたいという思いで運営してきた」(片野氏)

現在は英語と中国語(繁体字)の2言語に対応。これまで広告によるプロモーションはほとんど実施しておらず、口コミを軸にオーガニック経由で約13万人の会員を獲得した。

ユーザーにとっては、検索エンジンや旅行系のメディアを通じて毎回苦労しながら調べていたような情報を、現地に詳しいコンシェルジュからすぐに仕入れられるのがtabikoを使うメリットだ。たとえばレストランの予約は日本を訪れる外国人にとって大きなペインポイントであり、片野氏によると毎月数千件のレストランをtabikoがユーザーに代わって予約しているという。

ローンチから2年を迎えた今年の2月にはサービスをリニューアルし、コンシェルジュに対してチップを支払える「Star Rewards(スターリワード)」機能を導入。ユーザーは各チャットごとにマイクロ課金ができるほか、コンシェルジュのプロフィールから大きめの課金をすることが可能になった。

「昨年はtabikoのコアバリューではないホテルや航空券の販売を通じてマネタイズをしようとしてしまっていた。そこを欲していたのは一部のユーザーで、全ユーザーにとって本当に価値となっているのはコンシェルジュの部分。マネタイズもその体験に紐付けるべきだと考えた」(片野氏)

Star Rewardsはまだ始まったばかりの仕組みではあるけれど、開始後1ヶ月で約10%のユーザーが1回はチップを払っていて、手応えを感じているという。

Uberの旅行コンシェルジュ版目指し、新たな取り組みも開始

冒頭で触れたように、tabikoでは5月から新しくコンシェルジュプログラムを取り入れる計画。自社で採用したコンシェルジュだけでなく多様な人材が同サービスに参画することで、今まで以上に幅広いニーズに応えられるプラットフォームへと進化させるのが狙いだ。

「(自社で採用したコンシェルジュだけに限定してしまうと)提供できる価値も限られてしまう。世の中にはローカル特有の情報やユニークな旅行体験を持つ人がたくさんいるので、そういった人にコンシェルジュとして参画してもらい、旅行者と繋がれるようなサービスにしていきたい」

同プログラムを通じてtabikoに加わるコンシェルジュは、隙間時間を活用しながら旅行者への情報提供を行う。片野氏の話では上述したチップの機能などとも連動し、獲得したStar Rewardsや対応したチャット数、需給バランスなどを加味した上で報酬を支払うモデルを考えているという。

またAirbnbのホストであれば、自身が同サービス上で掲載しているリスティングや旅行体験を積極的に紹介するのも問題ないとのこと。「ホスピタリティに溢れたコンシェルジュはtabikoの特徴」(片野氏)であり、その点ではAirbnbのホストと相性が良いというのが片野氏の考えだ。

今回調達した資金も、コンシェルジュプログラムを含めたプロダクトの基盤強化に用いる方針。今後は日本だけでなくグローバルでのサービス展開も見据える。

「コンシェルジュが増えてユニークな旅行体験を提供できるサービスができれば、より多くのユーザーが集まるようになる。このモデルが積み上がりコンシェルジュがtabikoを通じて稼げるようになるとスケールできるので、まずはそのモデルの構築を目指していく」(片野氏)

FAST JAPANは2015年11月の創業。片野氏は大学4年時にオンラインギフト事業で一度起業していて、同社が2度目の起業となる。もともとはLINEなどを通じて旅行の相談ができるチャットサービスや旅行メディアなどを展開していたが、サービスの軸を変える形で2017年2月にtabikoをスタートした。

創業期に現メルペイ取締役CPOの松本龍祐氏(当時はソウゾウ代表取締役)から、2016年にはKLab Venture Partnersなどから資金調達を実施。それ以降もベンチャーユナイテッドやエウレカ創業者の赤坂優氏を含む複数のエンジェル投資家より出資を受けているという。

キャンセルしたい宿泊予約を売買できる「Cansell」、出品可能エリアを世界5カ国に拡大

やむを得ずキャンセルするホテル予約を売買できるサービス「Cansell」を提供するCansellは3月27日、これまで国内限定だった出品エリアを海外にも拡大する。今回のリニューアルで世界150万軒以上の海外ホテルの比較検索が可能になるほか、日本、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、カナダの計5カ国のホテル予約を出品可能になった。

2016年9月にローンチしたCansellは、ホテルを予約したあと何らかの理由でキャンセルしなければならないホテル予約(ホテルの宿泊権)を第三者と売買できるサービスだ。売買が成立すれば、売却側はホテルのキャンセル料を削減でき、買う側は通常よりも安く宿泊することができる。なお、Cansellでの出品希望の予約には必ず審査が入り、予約したときの値段よりも高くは売れないなどの制限を設けて高額転売を排除する仕組みが取り入れられている。

Cansellは今後も出品可能エリアを拡大し、2019年内に出品可能エリアを世界20カ国まで増やしていく予定だという。また、同時にサービスの多言語化も進めていきたいとしている。

簡単な質問に答えるだけで旅先をリコメンド、WithTravelがグローバル・ブレインから2億円調達

予算や条件から旅先や航空券などをオススメする「atta(アッタ)」シリーズを展開するWithTravelは3月14日、同サービスのベータ版を公開した。また、同時にグローバル・ブレインから約2億円を調達したことも明らかとなった。

同サービスには主に2つの機能がある。ユーザーの予算や目的、その時の気分などを基に旅先をリコメンドしてくれる「旅先atta」、そして旅の予算から最適な航空券と宿泊先を見つけてくれる「予算でatta」だ。

旅先attaは、旅には行きたいが行く場所がまだ決まっていないというユーザーにとって便利なサービス。簡単な旅診断を受けるだけで旅先をリコメンドしてくれるほか、すぐに旅行に行かなくても、そこで見つけた旅先のベストシーズンや最安時期をお知らせしてくれる。旅先が決まっていない人のためのサービスとして考えると、以前TechCrunch Japanでも紹介した「ズボラ旅」と少し似ている。

もう一方の予算でattaは、旅先は決まっているけれど航空券やホテルを見つけるのが面倒だというユーザー向けのサービス。予算など旅の条件を入力するだけで、最適な航空券と宿泊施設をセットでオススメしてくれる。また、「こだわり条件」として航空会社、乗り継ぎ回数、ホテルランク、民泊の可否などを設定可能。同サービスではユーザーごとのこだわり条件を学習していくため、使えば使うほど、自分に合ったプランを発見できるのが特徴だ。

このatteシリーズを展開するWithTravelは2018年3月に設立されたばかりのスタートアップ。同社はFacebookが実施するスタートアップ支援プログラム「FbStart」にて、「Bootstrap」に認定。また、朝日メディアアクセラレーションプログラムの5期生、および電通が運営するスタートアップ支援プログラム「GRASSHOPPER」の1期生にも採択されている。2018年6月にはB Dash Venturesから5000万円のシード資金も調達している。

今回の2億円の調達はWithTravelのシリーズAにあたるラウンドだ。同社は今回調達した資金を利用して、人材獲得による開発体制の強化とマーケティング施策の実施を進めるとしている。また、同社は今回のベータ版の公開とともにシンガポール子会社の設立も明らかにした。今後は東南アジア向けにも旅行関連ビジネスを展開していく予定だ。

Google、新しい旅行プランツールを公開

ゆっくりだが確実に、Googleは旅行サービスを拡大し今やホテルやフライトの予約からトラベルプランのツールまで提供している。今日(米国時間9/27)、Googleはトラベルプランとホテル予約を中心とする新サービスを発表した。

中でも休日の旅行計画をする人にとっておそらく最も興味深いのが、新しいランディングページで、感謝祭や年末年始の休みに先立ち、いつ予約するのが最適かを2017年の価格変動に基づいて教えてくれる。対応している都市は少々限定されるが、用意されている25のルートを利用する予定の人は、確実に何ドルか安くできるはずだ(今年の価格傾向が去年と類似していることが前提)。

同じページにホテルの料金も載っているが、これはGoogleマップのホテル検索機能(おそらく知らない人が多い)へとつなぐツールとしての性格が強い。

目的地を決めたら、Googleの新しいホテル位置スコアが、おすすめの地域を探すのを手伝ってくれる。スコアには近くのバー、観光スポット、公共交通機関へのアクセスなどの情報が、Googleマップのデータに基づいて要約されている。空港との往復方法も教えてくれるのはうれしい追加機能だ。

10月にGoogleは、Your Tripsという旅行プランを立てるための新しい機能をスタートする。Your Tripsはフライト料金の追跡結果やホテルの検索情報など、計画している旅行に関して保存しておいた情報を一箇所に集めてくれる。これはInbox(さようなら)のトラベル情報とも似ているが、まだ計画中の旅行が対象だ。

そして、ユーザーが通常のGoogle検索で人気の旅行先を探すと、結果ページでこれらの旅行プラン機能がハイライト表示され、観光プランや当地に関する記事などを見ることができる。旅行の予約を始めたあとは、予約状況やこのデータに基づく追加情報も表示される。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

チャットで旅行の相談・予約ができる「ズボラ旅」が当日予約、宿探しのみのメニューを追加

お盆休みも終わり、夏休みの思い出を胸に仕事に戻る人が多いことと思うが、まだこれから夏休みで「どこかへ旅行に行きたいけれど、まだどこへ行くか決めてない」あるいは「旅行プランを立てる時間もない」という人もいるだろう。

そんな人にピッタリなのが、漠然とした旅行の相談をLINEチャットで投げかけると、旅行プランを提案し、予約代行までしてくれるサービス「ズボラ旅 by こころから」だ。TechCrunch Japanでも何度か紹介してきたこのサービスに、新しいメニューが加わった。

ズボラ旅のサービスを提供するHotspringが8月16日、新メニューとして正式発表したのは、宿の手配に特化したメニューへの対応と、相談した当日の宿を予約できるサービスだ。

前者は、今までの「行き先が決まっていなくても旅行の相談ができる」というサービス内容から、「日程・行き先は決まっているが宿だけ探してほしい」というニーズを切り出してメニューとしたもの。

「そこまで決められるなら宿も予約すればよいのでは?」とも思うが、これまでの旅の相談では意外と「旅行先は決まっているけれど、どこに泊まったらいいのか」「こんな感じの宿に泊まりたいけど、どこの宿であれば条件を満たせるのか」という声が多かったそうだ。

宿を決めた上で「宿の近くにあるオススメのスポットを教えて」といった相談にも乗ってくれるということなので、メインの行き先は決めた上で、より有意義に旅先を満喫したい、といった時にも役立つかもしれない。

また後者は、これまで一部のユーザーに提供していた相談当日の予約サービスで「今日泊まる場所を探したい」というニーズに応えるもの。

Hotspring代表取締役の有川鴻哉氏によれば「もともとお客さまからご相談があれば当日予約の対応をしていた」とのこと。特に7月にリリースした「コンビニ後払い」への対応後は、多くの相談を受けていたという。

あらためてメニューとして明示した大きな目的は「ズボラ旅の売上を拡大するため」と有川氏は説明。「これまではズボラ旅のビジネスモデルを検証するフェーズとして『成約率』やベースになる『サービスの体験』にフォーカスして改善を繰り返してきたが、それぞれある程度の水準に達したものと判断して、少しずつ『売上』を作るフェーズへと移行することにした」としている。

とはいえ「もちろん利用者が増えても対応が追いつかなければ、売上拡大にはつながらないし、サービスの体験を損なって成約率を下げることにつながりかねない」とも有川氏は述べていて「ビジネス拡大に意識は向けつつ、『サービスの体験』を損ねないように気をつけたい」という。

「むしろ、もっと良い体験にできるように引き続き注力していくつもりです」(有川氏)

新メニューの「宿探しのみ」または「当日予約」を希望するユーザーの新規チャット受付時間は毎日11時〜18時、従来のズボラ旅の受付は毎日12時半〜15時となっている。

ズボラ旅では8月14日から、支払いに利用できるクレジットカードのブランドを、これまでのVISA、MasterCardに加えて、JCB、American Express、Diners Club、Discoverの合計6種類へ拡大済み。

こうしたさまざまな施策もあってか、ズボラ旅の夏休み期間の相談数、平均予約単価は、いずれも伸びているということだ。成約率(CVR)については2ケタ%超、平均予約単価も6月に発表された2万9536円から4万7119円へと大きく上がったという。

有川氏は好調の要因について「夏休みという季節要因だけでなく、新しくメニューを分けたことや、細かなオペレーションの改善、コンビニ後払い決済の導入など、ほかにもあると考える」と述べている。

さらに近日中に新しい取り組みを発表する予定があるというズボラ旅。有川氏は「今回のリリースも含めて、これまではズボラ旅をもっとスムーズに使えるように、もっとたくさんのお客さまが使えるようにするようなオペレーションの改善や機能追加を中心とする内容だった。今後はズボラ旅が旅行領域においてカバーする範囲を拡げるなど、新しい価値を提供することを予定している」として、「もっとたくさんの方に旅行を楽しんでいただくために、有効であると考えられることは何でも実行していくつもり。今後も期待してほしい」とコメントしている。

台湾のFunNowはローカル向けクイック予約サービス――シリーズAで500万ドルを調達、アジアと日本の都市に展開中

最近の旅行ビジネスでは、AribnbやTripAdvisorなどの有力サービスが直前でも簡単にさまざまな予約を可能にするインスタント・ブッキングに参入しつつある。これは特にアジアで、香港のKlookなどのスタートアップが大成功を収めていることに刺激された面が大きいだろう。しかしインスタント・ブッキング・アプリがこう増えてはもうニッチは残っていないのではないか? 

実はFunNowはそう考えて方向を転換した。旅行者をターゲットにするのではなく、このサービスはローカルを対象とする。つまり都市の居住者に新しいアクティビティを楽しんでもらうのが目的だ。今日(米国時間8/13)、台北を本拠とするFunNowはシリーズAのラウンドで500万ドルの資金調達を行ったことを発表した。ラウンドのリーダーはAlibaba Entrepreneur Fundで、CDIB、 Darwin Venture、Accuvestが加わっている。資金は東南アジアと日本に事業を拡大するために用いられる。

FunNowは2015年に創立された後、昨年6月のエンジェル・ラウンドを含めてこれまでに650万ドルを調達したことになる。登録メンバーは50万人、3000社のベンダーが毎日2万種類以上のアクティビティーを提供しているという。共同ファウンダー、CEOのT.K. Chenは海外展開について「現在、香港、東京、大阪、沖縄、クアラルンプール、バンコクに注力している」と述べた。

今回のシリーズAで注目すべき点はAlibabaの存在だ。 Tencentが支援するライバル、Meituan-Dianpingが香港で株式上場を準備している中で、Alibabaの参加はFunNowのO2O能力(オンラインでオフラインサービスの予約、支払いを行う)を大きく強化したといえる。

Alibaba Entrepreneurs Fundは非営利法人で、将来Alibabaのエコシステムに貢献する可能性のあるスタートアップの育成を目的としている。Alibabaの各種O2Oアプリは中国でMeituan-Dianpingからできるかぎりシェアを奪うことを狙っている。ChenはFunNowとの協力はこの面でもシナジーを生むとしている。【略】

いかにAlibabaの参加があるにせよ、 FunNowが多数のインスタント予約アプリとどのように競争していく戦略なのかは誰もが興味を持つところだろう。この市場ではKlook、KKdayなどが有力だが、他にもVoyagin、GetYourGuide、Culture Trip、Peek、それにAirbnb自身のExperiences機能などが存在する。

Chenによれば、FunNowが現在もっとも力を入れているカテゴリーは直近のホテル等の予約だという。台北では一夜ないし数時間のホテル、温泉への滞在を提供している。マッサージその他の温泉における伝統的サービスやレストラン、バー、さらには音楽フェスティバルなどの予約もカバーするという。

Chenによれば、ツーリストというよりむしろローカル住民に楽しい時間を提供するという戦略はFunNowのユーザー・エンゲージメントを大きく高めており、毎月の粗収入の70%はリピート・ユーザーからのものだという。30%は最初に利用したユーザーだが、その60%は30日以内に戻ってきてさらに利用している。FunNowでは2018年の売上を1600万ドルに届くと予測しているが、これは2017年の3倍に上る。

FunNowのユーザーの平均年齢は若く、25歳から35歳が多い。「われわれはUberに似ている。ターゲットはレストラン、温泉、マッサージ、ホテル、イベントなど身近で楽しい活動を予約したいと考えている人々だ。われわれは消費者のその場の思いつきを重視している。われわれが仲介する予約の大部分が15分から」1時間後のものだ。データでいえば、FunNowの予約の80%は1時間以内のものだ」とChenは述べた。

FunNowではプラットフォームをローカル・ユーザー向けに最適化している。特許を取得したアルゴリズムによって予約をマーチャント・データベースのエントリーとリアルタイムで同期させ、オーバーブッキング、ダブルブッキングを防いでいるという。Chenによれば、ユーザーは自身の地理的所在地によって現在利用できるエントリーを閲覧できる。情報は0.1秒以内にリアルタイムでアップデートされるので、ユーザーはエントリーをクリックした後ですでにすでに誰かが予約していたという事態を防げるという。FunNowではサービスを提供するベンダーを事前に審査し、プラットフォームに加えた後も星印が3.5以下になるとリストから削除する。

将来KlookやKKdayといったインスタント予約アプリがターゲットをツーリストから地元居住者に拡大してくればライバルとなり得る。しかしChenは「こうしたスタートアップは拡大しつつあるツーリスト市場における半日から1日以上のツアーをターゲットにするはずだ」と考えている。

Chenは「こうしたスタートアップがローカル住民をターゲットすることになれば、マーチャントとなるホテルやレストランをひとつずつシステムに加えていかねばならないだろう。またそのシステムもマーチャントにとって使いやすくエラーの起きにくいものである必要がある。しかしマーチャントがひとたびわれわれのシステムを利用すれば、別のシステムを導入することは考えにくい。オーバーブッキングを避けるためには相互の調整を図る必要があるからだ」という。

「こうした点は先に動いたFunNowに大きな優位性があるが、われわれはテクノロジーをさらに改良していく。レストランなどはたとえ1分差であっても先着の客に席を提供してしまい、オーバーブッキングという結果をもたらす可能性がある。これは何として避けねばならない」とChenは語った。

〔日本版〕FunNowのサイトは日本語ページも用意している。日本でのサービスは今のところホテル予約がメインのようだが、台北のページでは食事、温泉、マッサージなどジャンルが多い。

原文へ


滑川海彦@Facebook Google+

「ズボラ旅」が10万円までのコンビニ後払いに対応開始

必要なのは旅行に行きたいという気持ちだけ。それさえあればLINEのチャットを通じておすすめ旅行プランを提案し、予約代行までしてくれる「ズボラ旅 by こころから」。

TechCrunchでも何度か紹介してきた同サービスに、今までよりも多くのユーザーが旅行に行きやすくなる機能が追加されたようだ。

ズボラ旅を運営するHotspringは7月5日、同サービスの新たな決済手段として「コンビニ後払い」への対応を始めたことを明らかにした。

対象となるのは10万円までの旅行で、支払い期限は申し込み日の翌月末まで。ズボラ旅を利用して宿泊施設を予約した後に届くハガキから、コンビニで支払う仕組みだ。なお、この機能についてはフリークアウト・ホールディングスの子会社であるGardiaの後払いサービスと連携したものだ。

なおハガキを送るまでのコストや万一支払われない場合のリスクなどを考慮し、後払い利用時には540円の手数料が別途必要(上乗せされて請求)になるという。

Hotspring代表取締役の有川鴻哉氏によると、後払いについては創業当初(旅行領域をやろうと決めた時)から検討していたようだ。

同社が実現したいことはより多くの人に旅行を楽しんでもらうことであり、「みんなが旅行したいと思った時に障害になるものは片っ端から取り除いていきたい」という考えが前提にあるそう。そこで具体的な障害となりえるのが「時間がない」ということと「お金がない」ということだ。

「ズボラ旅は『時間がない』を一定解決するためのサービスだが、それだけ解決しても旅行にいけない人がいる。今回の取り組みはズボラ旅に足りなかった要素を付け足すという意図があって、『お金がない』という悩みをすべて解決できるワケではないが、少しでも旅行を楽しめる人を増やせたら良いなぁと考えている」(有川氏)

なお旅行代金の後払いといえば、つい先日「CASH」運営のバンクも「TRAVEL Now」をリリースしている。偶然にも同日にはLINEが「LINEトラベル」を発表するなど、旅行サービスの話題で界隈がざわついた1日となった。

TRAVEL Nowについて有川氏は「先にやられたー!というのが率直な感想です(笑)」と言うが、「競合が出現して焦るというよりは、それだけ旅行領域には解決すべき悩みがあって伸びしろがあるんだよなと、むしろ背中を押してもらったようなキモチ」とも話す。

確かに各プレイヤーが全く同じアプローチをしているわけでもないため、必ずしも直接的な競合というわけではなさそうだ。

「わたしたちは、わたしたちが信じる旅行のあり方を追求しながら、旅行を楽しむ人を増やしていきたいと考えている」(有川氏)

Airbnbが日本の旅館業法の改正で予約をキャンセルされたユーザーのため$10Mのファンドを設立

Airbnbは、シリコンバレーで生まれた共有経済ブームの口火を切った企業のひとつで、その旅行者向けサービスプラットホームは現在の評価額が300億ドルに達する。それは、人びとがプライベートな家を宿泊などのために予約できるサービスだが、国によっては厳しい規制にぶつかることもある。

Airbnbは日本で、法律の改正でホストに免許を義務付けることになったため、大量の予約をキャンセルしなければならなくなった。期日までに免許を取得できなかったホストも、かなりいたからだ。

その影響を受けた旅客やホストの数は不明だし、ホストが免許を取得するとその数も変わっていくが、Airbnbは法の改正により追ん出された旅客への返金に備えて1000万ドルのファンドを立ち上げた。一部の推計によると、予約の80%が法改正の影響を受けた、という。

Airbnbの説明では、予約のキャンセルとそこから生じた結果は、日本の旅館業法の昨年の改定によるものだ。それによると、プライベートな家を1年に180日以上旅客の宿泊用に供する者は登録を要し、サービスの表示等にあたっては登録番号を併記しなければならない。旅行に関する主管局である観光庁は、その期日を6月15日までとし、6月1日までに免許を得なかった者は6月15日までの予約をキャンセルしなければならない、とした。Airbnbは、旅客が対応を取るために要する時間も考慮して、日限に幅を持たせた:

“日本におけるゲストの到着予定が6月15日から19日までで、ホストが免許を有しない場合、その予約はキャンセルされる。今後、政府が方針を変えないかぎり、日本で掲載されているいかなる予約も、ホストがゲスト到着の10日前までに免許を取得しなかった場合、われわれはそれを自動的にキャンセルし、全額を返金する”。

Airbnbによると、その1000万ドルのファンドは、キャンセルによって旅先の日本で生じた付加的支出(予期せざる支出)もカバーする。免許をめぐる状況により6月15日以降の予約をキャンセルされた者は、“予約額の少なくとも100%の”返金をクーポンで受け取り、将来のAirbnbの旅でそれを使用できる。またそのほかに彼らは、Airbnbで利用できる100ドルのクーポンを受け取る。

Airbnbの代替ホストは見つからなかったが予定の旅を続けたい者には、日本の旅行代理店JTBが紹介される。

このニュースの影響を受けた者に、Airbnbは次に何をすべきかを一歩々々記したインストラクションを提供する。それらはここで見つかる。

Airbnbが規制に躓いて転んだのは、これが初めてではない。アムステルダムでは規制当局が、民家を宿泊に提供してもよい日数をこれまでの年60泊から、2019年以降その半分の30泊にしようとしている。ベルリンバルセロナも、独自の規制でこのプラットホームの成長を制限しようとしている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

新しいGoogleフライトは出発遅延を予測――AIで航空会社より早く教えてくれる

フライト検索エンジン、Googleフライトがアップデートされ、さらに便利になった。飛行機を利用する旅行者にとっていちばんいらだたしいのは、新しいベーシックエコノミー運賃の複雑さとフライトの出発遅延だ。新しいGoogleフライトはこの点で新機能を追加した。出発遅延については単に通知してくれるだけなく、当の航空会社より早く教えてくれる。蓄積された過去のデータと機械学習アルゴリズムを利用して航空会社が警告する前にGoogleフライトは遅延を察知するという。

Googleの説明によれば、 過去のデータとAIテクノロジーの組み合わせにより、航空会社の公式発表以前にGoogleフライトが遅延に気づく場合があるという。ただしGoogleは「確信度」が80%以上にならなければアプリに「遅延」のフラグを立てない(もちろんユーザーは遅延があっても定刻に空港に到着している必要がある。しかし遅れることを事前に知っていれば好都合だ)。

またGoogleフライトには「天候」、「到着遅れ」などと出発遅延の理由が示される。

ユーザーはフライト番号、航空会社名、ルートなどでフライトの状況を検索できる。出発遅延が予想される場合はここで表示される。

今日(米国時間1/31)追加されたもうひとつの機能はベーシックエコノミー運賃の表示だ。

節約派の旅行者には好都合なベーシックエコノミー・クラスだが、航空会社ごとにさまざまな制限が設けられていることに注意しなければならない。

Googleフライトはベーシックエコノミーを検索した際に、オーバーヘッドコンソールが使えない、座席を選択できない、持ち込み手荷物その他の制限を表示する。Googleが世界でこの機能を導入するのは当初アメリカン、デルタ、ユナイテッドのフライトになる。

Googleフライトは1月前にもメジャー・アップデートを実施し、料金とホテルの空室料金が検索でき、ユーザーは予約に最適のタイミングを知ることができるようになった。

Googleフライトの料金トラッキングはKayakなどのスタートアップの機能と似ており、今回のアップデートを含めて、Hopperなどトラベル系スタートアップに影響を与える可能性がある。Hopperは最近ホテル検索機能を追加し、ビッグデータ・テクノロジーを用いて航空運賃その他、旅行で重要となる要素を解析している。Googleの旅行アプリGoogleTripsと一部競合するTripItも最近、セキュリティーゲートでの待ち時間を表示する機能を追加した。Googleはユーザーのロケーション情報から個々の店舗やビジネスの混み具合を推測し、Googleマップで提供している。Googleフライトの次回のアップデートでセキュリティーゲートでの待ち時間の予測が追加されても驚くべきではないだろう。

Googleフライトの新機能の中でも、出発遅延の予測は現実のビッグデータに対して機械学習を適用して解析した結果だという点が重要だろう。 しかし旅行者は航空会社が正式に出発遅延のアラートを出すまでは行動を変えることができないので、そうしたアラートはストレスの多い空路の旅行にさらに不安な要素を持ち込んでいた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

旅の魅力を引き立てる“物語”をポケットに、音声ガイドアプリ「Pokke」提供元が数千万円を調達

旅行で有名な観光スポットへ行くと、いわゆる「音声ガイド」を目にすることがたまにある。スポットの見どころや背景などを音声で紹介してくれるあの機械だ。

僕は割と現地のことを事前に調べてから行く派なのだけど、それでも音声ガイドを聞けば初めて知ることもあり、旅の満足感がさらに上がる。そんな体験を昨年とある鍾乳洞へ行った時にもしたばかりだ。もちろん機械ではなく、人間のガイドを雇って現地の案内をお願いすることが多いという人もいるだろう。

ガイドで紹介されるような土地の背景やエピソードを、常にポケットに入れて持ち運ぶことができたら、もっと多くの人が旅を楽しめるのではないか。そんな思いから生まれたのが、多言語トラベル音声ガイドアプリ「Pokke」だ。

30都市、400以上の音声ガイドコンテンツを提供

Pokkeはヴェネツィアやパリ、鎌倉といった観光都市の物語を音声で楽しめるサービス。自分専用のガイドをいつでもどこでも持ち運べ、テキストや動画アプリとは違ってハンズフリー。手だけでなく目も画面に奪われることなく、訪れた場所を見ながら自分のペースでガイドを聞ける。

音声ガイドはスポットごとに作られていて、見所ごとに複数のチャプターに分かれている。長さは平均で30分ほど、ガイドによって20分〜60分と幅が広いという。料金はひとつのガイドあたり数百円(240円〜600円)のものが多く、無料コンテンツもある。

現地で実際に行われているガイドと同レベルの情報を、事実を淡々と紹介するのではなく、より興味を抱きやすいような“物語”として届けるというのがPokkeのチャレンジであり特徴だ。

現在は世界30都市、合計で400以上のコンテンツを配信。日本語を含む10ヵ国語に対応しているので「旅行先で、母国語のガイドが雇えない問題も解決できる」(Pokke提供元であるMEBUKU代表取締役の入江田翔太氏)という。

GPS連動によって現在位置と音声ガイドの位置を地図上で確認できる機能を備えるなど、基本的には現地で「旅ナカ」に使われることを想定。ただPokkeのガイドを参考に旅行の日程を組んだり見どころを調べたりなど、旅マエに使うこともできそうだ。

物語を知ることで旅がもっと楽しくなる

MEBUKUは代表の入江田氏を含む5人のメンバーが集まって、2015年の7月に創業したスタートアップ。同社は本日ANRIとノーマディックを引受先とした第三者割当増資により、数千万円を調達したことを明らかにしている。

具体的なプロダクトのアイデアが固まっていない状態で起業したそうだが、同年秋にPokkeの構想が生まれ、2016年3月にAndroid版をリリースした。きっかけとなったのは、あるメンバーが旅先のアルカトラズ刑務所で音声ガイドを聞いた時の体験だという。

「一見何もないような空間でも『スプーンで掘って逃げようとした』という物語を聞いたことで、心を揺さぶられて旅の体験が変わった。自分自身もアウシュビッツで音声ガイドを聞いた際に同じ経験をしたので、普通に旅するだけでは気づけない各所の物語や歴史、秘密を提供することで、もっと旅を楽しいものにできるのではと考えた」(入江田氏)

当初は事実をシンプルに紹介するという割とオーソドックスな形式でコンテンツを作っていたが、より多くの人に楽しんでもらうために構成や演出を変えた。

「(当初のコンテンツを)自分たちで聞いていても、あまり面白くないと感じた。同じ情報でも演出や見せ方次第で大きく変わる。問いかけを入れるなど構成を変えたり、臨場感を作るために効果音やBGM、『住職の生の声』を入れるなどしている。音声ガイドももっと進化していかないといけない」(入江田氏)

新たな切り口のガイドや、訪日外国人向けコンテンツも強化

新たな取り組みとして、ひとつのスポットを複数の切り口で紹介することもはじめている。たとえばPokkeでは台湾の九份に関して“DJがラジオ番組風に紹介した”特別版のガイドを提供。今後はこのような見せ方のガイド制作に加えて、ユーザーへのパーソナライズやグループで楽しめる機能、ゲーミフィケーションの活用といった機能開発に取り組む方針だ。

また現在は8〜9割が海外のガイドとなっているが、訪日外国人向けに日本国内のガイドも増やしていくという。

現代では「個人での旅行」「現地により深く没入する体験的な旅行」を求める人も少なくない。スマートフォンを1人1台所有する時代だからこそ、持ち運べる音声ガイドアプリを通じて普通に旅するだけでは気づけない発見や、物語を提供していきたいという。

「(土地や作品の背景にある物語などを)知らないがゆえに十分楽しめなかった、というのはもったいない。知らない土地に旅行に行ったり、知らない作品を目にすることは多いと思うので、そこをどう埋めていけるか。Pokkeを通じて取り組んでいきたい」(入江田氏)

Airbnbの予約時前金が安くなった、ただし総額250ドル以上なら

Airbnbが今日(米国時間1/16)、ユーザーのお勘定を楽にする機能を発表した。その機能は名前もずばりPay Less Up Front(前払いを少なく)で、予約時に少しだけ払い、残りはチェックインが近くなったら払う。

これまでは、Airbnbのユーザーは予約時に全額払っていた。週末旅行程度なら、それでも大した額ではないが、長期滞在で全額前払いはきつい。

Airbnbはこの前も決済方式の改定があり、団体旅行者に予約時の分割払いという便宜が提供された。

AirbnbがPay Less Up Front機能をテストしたときは、40%のゲストがこのオプションを選び、ちょっと高いのを予約した。またこのオプションを利用した旅客は、リードタイムが通常の予約の倍長かった。

これでチェックインの数日前に払う額は通常50%となったが、ただしそれは、チェックインの14日前に予約、総額250ドル以上、というルールがある。

この新しい機能は、すべてのプラットホームで使える。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Journyがあればツアーに申し込まずとも快適な旅行ができる

先日の記事でお伝えした通り、旅行コンシェルジュサービスJournyのプランに従って、母とベルリン旅行へいくことにした。結果的に一部提案された旅程から外れたところもあったものの、概ねプラン通りに行動し、大変楽しい時間を過ごせた。

念のためお伝えしておくと、Journyはハイエンドの旅行サービスと個人旅行の中間のようなサービスだ。1日あたり25ドルの料金を支払えば、Journyがパーソナルコンシェルジュのように機能し、旅行の計画やレストラン・ホテルの予約などを行ってくれる。さらに街を散策中は、Journyが提案するプランを iOSアプリ、もしくはダウンロード可能なPDFファイル上で確認できる。

ベルリン初日はJournyのプラン通りにスタートし、まずはホテル近くのカフェへ行き、そこからチェックポイント・チャーリーへ向かった。プラン内の個々の行き先には説明文が添えられており、チェックポイント・チャーリーについては「冷戦期の様子を伝える物悲しい場所。1989年以前のベルリンにおいては、もっとも外国人利用者の多かった検問所で、過去27年間に街がどのように変化していったかがありのまま伝わってくる」と記載されている。そしてイーストサイドギャラリー(冒頭の写真参照)に到着するまでには、私も母もそこがかつてはベルリンの壁の一部で、壁崩壊後はアート作品へと姿を変えたとバッチリ予習を済ませていた。

このように基本的にはJournyがオススメするスポットのほぼ全てを訪れたが、訪問順はプランからはずれることもあった。現状では旅程を変更するためにコンシェルジュ(年中無休ではない)にコンタクトしなければならないため、自分で計画内容を編集できるような機能が追加されるとさらに便利になるだろう。

試しに右のスクリーンショットを見てみてほしい。この日私と母は、まずプラン通りにホロコースト記念碑へと向かい、その後ブランデンブルグ門へ歩いて行った。しかし前日既にウンター・デン・リンデンを訪れていたため、それ以降はプランから外れて行動することになった。

もうひとつ、食事関連の機能に問題があった。Journyでオススメされたレストラン自体は素晴らしかったものの、コンシェルジュが予約したはずのお店を訪れた際に、予約ができていないと言われてしまったのだ。そのときはお店が混雑していなかったため大した問題にはならなかったが、改善点であることに変わりない。

とは言え1日あたり25ドルという料金を考慮すると、Journyのサービスには文句のつけようがない。プランには旅行中に試せるさまざまなアクティビティが日ごとに記載されていて、地図にもその情報が表示される。そしてその全てがひとつのアプリ内で完結するのだ。もし次の旅行先もJournyがカバーしている5大陸60都市の中に含まれているようであれば、ぜひ再度このサービスを利用したい。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake