Mozilla、同デベロッパーネットワークのサブスク有料会員募集を開始

Mozilla(モジラ)は米国時間3月24日、既存のMozilla Developer Network(MDN、モジラ・デベロッパー・ネットワーク)上に、サブスクリプションサービスMDN Plus発表した。MDNは、ウェブ上でCSS、HTML、JavaScriptなどのウェブ技術に関するドキュメントやコードサンプルを見つけるための、最も人気のある場所の1つだ。なおMDNは最近デザインを一新している。

新しいサブスクリプションサービスが提供するのは、通知コレクション(保存したい記事のリストなど)、利用者がオンラインでないときにMDNにアクセスしたいときのためのMDNオフラインなどだ。

サブスクリプションは3つの階層に分かれる。有料プランの無料限定版である「MDN core」、通知、コレクション、MDNオフラインへのアクセスが月5ドル(約610円)、年50ドル(約6100円)で提供される「MDN Plus 5」、そしてMDNチームへの直接のフィードバックチャネル(と「誇りと喜び」)に加えて、プラットフォームのサポートにもう少しお金を払ってもいい人たち向けの「MDN Supporter 10」だ。その名のとおり、最後の高価なプランは、月々10ドル(約1220円)、年間契約では100ドル(約1万2200円)が課金される。

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MDN Web Docsの内容に変更はない。それらは今後も無償で利用できる。「私たちは今後も無料で、誰でもアクセスできるウェブドキュメントの執筆・保守を続けていきます。これは将来変わりません。さらに、MDN Plusから得られる利益の一部を再投資し、ドキュメントやウェブサイト全体のユーザーエクスペリエンスを改善する予定ですので、MDN Web Docsも恩恵を受けることができると考えています」と、MozillaのFAQは説明している。

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MDN Plusは、米国時間3月24日、米国とカナダでローンチする。今後数カ月のうちに、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、オーストリア、オランダ、アイルランド、英国、スイス、マレーシア、ニュージーランド、シンガポールで展開される予定だ(グローバルなサブスクリプションサービスの立ち上げには、多数の弁護士の関与が必要だ)。

今回、MDN Plusがローンチされたのは、決して予想外ではない。Mozillaは2021年、この動きに向けての探りを入れ始めていた。そのときは、Mozillaが5ドルと10ドルの2種類の価格をA/Bテストしていたため、価格設定に少し混乱が起きたが、MDNがもたらす価値の大きさから、ほとんどの開発者はこの取り組みに賛同した

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また、Mozillaは2020年に行ったレイオフでMDNのスタッフをかなり削減したものの、中核となるエンジニアリングチームはほとんど手つかずのままにしておいたことも注目に値する。Mozillaの歴史を振り返ると、MDN のような無料のサービスを提供することが、Mozilla のミッションステートメントにはっきりと謳われ、他の収入源から容易に補助を受けることができていた時期もあった。今回の有料プランによって、Mozillaはやがて自立できることを望んでいるに違いない。現段階では、この収益の使い道についてMozillaがいっているのは「Mozillaの中にとどまる」ということだけだ。

画像クレジット:Benjamin Kerens /Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

ツイッターがTweetDeckを有料化か

Twitter(ツイッター)は、TweetDeck(ツイートデック)を同社のサブスクリプションサービスであるTwitter Blue(ツイッター・ブルー)のプレミアム機能にしようとしているらしい。モバイルアプリのコードを探索して開発中の新機能や変更を見つけているリバース・アプリ・エンジニアのJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏によると、現在、ソーシャルメディア巨人はTwitterのプレミアム商品を開発中で、同社のAndroid(アンドロイド)アプリでTwitter Blueに追加しようとしている。

最近ウォン氏は、Twitterが同社のAndroidアプリのTwitter Blue機能リストに、TweetDeckへの参照を追加していることを発見した。先週ウォン氏は、アプリのコードに、TweetDeckのアクセスをTwitter Blueのサブスクリプション・ユーザーに限定し、購読していない人を登録画面に誘導する部分を見つけた。

彼女はまた、もしTwitterがTweetDeckをTwitter Blueの有料機能にする計画を進めれば、サブスクリプションを利用できない地域にいる数百万人のユーザーを締め出すことなると指摘した。Twitter Blueは米国、カナダ、オーストラリア、およびニュージーランドでしか提供されていない。現在TweetDeckは無料で広告も入っていないため、Twitterのウェブインターフェースを使いたくない人にとって人気のサービスになっている。

この変更の可能性についてTwitter広報担当者に尋ねたところ、現時点で公表できることはない、とTechCrunchに話した。

2021年Twitter Blueが正式公開されたとき、Bloomberg(ブルームバーグ)は、Twitterが今後のサブスクリプション機能でTweetDeckの利用者に課金する可能性を報じた。しかし、実際にTwitter Blueが公開された時、TweetDeckへの言及はなく、ブックマークの整理やスレッドをすっきりした形で読んだり、「Undo Tweet(ツイート取り消し)」機能などのツールがあるだけだった。

TwitterがTweetDeckを有料にすることを考えたのはこれが初めてではなく、同社は今を遡る2017年にアプリを有料化する方法を模索していた。当時一部のTwitterユーザーは、TweetDeckにどんな機能が欲しいか、上位バージョンにお金を払うつもりがあるかなどを尋ねるアンケートに答えるよう求められたが、そのコンセプトが実際にテストされることはなかった。

Twitter Blueはオーストラリアとカナダで2021年6月にまず公開され、11月に米国とニュージーランドが続いた。提供地域の拡大とともに、Twitter Blueは最近公開されたTwitter Labs(ラボ)を通じて新機能をいち早くアクセスできる仕組みを追加したほか、Twitterが2021年春に買収したScroll(スクロール)経由で、数百種類のパブリッシャーのニュース記事を広告なしで提供開始した。米国でのサブスクリプションサービス料金は月額2.99ドル(約362円)。

TweetDeckは、サードパーティーアプリとして出発したが、2011年にTwitterが4000万ドル(約48億5000万円)で買収した。このサービスは、Twitterの投稿やアカウント管理を容易にし、複数のタイムラインとフィードを1カ所で見る便利な手段を提供している。

関連記事:さまざまな便利機能が使えるツイッターの有料サブスク「Blue」が米国とニュージーランドでも提供開始

画像クレジット:David Paul Morris / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Flickr、性的な写真のアップロードを有料ユーザーに限定

Flickrは金儲けが得意ではないが、古い格言にあるように、セックスは金になる。そこでFlickrは、より多くの有料会員を引き込むため、Flickr Proユーザーのみが「restricted(制限付き)」または「moderate(適度)」のコンテンツを投稿できるように、コンテンツのガイドラインを変更した。「moderate」とは「胸や下半身を露出するような部分的なヌード」写真のことで「restricted」には「正面からの全裸や性的行為」の写真が含まれる。

正直に言って、これは悪い動きではない。有料会員に「Flickrにお金を払うように友人を勧誘してくれ」と頼むよりは効果的かもしれない。

2018年にSmugMug(スマグマグ)がこの写真ホスティングサービスを買収したとき、CEOのDon MacAskill(ドン・マカスキル)氏は、このサービスを「インターネットの構造全体の中核」と呼び、利益を生めるようにしたいと望んだ。これは単なるCEOの大げさな表現ではなく、マカスキル氏の言葉にも一理ある。Flickrは歴史のアーカイブだ。1つには、実際に歴史的な画像が展示されていること。それだけでなく、2004年以来、何百万人もの人々のレンズを通して、世界の視覚的な歴史が記録されてきたということもある。それがすべて消えてしまうのは残念だ。

しかし、Flickrはインターネット上に膨大なデータをホストしているため、運営に非常にお金がかかる。しばらくの間、Flickrにお金を払う理由はあまりなかった。すべてのユーザーには、写真のために無料で1テラバイトのストレージが与えられていたからだ。しかし、SmugMugの管理下となってから、Flickrは無料ユーザーが保存できる写真の枚数に制限を設けた。1テラバイトのデータを、わずか1000枚にまで減らしたのだ。さらに、一定期間を過ぎると写真が削除される可能性もあると、ユーザーに警告した。これらの大きな変更は、有料プランにアップグレードして個人的なアーカイブを保存するよう、ユーザーを促すために実施されたものだ。

これまでのところ、Flickrは実際にアップロードされた画像を一切削除していないと言っている(Flickrよ、ありがとう。しかしそれは、私がこれまでに投稿したすべての写真のZIPファイルをダウンロードするために、2019年のある日の午後を無駄にしたということでもある)。しかし、依然としてFlickrはまだ儲かってはいない。それゆえ、NSFW(いわゆる職場閲覧注意)な写真のアップロードに誘うように戦略を転換したのだ。

Flickrの責任者を務めるAlex Seville(アレックス・セヴィル)氏はブログ記事で「一部の人から際どいと思われるような作品を制作している写真家たちは、互いに交流し、興味を共有し、そして自分のアートを世界に発信することができる、オンラインの安全な場所を手に入れることができ、それが削除されたり、自分の愛するコミュニティから完全に追放される心配がありません」と書いている。「しかし、私たちは、このような写真家のためのスペースを、きちんと定義することに甘かったのです、今までは」。

あまりセクシーではないニュースもある。Flickrは引き続き、ユーザーが無料アカウントでできることを制限しようとしており、今回の発表では、無料ユーザーは非公開の写真を50枚までしか投稿できないようになると述べている。

「私たちは、あなたの写真を預かることが大好きです。しかし、私たちは、それらの写真が、発見され、グループに追加され、写真コンテストに提出されるのを見ることの方が、もっと好きなのです」と、セヴィル氏は説明する。「一生分の画像を保存する安全な場所をお探しなら、私たちは決してあなたを追い出しません。プロ会員になるだけでいいのです」。

これらのアップデートがいつ、どのように無料アカウントに影響を与えるようになるのかについて、Flickrは今後、無料ユーザーに最新情報の提供を続けていくと述べている。しかし、Flickrがサブスクリプションによる収入を増やすために狙っているこの市場は、非常に特殊なものだ。それはプライベートな写真(ただし、1000枚以下)をアップロードしたい人々や、NSFW写真家たちである。ヌード写真によってインターネットにおけるこの一角が救われることを祈りたい。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

人気クリエイターがファンに素に近いリアルな姿の写真を有料で公開するアプリ「Roll」

米国時間1月18日、新アプリRoll(ロール)が発売された。このアプリはクリエイターがファンに対して、より素に近いありのままの姿を公開し、それにより簡単にお金を稼げるようにするというものだ。すでに、Instagram (インスタグラム)の親しい友達向けストーリーやSnapchat(スナップチャット)のプライベートアカウント、Discord (ディスコード)の秘密サーバーへのアクセスを通し、メインのページに載せるほど作り込まれてはいないものの、やはりそれなりに外向けでブランド力のあるものを公開することで一部のクリエイターは課金を行っている。こういったものではクリエイターのPatreon(パトレオン)が介されているが、Rollはこの戦術を合理化し、すべてをRollアプリで完結できるようにしている。同アプリはiOSとAndroidで利用可能だ。

「お気に入りのクリエイターのカメラロールにアクセスできる、というのが弊社の謳い文句です」と創業者兼CEOのErik Zamudio(エリック・ザムディオ)氏はいう。「購読したファンは他では決して見ることのできないクリエイターのコンテンツを見ることができるのです。クリエイターはこれにより、最もリアルな自分自身を表現できるのではないでしょうか」。

もちろん、実際にクリエイターのカメラロールにアクセスできるようになるわけではない。そんなことが起きたらそれこそ大問題である。Rollはクリエイターがよりカジュアルな方法でファンとつながりながら、お金を稼ぐ機会を提供しようとしているのである。ソーシャルメディアへの投稿が仕事だとしても、カメラロールにあるものすべてをアップロードしているわけではない。上手くできたオムレツの写真、失敗した自撮り、気に入ったミームのスクリーンショット、散歩中に見かけた変なものなどさまざまな写真が存在し、こういった写真は慎重に計画されたInstagramのグリッドにはフィットしなくとも、Rollのようなプラットフォームではその魅力を発揮するかもしれない。本物のカメラロールと同様、Rollの投稿に「いいね!」を付けたりコメントを付けたりすることはできない。

クリエイターはRollで月額5ドル(約570円)から50ドル(約5700円)の間で課金することができ、収益の80%を受けとれる仕組みだ。ザムディオ氏によるとほとんどのクリエイターが5ドル程度の課金を選んでいるが、より専門性の高いコンテンツを作っているクリエイターなら高めの価格設定でもいけるだろう。例えばTikTok(ティックトック)のシェフが特別なレシピを動画で紹介すれば、月に数枚の舞台裏写真を投稿する人よりもより高い料金を請求することができるはずだ。OnlyFans(オンリーファンズ)のような競合他社とは異なり、Rollはアダルトコンテンツを許可していない。

携帯電話でRollのアカウントを開いている人気クリエイターのタナ・モジョ氏(画像クレジット:Roll)

ローンチ時には約20名のクリエイターが登録されているが、クリエイター向けポータルを一般公開するまでの間、毎週10〜15名のスターを追加していく予定だという。現在、ミュージシャンのDillon Francis(ディロン・フランシス)氏「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」の俳優Noah Schnapp(ノア・シュナップ)氏の他、Tana Mongeau(タナ・モジョ)氏、Sommer Ray(ソマー・レイ)氏、Stassie Karanikolaou(スタッシー・カラニコラウ)氏などのソーシャルメディアパーソナリティ、そしてユーチューバーのDavid Dobrik(デビッド・ドブリック)氏などが登録されている。

ドブリック氏が写真ベースのソーシャルスタートアップに関わるのは今回が初めてではない。ドブリック氏は後にDispo(ディスポ)となったアプリDavid’s Disposable(デビッズ・ディスポーザブル)を共同設立したことがある。ザムディオ氏をはじめとするRollのスタッフ3人もDavid’s Disposableの構築に貢献したのだが、ザムディオ氏はアプリがDispoにリブランドされる直前の2020年半ばに退社しており、また同氏や同僚が去った理由については回答を避けている。

2021年3月に発売され、大きな話題となったアプリDispoだが、そのわずか1週間後、Insider(インサイダー)がドブリック氏のYouTubeいたずらグループ「Vlog Squad」のメンバーに関する性的暴行疑惑を報じた。ドブリック氏のチャンネル用にグループセックスに関するビデオを撮影しているときに起きたこの暴行疑惑。Vlog Squadの元メンバーで黒人のSeth Francois(セス・フランソワ)氏はドブリック氏のビデオで経験した人種差別についてまとめたYouTubeビデオを投稿し、ドブリック氏のセットで性的暴行を受けたとも話している。Insiderの記事が掲載された直後、ドブリック氏はDispoの役員を退任している。

このような論争の中、Dispoの初期の投資家であるSpark Capital(スパーク・キャピタル)、Seven Seven Six(セブンセブンシックス)、Unshackled(アンシャックルド)などは、アプリへの投資から得られるであろう利益を全額、性的暴行の被害者のために取り組む団体に寄付することを約束した。ドブリック氏はさまざまなブランドとの契約を失ったものの、YouTubeの登録者数は1880万人から1830万人に減少しただけで、今でも週に3本の動画を投稿し、それぞれ約600万から1000万回の再生回数を記録し続けている。そして今回再びドブリック氏が消費者向けテクノロジーに舞い戻るわけだが、この物議を醸したユーチューバーは、Dispoの共同創業者には違いないものの、RollにとってはRollアプリを利用するクリエイターの1人に過ぎないとザムディオ氏は伝えている(同社の宣伝コンテンツにも登場する)。

「Rollをサポートしてくれた大物クリエイターは、デビッドが初めてではありません」とザムディオ氏はTechCrunchに話している。「これは絶対に誤解されたくないことですが、デビッドがDispoを辞めて今ここで別のことをやっている、というようなことではないのです。彼は創業メンバーの1人ではありません」。

後に、ザムディオ氏はさらにメールで詳しく説明してくれた。「デビッドはクリエイティブで賢い人物です。他のすばらしいクリエイターとともに、彼を起用できることをうれしく思います。私たちは全メンバーを対等な立場で見ており、彼らの意見を大切にしています。デビッドはDispoに関わっていたので、Dispoと関連付けられるのは当然かと思いますが、前にも伝えたように彼は(創設者やチームメンバーではなく)単にRollのクリエイターです」。

DispoとRollはありのままの投稿を促すという点で似たDNAを持っている。Dispoでは使い捨てカメラの性質を真似て、翌朝まで撮った写真を見ることができない。ただしDispoがソーシャルネットワークであるのに対し、Rollはクリエイターのマネタイズプラットフォームである。

「David’s Disposableが大成功した後、私たちはクリエイターエコノミーの世界を掘り下げるようになりました」とザムディオ氏はTechCrunchに話している。「そして多くのクリエイターと親しくなり、彼らが経験していることをより深く知るようになるにつれ、みんながコンテンツを有料化したいと考えていることがわかったのです」。

これまでRollは、Airwing Ventures(エアウィング・ベンチャーズ)のDan Beldy(ダン・ベルディ)氏が率いるエンジェル投資家ラウンドで50万ドル(約5700万円)を調達している。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

スポティファイ、Hi-Fiサブスク提供の遅れがライセンス問題に関係していることを示唆

Spotify(スポティファイ)のCEOであるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏は、ストリーミングサービスのHi-Fiサブスクの開始延期が、ライセンス問題に関連していることをほのめかした。2月2日に行われたSpotifyの四半期および年間収益発表会で、エク氏はアナリストや投資家に対して、Hi-Fiサービスの計画についてあまり話すことはないとしながらも、議論は進行中であると述べた。

Spotifyが約束どおりHi-Fiサービスを一般に提供できなかったことに関する直接的な質問に対して、エク氏は曖昧な答えだけを述べ、次に進んだ。

「私たちが話している機能の多くは、特に音楽に関連するものでライセンスに行き着きます」と、エク氏は投資家に語った。「だから、これを市場に出すためにパートナーと常に対話をしているということ以外、これに関して具体的に発表することはできません」。

2021年2月、Spotifyは新しいハイエンドサブスクサービスを展開する計画を発表した。同社は、Spotify HiFiが2021年中に開始され、Spotify Premiumの加入者に「CD品質のロスレスオーディオ形式」で音楽を聴くオプションを提供すると発表していた。Spotifyはまた、Hi-FiサービスはSpotify Connect対応スピーカーを含む、デバイス間で動作すると述べていた。同社は、価格やどの市場がこの新しいサブスクをサポートするかなど、詳細な情報は提供しなかった。しかし、このサービスはPremiumの「add-on(アドオン)」として提供される予定だった。つまり、通常のPremiumサブスクよりも高い費用がかかるということだ。この計画は、競争環境の変化によって複雑になる可能性があった。

この延期された機能に関するエク氏のコメントは、2021年12月、この機能に関するスレッドが数百ページにもおよぶ怒りの書き込みに爆発した後、Spotifyの担当者が同社のコミュニティフォーラムに残したものに続くものだ。

「私たちは、Hi-Fi品質のオーディオがあなたにとって重要であることを知っています」と、コメントはいう。「私たちも同じように感じており、将来的にSpotifyのHi-Fi体験をPremiumユーザーに提供できることを楽しみにしています。しかし、まだ共有できるタイミングの詳細はありません。もちろん、可能な限りここでアップデートします」。

なお、Spotifyのロスレスサブスクの噂は、ストリーミングサービスがSpotify HiFiという新しい有料オプションの導入を考えていることが明らかにされていた2017年に遡る。当時、この機能は月々5〜10ドル(約570〜1150円)の追加料金がかかると噂されていた。

SpotifyのHi-Fi層の導入が遅れているのは、Apple Music(アップルミュージック)とAmazon Music(アマゾンミュージック)の両社がその顧客向けにハイファイストリーミング機能をリリースしているためだ。2021年6月、Apple(アップル)は追加料金なしでApple Musicのサブスクに、ロスレスオーディオストリーミングとDolby Atmos(ドルビーアトモス)をサポートするSpatial Audio(スペイシャルオーディオ)の提供を開始した。Apple Musicの7500万曲以上の全カタログがロスレスオーディオに対応している。ロスレスオーディオは、CDクオリティの16ビット/44.1 kHzから始まり、24ビット/48 kHzまで対応する。オーディオマニアは、24ビット/192kHzまでのハイレゾロスレスも選択できる。

一方、Amazonは2019年にロスレスオーディオストリーミングを備えたサブスクAmazon Music HDを月額5ドル(約570円)の追加料金で開始した。2021年5月には、対象となるAmazon Music Unlimitedの加入者全員に、Amazon Music HDを追加料金なしで提供するようにした。Amazon HDは、ビット深度16ビット、サンプルレート44.1kHz(CD品質程度)で楽曲をストリーミングする。一部の楽曲はUltra HD、つまり24ビット、最大192kHzのサンプルレート(CD品質以上)でストリーミング配信される。

ハイファイストリーミングの開始は、オーディオファン向けにより高品質なストリームでを提供してきた音楽ストリーミングサービスTidal(タイダル)の脅威に対抗する方法と考えられている。Tidalは、加入者数では業界トップの音楽ストリーミングサービスに及ばないが、その存在は、より質の高い音楽を求める需要があることを示している。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

グーグル、今はなき「G Suite」のユーザーに無料のGoogleアカウントに移行してもらう予定と発表

2021年1月初め、Google(グーグル)はG Suiteレガシー無料版を使用していたGoogle Workspaceの無料アカウントを廃止すると発表した。Ars Technicaが発見したように、顧客からの反発を受けて、Googleはサポートページを更新し、既存のユーザーに対してより多くの選択肢を提供する予定であると述べている。

現在のGoogle Workspaceは、以前のものとはまったく異なる製品となっている。Googleの生産性向上サブスクリプションパッケージは、現在、主に企業向けに設計されている。同社は、Business Starter、Business Standard、Business Plusといった、SaaS方式によるさまざまなプランを提供している。これらのプランは、1ユーザーあたり月額6ドル〜18ドル(日本での料金は680円〜2040円)となっている。

2006年、GmailとGoogleカレンダーの発足に続いて、GoogleはGoogleアカウントにカスタムドメイン名を追加する機能を提供した。例えば、姓のドメイン名を購入し、それを電子メール アドレスに使用することができる(sarah@myfamilyname.com)。当初Google Apps for Your Domainと呼ばれたこの機能は、もともと完全に無料で、特にビジネス顧客をターゲットにしているというわけではなかった。2012年、Googleはその無料版の提供を停止した。

Googleが、永遠に無料サービスを提供するという義務はない。しかし、G Suiteのレガシーアカウントを10年以上使ってきた、テクノロジーに詳しいGoogleの顧客からこのような反応が出るとは、おそらく同社も予想していなかっただろう。例えば、Hacker News のスレッドには1000件以上のコメントが集まった。

支払いを強要したり、G Suiteのレガシーアカウントを完全に停止したりする代わりに、Googleは第3の選択肢を提供するつもりだ。ある種、告知ページとして機能するサポートページで、同社は次のような段落を追加した。

今後数カ月の間に、Google Workspace以外の有料コンテンツとデータの大部分を、費用のかからないオプションに移行する選択肢を提供する予定です。この新しいオプションには、カスタムメールやマルチアカウント管理などのプレミアム機能は含まれません。このオプションは、2022年7月1日とアカウント停止になる前に評価することが可能です。詳細については、今後数カ月以内にこの記事を更新する予定です。

G Suiteのレガシー無料アカウントの大きな問題は、Googleのエコシステム全体に対してGoogleアカウントとして機能するということだ。メール、カレンダーイベント、連絡先に加え、G Suiteのレガシー無料アカウントを持つ一部のユーザーは、YouTube、Googleマップ、Google Playでの購入、Googleドライブなどでそれらのアカウントを使用している。

つまり、Googleのアカウントはメールの受信箱以上の存在であるため、ユーザーにアカウントをキャンセルするか、支払いを開始するかのどちらかを伝えることは公平ではないということだ。Googleが管理者を脅迫しているように感じられたのだ。

もちろん、G Suiteのレガシー無料アカウントをコンシューマー向けGoogleアカウントに移植しても、カスタムドメイン名で既存のメールアドレスを維持できないことに変わりはない。別のメールアドレスを使うか、別のメールプロバイダを探さなければならない。

最後に、Googleは10ユーザー以下のG Suiteレガシー無料管理者向けに簡単なアンケートを設定した。このアンケートに回答することで、代替オプションへの関心を示し、Googleからの最新情報を受け取ることができるようになる。

画像クレジット:studioEAST/Getty Images / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

TikTokがTwitter、Instagramに続き有料サブスク導入を限定テスト、クリエイターの収益化の道を探る

TikTok(ティクトック)は米国時間1月20日、有料サブスクリプションの導入をテストしていることをTechCrunchに認めた。The Informationが最初に報じたように、人気の短編ビデオアプリTikTokは、クリエイターが自身のコンテンツのサブスクリプションに課金するオプションを模索している。この機能は当面の間、限定的なテストの一環であり、広くは提供されない。TikTokは、この機能についての詳しい説明や、追加の詳細の提供は却下した。

「当社は常に我々のコミュニティに価値をもたらし、TikTokのエクスペリエンスを豊かにする新しい方法を考えています」と、コメントを求められたTikTokの広報担当者は電子メールでTechCrunchに語った。

有料サブスクモデルがアプリにどのように実装されるかは不明だ。ちなみに、TikTokの人気アルゴリズム「For You」ページには、ユーザーがフォローしていないクリエイターの動画が表示される。もしクリエイターがコンテンツにサブスク料を課金することを選択した場合、その動画はおそらくユーザーの「For You」ページに表示されなくなる。ただ、クリエイターのアカウント全体にサブスクが適用されるのではなく、有料ユーザー限定の追加コンテンツに適用される可能性もある。

Instagram(インスタグラム)が米国でサブスクを開始した翌日に、今回のテストのニュースが飛び込んできた。Instagramのこの機能は現在、フォロワーにInstagram Liveの限定ビデオやStoriesへの有料アクセスを提供できる、少数のクリエイターグループで初期テスト中だ。クリエイターは、限定コンテンツにアクセスするための価格帯を自分で選ぶことができる。有料会員には特別なバッジが表示され、かなりの数のコメントがある中で無料ユーザーと差別化される。

TikTokの有料サブスクテストは、クリエイターがTikTok LIVEストリーム以外でもファンからお金を受け取ることができるアプリ内チップ機能をプラットフォーム上でテストしていることが最近明らかになったことに続くもので、すでに「ギフト」はサポートされている。この限定テストに参加しているクリエイターは、フォロワー10万人以上を抱え、活動に問題がなければ、この機能を申請することができる。承認されたクリエイターには、プロフィールにTipsボタンが表示され、フォロワーはこのボタンを使って直接チップをあげることができる。

関連記事:TikTok、クリエイターがフォロワーから直接チップをもらえる方法をテスト中

今回のテストは、クリエイターがプラットフォームを通じて生活費を稼げるようにすることに向けた最新の取り組みだ。TikTokは2021年、米国のクリエイターの収入を補えるようにすることを目的とした2億ドル(約227億円)のファンドを設立した。また、クリエイターがブランドとの提携やスポンサー契約を結ぶのを支援し、ライブストリームの収益化も提供している。収益化の取り組みに力を入れていることを考えると、同社がクリエイターのコンテンツに有料サブスクを提供する方法を実験していることは、驚くにはあたらない。

関連記事:TikTokが約214億円の米国のクリエイター向けファンドを発表

TikTokとInstagramのテストは、2021年9月に始まったTwitter(ツイッター)の有料サブスク「Super Follows」に続くものだ。この機能は、ユーザーが気に入ったアカウントに月額料金を支払うことで、特別コンテンツを購読することができるというものだ。対象となるアカウントは、Super Followサブスク料を設定することができ、月額2.99ドル(約340円)、4.99ドル(約560円)、9.99ドル(約1100円)から選択できる。Instagramのモデルと同様に、購読者には特別なSuper Followerバッジが付けられ、無料フォロワーと区別される。

TikTok、Instagram、Twitterの有料サブスク制度は、クリエイターコミュニティを引き付けるための取り組みだ。また、クリエイターに儲ける方法を提供するYouTubeのようなデジタルプラットフォームと競うための手段でもある。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

「App Storeの詐欺師」と非難された音楽アプリAmpMeが週10ドルの料金を引き下げ

Apple(アップル)がApp Storeの収益の大幅な増加を喧伝していたのとほぼ同じ時期に、開発者であり著名なApp Store批評家でもあるKosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリオ)氏は、App Storeに潜む新たな詐欺師と思われる存在を明らかにした。エレフテリオ氏はTwitter(ツイッター)で、音楽同期アプリ「AmpMe(アンプミー)」の利益に言及する投稿を行った。同アプリは、ユーザーの音楽を複数のデバイス、例えば友人たちのスマートフォンやBluetoothスピーカー、コンピュータースピーカーとの間で同期させることで、音楽のボリュームを高めるとうたっている。AmpMeはこの基本的なサービスに週10ドル(約1150円)という信じがたい金額を請求しており、App Storeでフェイクレビューを使ったプロモーションを展開していた。

AmpMeのiOSアプリは、一部の機能の利用にはサブスクリプションを必要としないが、音楽を他のデバイスと同期させたい場合には必要になる。ユーザーがこのアプリをダウンロードした主な理由はおそらく後者であろう。

エレフテリオ氏は、このサービスが同氏のいう「不合理な週10ドル(年間約520ドル[約6万円])」で価格設定されていることを指摘している。ほとんどのアプリ内サブスクリプションと同じように、このサブスクリプションも自動更新される。また、Appleはサブスクリプションの簡単な登録と継続を可能にしているが、キャンセルについては、App StoreまたはiPhoneの設定アプリからアクセスできるアカウントページの「サブスクリプション」セクションからのみ可能となっている。アプリ自体の中でキャンセルすることはできない。

AmpMeは少なくとも料金についてはユーザーを欺こうとしていなかった。登録ページには、無料トライアル提供期間は3日間であり、その後は週9.99ドルのサブスクリプションで提供されることが明記されている。

だがこのアプリがApp Storeのルールに抵触した部分は、潜在顧客へのマーケティングの仕方にあった。

AmpMeは大量のフェイクレビューを購入していた。それはナンセンスな名前に関連する5つ星の評価が多いことからも明らかである。例えば、Nicte VidelerqhjgdやElcie Zapaterbpmtlのような名前は、誰かがキーボードのボタンをマッシュ(ランダムに打つこと)したような感じがある。だがこうしたレビュアーが「すごくいい!」とか「超便利」あるいは「他の音楽アプリは要らない!」などのポジティブなフィードバックを残したことは確かである。

(興味深いことに、これらのレビュアーは他のアプリにも5つ星のレビューを残しているが、すべて同じ日に投稿されていた。実に疑わしい)

フェイクレビューによって同アプリのApp Storeでの総合評価は星4.3となり、まともで便利な音楽同期ツールのような印象を与えた。一方で、本物のレビューは、App Storeの正規ユーザーが法外な価格や基本機能、あるいは明らかなフェイクレビューについて不満を述べていたが、スパムによってかき消された。

Appleは何年もの間、この見かけ倒しのアプリに対策を講じてこなかった。さらに悪いことに、App Storeのエディトリアルコレクションを通じて何度もプロモーションを行っていたとエレフテリオ氏は指摘している。

同氏が今回の件から導き出した結論は、AppleはApp Storeの詐欺師の取り締まりに手ぬるいだけではなく、詐欺アプリの収益のポテンシャルのために、実際にそうする意欲を削がれている可能性があるというものである(これ以外に考えられる結論は、App Storeを消費者のために安全に保つことに関してAppleは無能であるというものだが、これも実によろしくない様相である)。

エレフテリオ氏はAppfiguresのデータを引用し、App StoreでのAppleの手数料控除後の生涯収益として、AmpMeがこれまでに1300万ドル(約14億8900万円)を得ていることを伝えている。

別の企業はこの数字をさらに高くしている。Apptopia(アップトピア)はTechCrunchに対し、2018年10月にアプリ内課金による収益化を開始して以来、1600万ドル(約18億3300万円)の収益を上げたと語っている。そのうち1550万ドル(約17億7600万円)がApp Store経由で、50万ドル(約5730万円)がGoogle Play経由であった。アプリ内購入収益の大部分(75%)は米国の消費者からのもので、これまでに3350万のライフタイムインストールを記録しており、そのうちの38%は米国からとなっている。

TechCrunchに寄せられた回答の中で、AmpMeは今回提起された主張の一部に異議を唱えた。

同社によると、ユーザーは年間520ドル、つまり週10ドルのサブスクリプション料金の合計に相当する金額を支払っていないという。有料ユーザー全体の平均年間サブスクリプション収益は約75ドル(約860円)であると同社は説明する。これは、ユーザーが無料トライアルを利用した後、ある程度の時間を置いて購読をキャンセルしていることを示している。AmpMeはまた、内部的には、このことが自社の価格設定の透明性とオプトアウト手続きの容易さに対する信念を強めたことにも言及した。

しかし同社は、なぜApp Storeのリスティングがフェイクレビューで埋め尽くされたのかについて適切な回答を示さず、代わりに匿名のサードパーティに責任を転嫁した。

「私たちは、多くのスタートアップがそうであるように、マーケティングとアプリストアの最適化を支援する外部のコンサルタントを何年にもわたって雇ってきました。さらなる監視が必要であり、それが私たちが現在取り組んでいることです」と匿名のAmpMe担当者から送られた声明文には記されている(eメールの署名は「AmpMeチーム」となっていた)。

さらに同社は、この最近のフィードバックに対応するものとして、同アプリの新バージョンをより低い価格でリリースすることを明らかにした。

「私たちは常にAppleのサブスクリプションガイドラインを遵守しており、その高い基準が確実に満たされるように継続的に取り組んでいます」とメールには書かれている。「また、コミュニティからのフィードバックを尊重し、その価値を重んじています。したがって、より低価格の新しいバージョンのアプリは、すでにレビュー用としてApp Storeに提出されています」。

このバージョンは現在公開されており、毎週のサブスクリプション料金は9.99ドルから4.99ドル(約570円)に引き下げられている。

エレフテリオ氏は米国時間1月13日、フェイクレビューが手動で削除されているようであるとTechCrunchに語った。

米国時間1月10日の午前11時に、同氏はこのアプリのレビュー数が5万4080件であったことを伝えていた。AmpMeかなり悪評立った後、11日午後9時までに同アプリのレビュー数は5万3028件に減少した。12日の午前7時までにレビュー数は再び減少し、5万693件になった。しかし、アプリ全体の評価はあまり影響を受けていない。これは、偽のApp Storeユーザーが投稿したレビューが削除されている一方で、5つ星の評価が付けられているがレビュー内容やレビュワーの名前が表示されていないレビューは削除されていないことが考えられる。つまり、クリーンアッププロセスは、同アプリがフェイクレビューを購入したことを明らかにするものではないということである。

また同じように興味深いのは、AmpMeのCEOであるカナダのテクノロジー起業家Martin-Luc Archambault(マルタン=リュック・アルシャンボー)氏である。同氏が開発し、ソフトウェアからアドウェアに転換した「Wajam(ワジャム)」は、カナダのプライバシーコミッショナー事務局(OPC)によって過去に調査され、同意なしにユーザーデータを収集してカナダのインターネットプライバシー法に違反したことが判明した。また、複数の方法を用いてウイルス対策ソフトウェアによる検出を回避したと当時の報道は伝えている。OPCが調査結果を発表した際、アルシャンボー氏は問題のカナダのユーザーデータは破棄され、Wajamはその資産を中国企業に売却したと主張していた。OPCの報告書によると、同アドウェアはその存続期間中に何百万回もインストールされたという。

つまり、これはフェイクレビューを買うことに反対する人の話とは思えない。

AmpMeは当初の声明以降の追加質問に回答しておらず、Appleにもコメントを求めているが回答は得られていない。

Crunchbase(クランチベース)のデータによると、AmpMeはこれまでに1000万ドル(約11億4600万円)のVC資金を調達している。

画像クレジット:AmpMe

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)