NASAがSpaceXと並んで有人月着陸船を開発する第2の企業を募集

NASAは、企業に月着陸船を送り込む新たなチャンスを与える計画を発表した。SpaceXがBlue Origin、Boeing(ボーイング)らのライバルを破ってから1年近く後のことだ。

新しい計画の下、NASAは着陸システムの2度目の競争入札を、SpaceXを除く全米国企業に開放する。第2の着陸船の打ち上げは2026年または2027年を目標にしている。Sustaining Lunar Development(持続的月開発)契約と呼ばれるこの2回目の競争の勝者は、SpaceXとともに「月面に立つ宇宙飛行士のための将来の繰り返し可能な月輸送サービスへの道を開く」とNASAは言っている。

これは競争参加者にとって良いニュースであるだけではない。同局はさらに、既存のSpaceXとの契約を拡大し、もう1機の着陸船を製作する計画も発表した。2020年代後半に、無人および友人のデモンストレーション飛行ミッションを実施する。

NASAの3月23日の発表は、アポロ計画以来初めて人類を月に送り出す同局による一連のミッションであるArtemis(アルテミス)プログラムの大がかりな拡張だ。

これは、大きな方向転換でもある。NASAは2021年4月にSpaceXと28億9000万ドル(約3500億円)の単独契約を結んだ後、民間産業、議会の両方から集中砲火を浴び、Blue Originが連邦裁判所でNASAを訴えるところまできている(これは、Blue Originと防衛契約業者のDynetics[ダイネティクス]が、政府説明責任局とともに、異議を唱え、後に棄却されたあとのことだ)。しかし今回、NASAのBill Nelson(ビル・ネルソン)長官は、同局が重視するのは競争を育てることだけだと発言した。

「NASAそして議会も、競争はより優れたより信頼性の高い結果と全員にとっての利益を生むと考えています」と同氏は述べた。「それはNASAの利益であり、米国民の利益です。これは間違いなく、競争が生み出す利益です」。

同局は3月末に暫定提案依頼を公開する、と月着陸プログラム責任者のLisa Watson-Morgan(リサ・ワトソン=モーガン)氏が23日に記者団に語った。これには今春末の最終提案依頼が続き、SpaceXを除くすべての米国企業に参加資格がある。

これまでNASAは、費用がいくらになるのかについて、固定金額契約になること以外は口をつぐんでいる。これは重要であり、なぜなら同局は2021年の月着陸システムの契約に1社のみを選んだ理由の1つは予算の制約のためだとしているからだ。契約金額の詳細は、来週バイデン大統領が会計2023年度予算を発表したあと明らかにされる、とネルソン長官は付け加えた。

「私たちは議会およびバイデン政権両方の支持を得られることを期待しています」と同氏は語った。

更新:Blue Originの広報担当者はTechCrunchに次のように語った「Blue Originは競争に参加する準備が整っており、今後もArtemis計画の成功に全力を注いでいきます。当社はNASAと協力して、できるだけ早い月への帰還という米国の目標を達成するために努力していきます」。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

スペースX、初の商業宇宙遊泳を年内に計画

SpaceX(スペースX)は、初の民間人のみによる宇宙飛行を開始するだけでなく、近い将来、本格的な民間宇宙プログラムの本拠地となる見込みだ。The Washington Postによると、Shift4(シフト4ペイメンツ)の創業者でInspiration4ミッションのリーダーを務めたJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏は、SpaceXによる「最大3回」の有人飛行を含むPolaris Program(ポラリスプログラム)の構想を発表した。最初のフライトである「Polaris Dawn(ポラリスの夜明け)」は2022年の第4四半期に予定されており、初の商業宇宙遊泳が含まれるはずだ。この取り組みは理想的には、人間が乗った最初のStarship(スターシップ)の飛行で終わる。月旅行を期待していた方たちには申し訳ない。

Polaris Dawnチームは、史上最高の地球周回軌道を目指し、健康研究を行い、レーザーを使ったStarlink(スターリンク)通信のテストも実施する予定だ。アイザックマン氏はミッションコマンダーとして復帰し、Inspiration4のミッションディレクターで空軍経験者のScott Poteet(スコット・ポティート)氏がパイロットを務める。また、SpaceXのリードオペレーションエンジニアであるAnna Menon(アナ・メノン)氏とSarah Gillis(サラ・ギリス)氏の2名も搭乗する。メノン氏の役割は、昨今の民間宇宙飛行へのシフトを象徴している。彼女の夫であるAnil Menon(アニル・メノン)米空軍中佐はNASAの宇宙飛行士に選ばれているが、彼女はその配偶者よりも先に宇宙に到達する可能性が高いのだ。

このプログラムの実現は、SpaceXとパートナー企業がいくつかの問題を解決することにかかっている。SpaceXは宇宙遊泳に必要な宇宙服を開発中であり、アイザックマン氏のグループはクルーのうち何人が宇宙船の外に出るかをまだ決めていない。また、Starshipには不確定要素もある。十分なテストが行われ、多くの進歩を遂げているが、この次世代ロケットシステムの開発は必ずしも計画通りには進んでいない。Polaris Programは、比較的緩やかなスケジュールで、場合によってはいくつかの挫折を経験することになるだろう。

それにしても、これは民間宇宙飛行の常態化を意味する。Polaris Programは、億万長者が率いる民間宇宙飛行の最近の「慣習」を引き継ぐものだが(アイザックマン氏も例外ではない)、宇宙遊泳や新しい宇宙船のテストなど、これまで政府の宇宙飛行士だけが行っていたことが商業化されることも見込まれる(SpaceXのDemo-2は、NASAの宇宙飛行士が操縦した)。近い将来、民間宇宙飛行士が他の役割を果たすようになっても不思議ではない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Jon Fingas(ジョン・フィンガス)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Polaris Program / John Kraus

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(文:Jon Fingas、翻訳:Aya Nakazato)

【Max Q】SpaceXが初めて1日に2回Falcon 9を打ち上げ

TechCrunchは、Space 2021イベントを終えたばかりが、宇宙ビジネスに限っては、年末だからといってニュースのペースが落ちることはない。

SpaceXがロケット再利用の新記録を達成、初の1日に2回の打ち上げ

SpaceX(スペースエックス)は、同社のStarlink(スターリンク)衛星の新たな一群を、ヴァンデンバーグ空軍基地の発射施設から米国時間12月18日に打ち上げ、続いてその日の夜遅くにトルコの通信衛星をフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げた。これはSpaceXが1日に2回の打ち上げを行った初めての事例だ。また、このStarlinkミッションでは打ち上げロケットのFalcon 9を11回にわたって発射・回収し、SpaceXの打ち上げシステム再利用記録を更新した。

それだけでも十分目覚ましいが、現在SpaceXは、同社の商業再補給サービス(CRS)ミッションの一環として国際宇宙ステーション(ISS)に補給品と実験材料を届けることになっている。予定では米国時間12月21日午前にケープカナベラルから飛び立つ。

画像クレジット:SpaceX

2021年を宇宙投資家の目で振り返る

上に書いたように、我々はTC Sessions:Space 2021イベントを終えたところだが、その中でもスタートアップコミュニティにとって特に興味深かったに違いない話題が、宇宙分野に関心のあるアーリーステージ投資家のパネルとTechCrunchが行ったディスカッションだろう。たとえばSpace Capital(スペース・キャピタル)のファウンダーであるChad Anderson(チャド・アンダーソン)氏は、長年スタートアップに早期投資する中で、宇宙産業が著しく進化してきたことについて語り、現在業界で起きている大きな転換に言及した。Assembly Ventures(アセンブリー・ベンチャーズ)のJessica Robinson(ジェシカ・ロビンソン)氏は、スペーステック(宇宙技術)が他のあらゆる分野に影響を与えその逆も起きていることについて話した。

ディスカッションはTC+サブスクライバー専用サイトでその他の会話とともに公開されている。

画像クレジット:Axiom Space

その他のニュース

Voyager Space(ボイジャー・スペース)はBlue Origin(ブルー・オリジン)のグローバル販売担当VPを新たな最高収益責任者(CRO)として雇った。Clay Mowry(クレイ・モーリー)氏はBlue Originチームのかなり有力なメンバーであり、その以前はArianespace(アリアンスペース)の会長兼社長を務めていた。

NASA(米国航空宇宙局)と各国の提携機関は、民間有人宇宙飛行計画、Axiom(アクシオム)Mission 1の国際宇宙ステーションへの飛行を承認し、2022年2月28日に実施されることが決まった。

ジョージア州カムデン郡のSpaceport Camden(スペースポート・カムデン)は、FAAから正式な打ち上げ許可を受けた。運用に入るまでにはまだいくつかハードルが残っているが、民間打ち上げ会社の新たな打ち上げ場所の選択肢としての役割が期待される。

Rocket Lab(ロケットラボ)は太陽電池、ソーラーパネルその他の宇宙拠点インフラの構成要素のメーカー、SolAero Holdings(ソロエアロ・ホールディングス)を買収する。TechCrunchは先にRocket LabのPeter Beck(ピーター・ベック)氏と、同社の最近の買収ラッシュについて話した(要サブスクリプション)。

The U.S. Space Force(米国宇宙軍)が2歳に!よちよち歩きの武官組織になった。

NASAはJames Web(ジェームズ・ウェッブ)宇宙望遠鏡を米国時間12月24日に打ち上げる予定で、目標打ち上げ時刻は東海岸標準時午前7時20分(日本時間12月24日午後9時20分)だ。フランス領ギアナ、クールーにある宇宙センターから発射され、Arianespaceのロケット、Ariane 5をESA(欧州宇宙機関)との提携で搭載する。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nob Takahashi / facebook

JAXAが13年ぶりの宇宙飛行士候補者募集の応募受け付けを本日開始、学歴は問わず

JAXAが13年ぶりの宇宙飛行士候補者募集の応募受け付けを本日開始、学歴は問わず

以前お伝えしたとおり、JAXAは13年ぶりとなる宇宙飛行士候補者の募集の受け付けを12月20日正午から開始した。今回は、月面有人探査ミッションへの参加も予定されている。募集要項は以前に比べて大幅に緩和され、学歴も問われない。

選抜は、書類選考、第0次選抜から第3次選抜まで行われる。その中では、英語、一般教養、STEM(理工系)分野の試験、小論文、適正検査、医学検査、面接、資質特性検査などの審査が行われる。JAXAが宇宙飛行士に求める人物像は、国際共同事業で多様性を尊重しつつリーダーシップがとれる人、極限環境でも柔軟な思考と着眼点で適時的確な判断ができる人、ミッションで得た経験を人々に伝える発信力のある人。

選抜で評価されるポイントは、明確な目的意識と達成意欲、任務と訓練に耐えうる健康状態、STEM分野の知識と論理的思考力、英語力、実務経験から得られた専門性、緊急事態にも的確に対処できるミッション遂行能力、環境や技術の変化に適用できる身体能力、精神的適応性、強靱性、未経験の知識や技量を速やかに習得できる能力などとなっている。

予定されている宇宙活動には、ISSでのシステム操作や保全・実験研究・船外活動、月周回ステーション「ゲートウェイ」での操作保全・実験研究・船外活動・月面での滞在・実験研究・船外活動などが含まれる。

カシオ計算機とJAXA、月面基地建設に向け高精度位置測位システムpicalicoによる位置測位の実験を開始

月面基地イメージ ©JAXA

申し込みには、エントリーシートの入力と健康診断書の提出が必要となる。

募集および選抜の実施概要

  • 採用人数:若干名
  • 受付期間:2021年12月20日から2022年3月4日まで
  • 選抜結果発表:2023年2月ごろ

12月1日に行われたオンライン説明会の様子は、こちらから見ることができる。

詳細はこちらを。

 

「カーク船長」ことウィリアム・シャトナー氏の宇宙旅行がAmazonプライムのドキュメンタリーに

2021年10月、William Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏は、史上最高齢で宇宙に飛び立った人物となった。その彼の旅が、Amazonプライムのドキュメンタリー番組「Shatner in Space」になることが決まった。「スタートレック」の俳優として知られる同氏が、ポップカルチャーカンファレンス「CCXP Worlds」のバーチャルパネルで自らこのニュースを明らかにしたと、Deadlineが報じた。

「The Shat」というニックネームも持つ同氏は、Blue Origin(ブルーオリジン)の2回目の有人飛行ミッションであるNS-18の4人のクルーの1人で、New Shepard(ニューシェパード)に乗って高度66マイル(約106.22km)まで飛行し、いわゆるカルマンラインを越えて宇宙に到達した(ただし、地球を周回してはいない)。90歳の彼の参加は、その数カ月前に宇宙飛行の最高齢記録を樹立した82歳のWally Funk(ウォーリー・ファンク)氏を超える快挙だった。

このドキュメンタリーでは、旅行前、旅行中、旅行後に何が起こったか見ることができる。同フライトには、Blue Originの副社長であるAudrey Powers(オードリー・パワーズ)氏、Planet Labs(プラネット・ラボ)の共同設立者であるChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)博士、臨床試験ソフトウェア企業Medidata Solutionsの共同設立者であった故Glen de Vries(グレン・デブリース)氏も参加した。これは、Blue Originが2021年に計画している3回の有人ミッションのうちの2回目で、3回目(NS-19)は12月9日に予定されている。そのフライトには、マーキュリー・セブンの1人として米国初の宇宙飛行に成功したAlan Shepard(アラン・シェパード)氏の娘にあたるLaura Shepard Churchley(ローラ・シェパード・チャーチリー)氏と報道・情報番組「グッド・モーニング・アメリカ(GMA)」の共同アンカーであるMichael Strahan(マイケル・ストレイハン)氏の他、4人の有料顧客が参加する予定だ。

シャトナー氏は、Deadlineに次のように語った。「私の宇宙滞在は、想像を絶するほどの最も忘れ難い経験でした。私の旅を記録したこの特別番組は、その経験をドラマチックに紹介しています。私の願いは、地球を救うためには宇宙に行かなければならないということを、世界に向けて発信することです」。このドキュメンタリーは、米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドでは12月15日にAmazonプライムで放送され、その他の地域では2022年に放送される。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏はEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Blue Origin

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

ブルーオリジン、初の親子を含む乗客6人の宇宙飛行を12月9日に設定

Blue Origin(ブルーオリジン)は、次の有人宇宙飛行を発表した。米国時間12月9日に6人を乗せて実施する。同社が再使用可能なロケットNew Shepardとカプセルに最大定員となる乗客6人を乗せて飛行するのは今回が初めてだ。搭乗するのは、「Good Morning America(グッドモーニング・アメリカ)」の共同司会者であるMichael Strahan(マイケル・ストレイハン)氏、ロケットの名前の由来であるAlan Shepard(アラン・シェパード)氏の娘Laura Shepard Churchley(ローラ・シェパード・チャーチリー)氏、Voyager SpaceのCEOであるDylan Taylor(ディラン・テイラー)氏、Dick Holdingsの業務執行社員Evan Dick(エバン・ディック)氏、そして父子であるLane Bess(レイン・ベス)氏とCameron Bess(キャメロン・ベス)氏だ。

Blue Originは、有人宇宙飛行ミッションで歴史的な「初」体験を好む傾向にあるが、今回は親子が一緒に宇宙に行くのは初となる。Bess Venturesのプリンシパルで創業者のレイン・ベス氏と、コンテンツクリエイターでソフトウェア開発者であるキャメロン・ベス氏がともに搭乗する。

上段左から右へ、レイン・ベス氏、 キャメロン・ベス氏、エバン・ディック氏。下段左から右へ、ディラン・テイラー氏、ローラ・シェパード・チャーチリー氏、マイケル・ストレイハン氏

今回の有人宇宙飛行は、Blue Originにとって3回目であり、また2021年3回目のものでもある。New Shepardはこれまでに、各回とも4人が乗り込んだ有人宇宙飛行を2回実施した。最初の打ち上げにはBlue OriginとAmazonの創業者であるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏も搭乗し、10月にはWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏をはじめ、Blue OriginのAudrey Powers(オードリー・パワーズ)氏、DCVCのパートナーであるChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)氏、Medidata共同創業者であるGlen de Vries(グレン・デ・ヴリーズ)氏を宇宙に送った。デ・ヴリーズ氏は宇宙飛行の数週間後に飛行機事故で悲劇的に亡くなった。

Blue Originがこうしたペースで打ち上げを行っていることは、特に搭乗券が高価なことを考えると、ものすごいことだ。6人の搭乗となったことで、Blue Originはおそらく利益率を向上させ、その結果、この後に続く人たちにはもう少し手頃価格の座席が提供されるかもしれないが、それでも非常に贅沢なものであることは間違いない。

Blue OriginのNew Shepardは、乗客を宇宙の端まで連れて行き、準軌道上の滞在となるが、数分間の無重力状態と比類のない地球の眺めを提供する。その後、カプセルはパラシュートで減速して西テキサスの砂漠に着陸する。

画像クレジット:Blue Origin

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

現在、日本の宇宙飛行士7名の平均年齢は51歳。今のままでは月周回ステーション「ゲートウェイ」の搭乗が開始される2025年には、定年退職のために人数は4人となり、月面活動が本格化する2030年には2人に減る。そこでJAXAでは、月面探査などの新たなミッションに備えて、宇宙飛行士を若干名募集することになった。だが今回は、これまでと応募資格が大きく緩和された。

JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

申し込みには、エントリーシートの入力と健康診断書の提出が必要となる。

募集および選抜の実施概要

  • 採用人数:若干名
  • 募集開始:2021年11月19日
  • 受付期間:2021年12月20日から2022年3月4日まで
  • 選抜結果発表:2023年2月ごろ

応募資格

  • 2021年度末(2022年3月末)の時点で3年以上の実務経験を有すること。ただし、修士号取得者は1年、博士号取得者は3年の実務経験とみなす
  • 以下の医学的特性を有すること
    身長:149.5〜190.5cm
    視力、遠距離視力:両眼とも矯正視力1.0以上
    色覚:正常(石原式による)
    聴力:正常(背後2メートルの距離で普通の会話可能)

JAXAが宇宙飛行士に求める人物像は要約するとこうなる。

  • 国際共同事業において多様性を尊重しつつ協調性とリーダーシップを発揮できる人
  • 国際宇宙探査ミッションに備えて、適応能力があり、極限環境でも柔軟な思考と着眼点で適時的確な判断ができる人
  • ミッションで得た経験を世界中の人々と共有する表現力や発信力があり、人類の持続的な発展に貢献できる人。

選抜において評価されるポイントは次の8つ。

  • 宇宙飛行士の職務に対して、明確な目的意識と達成意欲の強さ
  • 宇宙飛行士に求められる任務・訓練に耐えうる健康状態
  • STEM分野の知識や論理的思考力、円滑な意思の疎通が図れる英語能力とともに、教育や実務経験等の中で取り組んできたことにおける専門性
  • ミッション遂行能力(自己管理、コミュニケーション、状況認識、リーダーシップ、問題解決、チームワーク、マルチタスクなど)とともに、緊急事態にも迅速かつ的確に対処する能力
  • 業務環境、技術、社会の急速な進歩や変化に適用する身体能力、精神心理的適応性、強靭性を有し、未経験の知識や技量を速やかに習得する能力、未経験の作業に知識や技量を柔軟に活用して対応する能力
  • 日本人としての誇りを持ち、人文科学や社会科学分野を含む広範な素養と知識を有し、異文化、伝統、価値観に敬意を払う国際的なチームの一員にふさわしい態度
  • 自らの体験や成果などを外部に伝える豊かな表現力と発信力
  • 国内外で求められる高いコンプライアンス意識

今回の宇宙飛行士候補者募集に向けて、JAXAでは一般から意見を募った。そこでは、学歴、専門性を問わないでほしい、女性枠を設けてほしい、任期制やクロスアポイントメントなど働き方を多様化してほしい、選考過程を透明化してほしい、落選者への対応がほしいといった意見が寄せられ、これらを反映しつつ、募集の方針は次のように決められた。

  • 学歴、専門は問わない。泳力、自動車運転免許証などは応募資格から除外
  • 募集人数が少ないので女性枠は設けず、女性応募奨励のための広報関連施策を行う
  • 働き方の多様性は、訓練の従事割合がほぼ100%、海外での訓練もあり難しい
  • 選考過程の透明性は、個人情報保護などを考慮しつつ、可能なものは積極的に公開する
  • 落選者へのフィードバックを検討する

JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

選抜は、書類選考、第0次選抜から第3次選抜まで行われる。その中では、英語、一般教養、STEM(理工系)分野の試験、小論文、適正検査、医学検査、面接、資質特性検査など数々の審査が行われる。JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

選抜後の予定

  • JAXA入社、基礎訓練開始:2023年4月
  • JAXA宇宙飛行士の認定: 2024年度末ごろ(2025年3月ごろ)

選抜された宇宙飛行士候補者は、次の流れで訓練を行うようになる。

  • 国内を中心に宇宙飛行士候補者訓練を受け、宇宙飛行士に必要となる科学や技術の知識、ISS「きぼう」システムの概要などを学ぶ。英語、ロシア語も習得する
  • 候補者訓練の修了後、これらの訓練結果の評価によりJAXA宇宙飛行士に認定される
  • ISS計画に参加する日本、米国、ロシア、欧州、カナダの宇宙機関にてISSの各システムとその操作技術などを学ぶ
  • ISS搭乗が決定すれば、ミッション遂行に必要なISS操作手順、実験操作手順などの訓練と、有人輸送機の操作訓練などを行う
  • 米国が提案する国際宇宙探査(アルテミス計画)、有人輸送機(米国新型宇宙船)、ゲートウェイに関連した訓練を行う

宇宙飛行士として予定されている宇宙活動は、以下のようなものだ。

  • 米国商業宇宙船などへの搭乗、 ISSでの滞在(長期)、ISSおよ「きぼう」システムの操作保全、実験研究、船外活動
  • 米国新型宇宙船への搭乗、ゲートウェイでの滞在(短期)、操作保全、実験研究、船外活動
  • 月面着陸船への搭乗、月面での滞在(短期)、月面での実験研究、月面での船外活動

募集説明会が、「JAXA公式YouTubeチャンネル」において、2021年12月1日18:00〜20:20(予定)に行われる(ライブ配信後はアーカイブ配信)。
JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

NASAがアルテミス有人月面着陸を2025年に延期、ブルーオリジンによる訴訟で

Blue Origin(ブルーオリジン)がNASA(米航空宇宙局)を相手取って起こした有人着陸システム(HLS)に関する訴訟が先週判事によって却下されたこと、中国の宇宙開発計画が進展していることが、米国時間11月9日に行われたNASAのアルテミス計画に関するブリーフィングで、NASA関係者が最も気にかけていたことだった。

NASAのBill Nelson(ビル・ネルソン)長官は、この訴訟について強い言葉を残した。HLSを巡る訴訟で「7カ月近くを失った」と述べた。その結果、今後予定されている2つのミッションが1年以上も延期されることになった。現在、アルテミス2が2024年5月に、女性と有色人種の初の月面着陸を目指すアルテミス3が2025年までに実施されることになっている(アルテミス1は、NASAのスペースローンチシステムとオリオンカプセルを使用した初めての無人ミッションで、2022年初めに予定されている)。

アルテミス計画は、アポロ計画以来、人類を月に戻すためにNASAが計画してきた野心的な一連の打ち上げだ。HLSは、宇宙飛行士を月面に運ぶ最後のカプセルとなる。

Blue Originは、HLSをSpaceX(スペースX)に発注したNASAの決定について、米会計検査院への申し立てに失敗した後、8月にHLSの発注をめぐってNASAを提訴した。同社は、NASAによる提案の評価が「違法かつ不適切」であると主張し、他の抗議活動でも単一の契約を結んだことが反競争的であると述べていた。

しかし、Blue Originとの法廷闘争が、ミッション遅延の唯一の理由、あるいは支配的な理由であるかどうかは不明だ。例えば、ネルソン長官は、トランプ政権が第3ミッションの目標を2024年としていたことについて「技術的な実現可能性に拠っていない」とし、議会が複数の有人着陸システムの開発を支援するための十分な資金を計上していないことも指摘していた。

上院予算委員会は、NASAがHLSプログラムの開発者を2社選ぶことを望んでいることを極めて明確にしていたが、そのために追加で計上した予算はたった1億ドル(約113億円)だった。

「この6カ月間よく調べてみた結果、私にとって明らかになったのは、プログラムの長期的な成功のためには、NASAが真剣に変化する必要があるということだ」と長官は述べている。

また、サプライチェーンの混乱や労働力へ影響を与えている新型コロナウイルス感染症も、遅れの原因の1つだと指摘している。

ネルソン長官「我々は、非常に積極的で優れた中国の宇宙プログラムに直面している」

ネルソン長官はまた、急速に進歩している中国の宇宙計画を繰り返し取り上げ、中国が宇宙飛行士を月に着陸させる能力は「ますます高まっている」と指摘する。同氏は、NASAが安全かつ技術的に実現可能な方法により「ブーツで月面に降り立ち、競争相手を打ち負かす 」ために、できる限り積極的に取り組むと誓った。

中国の宇宙開発はここ数年、驚異的なペースで進んでおり、2021年初めには、独立した宇宙ステーションの最初のコアモジュールを迅速に打ち上げた。2022年までに予定されている11回の打ち上げのうち、3回目の打ち上げだった。また、中国は米国以外で唯一、火星に探査機を着陸させており、10年後までにより複雑なサンプルリターンミッションを計画している。

ネルソン長官は「中国の宇宙計画や中国軍の発言は、彼らが非常に積極的になろうとしていることを示唆しています」と述べた。

画像クレジット:NASA

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

米上院予算委員会がNASAに月着陸船プログラムで2つのチームを選定するよう指示

有人着陸システムにまつわる物語はまだ終わっていない。

米上院が現地時間10月18日に発表した2022年度のNASAに関する予算案では、有人着陸システム(HLS)プログラムで2つのチームを選定するよう、航空宇宙局に指示している。だが、そのための追加予算は1億ドル(約114億円)に過ぎない。

NASAの2022年度予算は全体で248億3000万ドル(約2兆8400億円)、そのうちこのプログラムのための予算は総計12億9500万ドル(約1482億円)となる。

「この資金を使って、NASAは2つのHLSチームの研究・開発・試験・評価をしっかりとサポートし、冗長性と競争性を確保することが期待されている」と、この予算案では述べられており「上院予算委員会は、補助的な研究ではなく、開発のための実質的な投資を期待している」と続けている。

指示は明確だ。明確でないのは、NASAがそれに見合った資金の増加なしに、どのように2つのHLSチームに資金を提供しようとしているかということだ。

まず、現在までの経緯を少しばかり振り返ってみよう。HLSは、アポロ計画時代以来、半世紀ぶりに人類が月に降り立つことを目指すNASAのアルテミス計画の重要な一部である。2021年4月、NASAはアルテミス計画の宇宙飛行士用着陸機の開発に、Elon Musk(イーロン・マスク)氏率いるSpaceX(スペースX)のみを選定した。つまり、2020年5月にSpaceXとともに選ばれていた、防衛関連企業のDynetics(ダイネティクス)や、航空宇宙関連の最大企業であるLockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)、Draper(ドレイパー)の協力を得て「ナショナルチーム」を名乗るBlue Origin(ブルー・オリジン)は選から漏れ、SpaceXの1社のみが残ったということだ。

関連記事:NASAがアポロ計画以来となる有人月面着陸システムの開発にSpaceXを指名

これまでNASAは基本的に、競争を促すために、また1社のプロジェクトがうまくいかなかった場合の保険として、少なくとも2社のベンダーを選ぶ戦略を採ってきた。国際宇宙ステーションのCommercial Crew(商業乗員輸送)プログラムでも、NASAはSpaceXとBoeing(ボーイング)の両方に宇宙飛行士輸送用の宇宙船を発注している。つまり、NASAがSpaceXだけを選んだことは、歴史的な前例から逸脱していると言ってもいいだろう。

これを不服とするBlue Originは4月以降、NASAの決定に対する抗議運動を展開してきた。同社はまず、政府の監視機関である米会計検査院(GAO)に契約締結について異議を申し立てたが、GAOが同社の抗議を却下すると、連邦請求裁判所に訴状を提出した。

関連記事
連邦政府はSpaceXがNASAの月着陸船建造を受注したことに対するBlue OriginとDyneticsの異議を退ける
Blue Originは月着陸船のSpaceX発注に抗議し連邦裁判所でNASAと一騎打ちに

NASAはSpaceXを選定した理由について、予算の制約がある中で、Blue Originの提案(59億ドル、約6750億円)やDyneticsの提案(90億ドル、約1兆300億円)と比較して、SpaceXが最も強固な着陸機の提案を低価格で提供していたからだと主張している。3つの提案のコストに大きな差があることを考えると、上院によるHLSプログラムへのわずかな増額(1億ドル)によって、NASAが追加のチームを選定できるかどうかは不明だ。

NASAのBill Nelson(ビル・ネルソン)長官は、同宇宙局が最終的には必要な資金を得ることができると確信しているようだ。「最終的には、すべての叫び声が収まり、すべての押し合いへし合いが終わって、その多くはNASAとは何の関係もなく、NASAは必要な資金を得ることができると思います」と、ネルソン長官はSpaceNews(スペース・ニュース)のインタビューで語っている。

今回の予算案によると「少なくとも2つのチームがサービスを提供すること【略】が、現在の開発プログラムの最終目標であるべきだ」としている。この法案がそのまま最終予算に組み込まれた場合(下院との交渉が必要なのでまだわからない)、NASAは30日以内に議会と国民に対して、新しい指示に従う計画を説明することになる。

画像クレジット:Dynetics

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Space Perspectiveが気球による成層圏への旅行を計画、費用は1人約1430万円

Blue Origin(ブルー・オリジン)、SpaceX(スペースX)、Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)が商業打ち上げに成功したことで、正式に宇宙旅行の新時代が到来した。しかし、ロケットスペースプレーンを使って人々を宇宙に連れて行くことを計画しているこれらの企業とは異なり、2年前に設立されたSpace Perspective(スペース・パースペクティブ)という企業は、別の方法を採っている。

開発に莫大な費用がかかり、すべての顧客が受け入れられるとは限らないロケットで宇宙に行く代わりに、このスタートアップ企業は、大きな気球に取り付けられたカプセルを使って成層圏に行く旅行の提供を計画している。この計画は投資家の関心を集めており、同社は米国時間10月14日、2024年後半に予定されている最初の商業飛行に向けて、4000万ドル(約45億6000万円)のシリーズA資金調達を実施したと発表した。

Space Perspectiveは、すでに475件の予約を集めており、顧客は1万ドル(約114万円)から2万5千ドル(約285万円)の保証金(搭乗を希望する時期がどれだけ早いかによって異なる)を支払うことでその予約を確保している。最終的に支払う費用の総額は、1人当たり12万5000ドル(約1430万円)となる予定だ。

ロケットに乗らないということは、それによるトレードオフがある。気球に乗る方がはるかに安く、リスクを避けたい顧客には魅力的かもしれない。しかし、大気圏のそれほど高い位置まで行くことはできず、無重力も体験できない。国際的に認知されてはいるが実際には目に見えない「宇宙」の境界線であるカルマンライン(海抜高度100キロメートル)を超えることはなく、同社の成層圏気球では地球上の約30キロメートルの高さまでしか行くことはできない(とはいえ、せいぜい高度1万2000メートルほどにしか達しない民間航空機と比べたらはるかに高いが)。

それでもSpace Perspectiveは、同社の提供する6時間の飛行で、特に地球の丸さや宇宙の黒さなど、すばらしい景色を楽しむことができると約束している。計画では、スペースバルーンは時速20キロメートルほどの速さで2時間かけて徐々に上昇した後、2時間かけて遠地点を滑空し、最後の数時間で徐々に下降していく。カプセルは海に着水し、8人の乗客と1人のパイロットは船で回収される。これは、NASAやSpaceXが乗員用カプセルを回収する方法と同じだ。

それほど高い場所に行かない代わりに、他の利点がある。同社の説明によると、Space Perspectiveの気球に乗ることは、宇宙飛行士の打ち上げというよりも、大手航空会社のファーストクラスのフライトに近い感覚で楽しめるという。乗客はカプセルの中で、Wi-Fiやバーさえも利用できるようだ。事前に特別なトレーニングも必要ない。同社の広報担当者の話では、飛行前の安全に関する説明は、現在の民間航空会社で客室乗務員が行っているものと変わらないという。

この会社はすでに重要なマイルストーンに達している。6月にはフロリダ州のスペースコースト宇宙港から、無人の加圧されていない実物大カプセルシミュレーターを、目標高度まで打ち上げることに成功した。次の一連のテストフライトも無人で行った後、2023年に最初のパイロット搭乗テストフライトが行われる予定だ。

Space Perspectiveは、夫婦で共同CEOを務めるJane Poynter(ジェーン・ポインター)氏とTaber MacCallum(テーバー・マッカラム)氏によって設立された。2人は、閉鎖空間で地球の状態を再現するという野心的で風変わりなプロジェクト「Biosphere 2(バイオスフィア2)」のクルーだった。その後、彼らは宇宙飛行士の生命維持装置を開発するParagon Space Development Corporation(パラゴン・スペース・ディベロップメント・コーポレーション)と、リモートセンシング用の成層圏気球を開発するWorld View Enterprises(ワールド・ヴュー・エンタープライゼス)を設立した。2021年10月初めには、World Viewも、2024年までに成層圏へ気球で行く旅を提供すると発表した。こちらの料金は5万ドル(約570万円)とさらにお手頃だ。

今回実施されたSpace PerspectiveのシリーズA資金調達は、Prime Movers Lab(プライム・ムーバーズ・ラボ)が主導し、新たな投資家としてLightShed Ventures(ライトシェド・ベンチャーズ)、Explorer 1 Fund(エクスプローラー・ワン・ファンド)、Yamauchi no.10 Family Office(ヤマウチ・ナンバー10ファミリー・オフィス)が参加。他にもTony Robbins(トニー・ロビンズ)氏や、VC企業のE2MCとSpaceFund(スペースファンド)、Kirenaga Partners(キレナガ・パートナーズ)、Base Ventures(ベース・ベンチャーズ)、1517 Fund(1517ファンド)などが出資している。

画像クレジット:Space Perspective

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ベゾス氏のBlue Originが最高齢記録90歳「カーク船長」を含む2度目の有人宇宙飛行に成功

Blue Origin(ブルーオリジン)は米国時間10月13日、俳優のWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏を含む4名のクルーを、テキサス州西部にある同社の施設から宇宙へ送り出し、無事に帰還させた。これで同社は2回中2回、有人飛行に成功したことになる。

NS-18と名付けられたこのミッションは、Blue Originにとって2021年5回目のロケット打ち上げであり、ロケット全体では18回目の打ち上げとなる。

今回のクルーには「スタートレック」のジェームズ・T・カーク船長を演じたことで最もよく知られているシャトナー氏、Blue Originの社員で同社のNew Shepard(ニューシェパード)ミッション&フライトオペレーション担当副社長を務めるAudrey Powers(オードリー・パワーズ)氏、Planet Labs(プラネット・ラボ)の共同設立者で現在はベンチャーキャピタルDCVCのパートナーであるChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)博士、臨床試験ソフトウェア企業Medidata Solutionsの共同設立者であるGlen de Vries(グレン・デフリース)氏が含まれていた。

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90歳のシャトナー氏は、これまで82歳のWally Funk(ウォーリー・ファンク)氏(7月に行われた同社の前回の打ち上げで搭乗)が持っていた、最高齢宇宙飛行記録を更新した。

打ち上げは米国東部時間午前10時50分頃に開始され、ロケットは国際的に宇宙の境界線として認められているカルマンラインを通過した。この頃、クルーは数分間の無重力状態を経験した。クルーカプセルは約11分後、パラシュートを使って自律的に発射施設に着地した。ブースターも自律的に発射台付近に着陸した。

この打ち上げの成功は、急成長中の宇宙旅行業界で主導的な地位を確立したいと考えているBlue Originにとって大きなニュースだ。しかし、ビリオネアのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が2000年に設立した同社にとって、この数週間は完全に順調と言えるものではなかった。9月末、21人の現役・元従業員が共同で、同社の職場はセクハラや安全への配慮が欠けていたと主張する書簡を公開したのである。

この文書は米連邦航空局(FAA)の目に留まったようで、FAAはTechCrunchに対し「FAAはあらゆる安全性に関する申し立てを真摯に受け止めており、現在情報を検討している」と述べた。

Blue Originは宇宙旅行市場において、今夏に独自の有人飛行を成功させたRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏のVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)の他、9月にInspiration4のクルーを3日間の旅で宇宙に運んだSpaceX(スペースX)などの競合他社との競争に直面している。

打ち上げの様子はこちらからご覧いただける。

画像クレジット:Blue Origin

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

ブルーオリジンがカーク船長ら4人を宇宙に送り出す様子をライブで観よう、日本時間10月13日19時30分から

Blue Origin(ブルーオリジン)は、初の有人ロケットを軌道に乗せることに成功してからわずか3カ月、米国時間10月13日に再び打ち上げを行う準備を整えた。今回は、Blue Originの創業者兼CEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏の代わりに、最高齢での宇宙飛行を目指す90歳のWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏が搭乗する予定だ。

NS-18ミッションは、テキサス州西部のバン・ホーン近郊にある同社の広大な発射施設「Launch Site One(ローンチ・サイト・ワン)」から離陸する予定だ。クルーは、同社のNew Shepardロケットに搭乗する。当初、打ち上げは米国時間10月12日に予定されていたが、米国時間10月10日、強風が予想されることからBlue Originのミッションオペレーションは、1日延期することを決定している。

NS-18ミッションのクルーを紹介しよう。

  • William Shatner(ウィリアム・シャトナー):「Star Trek(スタートレック)」のジェームズ・T・カーク船長を演じたことで知られる俳優
  • Audrey Powers(オードリー・パワーズ):New Shepardミッション&フライトオペレーション担当のBlue Origin副社長。2013年に入社し、同社の副顧問を務めた後、チームを離れていた
  • Chris Boshuize(クリス・ボシュウイズ):Planet Labsの共同設立者で、現在はベンチャーキャピタルDCVCのパートナー
  • Glen de Vries(グレン・デ・ヴリーズ):臨床試験ソフトウェア企業「Medidata Solutions」の共同創業者。2019年にMedidataを買収したフランスのソフトウェア会社「Dassault Systèmes」のライフサイエンスヘルスケア担当副会長でもある

打ち上げライブ配信は米国太平洋時間10月13日午前5時30分(日本時間10月13日午後19時30分)頃に始まり、その約1時間後に打ち上げが行われる予定だ。

クルーのボシュウイズ氏は、2020年のTCセッションにも参加してくれた。次のイベントは12月に開催されるので、ぜひご参加ください

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画像クレジット:Blue Origin

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Katsuyuki Yasui)

「スタートレック」のカーク船長が10月12日にBlue Originの宇宙飛行に参加、史上最高齢90歳で

Blue Origin(ブルーオリジン)の次の搭乗者リストには、テレビや映画の中での宇宙探検のベテラン、William Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏と、Blue OriginのNew Shepard(ニューシェパード)ミッション&フライトオペレーション担当副社長を務めるAudrey Powers(オードリー・パワーズ)氏が含まれる。すでに発表されていたChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)博士とGlen de Vries(グレン・デフリース)氏にこの2人が加わることで、10月12日に予定されている打ち上げの4人のクルーが出そろった。

「スタートレック」でジェームズ・T・カーク船長を演じたことで知られるシャトナー氏は、このミッションが実現すれば、7月20日に行われたBlue Originの初の有人宇宙飛行にJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏とともに搭乗した、航空宇宙のパイオニアである現在の記録保持者Wally Funk(ウォーリー・ファンク)氏を僅差で追い抜き、史上最高齢の宇宙飛行経験者となる。シャトナー氏は90歳、一方のファンク氏は82歳だ。

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ベゾス氏自身を除けば、オードリー・パワーズ氏は、Blue Originの社員としては初めて同社の宇宙船でサブオービタル飛行の旅をすることになる。彼女は2013年からBlue Originのチームに参加しており、New Shepardミッション&フライトオペレーションチームを率いる前は、同社の副顧問兼法務・コンプライアンス担当副社長を務めていた。

すでに明らかになっていた他の搭乗者であるボシュイゼン博士とデフリース氏は、先週発表された。ボシュイゼン博士はPlanet Labs(プラネット・ラボ)の共同設立者で、現在はVCであるDCVCのパートナーを務めている。デフリース氏は、Dassault Systemsに買収された医療用ソフトウェアのスタートアップMedidata Solutions(メディデータ・ソリューションズ)の共同設立者だ。

Blue Originは、元社員のAlexandra Abrams(アレクサンドラ・エイブラムス)氏が他の現役・元社員20名と共著で、安全性への懸念やセクシャルハラスメントの歴史を告発する文書を公開したことで、現在、追及と批判にさらされている。この件による同社の打ち上げスケジュールへの影響はないようだが、FAA(連邦航空局)はエイブラムス氏の手紙で明らかになった安全上の懸念を検討していると言われている。

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画像クレジット:SOPA Images / Contributor / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

Planet Labs共同創業者が10月打ち上げのBlue Origin2回目の有人宇宙飛行に搭乗へ

Blue Origin(ブルーオリジン)の2回目の有人宇宙飛行は宇宙産業ベテランで同産業を専門とする投資家が搭乗することになりそうだ。その人物とは、Planet Labs(プラネット・ラボ)の共同創業者で現在はベンチャーキャピタル会社DCVCでパートナーを務めているChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)博士だ。ボシュイゼン氏は、完全再利用可能な準軌道宇宙船New Shepardを使うBlue Originの次の打ち上げで、提供される4座席のうちの1つに乗り込む。7月の第1回目の有人飛行にはJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が搭乗した

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更新:Blue Originはまた、臨床試験ソフトウェア会社Medidata Solutions(メディアデータ・ソリューションズ)の共同創業者であるGlen de Vries(グレン・デ・フリーズ)氏も搭乗すると発表した。フリーズ氏は2019年にMedidataを買収したフランスのソフトウェア会社Dassault Systèmes(ダッソー・システムズ)のライフサイエンス・ヘルスケア部門副会長も務めている。

ボシュイゼン氏はシドニー大学で物理学の博士号を取得し、Planet Labsに入社して最初の5年間CTO職を担う前に、カリフォルニアにあるエイムズ研究センターで4年にわたってNASAスペースミッション建築家を務めた。同氏は元々、客員起業家としてDCVCに加わり、その後オペレーションパートナーに、そして2021年初めフルタイムのパートナーになった。

ボシュイゼン氏は宇宙産業で全キャリアを築いたが、宇宙に行くという野心はキャリア以前から持っていた、と話す。弱冠17歳のときにオーストラリア国防大学のパイロット養成校に申し込んだが、テストで部分的な色覚異常がわかり、失格となった。

現在の小型衛星とキューブ衛星のブームの多くは、実際のところボシュイゼン氏の貢献も大きい。NASA時代には、スマートフォンを改造して軌道衛星を作った「Phonesat」の開発にも携わっている。超小型衛星がこれほど多く存在するのは、スマートフォンの登場によってハイテク部品が小型化し、小型で高性能な衛星を比較的安価に製造・打ち上げられるようになったことが大きい。

フライトは米国東部時間10月12日火曜日午前9時半にテキサス州バン・ホーン郊外にあるBlue Originの広大なサイトから打ち上げられる予定だ。同社は残りのクルー2人の詳細は明らかにしていない。

ボシュイゼン氏は2020年のTCセッション宇宙部門に参加した。次のイベントは12月に開催され、まだチケットを入手する時間はたっぷりある。

画像クレジット:Blue Origin

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(文:Darrell Etherington、Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

ヴァージン・ギャラクティック初の商用フライトは7月の事故原因調査のためFAAが飛行停止に

先の記事で、Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)初となる商用飛行は2021年9月だと報じた。

早とちりしてしまったのかもしれない。米国時間9月2日午後、米連邦航空局(FAA)は、7月11日に行われたVirgin Galacticの有人飛行に関する調査結果が出るまで、追って通知があるまですべての同社を飛行停止にすると発表した。

「Virgin Galacticが最終的な事故調査報告書を承認するか、事故に関する問題が公共の安全に影響しないと判断するまで、SpaceShipTwoをフライトに戻すことはない」とFAAは述べている。

7月11日のミッションは、同社の億万長者で創業者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏を含むスタッフとクルーに負傷なく完了したが、最近になって、スペースプレーンが許可された空域外で軌道を逸脱していたことが明らかになっている。

飛行時にスペースプレーンのダッシュボード上の赤い警告灯が点灯し、計画軌道を外れたことをを示した。FAAの発表によると、スペースプレーンは合計1分41秒間、軌道を外れて飛行した。その航路逸脱はThe New Yorkerが最初に報じた。

さらに規制当局は「FAAには商用宇宙輸送の打ち上げと再突入操作の際に、一般市民を保護する責任を負っています。FAAはニューメキシコ州スペースポート・アメリカ上空で起きた7月11日のSpaceShipTwoの事故について、Virgin Galacticによる調査を監督しています。SpaceShipTwoはスペースポート・アメリカへの帰還時に、航空管制の許可を逸脱しました」。

調査が完了しその結果次第では、9月に予定されていた初の商用飛行は地上に留まるかもしれない。その飛行はイタリア空軍と全米研究評議会のメンバーを宇宙の端っこに送って、微小重力への移行が人体に与える影響を研究することになっている。しかしそれまでは、リチャード・ブランソン氏の超音速機企業は「地上待機」となる。

【更新】Virgin Galacticの広報はTechCrunchに対して、同社はFAAと協力して問題解決に努めてきた、と語った。声明の全文は以下のとおりだ。

以前もお話したように、私たちはFAAとのパートナーシップにより、宇宙船がUnity 22の飛行の間に、許された高度の下へ落ちた短い時間について調べている。私たちはこの問題を真剣に捉え、目下その原因を究明するとともに、将来のミッションにおける再発を防ぐ方法を模索している。飛行の最終的な軌道は最初の計画から逸脱したにもかかわらず、制御され意図された飛行経路によりUnity 22は、宇宙への到達と、ニューメキシコの私たちのSpaceportへの安全な着陸に成功した。この軌道の変化により乗客とクルーが何らかの危険に置かれた時間はゼロであり、宇宙船が人口密集地区の上空を航行したことや、一般の人たちに危害を及ぼした時間もゼロであった。その飛行の間にはFAAの代表者が機の制御室に同席し、飛行後の報告会見にも同席された。

画像クレジット:Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic/Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ヴァージン・ギャラクティックが初の商業宇宙旅行を9月下旬〜10月上旬に予定、イタリア空軍・学術会議と

初の有人船打ち上げを祝ってからわずか2カ月後、米連邦航空局(FAA)の調査を受けている最中のVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、再び宇宙に戻ろうとしている。

同社は9月下旬から10月上旬にかけて、同社の広大なSpaceport America施設から、ロケット搭載のスペースプレーン「VSS Unity」の23回目のフライトとなる同社初の商業ミッションを実施する予定だ。このフライトには、イタリア空軍とイタリア学術会議(CNR、Consiglio Nazionale delle Ricerche)から3名のクルーが搭乗する予定だ。それぞれの座席のために支払われた購入金額は公開されていない。また、Virgin Galacticのスタッフも1名搭乗する。

ミッションリードの役割を担うのは、イタリア空軍のWalter Villadei(ウォルター・ヴィラデイ)大佐、医師でもあるAngelo Landolfi(アンジェロ・ランドルフィ)中佐、イタリア学術会議を代表する航空宇宙エンジニアのPantaleone Carlucci(パンタレオーネ・カルルッチ)氏、そしてVirgin Galacticのチーフ宇宙飛行士インストラクターであるBeth Moses(ベス・モーゼス)氏である。スペースプレーンの操縦は、Michael Masucci(マイケル・マスッチ)氏とCJ Sturckow(CJ・スターカウ)氏が担う。

このミッションの目的は、微小重力環境に移行する際の「移行段階」における人体への影響を調査することで、そのために乗組員は生理的活動を測定するセンサーを装着する。そしてヴィラデイ氏はさらに、Virginが「イタリアのファッションスタイルとテクノロジーを取り入れた」スマートスーツを着用するとのこと。

今回の発表は、FAAが7月のVSS Unityの初有人飛行について調査していると発表してからわずか1日後のことである。このニュースはThe New Yorkerが最初に報じ、FAAが確認したもので、同社のスペースプレーンが「Spaceport Americaに戻る際に航空管制の許可を逸脱した」と航空規制当局は述べている。ジャーナリストのNicholas Schmidle(ニコラス・シュミットル)氏の報道によると、飛行中のUnityのコンソールには、予定していた軌道から逸脱したことを示す赤い警告ランプが点灯していたという。

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その後、Virgin Galacticはこの記事に反論する声明を発表し「フライトの最終的な軌道は当初の計画から外れましたが、それは制御された意図的な飛行経路であり、Unity 22は無事に宇宙に到達し、ニューメキシコ州のSpaceport(America)に安全に着陸することができました」と述べた。

「この軌道変更の結果、乗客や乗員が危険にさらされることはありませんでした」と同社は付け加えている。

Virgin Galacticの超音速飛行の安全性に関するニュースをシュミットル氏が明るみに出したのは今回が初めてではない。彼の著書「Test Gods」には、飛行機の翼に深刻な問題が発生する可能性があった2019年のテスト飛行について、これまで知られていなかった記述も含まれている(その件は同書の中で、Virgin Galacticの元社員によって確認されている)。

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画像クレジット:Virgin Galactic

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

JAXAが国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙飛行士が利用できる新生活用品のアイデア募集を開始

JAXAが国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙飛行士が利用できる新生活用品のアイデア募集を開始

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は8月2日、「第2回 宇宙生活/地上生活に共通する課題を解決する生活用品アイデア募集」の開始を発表した。宇宙生活での課題をヒントに、宇宙・地上の両方で暮らしを便利にするアイデアを国内企業から募集するとともに企業の開発を支援し、新しい製品やサービスを創出するというもの。今回生み出された製品は、2023年以降の古川聡宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)搭乗ミッションややその後搭乗予定の宇宙飛行士らが使う予定。締め切りは2021年9月30日17:00。応募の詳細はこちら

また、民間事業者とJAXAが協働で新技術の開発実証を行い新事業を創出するプログラム「J-SPARC」(JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ)の、暮らしとヘルスケア分野の新規事業創出を担当する部門「THINK SPACE LIFE」が、アイデア創出から具現化へ向けたインキュベーションを行う。

募集にあたっては、宇宙生活の課題や困ったことをまとめた宇宙の暮らしを向上させるヒント集「Space Life Story Book」を参考にして欲しいと、JAXAでは話している。JAXAは、このプログラムに参加することによるメリットとして、次の4つを掲げている。

宇宙ビジネス参入の機会

実際に宇宙で使われる製品やサービスを開発するため、宇宙ビジネスへの展開がしやすくなる。

広告・宣伝への活用

搭載判断されたソリューションは、軌道上で取得した映像・画像の活用や、「ISSでの宇宙飛行士による生活用品の使用」という事実の広報展開が可能(活用条件は内容により異なる)。

地上実証の場

製品やサービスのプロトタイプを「THINK SPACE LIFE」のインキュベーションパートナーが運用する施設などで地上実証実験が行える。

各業界のプロも参画する本格的なインキュベーション体制

アイデア創出を支援するツールの提供や各種ワークショップ開催の支援、ビジネス、投資、有人宇宙分野のプロによるメンタリングを提供。各領域の専門家である「THINK SPACE LIFE」のインキュベーションパートナーとJAXAが連携して、事業創出を支援する。

応募資格は、日本国内で合法的に設立され、存続する法人であること。8月2日から募集を受け付け、締め切りは2021年9月30日17:00。10月に選定を行い、11月からアイデアのブラシュアップ期間に入る。その後は「短期コース」と「長期コース」に分かれ、短期コースは製品を2023年のミッションで使用、長期コースは製品を2024年以降のミッションで使用される予定。

2020年実施された第1回募集から生まれ、2022年のミッションでISSに搭載予定の候補品には以下のようなものがある。

第1回募集のISS搭載候補品(2021年1月21日公表分)

  • 宇宙用靴下:ワコール人間科学研究所
  • Earthian Wear:資生堂、シタテル、スノーピーク、三越伊勢丹
    (飲める成分の口腔ケア製品 株式会社トライフ オーラルピースプロジェクト)
  • デュアルユース・口腔ケアタブレット:TSUYOMI
  • すすぎが簡単なハミガキ:ライオン
  • 宇宙空間の快適生活のための水なし洗髪シート:花王ヘアケア研究所/包装技術研究所
  • ISSで快適に使用できるボディペーパー:マンダム スキンサイエンス開発研究所
  • 清潔ウェアのためのスペースウェットワイパー:花王 ハウスホールド研究所
  • ウェアラブルウォッチ:日本たばこ産業
  • 宇宙空間でモノを固定するテープ:久光製薬

「人が宇宙に進出することで、新たに『暮らし』(衣・食・住)分野のマーケットが宇宙で生まれることが期待されます」とJAXAは話している。ここで生まれた将来の有人探査ミッションや宇宙旅行者向けの生活用品が「持続的なビジネス」になることをJAXAは目指しているという。

「第2回 宇宙生活/地上生活に共通する課題を解決する生活用品アイデア募集」概要

  • 募集内容:JAXAが公表した宇宙生活での課題や困りごと集「Space Life Story Book」を参考に、自社(関連企業
    など含む)の技術や製品を活かして、宇宙・地上での生活の課題解決や利便性を向上させることができるもの(新規生活用品などのアイデア)
  • 参考文献:「Space Life Story Book」(PDF)
  • 応募締切:2021年9月30日17:00
  • 応募資格:アイデアの事業化に取り組むことができる、日本の法律に基づき適法・有効に設立され、かつ存続する法人
  • 募集要項:「宇宙生活/地上生活に共通する課題を解決する生活用品アイデア募集」(PDF)
  • 応募方法・様式(必須):「提案書フォーマット」ファイル(xlsx)に必要事項を記入の上、エントリーフォームより応募
  • 応募方法・様式(任意):1分以内のプレゼンテーション動画も受付。​プレゼンテーション動画提出の場合は、まずは提案書フォーマット「(9)プレゼン動画はありますか?」で「あり」をチェックの上、エントリーフォームより応募する。応募者に対して、後日事務局より動画ファイル返送用メールを送付する。当該メールの内容に沿って、ファイルアップロードを行う
  • エントリーフォームJAXA「第2回 宇宙生活/地上生活に共通する課題を解決する生活用品アイデア募集 」応募フォーム

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カテゴリー:宇宙
タグ:ISS / 国際宇宙ステーション(用語)JAXA / 宇宙航空研究開発機構(組織)有人宇宙飛行(用語)日本(国・地域)

米会計検査院が月着陸船開発契約をめぐるBlue Originの抗議を却下

数十億ドル(数千億円)もの月着陸船開発をSpaceXと契約するというNASA(米航空宇宙局)の判断をめぐるBlue Originの米政府への抗議は却下された。

米会計検査院(GAO)は米国時間7月30日、Blue Originの抗議、そして月着陸船開発案を提出した防衛関連企業Dyneticsによる訴えのいずれも却下する、と明らかにした。GAOは、NASAがSpaceX1社と契約した際、法律や規則に反しなかった、と結論づけた。

「結果として、SpaceXとだけの契約でNASAが不適切な行動を取ったという訴えをGAOは否定しました」と声明文で述べた。

抗議は、アポロ計画以来となる人間の月面着陸を目指している有人着陸船(Human Landing System)プログラムの契約を、当初意図していた2社ではなくSpaceXのみと結んだというNASAの判断についてのものだった。SpaceXの有人着陸船プログラムの提案は29億ドル(約3180億円)で、59億9000万ドル(約6570億円)というBlue Originの提示額のおおよそ半分だった。今週初め、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏はNASA長官のBill Nelson(ビル・ネルソン)氏に、NASAが契約で1社のみを選ぶことになった「短期的な予算の問題」を解決するために20億ドル(約2190億円)の値引きを提案する公開書簡を送った

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1社のみと契約するというNASAの判断はこれまでの習慣から方向転換することになったが、GAOは「複数企業との契約、1社との契約、あるいは契約しない権利が認められています」と記した。

Blue Originは、NASAが2社と契約するだけの十分な資金がないとの結論に至った後に、入札内容を修正する時間が与えられなかった、と主張した。「要件変更についてNASAが意思疎通を図らなかったことにより、Blue Originは明らかに先入観をもたれました」と同社は申し立てに書いている。「Blue Originは提案したアプローチを修正し、NASAの予算に見合う額に減額し、そして(あるいは)スケジュールの代替を提案する、いくつかのアクションを取ることができたはずです」。

Blue OriginとDyneticsは4月にそれぞれ異議を申し立てた。

会計検査院の判断について、Blue Originの広報担当は以下のようにTechCrunchに述べた。

「当社はNASAの決定に根本的な問題があったと強く確信しています。しかしGAOは限られた権限のためにそうした問題を解決することができませんでした。当社は引き続き、正しいソリューションだと信じているプロバイダー2社を主張します」。

広報担当は、上院議員が有人着陸船プログラムで2社を選ぶことをNASAに求める規定を法案に追加したことについてBlue Originは心強く思っている、とも述べた。

一方、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は今回の判断について以下のように反応している。

TechCrunchはDyneticsにコメントを求めている。返事があればアップデートする。

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タグ:Blue Origin宇宙船NASA米会計検査院(GAO)有人宇宙飛行アルテミス計画

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

ブルーオリジン初の有人宇宙飛行後、ベゾス氏とクルーが記者会見「より重大なミッションの練習」

Amazon(アマゾン)の創業者Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、2000年にBlue Origin(ブルーオリジン)を設立してから21年目にして初の有人宇宙飛行を達成した後の記者会見で、意気揚々と勝ち誇った様子だった。億万長者の同氏は、会社の将来と自分の役割について語り、さりげなく数億ドル(数百億円)を寄付した。

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ベゾス氏は、New Shepard(ニューシェパード)の「RSS First Step(RSSファーストステップ)」カプセルに搭乗した4人のうちの1人で、他には資本家である彼の兄のMark(マーク)氏、航空界の伝説で「マーキュリー13」パイロットの1人である82歳のWally Funk(ウォーリー・ファンク)氏、そしてBlue Originの座席オークションで2番目に高額な落札者だった人物の息子である18歳のOliver Daemen(オリバー・デーメン)氏が搭乗した(最高額の2800万ドル / 約31億円を入札した落札者は、スケジュールの都合で参加を延期した)。

Blue Originはこれで、民間人を宇宙に送り出したごく少数の企業の仲間入りを果たし、まだ始まったばかりの宇宙旅行産業にとっては最大の追い風となった。米国時間7月20日はアポロ11号の月面着陸から52周年にあたり、宇宙旅行の次のステップとして最初の有人宇宙飛行に敬意を表している。

記者会見の冒頭で4人は、宇宙に行った人に与えられる伝統的なバッジである宇宙飛行士の「翼」をつけてもらい、にこやかな表情を浮かべていた。記者会見でベゾス氏は、カプセルから出てきたときと同じクリーム色のカウボーイハットをかぶり「とてもうれしいです」と語った。

ベゾス氏はそして、テキサス州ヴァンホーン市に感謝し、Blue Originが同市に「へこみ」を作ったことを認め(「made a dent」が「効果、影響を与えた」という意味であることからのおやじギャグ)、続いて、Amazonの全従業員と何百万人もの顧客に感謝した。「まじめな話、この費用を支払ったのはあなた方です」。

また、4人のクルーが4分間の無重力状態ではしゃぎ回っている様子を簡単に紹介し、その中には宙に浮いているSkittles(スキットルズ)キャンディーを口でキャッチしているクルーの映像も含まれていた。

民間人のみが搭乗する弾道飛行ミッションは2021年7月だけで2回目となり、これは史上初のことだ。1回目は、7月11日にVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)の弾道ロケット搭載スペースプレーン「VSS Unity(VSSユニティ)」が達成したミッションで、創業者である大富豪のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏が搭乗したことで、2人の超富裕層の創業者の間で実に狭量な論争が勃発した。それはさておき、この2回のフライトによって、商業宇宙旅行はこれまで以上に現実味を帯びてきた。

今回のフライトは、Blue Originの商業用重量物運搬ロケット打ち上げ部門にとっても追い風となるだろう。その分野は、今のところElon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるSpaceX(スペースX)が中心となっている。New Shepardの再利用性を完成させるために使われる同じ技術が、同社の大型軌道打ち上げロケットであるNew Glenn(ニューグレン)の開発に役立つかもしれない。ベゾス氏は2021年2月、同社がNew Glennの初号機打ち上げを2021年後半から2022年後半の四半期に延期すると述べた。

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画像クレジット:Blue Origin / YouTube

ベゾス氏はこう語った。「実際のところ、私たちが選んだ構造と技術は、宇宙旅行にはまったく過剰なものでした」。それよりも、Blue Originがそれらを選んだのは「スケールできるから【略】、より大きく重いミッションのための練習」だったという。

Blue Originが液体燃料を選んだ理由について、同氏は「将来の打ち上げのための練習」と繰り返した。「このスペースツーリズムミッションを飛ばすたびに、New Glennの第2段を飛ばす練習になります」とも。

2020年12月、NASAはLaunch Services IIプログラムで契約を競うことができる宇宙企業のリストにBlue Originを加えた。New Glennやその他のBlue Originのロケットが打ち上げ契約を獲得することを保証するものではないが、そのための第一歩となる。

ベゾス氏は、Blue Originが2021年だけでさらに2回の有人打上げを行うことを確認したが、1座席あたりの価格についてはまだ発表していない。「当社は、ケイデンスを非常に高くしていきたいと考えています。【略】すでにプライベートセールスは1億ドル(約110億円)に近づいています」。1座席あたりの価格を下げるにはどうすればよいかという質問に対して、同氏は、スペースツーリズム産業は、現在では毎年何百万人もの旅行者に広く利用されている民間航空旅行のような軌跡をたどるだろうと述べた。

会見の最後にベゾス氏は、1人につき1億ドル(約110億円)の「Courage and Civility Award(勇気とシビリティ賞)」を始めることを発表し、CNNのコントリビューターであるVan Jone(ヴァン・ジョーンズ)氏とミシュラン星獲得シェフであるJosé André(ホセ・アンドレス)氏が最初の2人の受賞者に選ばれた(アンドレス氏の設立した慈善団体は、パンデミック中2500万食を必要としていた人々に提供した)。受賞者はそのお金を自分の選んだ慈善団体に寄付できる。この賞は、礼節を重んじ、個人攻撃を拒む人に贈られるらしい。行間を読むと(正直、そんなことをする必要もないのだが)、現代の政治的議論、特に意見の相違における礼節の重視についてのコメントのように思える。

ベゾス氏はこれからはBlue Originと、気候変動に焦点を当てた100億ドル(約1兆1000億円)規模の投資ファンドであるBezos Earth Fund(ベゾス・アースファンド)の両方に時間を割くと述べている。

「これは地球を脱出しようという話ではありません。肝心なのは、太陽系の中で良い惑星はこの惑星しかないということです」と同氏。「私たちはそれを大切にしなければなりません」。

記者会見の模様はこちらからご覧いただける。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Blue Originジェフ・ベゾス有人宇宙飛行民間宇宙飛行New Shepard

画像クレジット:Blue Origin / YouTube

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

Blue Origin初の有人飛行成功、ベゾス氏ら4人が宇宙を体験

Blue Origin(ブルーオリジン)は米国7月20日、同社創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を含む4人を宇宙に送るという初の有人飛行を成功させた。何十億ドル(何千億円)という投資、何十回というテスト打ち上げ、超大富豪の創業者間でのささいな喧嘩の結果、今月、2021年7月初めのVirgin Galacticの打ち上げ成功とともにNew Shepardの偉業は間違いなく宇宙旅行の新時代の幕開けを告げている。

かなり報道映えするものだった。ミッションは、テキサス州の小さな町バンホーンから30マイル(約48km)北にあるBlue Originの広大で秘密の施設であるLaunch Site Oneで実行された。打ち上げに先立ち、このイベントのためにやってきた見物客でバンホーンとその周辺の町のすべてのホテルは数日前から満室となった。その一方で、大勢の地元民や米国民、そしてオンライン視聴者(あなたも含め)が米国中部標準時間午前2時半からプレスサイトに群がった。早朝は雨が降るとの予報にもかかわらず、天候は晴れで、万事ほぼ順調に進んだ。

ベゾス氏、同氏の弟マーク氏、18歳の学生Oliver Daemen(オリバー・デーメン)氏、そして航空パイオニアでMercury 13のベテランであるWally Funk(ウォリー・ファンク)氏の4人のクルーはトレーニングセンターから登場し、Rivianの電動SUVであるR1Sで打ち上げ45分前に打ち上げパッドに到着した(ベゾス氏は前回のテストの後に着陸サイトまでRivianのR1Tピックアップトラックを運転した。AmazonはRivianにかなりの額を投資している)。4人のクルーは打ち上げタワーに上り、RSS First Stepと命名されたカプセルに乗り込む前に隣接するシェルターで短い休息をとった。

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打ち上げ15分前でしばし停止があり、これにより打ち上げは予定より若干ずれ込んだ。New Shepardは米国中部標準時間午前8時11分に離陸した。カーマン・ライン(地球の大気圏と宇宙空間との境目)を8時15分に通過し、その後カプセルは分離された。ブースターは同午前8時19分に自動で帰還し、大きな音ともに打ち上げサイトに着陸した。クルーが乗り込んだカプセルはパラシュートを使ってゆっくりと地球に戻り、同午前8時22分に着陸した。飛行時間は11分だった。

画像クレジット:Blue Origin

飛行は、4月に行われたリハーサル打ち上げを含む、再利用可能なNew Shepardロケットでの15回にわたるテストに続くものだ。4月のリハーサルでは飛行準備とカプセルへのクルー乗船(そして打ち上げ前に下船した)の予行演習も行われた。Blue Originはいま、民間搭乗者を軌道へと送る極めて少数の商業宇宙企業の1社として、ライバルのVirgin Galacticの仲間入りを果たした。

デーメン氏は、オークションにかけられた初の有人フライトの座席を2800万ドル(約31億円)で獲得した匿名の落札者がスケジュールの都合により搭乗を辞退しなければならなくなった後に搭乗メンバーに加わった。オランダのプライベートエクイティファームSomerset Capital PartnersのCEOであるデーメン氏の父親が2番目に高い額をオークションで提示したとCNBCは報じた。宇宙旅行者として、18歳のデーメン氏は史上最年少、82歳のファンク氏は史上最高齢だ。

有人宇宙飛行までの歴史

ベゾス氏はeコマース大企業Amazonの事業開始から6年後の2000年にBlue Originを創業した。Blue Originは宇宙旅行に注力し、同社は今回のフライトを顧客を宇宙へと運ぶのに必要な概念実証ととらえている。そのために、New Shepardカプセルには観光に適した大きな窓がある。同社によると、これは宇宙飛行史上、最大の窓だ。「これらの窓はカプセルの3分の1を覆っていて、広大な宇宙と人生が変わるような我々の青い地球の眺めに浸ることができます」とBlue Originのウェブサイトには書かれている。

打ち上げはまた、ベゾス氏と、同氏の宇宙飛行ライバルである富豪Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏との間で数週間にわたって繰り広げられた小競り合いの集大成でもある。ブランソン氏は10日前に宇宙へと飛んだ。しかし表向きはパンチでベゾス氏を負かしたにもかかわらず、両氏の戦いは実際のところ、ブランソン氏のフライトを宇宙飛行としてカウントするかどうか、Virgin Galacticのロケットで飛ぶ宇宙飛行機VSS Unityが実際に宇宙に到達したかどうかをめぐってのものだった。

画像クレジット:Blue Origin

この騒動はカーマン・ラインとして知られるものをめぐってだ。カーマン・ラインは国際的に、地球の約60マイル(約96km)上空の宇宙との架空の境界として認識されている。VSS UnityはNASAに認識されている境界を超えて約51.4マイル(約82km)まで飛んだ。「初めからNew Shepardはカーマン・ラインを超えて飛ぶようにデザインされていましたので、当社の宇宙飛行士は名前の横にアスタリスクの記号がつくことはありません」とBlue OriginはVirgin打ち上げの2日前にツイートした。このツイートにはまた、Virginのフライトにさらにケチをつけるインフォグラフィックも含まれた。

Blue Originにとって今回のフライトは始まりに過ぎない。宇宙飛行販売担当ディレクターのAriane Cornell(アリアン・コーネル)氏は7月18日にあったミッション前ブリーフィングで「今後行われる打ち上げに申し込んでいる(同社の)未来の顧客の多くと連絡を取っている」と話した。同社は2021年さらに2つの飛行を実施する意向であり、CEOのBob Smith(ボブ・スミス)氏は2回目のNew Shepard有人飛行が9月か10月に実施されると想定している、とコーネル氏は付け加えた。

我々にとって(銀行口座に数百万ドルという遊んでいる金を持たない人にとって)これは何を意味するのだろうか。いわゆる億万長者の宇宙レースはつまらない喧嘩だが、Blue OriginそしてVirgin Galacticの打ち上げは消費者や科学者などにとって宇宙旅行新時代の幕開けとなる。当面は富裕層に限定されるだろうが、TechCrunchのAlex Wilhelm記者が主張するように、今後費用は下がり、科学者や研究者、そしてもしかすると筆者やあなたも含め、多くの人が宇宙に行くようになるかもしれない。

もしあなたがBlue Originの打ち上げを見逃したのなら、こちらのアーカイブ化されたライブストリームで打ち上げの一部始終を閲覧できる。

カテゴリー:宇宙
タグ:Blue Originジェフ・ベゾス有人宇宙飛行民間宇宙飛行New Shepard

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi