日産「日欧中向けガソリンエンジンの新規開発を終了する方針、電気自動車の開発に集中」と報じられる

日産「日欧中向けガソリンエンジンの新規開発を終了する方針、電気自動車の開発に集中」と報じられる

Nissan

日産自動車が、米国以外のほぼすべての市場で新型ガソリンエンジンの開発を終了し、電気自動車の開発に集中する計画だと日本経済新聞が報じています。

日経は12月に、日産が米欧に2025年までに新しいバッテリーリサイクル工場を建設する計画を立てていると伝えていました。今回の報道でも、欧州で2025年にも新しい排ガス規制が導入されるとして新規のエンジン開発はコスト面で見合わないと判断、欧州規制に準じる日本および中国向けの開発も終了する方針だとし「日本車大手でエンジン開発の終了方針が明らかになるのは初」と述べています。

とはいえ、もしこれが本当ならば、いよいよ国内メーカーもこれまで自動車の心臓部として技術ノウハウを蓄積してきた内燃エンジンから、電気へシフトする姿勢を鮮明にしてきたと言えるかもしれません。

なお、日産自動車は米国市場向けに、主にピックアップトラック用のガソリンエンジンの限定的な開発を継続すると記事では伝えています。ただ、これも情報の出所は示されておらず、Reutersなどは日経の記事に対するコメントを日産に求めています。

ちなみに、日本車大手としてはホンダが現社長の三部敏宏社長の就任の会見で、全製品および企業活動を通じたカーボンニュートラル化の一環として2040年までにEVおよびFCVの販売比率100%を目指すと宣言しており、これが”VTEC”技術でならしてきたホンダの事実上のエンジン開発終了を意味するとして話題になっていましたが、三部社長はwebCGのインタビュー記事で「エンジン開発はゼロにはしない」と、縮小はしつつも今後十数年のあいだは継続する考えを述べています。

一方、韓国Hyundai(ヒョンデ:現代自動車)は昨年12月に内燃式エンジン(ICE)の開発部門を解散したと報じられました。欧州連合(EU)は、2035年までにハイブリッド、プラグインハイブリッド車を含むガソリンエンジン搭載の新車販売を禁止する方針を打ち出しており、欧州自動車各社はこれに対応すべくEVシフトを鮮明化しています。

(Source:Nikkei(1)(2)。Via ReutersEngadget日本版より転載)

ルノー・日産・三菱アライアンス、2030年までに35車種の新型EVを製造する計画

Renault Nissan Mitsubishi Alliance(ルノー・日産・三菱アライアンス)は、2030年までに35台のEVを保有することを目標に、258億ドル(約2兆9783億円)を費やす計画を発表した。その一環で「smart differentiation(スマートな差別化)」戦略として、80%の共通利用が可能な、ブランド間で共有される5つの新プラットフォームを開発する。日産自動車は、これらのプラットフォームの1つをベースにした最初のクルマの1つを公開した。そのクルマは、同社の人気車種Micra(マイクラ)の後継として欧州で販売される予定の電気自動車のコンパクトカーだ。

アライアンスは、純粋なEVと「インテリジェント&コネクテッド・モビリティ」に重点を置いている。そして、プラットフォーム、生産工場、パワートレイン、車両セグメントをプールできる「スマートな差別化」システムにより、車両間の共通性を高めることを目的としている。「例えば、C・Dセグメント用の共通プラットフォームには、アライアンスの3ブランドの5車種(日産自動車Qashqai [キャシュカイ]とX-TRAIL[[エクストレイル]、三菱自動車Outlander[アウトランダー]、Renault Austral [オーストラル]と今後発売予定の7人乗りSUV)が搭載されます」と、Renault Group(ルノーグループ)はプレスリリースで述べている。

そのために、Renaultの格安モデルDacia Spring(ダチアスプリング)のベースとなる手頃な価格のCMF-AEV、超小型EV用の軽自動車KEI-EVプラットフォーム、Renault Kangoo(カングー)や日産自動車Town Star(タウンスター)などの商用車用LCVなど、5種類の個別のプラットフォームを発表した。もう1つはCMF-EVで、現在アライアンスが日産Ariya(アリヤ)やRenault Megane E-Tech(メガーヌE-Tech)などのクロスオーバーに使用している。

最後に、CMF-BEVプラットフォームは、コンパクトEVに使用されるが、現行のRenault Zoe(ゾエ)と比較して、コストを33%、消費量を10%削減することができる。これは、Renault、日産自動車、Alpine(アルピーヌ)の各ブランドで年間25万台のベースとなり、Renault R5や日産自動車がMicraの後継として発売するEVもこれに含まれる。

日産自動車は別のプレスリリースでその車両を予告し、陰影のある写真と短い動画でその姿を披露した。名前も価格も発売日も不明だが、フランス北部のRenault ElectriCity(ルノー・エレクトリシティ)センターで製造される予定だ。「この新型車は、日産自動車が設計し、Renaultが新しい共通プラットフォームを使って設計・製造することで、日産自動車らしさを維持しながらアライアンス資産を最大限に活用します」と、日産自動車のCEOであるAshwani Gupta(アシュワニ・グプタ)氏は述べている。「これは、アライアンスのスマートな差別化を示すすばらしい例です」。

Renault Groupは、共通のバッテリー戦略を採用し、2030年までに220GWhの生産能力を目指すとした。また、電池のコストを2026年に50%、2028年に65%削減する計画だ。2028年までに全固体電池(ASSB)の開発を目指し、そのプロジェクトは「電池技術のパイオニアとしての深い専門知識と独自の経験に基づいて」日産自動車が担当する。

また、アライアンスは2026年までに、Tesla(テスラ)のようなOTA(オーバー・ジ・エア)アップデートを可能にするクラウドシステムに2500万台の車両を接続することを目指すという。「アライアンスはまた、Google(グーグル)のエコシステムを自動車に導入する最初のグローバルな大衆向けOEMとなる」と、Renault Groupは述べている。

このニュースは、Renaultが2025年までに3分の2のクルマを電動化し、2030年までに約90%のEVをラインナップすると発表したことに続くものだ。Renaultと日産自動車は2021年、より緊密なパートナーシップを否定し、Renaultは両社が「効率的であるために合併は必要ない」と述べている。今回の新プラットフォームと協力関係の発表では「スマートな差別化」を実現する共通プラットフォームがそのカギを握ることになりそうだ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nissan

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

日産が今後5年間でEV開発に2兆円を投資へ、2030年度までに23車種の新型電動車投入

日産自動車は「Nissan Ambition 2030(日産アンビション2030)」と名づけた長期ビジョンの一環として、今後5年間で2兆円を投資し、新型電動車やバッテリー技術を開発することを発表した。同社は2030年度までに合計15車種の新型BEVを発売し、その時点で電動車が車両ラインナップの半分を占めることを目指す。

同社は、今後8年間で合計23車種の電動車を開発し、そのうち20台は今後5年間で開発すると発表した。2030年には、欧州で75%、日本で55%、米国と中国で40%の電動車販売比率(EVとe-Power PHEV / ハイブリッド車)に達することを目標にしている。

それ以外の部分は、内燃機関(ICE)車だと思われる。注目すべきなのは、2021年初頭、日産は「2030年代初頭までに発売するすべての新型車を電動化する」と発表していた点だ。おそらく、ICE車がまだ販売されている場合は、レガシーモデルということになるだろう。

日産は他にも、2028年までに全固体電池(ASSB)を搭載したEVを発売し、早ければ2024年に横浜にパイロット工場を設置すると発表した。この技術は、充電時間の短縮などのメリットを約束するものだが、まだ期待通りに市場に登場していない。また、バッテリーパックのコストを2028年までに1kWhあたり75ドル(約8500円)に引き下げ、さらに先には65ドル(約7400円)に引き下げることを目指している。Bloombergによると、これは2020年のEVバッテリーの価格の約半分に相当する。日産は、2030年までにグローバルな電池生産能力を130GWhへと引き上げる予定だという。

日産は、運転支援技術「プロパイロット」を、2026年までに250万台以上の日産車およびインフィニティ車に拡大する計画であるとも述べている。また、次世代LiDARシステムを「2030年度までにほぼすべての新型車に搭載する」としている。

画像クレジット:Nissan

「Ambition 2030」の一環として、日産は4つの新しいコンセプトカー「Chill-Out」「Surf-Out」「Hang-Out」「Max-Out」を発表した。他のコンセプトカーと同様に、これらは自動運転やインテリアの機能、そして奇抜なデザインなど、日産の未来のテクノロジーを体験するためのものだ。しかし、日産が実車として公開しているのは「Chill-Out」の画像のみで、他の3車種はレンダリング画像だ。

Chill-Out(トップ画像・上)は小型のクロスオーバーで、日産が以前に確認したように、次世代リーフがハッチからクロスオーバースタイルのボディに移行することを示す初期のプレビューかもしれない。アリアのCMF-EVプラットフォームとe-4orce電動駆動4輪制御システムを採用しており、2025年までに登場する予定だ。

画像クレジット:Nissan

一方、Surf-Outは小型の電動シングルキャブピックアップトラックで、そこそこの大きさの荷台と取り外し可能なキャノピーを備えている。デュアルモーターAWDと多様な出力を備え、オフロード性能、ユーティリティー性、広いカーゴスペースを提供する。

画像クレジット:Nissan

そしてHang-Outは「移動中の新しい過ごし方を提供する」ことをコンセプトにした、小型のキャンピングカー・SUVのようなモデルだ。完全にフラットなフロアと可動式のシアターシートを備え、最近のEVコンセプトにも見られる「移動空間でありながらリビングルームのような快適さ」を提供する。また、e-4orceや先進のプロパイロット機能も搭載している。

画像クレジット:Nissan

そして最後に、Max-Outは「最高の安定性と快適さ」を提供するオープンスポーツカーだ。ボディロールを抑えることで「ダイナミックなコーナリングとステアリングレスポンス」を実現し、ハンドリングと乗員の快適性を最適化している。また、 軽量・低重心で、先進のe-4orceも搭載しているとのこと。

日産の新計画は、カルロス・ゴーン前CEOの逮捕とその後の逃亡など、社内問題に取り組んできた中で生まれたものだ。同社は短期的には、2020年に発表された「NISSAN NEXT」計画の一環として、3000億円規模の固定費削減と生産能力の20%削減を計画している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nissan

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

LAオートショー2021の高揚感としらけムード

LAオートショーは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下で初めて戻ってきた室内自動車ショーだ。ニュースに乏しく、いつも以上にベーパーウェアが多い中、それでも、いくつかのクルマやテクノロジーや企業が、イベントに先立って行われた2日間のプレスデーで目立っていた。

以下に、2021年のロサンゼルスで良くも悪くもTechCrunchの目に止まったクルマとテーマを紹介する。

グリーン&クリーンへと変わるストーリー

画像クレジット:Kirsten Korosec

米国時間11月17日正午前に行われた少数の主要なニュースカンファレンスでは、持続可能性と気候変動が中心テーマだった。そこには企業の偽善的環境配慮と実際の行動が入り混じっていた。

Hyundai(ヒョンデ)とKia(キア)は、環境の認識がいかに大切かを訴える短編動画を流したあと、全電動コンセプトカーとプラグインハイブリッド車を披露した。Fisker(フィスカー)は海洋保護について話した。長年グリーン化に取り組み、国立公園から動物保護まであらゆる活動の支援に多額の資金を投入してきたSubaru(スバル)も、環境保護の支援を継続していくことを強調した。

これは過去においても珍しくなかったことだが、自動車業界全体が二酸化炭素排出量低下に重い腰を上げ、持続可能な生産と調達に革新を起こし、有効な寿命を終えた部品や車両リサイクルと再利用の方法を探求していることは銘記しておくべきだろう。人類の気候変動への影響を減せる時間はあと10年しかないという恐怖の警告は、ショーで行われた複数のプレス会見で言及されていた。

ハリウッドモード

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年特に目立った発表の1つが、Fisker Ocean(フィスカー・オーシャン)の量産間近なバージョンだ。全電動SUVが備える17.1インチ巨大スクリーンは、180度回転可能で、同社が「ハリウッドモード」と呼ぶ横位置のランドスケープモードから縦位置のポートレートモードへ回転できる。

横位置モードでは、Oceanが駐車あるいは充電中に、ゲームをプレイしたりビデオを見たりできる。Fiskerは、このスクリーン回転技術の特許を取得していると述べた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

電化、電化、電化

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショー全体のテーマは、(驚くに当たらないが)あらゆるものの電化だ。展示場にはICE(内燃エンジン)駆動の車両が数多く見られたものの、バッテリー電力の世界にいくつもビッグニュースがやってきた。

Nissan(日産)の全電動SUV、Ariya(アリヤ)、Toyota(トヨタ)bz4xと双子車Subaru Solterra(ソルテラ)から、TechCrunchのお気に入りである全電動Porsche(ポルシェ)Sport Turismo(スポーツ・ツーリズモ)セダンの最新モデルとマジックルーフ付きワゴンまで話題は尽きない。

健康被害からあなたを守るテクノロジー

画像クレジット:Kirsten Korosec

現行パンデミックが3年目を迎える中、自動車メーカーは利用者を病気から守る方法を考え始めている。HyundaiがLAオートショーで披露した SUVコンセプトカーSEVEN は、垂直空気循環、抗菌性の銅、紫外線殺菌装置などの機能を提供している。

電動化レストモッドがやってくる

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショーで目についたトレンドの1つが、何台かの古い車体に電動パワートレインを積んだレストモッド(レジストレーション&モディフィケーション)モデルだ。内燃エンジンのような直感的体験を与えることはないかもしれないが、クラシックカーの新しい楽しみ方を提供するものだ。

自動車製造のスタートアップ、Cobera(コベラ)が展示していたC300は、懐かしいShelby Cobraとよく似た外観だ。しかし、ボンネットの中にはV8エンジンに代わってC300を時速0〜62マイル(0〜約99.8km)まで2.7秒で加速すると同社がいう全電動パワートレインが入っている。Cobera C300は、ハンガリーの乗用車とキャンピングカーの製造に特化した会社Composite-Projects(コンポジット・プロジェクト)が設計・製造した。車両のスイッチを入れると、合成されたサウンドが出て、昔のV8に少しだけ似た音が聞こえる。

Electra Meccanica(エレクトラ・メカニカ)は、LAオートショーで三輪自動車Solo(ソロ)(詳しくは下で解説)も発表している会社だが、もう1台、Porsche 356 Speedsterに似た電動車、eRoadsterを披露した。エアコンディショニング、パワーウィンドウ&ロック、最新インフォテイメントシステムなどを備える。

画像クレジット:Kirsten Korosec

新たなパワートレインを搭載したレストモッドを披露したのは比較的無名で小さなメーカーだけではない。Ford(フォード)は11月初旬のSEMAショーに登場した電動化したF-100を持ちこんだ。1978 F-100 Ford Eluminator(フォード・エルミネーター)はFordの電動モーター、E-crate(イークレート)を備えたレストモッド機能で、ユーザーはこれを購入して自分の車両に取りつけられる。

F-100は前輪と後輪に1台ずつモーターを備え、最高出力480馬力、最大トルク634lb-ft(860Nm)を誇る。室内には新型インフォテイメントシステムのスクリーンとデジタル・ダッシュボードがある。

画像クレジット:Kirsten Korosec

三輪車

画像クレジット:Kirsten Korosec

例年、会場には少なくとも数台の三輪自動車が登場するが、2021年はいつもより多かった。Biliti Electric(ビリティ・エレクトリック)が持ってきた電動&ソーラー駆動トゥクトゥクは、Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)が世界の人口密集都市のラストワンマイル配達に使える、と同社は言っている。

同社のGMW Taskmanは、すでにヨーロッパ、アジアの各所で使われていて、これまでに1200万個の荷物を配達し、延べ2000万マイル(3200万km)を走ったとファンダーが言っていた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

Electra Meccanica のもう1台、Soloは同社が2016年のこのショーでも披露したsharyou

で、プレスデーにテスト乗車を提供していた。同社によるとSoloは1回の充電で最長100マイル(約161 km)走行可能で、最大出力82馬力、最大トルク140lb-ft(約190N-m)、最高速度は80mph(約128 km/h)。定員1名で荷物スペースを備え、近距離の移動や都市圏での通勤のために作られている。Soloの価格は1万8500ドル(約211万円)で、アリゾナ州メサで製造されている。

Sondors(ソンダーズ)の三輪電気自動車は、3人乗りで航行可能距離は約100マイル(約160km)と同社はいう。このクルマは、100万ドル(約1億1400万円)以上を集めて成功したクラウドファンディングの後に開発されたもので、33 kWhのバッテリーパックを備え、最大出力170馬力、最大トルク323 lb-ft(約438N-m)を発揮する。

Imperium (インペリウム)も三輪電気自動車、Sagitta(サギッタ)を披露した。ショーに登場した三輪乗用車の中では最大で、4人まで乗ることができるスペースをもつ。Sagittaは車両のスペックを発表していないが、2022年中頃から予約を開始すると同社は述べた。

バービー

画像クレジット:Abigail Bassett

ことしのLAオートはには、バービーまで登場した。Mattel(マテル)はBarbie Exra(バービー・エクストラ)カーの実物大バージョンを公開した。2021年式Fiat(フィアット)500のシャシーに載せたファイバーグラスのボディーはキラキラの白い塗装で飾られ、ウィング式ドアと後部にはペット用プールもある。

ソーラーパワー

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のショーには、興味深いソーラー充電オプションを備えたクルマがいくつかあった。中国のエネルギー会社、SPI参加のPhoenix Motor Inc.(フェニックス・モーター)が発表したピックアップトラック、EF1-Tの収納可能なソーラーピックアップベッカバーは、最大25〜35マイル(約40〜56km)の走行距離を追加できると同社はいう。EF1-TおよびバンバージョンのEF1-Vは、いずれも巨大な車両で、明らかにまだプロトタイプであり、機能や利用形態について顧客の意見を聞いているところだと会社は述べた。

大きな虫のような外観のEF1-Tは、1回の充電で380〜450マイル(約612〜724 km)走行可能で、2025年の発売に向けて予約を受け付けているという。ずいぶんと遠い話だ。

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米議会、自動車に飲酒運転防止技術を義務化

米議会は、バイデン大統領の巨大なインフラ法案とともに、飲酒運転撲滅のために過去最大の後押しをしている。以前の報告にあったように、その条項の1つは新車への飲酒運転防止技術の搭載を義務付けることが含まれていた。現在、Autoblog(オートブログ)が報じたところによると、インフラ投資・雇用法はこの措置をそのまま残して議会を通過し、近日中に大統領の署名が行われる見込みだ。この法案の一環として、自動車メーカーは早ければ2026年までに、飲酒運転を検知して停止させる技術を搭載しなければならなくなる。

しかしまずは、運輸省は飲酒運転を抑制するための最善の解決策を決定しなければならない。具体的には、この法案は「運転者に影響があるかどうかを正確に識別するために自動車の運転者のパフォーマンスを受動的に監視する」ことが求められている。Guidehouse Insights(ガイドハウスインサイト)の主席モビリティアナリストであるSam Abuelsamid(サム・アブエルサミド)氏は、この法案は、GMや日産などがすでに採用している赤外線カメラソリューションに似ているとAP通信に語った。もちろん、飲酒運転の罰則として使用されている飲酒検知器よりも高度なものが必要であることはいうまでもない。

国家道路交通安全局によると、米国では毎年約1万人が飲酒運転による事故で亡くなっている。より高性能なセンサーと、ドライバーの行動を監視するための多くのカメラ技術を手に入れた今、この種の事故を防ぐためのソリューションを検討することは理に適っている。10年以内には、シートベルトのように当たり前のものになるはずだ。

このインフラ法案には、シートに子どもを残したままにしている親に通知するリアシートリマインダーなど、他の安全対策も含まれている。また、議会は自動緊急ブレーキや車線逸脱警報など、多くの新車がすでに搭載している機能も義務化する予定だ。真の自動運転車がいつ実現するかは不明だが、それまでは、少なくとも人間のドライバーは、事故を防ぐための方法が増えることを楽しみにできる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。寄稿者のDevindra HardawarはEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:SoCalShooter / Getty Images

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(文:Devindra Hardwar、翻訳:Yuta Kaminishi)

コネクテッドカーのビジネスモデル予測、日産、富士通らのキーマンはどう考える?

安全な運転の促進や効率的な保険の提供など、モビリティの安全性と利便性を向上させるコネクテッドカー。しかし、その活用方法やビジネスモデルの未来は未知数だ。そこで、フロスト&サリバンのモビリティ担当プリンシパルコンサルタントであるPaulo Mutuc(パウロ・ムトゥック)氏がモデレーターとなり、HERE Technologiesグローバル・セールス・ディレクター白石美成氏、Gojekモビリティ関連製品担当役員Vikrama Dhiman(ヴィクラマ・ディマン)氏、日産自動車コネクティド技術開発&サービスオペレーション部部長の村松寿郎氏、富士通中央および東ヨーロッパ地区コネクテッド・サービス、製造、モビリティ部門担当役員Tobias Geber-Jauch(トビアス・ガバー・ヤウ)氏がコネクテッドカー活用の未来を語り合った。

本記事はフロスト&サリバン主催『インテリジェントモビリティサミット2021 ゼロへのイノベーション』中のセッションの一部講演を編集、再構成したものとなる

日本、米国、中国で求めるものが違う

コネクテッドカーは世界的にどういった動きを見せているのだろうか。モバイルサービスにデータを提供するHERE Technologiesの白石氏によると、インドでは80%、中国では76%が「コネクテッドカーは有用」と捉えているという。

白石氏は「コネクテッドカーの活用促進には政府の政策も大きな役割を果たします。インド政府はMtoMを支援しているため、コネクテッドカーの体験も良くなっていくでしょう」と話す。

日産自動車の村松氏は、日本、米国、中国におけるコネクテッドカーの需要の違いに着目する。

村松氏は「コネクテッドカーへの取り組みは日米ではほぼ同時期にスタートしています。米国では、安心・安全のため、テレマティクスのためのコネクテッドカーという側面が強い。しかし、日本ではあまりそういう需要はありませんでした。しかし、最近ではユーザーもコネクテッドカーの有用性を理解し始めています。中国のコネクテッドカーはガジェット的な意味合いが強いですね」と話す。

Gojekのディマン氏はインドと中国の市場の性質の違いを指摘する。インドのコネクテッドカー市場は市場の期待で動き、中国の市場は政府からの支援で動くという。

コネクテッドカーは誰のためのもの?

富士通のガバー・ヤウ氏はコネクテッドカーの普及率が低いことに注目する。「コネクテッドカーはプレミアムカーの特権のようなものです。しかしながら、ユーザー全員のクルマがプレミアムカーというわけではありません。シンガポールではほとんどのクルマがプレミアムカーなので、逆にコネクテッドカーの普及率が高くなります」と解説する。

では、コネクテッドカーを普及させるには何が必要なのか。ガバー・ヤウ氏は適切なビジネスモデルとユーザー向けの価値創出が必要だと語る。

「自動車メーカーは『データを使って儲けたい』と考えます。シンガポールでは、新しい交通・物流が必要でした。だからこそコネクテッドカー活用が進んでいます。規制によっては、自動運転のトラックが街を走ることになるかもしれません。しかし、1人ひとりのドライバーには、物流の変革なんてどうでもいいことです。自動車メーカーにとって『データを使って儲ける』ことには価値がありますが、ユーザーには価値がないのです。『データを使って儲ける』にはデータが必要ですが、個人個人のユーザーに対する利益が発生しないなら、彼らがデータを渡したくなる理由も発生しません。ユーザーも利益を得るビジネスモデルが必要です」とガバー・ヤウ氏。

白石氏は「Here Technoligiesは位置データを提供する企業ですが、もし自動車メーカーのデータを利用できれば、当社のサービスに生かすことができます。これは、自動車メーカーからすれば、データのマネタイズの側面もあります。しかし、自動車メーカーのデータがユーザーから収集されるものだとしたら、そのデータの所有者は誰なのでしょうか?これも考える必要があります」と問題を提起する。

スーパーアプリはゲームチェンジャーになるか

ここでモデレーターのムトゥック氏は「スーパーアプリとコネクテッドカーの今後はどうなっていくと考えますか?」と質問した。

スーパーアプリとは、1つのアプリの中でさまざまなミニアプリを開くことができるアプリケーションを指す。1つのスーパーアプリの中で数多くのことができるため、プラットフォームとしても機能する。

ディマン氏は「公共交通のデータを使ってどこに何があるのか、どこを通るのかといったことを把握できれば、スーパーアプリの中に車の移動に関するアプリも入ってくるでしょう」と話す。さらに「こうしたデータ収集がユーザーに何をもたらすのかをきちんと見せることができれば、データを持つ企業にとって大きなリードになもなるでしょう」という。

白石氏は「スマホは顧客との最初の接点です。自動車メーカーとスーパーアプリがどう手をつなぐのかが今後重要になります。これには、自動車メーカーが社内のディスプレイを通して、どうユーザーとコミュニケーションをとるのかという問題も含まれます」と指摘する。

さらに白石氏はミニアプリの重要性にも触れた。自動車メーカーがコラボレーションするスパーアプリを選定する際、ミニアプリが手がかりになる可能性があるからだ。さらに、スーパーアプリに搭載されるミニアプリが充実すれば、スーパーアプリがプラットフォームとしてさらに強力になるため、スーパーアプリだけでなく、ミニアプリの内容も考慮することが重要だという。

村松氏は、日産が展開する「Nissan Connect」を例に、日産とアプリの関係について話す。Nissan Connectは通信機能を使い、最新の交通情報を基にした最速ルートをドライバーに提供するなど、多様な機能を備えたサービスだ。

「当社にはNissan Connectというアプリがありますが、これを自動車業界ではないところと統合するイメージはつきにくいのが現状です。外のエコシステムとどう繋がるかは大きなテーマです。例えばエネルギー業界とLeafのデータを共有することができたら、ダイナミックに電力価格を設定することも可能でしょう」と村松氏は語る。

私たちはクルマを所有しなくなる

モデレーターのムトゥック氏は最後に「今後のコネクテッドカーの行方についてどう予測しますか?」と質問した。

ディマン氏はまずコネクテッドかーには5つの側面があり、それをまず考える必要があると話す。その5つとは、「1. vehicle to Infrastracture(クルマ-インフラ)」「2. vehicle to vehicle(クルマ-クルマ)」「3. vehicle to cloud(クルマ-クラウド)」「4. vehicle to pedestrian(クルマ-歩行者)」「5. vehicle to X(everything)(クルマ-すべて)」だ。

「では、こうした側面から、コネクテッドカーをどう活用するのか。例えば夜外食するのにクルマで出てきた時、パーキングが1時間見つからなかったら、ディナーが食べれなくなります。自動車がドライバーなしでパーキングを見つけ、駐車できるなら、ユーザーはゆっくり夕食を楽しめます。コネクテッドカーの話をすると、コネクテッドシティの話になりがちですが、大事なのは今の例のようにユーザー優先の発想です。これが今後重要になるでしょう」とディマン氏。

村松氏は自動車業界ではない業界との連携の重要性を指摘。「GAFAやBATHなど、IT業界との連携が重要ですが、10年後のIT業界がどうなっているかは見えませんね」と回答。

白石氏は「クラウドデータが自動車メーカーを含めたエコシステム全体で重要になります。クラウドソースのデータは常に更新されなければいけません」という。

ガバー・ヤウ氏は「10年、20年、30年後と、ビジネスモデルはどんどん変わっていきます。私たちはクルマを持たず、病院などの『行先』が私たちのところに迎えのクルマを出すようなパッセンジャーエコノミーになっていくでしょう。さらに、何か欲しい商品があったとき、商品の販売者の方からクルマで商品が持って来られるようなこともあり得ます。クルマを所有することをやめ、サービスとしてクルマを使うような社会が訪れるでしょう」と今後の展望を予測した。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:コネクテッドカーHERE TechnologiesGojek日産自動車富士通テレマティクス

1000億円超を調達しながら失敗に終わったEVのバッテリー交換ビジネスを復活させるAmple

今をさかのぼること13年とわずか、当時世界で最も力のあるソフトウェア企業の1つだったSAPでCEOへの道を歩んでいたShai Agassi(シャイ・アガシ)氏は、それまで専門的なキャリアを積み重ねてきた会社を離れ、Better Place(ベター・プレイス)というビジネスを始めた。

そのスタートアップは、勃興期の電気自動車市場に革命を起こし、電気自動車のバッテリー切れという恐怖を過去のものにするはずだった。消耗したバッテリーを充電されたばかりのものに交換する、自動化された電池交換ステーションのネットワークというのが同社のうたい文句だった。

アガシ氏の会社は、世界でもトップレベルのベンチャーキャピタルやグロースエクイティファームから約10億ドル(現在約1080億円。当時としては相当な額)を調達することになっていた。だが、2013年に会社は清算され、クリーンテック投資が受けた最初の波による多数の犠牲者の1つとなった。

今になって、シリアルアントレプレナーであるJohn de Souza(ジョン・デ・ソウザ)氏とKhaled Hassounah(ハレド・ハッソウナ)氏が、Ample(アンプル)というスタートアップによってバッテリー交換のビジネスモデルを復活させようとしている。彼らの提唱するアプローチは、電気自動車の定着によってはるかに大きな市場が出現しつつある今、Better Placeでは決して対応できなかった問題のいくつかを解決するものだ。

Statista(スタティスタ)のデータによれば、2013年に22万台しかなかった電気自動車が、2019年には480万台を数えるまでに増加した。

Ampleはすでに、投資家から約7000万ドル(約76億1366万円)を実際に調達している。投資家には、Shell Ventures(シェル・ベンチャーズ)、スペインのエネルギー企業Repsol(レプソル)に加えて、Moore Strategic Ventures(ムーア・ストラテジック・ベンチャーズ)も名を連ねている。ムーア・ストラテジック・ベンチャーズは数十億ドル(数千億円)規模のヘッジファンドであるMoore Capital Management(ムーア・キャピタル・マネジメント)の創設者であるLouis M. Bacon(ルイ・M・ベーコン)が個人で所有するベンチャーファームだ。調達した額には、2018年に報告された3400万ドル(約36億5670万)の投資、および日本のエネルギー・金属企業であるENEOSホールディングスから最近調達した資金を含め、その後のラウンドでの投資も含まれる。

Better Placeのビジネスとの類似について、ソウザ氏は「Better Placeへの投資案件に関わったためトラウマになってしまった、という人がたくさんいましたよ」と話した。「関わっていなかった人も、その件について調べた後は決して近寄らないようにしていました」。

AmpleとBetter Placeの違いは、バッテリーパックのモジュール化と、Ampleの技術を利用する自動車メーカーとの関係がバッテリーパックのモジュール化によって変化することにある。

Ampleの共同創設者兼CEOであるハッソウナ氏は「私たちのアプローチは、バッテリーをモジュール化してからバッテリーの構造部品であるアダプタープレートを用意し、アダプタープレートとバッテリーの形状、ボルト仕様、ソフトウェアインターフェースを共通にすることです。Ampleが提供するのは、これまでと同様のバッテリーシステムですが、タイヤ交換と同じようにAmpleのバッテリーシステムは交換可能なのです」と述べた。「実質的に、私たちが提供するのはプレートであって、クルマなどには変更を加えません。今や、固定式のバッテリーシステムを搭載するか、Ampleの交換可能なバッテリープレートを搭載するかという選択肢があるのです。当社はOEMと提携し、重要なユースケースを実現するために交換可能なバッテリーな開発しています。車の側はまったく変更しなくてもAmpleのバッテリープレートは搭載できます」。

Ampleは現在、5社のOEMと共同開発を進めており、すでに9モデルの車を使ってバッテリー交換のアプローチを検証した。それらのOEM企業の1社には、Better Placeとのつながりもある。

AmpleがUber(ウーバー)とのパートナーシップについて発表したことから、同社が日産のリーフにも関わっていることは明白になっている。ただし、Ampleの創設者たちは、OEMとの関係についてコメントを控えている。

Ampleが日産とつながっていることは明らかだ。日産は2021年初めにUberとのゼロエミッション・モビリティに関する提携成立について発表している一方、AmpleによればUberはAmpleがベイエリアの数カ所に設けるロボット充電ステーションを利用する最初の企業でもある。日産との協力関係は、同社のもう1つの部門であるルノーとBetter Placeとのパートナーシップを彷彿とさせる。失敗に終わった以前のバッテリー交換スタートアップにとって、それは最大の取引になったのである。

Ampleによれば、ある施設に充電設備を設けるのに、わずか数週間しかかからないという。また、料金システムは1マイルあたりに供給されたエネルギーに対して料金を徴収するというものだ。「ガソリンより10~20%安くなる経済性を達成しています。営業初日から利益が上がります」とハッソウナ氏は述べた。

Ampleにとって、Uberが最初のステップになる。Ampleはまとまった数の車両を持つ組織を重視し、名前は非公表ながら複数の公共団体とも、車両群をAmpleのシステムに加入させるよう交渉中だ。ハッソウナ氏によれば、まだUberのドライバーだけだとはいえ、Ampleは現在までにすでに何千回ものバッテリー交換を実施しているという。

ハッソウナ氏によると、車両には従来の充電施設でも充電が可能だ。同社の請求システムでは、同社が提供したエネルギーと、他の充電口から供給されたエネルギーを区別できるのだという。

「これまでのユースケースの場合、ライドシェアでは個人ドライバーが料金を支払っていました」とソウザ氏はいう。Ampleでは、2021年これから配置される5つの車両群について、車両群の管理者や所有者が充電料金を払うようになることを期待している。

Ampleのインスピレーションの源の1つとなっているのが、ハッソウナ氏が以前One Laptop per Child(ワン・ラップトップ・パー・チャイルド)というNPOで働いていた頃の経験だ。そこでは、子どもたちの間でノートパソコンがどのように使われているのか思い込みを考え直さざるをえなかったという。

「最初はキーボードとディスプレイの問題に取り組んでいましたが、すぐに課題は子どもたちが置かれている環境にあるということを実感するようになり、インフラ構築の枠組みを開発するようになりました」とハッソウナ氏は述べた。

問題だったのは、当初ノートパソコンを供給する仕組みを設計した時点で、子どもたちの家にはノートパソコン用の電源がないことを考慮に入れていなかったことだった。そこで、バッテリー交換用の充電ユニットを開発したのだ。子どもたちはその日の授業でノートパソコンを使い、家に持ち帰り、充電が必要になればバッテリーを交換できるようになった。

「企業が所有する車両群にはこれと同じソリューションが必要です」とソウザ氏は述べた。とはいえ、個人でクルマを所有している人にもメリットがあるという。「自動車のバッテリーは徐々に劣化していくため、所有者はこのようなサービスがあれば、クルマにフレッシュなバッテリーを搭載できます。また、時がたつにつれて、バッテリーで走行可能な距離も伸びるでしょう」。

ハッソウナ氏によれば、現時点ではOEMからAmpleにバッテリー未搭載の自動車が届き、Ampleが自社の充電システムをそこに取り付けるかたちになっている。それでも、Ampleのシステムを利用する車両の数が1000台を超える中で同社が期待しているのは、Ampleから自動車メーカーにバッテリープレートを送り、メーカーサイドでAmpleが独自のバッテリーパックを取り付けるようになることだ。

Ampleが現時点で対応しているのはレベル1とレベル2の充電だけであり、同社と提携する自動車メーカーにも急速充電オプションを提供していない。おそらく、そうしたオプションを提供することは自社のビジネスの首を絞めることになり、Ampleのバッテリー交換技術の必要性を排除してしまう可能性すらあるからだろう。

現在問題となっているのは、車両への充電にかかる時間だ。高速充電でも満タンまで20~30分かかるが、この数字は技術の進歩とともに下がっていくだろう。Ampleの創設者たちは、たとえ自社のバッテリー交換技術よりも高速充電の方が優れた選択肢として進化することがあるとしても、自分たちのビジネスを電気自動車の普及を早めるための補足的な段階だとみなしている。

「10億台のクルマを動かそうとすれば、あらゆるものが必要になります。それだけたくさんのクルマを走らせる必要があるのです」とハッソウナ氏は述べた。「問題を解決するために、あらゆるソリューションが必要だと思います。バッテリー交換技術を車両群に応用する場合、必要なのは充電スピードではなく、料金面でガソリンに対抗することです。今のところ、高速充電を誰にでも利用できるようにすることは現実的ではありません。5分間でバッテリーに充電できるかどうかは問題ではないのです。それだけの電力を供給できる充電システムの構築コストが、割に合わないのです」。

Ampleの創設者2人は、充電にとどまらず、グリッド電力市場にもチャンスを見いだしている。

「電力のピークシフトは経済に組み込まれています。この点でも私たちが役に立てると思います」とソウザ氏は述べた。「これをグリッド蓄電池として使うのです。私たちは需要に応じた電気料金システムに対応できますし、グリッドに電力を供給するようにという連邦指令もありますから、エネルギーを戻すことでグリッド電力の安定に貢献できます。Ampleの充電ステーションの数はまだ大きな効果を上げられるほど多くはありませんが、2021年事業を拡大すれば、貢献できるようになるでしょう」。

ハッソウナ氏によると、同社の蓄電容量は1時間あたり数十メガワットで運用されている。

「このちょっとした蓄電池を使って、交換ステーションの発展を促進できるでしょう」とソウザ氏は述べた。「ステーションの設置に驚くほど巨額の投資は必要ありません。これまでとは別の資金調達方法も活用しながら、複数の方法でバッテリーの資金を調達できると思います」。

Ampleの共同創設者、ジョン・ソウザ氏とハレド・ハッソウナ氏(画像クレジット:Ample)

カテゴリー:モビリティ
タグ:Ample電気自動車バッテリー資金調達日産Uber

画像クレジット:Ample

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Dragonfly)

AIスタートアップSymbioがトヨタ、日産と組立ロボットの効率化に取り組む

ベイエリアを拠点とするAIスタートアップのSymbioは米国時間2月24日、「正式なローンチ」を発表した。総額3000万ドル(約32億円)の資金調達に支えられ、同社は日産とトヨタ自動車の両社と契約を結び、米国の工場に同社のソフトウェアを導入している。

Symbioによると、同社のSymbioDCS技術は組立ライン上のロボットの自動化を飛躍的に高めることができるという。

「エンドユーザーにとって、提案は非常にシンプルです」と、CEO兼共同ファウンダーのMax Reynolds(マックス・レイノルズ)氏はTechCrunchに語った。「私たちは自動化の効率を改善しています。高レベルの目標では工場の能力を向上させ、多くの製品をより迅速に、より柔軟に製造できるようにすることです」。

Symbioは2020年12月にシリーズBで1500万ドル(約15億9000億円)を調達している。これは1200万ドル(約12億7000万円)の2018年のシリーズA、250万ドル(約2億6000万円)のシード、50万ドル(約5300万円)のプレシードに追加される。今回のラウンドはACME Capitalが主導し、既存投資家であるAndreessen Horowitz、Eclipse Ventures、The House Fundが参加した。

UCバークレー校のAnca Dragan(アンカ・ドラガン)教授はこのニュースに関連した声明の中で、「Symbioは自動化ソリューションだけを提供するのではなく、製造業に携わる開発者や専門家が独自の自動化ソリューションを作成し、それらを新しいタスクに容易に組み込むことを可能にするツールも設計しています」と述べた。「そのために、AIの強みと人間の洞察力を共生的に活用した製品を開発しています」。

2014年に設立されたSymbioは、主にカリフォルニア州に拠点を置くエンジニアを中心に約40人を雇用している。レイノルズ氏によれば、現在の自動車の自動化製造のレベルは、実際には予想よりもはるかに低いという。「アセンブリの自動化は、全体的に見ても5%未満です。この中核的な業種であっても、成長の余地と機会は十分にあります」。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Symbioトヨタ日産

画像クレジット:Symbio

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter